朝、コーヒーを煎れた後は何となく妙な空気のまま二人とも支度を終え、今日もまたアレコレ雑事があるのでと外行きに着替える。
「あ、蝶ネクタイ曲がってるよ」
「おお、そうか…」
女捕虜と、取り調べ官。
どこかぎこちなさのある不思議なやりとりをしながら支度を終える。
「あ、そうだ」
男が気づいたように声を出す。
「今日領主様のとこに挨拶行かねばならんのだった」
「挨拶?」
「雇われ人だからな。上司には挨拶せねばならん」
「ふうん、異世界でもそんなもんなのか…」
「ついでだからお前も来なさい」
「気が進まねぇなぁ……」
ぶつくさ言いながら、女捕虜は取り調べ官の後を追う。
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俺は取り調べ官の後を付いて廊下を歩いていた。
ふと、はめた腕輪に目を落とす。
つけられていた最初のうちは気になっていたが、言う程日常生活に支障はないため最近違和感がなくなってきている。
とはいえ、俺が脱出しようとするとこの男の命令通りに俺の体を拘束するのだろう。
厄介な代物だけに、いつかは攻略せねばならない…ううむ。
そんなことを考えているうちに領主の部屋の前へ着く。
取り調べ官がオホンと咳ばらいをしてノックをした。
「入りなさい」
聞き覚えのあるオッサンの声がする。
二人で中に入ると、相変わらずエラそうなおっさんが窓際に立っている。
「ふむ、調子はどうだトリシラーベ」
「はっ。領主様のおかげで仕事に励むことができております」
お辞儀する取り調べ官。
領主が俺の方へ視線を向ける。
「で、女捕虜の方はどうであるか」
「ええ、イロイロとアレコレしまして」
「ほほう……で、どんな感じであるか」
「ええと…まあ、その…スゴくてですね」
何照れてんだこのおっさん。
「うひょー、まさかその女捕虜に惚れたのではあるまいな」
「いやぁ、その…へへへ」
「もう付き合っちゃえばいいじゃん」
「いやしかし彼女は捕虜、私は取り調べ官という立場でして……」
「いや吾輩そういうの好きよ。身分を越える感じ好きよ」
こいつら俺を差し置いて勝手なことばかり話している。
おっさん二人のコイバナなぞ聞くに堪えない。
俺は大きく溜息をついてみせた。
「で、女捕虜よ。 お前はどうなのであるか」
領主が急にこちらへ話を振ってくる。
「ど、どうって……」
急に昨晩のことが脳裏にフラッシュバックする。
責められ、突かれ、喘ぎ、射精して、射精され……。
急に顔に血が上って赤らんでしまった。
「お?お? これ両想いである? 両想いである?」
領主が玩具を見つけた男子小学生のようにはしゃいでいる。
ウザい!!おっさんがウザい!!
取り調べ官の男もなんだか顔を赤くしてポリポリと頭をかいているし。
「ほら、用が済んだら行く!!」
俺は取り調べ官をひきずるようにして部屋を出ようとした。
と、その時
ドカァァァ───ンッッ!!!
凄まじい破砕音と、衝撃。
ズズン、と部屋が振動で揺れる。
「な、何事であるか!?」
うろたえる領主。
ドンドンドン!と部屋のドアが叩かれ、返事も待たずに兵士が飛び込んできた。
「領主様ぁ! オークの軍団が攻めて参りました!!」
「何ィ!?」
絶叫する領主。
俺と取り調べ官は顔を見合わせた。
つづく