対女性用生物兵器『E.O.W』 実験データ記録 作:ガルロス
ゾンビ その1
見知らぬ街の中を、私は走っていた。
いったい、何がどうなっているのかわからない。私はどうしてこんな場所にいるのだろうか?
覚えている最後の記憶は、ラクーンシティが崩壊したあの日の夜……政府によるミサイル攻撃から逃れられないと覚悟を決めた私は、たった一人で死ぬことを覚悟していた。
……なのに、だ。私はこうして生きている。ラクーンシティとは別の、どこだかわからない場所で走っている。
それも
決して小さくはない胸が、疾走の動きに合わせて上下に揺れる。
引き締まった尻が小刻みに震え、素足がぺたぺたと足音を鳴らす。
それに……ああ、最悪だ。生え揃っていたはずのアンダーヘアは、何故だか全て剃り尽くされていた。これはつまり、何者かがわざわざ私の下の毛をお掃除してくれたということだろう。
余計な気を回してくれた何者かに、必ずこの悪趣味な行為のツケを払わせてやると決意しながら、私は近くの壁に背を預ける。
どこにでもあるような、かつてのラクーンシティと似たような風景をしているこの街の景色を全裸で確認した私は、込み上げる羞恥にぐっと歯を食いしばった。
なにがなんだかわからない。どうしてこうなっているのかもわからない。ただ、そんな中でも一つだけ言えることもある。
私はまだ生きている。ラクーン市警特殊部隊『S.T.A.R.S』の元メンバー、ジル・バレンタインはあのラクーンシティの悪夢を生き延びることが出来た。
ならば、拾ったこの命を無駄にしないために、何が何でも生き抜くだけだ。たとえこれが何者かの陰謀であろうとも、必ず生き延びてここを脱出してみせる。
そう、硬く決意した私の耳に、聞き慣れた唸り声が届く。
それは、一日で普段の日常が崩壊したラクーンシティで聞き続けた、地獄の使者たちと同じ声。理性を無くし、人間の三大欲求の一つである食欲に突き動かされ、生者を喰らう生きた屍。
そいつがじりじりと私の元に近づいて来る。白濁した眼を見開き、何かを求めるようにして両手を前に突き出しながら、非常に緩慢な動きで私へと接近する。
奴らの名は【ゾンビ】……アンブレラが開発したウィルスに感染した人間が変わり果てた姿。
それが今、私を仲間に引き入れようと、私の肉を喰らおうと、大口を開けて歩み寄っている。
見事に袋小路に追い込まれ、逃げ場を失った私は、迫り来るゾンビを前に呼吸を整えていた。
T-ウィルスに感染した生物は、異様な生命力と再生能力を持っている。どんなに訓練を重ねても、素手でゾンビに勝つことは困難であろう。
奴らを倒すには、脳を破壊するしかない。銃火器による攻撃が手っ取り早い方法だが、今の私はハンドガンどころか身を隠す衣類すら所持していない有様だ。
つまり、ゾンビを倒すことは出来ない。素手……というか、真っ裸での戦闘は無意味で、自殺行為といえるだろう。
そうなると、私に残された手段はどうにかしてあのゾンビを躱しての逃走しかない。幸いにも相手の動きは鈍重で、上手く隙を突けばそう難しいことではないように思える。
とにかく、もうそれしか方法はないのだ。ここで命を落とさぬためにも、私は全神経を集中させて前方のゾンビの動きを観察する。
チャンスは一瞬。相手の挙動を読み、カウンター気味に初動を捌く。そして、そのまま横を擦り抜けて逃走を……と、私が頭の中で自分の動きをシュミレートしていた時だった。
「ウァァ……ッ」
「なっ!? いやぁっ!!」
突如、背後の壁がぶち破られ、そこからまた別のゾンビが姿を現したのだ。
前方の一体に集中していた私は、その予想外の事態に対応出来ずに背後から出現したゾンビに呆気なく押し倒されてしまう。
「くっ! 離せっ! 離しなさいっ!!」
続けざまに覆い被さってきた二体目のゾンビとの連係プレイによって、私は完全に身動きを封じられてしまった。最早、私に出来るのは叫ぶことだけ。無意味で悲痛な私の叫びが、空虚な路地裏に響き渡る。
こんな迂闊なミスで命を落とすなんて……自分自身の油断に歯噛みし、悔やんでみてももう遅い。じきに二体のゾンビは私の喉笛を食い破り、邪魔な衣類を着ていない体に歯を突き立て、その肉を喰らうのだろう。
クリスやバリーといった仲間たちに心の中で詫びながら、私は自らの死を受け入れるべくぎゅっと目を閉じる。しかし、その瞬間はいつまで経っても襲ってこなかった。
いくら動きが緩慢なゾンビであっても、もう十分に私にトドメを刺すだけの時間はあったはずだ。それなのに、私はまだ生きている。肉を食われるどころか、噛みつかれる気配もない。
ただただ体を抑え込み、私の身動きを封じるゾンビたち。そんな彼らの動きに疑問を持った私が、ゆっくりと瞳を開けてみると――
「なっ!? もがっっ!!」
そこには、到底信じられない光景が広がっていた。
なんと、彼らは自らのペニスを取り出し、私の眼前に突き出していたのだ。
赤黒く勃起したそれは、ウィルスの影響なのか平均の倍近くの大きさにまで膨れ上がっている。浮き出ている血管も、毒茸のように笠が張っているカリも、女を犯すための器官として恐ろしいまでの迫力を誇っていた。
とてもグロテスクで、醜悪なそれを目の当たりにした私は、驚きのあまりに声を上げてしまった。
ゾンビたちはその一瞬を見逃さず、今までの緩慢な動きが嘘であるかのように私の口内へとペニスを捻じ込む。
「んぼぉおおっ! ん、ぶぅううぅううっ!!」
生臭い、吐き気を催す味が口の中一杯に広がる。大きくて硬い肉の棒が、私の喉を犯し始める。
私の顔を掴み、激しく腰を振り始めたゾンビは、本能のままに快楽を求めてイラマチオを開始した。
そのあまりの激しさに呼吸困難に陥った私は、白目を剥きながらくぐもった悲鳴を上げ続けることしか出来ない。
「んぶうううぅっ! ぶっ、ぶごおぉおおっ! お、ごぉおおぉおっ!」
「ウァァァ……! グァァ……ッ!」
ごちゅん、ごちゅんと喉奥を亀頭が突く。込み上げる吐き気を封じ込めるようにペニスが縦横無尽に私の口を犯し、粘っこい汁を放ち始める。
もう、何がなんだかわからない……死者であり、肉を求めるゾンビたちが、どうしてこんな真似をするのか? どうして私は彼らに犯されているのか、わけがわからない。
ただ、そんな中でも一つだけいえることがあった。
浅ましいことに、私は……この状況で性感を感じているのだ。
(なん、でっ!? どうしてっ!? こんな、乱暴な動きでっ! 相手はゾンビなのよ!?)
ゾンビが放つ我慢汁が舌に触れる度、ビリビリとした感覚が心を疼かせる。
酸素が足りなくなって纏まらなくなった思考が強引な口内への抽送に雄々しさを感じ、段々と恍惚とした気分を私に抱かせるようになる。
腰が、震える。子宮が、熱くなる。
こんなの駄目だ。駄目に決まってる。こんな、こんな、こんなの……絶対に、認めては、ダメ――
「ウオォォォォォォォッ!!」
「んぶっ!? ふごぉおおぉっ!?」
――そんな私の思考は、激しい唸りを上げたゾンビによって口の中へと白濁液を注ぎ込まれたことで掻き消されてしまった。
口内へ、喉の奥へ、そして胃へ……私の体内へと確実に注ぎ込まれたそれを飲み干してしまった私は、自分が確かな官能を感じていることに絶望的な気持ちを抱く。
(感じて、しまった……ゾンビに口を犯されて、射精されて、私は……っ)
おかしい。こんなの絶対におかしい。ゾンビが女を犯すことも、この状況も、何もかもが全ておかしい。
だが、その中で一番おかしいのは……私が今、燃え盛らんばかりの性欲の炎を滾らせていることだ。
ゾンビの精液を飲み干した瞬間から、何故だか体が熱くなっている。じゅくじゅくと体の芯が疼くような、そんな甘ったるい気分になってしまっていた。
気が付けば、私は自ら射精したばかりのゾンビのちんぽを舐める、お掃除フェラをしていた。そのことに気が付き、口の中に広がっているザーメンの味に不愉快さを感じなくなっていることに愕然とする私に向け、二体のゾンビが大きな叫びを上げる。
「ウガァァァァ……ッ!!」
「い、いや……! やめて、来ないでぇっ!!」
履いているズボンを突き破るくらいに大きく勃起させたペニスを見せつけながら、ゾンビたちが私に迫る。
私は、ようやく自分が彼らにとって食べ物ではなく、慰み物として見られていることに気が付いた。
犯される……人間ではない怪物に肉体を蹂躙される恐怖に泣き叫ぶも、そんなことでゾンビたちが怯むはずもない。
抵抗する気概を無くした私はあっという間にゾンビたちの成すがままにされ、彼らのちんぽを気持ち良くするためのオナホールとして扱われようとしていた。
「いや、いや、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
木霊する悲鳴を聞く者はこの街にはいない。助けも来ず、私はただゾンビたちに犯されるだけの運命を辿るしかない。
腐臭漂うゾンビの肉体に押し倒され、彼らのちんぽを眼前に突き付けられた私は、ここから自分自身の新たなる悪夢……甘い快感と絶望によって支配された、薄暗い牢獄の中に自分が囚われたことを悟ったのであった。