◎登場人物
最上型三番艦、鈴谷[すずや]
最上型四番艦、熊野[くまの]
【挿絵表示】
左が鈴谷で、右が熊野。
【挿絵表示】
[スキップ回避定期]
本作は『 海底150M 囚われの提督 強制M男ペット化調教 』の人類側のお話
https://syosetu.org/novel/187427/
これと同一の世界観であり
艦娘にはロクな事が起きません。
軽い気持ちで読むと討ち死にします。
◎読んではいけない人
極右、極左、電波を受信できる人
軽い気持ちで読みに来るDMM提督
◎読んでも大丈夫な人
深海提督
胸糞物に耐性ある人
少佐殿、大隊指揮官殿
チハタンばんじゃーい
___
ヽ=☆=/
∩・ω・)∩
ヽ工二工Zフ
||志|L|==o
匚E/二/二二丘E戸=ヽ_
(◎~O~~~~O~◎)三)-)三)
ヽ◎◎◎◎◎ノ三ノ-ノ三ノ
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「陸軍としては」
白い帽子を被った壮年を思わす海軍の新提督を含む将兵を前に、軍隊色をキッチリと纏った陸軍の将兵が大きなテーブルを挟み横一列に座りあう。
その中央の一人、白髪交じりの短髪を持つ強面の陸軍将校は、その話をやはり面白くはないと感じていた。
「海軍の意向に反対である」
高齢である彼は力強く反対を表明する。彼の膝の上にある震える握りこぶしが僅かに振動を始めた。陸軍には新しく流入してきた名ばかりの新提督など存在していない。
「貴様らの尻拭いを、また、こちらでやらせるつもりかね?」
彼は今にも帽子を投げ捨て、床にでも叩きつけたい気持ちを抑え、冷静に言葉を続ける。しかし、新提督、若造の切り盛りをしている、ただの中間管理職のようなこの提督を見るだけでとめどない怒りがこみあげてくる。
彼の左右に座る兵たちも、気持ちは同じようだ。みな、厳しい顔をしている。やはり艦娘とはいえ、水上にて陸戦をする以上、どちらかと言えば陸軍の部下のように思う気持ちもあるのだろう。
現に彼らが育てた、陸上運用を始めた艦娘は海でもそこそこ強いらしい。艦娘が陸軍製造であればと、彼は心底残念に思った。
「第一、人道的でない」
彼は言外に、だから兵器とはいえ女などで戦線を支えようとするるからだとの意味を込める。動物とはオスが率先して戦う物であり、人間にしても、メスが前線に立つなど、余りにも不自然なのだ。
「早急に、艦男を作ればよかろう」
「海軍では脱柵者が多いようですな」
彼の意見をサポートするように陸軍将校の隣で、やり手の会計士のようなキリッとした顔で丸メガネをかけた男が、資料を片手に持ち声を出した。軽くソレを手の甲で叩きながら、相手方中央に座る提督を圧迫する。
軍隊とは巨大なシステムであり、言うなれば将棋のようなものだ。つまり、進めた歩などが、勝手に右へ左へと動き回られてはまともな指揮が取れずに戦略で負けてしまう。
さらには、盤上から一たび目を離すと、勝手に歩がいなくなっているなどもってのほかだ。陸軍ではすでに確たる証拠をもって、事の発端である増えすぎた艦娘の消化として多くの作戦が実地されている事実を掴んでいる。
しかし、さらに上からの承認が得られている作戦でもあるため表立って抵抗をすることはない。
「女などでは、気持ちが足りんからだ」
憤る態度を前面に押し出して、陸軍将校はふんぞり返るようにイスに大きく座る。これがただの歩ならば話はそう大きくはならない。問題なのは他国が欲しがる軍事機密の塊がこれをやることにある。
「気合が足りん!!」
「打倒飛行場姫、そのために湯水のように艦娘を投入し」彼は席を立ち上がると言葉を続けながら、苛立ちを抑えるように長いテーブルの端から端まで歩きながら続ける。「一隻一艦体当たりをもって事に臨み・・・」
「いまだ一人の姫すら仕留められぬとは生ぬるい!!」
イスに戻り、怒りを飲み込むように目の前に用意されたコーヒーを手に取った。コーヒーカップを口に付け、力任せにドカッとテーブルに落とす。黒い液体がテーブルクロスの白さを黒く染める。
事実上休戦している深海棲艦の姫達を挟んでの艦娘の消耗戦であれば他国が介入できるスキはない。ここまではいい、そこまではすでに把握している。彼は建前の言葉を言い続け、本来の怒りを抑え込もうと冷静に務める。
彼の片目が過度のストレスから僅かに痙攣するようにピクピクと動いた。彼はその新兵器が、実のところただの娘であることに心底腹を立てているのだ。あれらは決戦兵力のはずだった。それ以上の役割など必要がなかったのだ。
瞳を揺らがせながら考えを巡らせる。
自立兵器に心を持たせたがために、勝手に逃げ出し始めた者が多く出るようになった。海軍は何処までバカなのか。
腰に下げた愛銃がある日突然、もう戦いたくない、人殺しは嫌だなどと言い出すのかと。考えるだけでバカバカしい。まさに愚の骨頂だ。
彼自身、ある程度の憶測はあるが、それでもなぜ艦男を作れなかったのかと怒りが絶えない。艦娘就航当時からこの問題は予測していた。
持久戦になれば、年頃の乙女のような知能を持つ艦娘など使い物にならないと、誰もが分かり切っていたはずだと。
愛だの正義だのをのたまうだけで、アレと戦って勝てるならば、軍隊など初めからいりはしない。本当に戦う気があるならば人類をあげての総力戦になる。
艦娘の性能も芳しくなく高が知れている。今のままでは、結果はすぐに予測が付く。ソレがさらに彼を憤らせる原因になっていた。
あれらは、人間の後から突然湧いて来て、まるで地球の統治者の如く海を底深くまで抑えている。唯一の例外としてこちら側に仲の良いらしい潜水新棲姫がいるが、まさに深海に棲む艦とはよく言ったものだ。
ゴミのように艦娘が湧き出る前は、自分たちがアレらと対峙した事もあったが、このクズにはその経験はないのだろう。そうでなければ、危機感が足りなすぎる。
あの、世界を海へ沈み込ませる感覚など、艦娘ごときでは持ち合わせていない。
輪をかけてバカな者は他国の連中だ。政府発行の深海棲艦なにするものぞの見出しで、艦娘の特集を組まれた新聞の号外を信じ切っている。深海棲艦が海底で静かに過ごしている理由は未だ分からないが、それは艦娘の力であるとは断じて思えない。
アレと戦った者ならば、誰であれそう思うだろう。娘は所詮娘であり、姫には届かない。だからこそ、陸軍総出で艦娘を育て上げる必要がある。
その膨大な数を武器に、陸上・海中の根拠地を、姫たちがその気でないうちに撃滅せねばならないと・・
「よろしいでしょうか」
その声に、寝ていたかのように目を開く。
「ですので」彼が思考の迷宮に入り込み、眉間にシワを寄せ無言でいると、提督は再び話を続けた。「貴隊により、一部の脱柵した艦娘の再教育をお願いしたいと」彼は、まるで胡散臭い政治家のようにゆったりと言葉を続ける。
「こう、申し出ているわけです」
再教育とはいうが、その提督の話では艦娘は無力化措置を施されてから寄こされる。陸軍で運用されることへの過度の警戒だろう。こちらがソレを従えれば、海軍など不必要になることは明白。
だからこそ、来るのは、ただの身元不明の女というわけだ。彼は聞かせるように大きくため息をつく。
確かに彼の持ついくつかの隊には、民間人とチョットしたトラブルを起こした者が集められた場所はある。その提督は新しいトラブルを起こさないように、つまり、艦娘をガス抜きとして使えと言ってきている。
聞けばこの提督には処理待ちの艦娘が少し多くいるようだ。それ自身が彼の胡散臭さをより濃いものにしている。結局のところ体裁を保とうとはしているが、使い飽きた艦娘を適当な理由を付け、処分したいと願うクズということだろう。
この兵器を私物化しているようなクズが自分の部下ならば、とっくにあの飛行場姫あたりに食わせてやるところだ。しかし事前に入手した資料によれば、総理を始めとして艦娘運用は国を挙げてのビジネスとして機能しているらしい。
ここで探りあっても始まらないと、彼は二度目の大きなため息をつく。彼のそのため息を、提督は了承の表現と受け取ったのか、嫌らしい笑い顔をつくりながら立ち上がり、握手を求めてくる。
結局のところ、終始その食えない提督のペースで話は進む。バカのお下がりを寄こされ恩を売られては困ると、この時、陸軍将校は決断を見送った。
が、海軍の増長により、部隊内での不穏な空気は日に日に高まっているのも事実であった。後日、秘密裏に一両の軍用機関車が手配されることになる。
その提督の元から艦娘が送り出された。
「はぁ、護送先で処刑されるのかしら?」
ライトブラウンの長く開いたポニーテールと、高校生程度の背丈を持つ少女、熊野は陰鬱な表情で言う。蒸気機関車の客車で簡素な木造りの対面式固定クロスシートに一人座る。艦娘が乗るのだ、辺りを見回すまでもなく、乗客は軍関係者のみだろう。
「されんなら、とっくにされてんじゃん?」二人掛けの対面座席に一人で座る、コーラルグリーンの長い髪を持つ熊野の姉、鈴谷は客車の閉ざされたガラス戸に片腕を乗せて答えた。「わざわざ移動させてズドンはないっしょ」
途中薬物にて気を失わされ、気付いたら列車に乗せられていたが何かされた様子もない。もっとも鈴谷には、身体能力に大きく差のある艦娘に妙な気を起こすバカもいないだろうと、シトリンのような色の瞳を細め今後を考えるが、彼女にはおよそ検討も付かなかった。
列車の速度は余り早くないため、ゆっくりと森林と海沿いに挟まれた景色が流れていく。しかし、あいにく空模様は良くはなく、低い雲とポツポツ雨も降っているようで、流れるような水滴がガラスに付く。鈴谷と同じように、熊野も少し不安げな表情で外を眺める。
「おっ、弁当?あんがと」鈴谷は、配膳された食事を持ってきた、陸軍の服を着ただけのゴロツキのような男に愛想笑いで答えた。「きんもっ」鮭の切り身が乗る、少し大きめの鉄の弁当箱に入った食べ物が配膳され、彼がいなくなると彼女は小さく呟く。
「どうしたんですの?」外の景色のように、窓ガラスの手前に肘をのせ顎を支えながら、どんよりと熊野が言う。「あいつ、身体ばっか見てやがった」胸や股間に隠しもしない露骨な視線を送られたが、鈴谷はこれ以上問題を起こす気もなかったので、軽く流した。
「ああ」心底どうでも良さそうに熊野は答えると、再び視線が窓の外へ戻る。雨も強くなり、ガラスも少し曇り始めたようだ。「襲われたら、ひとひねりで黙らせればいいだけですわ」熊野はめんどくさそうにポニーテールを片手で整えながら言う。
二人は、視線を配膳された食事に落とし、まじまじと眺める。嫌らしい男がいたため、目を細め、しゃけ弁当を観察するが、変な男の体液が混ぜ込まれている様子もない。まぁ、当然と言えば当然だが。二人は箸を割り、塩気の強い弁当を食べ始めた。
何処へ向かうとも、いつ着くとも分からないため、二人は当たり障りのない会話を続け時間をつぶす。客車をつなぐ前後の連結ドア前に、歩哨が一人ずつ立っているだけで、連行されているとはいえ、意外と自由度は高い。
鈴谷は曇った表情で少し考えるそぶりをすると、ちょっとトイレに行くと言い残し、おもむろに立ち上がった。彼女は、二、三歩哨と会話をすると、ごろつき風の別の兵士がやってきて鈴谷と共にいなくなる。残された熊野の不安をよそに、鈴谷はすぐに帰って来た。
「ほんっと、キモい」
コーラルグリーンの髪をブルブルと震わせながら、彼女は言う。何をされたのかと熊野が聞くが、なにもされていないと鈴谷は小さく答えた。トイレのドア前に立ち、聞き耳を立てていた以外は。
木製ドアの下部に付く、ブラインド状の斜めに通路が見える小窓のような隙間からは、男二人ほどが横向きに立っている足が見えた。トイレから脱走を図ろうとする者は古来より多くいるため当然なのかもしれないが、このトイレには出入り口以外は木造の壁しかない。
何か言えば正当化されるのがオチだ。彼女が下着を下ろし、和式便器に水を当てる乾いた音をしっかりと聞かれ、何回ペーパーを回し、それを何度股に擦り付けたかまでじっくりと聞かれていたことだろう。
裏付けるように、彼女がドアから出ると、その二人は股間を僅かに膨らましていた。ヤニ臭そうな黄ばんだ歯をのぞかせて、ニヤつくその二人の股間は僅かに膨らませる。透視するかのような熱視線を、彼女は茶色く短いスカートに感じた。
「キモキモですわね」これには流石に熊野も同調する。しかし。「でも、提督だったら?」気を紛らわすかのように熊野が冗談を言う。「30分は、そのまま一緒にトイレコースっしょ」笑顔を取り戻した鈴谷は、熊野の冗談にいつもの軽口で答える。
二人はその提督との付き合いは長い。ほとんど鎮守府設立当初から一緒にいた仲であり、自然と夜の方も、どちらが誘うまでもなく回数を重ねていった。しかし、最近は艦娘が増え大御所となったために、その頻度は減り、少しおざなりにされている傾向はあった。
この二人が列車に乗せられる事になった経緯は、その提督が大きく関係している。ある時提督は、何かの手違いか練度の高い二人が、監視要員から深海棲艦突入組に変えられているところを発見する。そして、当然上と掛け合ったが、話を聞く事すらされなかった。
出発前夜になりその提督は、自分が必ず何とかするから、お前たちだけには行ってほしくないと、ほとぼりが冷めるまで逃げろと強く諭した。高練度の艦娘を大規模な防衛作戦でもないにも関わらずいたずらに消費する理由もない。
必ず上手くできると彼は言った。艦娘が増えて、おざなりにされていたと感じていた二人は、やはり心は繋がっていたのかと、温かい気持ちに包まれる。だからこそ行けると彼女たちは言ったが、最後まで折れない彼の熱意に負けて、二人は未明に消息不明になった。
しかし、二人の足取りを追った高等警察により、潜伏中の二人はすぐに発見され拘束される。彼をかばうように、二人は自ら脱走したと、加えて敵前逃亡も匂わすよう供述した。彼女らにしてみれば、少し不名誉が増えても結果は同じ事だと、それで納得している。
事態は、彼女らが思っていたようには動かなかった。件の提督は何か嘆願を行ったようで自分たちの極刑は免れたらしい。それに加えて再教育施設へと護送される次第となったわけだが、道中は海を毛嫌う陸軍に行われることになった。
この時点で、捕らえた側としては開放する気などさらさらない事が二人にも容易に想像が付いた。ならば自決をとも考えたが、頼みの艤装は脱走時から持っていない。それに、嘆願の内容が分からないために、彼の心証を悪くしないようにと、二人は大人しく従った。
「ひやぁああぁ!」
突然車両が振動を始め大きく振れる。熊野が可愛らしい悲鳴を上げた。車内に緊張感とあわただしさが生まれる。聞かれても困らないのか大声で行き交う言葉には、近海に深海棲艦が現れたと言っているようだ。
しめたと、二人は顔を合わせる。自分たちは艦娘であるため、たとえ艤装がなくとも、はぐれ程度なら何とか出来るかもしれない。すぐに出させろと、加速して揺れる車内で、二人は声を合わせて立ち上がった。
あわよくば自分たちの評価も改めるだろうと。
しかし、誰も彼女らには取り合わず、機関車はガシュガシュと黒煙を吐き戦域を離脱しようと画策している。これが陸軍のやり口だ。攻撃されていると分かっている眼下の漁村を見すてるつもりかと二人は拳を握り、今にも殴り飛ばす勢いで歩哨に喚き散らした。
「何を騒いでいるのか」
ドアが開き、陸軍の服をキッチリと着こなして、参謀飾り緒を付けた丸メガネをかけた男がのっそりと車両に入ってくる。通路に立っていた歩哨は顔を向けられる間もなく揺れる車内の中、直立して敬礼を行う。
「貴様たちは脱走兵」睨みつける胆力に押され、鈴谷と熊野も敬礼を行った。しかし、それすらも気に入らないらしい。「新海軍らしい堕落だ」帽子も被らずに額に手を付ける二人を、ゴミを見る目で冷たく見下ろす。
「脱走兵。つまりはゴミだ」軍靴の音を床にコツコツと響かせながら車内を歩き、彼は僅かに雲が切れ光を覗かせている外を眺める。「我が陸軍航空隊は、ゴミの手を借りずともよい」彼の険しい表情は彼方水平線の先を眺める。
低いプロペラ音が空を走る。三機の緑色に胴体を塗装された、着艦フックを持たない零戦の後継機が、輸送機を護衛しながら海へ向かっていく。水平線の上、それは傘をパラパラと落とし始めた。
「見よ、あれこそが、あきつ丸である」
あきつ丸は、おかっぱ頭で市松人形のような白い顔と、学ランを着ているような陸軍の艦娘だ。その能力は陸軍に鍛え上げられ軽母としての運用能力を持ちながらにして、近接格闘戦を十分にこなせる。能力を落としたと言われる、あの飛行場姫のようなものだ。
軽量な体の利点を最大限に生かし、空挺部隊として、艦載機を繰り出しながら洋上に降下。周辺の制圧を行いながら、近接戦により敵を撃滅。部隊は陸上戦隊として複数のユニットが同時に展開される。
あきつ丸自身の能力は海軍艦娘に大きく劣るが、それを戦術と戦略によりカバーしている。確かに本家海軍の海戦戦法など、もはや役立たずだと証明するかのように近年彼女たちの活躍は目覚ましい。外の景色を見ながら、鈴谷と熊野は両腕を力なく垂らした。
列車は高速で分岐器通過しているのだろう、大きく客車が振られながら車線を内陸にかえて行く。ついに海の景色が見えなくなった。何処か山奥を目指し進んでいる。奥へ奥へと深い森の中へ。
「貴様たちはご苦労だった」陸軍将校を思わせる彼は、両手を背中に組みカツカツと客車の進行方向へ向けて歩きながら言う。「間もなく列車も目的地へと到着する、後は作戦通りにな」歩哨にそう言うと、客車の扉の鍵を開けて、彼は先頭車両に向け歩いて行った。
そのプラットホームは山岳を切り開いたトンネルの中だった。ゆっくりと警笛を鳴らして機関車が内部へと進行して行く。客車はバラバラになると、自分たちの乗せた車両はターンテーブルのような線路に乗せられ、何処か別の線路へと牽引車に引かれ進んでいく。
ちょっとしたアトラクションのような光景に、二人は少しはしゃぎながら窓の外を眺めている。たどり着いた先には車両一台分の地下鉄のようなプラットホームがあり、陸軍の見た目の悪い男たちに囲まれながら、二人は列車を下りた。
「まずは、持ち物検査だ」
分隊長のような男は、客車が再び帰っていくのを見送ると、いかにも臭そうで茶色く変色した歯がガタガタとしている口を見せながら、ニヤニヤと口を曲げて言う。ホームの端に後ずさるように動く二人を、男たちが扇状に半包囲する。
「触んなし!」
鈴谷はいきなり両手で胸を捕まれ、反射的に手で男のホホを叩きホームへと転がらせた。熊野への検査とやらもやはりそういった事が目的なのだろうと、手を伸ばす男を鈴谷が弾き飛ばした。男たちは脆いようだ、スキを見て逃げ出せるかもと周囲に視線を回す。
「おいクズども」
少し大げさに弾かれた男は、ヨロヨロと起き上がり、醜悪な笑顔で二人を見る。ポケットから出された、グジャグジャの指令書の複写を二人に見せた。ぼんやりとしたホームのオレンジの明かりが二人の顔を照らすが、そのどちらも幽霊のように白く青ざめている。
そこには、艦娘としての体を使い、特別な慰安任務に従事すると経緯から所属場所まで記載がある。そして、最後には連名の一番下に、殴り書きのような字で、彼の直筆でサインが入っている。平たく言えば、自分たちはパンパンになれという内容だ。
「売られたんだよ」ニヤニヤと彼は言う。しかし、二人には到底信用できなかった。何か汚い奸計により、提督はハメられたんだと確信した。「なんでも、奴は保身のためにお前たちをここへ寄こしたらしい」その男は酷いもんだと、大げさに首を振る。
それは、全くおかしな話だ。保身を考えてであれば、そもそも自分達を引き留めはしない。二人は図らずとも同じ結論に至った。しかし、向こうがそういうのであれば、自分たちが迂闊に動けば、危害が提督に及ぶかもしれないと口を堅く閉じる。
「俺たちは、こっちの教育を任されてんだよ」彼は嫌らしく小指を立てクリクリと動かす。死に時を間違ったなと、鈴谷は目の前で動く小指を見ながら少し後悔した。「ほう、いいものもってるじゃねーか」
彼の言う持ち物とは、女の部分を指すと、不快に胸を這いずり回る男の手を睨みつけながら彼女は理解した。彼の持ち物検査は服の上からでも、吐き気を催すほど執拗に長く行われる。思い出したかのように隣に視線を送れば、熊野も同じ目にあっているようだ。
「乳首立ったら自己申告しろよ」鈴谷の胸を、正面から形が変わるほど揉みしだきながら、彼は部下に目配せをする。「虚偽があれば、アレで修正だ」部下の男が、太いこん棒のような木材を持ち、自らの片手に楽しそうにペタペタとぶつけている。
「おい嬢ちゃん、勃起したか?」熊野の胸を揉みしだいている男は、背中に手を回し、身体に抱き寄せるとそっと耳へと、臭い息で囁く。「するわけないでしょう、やめてくださいまし」彼女は両手で男の体を押し戻す。「じゃあ、確認だ」
男の片腕が無造作に、熊野のブレザーの胸元に強引にねじ込まれた。ブラジャーの片方をずり下ろしながら方胸に手を付ける。柔らかく冷たい先端を中指で器用に爪を立てて、彼女の硬いしこりをカリカリとこそぐ。
「嬢ちゃん、立ってんのか、え?」指で大きく膨らむソレをつまみながら、もう一度囁いた。「立ってません!!」熊野はライトブラウンの長いポニーテールを、ほうきのように左右に振りながら大きな声で答える。「おい、見てみな!」
男たちが抵抗する彼女の両脚を押さえつけて、荒い鼻息を押し付けながら彼女の茶色いベストのボタンを外す。素早く白いブラウスのボタンも外して左右に開くと、熊野の付けている真っ黒なブラジャーがこぼれ出てきた。
恥ずかしさで目を閉じ、上を向く彼女の胸を黒いブラジャーを下にずらして、さらに剥きださせた。比較的白い彼女の肌に、小高い丘の先端にはピンク色に膨らませた、硬い乳首がそそり立っている。見られたと彼女の顔がどんどん赤くなっていく。
「乳首ビンビンじゃねーか!」彼女の耳元で大声で男が怒鳴る。アヒル座りに、ホームの冷たい床に彼女は崩れ落ちるように座り込んだ。「嘘吐き女はペンペンだぞ」サディスティクな表情で、木材のこん棒を持ちにじり寄ってくる。
「やめてよ!」鈴谷も服の中に手を入れられ、胸を楽しまれながら大きな声を出した。「乳首立ったし、下も濡れたよ!これでいいっしょ!!」睨みつけ威嚇しながら、男の手を振り払うと、熊野に近づこうとする男を、手で振り払うように蹴散らした。
「あーおめぇは確か、鈴鹿だっけな」こん棒を持つ男が、鈴谷を気に入ったのか舌なめずりでもするかの表情で彼女を見る。「す!ず!や!」鈴谷は、鼻息荒く男の言い間違えを切り返した。「おーおー、こっちは気がつえぇなぁ」
「よく見りゃ顔も似てっから、姉妹かなんかか?」ぶっきらぼうに言う男に、鈴谷はそんなことも分からないのかと愕然とした。「上品なねーちゃんを庇う、妹ってとこか」彼は思った事を口にするタイプなのか、うんうんと頷きながら余計な事を良くしゃべる
「姉は私だし!」言葉を失ったのは、こん棒を持った男の方だった。場末のあばずれ女の如くしゃべる、どうみてもただのヤリマン女が姉とは世も末だと、彼は何か正義感のような物さえ心に抱いた。「じゃ、お前がペンペンされっか?なぁ、姉ちゃん?」
「望むところだし、さっさとやんなよ」レディース女でも相手にしているかのような気迫を持ち、鈴谷が男の顔を睨み上げる。「いいねぇ、じゃあケツだせや!」男が怒鳴ると、鈴谷は大きく前傾姿勢になり、腰を男に向け突き出す。
「言っとくが、こいつは艦娘でもぶっ壊れる不思議な木刀だ」男が口を曲げながら、楽しそうに言う。二人のやり取りを、自分のせいで鈴谷がと思いながらその気迫に押され、ただ、ヘタリ込んだまま熊野が眺めている。「御託はいんだよ!はよやれや!!」
売り言葉に買い言葉を受け、力任せに振り下ろされた一撃目が、鈴谷の茶色いスカート超しに、彼女の尻肉を大きく揺らす。しかし、彼女は口を大きく噛んだまま呻き声すら出さない。大した根性だと周囲の男たちも鈴谷を取り巻き注目している。
「へぇ、大したもんだ」腐っても元艦娘かと、しびれが残る手を握りながらただの木刀を握りなおす。「それで終わりか、このヘチマ野郎!」首を曲げて後ろを見ながら、小さく息を吐き、自分が標的になろうと鈴谷が挑発する。「全然、効かねーぞハゲ!!」
周囲の男たちも、楽しい見世物が始まったと双方に下品なヤジを飛ばし始めた。3発、4発と鈍い音がホームの狭い構内で反響し、彼女の尻元から次々と鳴り響く。どちらが先に折れるかと、配給品のタバコを賭けた、チャチな賭博まで始まる始末だ。
「ちゅっちゅっちゅ」数十発の打撃の後、こん棒を持つ男が、いい運動をしたと額をぬぐう。床に付け崩れ落ちた鈴谷に立てと挑発するように、舌を鳴らしながら指を呼ぶように動かす。「あばずれ、もっと根性見せろや」
「まだ、まだ、まだぁ・・」鈴谷は腰を上げ、よろよろ四つん這いになる。「よーし、よしよし」姿勢が低くなり打ちづらくなったが、男は歓喜の表情で女の尻に両目を開き見据える。「今ぶっといのやっからよ、気張れよ!!」
「てめぇの・・シナチクなんざ」鈴谷は大きく息を吐きながら、男が両手持ちに切り替えた様子を見て息を止め、身体に力をいれた。「百発もらっても・・きかねーし!」強力な打撃が尻に直撃して、彼女の体が数メートル膝を擦るように転がる。
彼女の尻から痙攣が広がり、内モモから濃厚な黄色い液体が、湯気を持ちながらドロドロと流れ出ている。どうやら、賭けは男側で勝ちのようだ。股からしょんべんを漏らす女を、ふざけやがってと、負け組が硬い靴で、彼女の腹や顔をゴリゴリと踏み潰す。
「なんだお前、こっちもかよ」
鈴谷の姿を放心状態で眺めていた熊野も、いつの間にか精神を何処かへやり、鈴谷が額や耳を、ガツガツと軍靴で踏まれている光景を眺めながら、冷たいコンクリートに、人知れず黒い染みを広げていた。
「こっちは根性なしだなぁ」男の軽い平手打ちが、熊野の上半身を電撃でも受けたのかと思うほど激しく弾かせた。「目ぇ開けて寝るな、起きろ」パンパンと連続して、彼女のホホが赤く腫れるまで叩く。
「おい、誰か風呂連れていけ」
分隊長がげんなりとした声で、臭え小便を漏らした二人を見て、鼻をつまみながら命令する。熊野と鈴谷は、洗濯物を竿でも干したかのように、カカトを引きずられながら両脇をサイドから抱えられ施設内へと連れていかれた。
暗いホームには、二つの水たまりが残され、ぼんぼりのようなオレンジの光を静かに反射させている。
つ´・ω・`) 謎の数字群アンケ実装。
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