定時だ、の言葉通り、時計を見ると(この世界にも時計はあるのか)17時を指している。
呆気に取られている俺を置いて、トリシラーベはいそいそとパックン草を片付け始めた。
もう少しで精液にありつけたであろうパックン草はやや不満げに口をカチカチと鳴らしている。
クローゼットにしまわれた後もしばらく中からカチカチと音が鳴っていた。
トリシラーベは俺の方へ近づくと、まずは俺の両手首に何やら金属製の腕輪を付けた。
俺が真意を測りかねていると、おもむろに俺を拘束してたロープを外し始める。
「な、え?」
俺が戸惑っていると、
「フン、これはワシが開発した特別な魔術腕輪でな。 試しにワシを殴ってみろ」
などと言い出した。
俺は訝しがりながらも、ひとまずこいつをブッ飛ばそうと振りかぶると…
ズンッ!!
「重っ!?」
突如、着けていた腕輪が凄まじい重さを発揮し、俺は手首から上半身ごと床に突っ伏した。
「ふふん、どうじゃ、ワシに反抗しようとすると重くなる、名付けて"結婚腕輪"じゃ。 重そうじゃろ」
「確かに、重そう、だが…」
俺はグギギ、と力を込めてどうにか腕を持ち上げる…が、所詮女の力だ。それだけで汗だくになり、腕がプルプルと震え限界を迎えた。
「くっ…」
「ま、ワシに反抗しようとしなければ日常生活に支障はあるまい」
「ん…? 日常生活って…」
「とりあえず、貴様はあまりにも特殊な身体を持っておる。もっと調査しないとイケないからな。続きは明日じゃ」
こともなげに言うトリシラーベ。
俺は少し混乱しながら質問する。
「調査、って… まだアンなことすんのか?」
「そりゃ、もっとアレなことやコレなことをする。勤務時間内で。」
「なんだそりゃ…」
俺は脱力する。そして、少し先ほどの体中を攻められた際の快感を思い出して、思わずブルッと身震いする。
なんだろう、乳首と陰茎(少し縮んできた)がピリピリと痺れを残している。
「しかし…何で腕輪なんだ? 別に自由を奪うならロープで縛ったままでもいいんじゃ…」
俺は素直に疑問を口にした。
俺の方からそんな提案があるとは思わなかったのか、取り調べ官も怪訝な顔をした。
「しかし、ロープしてると食事やらトイレやらワシが世話することになるから面倒だし」
そんな理由か、と脱力する。
「それに、ロープって擦れると痛そうだしな。 ほら、ワシ血とかダメだから」
そういえばそんなことを言っていた。
って、そんな奴が取り調べ官すんなよ!
心の中でツッコミを入れながら、とりあえずこれを機に質問する。
「それで…日常生活って…俺はしばらくこの城で生活しろってことかよ… 囚われの身で」
「そういうことじゃ。 ま、とりあえずこのワシの部屋に家具は一通り揃ってるからな。 調査を受ける間はここで暮らせ」
「えっ!? ここで!?」
ってことは…
「お前と!?」
「しょうがないじゃろ。今城は不景気で、捕虜を他に入れとく部屋も確保できないんじゃから」
何だか世知辛い話になってきた。
俺はなおも口を開こうとするが、
「とにかく、今日は汗やら汁やらでベタベタだろうから、適当に水を浴びて休みなさい。ワシはもう疲れたからメシ食って寝るぞい」
取り調べ官はそう言って奥の部屋へ入っていった。
取り残された俺は、はぁと溜息をついて視線を落とす。
半勃起した陰茎が目に入った。
さっき、イキそうになって…すごく気持ちよくて…
俺はあのときの、もう少しで辿りつけた射精感を思い出して、思わずゴクリと唾を飲み込んだ。
妄想を反映してか、陰茎がビクビクンとまた元気を取り戻そうとする。
俺は頭を振って妄想を振り払い、部屋の浴室(冷たい水シャワーらしきものが出るだけのようだ)へ向かった。
『続きは明日じゃ』
頭の中で取り調べ官の言葉がリフレインする。
明日……
明日、また、俺は… あんな…
思わず指が唇に触れる。その目に浮かぶのは戸惑いの色…それとも期待……。
つづく