核戦争前に原作を読んだジャギが取り敢えず何とかしてみるようです。 作:ヘルメット助教授
誤字報告いつもありがとうございます
ネタが尽きたので番外編ではなく、本編になります
「…拳王様の留守を狙うとは、…この俺が相手になってやる」
「白髪のケソケソ野郎が、お前も他の連中みたいに、とっとと降参しやがれ」
拳王庁にある一際大きい古代文明の建物の中、ジャギとアミバが構えを取り、向かい合っている
ユダ軍と合流したジャギは、宣言通り拳王庁を襲撃し 、聖母軍の本拠地を狙うラオウの背後を脅かそうとした
シンの警備隊は拳王軍を相手に良く持ちこたえているが、拳王軍本隊は背後を気にせずにサンクチュアリに迫る勢いだと言う
やはり、ラオウの動きは想定通り過ぎて、ジャギは呆れを通り越して笑ってしまった
事前にケンシロウとユリアの結婚式の招待状を直筆でしたためたジャギは、サウザーの撃破と同時にそれをラオウに出すようトウに渡していたのだ
未練と焦りがあるため拳王軍には本来の纏まりは無く、飛び出したラオウをリュウガ率いる本隊が追従している形だと、斥候のカーネルとコマクの報告で聞く
足並みを乱した軍など、 恐るるに足らない
雑魚の集まりなら、シンの軍で充分に対応できる
『ラオウの本隊をどうする気だ?』軍議の最中で出た、ユダからの質問に対してジャギは
リュウガには珍しくヤル気満々のジュウザが、拳王軍本隊には五車星の隊が、ラオウにはトキが当たる手筈になっているから問題はない
万が一、トキが敗れてもフドウが教会の脇で待機しているし、ユリアとの記念すべき結婚式を荒らされたケンシロウは、強いぜ
更には連中が争っている内に、ラオウの目当てのユリアはバットの改造バギーでオサラバ。しかも影武者のマミヤがバイクで翻弄する役も引き受けてくれたからな
ではリハクは?お前が不在、サンクチュアリの危機の状況で、あの男が動かないとは思えんが
アイツは、この騒ぎのどさくさに乗じて拳王軍の縄張りで、ある場所を調査させてるからサンクチュアリには不在、だから大丈夫なんだよ
敵と内通するかもしれんぞ?
したらしたで、また捕まえてお仕置きをすりゃいい
サウザーが失墜してラオウが領地に不在の今、聖母軍にとってこれほどのチャンスは無い
それにリハクが拳王軍内部で暗躍し、俺達が攻め込む先の領地の治安、連携を乱してくれた方がやり易いしな♪
ふぁ~はっはっは!
(コイツが味方で本当に良かった…)
だからと安心して、拳王軍の本拠地を落としに掛かる両雄
周囲を高い岸壁に囲まれ、嘗ては永遠砂漠、帰る者がいないと囁かされた不毛の大地には人と、緑に溢れていた
水が有るところに人が集まる上に、ラオウは絶対の強者である
配下なり住民なり、形は違えど味方となれば、これほど頼れる男は存在しないだろう
しかし肝心な時に不在ではな
ユダ軍が警備の連中を軽く蹴散らし、ジャギ隊は拳王庁に乗り込む
突入すれば多少、強化されたヒャッハーもジャギやレイ、三人衆やカーネルの前には無力で、殺される前に次々と投降
拳王庁は陥落したと思った矢先、白髪で白髭のアミバがジャギに襲い掛かったのだ
以前とは違い過ぎる風貌に、同じく南斗聖拳を学んだレイも、ソイツがアミバと気付くのに時間が掛かった程
アミバが発見した秘孔はジャギにも分からないので、迂闊に近づくは下策
ジャギはレイ達にコイツは俺がやると言って、拳王庁の完全制圧とトウの発見を急がせる
誰も居なくなった場に、ジャギとアミバが向かい合う
「…さて、幾多の死を経験した俺はいつでも死地に入る覚悟があるが、…果たして、お前はどうかな?」
「その容姿や性格を見るに、兄者にコキ使われ過ぎたみたいだな?
それは同情するが、こっちも構ってる時間が惜しいんでな、さっさと決着つけようや!」
「来い…」
更に構えを引き締めるアミバ
だがジャギは構えを解き、ダラリと腕を下ろす
「?、なんの真似だ」
「俺が、そこらの連中とは違うって所を教えてやる
…さて、アミバよ
今、聖母軍では拳士よりもエンジニアを募集している」
「…む?」
「この御時世、手に職のあるものは、ただ暴れるだけの阿呆千人よりも価値がある」
「……」
「ましてそれが腕が立つ者なら、喉から手が出る程に欲しいのだ」
「…俺を勧誘する気か?辞めておけ、俺は終始、死兆星の瞬きに憑り付かれているのだ」
「死兆星…ふん、そんなの、ほんの少しだけ生き方を変えれば消えちまうさ」
「…なに…?」
「ふっふっふ…」
にやりと笑うジャギは、アミバに聖母軍の労働基準法を話すのであった
「ジャギ様、報告しやす、拳王庁の占拠が完了しやしたぜ」
応と言ったジャギと、何故か滝のように涙を流すアミバがレイ達と合流する
拳王庁は聖母軍とユダ軍の前に陥落
逃走者もなく、住民からの反乱もないそうだ
「おい、ジャギ」
「んだよ、レイ」
「アイツは、なんでさっきから泣いてるんだ?
それに、どうして付いてくる?」
レイが泣きながら追従してくるアミバを見て、直ぐにそれの原因がジャギだなと質問をしてきた
こういった事は大概ジャギが関与しているのは、既に分かりきっているのだろう
メリケン達も先程まで、ジャギと争っていた筈の男が共に歩いている理由を知りたがっている顔だ
「ん~…、悩みを解決してやったら、なんか仲間になった」
「は?悩み?」
「ヘッドハンティングした、って言えば良いか?
勿論、聖母軍の労働基準法には違反してない待遇でだがな」
「ヘッドハンティング…アミバをか?」
「そっ」
「……」
なんのこっちゃと言う顔をするレイと三人衆
元凶であるジャギは何食わぬ顔、アミバはまだ泣いているのであった
「トウ様!五車星のシュレン様より報告!
ラオウの本隊がサンクチュアリ近郊に現れ、ジュウザ様がリュウガと激突し、これに勝利!
拳王軍の本隊は予定通り五車星の部隊が当たっており、戦況は良好!
なおラオウは作戦通りに素通りさせ、順調に教会を目指しているとの事!」
「分かりました。引き続き状況の報告をお願い」
「ははっ!」
「トウ様、申し上げます!シン様の部隊、拳王軍の大半を蹴散らしたとの事です!」
『ゴニョゴニョ』
「はい…では、シン様には引き続き現地に留まり、拳王軍に睨みを効かせて下さいと伝えて」
「承知しました!」
「きゅ、急報!拳王軍の領内でジャコウと名乗る人物が拳王を裏切りまして、あろうことか天帝を後ろ楯にした元斗軍を結成!
更にはそれに乗じる者が続出し、拳王軍の領内の半分は元斗軍の支配下に落ちました!」
『ゴニョゴニョ』
「はい、ではそちらにはジャギ隊のみを向かわせますので、…えっ!?」
少しお腹の大きくなったトウが驚き、相談役として側に居る『胸に十字の傷がある男』ジャギに振り向く
言葉は発せずに本当に?といった顔であるが、ジャギは、それがどうした?と言わんばかり
勝算なしで目の前の男は動かない、それが分かっているトウは、暫し考えた後にジャギ隊を元斗軍と拳王軍の争う地に派遣したのであった
「お~し、行くかぁ」
改造バイクに跨がり、ヘルメットを被ったジャギは出発の合図を出すとカーネル、メリケン、御嬢、キッド、元モヒカン、軍人が車両をスタートさせる
拳王軍の本拠地・拳王庁は聖母軍の支配下に置かれ、管理運営される事となった
今も拳王軍本隊を背後から監視しつつ指示を出し、元斗軍に対抗する聖母軍最前線の砦のような役割を担う
他にも身重のトウを気遣うといった理由と、資源の豊富な拳王庁をそのままにするのは勿体ないとの理由もあるので補足しておこう
ラオウの子を身籠ったトウを見た時、殆どの者が驚き、おめでたの言葉を述べたが、目論見通りに事が進んでいるジャギは悪い顔で何かを企んでいた
この騒動が片付いたら、腹の子を上手く使うつもりだろうが、今は元斗軍と拳王軍の連中である
ユダに守りを任し、ジャギは出発
ここの護衛がユダでは危険だと、監視役としてレイは残ると言う
他にも重圧からも死兆星からも解放されたアミバは、進んで此度の遠征に参加するつもりであったが、体が資本の世紀末でその体調はダメだろと、ジャギはNOの返事
役に立ちたいなら元気になれと言い渡されたアミバは、言い付け通りに療養をしている
轟音と土煙を上げるジャギ隊は、拳王軍の領地にある『カサンドラ』を目指す
拳王に歯向かう者や、名のある拳法家が収用されるカサンドラを陥落させ、兵数と情報を得る為である
まずは手下と拠点を得る、そこからジャギの戦が行われるのだ
途中で進路を阻み邪魔をする者、拠点を構える者、拳王軍だろうとヒャッハーだろうと元斗軍だろうと、ジャギは問答無用で潰しに掛かる
その中で元斗皇拳の使い手だと言う敵にも遭遇、闘気を自在に操る元斗皇拳の特徴は、闘気で敵を切り裂いたり、焼き切ったり、氷付かせる等
内部から破壊する北斗神拳とも、外部から切り裂く南斗聖拳とも違う攻撃に、ジャギの手下が多少やられるが、ボスであるジャギはニヤリと笑い『元斗皇拳を丸裸にしてやるよ』と、元斗皇拳の男を相手する
(なんだよ、こんなもんか)
闘ってみて直ぐに、ジャギはガッカリした表情になる
ラオウと相討ちできる云々と言っていたファルコ、その元斗皇拳対策に命を懸け、レジスタンスを率いて暴れた時には、ジャギなりのやり方で聖帝を名乗っていたサウザーと真っ向からやりあった
内容と結果はアレだが、得るものは充分にあった
サウザーの拳速や身体能力は健康体のトキと同等、殺意は明らかにトップクラス、向かい合った時に放たれる威圧感はラオウ並、ケンシロウすら見切れぬ技の冴えを持つ
見に見えない速さの『極星十字拳』
空中から放たれる、飛ぶ斬擊『南斗爆星波』
そして厄介極まる『天翔十字鳳』、自由自在に空中を舞う羽の如く、どんな達人にも砕けん。が売りの南斗鳳凰拳の奥義
これらを北斗神拳奥義『水影心』で得られた事や、ユダに続く、シュウに率いられるであろう同盟国を得られた事は、ジャギにとって非常に有益であった
そして今回の騒動では、このどさくさに乗じて国を席巻してやろうと思って、愛しいアリサの約束を中断してまで臨んだ
なのに、コレである
「はぁ~…」
明らかに落胆するジャギ
「き、貴様…闘いの最中に溜め息だと…」
わなわなと怒る元斗皇拳の男、しかし実力差は歴然としているのは本人も分かるらしく、ジャギに襲い掛かる様子は無い
「もうお前は俺が相手する迄もない
メリケン、御嬢、こいつの拳筋は見たろ?
後はお前らに譲ってやる
五車星の下で学んだ力を俺に見せてみな」
「「はい!」」
元斗の男に襲い掛かる2人
風を友とし、その中に真空を走らせる拳の使い手である五車風仁拳の使い手『ヒューイ』に弟子入りしたメリケン
風の中で生まれた真空の力は、鋼鉄をも断ち割るとヒューイは言うが、ボクサー崩れのメリケンは1からの修行をするよりも、その速さを持ち前のフットワークと拳速に用いることにした
風仁拳によって倍加されたメリケンの拳は、的確に敵の急所へと高速のジャブを見舞う
眉間、こめかみ、鼻先、鼻の下、顎先、耳
次々と打ち込む
元斗の男も距離を取って反撃に転じようとするが、それは御嬢の鞭から螺旋状に放たれた『炎』が妨害される
『燐』を使って火を発させて人間の潜在意識にある、動物が火を恐れる本能を刺激、優位に立つのが五車炎情拳
その使い手である『シュレン』に炎の扱い方を、習ったのだが…
「あぁ…熱い、熱すぎて、もっと燃えてきちゃう♥️
あはははははははっ!
燃えろっ、燃えろぉ!
私をもっと興奮させなぁぁぁぁ!」
鞭が炎を纏ったまま、御嬢は鞭をバシバシと振るう
本革の鞭なのに、燃え尽きる事がないのが不思議だが、炎のスペシャリストであるシュレンに何らかのアドバイスを受けたのだろう、鞭と炎の間には真空の層が出来上がっており、それが鞭を守っているのよと、後に御嬢がキッドに説明していた
鞭の放つ音に耳を奪われ、炎と高速のジャブに視界を塞がれた元斗の男に勝ち目はない
もとより元斗皇拳の技や拳筋を、事前にジャギが丸裸にしたので
「ぐはっ…」
メリケンと御嬢の勝ちは確定してたといえよう
どんな屈強な男でも、これだけ急所を打たれ、五感を奪われば意識が散る
地面に大の字で突っ伏す元斗の男
ひょいと周辺を見れば、元斗軍の兵士は逃げるか、降伏をしていた
そこにタイミング良く、カーネルが付近の掃除が終わったと報告してきたので、本日の闘いは終わりだと言えよう
ジャギは勝者を見る
(こりゃ、メリケン1人でも勝てたな)
「2人共、お疲れさん」
「勝ったッス!ジャギ様!俺達、勝ったッスよ!」
「分かってるよ、うるせーな
御嬢も、お疲れ」
「…ジャギ様…お願いが」
「うん?なんでぇ?」
「これから元斗軍の事を、この男から聞き出すのでしょう?だ・か・ら……」
「はぁ~、やり過ぎるなよ」
「やったぁ!」
とても良いスマイルを浮かべた御嬢は、元斗の男の襟を掴むと、何処かへと引き摺って行ったのであった
ファルコや、彼に匹敵する強さを持つ男達がいるのに、元斗って原作に出るの遅すぎないですか?
バットとリンが成長してから始まった元斗皇拳編ですが、ラオウが死んだのに、『あの』ジャコウが何もしないのは…
あ、もしかして、家電屋なみに明るい帝都から出られないからとか?
まぁ…いっか、ジャコウだし
前書きにでもあります通り、番外編のネタが尽きました
ネタそのもののジャスティス・エンペラーを主役にしても、ただのイチゴ味にしかならない上に、会話にならんのです
ありがとうございました!