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右から
百合川ハナ: オールドタイプ
四谷みこ: ニュータイプ(強)
二暮堂ユリア:ニュータイプ(弱)
占いババ: ニュータイプ(弱)
いずなの続編作ってたけど
いずながそんな弱いわけないだろっていう
セルフ突っ込みから思い出した見える子ちゃん。
見えだしたら危険でいっぱいだった1
「雨やば・・」
彼女は結構濡れたなぁと、突然の雨にうたれ、学生服のスカートの裾を絞りながら、他にひとけのない小屋のような寂れたバス停でバスを待つ。
彼女は黒く長い髪からポタポタ水滴を垂らしながら、ドリンクの広告がついた木のベンチに座った。冬服のブレザーを着込んではいたが、やはり雨に当たってしまえば体も冷える。
彼女は足をそろえ、身体を丸めるようにしながらため息を付いた。周囲の深い緑色の草葉からサーサーと強い水音が響いてくる。スカートから染み出た冷たい水気が足を伝い靴下に広がる。
スマホを取り出すと、彼女は簡易チャットの出来るアプリのライムを開き、家族と簡単なやり取りをチャットに専用の可愛いスタンプの絵を貼り行った。
まだ昼時であるが、雲が低く辺りは暗く重い。スマホからの小さな光が小屋のような待合場所からこぼれ出る。
いつも通り適当に画面が自動的に右スクロールしてジャンプをしながらコインを集めるゲームを、少し姿勢悪く背中を丸めて始めた。
しかし、いつもよりも具合が良く、奥のステージに高スコアで進んでいく。
ガゥロロンと力強く坂を上る重低音が近づいて来る。彼女はゲームに目を付けながら立ち上がりバス停の前へと近づいた。
幸い雨はあがっているようでさらに濡れることもない。彼女はピコピコとゲームを続けながら茶色い学生カバンを肩にかけ足を進める。
彼女が停車位置に近づくと先客がいたようで、くたびれた服を着た大きな背中に向かい足一つの隙間を開けて立ち止まる。
しかし、ゲームに集中し過ぎていたようで間違えたらしい。目の前を作業用のトラックが1台、黄色い光を放ちながら通過して行った。黒い排ガスがゴワゴワと広がり目を傷める。
ケホケホと咳込みながら、ずいぶんと大きな人だなと、ゲームにひと段落付けると彼女はその背中を眺める。
薄暗い住宅外の隙間、小さな森のような停留所に不気味なほど静けさが広がった。彼女は何か、冷たく嫌な物を皮膚にザワザワと走り回らせる。
何か危険な物がいると身体が警告を発する。瞳は小さく収縮を始め小さく体が振動する。止まった呼吸の中で、それはゆっくりと体を回し始めた。
ああ、と思い出した。まるでホラー映画のソレだと。見てはいけないと直感した。しかし、身体は凍り付き動かない。
「ミエル?」
一見浮浪者のような外見をした、その大柄の男のようなソレは、しかし仮装とは思えない。目が見えないのだ。目は合っている。確実に。
しかし、その窪みの奥には遥か闇が広がりその奥底が見えない。あるはずの目がないのだ。
「ミエル? ミエル?」
見える。超見える。見えてはいけない何かが。見える、見えるけど何?ドッキリなのか、逃げたい、動かない、ヤバい、見える。
「ミエル? ミエル?」
―― 見える。見える。見える。見えるよ!!
「ミエル?」
彼女を覗き込みながら出すその声は、何処から出ているのか。開き切った口から腹話術でもしているのか、空洞の喉奥から漏れ出ている。
数分とも、数秒とも分からない間。呼吸が止まり、彼女の思考は高速で過去を巡る。
「あっ、ライム来てる」
彼女は冷たいアメーバの中を泳いでいるような、ぎこちない抵抗を体中に感じながら、僅かに、震える手を動かす。
アプリを操作して、何事もなかったかのように視線をスマートに外す。そして、家族とライムでチャットを始めた。
「ミエテナイ、ミエテナイ」
彼女は、暗く凍り付いた表情でソレがブツブツと何かを言い続け、ノソノソと離れていく様を気配で見送った。
虚空へと姿を消したソレを確認すると、冷気を充満した冷たい石畳の歩道に、彼女は足を砕くように腰を強く落とした。
雨の後僅かに湿る地面に、彼女の太ももを伝った、ほのかに暖かい液体がジワジワ広がっていく。半開きの正座で太ももに僅かにかかるスカートから薄っすらと蒸気が昇る。
彼女の瞳は溢れる涙で滲み、チアノーゼを起こしたかのような紫に変わり始めた唇が、半開きになったままチリチリ震えている。
「見えちゃった・・」
暗く、表情の見えない顔で、彼女は小さく呟いた。幽霊のように青い血管を浮かせて、細く震える白い太ももに力を入れる。
彼女は力の限り雨で泥の付いたバス停に手を伸ばし、よろと立ち上がる。白い下着は黄色い染みを大きく広げ、彼女から水分を蓄えたスカートが両太ももにべったり張り付く。
「乗らないんですか?」
気付けば彼女の目の前にバスが止まっていた。運転手がぶっきらぼうに声をかけてくる。
「ごめんなさい、行ってください」
彼女は野外で膀胱を空にした恥ずかしさから、逃げるようにバス停から離れていく。バスは力強く黒い煙を吐き、離れていった。
モヤのかかったように暗い世界の中で、離れて行く赤いテールランプが見えなくなると、彼女はバスの進行方向に向かいトボトボと歩き始める。
年甲斐もなくおもらしをしたことも理由であるが、こういったとき、よくある映画ではロクなバスが来ないといった、気分的な問題もあった。
石畳を進む足取りが重い。
バスなら家の近くまで10分もかからない距離だったが、この足取りでは1時間以上はかかるだろう。彼女はため息を付きながら、乾き始めた長い黒髪を肌触りの良い乾いた風に揺らし、歩く。
青さの消えた、深く重い空を眺めながら先ほどのあの顔を思い出す。再びポツポツと振り始めた雨がホホを伝い、冷静さを取り戻させる。
茶色いローファーに生暖かい水が入り込み、一歩進む事にカカトを超える程度の、黒く短い学女靴下からグジョグジョ音が出る。酷く惨めな気持ちで彼女は草やぶに溜まる水たまりに足を突っ込み、靴を脱いで足指を泳がせる。
少し水たまりで気が晴れると、彼女は口を大きくへの字に曲げ、今日を忘れたかのように振る舞い帰路を急いだ。
彼女は標準的な二階建ての白い一軒家の家へと無事にたどり着くと、グジグジと薄汚れた茶色い革靴を脱ぎ、靴を裏返し外で水を流した。塀の内側でスカートをめくり上げ、黄ばんだ下着を見せながらスカートを絞る。
時間が経ち匂いを増した液体が彼女の手に染み移り、自然と両耳が赤く変わる。その後、彼女は玄関から廊下に上がり、濡らした黒い靴下で一歩ごとスタンプのように、数本の足指の後を残しながら浴室へと向かう。
彼女は洗面台の前で学生カバンをドカと乱暴に下ろし、浴槽を軽くシャワーで流すとお湯はりスイッチを入れた。
雨で生乾きの臭うブレザーを脱ぎ、彼女は口元を引きつらせながらポケットから私物を抜くと、一部裏返すだけで強引に洗濯機に突っ込んだ。
スカートを脱ぎおろし、洗面台の鏡に下半分が黄色を重ねがけしたように染まる下着を映り込ませる。彼女は一瞬鏡に視線を流し、片足づつ上げて脚から下着を抜いた。
遅れてブラも外し、ゆっくり靴下も脱いだ。鏡の前でストリップし完全な素っ裸になった彼女は、僅かに乳首を立たせ、濡れた陰毛を垂れ下がらせる。
ブラとパンツは風呂場のプラスチック桶に入れ、彼女は冷たい水で股間から下を手でシャクシャク洗うと一時風呂場から出た。
今になって気付くが幸い家族はいないようだ。裸のまま彼女は階段をゆっくりと上り自室を目指す。探るようにゆっくりと木製の扉に手をかけ、呼吸を止めながら開ける。
いつも通りの静寂がそこにはあった。
なんてことのない日常がこれほどありがたいとは、そう思いながら彼女はベッドの上に倒れた。大きなぬいぐるみに手を伸ばし胸の前できつく抱え込む。
服を着るのも忘れて、彼女は凍り付いた感情を吐き出すかのように、声もなくハラハラと冷え切ったホホに涙を流し続けた。
やがてチチチッと、電子音が上がってくる。彼女は重い腰を上げ、部屋着と新しい下着をワキに抱え込んで、階段の壁に手を当てながらトントンと手を進めて、再び風呂場へと下りていく。
風呂場から零れでているオレンジ色のぼんやりとした明かりが見える。木造住宅のためか、この家は時折キシキシと擦れる音やパチパチとした音が家から聞こえてくることがある。
しかし、今日は心なしか少し多く感じられた。
まさかアレを連れて来てしまったのだろうか。何処までも暗い顔で、風呂場への通路をヨロヨロと裸で進む。室温は低いが、身震いするのはそれだけが理由ではないはずだ。
彼女はゆっくりと、上半身を傾け、風呂場の様子を入り口から伺う。時折水の落ちる小さな音が聞えてくるようだが、浴槽からは僅かにオレンジ色の光を受け、湯気の昇っている様が見える。
突然、背後から低い音が聞えて来た。
聞きなれたキュウキュウと鳴るその音は、冷蔵庫が氷でも作り始めたのか、内部でガスを動かす音だろう。こういったとき聞えてくる、聞きなれた機械音は何故か安心させられるものがある。
彼女の表情に僅かに色が戻ると、片足を風呂場に向けて歩き始めた。ザワと背筋を抜けるものを感じ、洗面台に移る大きな鏡を、そうっと横目で見送ったが、裸で歩く自分以外に映るものはなかった。
彼女はハハと、乾いた笑い声を出し、やっぱり疲れているんだなぁと、シャワーで軽く身体を洗い、暖かい湯船に身体を沈める。
「こわかた」
体育すわりのように膝を抱え、顔の下半分を湯船に沈み込ませブクブクと息を吐く。彼女の黒い髪がブワブワと湯船の中、広がる。口をムッと閉じ、あふれ出る涙を堪える。湯船の中でも寒気は感じるようで時折身震いをする。
オヤジのような大声でくしゃみをすると、彼女は湯船から立ち上がった。幸いシャワー前にある、気になる正面鏡は、いつもであればうっとおしく思えるほど曇っていて世界を映し出すことはない。
彼女は体を軽く流し浴室を出る。
洗面所にかけてあったバスタオルで、身体を拭き極力見ないように大きな鏡の前を、背中を丸めて通過する。二度目のクシャミをしたとき、彼女は一瞬足を止めた。への字に口をきつく閉じると、冷酷な表情で歩き始める。
「はは、なんだミコ」
メガネをかけた、優し気な男。彼女の父親が微笑みながら、ねぎらうように声をかける。
「風邪でも引いたのか?」
しかし、ついにおかしくなったのか、彼女は表情を崩さないまま、裸のままで父親の横をすり抜ける。早く服着ろよとの声を背中に受け、彼女は階段を上り自室へと入ると鍵をかけた。
スマートフォンを開き、いくつかの調べ物を行うと、部屋の四隅に小さく塩を盛り、服を着るとまたベッドの上で、大きな顔だけの多少見た目のグロテスクな人形を抱え縮こまる。
彼女は疲れているから無理にでも寝ようと、ぬいぐるみを枕元にどかせる。ザワザワと布団の中から違和感を感じ、極限まで瞳を収縮させるが、呼吸を整え内部を確認せずにゆっくりと足を差し込んでいく。
水風呂にでも入っているかのように下半身が冷え込んだ。
中に何かがいることを知らせるように、ブルブルと両足の毛穴が開き震える。
下にいる父を呼ぼうかとも思ったが、彼女は冷静に目を閉じる。今大事なことは、声に気付かない事だ。そんなものは、初めからいなかったかのように。
彼女は、多くの場合、呼ばれたから、振り向いたから、着いて行ったから、そのようなお決まりのシチュエーションが悲劇を加速させているとの考えに至った。
逆に言えば、気付きさえしなければ、向こうは更なるアプローチをしてこないのだ。何の力も持たない少女が自らを守るために、安直に導き出した結論ではあるが、あるいはそれが真理なのかもしれない。
しかし、彼女はまだ学生であり明日には数珠を買いに行こうと、顔の上に何か気配を感じつつも、無理やり目をつぶりながら考えた。
枕の上で顔を横に向け、部屋に置いた塩の盛られた皿を思い出しながら、効果がなかったなと涙の染みを広げていく。
下から懐かしい犬の遠吠えのような鳴き声が聞こえてくると、不思議と身体が軽くなる。家族が帰ってくるまで、彼女は深く眠りについた。
「オハヨ!!」
翌日家を出ると学友が勢いよく背中から抱き付いて来た。ほんの少しだけ、自分よりも胸が大きな彼女の胸の弾力が、いつもであれば気分を害する所であるが、今日は少し救われた気持ちになった。
彼女は大きなスポーツタイプの学生カバンを左肩にかけ通学路を歩く。昨日見えた何かは、やはり疲れていたからか、ひと眠りして家族が返ってきた後も再び見えることはなかった。
何回かトイレにもいったが、それらしいものがいた気配もない。元気いっぱいの学友と、少しどんよりとした面持ちでくだらない会話を始めた。
「あ、ハナ、ゴキブリ」
突然彼女は学友の手を強く引き、自分の方へと身体を引っ張った。彼女は暗く沈んだ表情で学友のいた方向を、凝固した瞳で眺める。
そして、ああ、まだ見えるんだと。ブワブワと人の顔が重なるようなモヤを見ながら、何事もなかったかのように目を放す。
「ごめん、見間違えたわ」
ブーブーと文句を言い始めた学友に、帰りにス茶葉ックスをおごるからと無理やり納得させる。
「数珠も買わないとなぁ・・」
ついでに最新のトレンドだからと、鈍キで数珠のアクセも買おうと約束した。少し見渡すと、それはそこら中にいる。昨日までは何ともなかったのに、今日からは世界が変わって見える。
彼女は何か不思議な能力でも出来たのかと両こぶしに力を入れて、前方にかたまっている人のような何かをどかすように、こっそりと念じるが、全く効果はないようだ。当たり前だが流行りの魔法少女のようにはいかないらしい。
通行人たちには、ソレらを貫通して歩いている。忘却されることに慣れすぎたのか、気付きさえしなければ向こうもこちらに干渉して来ることもないのだろう。
僅かに立ち止まっていた彼女は、学友の手に引かれ、はやる心音を隠しながらその塊に突入した。しかし、向こうの団体は気付かなかったようで事無きをえる。
「みこ、元気ないよ」
冷たいアスファルトの冷気が、スカートを上ってきて、足が冷え込む。あるいは先ほどの団体にエネルギーでも吸われたのだろうか、体中から寒気が来る。彼女は小さくクシャミをした。
とっさに人にかけた様でうっかり謝ろうとしたところ、ソレはソレだった。時間の経過とともに、よりはっきりとソレらが見えるようになっているらしい。
彼女は緊張から収縮した瞳で、冷たい地面に座り込んでいるくたびれた男のようなソレと目があった。オヤジ臭いと笑う学友に助け舟を出され、急反転するとじゃれあう素振りでごまかす。
なんとか学校にたどり着くも、ソレは本来沢山いたのだろう。そこかしこに、男だの女だの犬だの猫だのと、モヤモヤとしたものが徘徊している。ウロウロ、モヤモヤと。見える。しだいにはっきりと。
本来、見えてはいけない物が。
「ほんと、大丈夫?」
彼女はプルプルと震える手で、校舎の冷たく無機質な廊下を歩きながら友達の手を掴む。そして長い黒髪を左右に小さく振った。
「ごめ、トイレまで、いい?」
彼女は、腕の服をわずかに掴みながら内股でヨロヨロと、先導するショートヘアでファッション不良のような学友の後を付いていく。
冷たく、陰鬱なスペースに扉が並ぶ。
半開きになっている一つの扉に手をかけ、覚悟を決めるように息を小さく吐くと、彼女はゆっくりと開ける。そこには、いつも通りの白い和式便器があった。ため息のように長い息が自然とこぼれる。
彼女は膝を曲げ、太ももまで白い下着を下げるとスカートの裾を片手で抑えながら、便器の楕円形に延びるスペースへと腰を下ろす。
緊張が続いたためか、彼女から吐き出される液体は、温度が高くまたいつもよりも黄色味を帯びていた。チロチロと石に水を打ち立てる乾いた音を出し用を済ますと、彼女は紙へと手を伸ばし硬直する。
開いた足の間、膨らむスカートの下に、ザワザワとした何かの気配を感じる。トイレの個室におぼろげに滑り込んでくる無機質な蛍光灯の光がぼんやりと明滅する。彼女は股間を観察されているような嫌悪感で身震いしそうになる。
何をされているかスカートを捲り見るべきか。ソレではなく変質者では。彼女の小刻みに震える指が裾にかかる。時間がたち、膀胱に残る残尿が溢れ出ると、ももにアーチを広げていた白い下着を穿き戻し、そのまま立ち上がった。
下着に前から後ろまで薄くグレーの線が出き、柔らかく洗剤の香りがする彼女の下の毛に、今日もおしっこが潤いをもたらした。
「 ヒ ラ ケ ミ セ ロ 」
何か不快な声を拾い彼女は立ち上がるとすぐにドアに向かい、背中を向けながら片足の革靴で水洗バーを押した。立ち上がる前に一瞬、便器に視線が流れたが、ソレはいなかったようだ。
しかし、スライド式のトイレの鉄のカギに手をかけたところ、その気配は天井側からやってきた。
「フイテナイ」
低い男のうなり声のような、昨日遭ったアレのような声が、立ち上がると頭上から聞えてきた。
「フイテナイ」
先ほど下半身に感じていたこべりつくような気持ちの悪い視線が、今度は上から突き刺さる。
「フイテナイ」
それは見ていたように。
彼女は水の流れる音に意識を集中して、気を落ちつけながらドアを押した。パツパツと明滅を繰り返す蛍光灯が、入り口に影を映しだす。瞳を小さく細め、暗く死人のような表情で彼女は出口に向かい足を進める。
「あらってない」
隣から声がかかり、ビクッと足が止まる。
「ちゃんと、洗わないとダメだよ」
ポンと肩に乗せられた手が、張り詰めていたもの洗い落すかのように暖かい。
「ごめん、ちょっと考え事してて」
しかし、彼女は足を直角にターンするかのように体を回し、ぎこちなく洗面台に向かった。
「みこ、やっぱり元気ないなぁ」
ずいぶんと長いとこ待たせた様で、学友が心配して中まで様子を見に来たのだろう。
出口に向かい歩くと、背中に向け、まだなにかブツブツと言っているような声が聞こえてくる。彼女は友達に片腕を支えられながら重い足取りで、トイレから離れていった。
だが、それに興味を持たれたのかゴソゴソと冷たく嫌な気配が付いてくる。教室に入った後にも付いてこられているようだった。
ほどなくして、授業は始まり全員が席に着く。白めのラフなスーツを来た女教師が教卓の奥で、緑色の黒板に白いチョークを使い授業を始めた。
見える。
教室のドアをすり抜けて入ってきた、まるで戦争帰りのようにズタボロに穴の開く、青い作業着のような衣類を僅かに身にまとった、不良者のような男が。
彼女は黒板に顔をむけたまま視線の端でソレを確認した。
「 ヘンタイ イルヨー! 」
威嚇するようにソレは大声を出し教室内を観察した。あわよくば誰か一人にでも気付いてほしかったのか、あるいは仲間を探しているのか。
「コレ カナ」
顔を合わせないように、逃げ出したことがかえって裏目に出たようだ。その何かに興味を持たせてしまったらしい。
「ドォコォ」
ソレは、左右に動く女の教師の、黒めのタイトミニのスカートを追いかけるように地面を這って進んでいる。ペタペタと一段上がるスノコのような木造りの段を進み、しきりに股の間に頭を突っ込もうとする。
「 フカナイ オンナ 」
女教師は気づいているかのようにせわしなく左右に動き回り、このまま休み時間まで逃げ切れるかと思われたが、女教師は軽く脚を開き、長文を書き始めてしまった。
やがてソレは、ちがうとブツブツ言いながら、手前側から女生徒の机の下を突き抜け、一人づつスカートに頭を入れ股の中心を確認しているようだ。
彼女はその光景を眺め、胃の中の物がひっくり返るような酷い嘔吐感にさいなまされる。ソレは一つのことに執着し、延々と追いかけてくる。
息を殺す浅い呼吸で、彼女は授業が終わるまで待つか冷静に考える。今抜け出せばまたついて来るだろうと。それでも、適当な理由を付けて逃げ出すなら今だと、理解している。だが一人のほうが危険だろうか。
そいつは一人一人、気持ち悪く女の足の間に頭を突き抜けさせじっくり観察したあと近づいて来ている。
見つかれば良くない結果が訪れると容易に想像出来ているのに、しかし、無情にも軽い過呼吸を起こしたかのように、彼女は浅い息を吐き続け黒板を凝視している。
頭の中にただひたすら、ヤバいという自分の声が響き渡る。見える世界がヤバいで埋め尽くされる。なぜか動けなかった。いわゆる金縛り。それはよくわからないものからの、極度の恐怖により引き起こされた。
ゾクゾクと来る、冷え切るような恐ろしい嫌悪感が全身を支配したころ、ソレは自分の足の間に頭を突っ込んだ。股間の中心に強烈な視線を感じる。
「 シミテル シミテル 」
自ら卑猥にした下着に新しい水気がじっとりと増えていく。太ももに脂汗が浮き、彼女は実況されながら視姦される。彼女は逃げるように素早くももを閉じた。
「 ハミゲ イッポォン ニポォン サンポン 」
閉じた脚で下着が食い込み、彼女は男のオモチャにされる。気づかれればなお良しと思っているのか、低く楽しげな声が彼女のスカートの中から漏れ出ている。
「シャブレシャブレシャブレシャブレシャブレシャブレシャブレシャブレシャブレシャブレシャブレシャブレシャブレシャブレシャブレシャブレ」
呪いのような言葉に彼女は全身を硬直させた。ソレが言っている言葉を脳が拒絶するが、彼女の顔は黒板に向け固定された。
男は頭を垂直に上昇させ、彼女の両目の前に顔を合わせる、ソレは土色の精気のない唇をネタネタと曲げ喜んだ。彼女の瞳がどんどん収縮し表情が青ざめていっている。
ソレは反応のある女に手応えを感じたようだ。コレは、見えないにせよ霊感が強いらしく久々に生き物を弄べると。
彼女は唇を舌でなぞられ、僅かに開いた唇の隙間に舌が伸び挿入される。大勢のクラスメートがいる中で、堂々と性行為が始まった。
彼女視線をそらすこともできずに、男が執拗に唇を重ねる様子を観察させられる。彼女は腕に鳥肌を立たせて身をこわばらせた。
「なんだろ、寒気がするなぁ・・」
僅かに金縛りから解放された彼女は、口を静かに動かし、自然と顔をそらしてどう逃げ出そうかと視線を周囲に動かす。
彼女は嫌悪感から座りながら両肩を抱くように腕をクロスさせ前傾姿勢で、ソレの向こうにあるはずの黒板に目をやる。一言黒板の前にいる女教師にトイレないし保健室と言うだけだが声が出ない。
ソレはキスに飽きたのか顔を離して歯のない口を水平に開きニタニタと笑った。彼女はまるで悪夢を見ているようにカラダが動かず、首裏から尻までチリチリとしたものが走り下りる。
ソレはスーッと上昇し、薄汚れた胸部、下半身がゆっくりと現れる。臭いが想像できないほど薄汚れた作業着の股間が盛り上がり、彼女の口の眼の前で押し当てるようにゆっくり近づいていく。
ソレは焦らすように股間のジッパーを下げ始めた。白いブリーフが顔を出し、彼女は声も出せずにイヤダで頭が埋め尽くされた。
水平方向に大きく膨らんでいて、表面にブツブツと白い何かが付着している、不衛生の極みといった男の男性器が、彼女の目の前にある。視界は完全にソレに遮られて、目の前には男の破けた服から大きくはみ出した、モモから腹までが毛むくじゃらの剛毛がある。
悲鳴の一つでも上げたいところだが、彼女は懸命に喉元で抑え込んだ。反応を見せればさらに何をされるかわからない。気付きさえしなければ、あるいは、その男はいつものように作業をこなして消えていたのかもしれない。
自分が気付いてしまったばかりに、今、クラスメートの前で強制フェラでもされているかのように、死にかけた金魚のように開く彼女のみずみずしい唇に沈み込んでいく。授業の内容に集中し、男の腰振りにジッと耐える。
男の腰の動きに合わせ、目の中に陰毛が突き刺さって来る恐怖が、さらに彼女を金縛りのように硬直させた。男の汚い片手が、彼女の鼻近辺に潜り込み、口でしているかのように、自分でしごき始めたようだ。
まるで、自分が口でさせられているかのような錯覚を覚えながら、彼女は強烈な経験をひたすらに表情を硬くしたまま耐え続ける。一気にソレが引き抜かれると、白く黄ばんだ液体が彼女の目の中に向け吐き出された。
彼女の片目は、ソレの尿道から精液が吐き出される瞬間を時間を圧縮したかのように、鮮明に見ていた。顔射が目に焼き付けられる。満足したのか、ソレが消えた後、彼女の身体は急に解き放たれ気絶するように、身体を崩す。
顎を机に強打し、その音が周囲の者に、異変に気付かせる。しかし、机に頭を付けたまま、嘔吐を始めた彼女に、食中毒だのと騒ぎ立てて周囲の者たちは散っていった。距離を置き机に座っていた、いつもの学友が駆けより、気付かなくてごめんと頭を抱え耳元で囁く。
急いで医務室へと連れて行かれる。
彼女は学友に運ばれながら、彼女の大ぶりな胸付近に不自然に生えている手のようなものが、その胸を揉みしだいているような動きをぼうっと眺める。薄れる意識の中、急いで数珠を買わなければと、頭の中でソレだけを復唱していた。
つ´・ω・`) 謎の数字群アンケ実装。
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