「私の過去を知っているのでしょう?なら、解るはずです」
「まぁ、そうなのだけど」
自らの髪を弄りながら話す女性。艶やかな金髪が細く白い指に絡みついている。
「ちょっと興味が湧いたから聞きに来ただけ。そんなにじゃなくていいわ」
「...いいでしょう」
目を覚ますと、隣には金髪の女性が眠っていた。
思わず自分の身体を確認するが、特に変化はない。服装は寝た時と同じで、脱がされた(あるいは脱いだ)形跡もない。昨晩の記憶も鮮明に残っていて、そこには性交の映像は無かった。
ただ一緒に寝ていただけということだ。何故そうなったのかは解らないけれど。
起こそうか迷って、結局そのままにして蒲団から出た。どうせいつかは起きるだろうし。白菜の漬物とご飯だけ食べて仕事に出る。
「いってきます」
「...いってらっしゃい」
そう聞こえた気がしたが、気のせいということにした。
「いや、今日は止めておくよ。疲れてもいるし」
「そうか。まぁ、仕方ないな」
何より部屋にはまだあの正体不明の女性がいるのだ。それとももう帰っていったのだろうか。どちらにせよ今の僕には確認出来ないのだ。
「それじゃあ明日」
「うん」
部屋まで戻るとき、女性について考えていた。此処では誰にも話していないはずの過去を知っているし、何なら僕ですら知らない僕のことを知っているかもしれない。纏っている雰囲気は胡散臭いし、怪しい。
「......」
部屋に帰る時には居なくなっていることを願った。
「お帰りなさい」
まだ居た。出迎えられるのは久しぶりのことだった。
「...まだ何か?」
「そんなに邪見にしないで頂戴。もう帰るわよ」
すっ、と僕の横に立った女性が耳打ちしてきた。
「...貴方、どうして自分が帰れなかったのか解る?」
「なっ...」
貴女が何かしたのか、と問い詰める前に女性は消えてしまった。
「......」
僕を外に帰すことが出来ないといったのは博麗の巫女だった。ということは、その筋の関係者なのだろう。
つまりは、僕は帰る手段を(恐らくはほぼ完全に)失ったということだ。
「まぁ、いいか」
あえて口に出した。そんなに外に帰りたかった訳でもない。名残惜しくはあるし、やり残したこともあったけれど。
そんなのは些末な問題だ。それより、慧音や文が僕の中では重要になってきていた。
そうだ、妹紅にもお世話になっている。お礼をしなければ。それに...
「ん?」
涙が頬を伝っていた。いつの間にか泣いていたらしい。知ったことではない。僕の安い涙など、どうだっていいことだ。
何回も言うけど、やっぱC-CLAYS はいいですね。