※この作品はR-18です。

核戦争前に原作を読んだジャギが取り敢えず何とかしてみるようです。   作:ヘルメット助教授

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誤字脱字ありましたらスイマセン

いつも誤字報告ありがとうございます

途中、断末魔に不愉快な思いをするかもしれません


10話

「来たな……」

 

ユダの街の外でジャギとアリサが、三人衆やレイ達を待っていた

 

『ジャギ様ー!お待たせッスーー!』

 

メリケンの声が聞こえる

 

一度ジャギは三人衆の待つオアシスの村に謝罪しに行っていたので、その時にユダの街へのルートを伝えており、迎えにいく手間を省いたのだ

 

予定より人の数が多い、どうもオアシスの村から聖母軍のシェルターに入りたがっている人間も混じっているようだ

 

「Sir、カーネル以下、三人衆、オアシスの村人を無事に到着させましたSir!」

 

踵を合わせた直立不動の姿勢で、副官のカーネルがジャギに到着報告をし終えると、三人衆が歩いてきた

 

「ジャギ様ジャギ様、その……噂のお姉さんって誰ッスか?」

 

「ジャギ様が伽で御不満なら、私が愛人になってもよろしくてよ♥️

その代わり、タキくんをメイドに下さいませ」

 

「…どいつだ…いったい…どいつだ…」

 

「ん?ああ…紹介するぜ、二人とも来てくれ」

 

そしてジャギは両隣に桁外れの美女を呼ぶと、彼等は固まった

 

理由は控えめな服装や髪型、化粧も程々なのに優しげな雰囲気が滲み出ているアリサ

そして誰しもを圧倒する赤髪をかき上げるは、威厳たっぷりの女王ユダ(女)である

 

ジャギはまず、アリサを手下達に紹介する

 

「えっと、こちらが俺と……その、まぁ

つ、つきあ、ってる、アリサだ」

 

「はじめまして、アリサと申します

ジャギには危ない所を助けてもらって以来、とても良くして貰っております…皆さん…これからよろしくお願いします」

 

呼び捨てで呼び会う二人の関係に、何人かがどこまで進展してるかを察し、ニヤニヤ顔となる

 

「うわ!ジャギ様、なんスかこの人!

滅茶苦茶に美人じゃないすか!

いいなーー!いいなーー!」

 

「……清楚……ま、負けた」

 

「………………」

 

キッドが何も言わないのが逆に怖いが、アリサは三人衆やカーネルに、深々と頭を下げて自己紹介をし出すのであった

 

 

 

ジャギ達の横で、街の統治者であるユダ(女)は、一人の男に意を決した様子で近付く

 

取り巻きガールズは心の中で、しきりに応援をしている

 

「ひ、久しぶりだなレイ」

 

「……?」

 

女の姿にされたユダが初めて、レイの前に立った

 

「え?兄さん、こちらの美しい女性と知り合いなの!?」

 

レイの妹のアイリが、まさかウチの兄にこんな美人の知り合いが!?と大層びっくりして割り込んできた

 

「兄…?失礼だが、お前はレイの家族か?」

 

「わ、私はアイリと申し…ま……す

は、じめまし…て」

 

女王の風格があるユダ(女)に正面から尋ねられ、かろうじて言葉を捻り出したアイリの姿に、女王はその初々しさに微笑ましさを覚える

 

「うむ、アイリと申すか…美しい娘よ

成る程な、レイが大切にする訳だ」

 

「そんな…私など…」

 

「ところで貴様は一体だれだ?

お前もジャギの女か?」

 

「に、兄さん!?口、口のきき方!」

 

レイの無礼千万な物言いに、アイリは顔を青くさせる

 

同じ女として、目の前の女王がタダ者じゃないことは分かるらしい

 

しかし言われた女王はポカーン顔をすると

 

「私が………ジャギの?

ぷっ…あはははははははは!」

 

「???」

 

「あははは!わ、わからんのか?レイ

この私がっ、誰っかをっ、はははは!

それにっ、私がっ、ジャギの女だ、とっ?

そんな事っ、アリサに悪くて冗談でも言えぬわっ」

 

体をくの字に曲げ、涙目で笑うユダ(女)は、本当に笑いが止まらない様子

 

珍しく声をあげて笑うユダ(女)に、取り巻きガールズやコマクも、どうしたものかと迷っている

 

ひとしきり笑ったユダ(女)はそのお腹を擦り、姿勢を正すと

 

「……伝衝裂波!」

 

「な、にぃ!?」

 

誰もいない方向へ南斗聖拳の一つ、南斗紅鶴拳の奥義を放てば、レイも直ぐに目の前の美女が誰なのかを完全に理解した

 

「また会えて嬉しいぞ、レイ♪」

 

「なっ……が、お、まえ…ユダか!?」

 

ウインクをしながら、満面の笑みを浮かべたユダ(女)は、強敵との再会を一方的に喜んだ

 

『ぬほぉ!!!!』

 

その愛くるしさや、普段の凛々しさからのギャップもあり、ユダ軍のほぼ全てが悶え死にそうになっている

 

ジャギ隊の連中も殆どがやられ、素人童貞のメリケンは岩のごとく固まったそうだ

 

レイも暫く固まるが、『こんな事』が出来る奴はこの世界に一人しか居ないことに気付き、鬼の眼光でその真犯人を睨み付けようとするが、その真犯人ジャギはアリサと共に、すたこらとバイクで先に発っていた

 

烈火の如く怒ったレイが、バイクでジャギを追い回したのは言うまでもない

 

 

 

 

 

 

「Sir、報告します!

左前方にバイク集団を発見!

此方に近付いて来ておりますSir! 」

 

ジャギ隊、ユダ軍、難民が荒野を進んでいるとカーネル偵察隊が、此方に迫るバイク集団を発見した

 

確かに、此方に近付いてくる集団が見える

 

しかしその動きは

 

「妙な、奇襲にしては様子が…」

 

「おっ!攻撃は無しだユダ

ありゃ、俺の知り合いだ」

 

「…む…?」

 

ジャギはユダを止め、近付いて来る集団を迎え入れた

 

 

 

 

 

 

「ようジャギ」

 

「ようジャッカル

わざわざ報せなくとも、お前なら俺達がシェルターに行く時に必ず来ると思ってたよ

やっぱり情報通な男だな、オメーは」

 

「くふふっ、こちとらそれで飯食ってんだからな、当然だぜ

…っと、ユダ様、またお会いできまして、このジャッカル、嬉しい限り…」

 

「ジャッカル、その髭面もいつぞや以来か

ジャギ、随分愉快な友人を知っておるようだな」

 

バイク集団の正体はジャギの悪友的存在、ジャッカルの一団であった

 

ジャギは、ジャッカルならば、このタイミングで近付いてくると分かっていたので敢えて報せなかったようだ

 

『にしても悪かったなジャッカル、シェルターに着いたら手下全員にも酒を奢るぜ』

 

「へへっ、あんがとよ

しかしなジャギ…俺がここに来たのは、シェルターに行くだけじゃねぇんだ』

 

『あ?…もしかして、なんか上手い話か?』

 

『いや……それがよ、良い話じゃなくてだな

かなり厄介な奴が動き出しやがってな」

 

「誰だ、そりゃ?」

 

「いいか、気をしっかり持てよ?」

 

「あ?おうよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…『ごくり…』…拳王軍本隊だ」

 

「ぶぅぅぅぅぅぅうううううう!」

 

 

 

 

 

 

『拳王、動く』

 

ジャッカルの報せに、ジャギ・ユダ・ジャッカルは緊急会議を開く

 

しかし更に、間の悪い事が降り注ぐ

 

ユダ軍の訪問を事前に報せていた聖母軍のシェルターから、拳王軍への対処命令の手紙が到着したのだが

 

その内容とは

 

ユダ軍を招くは拳王軍を招くものと同義、なので即時ジャギ隊はユダ軍と決別し、拳王軍が彼等に食い付いた事を確認してからシェルターに戻って来いとのこと

 

またシェルターの抑止力であるトキや、シンの警備隊は一人も送らないとも

 

怒りに肩を震わせ、顔を歪ませて声に出して読み終えると、ジャギは堪えられず感情を爆発させた

 

ユダよりも、三人衆よりも、カーネルよりも、誰よりも怒った

 

自分達だけ助かれば良いと考え、他の街と交易し、互いに協力し合い、切磋琢磨し合うという発想を考えない世紀末レベルに馬鹿な者共に、ジャギは怒る

 

手紙を持ってきた伝令の胸ぐらを掴み、片腕で持ち上げたジャギは

 

誰の命令だと、激しく詰め寄った

 

伝令は怯え、上層部の命令に従っただけですと、力無く答えるのが精一杯であった

 

ジャギは彼を離し、シェルターに帰した

 

ただジャギは、命令に従うとは一言も発してない

 

上層部?なんだそれは?

誰がそんなものを決めた?

ふざけるなよ?同盟相手を見捨てる?

ふざけるなよ?自分達だけ助かれば良い?

 

ブッ殺すぞ……?

 

 

 

「ふぅ、悪かったな、会議を続けよう」

 

「良いのかジャギ?

命令に反して私達を助けるのは…」

 

「ユダ様よう、こいつは多分ですが、ジャギは上層部の存在を知らなかったんでしょうよ

もしくは自分が外に居る間に勝手に作られた、ってとこですな

俺でしたら、そんないつ結成されたかも分からない連中に勝手に命令されて、勝手に同盟相手を切り捨てられちゃ、外で命を張ってる身分としては堪らんですわ

正に、くそ食らえってヤツだ」

 

ジャッカルがジャギの心情を代弁する

彼もこの命令自体に不快感を示している

 

「ふっ、真っ正直なヤツだな」

 

「ただの変わり者なだけかも」

 

「るせぇ、さっさと始めるぞ」

 

既に慌てるだけ慌て、焦るだけ焦り、狼狽えるだけ狼狽え、怒鳴り散らした

 

出すものを出しきったら、現実に目を向ける

それがジャギの生き方であった

 

 

 

「ジャッカル、拳王軍の動きは?」

 

「まず拳王は、ひたすら進路を真っ直ぐユダ軍の本拠地へ向けていて、途中にある村は全て拳王軍に呑み込まれている

まるで山火事だな、人も食料も何もかも残らねぇ」

 

『…………』

 

「敵の進路を変えるには、何はともあれ拳王をどうにかせにゃならねぇぞ?」

 

「ジャギ、お前は拳王とは義兄弟だったな、何かヤツの弱点は知らないか?」

 

(なに……?ジャギが拳王の義兄弟?

そりゃ……このジャッカルも知らないネタだぜ)

 

「弱点……兄者の弱点……」

 

ユダの一言にジャギが腕を組んで、深く、深く思案をする

 

残る二人は黙って、ジャギの発言を待つ

 

正直、俺達でなんとかせねばユダの街は拳王軍に蹂躙されてしまう

 

ユダ、そして彼女の後ろに控えるコマクや取り巻きガールズは祈るようにジャギを見る

 

街の命運は今、ジャギの双肩に掛かっていた

 

すると考え込んでいたジャギが、ハッと顔を上げて、ユダを見た

 

違う、ユダではない

 

ジャギの視線はその後ろに向いていた……

 

 

 

 

 

 

拳王軍本隊が荒野を行く

 

数千の暴徒の群れが、漆黒の巨大な馬『黒王号』に跨がる世紀末覇者にして拳王『ラオウ』の後に続く

 

彼の直ぐ側には、白馬に跨がる美丈夫『リュウガ』の姿も見える

 

彼等は無人の野を行くが如く、進路上にあるものは村も人もヒャッハーも、全て灰塵と化した

そんなラオウが狙うは、世紀末でコソコソと暗躍するユダの首である

 

「拳王様ー!報告します」

 

一人のヒャッハーが黒王号にバイクで横付けする

 

「申せ!」(威圧)

 

「はっ!偵察隊が、何者かによって壊滅!」

 

「……何?それは何かの間違いでは?

偵察隊とはいえ我々、拳王軍の者はアミバ流北斗神拳で常人の1,5倍に強化された兵士

それに対抗しうる者など……む?」

 

「ぬぅ……?」(威圧)

 

ラオウとリュウガが、一台のバイクが此方に近付いて来るのに気付く

 

二人乗りで、一人はヘルメットを被った男、もう一人は場違い極まる『ウェディングドレス』を纏った女だった

 

どう見ても拳王軍ではない

 

リュウガは直ぐに露払いを部下にさせる

 

『ヒャッハー!』

 

拳王軍のバイク集団が二人乗りに襲い掛かる

 

しかし、二人乗りのヘルメット男はバイクから飛翔

 

拳王軍のバイカーを足場にし、次々と上空から襲い掛かった

 

最後のバイカーから飛翔し、ウェディングドレスの運転するバイクに悠然と戻れば

 

『へぶわっ!』『か、かねがねぇ!』

『お、おれもだは!』『コロナ!』

『まじ、おわれ!』『しむら、かえせこら!』

 

そんな断末魔を残し、拳王軍のバイカーは爆散した

 

「拳王様、あれは!?」

 

「北斗神拳…全軍、停止せよ!」(威圧)

 

ラオウが拳王軍全てに停止命令を出す

 

荒野で拳王軍数千と向かい合う、二人乗りの男女

 

男がバイクから降り、ラオウに向かって歩み寄り、ヘルメットを取った

 

「貴様…ジャギ、ふん…聖母軍に尻尾を振る男が我が前に立つか

余程、命が惜しくないと見える

俺はユダを滅した後、聖母軍を潰す!

貴様は聖母軍初の犠牲者として、俺が直々に冥府に送ってくれん!」(威圧)

 

「へへっ、兄者ぁ…それはちょっと違うぜ」

 

拳王の圧を前にしても、へらへらと笑うジャギは続ける

 

「兄者、俺は聖母軍として来たのではない

俺は聖母軍をとある事情があって抜けたのよ」

 

「……なに……?」(威圧)

 

「後ろのあれ、見えるだろ?

そうさ、俺は結婚したのよ」

 

ラオウの視線が一瞬だけウェディングドレスの女に向くが、直ぐに下らんと視線をジャギに戻して見下す

 

「下らんっ!

貴様が誰と婚姻を結ぼうと、貴様は俺の前に立った!

故に死は避けられんものと知れぃ!」(威圧)

 

ふんっ!とラオウが剛拳をジャギに浴びせる

 

しかし

 

「ぬぅ!?」(威圧)

 

『なっ……!?』

 

ラオウとリュウガ、拳王軍の面々が驚愕する

 

ジャギが実に緩やかな動きで、一度放てば誰もが死んだ、あのラオウの剛拳を避けたのだ

 

風に吹かれる柳のように、流れに一切逆らわずだ

 

「これはトキの…貴様、どうやら昔のジャギではないな」(威圧)

 

「ひひっ、いいねぇその台詞、兄者に認められるってのは、こんな気持ちだったのかい

……ま、いいや」

 

くるりと後ろを向いて自身のバイクに歩き出すジャギ

 

なぜ後ろを向くとラオウは怒るが、再びバイクに跨がったジャギはヘルメットを被る

 

そして

 

「さてと、兄者ぁー!

紹介するぜ、俺の最愛のパートナーを!」

 

バッと、女の顔を塞いでいたベールを上げて、ジャギは花嫁が誰なのかをラオウに見せ付けた

 

「ばっ、馬鹿な!?

お前は、ユリア!?」(威圧)

 

「ひ~~ひっひっひ!

そうよ兄者ぁ、俺ぁユリアと結婚したのよ!

これから二人で大事な大事なハネムーンだから、俺はここでお暇すらぁ!

兄者にも俺達のベッドでのイチャイチャっぷりを見せてやりてぇが、なんか忙しいんだっけ?

ぎゃはははははは!

ガキは取り敢えず六人は作るからよ!

命名くらいはさせてやるぜぇ!

……あばよ♪」

 

そう言って、固まるラオウを尻目にバイクを明後日の方向に発進させるジャギ

 

去り際、ユリアはラオウに、とどめのブーケトスをしていた

 

 

 

 

 

 

「おい!後ろどうだ?

まんまと付いて来てるか!?」

 

「ええ、凄い形相になって追って来てる!

その後ろに拳王軍も続いてるわ!」

 

「よっしゃ!マミヤ、照明弾を射て!」

 

「了解!」

 

ウェディングドレスの女『マミヤ』が、上空の照明弾を放つと

 

地平線の向こう、ジャギの仲間と思われるバイカーがそれに気付き、同じく照明弾を上げた

 

 

 

まんまとラオウの誘い出しに成功した

 

ジャギは会議中に、二つ思い出したのである

 

一つは、ラオウが覇道を欲するより、ユリアへの歪んだ片思いの方から彼女を欲する気持ちが強いこと

 

もう一つは、ユダの取り巻きガールズの中に、原作漫画に出てきたマミヤが居たことに

 

 

 

ジャギは、あのユリア大好きケンシロウが見間違えたマミヤに、ウェディングドレスを着せるとバイクに乗せ、自らがラオウの気を引いて軍を停止させた

 

そして化粧やベールで、ユリアに誤魔化したマミヤを餌に、見事ラオウを釣り、出来るだけ遠くに遠くにと、ユダの街から離そうとしている

 

マミヤが偶々、ユダ軍の遠征に参加していた事は出来すぎているが、どうも女になった事で性格が変わったユダ曰く、村に帰りたいと願う女はこの遠征の途中や、視察が終わったら帰りながら送り届けると約束していたそうだ

 

つまり、ユダ軍の中にマミヤが混じっていたのは、ジャギがユダにシェルターの視察を提案したから

 

そして拐ってきた女を帰す、ユダの心変わりや、ジャギに拳王軍の到来を教えに来たジャッカルの親切心と言った偶然が重なり

 

結果、世紀末では策略を用いて生き残るタイプの三人が、誰かの為にと動いた事で、こうした奇跡を呼んだのだ

 

 

 

ラオウが黒王号で追い駆けてくる

 

ジャギの挑発、マミヤのブーケトスに、すっかり頭に血が昇っているのか、リュウガが後ろから何か言っているが全く聞く耳を持たない

 

全力で飛ばすジャギにマミヤはしがみつき、振り落とされないようにすると、それもまたラオウを怒らせる要因となって益々、拳王は聞く耳を持たなくさせる

 

だが戦わない、逃げに逃げるだけだ

 

ラオウを倒すのは絶対に無理である

 

ジャギ、レイ、ユダ、カーネル、三人衆

 

七人で立ち向かってもラオウに膝をつける事すら、叶わないだろうと会議で満場一致で纏まると

 

だったらとジャギは提案

 

マミヤと共に荒野を飛ばし、打ち合わせ通りに置かれていた、キッドによって整備万全・ガソリン満タンのバイクに乗り換える『駅伝方式』で、ラオウを連れ回し続けるのであった

 

ジャギが近付けば照明弾が上がり、その付近に乗り換えるバイクがあるのが分かる

 

そしてジャギがバイクを見付けると更に加速し、黒王号を引き離し、マミヤを横抱きに抱えて乗り換える為に飛翔

 

次のバイクをスタートさせて、再び逃走を再開する

 

ラオウからの攻撃はない、なにせラオウの技の威力は一発一発が即死級で、下手をしたらユリア(マミヤ)を殺してしまうと躊躇っているのだ

 

少し哀れに思うが、ラオウの野望に巻き込まれて殺される民衆に比べれば、同情の余地は欠片もない

 

 

 

「ジャギ、水!」

 

「おお!サンキュー!」

 

既に半日以上はラオウに追われながら、休み無くバイクを運転するジャギに、マミヤは後ろから食べ物や水分を補給させる

 

しかしまだ半日を越えただけ、である

 

ユダの街からはそれほど離れていない

バイクを乗り換えての、おびきだし作戦など、こんな非効率な事がいつまでも続けられる筈もない

 

そんなのはジャギは分かっている

 

勝ち目があるから続けているのだ

 

ガサガサとマミヤは地図を広げ、コンパスを見ると、ジャギに指示を出せば、言われたジャギはヘルメットの下でニヤリと笑う

 

 

ラオウの後ろ、拳王軍に異変が起きていた

 

ユダの街で略奪をする筈が、それをすっぽかしてまで、いつまでも女の尻を追っかける拳王に情けなさを覚えたヒャッハーが、次々と拳王軍から離反しているのだ

 

これから彼等は、アミバ流北斗神拳で強化された肉体を使って様々な悪さをするだろう

 

しかし、彼等は一人として次の朝日を見ることはなかった

 

強化された自分達の遥か上を行く実力者、レイとユダ、そしてカーネル隊によって彼等は残らず駆逐されたのである

 

ラオウ、ついでにリュウガのいない強化ヒャッハーなど、真の実力者であるレイ達には全く問題にならなかった

 

レイ隊、ユダ隊、カーネル隊の三部隊が一人も逃がすまいと目をギラつかせている

 

そしていつしか、 作業感覚になっていくレイ達

 

強化ヒャッハーが離反し、本隊から離れた所から奇襲して駆逐、また拳王軍を追いかけながら離反者を待つのであった

 

 

 

 

 

「おっ!あれじゃないか!?」

 

「ええ!間違いない、ジャッカルの言ってた通りよ!」

 

3日ほどバイクを飛ばし、ジャギとマミヤは目的地に近付いていた

 

ドーナツ状に、ぐるりと周囲を高い岸壁に囲まれた、地元の人間は決して近付かない死の土地『永遠砂漠』

 

ジャッカルはラオウをそこに封殺しようと提案した

 

あそこは高い岸壁と熱砂により、常に蜃気楼や砂嵐が起こり、一度入り込んだら、そこに住まう『砂漠の民』以外は抜け出せない自然の迷宮

 

なんでも核戦争の前のそのまた昔には、あそこに古代都市があったらしく、今も変わらず盗掘や探検家が後を絶たないらしい

 

そんな連中は砂漠の民に全て皆殺しにされているとも

 

あまりに危険な場所だが、ラオウを閉じ込めるにはそれしか無いのだ

 

マミヤは後ろを見ると、気の毒な程に乗り回された黒王号に跨がる、依然として元気なラオウが居て、ユリアの名前を今日も叫んでいる

 

「ジャギ…あの人って本当に人間なの!?

一種のサイボーグとか、改造人間とかじゃない!?」

 

「アレは修羅の国って化け物しかいない国から来た、正真正銘の化け物なんだよ!

常人でしかない俺が知るかっての!」

 

(……三日も休み無しで運転する貴方も、私から見たら大概だと思うけどね……)

 

「お喋りは終わりだマミヤ、今のうちに暗闇に慣れとけ!」

 

言われたマミヤは顔に黒い布を巻く

 

会話もそこ迄に、ジャギは話にあった永遠砂漠への入り口、岸壁にぽっかりと空いた場所にバイクを滑り込ませる

 

ラオウも続き、その少し後を半分までに減った拳王軍が続く

 

「……今だ!替われ!」

 

洞窟に入って直ぐ、ジャギは暗闇に慣れたマミヤに運転をさせる

 

そして自身はジャッカルから大量に貰ったダイナマイトを点火して後方のラオウ、ではなく、その後ろの入り口付近に全て投げ付けた

 

黒王号の後ろが大爆発し、入り口が完全に塞がれてしまった

 

ラオウを拳王軍から完全に切り離したジャギは、また運転を替わり、洞窟を飛ばす

 

北斗神拳によって夜目に慣れたジャギの運転によって、彼等は洞窟を突破

 

そして灼熱の砂漠『永遠砂漠』に足を踏み入れた

 

 

 

「ぬぅ……岸壁に囲まれた砂漠とは」(威圧)

 

やや速度を落としたラオウ、だが彼は後ろを省みずに洞窟内を走破

 

同じく脚を踏み入れてみれば、永遠砂漠の風景に驚く

 

そして気付く、ジャギのバイクが消えたと

 

永遠砂漠の蜃気楼が、早くもラオウに牙を剥いた

 

既に砂漠を吹き荒れる強風がバイクの轍を消し去り、追跡を困難にさせている

 

だがラオウは諦めない

 

砂漠がなんだ?蜃気楼がなんだ?

俺は世紀末覇者、拳王だと、ラオウは叫んで黒王号を飛ばす

 

我が行く先に覇道があり、我が行く先にユリアがあり、天がある

 

後退は無い、軍などいつでも作れるのだ

 

一切、後ろを省みずにラオウは砂漠を走る

 

すると砂漠の中から、異国の服を着込んだ砂漠の民が突如出現し、ラオウに集団で襲い掛かる

 

砂漠を爆走するラオウを侵入者だと思い、黒王号を新鮮な肉と判断した彼等は、言うまでもなくラオウに全て蹴散らされた

 

 

 

 

 

 

 

(よし、行ったな)

「待たせたなマミヤ、もう大丈夫だ」

 

「ケホッ、ケホッ」

 

追っ手が自分達を見失った事、砂漠に入り込んだ事を確認したジャギは、砂の中からマミヤと共に姿を現す

 

ダイナマイトの発破により、追跡の手を僅かに緩めたラオウから全力で逃げたジャギは洞窟を抜けると、直ぐ脇にバイクを隠し、マミヤごと砂の中に身を隠したのだ

 

これもジャッカルに教わった情報で、この砂漠の砂はとてもサラサラしていて、吹き荒れる強風が足跡を直ぐにかき消すから、人間は簡単に迷子になるそうだ

 

ジャッカルの情報と、ラオウの性格を熟知していたジャギ、二人の策略がラオウを永遠砂漠に閉じ込める事に成功したのであった

 

 

 

その後、ジャギとマミヤは予め岸壁の上に先回りしていた別動隊の、ジャッカルや三人衆によって救出されている

 

取り残された拳王軍はリュウガだけでは纏められず、次々と強化ヒャッハーは離反するも、彼等は群から離れた哀れな羊でしかなく、狼達によって残らず易々と食い尽くされるのであった

 

 

 

こうしてラオウとは直接、拳を交えること無く、その脅威を払ったジャギは、大暴れをするレイ達と合流し、避難させていたオアシスの難民達に無事に再会

 

彼等は後に、誰一人も失う事なく拳王軍に大打撃を与えた英雄として、シェルターに迎えられるのであった

 

 

 

 

 

 

 

「ユリア、ジャギが戻ってくるそうだな」

 

「ええ、ケン

…それにしても…本当に良かった、ラオウに立ち向かうと知った時はどうなるものかと……」

 

「ああ…俺も心配だった、…なにせ俺達に安住の地をくれた兄さんだからな」

 

ケンシロウとユリアが、ジャギの無事を祝うと、そこに一人の男がやった来た

 

「これはこれはユリア様、何やら良いことがありましたかな?」

 

「あらリハク市長、聞いて、ジャギとユダ軍が協力して拳王軍に大打撃を与え、ラオウを永遠砂漠と呼ばれる地に閉じ込めたの」

 

「…なんと…それは…喜ばしい

……そうとなれば、ジャギ様とユダ様を迎える準備をせねばなりませぬので、この海のリハク、これにて失礼しますぞ」

 

「……?どうしたのかしらリハク市長」

 

「いつもより早く帰っていったな、まあそれもそうか

ユリアの喜ぶ顔を見れば、誰でも嬉しくなる、それは勿論、俺もだ」

 

「ケン……」

 

「ユリア……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チッ!」

 

リハクの舌打ちが静かな廊下に響いたのであった

 




もしかしたらジャギ達の頭上には死兆星が輝いていたかも、ただしそれをへし折るのが本作ジャギです!

正面から当たるなんざ馬鹿のすることよ!
何をしようと生き残れば良いのだぁ!
……だ、そうです

↓ラオウはこの後

『蜃気楼など小賢しい!ジョイヤー!』(威圧)

闘気を高めて拳に宿すと、天に向かって突き上げれば、爆風が上昇気流となり特大のトルネードが発生

永遠砂漠の全ての砂を宇宙まで放り出す

すると砂漠の底から古代都市が復活!

『中々に素晴らしい造り!
この俺に相応しい都であるな!』(威圧)

ご満悦のラオウは水源を探しだすとオアシスを造り、今度は油田を発見

地底で眠っていた植物の種が光と水によって、時を越えて地表に緑として復活

古代都市を復活させた救世主として、生き残っていた砂漠の民に『神』と崇められたラオウの都、『拳王庁』はとんでもなく栄えるのであった

……ついでにリュウガや残った拳王軍も、数ヶ月に合流し、自然が溢れる拳王庁の素晴らしさに驚愕したそう

ジャギ様、ダメでした!



おや?リハクの様子が……ケンシロウとユリアのラブラブっぷりに嫉妬したのかな?すっぼけ

ユダ可愛いよ、ユダ。的な感想が欲しいから書いてみた、悔いはない
ユダ(女)のイメージはイチゴ味の外伝での幼少ユダが、ハリウッド女優ばりの美人に成長した感じでオネシャス

やっぱりジャッカルとの会話は楽しい、そして同じく狡猾なユダを交えた作戦会議をもっと書きたかったですが、尺の都合により泣く泣くカット
その模様は皆様の想像にお任せします

マミヤ初登場!ヤバいな、ジャギとのバイカーならではの連携を考えるはすこぶる楽しい……
あとユリアに扮してラオウを誘き出す作戦、ラオウ好きな人、すいませんでした!
ああでもしないとラオウには勝てないんですよ!

これで北斗四兄弟が全て出ましたね
さて、どうなる事やら

次回はまたも番外編にします
本編を楽しみにして頂いている方々、作者の我が儘をお許し下さい

リクエストは打ち合わせ可能なメッセでお願いします。

感想、補足ありましたらお気軽にどうぞ♪

ありがとうございました!

ジャギの子供は有りか否か

  • 有り
  • 否! 断じて否である!
  • 結婚相手によるな
  • そんなことより世紀末バスケやろうぜ
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