人間に対し敵対心MAXの女オーク。
それからどうにかなだめて衣服(Tシャツ短パンのような簡素なもの)に着替えさせて、椅子に座らせる。
しかし不服そうに腕組み+足を組み、仇でも見るような目でこちらを睥睨している。いやまあ仇なのだが。
「人間! どうしてこのような場所に連れてきた! 私を哀れに思ったか!」
相変わらず怒鳴ってくる。
これじゃどちらが立場が上なのか分からない。
「じゃ、あとは任せた。ワシは用事があるのでな」
そそくさと部屋から出ていこうとする取り調べ官。
「え!? 置いてくのか!? 私ひとりで応対しろと!?」
「ほら、ガールズトークでもして仲良うなってくれ」
「できるかッ!」
中身男とオークだぞ!ガールがどこにもない!
「それじゃ、よろしく!」
バタンと音を鳴らしてドアが閉まる。
急な出来事に俺はしばらく固まってしまった。
ゆっくり振り返ると、女オークは不遜な態度を変えずに睨みつけている。
「おいお前!」
お前て。
「私をどうするつもりだ! 拷問か? 受けて立つぞ!」
仲良く出来る気がしない。
そもそも異種族で、敵同士だ。仲良くなろうにも……。
思案してみるも、何も思い浮かばない。
お腹も空いたし……。
「あっ」
思いついた。
「あの……一緒にゴハン、作りませんか」
「む?」
「ほら、もうお昼ですし。お腹も空いたでしょ」
「腹は減った!しかし、拷問なら受けて立」
「拷問じゃない拷問じゃない! 一緒に料理しましょうってことです!」
「料理ぃ?」
ジロリとこちらを見る女オーク。
「あ、ほら、分からないところは教えますから……」
捕虜生活の中で、取り調べ官に料理を作っているうちに色々と覚えてしまったのだ。
簡単なものならオークに教えながらでも作れるだろう。
「馬鹿にするな!料理なら私だってできるぞ!オークの中では得意な方だったからな!」
「は、はあ……どういう料理を……?」
「森イノシシの丸焼きだ!!」
「え……?」
「イノシシを輪切りにして焚火で焼くんだ! 旨いぞ!」
そう言ってカッカッカと大仰に笑う女オーク。
いや、それ料理っていうのか。
「ええと……この部屋では焚火も出来ませんし、魔法コンロで強火が精いっぱいなので……人間の料理をしましょうね」
「フン! 人間の料理というのは何だか細々しいことをする女々しいままごとだろう!噂には聞いているぞ!」
女々しいままごとて。
「オークの性に合わん!!」
「まあそう言わず……」
言うことを聞かない小学生を相手している気分だ。
なだめすかしながらどうにかキッチンへ誘導し、とりあえず野菜を洗って切る係に任命した。
「まったく……誇り高いオークの戦士である私がなぜこのような真似を……」
ブツブツと文句を言いながらもニンジンやらジャガイモやらを洗ってくれている。割と手先は器用なようだ。
さて、これからどうしたものか。
俺は鍋に鳥の骨を入れて火にかけながら、気づかれないように嘆息した。
つづく