好きな子がめがねを忘れるのは父親とセックスした翌日が多いなんて分かるわけなかった 作:伊倉米磁
「お父さん、私の眼鏡知らない?」
眼鏡がない。
私はなんか、硬い感じの椅子に座ってる。
近くにあったかい気配がしたから、多分それがお父さん。
「みっ……三重さん寝ぼけてるの……? 俺はお父さんじゃなくて……」
お父さんが変な事を言い出したので顔を近づけて見る。
間違いなく、昨日夜更かししてセックスしまくったお父さんの顔だ。
「お父さんじゃん」
昨日散々べろちゅーした口を見間違えるわけない。
お父さんはセックスも力強いし眼鏡を間違えても気にしない。
「お父さんがまた間違えて私の使っちゃったんじゃないの? ほんと雑なんだから」
昨日だって、おまんこと間違えてお尻の穴にチンポを入れようとした。裂けるかと思った。でも、次からはちゃんとお尻の穴でも気持ちよくなれるように拡げてくれるからお父さん大好き。
「まあいいや、もうちょい寝よ」
お父さんのチンポで何回もイッっちゃった後、お父さんを抱き枕に寝るのはとても気持ちいい。あったかくて、優しい気持ちになる。でも、今もたれかかってるのはなんか……
「……なんかお父さん……ちぢんだ……?」
うーん、でもこの安心感、お父さんだと思うんだけどなあ。
ぺん。
「あう」
頭への軽い衝撃で、あいは目を覚ました。寝ぼけまなこで叩かれた所をこしこし擦り、その庇護欲を煽る仕草に小村くんが悶絶していると、数秒で意識が覚醒し、
「ひあっ……す、すみません」
「授業中に寝るなー、三重ェー」
授業中に隣の男子の肩にもたれかかって寝こけるというイチャイチャぶりを見せつけた中学生に気勢を削がれたのか、スキンヘッドのいかつい教師の叱責も歯切れが無かった。
「ごめんね、ごめんね」
叱られたばかりだからか、ぽしょぽしょと隣の小村くんにも聞こえるかどうかの小声で何度も謝る。見えないから近づけているという風に教科書を持ち上げて顔にくっつける仕草を小村くんはほっこりと見つめているが、教科書の向こうの顔が真っ赤になっているのははみ出た首筋まで桜色に紅潮しているので丸わかりだった。
小村くんの座高がもっと高ければ、あいの制服から覗く胸元に、昨日父親がつけたキスマークが見えていたかもしれない。
(もう、お父さんが昨日寝かせてくれないから、給食当番で神経使ったくらいで眠くなっちゃった)
その上、授業中に小村くんにもたれかかって居眠りするなんて、恥の上塗りだ。
(……私、小村くんの肩にもたれかかって寝てたのか)
父親と同じくらい、あったかくて安らぐ肩だった。
教科書を至近距離で見ながら、ほう、と熱い溜息をつく。それは中学生女子がしていい溜息ではなく、
(なんか、お父さんとのセックスを思い出しちゃった。今日はお母さんの後で私もセックスおねだりしようかな)
そんな事をつらつら考えるあいだった。