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俺は朝から既に満身創痍だった。
こう連続で発情したサキュバス達から迫られ、絞られては身が持たない。
いや、本来サキュバスとはそういう妖魔だったとは思うが。
「こう、流石にキツいです」
俺はビッチーネに泣きついていた。
ビッチーネは「あらあら」といった表情で頬に手を当てている。
「すみません、私たちも姫様の登場にテンションが上がってしまって、生徒たちも加減を知らないと言いますか……」
「うん、まあ、サキュバスとしては正しいのかもしれませんけど……」
「う~ん、そうですねぇ」
と、ビッチーネは何かを思いついたようにポンと手を叩いた。
「あ、そうだ。 一旦里帰りするというのはどうでしょう」
「里帰り?」
「はい。 一度、元いた人間の里に戻っていただいて……」
「えっ!? 城に帰れるの!? ってか帰っていいの!?」
「はい♪ このまま姫様が枯れ果てて死んでしまっては元も子も無いので、一旦帰省して、リフレッシュしてから、まためくるめく精力満点のセックスライフを~♪」
うっとりとした表情で言うビッチーネ。
「ああ……サキュバスに精子を供給し続けるためのリフレッシュ帰省なのね」
「そうですよぉ~♪ だって姫様はぁ、私たちをマンゾクさせるってケ・イ・ヤ・クをしてるんですからね?」
ビッチーネの背後に一瞬黒い炎のようなものが見えた気がした。
俺は激しく頷いた。
「と、とにかく、一旦お城に帰ってみるよ。 どうなってるか気になるし」
「絶対、戻ってきてくださいよ? ゼッタイですからね?」
ビッチーネが顔を近づけて念を押す。
その目はまるで母を見送る少女のように純粋な眼差しだった。
俺は首肯する。
「うん、帰ってくるよ。 ヤクソクだもんね」
「私、待ってます。姫様がまたサキュバスの里に帰ってくるのを。 そして私たち全員にまた種付け
「う、うん……」
と、ここで俺は思い出した。
「あれ、でも私、確か飛んでるサキュバスに連れてこられたんだよね。 帰れるかな?」
すると、ビッチーネが呪文を詠唱しながら空中に魔法陣を描き始めた。
完成すると、それが光を放ち……
「わっ!?」
俺の目の前に、身長を越えるぐらいの光の渦モヤが現れた。
「これは……?」
「これは、"どこでもドヤァ"の魔法です」
「どこでもドヤァ!?」
「どんな場所でも顔を出してドヤァと出来るのです」
「そ、そう……便利だね」
何にせよ、この魔法を使えば城まで一瞬で帰れるということらしい。
これは助かる。
「ありがとう……ビッチーネ…… 私、ずいぶんお世話になっちゃって……」
「いいんですよぉ。 これもまたご縁ですから♪」
ニッコリと微笑むビッチーネ。
「それじゃ……行ってきます!」
俺はゲートをくぐった。
この時は「サキュバスの里に帰る時どうしたらいいんだろう」とは露ほども考えていなかった。
つづく