銀週? ……なんだよそれ。夢物語か何かか?
地平線の向こう側から朱い光が昇り、光は夜闇を焼き尽くしながら世界の果てへと追いやっていく。
などと、どこかの神話に有りそうな一説を呟いている私ではありますが、現在ハイラル平原をにじりにじりとばかり進んでいる。
……私の中に居るルト姫は、現在全裸だったりする。
なんというか、種族特性なのだろう。
身体が勝手に眠っているルト姫の服を脱がし、その幼い肢体を弄り始めたのだ。
止めた方が良いと言う考えは浮かび上がるも、止めようと言う決断は一向に出る気配がない。
「…………ん、……あ、ふぅ、……んん」
『…………』
……ああ、なんだろう。
こう、眠っている幼い少女に悪戯しているという状況に小さくない興奮を覚えている自分が居ます。
ゾーラ形態の時はまだ愛する女性として、または守るべき対象としてみる事が出来たのですが、ライクライク形態になるとどうも性欲だの食欲だの、本能に直結する機能が強化されている様です。
体内に眼球を構成して様子を窺うと、蒼白い肌を仄かに紅潮させ眉を悩ましげに歪めながら吐息を溢すルト姫の姿があった。エロい。
小さく、しかし柔い肢体を粘液に塗れた私の触手が這い回る。
一際大きい、鍛えられた成人男性の腕と同サイズの、ブラシ状の触手はルト姫の小規模な乳房や足の付け根などをねちっこく巡回する。その様は背徳的な気分にさせる。とても、エロい。
堪らなくなってきたので、男性器を模した触手を形成し、ルト姫の内部へ侵入を試みる。
ぬらぬらと愛液を分泌する小さな秘所へ執拗に擦り付ければ、ルト姫はピクリピクリと散発的に身体を揺らす。たまに一際大きく身体を跳ねさせる時など、表情の蕩け具合が堪らない。
薄く眼が開いている事から、そろそろ目覚めが近いのでしょう。
そうこうする内に、私の触手がルト姫の内部へ侵入した。
深々と入り込んだ触手は蠕動し内部の襞を満遍なく擦る。
その動きと呼応する様に、内壁は縋り付くかの様に収縮し触手を締め上げていく。その感覚に、私の心は己がルト姫に求められているのだと思い込んでしまう。愚かなモノです。
奥へ。収縮する内壁を擦り上げながら只々奥へと触手は進む。
そして最奥へ辿り着くと、雄臭い粘液を満遍なく塗りたくっていく。あたかも、己の所有物であるとほざくかの如く。その傲慢な運動は、既に私の意志から乖離している。
しかし、もしかしたらその運動こそが己の本性なのかもしれない。
何故なら、私は今、快楽の奔流に耐える様な表情を浮かべるルト姫を堪らない程に愛おしく感じているからだ。
「あ……、ぁ、あぁ、んぅっ……!」
それから程なくしてルト姫は絶頂を迎えた。
身体を仰け反らせ、内から湧き出る刺激を外部へと放出するかの如き姿勢は、私の中に生まれた嗜虐心を程好く満たしていく。
荒い息を漏らしながら、ルト姫は少しずつ瞼を上げていく。
そして暫し、その視線を彷徨わせた。
「……ぁ、ん。せん、せい? 妾が、寝てる間に、悪戯したな?」
『……その通りです。申し訳ありません』
「まあ、イイがの……」
そう言うとルト姫は、一際大きな触手へ両腕を回し抱き着き、その愛らしい顔を擦り付けた。
雄の匂いが漂う粘液でぬらりと光る触手へ、嫌悪感を抱いた様子はなく、むしろ愛おしそうに己の顔面を擦り付けている。
「んむ、んんぅ……。せんせい」
『はい』
「もうちょいと、狭くても、良い?」
『…………はぃ?』
「じゃから、狭くても良いと言っておる」
狭くとも良い。ルト姫は寝惚け眼でそう言った。
それは、あれだろうか。内部スペースを更に収縮させよりルト姫に密着しろという事だろうか。
試しにと、私は己の内部をルト姫の方へ収縮させていく。
外壁の小さな突起群が、触手と合わさりルト姫の身体を覆いつつ撫ぜる。
「あっ……。んふふ……」
そうすると、ルト姫は語尾を軽やかに笑みを溢した。
『……御加減、如何でしょうか?』
「落ち着く、ゾラ」
至福の時と言わんばかりの蕩けた笑顔を浮かべながら、ルト姫は私の中に埋もれる。
何の憂いもありはしない。その姿を見ていると、そう言われている様な気がした。
尚、意識が完全に覚醒したルト姫は暫しわなわなと震えた後、言葉にならない声で何事かを叫びながら爆発音が聞こえてきそうな勢いで顔を赤面させた。
◇
「ようこそロンロン牧場へ!」
夜も明けたので、私は中のルト姫を出し、ライクライクの姿からゾーラ族の姿へと変形し服を着た。ルト姫は私よりも素早く着替えていた。前は全裸でも恥ずかしくないと言っていたのに、今回は何故かテキパキと服を着ておまけに帽子も深く被っている。
その後私達は最寄にあったロンロン牧場を尋ねる事にした。
出迎えをしてくれたのはロンロン牧場の一人娘であるマロン嬢である。最初こそ驚いていたが、ルト姫がゾーラ族の姫であると知ると目を輝かせて話をせがんだ。ルト姫には同年代の友人といった存在も少なかっただろうから、この機会に友情を育んでほしい。
ちなみにマロン嬢の父親であるタロン氏は居眠りしたままであり、実質的に牧場内の業務を一人で熟しているインゴー氏はルピーさえ払えば泊まっても良いと言ってくれた。……なんでも、流石に実質一人で経営するのが厳しいらしく、金はあり過ぎて困る事はないそうだ。
マロン嬢が馬や牛の世話を手伝ってくれなければ今頃過労死していたとも話してくれた。
で、なんだったか。……そうそう、問題はルト姫である。
あの後服を着てから牧場へと向かう道で、そして牧場についてマロン嬢に部屋を借り一息付いた今も、ルト姫が会話をしてくれないのである。
会話を振ると顔を逸らし無言を貫くのである。
これは、昨夜の件でお怒りなのだろうか。
……いや、赤面し絶叫こそしていたが特に嫌悪感の様なモノは一切感じられなかった。
だとすれば、照れているのだろうか? ……何に?
出会ったその時からアブノーマルだった私達の間で、今さら照れる事とは何なのだろうか。
「ルトちゃん! タナカさん! 夕食出来ましたので一緒に食べませんか?」
「あ、是非お願いします! ほら、ルト姫も行きましょう?」
「…………うむ」
ルト姫は私の言葉にテンション低く返します。
なんというか、心に寒風が吹きすさんでいる気分です。
……ちなみに、そんな私達を見ているマロン嬢は終始ニッコニコだった。
◇
「……可笑しくね? 妾ったらちょーっと可笑しくね?」
牧場の寝室にて。
並べられた二つのベッドの片方にて。となりでタナカが眠っている中、ルトは自分を分析していた。
何故そんな事をしているのかと言えば、その理由は朝に起きた触手事件にある。
まず、ルトはタナカに対し恋慕の情を抱いている。
様々な要因が重なり、現状二者は互いを深く思い合っている状態だ。日常的なコミュニケーションから性的な交わりに至るまで、ルトはタナカに対し何ら不満は持っていない。
しかし、今朝の触手事件でルトは普段タナカに抱く感情とは別のモノを覚えていた。
触手でその幼い身体を蹂躙される事に快感を覚えるのはまだいい。その段階は出会ってすぐに乗り越えていた。問題は、タナカに包まれ締め上げられていると言って良い一歩手前までの圧力を受け、ソレを心地良く思ってしまっている己の感覚だ。
その時にルトが感じた安堵感は今までの比ではなかったのだ。
また、触手の分泌する雄の臭気漂う粘液に対して、嫌悪感を抱くどころかむしろ自らそれを求めている自分が居る事に気付き、混乱により拍車を掛けていた。
「臭い筈じゃ。臭いと感じていた、筈じゃ……」
己の感じ方すら変わってきている様で、その変化に少なからず恐怖を感じている。
そして何より、ルト自身が今朝の様な状況を求めている事と、そんな自分がタナカから嫌われたりはしないだろうかという不安がルトの中で渦巻いていた。
「…………む、ぅ」
顔を赤らめながら、ルトは隣のベッドで寝ているタナカへと視線を向ける。
すやすやと寝息を発てるタナカ。その様子を眺めている内に、ルトは己の下腹の奥が疼くのを感じた。
それを感じると、連動するかのように動悸が速くなり、顔が熱くなっていく。
熱病のような状態で、ルトは己の入っていたベッドを抜け出しタナカの眠るベッドへ忍び寄る。
そして掛布団を捲り上げると、穴を掘る動物の様に隙間へと潜り込んでいく。
ベッドの中に忍び込んだルトはタナカの正面へ移動しその顔を見つめる。
端正なゾーラ顔を眺めていると、ルトの動機がまたもや加速した。
その熱のやり場に困ったルトはタナカの胸元に顔を埋め、そして沈黙する。
鼻を働かせれば、雄の匂いが鼻孔を擽り、ルトの頭を甘く痺れさせる。
今朝の触手とはまた違った感覚だった。匂いを嗅ぐ事で、ルトは己が内部からタナカの色に染め上げられていく様な感覚を覚え、その心地良さに酔いしれた。
「……まぁ、いいか、の」
悩んでいる事がどうでも良い事の様に感じられた。
ルトはその悦楽を更に求める様に、その小さな顔をタナカの胸板に押し付け、その内に寝息を発てるのだった。
翌日。
進歩してねぇゾラ、と気落ちして呟くルトとそれを心配げにオロオロしながら見守るタナカの姿が有った。