※この作品はR-18です。

核戦争前に原作を読んだジャギが取り敢えず何とかしてみるようです。   作:ヘルメット助教授

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誤字脱字ありましたらスイマセン

いつも誤字報告ありがとうございます




12話

「お願いします…ジャギを助けて下さい」

 

アリサが、上層部のあの白服メガネに土下座している

 

彼女は三人衆と共に、レイとの激闘を経て気絶してしまったジャギを診療所に運んだ

 

本選トーナメントは今、五車星のヒューイとシュレンが戦っており

その試合はお前達にも刺激になるから、絶対に見とけ。そうジャギに言われていた三人衆は、後ろ髪を引かれる思いで試合を見に行っており、今はアリサだけである

 

しかし上層部が裏で手を回したのか、ジャギには治療をさせられないと医師に突っぱねられてしまったのだ

 

何とかお願いしますとアリサ達が食い下がると、そこに狙ったように白メガネが到来

 

彼は大会の医療チームを担当する立場であり、自分を嘲笑ったジャギが死にそうになっているのかと理解すれば、非常に機嫌を良くした

 

アリサは目の前の、人を人と思わない爬虫類のような男が、愛する人の命を救える唯一の存在だと知り、即座に膝を折り、両手と額を冷たい廊下に付けたのだ

 

「ははははっ、困りましたなぁ

……でもね、」

 

しかし白メガネは、そういう誠意でなくて、もっと分かりやすい方法があるでしょう?とアリサを立たせると、彼女の後ろに回るとその細い肩に、非常にいやらしい手付きで触ろうとする

 

アリサはその意味を悟り、瞬時に体を強張らせて断ろうとするが、白メガネはジャギを救えるのは誰であるかを耳元で冷たく囁き、アリサの抵抗を阻止してしまう

 

白メガネはまた囁く

 

「くくくっ、安心しなさい

私が貴女の誠意を見ている間『だけ』、医師には応急措置を済ませてやるよう頼んであげようじゃないか

…そうだ、いっそ本選に休憩時間を設けて、彼の体力が戻るまでの時間を大会本部に進言してあげてもいい

まぁ当然その休憩時間の間も、私に『誠意』を見せて貰う事になるが…」

 

「待ちな」

 

何とも野蛮な声が、白メガネの男の手を止めさせた

 

「ん~貴様は、ジャッカルか

何の用かな?貴様には大会で出た死体処理や、雑務を担当させていた筈だが?」

 

振り向けばジャッカルが葉巻を吹かし、廊下の壁に寄りかかっていた

 

「いやね、その女に手を出すのは、辞めた方が良いって警告しようと思ってね」

 

「ほう?どうしてかな?

私はこの可哀想な女が、愛する男の為に身を呈してまで救えるのか、試そうとしただけだが?」

 

(要はヤらせろだろ?てめーはイチイチ回りくどいんだよ

全く、偉くなると人間ってヤツは、どうしてこう下半身が緩くなるかね)

「ふん…アンタはジャギって男を知らな過ぎる

もしもそいつに、これからやろうとしてる事がバレたらアンタ、間違いなく朝日を二度と拝めないぜ?

まして、心底に惚れた女の弱味に漬け込んで、寝取ろうとする輩には…えげつない拷問が待ってるかもな」

 

「拷問だと…バカな…、私は」

 

「ジャギはこのシェルターの所有者、秘密の部屋など幾らでも知ってるだろう

それこそ、誰にも見つからない部屋もな

そこでアンタは、じわりじわりと一分置きに手先や足先から徐々に肉と骨を削られ、傷口に火を押し付けて無理やり止血され、眼球を取り出し、舌や一物を切り落とされる

……それでいて、どんなに懇願しても、絶対に直ぐには殺してくれないだろう」

 

ジャッカルの言葉は、まるで見たことがあるかのようで、真に迫っている

 

「…ごくり…」

 

「俺を拾ってくれた事に感謝してるから、こうして言ってるんだ

分かったら早いとこ女から離れときな

…ジャギが目を開けて、アンタを見てるからよ」

 

「なに!?」

 

白メガネは即座に振り向くと、そこには

 

『アリサに何してんだ?オメー』

 

そんな目をしたジャギが、殺意を込めて白メガネを睨んでいた

 

「ひぃ…」

 

白メガネは本物の殺気に当てられ、一目散に廊下を走って行った

 

ジャッカルは診療所の医師に、俺は大会関係者だ、こいつを応急措置しろと命令

 

しかしと拒否の反応をする医師にジャッカルは、ハニトラの一件をちらつかせ、黙殺

 

こうして悪友ジャッカルのお陰でアリサの貞操は守られ、ジャギは応急措置を受ける事が出来たのである

 

 

 

「ジャギを助けて下さり、本当にありがとうございます、ジャッカルさん

なんとお礼を言って良いか…」

 

「よしなよ、ダチの女に手を出すカス野郎が許せなかっただけだし、ダチを助けるのは当たり前だろうが」

 

「…へっ、ありがとよ…」

 

「全く、美人な上に健気な彼女を作りやがってこのヤロー!」

 

「…へ、へへっ…」

 

「だがなジャギ、次の相手、ケンシロウはお前を殺す気だぜ?」

 

「…なんだと…?」

 

「上層部の連中がケンシロウを焚き付けやがった

オメ~がユリアを操り、用済みになったらユリアを亡き者にしようとしてるとか、なんとかってよ

…おまけに次の試合は、デスマッチ・ルールに変更されて、どっちかが死ななきゃ試合は終わらせねぇときた」

 

「…マジかよ…」

 

「そんな…ユリア様は?慈悲深いユリア様がそんな事をさせる訳が」

 

「ユリアにはリハクが付いてて、この大会中は誰も近付かせてねぇ

五車星やトキを大会の手伝いに回したのも、ユリアの側で操り易くする為だろうから、ユリアは期待できねぇ」

 

「…チッ…あの爺…考えやがったな」

 

「どうすんだ?いくら上層部に食い込んだと言っても、俺のカスみたいな権力じゃ、流石に大会のルールは変えられねぇ

棄権した方が良いんじゃねぇか?」

 

「そうだよジャギ、もう頑張ったじゃない

もし北斗神拳で、ケンシロウさんを殺さずに勝ったとしても、次の人と戦う時はもっと酷いルールにされちゃうかもしれないよ?

……棄権しよう、ね?」

 

「…ダメだ…俺はアイツを鍛えなくちゃならねぇ」

 

「どう…して…?」

 

「アイツはまだ、本当の戦いを経験して、ない

そんなんじゃ、俺は安心して、サウザーを倒しに行けねぇんだよ」

 

「……」

 

「サウザーが動けば、必ずラオウは動く、ラオウはトキの兄者が居れば良いが、甘ちゃんケンシロウはトキだけに任せられないと、必ず、ラオウに戦いを挑むだろう」

 

「……」

 

「このままじゃアイツは死ぬ、そしてユリアもアイツの後を追って死ぬだろう

それはシェルターで生きる奴ら、いや、聖母軍が絶対に阻止しなくちゃいけない事だ、アリサ、そこは分かってくれ」

 

「…でも…試合に出たら、ケンシロウさんは」

 

「アリサちゃん、多分こいつはケンシロウに勝つつもりはねぇよ」

 

「え?」

 

「ケンシロウが死んだらユリアが悲しむ

……だろ?」

 

「……」こくり

 

「でも、お前も死ぬつもりは欠片もない、だな?」

 

「……」こくり

 

「……~~~っっっっっ!」

 

「いでぇぇ!」

 

アリサはジャギに平手打ちをした

 

「それでもし死んだら私、許さないからっ!

もしジャギが死んじゃたら、ユリア様みたいに地獄の底まで一緒に付いて行くからね!」

 

「…地獄の底までか…

まさか覚えてたのか?あの時の言葉を」

 

「当たりまえだよ。私を救ってくれた愛する人の言葉だよ?忘れる訳がないじゃない!」

 

「………ありがとよ、アリサ…愛してるぜ」

 

「っ?……えへへ、初めて愛してるって言ってくれたね」

 

「そう、だったか…すまん」

 

 

 

(あ~あ~、俺は完全に蚊帳の外かよ

……彼女つくろっかなぁ~)

 

ジャギとアリサが二人だけの世界に入ると、置き去りにされたジャッカルであった

 

 

 

 

 

 

「…本当に行くの?」

 

「ああ」

 

「じゃあ、キスして」

 

「ん?……ふふっ、」

 

「んっ……んんっ」

 

控え室の出口に愛する人を押し付け、少し長めにアリサに口付けを交わし、それが終わるとジャギはリングに向かうのであった

 

『…おっと!御覧下さい皆さん!

欠場すると思われていたジャギ選手の入場です!』

 

『わあああああああああああ!』

 

ジャギが現れた事で歓声が上がる

 

(お願いします…どうか、あの人を)

 

控え室から客席に向かわず、アリサは試合が無事に終わる事を、体を震わせながら願う

 

その健気な姿を、護衛のカーネルが影から見守る中で…

 

 

 

 

 

 

「兄さん!いや、ジャギ!

ユリアの優しさに付け入り、ユリアを騙し、ユリアを利用しようとした貴様を俺は許さない!

絶対に、許さない!!」

 

リングには既に出来上がったケンシロウがおり、ジャギに指を差して殺意まんまん

 

「待てケンシロウ、上層部はお前に」

「兄者、今のコイツに何を言っても無駄だ

好きに言わせてやれ」

 

トキが宥めようとするのをジャギは制する

 

この手の脳ミソ筋肉な純情めんどくさい奴の相手は、レイで慣れているのだ

 

好きに言わせ、その言葉に皮肉を込めて返せば、あら不思議

 

単純な動きしか出来ない拳士の出来上がり、という訳だ

 

「なんとか言ったらどうなんだ!」

 

「そのユリアが助けてくれと頼んだのか?

大会中はお前ですら会わせて貰えないらしいが、はて?どうしてケンシロウ坊やは、俺がユリアを騙していると思うようになったのかなぁ?」

 

「ユリアを思う人達が俺に教えてくれた!」

 

「ケンシロウ、それは」

「兄者……」

 

トキが、やや呆れた様子でケンシロウをまたも止めようとするが、またジャギに制された

 

『本選トーナメント準決勝は、ケンシロウ選手VSジャギ選手の兄弟喧嘩!

しかもルールは、なんとデスマッチ形式で行われ、どちらかが死ぬまで決着は着きません!

ご存知の方も多いでしょうが、改めて申し上げましょう!ケンシロウ選手は我等が慈母・ユリア様の婚約者なのです!

なんたる事!なんたる運営!これは頭がおかしいとしか言い様のないこの決定!

これは大会関係者、やり過ぎじゃない!?』

 

『BOOOOOOOOOOO!!』

 

ジャギがチラリと主賓席に目をやれば、ユリアが傍らのリハクに必死の形相で、何か言っている

 

読唇術を使わずともジャギには分かる、大方この試合を止めさせようとしているが、リハクに邪魔されているんだろう

 

主賓席の隣、来賓席に居るユダはリハクに呆れ顔なのも見れて、少し笑える

 

『カーーーーーン!』

 

早く殺されろと言わんばかりに、ゴングが渇いた音を鳴らす

 

ケンシロウとジャギは構えを取った

 

『本選トーナメント準決勝!

嗚呼、いま無情にも打ち鳴らされたゴングに、義理の兄弟が互いの命を取り合うサバイバルを開始しました!』

 

体力の有り余るケンシロウはジャギに速攻を仕掛け、反対に既に満身創痍なジャギは拳を手刀に変えると

 

「伝衝裂波!」

 

遠距離で攻撃が可能な南斗紅鶴拳で、まずはケンシロウの勢いを殺す

 

ただ距離があり、体力を温存させるジャギから放たれた衝撃波に本来の威力は無く

 

『ジャギ選手!手刀から発せられた斬擊でケンシロウ選手の進行を阻止している!

うぉ!ケンシロウ選手の服がビリビリに破れていくぞぉ!』

 

伝衝裂波がケンシロウの服を切り裂き、その下の薄皮を剥ぐ

 

だがそれでは勝てない

 

「こんな技で、俺に勝てると思うなジャギ

……ふんっ!」

 

今度はケンシロウがジャギの動きを真似し、迫り来る伝衝裂波に『伝衝裂波』で相殺させる

 

(…まずは伝衝裂波を見切ったか)

 

ジャギの伝衝裂波より、少しずつケンシロウの伝衝裂波が精度を上げていく

 

より強く、より鋭く、怒りを込めて衝撃波を放つと、今度はジャギが放たれる衝撃波を相殺しきれずに、服や薄皮が切られ始めた

 

応急措置の意味で巻かれた包帯も切られ、痛々しい斬擊の痕が白昼の元に晒される

 

さっき見た伝衝裂波を、一瞬でケンシロウが強化しやがった

やっぱり北斗宗家の血筋は化け物だと、ジャギは思う

 

衝撃波の応酬は終わりだと、ジャギは次に南斗水鳥拳を披露

 

衝撃波を飛び越えて、ケンシロウに迫ると

 

「朱雀展翔!」

 

落下エネルギーを加えた斬擊を放つ、だがケンシロウは初見でもその動きを見切り、間一髪で避ける

 

ケンシロウは射程内に入ったジャギに『北斗百裂拳』

 

凄まじい速度の拳が迫る、数秒で五十回も相手に打ち込む必殺の技

しかしそれは攻撃よりも秘孔を突く為にあり、食らう相手は蚊ほどにも痛みが無いのが特徴

 

「あたたたたたたたたたたたた!」

 

「うるぁぁぁぁ!」

 

負けじとジャギも、通常の北斗羅漢撃で反撃

 

高速で動く腕が残像を生み出し、ケンシロウの目を欺いて秘孔を突く羅漢撃は『明鏡止水之心得』を突かずとも、ぬるま湯の中で生きてきたケンシロウに充分に通用する

 

『は、早!ケンシロウ選手とジャギ選手、早すぎる突きの応酬だ!

何をやってるのか全くわからないぞ!』

 

バッと距離を取った二人は、互いに突かれた秘孔を見抜き、爆散する前に全てを解除し、睨み合った

 

「やるな……ジャギ」

 

「けっ、オメーがユリアとの生活で鈍っただけだ」

 

吐き捨て、ジャギはまた構える

既に傷は開き、酷く出血しており、もうあまり時間が無い事を本人は分かっている

 

短期決戦を挑むようだ

 

理解したように、ケンシロウも呼吸を整え、腕を回して構えを取る

 

両者は先程よりも早く、激しく撃ち合う

 

ジャギは 秘孔『明鏡止水之心得』を自らに突き『極・北斗羅漢撃』を出す

 

(…行くぞ…)

 

静かな表情となるジャギ

 

全ての負の感情を人為的に捨て去った本物の羅漢撃は、残像すらケンシロウの秘孔を突いていたが、ケンシロウには負の感情がそもそも欠落した所があり、この極・北斗羅漢撃と相性が良かったのか

 

北斗神拳奥義『水影心』で見切ると、放たれた拳にカウンター技である『五指烈弾』で簡単に無力化してしまう

 

(…なんだと…)

 

手首から先が無くなって困るジャギが、技を止めて、距離を取りながら突かれた秘孔を破るが、既に秘孔を気迫で解除したケンシロウは反撃を開始、ジャギは次から次へと秘孔を突かれては解除、また突かれては解除を繰り返しているので、じり貧となる

 

『おっとぉ!一方的な展開になってきました!

ケンシロウ選手が攻撃が続いており、ジャギ選手が打たれた箇所を何やら気にしており、反撃が出来ていない!

ケンシロウ選手、猛攻!』

 

「ジャギ……覚悟!

『北斗八悶九断』!」

 

(…それは食らえない…)

 

「な、に?」

 

ジャギが流れるような動きを展開し、ケンシロウの技を避け、カウンターの一撃を見舞う

 

「そ、それはトキの?」

 

(……)

 

(……ジャギ、先程の秘孔で無理やりに感情を捨て去り、柔の拳の精度を上げたのか)

 

トキとの稽古で身に付けた柔の拳である

 

「穏やかな心を持たない、お前がトキの技を使う事は許されない!

まさか……ユリアを騙したように、トキをも騙したのか!?

許さん……許さん…許さねぇ!

ジャギ!お前には地獄すら生ぬるい…!」

 

『ケンシロウ選手!怒りを込めてジャギ選手に襲い掛かった!

し、しかし……ジャギ選手、人が変わったかのように実に緩やかな動きで、ケンシロウ選手の猛攻を避ける避けるぅぅぅぅぅ!

ジャギ選手!やるじゃない!』

 

『柔の拳』は、攻め手よりも『受け側』に回って初めて真価を発揮する技

 

自ら攻め手に回る事は少なく、相手の攻撃を捌き、素早く間合いの内側に入り、反撃するのが主

 

つまり今のケンシロウが使う、怒りを燃やした拳とは正に対極に位置する拳

 

火と水

 

体力の有り余るケンシロウが果敢に攻めるが、ジャギはスルスルといなし、カウンターの双掌打で鳩尾に重い一撃を入れ、僅かに怯んだケンシロウに怒濤の連撃を入れる

 

「ぐはぁ!」

 

『ケ、ケンシロウ選手、ダウン!』

 

(ぬっく、強い…ダメだこのままでは、勝てない

ユリア…俺に力をくれ)

 

今のジャギは自らに突いた秘孔の効果や、かつてのトキとの稽古で身に付けたケンシロウの知らない数多の技がある

 

しかしジャギは出血が酷く、顔は青ざめ初めており、カウンターを重視する柔の拳の特徴もあってか、その場から動きはしない

 

迂闊には攻め込めないが、間合いの外からなら勝機はあるとケンシロウは見た

 

ならば

 

「伝衝裂波!」

 

「っ!?」

 

幾重にも重ねられた衝撃波がジャギに襲い掛かった

 

原作でもラオウが柔の拳を発動したトキに苦戦したが、ケンシロウ同様に射程外からの攻撃で攻略している

 

こうなるとジャギは無力、一方的に切り刻まれ、おびただしい出血をし、遂に意識を失う

 

『ジャギ選手、フラついている!

ついにダウンかぁぁぁぁぁ!?』

 

『ジャギ様ぁぁぁぁぁぁぁ!』

『死んじゃ嫌ッスよぉぉぉぉぉぉ!』

『死んだら奴隷にしに行くからね!』

『ケンシロウ!テメーは騙されてんだよド阿呆う!』

 

(……ぐっ!)

 

『な、持ちこたえた?持ちこたえましたジャギ選手!』

 

ジャギは聞き慣れた声に、反射的に踏ん張った

 

しかし、秘孔の効果は切れ、血が少なくなった事で意識は朦朧

 

いつ死んでもおかしくない

 

「ふぅふぅふぅ……」

 

「なぜだジャギ、貴様ほどの卑怯な男が」

 

「…るせぇ…アイツらの声が聞こえねぇだろうが」

 

アイツら?、ケンシロウは耳を澄ますと

 

『ジャギ様は落ちぶれた俺を救ってくれた恩人なんス!ジャギ様を殺すんなら、先に俺を殺してみやがれケンシロウ!』

『SMしか取り柄のない、跳ねっ返りの私を、手下に置いてくれる人の代わりを用意できるもんならやってみな!

できなきゃ、アンタの女をメスブタにしてやるからね!』

『尻の穴から腕突っ込んで奥歯ガタガタにしたるぞ、ゲジ眉野郎!』

『ガウガウ!グルルルルァァァァ!』

『ジャギさーん!アイリです!死なないでー!』

『ジャギ、テメー!死んで勝ち逃げなんざ許さねぇからなぁ!

もう一回、俺と勝負しろおおおお!』

 

野次にしか聞こえない応援、だが実にジャギ向きの応援である

 

「こ、これは」

 

「ぐっ……悪いな、騒いでるアイツらの為にも、簡単には死ねねえんだよ、俺は」

 

「なぜ貴様のような悪党に…」

 

「北斗の里、そしてシェルターしか知らないオメーと違って、俺は狭い世界で生きちゃいねぇ

もっと広い視野で先を見ろ

何が正しくて、何が本当に悪いのか

そしていつか、世界が平和になったら街の外に出て、色んな人に会って、色んな経験をしな

ケンシロウ、お前もいつかはユリアと結婚するんだろう?だったら」

 

「ジャギ!」

 

ケンシロウでもジャギでも、トキでもない言葉に、三人は後ろを振り向く

 

いや、客席の全ての人間が見た

 

その人物を見たままジャギは言う

 

「せめて愛する女だけは、どんな手を使っても守るんだ

そう……どんな事をしてもな」

 

『ガーーー、ガーーー、ピーー』

 

いきなり、大会用のスピーカーから変な音が辺りに響き出した

 

すると、

 

『しかしアレですな、『ピー』様、ジャギを悪人に仕立てあげ、阿呆な『ピー』を乗せる貴方の弁舌の妙技にはこの『ピー』、感服しましたぞ』

 

『な、なんだぁこの放送は!?』

 

『…ざわざわ…』

 

「ジャギを…悪人に???」

 

ケンシロウは訳が分からないと茫然自失

 

『然り然り、あの時の『ピー』の顔は全く傑作でしたなぁ!

愛する者を、信じていた義理の兄に裏切られたと信じ込み、徐々に怒りに染まっていく『ピー』、いやはや実に愉快愉快

『ピー』も録な男に惚れませんなぁ』

 

『ま、あの女も言ってしまえば、ただの物好きな女という事でしょう

でなければあんな浮浪者共の象徴など、誰がやるかと言うもの』

 

『『『はははははははは』』』

 

『……ざわざわ……』

 

放送はそこで終わった

 

誰がその放送をしたのかは、誰にも分からない

 

しかし、話の人物と内容は理解できたらしく

 

『『『BOOOOOOOOOOO!』』』

 

猛烈なブーイングが大会本部に陣取る連中、三人の男達へと向けられたが、既にその男達は行方を眩ましており、不在であった

 

 

 

試合中だと我に帰ったケンシロウは、ジャギの姿を探すが、彼はリングの上には居なかった

 

「ジャギ……?

トキ兄さん、ジャギは?」

 

(……)

 

トキの視線は、リングの外に向いている

 

ジャギはリングの外に倒れていたのだ

 

『ジャギ選手……?場外に落ちて、いますね

あれ?この試合はデスマッチ……』

 

「そこまで!」

 

『これは一体どうした事だ!?審判トキが試合を止めたぞ!』

 

『…ざわざわ…』

 

トキが試合終了の合図を出す

 

「ジャギの場外負けだ

勝者ケンシロウ!」

 

『場外、負け…?場外負け?

えええええええええええええ!?』

 

『……ざわざわ……』

 

混乱の中、トキは声を張って説明をする

 

「この試合のルールは確かにデスマッチ・ルール、しかし場外負けが適用されないとは、渡されたルールブックには一切記入されてなかった

よってこれまで通り、場外負けが生きており、ジャギは場外に落ちたことで大会本部の決めたルールに乗っ取り、勝者はケンシロウとなる」

 

『な、なんとぉ!!

まさかのルールの穴を使ったジャギ選手の頭脳プレー!

自分の命!そしてケンシロウ選手の命をも救ってみせたジャギ選手、やるじゃなああああい!』

 

アナウンサーが叫ぶと、観客も、その手があったのかー!と一杯くわされた表情をし、次にユリアの婚約者の命を守っただけでなく、素晴らしい激闘を繰り広げてくれたジャギとケンシロウに喝采を送るのであった

 

 

 

その頃、シェルター内部の廊下では

 

 

 

「な、なんたる事だ!ジャギを殺せず、ケンシロウさえも無事とは」

 

「こ、このままでは不味いですぞ!」

 

「どうする?あのテープの声の主が我々だと、もう露見してしまった!

こうなればユリアを人質にして、強引にサンクチュアリを」

 

「いやそれは…むしろ全責任を市長に押し付け、ユリアを我等がお助けするのが得策」

 

「おぉ!それは妙案、」

 

大会本部関係者のチョウコウ・コウコウ・ソンコウの三人が慌てふためいて、責任転嫁を画策している

 

 

 

そこに

 

「この醜い豚どもが……」

 

カーネルが鬼の形相で姿を現し、行く手を遮った

 

「ジャギ様を殺そうとした上で、誰かに責任を押し付けてトンズラとか、アンタら最低だよなぁ」

 

後方からは、メリケンが噛みつかんばかりの雰囲気で退路を断つ

 

「ん~、アリサに手を出そうとした屑はいないの~?

つまらないわね~、まぁブヨブヨの豚三頭で今は我慢してあ・げ・る♥️」

 

「…殺す殺す殺す殺す殺す殺す…」

 

御嬢と、ケンシロウ並みに殺意まんまんのキッドも続く

 

「な、なんだお前達は!?ここを何処だと…」

「うるせぇ!」

 

メリケンの狂拳が、豚の弛んだ腹に突き刺さる

 

それが切っ掛けになり御嬢が鞭で豚を調教開始、叩かれていない部分が無くなる迄、永遠に叩かれ続けた豚は天国に昇天した(死んでない)

 

キッドに目をつけられた豚は、ここに書くのも躊躇うようなキツい拷問を受けて悶絶している

股間を抑え、腰を震わせ、口からは泡を吹いているとだけ明記しておこう……

 

「殺すなよ、ジャギ様の命令を忘れるな?」

 

カーネルは止めはしないが、やり過ぎない程度に留めさせる

 

「分かってるッスよ!けどね!」

 

「こうでもしないと、気分が晴れないのよ!」

 

「…まだまだ潰す…」

 

三頭の豚の悲鳴が上がる廊下の角、葉巻を吹かした髭面の男はニヤリと笑うと、空中に一本のテープを投げたり掴んだりを繰り返し、その場を静かに離れた

 

どうも雰囲気から察するに彼、ジャッカルがカーネルを使って三人衆に全てを話させ、ここに導いた様だ

 

 

 

 

 

 

 

「すまない、兄さん」

 

「バーカ、気付くのがおせーんだよ、イチチッ」

 

ケンシロウがジャギに肩を貸しながら、控え室に向かおうとしている

 

一部、真実が混じってはいたが誤解は解けた

 

あのまま続けていたら本当に、どちらかが死ぬまで終わらなかったろう

 

観客からは、その美しい義兄弟の関係に割れんばかりの拍手が飛ぶ

 

 

 

その様子に主賓席のユリアは、これ以上ない位に安堵し、その傍らのリハクは青い顔でウロウロしている

 

まだ何かを考えているようだ

 

その見苦しく無様な様子を見て、ユダは鼻で嗤い、そのまま静観を貫く

 

策がここまで空振りしたのに、まだ何かを考えようとする、この男の頭の中はどうなっているのかと心底呆れた様子も美しいと、傍らのコマクや取り巻きガールズが思っていると

 

そこに

 

「おらぁ!」

 

テントを塞いでいた兵士が、彼等の中へと吹き飛ばされてきた

 

「な、何奴!」

 

場を荒らされた悪党の、御決まりのような台詞を吐くリハク

 

テントに入って来たのは

 

「ジュウザ…?ジュウザ!貴様ぁ!」

 

南斗五車星に属しながらも、自由を愛する『雲のジュウザ』であった

 

「雲のジュウザだ、邪魔するぜ御嬢さん方」

 

テント内はリハクとコマク、転がっている兵士以外は全て美女揃いな為、瞬時にアダルトモードになったジュウザの口調は柔らかい

 

リハクを無視し、ジュウザは後ろから誰かを手招きすると、テントに次々と人が入ってきた

 

「貴様らまで…」

 

三人衆にボコボコにされた豚三頭を連れた、一回戦負けのヒューイと二回戦負けのシュレン、そしてリハクの実の娘トウであった

 

 

 

「父上、この者達から全て伺いました

……誠に御立派でした父上、この者達の野心にいち早く気付くかれ、上層部の膿を取り出される為にこの様な芝居をなされ続けていたとは…」

 

「…?…」

 

( ゚д゚)ポカーンとするリハクに、トウは続ける

 

「ユリア様とケンシロウ様を敢えて離させ、ジャギ様への根も葉もない噂を吹き込み、その結果、ケンシロウ様は見事に覚醒なされましたね

あの様子なら、きっとラオウ様に対抗できましょう」

 

「いやぁ~大したもんだよ、ねぇ『膿』のリハクの旦那ぁ」

 

「…???…」

 

含みのある言葉をジュウザが発しても、リハクは何がなんだかさっぱり理解できていない

 

実の娘に助け船を出されているのに、ガン無視をするどころか、見逃しまくっているとは、とんだ知恵者である

 

「リハク、そうなのですか?

貴方は、自らを犠牲としてまでケンや、この街の事を思い、このような事を?」

 

「……えっ?」

 

ユリアに尋ねられ、素の声になるリハク

 

それが面白かったのか

 

「ふっ、あははははははは!」

 

来賓席のユダが突然、笑い出した

 

「こ、の妖星のユダさえも見抜けなかった策の冴えっ、大会よりも堪能させて貰ったぞ、流石はっ、天災軍師と呼ばれるだけの事はあるわ

ははははははっ!」

 

笑いを堪えているが言葉の所々で吹き出しているユダ、トウやジュウザの芝居に乗ってやったのだ

 

「笑う姿も実に美しいね、どうだい?このジュウザと燃えるような恋をしてみないか?」

 

女王の表情を崩して笑うユダに惹かれたのか、ジュウザが口説きに入る

 

「…恋か、それは今の私には贅沢で過ぎる代物よ

今は自分の街を如何に統治する事しか頭にない、誰かを振り向いている余裕は残念ながら無いのでな」

 

「心を痛める姿も素敵だが…ダメだぜ、そんなんじゃ

恋する女性の前では、例えどんなに嗜好の品々も」

「ん…ん゛んっ!!」

 

コマクの咳払いが邪魔をし、トウが空気を読みなさいとジュウザの首根っこを引っ張ってユダから離す

 

「全く貴方は、ユリア様の御前ですよ?

少しは自重しなさいっ」

 

「ふん、知ってるだろ?俺は雲

好きなように生きて、美しい女を一途に愛し、そして人生を謳歌するのさ

丁度、彼処で抱き合ってる二人みたいに」

 

ジュウザは顎でその方向を示す

 

彼等が向けた視線の先では

 

ジャギに抱き付いたアリサと、彼女を優しく包み込むジャギの姿があった

 

 

 

 

 

 

 

 

(今の内に……)こそこそ

 

「待ちな!」

「ぐえっ!な、にをするジュウザ!」

 

「おいリハク、アンタは暫く『仕事の過労』が溜まったって事で市長と五車星のリーダーの座はトウに譲って、自宅療養な

あ、これ、五車星全員の総意+ユリアの了承ありだから」

 

「Σ( ̄ロ ̄lll)」

 

 

 




ジャッカルのファインプレー集になってしまいました

寝取りダメぜったい!

やっとジャギが『愛』を口にしました

そしてケンシロウも強化され、二人は生きてる

三頭の豚は後に、回復したジャギによって物理的に心を浄化、それ以降、人が変わったように善政を敷いたそうです

ジャギ『全自動善政マシーンを作った方が、いちいち殺すよりマシだろ?』

あ、アリサに手を出そうとした白メガネは、北斗性転換掌を喰らい、ジャッカルの手に堕ちたそうです
m9(^Д^)プギャー

あとは、前々回でバスケットボールにされたジードはデカい美女に変えられ、デカい男専用の娼婦となり、人気を博したそうでさ!

決勝戦はケンシロウVSシン
ジャギとの戦いで覚醒したケンシロウに、警備隊隊長のプライドを賭けたシンが挑み、二人の戦いは正に激闘となる

だが凄まじい激闘が長時間続いた結果、リングが二人の生み出す衝撃に耐えられなくなり、木っ端微塵に破壊

試合が続行不可能となって両者、引き分けのダブル優勝で、サンクチュアリ最強を決めるトーナメントは幕を閉じた

強化されたケンシロウとやり合っても負けないシンの強さに、ジャギやレイは唸ったそうだ

これで良いのだ。うんうん

サンクチュアリで強い順に並べますと

トキ>ケンシロウ=シン≧ジャギ≧レイ

ジュウザはまだ戦っていないので、戦闘力は未知数
ただ五車星の青と赤の人よりは確実に強いので、ジャギとレイと同じ位かも

三倍早い赤い人の『戦いとはいつも二手三手さきを云々』よりも、戦いとは結局のところ数で、情報戦だと思います。キッパリ



某、自宅療養中の膿の人『ち、ちきしょ~』

青い人『おい!それよりも俺達の紹介は一回戦負けのヒューイと、二回戦負けのシュレンで、会話シーンも無しかよ!』

赤い人『それより俺達の戦ってるシーンすら無いってのか!?』

某、膿の人『ふんっ黙れ、雑魚は引っ込んで、あばふぅ!』

作中で初めてリハクを殴ったって事で、今回の話のMVPはヒューイとシュレンにします。オメデトー

ジュウザ、こんなキャラにしましたが、如何だったでしょうか?
ジャギとアリサの愛の嵐が、雲のジュウザを動かした的な感じで作っていきます

次回はなんと、番外編を三本立て!
本編は少しだけ、お待ち下さい

リクエストは打ち合わせ可能なメッセでオネシャス

感想、補足ありましたらお気軽にどうぞ♪

ありがとうございました!


本作品のヒロインは?

  • アリサ
  • 三人衆をセットにすれば良い
  • 作中で誰よりも早く花嫁姿になったマミヤ
  • 世紀末レベルで悲劇のプリンス、アミバ
  • そんなことより、リハクを殴らせろよ!
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