※この作品はR-18です。

核戦争前に原作を読んだジャギが取り敢えず何とかしてみるようです。   作:ヘルメット助教授

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誤字脱字ありましたらスイマセン

誤字報告いつも、ありがとうございます

前回の話を編集しました


8話

「おい…聞いたかよ…例の噂」

 

「ああ、アレだろ人間が一日で数十人も…」

 

「そうそう、しかも犯人を誰も見てないそうだぜ」

 

「マジかよ、これだけの人間が見回りしてるのにか」

 

「前日は何とも無かったのに、朝になったら…」

 

「ブルブル…冗談じゃねぇ、あんなのは後免だよ」

 

二人のヒャッハーがヒソヒソと話をしている

 

彼等はユダ軍に所属しており、夜番の仕事をしていた

 

 

 

実はユダ軍の本拠地に今、とても奇妙な現象が起きていた

 

 

 

それは

 

 

 

『ヒャッハーが次の日に朝起きたら超絶イケメンのナイスガイな性格になってしまう現象』であった

 

…なんのことか、さっぱり分からない

 

「そしたらよ、今朝はなんと遂にシカバのおっさんまで変わったってよ」

 

「げぇ!あのおっさんが!?コマク様はなんか言ってねえの?」

 

「それどころじゃねぇだろ、ゴッドランドは一日で潰されて、拳王軍とのゴタゴタやらもあってと上層部はてんてこ舞いだってよ」

 

「…ん?…おぐっ……」

 

「だいたい、欲の皮が突っ張り過ぎてんだよ、あの人はさ

俺達に美女を探し回らせている間は、毎度キッツい化粧して褌一丁で鏡に向かってマッスルポージングとか、本当ありゃ相当に……あれ?おい、どこ行った?」

 

夜番の相方がいつの間にか消えており、キョロキョロと辺りを見回しているヒャッハーの頭上から、何かが飛来してきて…

 

(北斗邪剪手!)

 

「ふみゅ!……え?

な、ななななななななななんだ

これ、えっ!?なんで?体が動かねぇ!」

 

いきなり顔に激痛が走り、その衝撃で尻餅を付いた状態で身動きが取れなくなったヒャッハーは、この状況に全くついていけない

 

眼球も口も動くのに、それ以外が全く動かないのだ

 

「おっと静かにしな」

 

髪を鷲掴みにされ、首を回されるとそこに居たのは潜入用にと、あの特徴的なヘルメットを被ったジャギであった

 

「て、てめぇは!一体」

「はいはい、直ぐに済ませるからねぇ」

 

話す必要はないと、トントン拍子に秘孔を突かれていくヒャッハー

 

手早くジャギは作業を終わらせ、また闇夜に紛れて居なくなると、彼は暫くして意識を取り戻し、何事なかったかのように戻ってきた相方と合流、夜番の仕事を続けた

 

ジャギに襲われた事は、すっぽり忘れ、そのまま彼等は仕事が終わると就寝

 

目が覚めた時には上記にあった、例の奇妙な現象の被害にあったのであった

 

 

 

 

 

 

(なんなのだコレは、一体俺の街に何が起こっているというのだ!)

 

南斗紅鶴拳伝承者・ユダは頭を抱えたくなるのを必死に堪えていた

 

拳王軍からのクレーム処理やゴッドランドを潰した聖母軍への対応をしようとしたら、手下の殆どが中身も外身も美男化してしまって、彼等から世紀末を救う為にと、今も苦しんでいる弱き人々に救いの手を差し伸べましょうと、毎日のように圧力をかけられているのだ

 

(俺が何をした!一体俺が何をした!)

 

普通のヒャッハーならば即座に伝衝裂波で切り刻んでやる所だが、圧力をかけて来る連中は誰も彼もが世紀末でありながらも、凄まじくキラキラとした双眸と顔面と雰囲気でユダに迫る

 

ユダには悪いが、顔面偏差値は美男化ヒャッハーの方が圧倒的に優れており、彼等は中身も嫌味成分皆無な爽やかナイスガイなので

 

彼等とは違って、中身も外身も相当に拗らせている世紀末では一番の変態的なファッションリーダー・南斗紅鶴拳のユダに、彼等の嘘偽りのない真っ直ぐな想いをはね除ける気概は無かった

 

彼等は今日もユダの城に現れる

 

『ドオオオオオオン』『ドオオオオオオン』

「ユダさまあああああああああああ!」

「開けて下さい!ユダさまああああああ!」

「今日こそは世紀末をお救いしましょうぞぉ!」

「ユ↑ダ様!」「ユ↑ダ様!」

「ユ↑ダ様!」「ユ↑ダ様」」

「ユ↑ダ様!」「ユ↑ダ様!」

 

「くそっ!奴等め、 また来たのか!

ダガール!コマク!絶対に奴等を入れるな!

絶対に入れるんじゃないぞ!」

 

「ははっ!くっ!押さえろ!

何としても今日こそは押さえるのだダガール殿!」

 

「わかっておりますともコマク殿!ぬくくっ!」

 

執事のダガールと偵察任務を主にするコマク、そしてユダ軍ではまだ美男化をしていないヒャッハー数名が、扉を懸命に押さえている

 

これまで数限りない激戦()を乗り越えてきたダガールとコマクの奇妙な友情は、主であるユダを守る事が出来るのか!

 

さあ、防衛だ

 

(頼む……頼む……頼むっ!)

 

彼等の頑張りをユダは心の中で応援するしかない

 

扉の外には何十という美男化ヒャッハーが、今日も元気にキラキラモードで蠢いているだろう

 

ユダは恐ろしい、あいつらのキラキラが恐ろしい

 

世紀末でありながらも、一切絶望していない、連中の輝く顔面が……とにもかくにも恐ろしい!

 

『ビシッ』『ミシシッ』

 

「と、扉が……!」

「崩れる…こ、堪えろ!堪えるんだ!」

 

しかし彼等の懸命の頑張りも虚しく、扉は決壊

 

「うわああああああああ!」

 

ユダは今日も朝からキラキラ地獄を味わうのであった

 

 

 

 

 

 

「くっ、毎朝毎朝…なぜ俺がこの様な目に」

 

地獄が終わり、ユダは解放された

心なしか若干であるが、老け込んだ気がしなくもない

 

奴等は昼前には街へと引き上げ、そこでゴミ拾いや瓦礫の撤去、旅人への道案内に畑仕事や井戸堀りに野盗退治、街の見回りを無償で行うのだ

 

もはやヒャッハーであった頃の蛮行など、微塵も感じさせない善行ぶりである

 

(落ち着け、落ち着くのだユダよ

そう……俺は誰よりも強くそして美しい

俺は誰よりも強くそして美しい、俺は誰よりも強くそして美しい、俺は誰よりも強くそして美しい、俺は誰よりも強くそして美しい、俺は誰よりも強くそして美しい、俺は誰よりも強くそして美しい、俺は誰よりも強くそして美しい、俺は誰よりも強くそして美しい、俺は誰よりも強くそして美しい……良し、復活ッッッ!)

 

なんとかテンションを無理やり持ち直すと、いつもの儀式に入るユダ

 

派手な衣類を脱ぎ去り、大鏡に向かって褌一丁でマッスルポージングをするユダは実に御満悦だ

 

とても数分前まで、キラキラ地獄に悶え苦しんでいた同じ男とは思えない変わり様

 

そんなユダの後ろには今日も大勢の女が控えており、どの女達もユダが各地から目を付けて拐ってきた、完璧な美女ばかりだ

彼女達は城の中で、ユダの身の回りの世話をしたり、ユダの美しさを称えるといった事をさせられている

 

そしてその肩の後ろには、ユダの女の証である『UD』の焼印が押されているのだ

この烙印は彼女達を永遠に縛り付ける鎖、たとえユダから捨てられても、この烙印が刻まれた女は決して幸せになれやしない

 

俺の元に居る間が、人生の華だ

 

ユダの歪んだ美への拘り、それが『UD』である

 

 

 

 

「好きにしろ」

 

「うおおおおお!やったぁぁぁぁ!」

 

「た、助けてぇ!」

 

そして今日、一人の女がユダに捨てられた

 

額の傷を隠していた女、アリサはユダの美に対する裏切りだとして無情にもヒャッハーに与えられてしまう

 

歓喜するヒャッハーはアリサを担ぎ上げ、持ち帰ろうとすれば、彼女は助けを乞うように悲鳴をあげるのが精一杯だった

 

 

 

それを見てユダは笑う

俺の側には美しい女しか必要ないのだと、高らかに

 

 

 

『ゴゴゴゴゴッ……』

 

「ひゃははははは……あん?」

「どした?……誰だテメー」

 

ヒャッハーが扉を開けアリサを連れ出そうとしたが、廊下に佇んでいたヘルメットで顔を隠した男が、彼等の行く手を阻んでいた

 

「なんだぁてめーは?」

「とっとと、どきやがれ、俺達ゃこれからお楽しみなんだよ」

「そうともよ、邪魔すんなら容赦しねえぞ!」

 

「…た…助けて…お願いします」

 

ヒャッハーに担がれたまま、アリサはその男に必死に懇願する

 

ヒャッハーの反応からすれば彼はユダ軍とは違う人間かもしれない、もう自分が助かるには目の前の男に助けを求めるしかアリサは思い付かなかったのだ

 

「ならば女…俺と来るのか?」

 

「え……?」

 

突然の言葉にアリサは反応が出来ないが、ヘルメットの男は続ける

 

「それは、この俺と来るって事で良いのか?」

 

「……」

 

「行き着く先が、 例え地獄の底だろうと俺と来るのか、どうなのか、今すぐハッキリしろ」

 

アリサ、年齢は19歳

ユダによって人生を狂わされ、ユダに尽くす事で日々を生き抜き、そして今やユダによって捨てられた女は、再び人生の選択を迫られた

 

「名前は?」

 

「アリサ……です」

 

「ならよアリサ、今すぐ決めな

俺と来て死ぬか、そいつらにボロボロに犯されて死ぬかをよ」

 

「……………はい、アリサは貴方に着いて参ります」

 

「よし、いい子だ……」

 

「てめぇ、さっきら何をベラベラと、ごがっ!」

 

男は、アリサを抱えあげるヒャッハーに腹部に蹴りを入れ、その脚をそのまま踏み台にして顎先にサマーソルトキック

 

アリサを支えていたヒャッハーがぶっ飛び、アリサが落下すれば、男は彼女を横抱きにキャッチしたのであった

 

優しく支えられたアリサは、ヘルメットの隙間から男の目を見ていた

 

蹴った男をまるで、ゴミでも見るような厳しい眼差しで見ていた男が、一瞬だけ視線を自らに向けると、またヒャッハー達に視線を戻す

 

気のせいかも知れないが自分を見た、その目が僅かに、本当に僅かだが優しい目になった気がしたアリサは、そんな目を向けられた事はユダに囲われていた時に、一度もなかったと、軽く現実逃避をしてしまった

 

「仲間をよくもやりやがったなこのヤロー」

 

「ユダ様、こいつやっちまっても」

 

「遅ぇ!!」

 

仲間がぶっ飛ばされ、怒り心頭のヒャッハーは斧や棍棒を取り出して戦闘体制に入ると、頭であるユダに許可を求めるが、その隙にアリサを抱いた男がヒャッハーの顔面を蹴りながら部屋の中へと飛翔

 

ヒャッハーの群れを飛び越え、ユダの前に降り立った

 

「貴様……何者だ?」

 

「俺か?俺はただの侵入者だよ」

 

「そうか……ならば死ねい!」

 

ユダの電光石火の手刀が振り下ろされると、空気中に発生した衝撃波が地を駆ける

敵に触れずして勝つ技、南斗紅鶴拳を代表する『伝衝裂波』だ

「なに!?」

 

スススッと流れるような動きで伝衝裂波を悠然と男は避けた

その腕には未だにアリサが抱かれているにも関わらず、それを苦とも感じさせない見事な動き

 

寧ろ、初めから読まれていたと言った方が正しい

 

「その動き…俺の伝衝裂波を避けるとは貴様、いったい何者!」

 

「だから言ったろ、侵入者…」

 

「ええぃ!掛かれ!この男をなぶり殺せ!」

 

『ヒャッハー!』

 

迫り来るヒャッハー、しかしヘルメットの男はアリサを降ろすと、死にたくなければ動くなと言い、構えを取った

 

ヒャッハーの群れに恐れる事なく立ち向かい、その中をまるで流れる様に動き、なにやらパパパッと触れただけで男は、それ以外の攻撃をしない

 

なんだそれは?とヒャッハーが嘲笑った直後、彼等の体が変貌していく

 

それが終わると、この部屋に居るヘルメットの男以外の人間が固まった

 

ユダ、ダガール、コマク、女達、アリサ

 

ヒャッハーは全員、ユダを震え上がらせたあの連中と同じく『超絶イケメン』に変化していたのであった

 

ユダが即座に理解し、怒る

 

「き、貴様か……貴様が犯人だったのか!

許せん!絶対に許さんぞお!」

 

(くくくっ、同盟の件は御返ししたぜ、ユダ様よぉ)

 

ヘルメットの下で男、ジャギは楽しそうに笑う

 

「死ね!伝衝裂波!」

 

大地を走る衝撃波を、大量に出すユダ

 

ジャギはそれを空中へと飛翔し、避ける

 

しかもその動きは

 

「南斗水鳥拳だと!?」

 

レイの南斗水鳥拳と瓜二つと言える、その優雅な飛翔っぷりにはユダも、ダガールやコマクや女達も目を奪われた

 

ジャギは三人衆との練習の最中や、三つの同盟軍と戦っていた時に、レイが戦場で披露した動きを抜け目なく北斗神拳奥義『水影心』でコピーしていたのだ

 

勿論、空中を舞うだけではない、攻撃もしっかりと見ていた

 

「南斗水鳥拳、朱雀展翔!」

 

上空から地面の敵に襲い掛かり、その落下エネルギーを合わせて敵を切り裂く技である

 

まさかの南斗水鳥拳に驚き、反応が遅れたユダは防御の構えを敷いて痛みに耐える為に歯を食い縛る、しかしジャギの朱雀展翔は紙一重で当たらなかった

 

いや、ジャギはわざと当てなかったのだ

 

この技は本命への布石なのである

 

ユダが痛みが無いことに驚いた一瞬の隙を突いて背後に回り、ジャギは北斗神拳奥義『北斗性転換掌』を打ち込む

 

「ははははっ!そいつはお前にお似合いの技だ

喜んで受けとるが良い!」

 

ユダの体に変化が訪れ出し、場が混乱した隙を突いてジャギはアリサを再び抱き上げると、ユダの城から脱出したのであった

 

 

 

 

 

 

「こちらですか?」

 

ユダの街には核戦争前から残る、摩天楼の残骸が大量に聳えたっている

 

そこには、街を治めているユダ軍も把握しきれない数のヒャッハーが、虎視眈々と街の支配権を狙い、潜められるだけの『廃ビルの森』が存在していた

 

この辺りをよく知る者や、統治する筈のユダ軍でも無闇に近付かない暗黒街だ

 

しかしジャギに取っては、この廃ビルの森は隠れ家には絶好の場所

 

そのビルの一室にアリサを連れてきたのだ

 

「ああ、暫くはこの廃ビルに身を隠す

ただもしかしたら、直ぐに変える事にもなるかもしれねぇ、悪いがその時は我慢してくれ」

 

「我慢だなんて…アリサは何処までも貴方様に尽くすのみですわ」

 

「ん?貴方様……?」

 

「はい、私を助けて下さった御方ですもの」

 

「かっかっか! 御方なんて、俺の柄じゃねえ…

俺の名前はジャギ、聖母軍の男だ」

 

この俺にそんな口答えはいらないと、ヘルメットを取った強面の男はケラケラと笑う

 

その日から暗殺者と元奴隷の奇妙な生活が始まった

 

恨み骨髄とばかりに、ユダは残る軍を総動員し、野良犬ジャギの探索をしているが

 

廃ビルの森の中で巧みに住み処を変える本命の野良犬は一向に捕縛できず、反対に手下が美男化して帰って来たりと、ただ無意味に時が過ぎていった

 

 

 

 

 

 

「これは日持ちする食材、こっちは日用品、あとのこっちは……」

 

「ほいほいっと、アリサ、ここに置いとくぜ」

 

「ありがとうジャギ、えっと……」

 

今日も隠れ家を変えたジャギとアリサは、もはやお馴染みとなった引っ越しの片付けをしている

 

ジャギがバイクに積まれた物資を部屋に運んでいる間、アリサは髪を後ろに束ね、粗末な服とエプロン姿となっている

 

既に部屋の壁や床、戸棚やキッチンやトイレの掃除、果ては玄関の外までを綺麗にしてある

 

最初ジャギは、ユダの女だから何も出来ないヤツかと思っていたが、直ぐにアリサの家庭的な一面に驚く

 

炊事洗濯掃除と家事全般に長け、性格は優しく控えめで、何気ない気遣いも出来、そしてなにより美人

 

今まで会ってきた女性の中に、アリサ程の女子力が携わった人間をジャギは見たことがなかった

 

ユリアはアレだし、御嬢も普段から男が絡むとブッ飛んでいるので大概だ

 

「ふぅ、終わった…アリサ、市場に買い物は?」

 

「取り敢えず見に行きましょ、何か掘り出し物があるかもしれないし」

 

「ん……そうすっか」

 

片付けが終わると不足している物資を調達しに、アリサと共に市場に向かうジャギ

 

アリサは最初こそユダの元に居た丁寧すぎる口振りや、優雅さを強調した動きだったが、ジャギの遠慮なしな言い方や、優雅さよりも生活力を求められる日々に、次第に肩の力が抜けていき、今では普通に笑い、普通のような生き方をしている

 

髪も服も控えめに、化粧はそこそこ

世紀末での生活では基本的に肩を露出しないので、あの烙印は陽の目を浴びる事はない

ただやはり、額の傷は無闇に見せはしない

 

ジャギは過去に北斗神拳で傷を治療しようかと尋ねたが、彼女は二人の出逢えた切欠だと言って拒み続けている

 

なんのこっちゃとジャギは笑うが、不思議と悪い気はしなかった

 

だが幾ら、髪や服や化粧が控えめでも、アリサは美への執着が宇宙であるユダが選んだ女

 

それがジャギと二人だけで、無法の森を歩けば当然のように……

 

 

 

『ヒャッハー!別嬪だぁぁぁぁ!』

「犯してぇ!」「うひょひょひょ!」

「たまんねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

「アリサ、はい」

 

「うん、ありがと、頑張って」

 

アリサに護身用のダブルバレルショットガンと弾丸を渡し、応と返事したジャギは準備体操を行い、あっという間にヒャッハーを蹴散らすと、連中から物資を強奪ならぬ…調達、それを持って市場に向かう

 

もはや恒例行事と化したヒャッハーの襲撃に、二人は驚きもしない

 

なにせ物資の購入は基本的に物々交換が主流であり、最初はジャギにも、身一つで放り出されたアリサを合わせても先立つものが殆どなかった

 

だが二人の居るこの森には、自分達以外の野良犬は腐る程に存在し、日替わりで新しい組織が生まれ、また滅んでいく弱肉強食の世界

 

ただ彼等より圧倒的強者であるジャギにとっては、黙っていても物資が湯水のように溢れる楽園のようなもの

 

だから市場に行く前にはこうして、物資を調達するのである

 

実に世紀末に相応しい生き方だ

 

 

 

野菜、食料品、日用品、ジャンク品、服屋、屋台

 

品物が充実してるとは御世辞には言えないが、今日も市場は活気に満ちていて、近隣の村から買い出しに来るから人間も多い

 

ユダの街なのにである

 

これにはカラクリがあって、キラキラモードの超絶イケメン集団の裏表のない心からのもてなしに、まずは外から噂を聞き付けた女がホイホイと釣られ、次に女が集まる所に男が色に釣られ、そして人が集まる所には自然と交易が生まれ、そして街は活気に満ちる

 

そんなジャギの理想とする街のサイクルが、ここにはあった

 

(良い兆候じゃないかよ

これならいつか、サンクチュアリの模範として参考にするか

それとも街同士で同盟し、互いに……)

 

アリサは品物を見ながら、ジャギは彼女の後ろを守りつつ、あれこれと考えながら市場を歩く

 

「あ!あの日用品が不足していましたね

あの道具は便利そう、そうですわ洗濯用の品物も欲しいですし、あと生理用品も」

 

(……『世紀末に生きるにコレは欠かせない!』

肩パット……水一缶

『男の身だしなみにはコレだろ!』

モヒカン手入れセット……煙草ワンカートン

『尖った革こそ、ワルの美学……』

トゲトゲライダースーツ……ガソリン三缶

『お前の魂は何色だ!自在に組み合わせろ!』

ノーマル革ジャン、革パンツのセット……時価

『俺の名前を言ってみろ!』

世紀末ヘルメット、水十缶……ん?)

 

「あとは……、ジャギは欲しいものは無いの?」

 

「ん?う~ん……ガソリンやオイルはまだまだ大丈夫だし、タイヤも減ってねぇ、ガンオイルも有る、ショットガンの弾薬は…流石に無いか

そうさな当面は、お前の旨い飯がありゃそれで良い」

 

「あら……まぁ」

 

サラッと言った言葉だが、アリサは満更でもなさそう

 

なにしろジャギにとってアリサは、あまりに思わぬ掘り出し物であった

 

ユダに挨拶に行ったら、原作と同じく女が捨てられ、ヒャッハーにわっしょいされていた場面に遭遇したので、助ければユダの情報(殆どが顔をしかめたくなる程の内容でしかなかったが)を聞き出せるなと、思わず助けた

 

あと何となく心に引っ掛かりがあったから

 

だが蓋を開けてみれば家事全般をこなすは、美人だわ気立ては良いわ、やりくり上手で床上手だわと百点満点

 

アリサとの生活は煩わしい事はなく、むしろ……

 

「そうそうジャギ、前から聞きたかったのだけど、どうして私を助けてくれたの?」

 

「……そうさな、俺にはユダの協力を得なければならない理由がある

奴の事を知るには、奴に仕えていた者に聞くのが一番だからだ」

 

「…そう…なのね…」

 

目に見えてガッカリするアリサ、だがジャギは続ける

 

「…後はお前の目が、あの時死んでなかったからか」

 

「それは……どういう事で?」

 

「俺は、死にたがる奴ならどうとでも好きにさせるが、生きたがってる奴、諦めて無い奴、見所はなくとも根性のある奴はどっかの誰かさんと違って見捨てねぇ主義だ

そんなお前が、あんな連中に一方的に好きにされるのが気に食わねぇ

もっと言えば……あ~……うん」

 

「?」

 

「なんか助けてやりたかった」

 

「……」

 

「…あん?…どした?」

 

「ふふっ、なんでもない♪」

 

「そうかい」

 

そこで会話は終わり、二人は市場の散策を再開

アリサの足取りは軽く、その表現は先程よりも柔らかくなっている

 

そんな彼女に引き寄せられたのか、良からぬ虫も集まってくるもの

数人の軟派な男に囲まれても、アリサは相手を怒らせる事なく追い払う

たまに場違いなヒャッハーもアリサを狙って現れるが、そんな時は後ろからジャギが殺気MAXで睨み付ければ解決である

 

それよりもジャギは何故に悪逆非道の自分が、アリサに最後のような言葉を吐いたのかが分からなかった

 

(助けたかった?は?俺がなんであんな事を)

 

その時、酒場を通り掛かった時に噂を聞いた

 

なんでも最近まで表に出てこなかったユダが、とんでもない美女に変わり民衆の前に現れ、その美貌を見たさに訪れた多くの人間を一目で跪かせていると

 

(ははっ!来た来た来た

やっと俺の出番だー!)

 

ジャギは遂に、聖母軍の使者としてユダ側への外交を開始した

 

 

 

「とっても良くお似合いですわユダ様」

 

「……」

 

「嗚呼…美し過ぎて、ため息しか出ませんわユダ様」

 

「…………」

 

「こちらのお召し物は如何でしょうかユダ様?」

「そちらも素敵ですが、こちらもご一緒に如何でしょうかユダ様?」

 

「………………」

「もはや、ユダ様こそが美の象徴、華も恥じらう程で御座いますわユダ様」

 

「……………………」

 

(くっくっく、本当に良くお似合いで……)

 

素顔のジャギの前には、玉座に座った美女が大勢の美女に囲まれ、もみくちゃにされて居た

 

純白のドレスとハイヒール、黄金のティアラに『UD』と刻まれたブレスレット

そして他者を圧倒する赤く長い髪と、化粧が映える顔立ち、メリハリのある体つき

 

まさに女王と言える風格を持った、ユダが居たのである

 

 

 




前回は本当にやらかしてしまいまして、大変申し訳ありませんでした

また前回では編集前にメリケン(女)とカーネル(女)を抱いてますが、編集後はそんな事はなかった事にしております

ややこしてスイマセン

BでLな展開は七話で完全封印し、エロも濁すか流す描写に、そしてタイトルには※を書いて参りますが、気になる点がございましたら御指摘くださいませ



なので今回はユダ様に頑張って、ぐぬぬして頂きましたが

なんだかこのユダ様は、ほんのりイチゴ味がする気がががががが

はい、楽しかったです!
特にキラキラモードの超絶イケメン集団に囲まれて苦しむユダ様を想像するだけで腹がよじれる思いでしたわ

女体化したユダ様は赤髪のアダルトな美女って感じで、キャラのイメージとしてはハマーン様ですかね
声も脳内で榊原さんを使ってますが、はたして

原作でもユダに額の傷で捨てられた女、アリサを救済してやるか~っとジャギに絡ませてみましたが

まさか……こんな事になろうとは……

俺と共に地獄に着いてくるか?なんて言葉は最早、ねぇ……

アリサは女房役にしていきまして、ジャギに対しては愛を知って貰うために一肌脱いで貰いましょう

くそ甘ったれな生活をしやがるジャギ様ですが、これまでの人生が人生なので、これくらいは御容赦ねがいやす!
マジであのまま行ってたら、ジャギは愛を知るどころか、性癖すら危うくなりそうになってしましたから

アリサの文字を変えれば……アンナになるな
むしろ偽名としてアンナに変えて、そのままジャギと……いや、そこは極悪ノ華のアンナを裏切れないので却下します!

ところで今回で気付いたのですが、ユダの執事である『ダガール』ってダ『カ゛』ール、なんですね
ずっとダカールって濁点なしで呼んでましたよ
HAHAHAHAHA

アンケートを作ってみました
皆様、お手数ですが投票の方を宜しくお願いします

リクエスト、感想、補足ありましたらお気軽にどうぞ♪

ありがとうございました!

ジャギの子供は有りか否か

  • 有り
  • 否! 断じて否である!
  • 結婚相手によるな
  • そんなことより世紀末バスケやろうぜ
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