「では、これより女捕虜殿の褒章式を行う」
鳴り響くファンファーレ。そして拍手。
俺はなぜか領主の前に立ち、首に褒章ペンダントを掛けられていた。
「この度の活躍、まことに見事であった。これからも活躍を期待しているぞ」
「?はい。 ?ありがとうございます?」
俺は心の中でしきりに首を傾げながらお褒めの言葉を賜っていた。
俺がジャイアントの頭部を弾け飛ばした後、勢いづいた兵士たちは一挙にオークたちを殲滅せしめた。
そして、戦いに勝利した功労者として俺は褒章を受けるに至った、というワケだ。
「それでは、勝利の祝宴を行う! 予算は本国からたっぷり貰ったからな! 盛大に祝うが良い!」
領主の声に「ウオオオー!!」と兵士たちの歓声が起こる。
俺は首をめぐらせてある人物を探した。
その男は壁に寄りかかりながら、やや疲弊した顔をしている。戦いの疲れが出ているのだろう。
俺は近づいて声を掛けてみる。
「よっ」
肩を叩くと、取り調べ官は少し驚いたような顔をした。
「なんだ、勝利の女神様じゃないか」
「そんな大層なもんじゃないよ……」
「いや、本当に、助かった。 命の恩人だ」
男は深々と頭を下げた。
俺は慌てて両手をイヤイヤと振る。
「そ、そんな辞めてくれよ!今更……」
「本当に今更だ。申し明けない。これまで数々の無礼。陰部をまさぐり、尻穴を凌辱し…」
「その話はやめろ!!本当にやめろ!!」
俺は慌てて口を塞いだ。
とにかく話題を変えなくては。
「ええと、そうだ。 ほら、『戦利品』があったでしょ。 あれどうすんの」
やや不自然だが無理にでも話題を変えるしかない。
「ああ、あの…捕虜のことか。 何だ。興味があるなら今から見に行くか?」
そこまで興味は無かったが、また俺の尻穴凌辱のくだりに話が戻るのはマズい。
「う、うん! 興味ある!見たい!」
「そうか。じゃあこっちだ。ついて来い」
そう言って、取り調べ官は広間を出て、薄暗い奥の部屋へ進んでいく。
「こっちにアレが……」
「そうだ」
そう言ってカギを開けて入ったのは、取り調べ官が管轄する、牢屋だ。
普段あまり使われていない牢屋のうちの一部屋の前に二人は来た。
「ここだ」
「あ……」
俺は息をのんだ。
牢屋の中に、一人の人間……いや……オークがいた。
とはいえ、オークの中でも希少種……。女オークだ。
戦いの後方部隊の中にただ一人、女オークがいた。
生け捕りできたため、こうして牢屋の中に入れているワケだ。
処刑するのか、捕虜として生かすのか……まだ、決まっていない。
その前に、取り調べ官が取り調べする訳だが……。
「……」
女オークが俺たちを見る。
その目は憎しみに燃えていた。
無理もない。仲間を大勢……というか、自分以外は全て殺されたのだ。
「……」
きれいな顔だ、と俺は思った。
肌は緑色で、全体的に筋肉質な印象を受ける。そこは人間離れしているが。
目鼻立ちはくっきりとしていて、どこかエキゾチックな雰囲気を感じる。
食いしばった歯はキバのような八重歯が覗いている。
俺は初めて見るオークに、生き物としての逞しさと野性を感じた。
「ほら、もういいだろ、行くぞ」
取り調べ官に促され、部屋を後にする。
背後に、女オークの燃えるような視線を感じながら。
つづく