※この作品はR-18です。

核戦争前に原作を読んだジャギが取り敢えず何とかしてみるようです。   作:ヘルメット助教授

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誤字脱字ありましたらスイマセン


21話

 

かつてジャコウの部屋だった場所に、ジャギ達は集まっていた

 

「う~ん、これは困った。折角こうして帝都を陥落させたのに天帝とジャコウをまんまと取り逃がしてしまうとは、いや~困った困った」

 

どこか棒読みで天井を見上げて嘆くジャギは、そのまま続ける

 

「ラオウを国外に送り出したのは良しとするが、捉えたのが天帝の侍女の小娘1人とは、カーネルよ、これは大失態だぞォ?」

 

カーネルを責めている場面だが、ジャギの睨む先には粗末な格好をした『リン』に瓜二つの少女が、ファルコとリンに泣き付いていた

 

「sir、申し開きもありません。sir」

 

膝をついたカーネルは淡々と謝罪する。メリケンと御嬢も隻眼の軍人の脇に控えているが、ルイとリンの模様が気になって仕方がない様子で、やや視線が泳いでいる

 

リンは既にファルコからルイが天帝だという事以外の説明を受けており、複雑そうな気持ちと天涯孤独な自分に家族がいたことへの嬉しさが入り交じった、なんとも言えない表情で姉を抱き締めている

 

「ただし、その侍女がリンの生き別れの双子の姉となれば話は別だァ」

 

ゆらりと歩を進めるジャギ、向かう先はリン達の方向だ

 

座り込んで凶悪な面相で覗き込むジャギに、双子の姉は息を呑んで更に強く妹に抱き付く、ファルコは無言で事の顛末を見守っている

 

「ルイ、と言ったな

お前ェ、これからどうする気だ?

仕えてた天帝様も、摂政モドキも国外逃亡しちまった今、どっかに宛はあんのか?」

 

子供相手に粗雑に尋ねるジャギに、ルイはフルフルと首を横に振るのみ

 

ならばとジャギは提案する

 

「ほぅ…なら、俺等と一緒にサンクチュアリに来るがいい

妹のリン、そっちのファルコ、お前、民ども、まとめてこのジャギ様が世話してやらァ」

 

ケラケラと笑ってルイの頭を乱暴に撫でたジャギは、ルイをあくまで天帝の侍女だった少女として扱う気だ

 

「ジャギ様、その子も連れてくんスか~

あ~あ、副官にしろ、ミツにしろ、ライガとフウガにしろ、そっちの片足の角刈りにしろ、ウチは本当に面子が滅茶苦茶ッスね」

 

「まさか…ロリコンの気があるのかしら?

人のことをあーだこーだ言っといて…」

 

「…ふ~ん、新しい女を入れるんだ…ふ~ん」

 

三人衆がそれぞれボヤくが、ジャギは無視する

 

「ミツ、ルイにここでのルールを教えてやんな

ファルコ、お前も来るだろ?」

 

全身傷だらけで義足も無くしたファルコが、ルイとリンを優しく包みながら答える

 

 

「愚問。既に帝都は落ち、元斗は北斗に負けた

そして、今度こそ俺は守るものを間違える気はない」

 

そう言う彼に嘘偽りは微塵も感じない

 

「そうかい、ならばミュウとサンクチュアリで幸せになれば良い。もう遠慮はいらねェぞ」

 

恋人であるミュウの名前をジャギが出せば、ファルコの気配が張り詰めた

 

しかしジャギは何処吹く風、なにせこれから同盟軍や近隣の村への恩賞やら処置やらと忙しくなるので、個人に構っている暇はない

 

「さて、カーネル。お前はトウとサンクチュアリにそれぞれ使者を出せ。内容は見た通りで構わん」

 

「sir,yes,sir」

 

隻眼の軍人は号令直下、直ぐに消えた

 

「メリケンと御嬢は砦に戻り、撤収準備だ

変な気を起こした奴等が砦の跡地を利用せぬよう、徹底的にやれ」

 

「うおッス」

 

「あいよ」

 

二人は手下を連れて対・元斗軍に設けた砦に戻った

 

「キッドは…ルイを睨むな」

 

「え…?それは無理」

 

新参者には厳しいキッドは、ルイに対して必要以上に凄味をきかせて恐がらせている

 

「ミツとリン、お前等は外で待ってるミュウを呼んでこい。そんでファルコを治療をさせつつ、小一時間は席を外して関わるなよ」

 

「は?、はぁ…」

 

「分かりました」

 

普段は有能だが、そっち方面には疎いミツが歯切れの悪い返事をし、反対にそちらには敏感のリンが直ぐに了承。未だに離れたがらないルイと一緒に、ファルコの恋人ミュウを呼びに行った

 

手下が動くとジャギは、残る手下を連れて瓦礫の帝都に設けた政局に向かい、同盟を組んだ者達や近隣で親交を深めた有力者を招き、今後の打ち合わせをしたのであった

 

 

 

ジャギがルイを得た経由はこうである

 

摂生ジャコウは迫るラオウから逃れる為に、切り札ソリアをぶつけて置き去りにし、命からがら船着き場に辿り着いた

 

しかし逃亡先は悉くジャギの支配下になっており、船着き場で責任者に扮したメリケンと御嬢の部隊がジャコウの気を引いている隙に、カーネル率いる精鋭部隊は天帝ルイを守る護送車を襲撃、護衛の目を盗むと1分も経たずに少女を強奪した

 

なにも知らないジャコウは、天帝ルイにそっくりの人形を乗せた護送車と共に船国外に逃亡

 

猜疑心の強い彼は帝都にいた頃から、天帝の姿を誰にも見せず近付けもしなかった為に気付かず、道中も護送車から出すことすら怠ったのが災いしたと言える

 

ここで天帝が人形だと分かれば、場合によるがジャコウの奴は人形を天帝と偽り俺達を騙していたのかと、手下に嬲り殺しに合っていたかも知れない

 

そこは彼の日頃の行い次第、常々に善い行いをしていればその心配はなかったであろうが……

 

そして、後からやって来たラオウは陸から離れる船を見ても、だから何だ(威圧)と吐き捨て、黒王号と共に海を泳いでジャコウを追っている

 

船とラオウが何処の国に接岸するのか迄はジャギは知らない。だがラオウは必ずジャコウを追い詰め、天帝人形を見つけ出す

 

そして北斗神拳でジャコウから諸々を聞き出し、怒りの矛先をサンクチュアリに向けるか、今いる土地で天を掴むべく行動するか

 

そしてカイオウよろしく、ルイに己の子を宿らせるか、ルイに禅譲を迫るか

 

それとも流れ着いた国で…

 

『めんどくせェ、修羅の国にでも流れ着いてカイオウ共々、全員仲良くくたばってくれりゃ世話ねェのによ』

 

そうボヤく、ジャギの言葉が聞こえてきそうだ

 

 

 

そのジャギは帝都だった地域の代表をショウキに任命して総退却。トウやレイ、ユダとアミバの居る元・拳王庁に移動したのだが

 

そこには全く予期せぬ人物の到来と、ジャギにとって世紀末になって最大のピンチが降りかかったのである

 

「ん?」

 

「もう一度、説明するねジャギ」

 

「うん。アリサ、頼む」

 

元・拳王庁で聖帝サウザーとの闘い前に別れて以来、アリサと久しぶりの再会をしたジャギは床に正座をして眼前の婚約者と、無言を貫いているマミヤに向かい合っている

 

「簡単に言うとこちらのマミヤさんと結婚して、私を男に変えて頂戴」

 

「ん?ん?」

 

全く理解が追い付いてないジャギに、アリサは理由を説明する

 

「ジャギ、貴方は前にマミヤさんにウェディングドレスを着せたのよね?それも2回も」

 

「…はい、着せましたです」

 

「1度目はユダさんとジャッカルさんとの共闘で、2度目はケンシロウさんとユリアさんの結婚式の撹乱用に

ジャギ、女性にとってウェディングドレスを着ることがどれだけ大切なのか、男性である貴方にそれは理解し難いと思う。ラオウからユダさんの街を守る為に仕方なくなのも分かっている

けどね、男性が女性にウェディングドレスを着せる事への覚悟は持っていて欲しかった」

 

「だから、責任を取ってマミヤを嫁にし、自分を男に変えろと?」

 

「そう。マミヤさんは完全に結婚を諦めていた。そんな事があったのに私達が結ばれて、のうのうと生活するなんて私には絶対出来ない

貴方が責任を取らないなら私が取ります、だからジャギと結婚して下さいって、マミヤさんを何度も何度も説得したの」

 

チラリとジャギがマミヤの顔を見れば、そこには生気の無い美女が立っているのみ

 

「北斗神拳には男性を女性に変えるヤツがあるのは知ってるわ。なら、その反対も可能なんでしょ?

さ、やって頂戴、そして貴方はマミヤさんとサンクチュアリに戻って結婚式を挙げて。私は男性としてここに残るわ、それが…」

 

「……」

 

「ジャギ、聞いてるの?」

 

正座したまま頭を一向に上げないジャギに、アリサは尋ねる

 

ジャギの肩…否、その全身は震えていた

 

 

 

 

 

 

愛するアリサとの永遠の別れを悲しむ、ようなジャギではなかった

 

「…なめんなよ、このジャギ様を…戦前の下らない決まりは、既に核の炎と共に形骸化したのだァ!」

 

ガバッと顔を上げて、大声をしたまま直立をしたジャギは吠えに吠えた

 

「ジャ、ジャギ?」

 

「俺が!このジャギ様が!お前らを愛せない器量の小さい野郎だとでも思ったのかァ!?

こうなりゃ一夫多妻制を推し進めてやるだけだ!

アリサにも、マミヤにも、ユリアにも、その他の野郎衆にも上層部の奴等にも、誰にも文句は言わせない!!

ダブルで可愛がってやる!デロンデロンにしてやる!

俺は誰だ!?名前を言ってみろ!

世紀末の暴君、北斗の劇薬、卑怯理不尽横暴なんでもごされなド悪党のジャギ様だァァァァァ!!!

見てろアリサ、マミヤ!この国で俺に変えられないモノは何もありゃしないのだァ!」

 

「一夫多妻制って…」

 

 

 

「んふふ♥️、かつてこの国は侍の時代から近代化への脱却をする過程で当時は最先端だった欧州から多くの知識や、しきたりを吸収して世界の流行りに乗っかっろうとしたわ

その中で入ってきたのが現在まで続く悪習、一夫一妻制よ」

 

騒ぎを聞き付けて三人衆の1人、御嬢が説明をしながら入ってきた

 

部屋の外で主要メンバーが聞き耳を立てているのはジャギ達は知っていたが、まさか御嬢が乱入してくるとは予想外だった

 

彼女はそのまま続ける

 

「今のサンクチュアリの男女の比率は3対7か、多く見ても4対6未満が精々ね

このまま古くさい悪習を続けていけば人口の増加はそれほど望めないし最悪なのは、国の再生や発展なんて夢のまた夢に終わる

反対も出るだろうけど、ある程度の期間を一夫多妻制にし、比率が戻り次第に元に戻せば納得は出来なくても反対派も悪くは考えないんじゃない?

それが通ればアリサもジャギ様と結婚出来る訳だし

アリサだってジャギ様と永遠に別れるなんて、嫌よね?」

 

「…それは、」

 

「嫌、よね?」

 

「…うん」

 

「マミヤさんは?アリサとジャギ様が結ばれれば、そもそも自分なんてどうでも良いと思ってるんじゃない?」

 

「……」

 

「無言は肯定と取るわ。だけど私達と行動した事がある貴女の事だから、ジャギ様が絶対に何とかするって信じてるんじゃなくて?」

 

「…。にこり」

 

「ならジャギ様を信じましょ。ラオウやサウザーをキリキリ舞いにしたジャギ様を♥️

ね、アリサ」

 

「うん」

 

「マミヤさんも、良いわね?」

 

「私はアリサさんが良いのなら構わないわ」

 

(ミチル…お前)

 

「という訳でジャギ様、これでアリサとの結婚に望みは繋がりましたわ。マミヤさんという美人も嫁に出来て一石二鳥ね」

 

「ああ、助太刀に感謝するぜ」

 

素直にジャギは御嬢に感謝の言葉を述べ、アリサに向き直り片手で優しく抱きしめ、残る片手で豪快にマミヤを抱き寄せた

 

アリサは複雑ながらも安堵した様子。反対にマミヤには固さがあったが、それはこれからジャギの手で解されていくだろう

 

 

 

「ではジャギ様、今回の褒美で1つお願いがあります」

 

3人が抱き合って少し時間が経つと、御嬢がまたも口を開いてきた

 

「あ?なんだよ?」

 

「私とも結婚して頂戴。ジャギ様以上に野蛮で刺激的な豚なんか見たこと無いし、つまらない豚に股を開くつもりは欠片も無いから」

 

 

 

「はぁぁぁぁぁぁああああああああ!?」

 

御嬢の爆弾発言に一番大きな声を上げたのは、隠れていたキッドだった

 

「何ソレ、何ナノソレ、ドサクサニ紛レテ告白トカ、死ニタイノ?テメ~死ニタイノ?ダッタラ今ココデ殺シテヤルヨ?」

 

片言で、両目から光を消して、ゆらりと歩み寄るキッドの手にはチェーンソーが握られており、回る刃がガリガリと床を削っている

 

「お、おい!ミチル、撤回しろ!

今すぐに撤回しろ!死にたいのか!」

 

ジャギが婚約者を2人も得た事もそうだが、三人衆の御嬢がジャギと結ばれるのは、キッドの怒りをメルトダウンさせるには十分なモノだったと言える

 

 

 

慌てるジャギだが、御嬢は一切慌てない、それどころか余裕の表情で口を開いた

 

「そうだジャギ様、キッドを嫁にしなさいよ」

 

「「……は?」」

 

ジャギとキッドの声が重なる

 

「これまでの功績を評価して、キッドの性格や、今後の展開を考えてみれば、いっそキッドを性転換してグッチョングッチョンのメロメロのラブラブに甘やかしてやるのが一番の解決策だと思うの、私」

 

「え?ラブラブ…って?え?なに、は?

僕が…ジャギと、結婚できちゃうの?」

 

言葉を噛み砕く度にキッドの両目に光が戻り、白い肌には赤みが増し出すと、女性陣がキッドの言動に『アラアラ』といった表情になる

 

「ふむ…」

 

本来なら真っ先に否定する筈のジャギが深く思案しているのをキッドは見て、慌てて近寄り真意を尋ねる

 

「ジャ、ジャギ様、冗談だよね?本気にしてないよね?あの女の言うことなんて真に受けてないよね!?」

 

「いや…案外、的を射ているなァと思ってる」

 

「ジャギ様ぁ!?」

 

「なら、決まりね?」

 

「ああ、アリサにマミヤ、お前らは問題ないな?」

 

話を振られた女性陣は顔を見合わせ、問題無さそうに頷いた

 

 

 

「ちょっ!」

 

「了承は成された訳だ…ミチル」

 

「あいよ」

 

「俺と結婚しろ」

 

「あいよ♥️」

 

あまりにあっさりとした受け答えだが、ジャギと御嬢の長年の関係の2人に余計な言葉は不要なのかもしれない

 

「キッド」

 

「……」

 

「おら、顔あげろ」

 

「ぐっ…」

 

近寄ったまま顔を上げないキッドを、ジャギは無理やり自身に向けさせて『北斗性転掌』をすれば、そこには今まで見たこともない位に動揺した表情の、少女の顔がそこにあった

 

「これでよし。さてキッド…って女になったならキッドって名前じゃ色々とダメかァ?

何か別に名前を考えねば……うぉ!」

 

小柄な少女がいきなりジャギに抱き付き、顔を埋めたまま口を開いた

 

「…別にいいよ、キッドで

忘れてるけど、ジャギがくれた名前だし…」

 

「う~む、お前が良いなら構わんか

キッド、俺と婚約しろ。いいな?」

 

「…うるせェ、聞くなバカ野郎…」

 

「ふふっ、よろしくなキッド」

 

「……うん」

 

 

 

こうしてジャギの最大のピンチは幕を降ろした

 

ジャギがアリサ、マミヤ、ミチル、キッド、この4人と婚約したとの報は国を駆け巡る事になる

 

この後ジャギは、元・拳王庁で無事に男児を出産したトウや手下全員から祝福されたり、レイには不純だと激怒されたり、ユダにレイとの関係を深めてやるから助けろと交渉したりと、サンクチュアリに戻るまでゴタゴタ続きだったという

 

 

 

 




次で最終回の予定です。もう少しだけお付き合いくださいませ

前回のアンケートで一夫多妻制を良しとされる方々のおかげで、ポンポンと話が作れましたが、なんかキッドがメインになってしまった気がしますね(汗)

ファルコはミュウと結婚させますが、ルイとリンは全く考えてないので、どうしたもんか
リンはバットかもしれませんが、ルイは…

そのルイの人形は、ジャギが原作でユリア人形を作った職人に前もって発注していた。とここで補足させてください

ありがとうございました!
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