これ需要ある?
少女としての体格に慣れず、何度も転びそうになりながら、ロイドに手を引かれてトールは王都を歩いている。
銀髪に目を惹かれた通りすがりは、トールの顔を見てはその古傷の酷さに見ない振りをする。この感覚は、男の時と同じだった。
「──チッ」
「トール?」
「あ?」
変わんねぇ、と内心で吐き捨てたトールの手を握るロイドは心配するように問う。顔に出てたか──そう察して頭を振る。
「……なんでもねぇよ。
さっさと服買って……仕事はどうすんだ? 俺まだこの体に慣れてねぇぞ」
「実戦で慣らせば良いんじゃないの。何かあったら僕が助けられるし」
あっけらかんとした態度でそう言い、目的地に到着して足を止める。
「俺は女の服を着なきゃいけねーのか」
「何時戻れるか、そもそも戻れるのかも分からないんだし、早い内にこっちも慣れた方がいいと思うよ。念のため多目に買おっか」
「ロイドよぉ、お前楽しそうだな?」
「ぶっちゃけ今すごい楽しい」
「俺は全然楽しくねーが?」
額に青筋を浮かべて、トールはロイドの脛を蹴る。筋力が殆ど無い蹴りは大した威力にならず、寧ろ蹴った方の足に痛みが走った。
「いっ……!?」
「えぇ、弱っ」
「くっそ……前なら木ぐらいは余裕でへし折れたのに……っ!」
「そんな蹴りを僕にやろうとしたの?」
そう言いながら、ロイドはトールの首根っこを持ち上げる。
そのまま服屋の扉を潜ると、店員らしき女性が頭部の三角の物体をピクピクと反応させた。狼の獣人である店主が尾てい骨付近から伸びた尻尾を左右に揺らして歓迎する。
「いらっしゃーい、防具の下に着る衣服から普段着、男女の
私は店主のメルト・ヴィーよん」
「ひっでぇ謳い文句だな」
「こ、こんにちは……」
ニコニコと笑いながら近寄ってくる店主に引き気味の二人はメルトに対応する。
入って早々に帰りたがるトールを引っ張って前に立たせると、ロイドが言う。
「この子に防具用の衣服と、普段着と下着を幾つか見繕ってもらえます?」
「……あら、あらあらあら?」
「なんすか」
トールの目線に合わせて膝を曲げるメルトが銀髪を手で掬い、顎を上げて紅目を見る。その際嫌でも視界に入る顔の古傷を一瞥して、立ち上がり豪語した。
「よぅし、私に任せんしゃーい。んじゃ、早速お着替えするからこっち来てねー」
「は? おい、ちょっお前、あーやめろ! 離せコラ! ロイド助けろォ!」
「金額は気にしないでください」
「よっしゃやる気出てきたぁ!」
「ロイドォ!!」
引きずられてカーテンの向こうに連れていかれたトールを見送って、ロイドは静かに店内の隅に置かれた椅子に座った。
──等身大の姿見を前に服を脱いだトールを見て、メルトは声を呑んだ。
「うわぁお。顔の時点で察してたけど、体もすごいね君。まさか元奴隷?」
「ちげぇよ。魔物に爪でえぐられたり噛み付かれたり、盗賊の魔法をモロに食らったりして出来た傷だ。顔のはガキの頃親父に斬られただけ」
脇腹に太い三本の傷があり、胸の中心には空けた穴を埋めたような跡。そして右の胸から腹までを、斜めに一本の線が伸びている。
背中にも似たような傷が大小様々と有り、色白の肌に歪なそれが目立っていた。
「へぇー……今なんて?」
「──それより服だろ。さっさと買って帰りてえから選んでくれよ」
上着とズボンを脱ぎ捨てて裸体を披露しているトールがメルトを急かし、メルトはふと気になったことを聞こうとして口を開く。
「あの男の人とはどんな関係なのよん」
「んー、あー、まあ……パートナー?」
「パートナー!? へぇ~~~!?」
仕事仲間という意味でそう言ったトールに過剰反応を見せるメルトは、完璧な勘違いを見せている。
呆れた顔をするトールはさっさとしろよとぼやきながら古傷を掻いた。
「それなら可愛い下着にしないとねぇ~」
「下着なんかなんでもいいよ」
「良くなーい!」
「ひぇっ……」
鋭い剣幕でそう言い、獣人特有の重い殺気が漏れる。部屋の隅から剣を鞘から抜く音がして、慌てて殺気を抑えた。
「下着だって体に合わせないとずれたり擦れたりするんだよん。君に似合うのは~~~これ!」
「……は?」
棚から取り出して押し付けてきたのは、砂時計のシルエットのような三角二つに紐を二本くっ付けただけにしか見えない布切れだった。
色は黒く、宛がうと恥部をかろうじて隠せているだけである。
「──女って皆こんなの穿いてんのか?」
「…………うん、穿いてる穿いてる! なんなら私も穿いてる!」
魔女のババアもかよ……と本気で引きながらも、トールはメルトに穿き方を教わる。腰に持ってきた紐を結んで、早速とそれを穿く。
「や~ん似合うじゃない。他の下着もこれ用意するわね、あとは防具用の服も丈を合わせたいから、ちょっと真面目になるわよん」
「今まではふざけてたのかよ」
「……うふ」
困ったようにウインクするメルトを見て、再度呆れた顔をする。
「ロイドは……どう思うんだろうな」
「いやぁ好きでしょ、嫌いな男なんか居ないわよん。だってそれデザインしたの男だし」
「性欲に素直すぎるだろ」
「そうねぇ」
実際に穿かせて似合ったこともあり、完全に善意で薦めているが、この世界における紐の下着の使い道は本来の『ラインが浮き出るのを防ぐもの』ではなく『情事に勤しむ際、すぐに脱がせられる』という理由で作られたものだった。
要はヤる時用の下着なのだ。メルトはトールとロイドがそういう関係だと思っている。採寸の道具を探しているメルトを見ながら、トールは深くため息を吐いていた。
「……寝てぇ」
──結局服と下着、今のトールに合わせた防具の購入で一日が潰れた二人は、夕日を背にギルドまでを歩いていた。膝下までのスカートのスースーする感覚に苦戦しながらも、ようやく慣れ始めた体幹でしっかりとした足取りを見せている。
「……今日は、なんか、疲れたな」
「僕も、まさか買い物を待つだけでここまで疲れるとは思わなかったよ」
服を詰めた袋を片手に、ロイドはトールと手を繋いでいる。思い出したように、トールはロイドの手を払った。
「って、もういいっつの。ちゃんと自分で歩けるようになったから」
「あ、うん。ごめんごめん」
「…………んー?」
ロイドの顔を見上げても、影が出来て良く見えない。まあいいか、と考えて、二人はギルドに到着するとチェックインを済ませる。
「あ、今日は二人とも一部屋で良いです」
「──あぁ!?」
「トールが悪いんだよ? 今日は稼ぎが無かったし、寧ろ出費だけ。二人で別々の部屋を使えるほどの余裕は無いし何より部屋借りるだけで貯金崩したくない」
「ぐぎぎぎ……」
まあ確かに、と納得している自分が居た。しかし、そんな考えも、それに──と続けたロイドの言葉で思考が遮られる。
「今の君は可愛いだけだし、一人部屋は心配なんだよ。さっき僕を蹴ったときも逆に痛かったくらい力が弱いんでしょ?」
「…………うっせぇ」
トールはロイドから服の入った袋を奪い取り、足早に二階へ駆け上がる。
慣れないことをして疲れきったトールは夕食を抜いてさっさと寝ることにしたが、問題は一人部屋には当然シングルベッドしか無い事だった。
「ロイドは床で寝ろよ」
「トールちっちゃいし、並んで寝られるんじゃないの?」
「お前よく元男と寝ようと思えるな」
トールはメルトに押し売りされたうっすらと黒い下着が見える純白のネグリジェを身に纏い、ベッドの上にあぐらを掻いていた。
「君こそ……随分女性らしい格好だね」
「お前が嬉々として買ったんだろうがボケ! 俺は断っただろ!」
でも着てるじゃん。そう言われれば、さしものトールでも黙るしかない。店で服を着たときから妙に早くなっている心拍数にイラつき、毛布を頭から被り横になる。
「横に寝たきゃ寝ろよ。変なとこ触ったら足の指風魔法で刻むからな」
「はいはい。お休み、トール」
「……んー」
ギシ……とベッドの端が軋む。
体重が乗って僅かにマットレスが傾き、めくられた毛布の隙間から入る冷えた空気が背中を撫でてトールはぶるりと身震いした。
だが、毛布に入ってきた人肌が暖かく、嗅ぎ慣れた汗臭さは安心する。さも当然のように背中から腹に腕を回してきたが、それを払う気力はトールには無かった。
──ランプの火を消したから数時間後の真夜中に、背後から聞こえてくる荒い呼吸と体を揺する振動でトールは目を覚ます。
「……ふぅ、ふっ、ふぅ、ふーっ!」
「なぁにやってんだあ? ロイドぉ」
「っ──と、トール……!?」
銀の髪に顔を押し付けてトールの匂いを嗅ぎながら、ロイドはズボンの中で膨らんだ己の息子を女になってから柔くなった尻に押し当てていた。そんなことをされれば当然だが相手は起きる。
「ロイドくんよぉ。寝てる人の匂い嗅ぎながら何ちんこおっ立ててんだよ、おい」
「ご、ごめん……一度興奮してから、中々収まらなくて。だってトールいい匂いするから」
「言い訳すんな変態野郎」
「……はい」
自分だけベッドの上に起き上がり、ランプを点けて部屋をぼんやりと明るくする。
そういえば、とトールは思案する。王都にはややグレーだが娼館があるのだ。
金さえあれば女を抱ける──とはいえ、高い金をそんなことに使える余裕が無かった二人は、なんだかんだ純潔を保ち続けていた。
トールが女になるより前までずっと禁欲を続けていたのに、中身が男で距離が近く、気安く接してくる少女が目の前で無防備に寝ている。
おまけに、匂いを嗅げば何処と無く甘い、ミルクのような香りまでするときた。
逆に言えば──もしもトールではなくロイドが美少女になっていたら、トールは同じ事を寝ているロイドにしただろう。
女になったことで男としての性欲が不思議と綺麗さっぱり消えたとはいえ、つい昨日まで男だったトールはロイドの気持ちを痛いほど理解できる。俗な話になるが、夜中に目が覚めた時の不意な勃起は中々収まらなくてわりと辛い。
──仕方がない。そう、仕方がないのだ。
「毛布めくるぞ」
「え、だ、あーっ!」
「うるせえ」
古馴染みだからといって、自分の愚息を見られていい気はしない。しかし悪いことをしたという事実と罪悪感が、抵抗する気力を奪う。
トールは指を弾くという、魔法を発動する為のルーティンを行い、部屋中にふわりと風を散らす。隅から隅まで行き渡ったトールの魔力は『風』に変換され、簡易的な防音の結界を作る。
あっさりとめくられた毛布の下から安い生地のズボンが現れ、押し上げてテントを作るブツが頂点にシミを作っていた。
色白の指がズボンを引っ張り、下着ごと膝までずらす。すると、赤黒く膨らみ血管の浮き出たロイドの肉棒が露になる。
──なんかでかくねぇ?
そう思うのも無理はない。
トールが小さくなったのだから、相対的にそう見えるのだ。
「…………まーいいか」
「っ、ぅ……トール……」
「黙ってろよ、良かったじゃねえか。俺ぁ見た目だけは可愛いんだろぉ~?」
伸ばした足の太もも辺りを椅子にして座るトールは、肉棒の幹に両手を置いてゆっくりと上下にこする。自慰とは違う感覚に呻くロイドの口に、器用に伸ばした右足の指を突っ込んだ。
「んぶぅ!?」
「音は遮ったけどうるさすぎたら聞こえちまうだろうがよ。指でも舐めてろ」
「ん、ぅう」
「……っ、そうそう、上手でちゅね~」
肉棒を握って擦るトールの足の指を言われた通りに舐める。足なのに、つい数時間前に汗をかいていたのに、どうしてか甘い味がした。
「でけぇっつーか、俺がちいせえのか。うわ、先走りが出てきた。ぬるぬるして……なんか……変な感じだな……」
鈴口から漏れる先走りを指で掬ってねちゃねちゃと弄ぶ。視線の先で行われる淫らな動きに、ロイドの肉棒は固さを増して漏らす体液を増やす。
「……うーし、トールちゃんが本気出しちゃうぞ~?」
片手で輪を作り、亀頭と幹の境に引っ掻ける。長さが足りずに半ばで輪が途切れるが、空いた方の手のひら全体で幹を覆う。
カリ首の指と幹の手をそれぞれ左右にねじり、上下に動かす。元男故に知っている弱点を的確に刺激して、手早く射精を促した。
「っ、ぎ、くぁっ……トールッ! それ、やば、ちょっと待って……!」
「明日もはえーんだからさっさと出せ。だーせっ、だーせっ、さっさとしゃせーしろー」
「あぁ、ぐ、も、むり……っ!!」
眼前でいいようにされている古馴染みを見て、手元でぐちゃぐちゃとねばついた音を立てる肉棒に目線を下ろす。意外と耐えるなぁ、等と考えているトールは、思い付いたような顔でニヤニヤと厭らしい顔をして──口の中の唾液を貯める。
「んぐ、んー。んえぇ~っ」
「っ──!!」
とろーっとした生暖かい液体が肉棒に垂らされる。玉袋がきゅっと縮んで射精する寸前の肉棒全体に行き渡ったのを確認すると、トールは微弱な電気を両手に纏って勢いよく扱いた。
「ぁ、か────っ!!?」
直後、噴水のように白く濁った体液が噴出する。ネグリジェの胸元と顔にまで届く吐精は、むせかえる雄の臭いを充満させた。
尚も噴き出る白濁を手のひらで受け止めながら、トールはロイドに声を掛ける。
「……うぇ、きったねぇな」
「か、は、ぁ……」
「おーい、ロイドー。生きてるか? 大丈夫だろ? ガキの頃から散々電撃浴びせてんだから」
けらけらと笑って、トールは手のひらの白濁に鼻を近づけた。
「にしても……濃すぎるだろ、何年分だぁ? 2年? 3年? ……れろ」
バクバクと心音が早まるトールの口から、鮮やかなピンクの舌が伸びてちろりとロイドの子種を舐め取った。しかめっ面をして、罵声を浴びせながら、ちろちろと舌を動かして舐める。
「……不味い。つか、臭すぎんだろ」
ミルクを飲む子猫のように、ちろちろと、舌を動かして粘性のあるそれを舐める。
「……くっさ……まずっ。うえっ」
手のひらから
いいのかいホイホイ男を手玉に取っちまって
(自分からねだるまでがメス堕ちなのでまだ堕ちて)ないです。