※この作品はR-18です。

東方生留性   作:転箸 笑

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12話

「いらっしゃいませー」

鈴奈庵に来た。借りていた本を返し、新しい本を借りる。

何気なく黒いマリアがおいてあったので、借りてみる。それなりの貸し値はしたが、期待も膨らむ。

「はい、ありがとうございます。それじゃあ、今日も...」

 

 

 

 

鈴奈庵に来る度に、小一時間ほど小鈴に外の世界の話をする。目を輝かせながら話を聞くその姿に、少なからずプレッシャーがかかる。何かを詳しく話せる訳でもないので、それなりに気を使いながら話しているのである。

「じゃあ、外の世界では顎が弱くなっていってるんですか?」

「柔かい物ばかり食べているからね。野菜を砕いて飲んでるし」

「え?食べないんですか?」

「手軽に栄養補給、だって。笑っちゃうよね」

「あとあと、お酒をあんまり飲まないって本当ですか?」

「残念ながら。薬を甘いので包んじゃってるしなぁ」

「薬師さんと同じこと言ってますね」

基本は僕が話して小鈴が質問をするだけだ。時々阿求が来て一緒に話を聞いたりもする。真剣みが小鈴と同じかそれ以上にあるので、更にプレッシャーがかかるのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?」

こんこん、と扉がノックされた。本に夢中になっていて気づかなかったが、もうかなり夜は更けていた。引き戸を開けると、見覚えの無い女性が立っていた。

「夜分遅くに失礼します。少々お話したいことがありまして...」

「はぁ」

とりあえず部屋に上げる。誰にも見られていないことを確認してから。

あまりいい話ではなさそうだ。こんな夜に来たのもそうだし、何より胡散臭すぎる。逃げる準備をしておいた方がいいかもしれない。

「大丈夫ですよ。捕って食べたりしませんから」

「そんな心配はしていませんよ」

うふふ、と胡散臭く笑う女性。見え見えの嘘などお見通しだ、ということだろうか。

「それで、一体どんなお話で?」

「ちょっとしたお願いですよ」

ちらり、と金色の目が此方を覗く。とりあえず目は合わせないようにした。沈みこんでしまいそうになる。

「私にも外の世界のお話をしてもらえないかしら、と」

「...時間に余裕がある時にでも」

じっ、と女性が見据える。目を合わせないようにしてるのに、引き寄せられるように視線が相手の目へと移動してしまう。

「あまり聞かれたくないお話なの」

「どういったお話を望んでいるのでしょう?」

「具体的には重火器等々」

「...残念ながら、私はそういった物は」

「詳しくないとでも?」

目を合わせたままだと、嘘をつくことも儘ならない。

「少しだけでいいの。人里の人達には黙っていて欲しいけど」

「最初から話そうなんて思ってないですよ」

厄介そうな人に目をつけられた。間違いない。

だから軍隊だけは嫌だったんだ。




針音アンバランス好き。
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