───「はっ……!?」
目を覚ましたのは早朝、まだ薄暗くひんやりとした空気の中だった。
体を起こそうとしたが節々が筋肉痛に悲鳴を上げた。
「うっ……」
その痛みで少し頭が覚めてくる。
昨日の出来事がだんだんと思い起こされてくる。
責められ……嬲られ……喘いで……叫んで……
そこまで思い出して、カァァと顔が熱くなった。
なんだ、まるで、女みたいな痴態を繰り広げてしまったじゃないか。
肛門はヒリヒリと痛み、陰茎もジンジンとした感触が残っていた。
その感覚が、昨日の出来事は夢ではなかったのだと実感させる。
見れば、体液に塗れたであろう体は綺麗に拭かれ、来ている服も清潔な寝間着に着替えさせられている。
どうやら、隣……人二人ぶんぐらい空けてイビキをかいて寝ている…の男が着替えさせてくれたようだ。
「……クソジジイのくせに」
ぽつり、と呟いた。
そこで、思い出す。
昨日俺は体内…というか腸内に、こいつの精子を射精されたのだ。
ということは……スーパーなエネルギーが体に溜まっているのでは……?
俺は下腹部を意識して力を入れてみたが…エネルギーのある感じはしなかった。
どうやら寝ている間にきれいさっぱり無くなってしまったようだ。
「クソッ……気絶さえしなければ……」
相手が射精したとき、自身も絶頂に達して気を失ってしまった。
あれさえなければ、エネルギーを使って脱出できたのに……!
そう、絶頂に達したのだ。あの時。
前から後ろから責められて……射精と、肛門セックスイキを同時に体感してしまった……
あの瞬間のことを思い出すと、今でもブルッと体が打ち震える。
(あれは……気持ち良かったな……)
無意識にそんな思考が思い浮かんできて、慌ててかぶりを振って打ち払う。
今は、そんな不埒なことを考えている場合ではないのだ!
ただ、脱出することだけを考えねば!
今は、この部屋の主の男は寝ている。
このまま乗じて部屋から抜け出して、脱出することは可能かもしれない。
俺はじっと隣の男の顔を見つめた。
ヒヒ親父はむにゃむにゃと口を動かして寝息を立てている。
どんな夢を見ているのだろう。
「ヒヒヒ……もっと責めてやるぞ……ヒヒヒ……むにゃむにゃ」
寝言だ。
しかも凄く不埒な内容だ。
俺はそっとベッドから下り、抜き足差し足でドアの方へ向かった。
「ヒヒヒ…女捕虜…アナルセックス…調教……むにゃむにゃ」
不穏な寝言を聞き流しながら、そっと、ドアの手すりに手を掛ける。
その時、
「女捕虜……愛してるぞ……zzzZZZ」
ピタ、と手すりに掛けた手が止まる。
「zzzZZZZ」
振り向けばグーグーと寝息を立てて眠っている。
俺はため息をつくと、いったん手すりから手を離した。
────
──
─
「んん……」
取り調べ官が目を覚ます。
目覚ましとしては聞きなれない音が聴こえてくる。
コポ…コポ…
「ん?」
目をこすって音の方を見ると、女捕虜がキッチンに立っていた。
ポットを火にかけている。
鼻をくすぐる香りは、どうやらコーヒーを沸かしているようだ。
「あら、おはよう」
こちらをチラリと見ると、またポットに目を落とす女捕虜。
「お、おはよう……」
朝、捕われの捕虜がコーヒーを煎れているという現実に少し戸惑う取り調べ官。
沈黙の中、コーヒーの沸き立つ音だけが響いた。
つづく