俺の貧弱な拳は一切通用しなかった。
「ククク……ハーッハッハッハ!!所詮女だ! おいお前ら!」
「ああ!」
「おらよ!」
残りの二人が俺の服を掴むと、無理やり脱がしにかかる。
ビリビリッ!
ブチブチッ!
布が破ける音とともに、俺の体を纏った女物の布服が剥ぎ取られてゆく。
「ああっ…!! い、いやぁ!! やめてっ…!」
俺は心の底から恐怖し、思わず少女的な悲鳴を上げてしまう。
本能なのだろうか、根源的な『おかされる』ことへの恐怖心が、俺の全身をこわばらせた。
「おらっ…!」
ビリッ!
大きな裂け目が出来たかと思うと、一気に胸の辺りまで破けてしまった。
下着なんて付けちゃいない形の良い乳房が露わになる。
「い、いやぁっ!!」
俺は思わず胸を隠そうとしたが、両腕をガッチリと掴まれてはそれも構わない。
「おほぉ!意外とデケェじゃねぇか!」
俺は顔が熱くなるのを感じた。
これが『辱め』って奴か。
頭が怒りに満ちるのとは違う、もっと身悶えするような、うねるような羞恥心。
「こ、このぉ!!やめろぉぉ!!!」
涙声だ、と気づいてから、俺は自分が涙がこぼしていることに気付いた。
痛い事もされていないのに、これまでの人生で一番というぐらい、涙が溢れている。
「お頭ぁ!俺もうたまんねぇよ!」
「そうだな!ツラもカラダも…ここらじゃ珍しい上玉だ!」
「たっぷり可愛がってやる…!」
もうおしまいだ…。ぼんやりと痺れた頭に響くセリフを聴きながら、俺は絶望感でいっぱいになっていた。
どうしてだ神様。どうして……こんな……
ドクン
「え……?」
なんだ。急に、体の奥底が……熱くなってきた……。
こ、これが女の体の神秘って奴か? お、俺、もしかして女に転生するだけじゃ飽き足らず、ドMに……?
ドクン
いや、これは……何やらエネルギーの塊のような熱が…体の奥底から…
湧き上がってくる!
ドクン、ドクン、ドクン!!
「離せって……言ってるでしょうがあああぁああ!!!」
俺は思わず掴まれていた腕を滅茶苦茶に振り回した。
ブチィッ!
「え?」
何かが千切れて、俺の目の前にブラブラと垂れ下がった。
「あぇ?」
山賊が、間抜けな声を出す。
そのブラ下がっているのが、千切れた自分自身の腕である、ということに気付き、
「あギャあああああああああああああ!!!?!」
絶叫。
……
…
その後の展開は、言うまでも無かった。
突如怪力に目覚めた俺は、山賊どもを肉塊と血飛沫に変えて、復讐を遂げた。
我に返った時は、辺りは臓物の飛び散る処刑場と化していた。
「はぁ……はぁ……一体……」
息も絶え絶えになりながら、どうにか立っている。
女に生まれ変わったことも謎だが、突然の怪力も謎だ。
一体どうして……
「あ」
あの時俺はこう言った。
───『生まれ変わったら…美少女・異性からエロい意味でモテモテで強くなりたい!』
ええと、
「生まれ変わったら、美少女、異性からエロい意味でモテモテで、強くなりたい?」
つまり
「美少女に生まれ変わって……エロい意味でモテモテになるほど、強くなる……?」
なんということだ。
俺は、これからよりエロく、男たちを誘惑しなければならない。
そうでないと、強くなれない……。
俺は膝から崩れ落ちた。
つづく