※この作品はR-18です。

東方生留性   作:転箸 笑

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4話

「何故だ?」

「なんでだろう。自分にもわからない」

別に生きるのが苦しくもないし、自分一人では足りない重荷を背負ってることもない。唯ひたすらに、特に理由も無く死にたい。

「死にたいとは言ったけど、今首に包丁を突き立てるのは嫌だ」

「む?死にたいのにか?」

「まだ慧音と生きていたいからね」

「...そうか」

僕の言葉に、彼女はすこし感じるところがあったようだ。まぁ考えてることは解るが。

例えば寿命。僕が自分から幕を引こうが人間の限界まで生きようが、彼女は間違いなく僕の死を看取ることになるのだ。その時まで別れていなければ。

もしかしたら、それも僕が死にたい理由の一つかもしれない。

でも僕は確かに生きていたいのだ。

「まぁ、いいさ。なんとかなる」

「そうだな。なんとかなる」

最近は子供達から冷やかされることもある。慧音と付き合い始めたからだ。

女の子はやはり色恋沙汰が好きなのか。

男の子はと言うと、特に何も変わらない。強いて言えば、時々嫉妬のような感情を感じるようになった。

「僕の方が魅力的だったってことさ」

勿論男の子達に言ったのではなく、心の中で言い訳しただけだ。

 

 

今日の午前だけの仕事が終わり、家路を歩いていると知らない人に呼び止められた。

「取材?」

「ええ。ご協力願います」

「構わないけど、僕なんかに?」

「貴方が射止めた人は、此処において重要な御方ですから」

「成る程」

とりあえず答えることにした。家の中に招く。

「...射命丸さん?」

「文でいいですよ。何でしょう?」

「近くないですか?」

「いえ、近いというのは...」

彼女は体を更に寄せ、ふくよかな乳房を僕の胸に押しつける。小さい手のひらが、僕の顔を捕らえた。

見つめあう形で固定される。解こうとしたのだが、想像以上の力で振りほどけない。

「......」

彼女は顔を近づける。

美しい、柔らかな唇が僕の唇に重ねられる。穏やかなキスであり、深い慈しみと愛情を感じるものだった。

そしてそれは、僕という人間を完全に虜にするまで続けられる。

「......」

腕はだらん、と垂れ下がり、体からは力が抜けていく。

思わず床に腰を下ろしてしまうが、彼女はのし掛かった姿勢のままキスを続ける。

口の端から唾液が零れ、床を小さく濡らした。

 

 

「...ぷあっ」

ようやく彼女が唇を離したとき、僕はもはや纏まった思考が出来るような状態では無かった。

頭がぼんやりとしか働かない。それは小難しい本を読み終わり、その中身を整理しようとする時の思考に似ていた。

「...私の想い、伝わりました?」

「...うん」

かろうじてそれだけ答えた。

「...受け取ってくれますか?」

「......」 

惚けたふりしか出来ない。自分がどう答えればいいのか解らないから。

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