※この作品はR-18です。

異世界転性!TS!   作:とりえあえず郎

41 / 85
第四十一話

 

────

──

─

 

 ……ゴシゴシ。ゴシゴシ。

 

「うん、その調子その調子」

 

 隣に立つ少女が、私の野菜を洗う手つきを見てそう言う。

 

「ちゃんと泥落としてね」

 

「分かってるッ!」

 

 私は声を大にして言い返した。

 なぜ私がこのようなことを……私は誇り高いオークの戦士だぞ!

 

「それ洗い終わったら皮むきね」

 

「……チッ」

 

 せめてもの抵抗で舌打ちで反抗する。

 本当なら大暴れしたいところだが、いかんせん私は魔力の込められた腕輪で行動を封じられている。

 とりあえずは従ったフリをして、隙を見て逃げ出すしかない……!

 

「……うん、いい味」

 

 少女が小皿にスープを取って味見している。

 鳥の骨を煮込んだスープか……なんだかいい匂い……って違う!私はここから脱出するのだ!惑わされるな!

 

「うん?」

 

 少女がこちらを見てほほ笑む。

 正直、人間のメスを見るのは初めてだった。

 村に討伐に来る無謀な輩はオスばかりであったし……。

 そもそもオークに女が生まれるのは50年に一人と言われている。

 故に、私は貴重な女オークとして君臨していたのだが……。

 

 ゴシゴシ

 

 今は野菜の皮むきだと……!?

 この屈辱……万倍にして返してくれようぞ……!

 

「ふー」

 

 少女が額の汗を拭っている。

 すぐ隣で作業する少女から、何だか嗅いだことのない、不思議な香りがしてくる。

 花のような、かぐわしい……

 何だか頭がクラクラしてくる香りだ。

 これが人間のメスの香りなのか?

 私は草のような獣のような……野性的な体臭だというのに……。

 ええい、なぜだか無性に腹が立ってきた!

 

「洗い終わったね。 それじゃ、皮むきお願いしていいかな?」

 

 そう言って少女は小さい包丁を渡してくる。

 私はよっぽどこの刃物を使って反抗しようかとも思ったが、そう思った瞬間に腕輪が魔力を発して、腕の力を奪う。

 くっ……この腕輪が取れた暁には大立ち回りを見せてくれる!

 

「フン!皮むきなあど朝飯前だ!」

 

 村で散々猪の皮を剥いできたのだ!

 こんな野菜の皮など……。

 

「痛った!?」

 

 不覚。

 皮をむこうとして自分の指を切ってしまった。

 緑の肌に赤い点がにじむ。

 

「わ、大変!」

 

「フン、こんなかすり傷……」

 

「貸して!」

 

 そう言って少女はためらいなく私の指を咥えた。

 

「な゛っ!? 何をしている!?」

 

「うごはないれ」

 

 少女が指を咥えてちゅうちゅうと音を立てている。

 止血のつもりなのだろうか。

 口腔内のぬらりとした感触と、舌のざらついた感触が指にまとわりつく。

 その初めての感触に、背筋にゾクゾクとした感覚が走る。

 

「チュパ……うん、血は止まったみたい。 バンソーコー貼ろうね」

 

 そう言って少女は部屋の救急箱を取りに行く。

 

 私は少しボーっとしながら自分の指を見ていた。

 なんだか胸がドキドキする。

 全てが初めての感覚だった。

 一体何が起きているんだ……!?

 

 つづく

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。