※この作品はR-18です。

気が付けばハイリア湖畔   作:白霧島

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 エロなし。

 次回当たりがっつりといきたいところです。


冒険に出る私達

「準備はできましたか?」

「ぬかりなし、ゾラ」

 

 ゾーラの里入口にて。

 私とルト姫はゾーラの服を着込み旅の支度をしていた。

 

 そう、旅である。

 私はこれより、ルト姫と共にハイラルの各地を足で回り様々な物を見聞きする事を目的とする旅に出るのです。

 何故旅に出るのかと問われれば、それは将来を見据えて様々な見識を高める為です。

 

 将来、このハイラルの地は荒廃する可能性があります。

 ガノンドロフの謀略によりトライフォースを悪用され、ハイラルに闇の時代が訪れる可能性が有る事を私は知っている。

 正直な話、顔も知らない誰かが何人死のうが私の関知するところではありません。ですが問題はゾーラの里にまで波及します。そうして、ルト姫に損害が出る可能性が有る。故に私は動く事にしたのです。

 ルト姫やその周辺に何らかの被害が出るならば話は別です、看過できません。故に旅をする事でハイラルに現れた異常の兆候を読み、迅速に対応する事が本来の目的でした。

 

 その話をルト姫にすれば、「妾も行く!!」と声を大にして同行を希望しました。最初は断ろうかと考えましたが、私は直ぐに同行を了承します。旅をする事によって世界の様々な物をルト姫に見せる事、道中にて出現する敵を排除する事でルト姫に戦闘の経験を積ませる事など様々な利点がある事に気が付いたのです。

 そして何より、危険だからとルト姫を外から遠ざける行為はこれまでゾーラ王が行ってきた事と変わらないからです。危険ならば私が守れば良い。それだけの力が、今の私には有る筈だ。

 

 ちらりと、横に居るルト姫の顔をのぞき見る。

 その視線は滝の向こう側に広がる世界への期待に彩られていた。その好奇心が隠しきれない表情を見るに、私の判断は間違ってなかったと思えた。

 

 さぁ、有意義な旅の始まりだ。

 

「ではルト姫」

「うむ、行こうぞ!!」

 

 そう言って、私達は滝の外へと繰り出した。

 

 

 

「――――これが、里の外」

 

 水飛沫に光が反射し、煌びやかに周辺を照らしている。

 その光はルト姫の眼にも届き、その瞳に星を飾った。

 

「そう言えば、ルト姫はこちら側から出るのは初めてですか?」

「始めても何も、外に出た経験などゾーラの泉を除けばハイリア湖畔が初めてゾラ」

「……そう、ですか。なら沢山、様々な事を見聞きし楽しみましょう?」

「うむ!!」

 

 ルト姫は満面の笑みを浮かべて返答した。

 では早速、お楽しみの第一弾と行きましょうか。

 

「下をご覧くださいませ」

「? した?」

 

 私の言葉に従い、ルト姫が足場から身を乗り出して下にある川を見る。

 

「あれは、小舟かの……?」

「ええ。普段は経験しない事をと考えまして、船を使った川下りなんか楽しそうじゃないかとご用意した次第であります」

「せ、先生……」

 

 ルト姫が感極まった様な表情で此方を見つめてきます。可愛い。

 

「あ、ありがとう、なのじゃ」

「ええ。ですが、お礼は川を下った後に。さぁ、坂を下って船に乗り込みましょう」

「応!!」

 

 燥いだ様子のルト姫が小走りで坂を下り舟へと乗り込みます。

 

「先生ー! はやくー!」

「今行きますよ」

 

 己の口元が自然と笑みを浮かべているのを感じる。

 舟に乗り大きく手を振るルト姫に応える様に、私は少し早足で坂を下りた。

 

 接岸している子舟は横幅の広いカヌーの様な構造をしている。そう、これは遊覧船などではない。私がルト姫にお送りするアトラクションなのである。

 

「それではルト姫、座席にあるベルトで身体を固定してください」

「? これ、かの?」

 

 車の座席を模して作った椅子に座ったルト姫は、座席横に備え付けたシートベルトで己の身体を固定した。それを見届けると、私はオールを握り席に付く。

 オールと言うが、このオール、そんじょそこらのオールとは違います。船体と連動して魔力障壁を展開したり出来る優れモノなのです。流れの速い川を下るので船体が岩壁等にぶつかり危険な事故に繋がらない様にと開発したものですが、この魔法技術は後々何かに転用できそうです。ちなみにこの魔法技術は時オカ作中にて登場したネールの愛を真似てみた物である。

 

「準備は良いですね? では、行きます!!」

「ぬぉっ!?」

 

 岸をオールで弾き、オールの穂先を水中へ差し入れる。

 そして魔力をオールに渦巻かせると、水中で爆発させた。

 水中で巻き起こる魔力爆発が派手な水柱を上げると同時に私とルト姫の乗り込んだ舟は爆発染みた推進力で発進する。

 

「ノォォォォォォォォォォォォっ!?」

「あはははっ、やっぱりアトラクションはこうでなくては!!」

 

 非常に愉快な気分です。

 顔に突き当たり形を変える風の冷たさなど癖になりそうです。

 

「オォォォォォォッ!? ……オォッ? オオオオオオっ!!」

 

 最初の急加速により驚いていたルト姫も、落ち着けば高速で流れてゆく景色の綺麗さに歓声を上げ始める。

 

「すごいっ! 凄いぞ先生!! 景色が、色が伸びて行く!!」

「まだまだスピードを上げますよ!?」

「キャハハハハッ!!」

 

 弾ける様な笑顔と鈴を転がす様な声でルト姫が笑う。

 その笑顔が、何よりも私の心を癒してくれた。

 

◇

 

「ふー、堪能した堪能した!」

 

 岸辺にて。

 私とルト姫は川で獲れた魚を焼いて食べながら休憩していた。

 先の水上アトラクションを楽しんだ私達だが、ルト姫は途中で疲れてしまい、速度を落として航行していたのです。疲れたルト姫は、舟に揺られながら寝そべり、輝く空を見上げて爽やかな笑みを浮かべていました。

 そして岸辺に到着しお昼でもどうだ、といった流れになりました。

 

「あ、そうだ。先程不思議なおじさんから豆を貰ったので燻って食べましょう」

「マメ?」

 

 ルト姫は私が懐から出した豆の袋を興味深そうに見る。

 なんというか、あらゆる事に興味を抱き目を輝かせる様は、獲物を目で追う猫の様にも見える。魚系の種族なのに猫とはこれいかに。

 

「それでは。……最初は五粒ほどで、ほいさっ」

「ぬぉっ!? 先生!! 先生の手が真っ赤に燃えておるぞ!?」

「ああ、私火はへっちゃらなので心配無用です。……そろそろ、いいかな?」

 

 掌の上で程好く加熱した豆を一粒摘み、口の中に入れて咀嚼する。

 ポリポリと小気味良い音共に、口の中に仄かな甘みが広がった。普通にありですね。

 

「はいどうぞ。熱いのでしっかりと冷ましてから食べてくださいね?」

「解ったゾラ。……あっつぅ!?」

「ああ、言った傍から……」

 

 ルト姫は目尻に涙を浮かべながら、取りこぼしそうになった煎り豆を掌に納めふーふーと息で覚ます。

 ……成程、耳にふーふーというのも有りかも知れない。

 

「まぐまぐ、……うむ、美味いのぅ、マメとやら。……先生?」

「え、あ、すいません。良い天気なのでボーっとしてました」

「うむ、解らんでもない。真に、良い天気ゾラ」

「いっそお昼寝でもしましょうか?」

「賛成、ゾラ」

 

 食事を終えたルト姫が語尾に音符を飛ばしながら抱き着いてくる。

 そんなルト姫を抱え上げ木陰へと移動します。

 

「さぁ、寝そべって。ほら、綺麗なもんでしょう?」

「葉っぱと葉っぱの間から光が漏れ出て、ざわついておる……」

「木漏れ日と言うのですよ?」

「こも、れび……」

 

 呆けたように木の葉の天井を見上げるルト姫。

 そんなルト姫を横から優しく抱き締めます。ルト姫は身体を強張らせるどころか逆に呼吸を落ち着けて目を瞑りました。

 

「木の葉と木の葉のざわつきが、耳に心地良い……」

「葉擦れですね。子守唄には最適です」

「まこ、と、そのとおり、ゾ……」

「ルト姫?」

 

 ルト姫はすぐに寝息を発ててしまいました。

 その寝顔は遊び疲れた子供のそれであり、寝言で何事かをむにゃむにゃと言う様子を見て、連れてきてよかったと私は心の底から思いました。

 

◇

 

「……で昼を過ぎたら夕方で、ハイラル平原を移動中に夜が来てしまったと。完全にスタルベビーの存在を失念していましたね」

「先生!! この雑魚どもキリがないゾラ!?」

 

 現在、私とルト姫は夜のハイラル平原を湧き出るスタルベビーに対処しながら進んでいます。

 これ、ゾンビと比べてどっちが楽だろう。

 ……ああ、時オカのゾンビだとアレだからこっちの方が遥かにマシか。

 

 私は炎と拳で、ルト姫はフィンブレイドで応戦しますが、長期戦に慣れていないルト姫は消耗が激しく吐く息が荒くなっています。

 それでもなおスタルベビーは止まらず、時たま大きな個体が出現したりと、もう厄介極まりない。

 現在の最大身長は3メートルオーバーの奴で、ルト姫が居なければ最大記録に挑戦したのですが、今はそんな事をしている場合ではありません。

 

「ぐっ!? 限界か……っ」

「ルト姫? 今行きます、屈んでください」

 

 膝を付いたルト姫はフィンブレイドを維持できなくなり肩で息をするほどに疲弊していた。

 その状態でも私の声を聞き逃さず即座に屈みます。

 屈んだルト姫の頭上を私の炎が通過し、向こう側に居たスタルベビーを焼き尽くしました。

 

 それを確認すると膝を付くルト姫へすぐに駆け寄り、その身体を抱き留めます。

 

「せ、先生!? 今はそんな場合じゃぁ、嬉しい、けど」

「ちょっと失礼しますね」

「へ……? ゾラっ!?」

 

 ルト姫が驚きの声を上げました。

 その理由は、ルト姫を抱き留めた状態で形状を変化させた私にあるのでしょう。

 まず各種骨や内臓器官などをゲル状に変化させ、元の形であるライクライクに変形させます。

 変形した姿は、質量の関係上一回り小さいライクライクといった具合ですが、ルト姫一人を収めるのならばそれでも充分です。

 

「ぬっ……、懐かしい気分ゾラ」

『そうでしょうね、今私はライクライクとなっておりますので』

「なっ、大丈夫なのか!?」

『ええ。身体の一部を透明化して……、ほら見えるでしょう?』

「なっ、これは……」

 

 ルト姫は外の光景に目を丸くする。

 先程まで殺到していたスタルベビーが地面に潜り込んで綺麗さっぱりいなくなってしまったのです。

 

「どういうことじゃ?」

『単純に、魔物は魔物を敵と認識しないのでしょう。だから、ルト姫が私に食べられたから諦めて帰った、というのが多分正解だとおもいます』

「左様か。して、これからどうするゾラ?」

『そうですね。朝まではこの状態で、朝になったら牧場と城下町、近い方へ行きましょう』

「解ったのじゃ。……ふあぁぁぁ」

 

 緊張の糸が途切れたためか、ルト姫が欠伸を漏らす。

 

『眠いのですか?』

「う、うむ。安心したら、の……」

『では遠慮なく休憩してください。私は寝なくても平気なので』

「解った、ゾラ……」

 

 ルト姫はそうそうに眠ってしまいました。

 昼寝もせいぜい3時間程度でしたし、その後にスタルベビーと耐久戦をしたのですから当然と言えば当然です。

 

『さて、では私は夜のハイラル平原を探索するとしましょうか』

 

 私はその後、ルト姫の寝息をBGMに月夜のハイラル平原を這いずり回った。

 

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