藤丸視点
「マスター、この魔力供給補助装置とやらだが……」
「信頼性なら大丈夫だよ。俺や器薄が散々テストしたから」
魔力供給補助装置。
これまでの教訓から現地のサーヴァントに魔力供給せざるを得ない状況に備えて、ダ・ヴィンチちゃんに開発してもらったものだ。
「………………そうか。なら、いい。問題が起こったならすぐに報告するように」
不機嫌を隠そうともせず、アルトリア・ランサーオルタは背を向けて夜の闇に消える。
気配が消えたのを確認してため息をつく。
「……助けてくれるのはありがたいんだけど、ああもあからさまになってるなんて……」
セイバーの記憶や記録は持ってないそうだが、セイバーにあった遠慮や配慮が無くなっている。それが問題だった。
アルトリア・ランサーオルタが大人しくしているうちに2人と合流しなければ。そう決意した藤丸は対侵入者用の警報などの魔術が仕込まれた装置を起動させたのち、眠りについた。
主人公視点
捕縛したケルト兵を存分に活用しながら、アメリカの大自然を踏破しケルトとの戦線から比較的離れた町にたどり着いた。
ケルト兵を引き渡して敵じゃないと証明した俺は、
「ふぐっ……! れろ、じゅるるる……んあ」
「おお……いい感じだ。そのまま続けてくれ」
雑貨屋で元気に店主のちんこをしゃぶっています。
経緯? 宿を見つけたとマシュに連れられて、気が付けばセッティングされてた。
「んっ……。ふっ、ふっ、ふっ……」
「おっ! 積極的になってくれたな、嬢ちゃん!」
フェラは普通のセックスよりも疲れることを身をもって知っている俺は、さっさと射精させるべく鍛えられたフェラテクを駆使する。
喉奥まで咥え、カリ首まで引いたら舌で裏スジを刺激する。再び咥える前に亀頭に吸い付くのも忘れない。
「んぶぶっ!?」
吞み込んでいく途中で、前兆もなく射精してきた。
喉奥で射精させるつもりだったのに口内でぶちまけられたことで変な声が出てしまった。
「うっふ……よかったぜ。あんがとな、友達の嬢ちゃんにもよろしく言っといてくれ」
暴発したのであろう男は恥ずかし気に礼を言うと金を渡して俺を追い出す。
「……マシュに一言言ってやらなきゃ……」
町のどこかで盛っているであろう後輩を探しに、イカ臭い口臭を気にしながら街へ一歩踏み出した。
「いやどういうことなのこれ?」
案の定、売春していた後輩を引きずって宿で集めた情報を整理した……のだが、原作乖離どころではない事態に俺の頭がバグりそうになった。
何故かは分からないが、どうもメイヴのケルト兵生産能力が向上しており、レジスタンスの協力も得られていないエジソンたち合衆国軍はロッキード山脈から叩きだされ、西海岸でなんとか踏みとどまっているが次、メイヴが大攻勢を仕掛ければ終わるだろう。
まさしく詰みの状態だ。
「…………原作から変わりすぎでしょ」
原作の時点でも余裕はあまりなかったのに、現状はさらに救いがない。
異聞帯並みに終わっている。そう考えてしまうほどに、器薄から見てこの特異点は八方塞がりの状況にある。
「エジソンたちは何やってるのさ……。いや、むしろよく頑張ってるほうなのかな?」
原作でのケルト兵生産は時間がかかる様子だった。少なくとも描写的には、瞬時に生み出せるわけではないようだった。
だが現実にはそこまでいかずとも地を埋め尽くす規模のケルト兵があちこちで確認されているらしい。兵力差は多く見積もって1:1000か。
「……とにかく藤丸と合流して、エジソンたちを味方につけないと」
打開策が浮かばぬなか、当初の目的を優先することにするのだった。
アルトリア・ランサーオルタは不機嫌だった。
藤丸と魔力供給できなかった。それだけでも腹立たしいのに、明らかにこちらを警戒した結界などで夜這いを防いでいる。
「――ん?」
夜空に一瞬浮かんだ光。気のせいか流れ星かと思ったが、すぐさまそれは間違いだと気づく。とてつもない魔力反応とともに魔法陣が広がり、そこから複数の流星が飛び出してきたからだ。
後ろのテントが騒がしくなる。これだけの異常事態が起きれば当然だろう。
そしてカルデアは分からないだろうが、アルトリアだけは目の前の事件が誰によって引き起こされたのか見当がついた。
「……どうやって来たんだ」
ぎりぎりと歯ぎしりしながらうめく。
アルトリアからしてみれば、自身のすり替え召喚以上のことは計画にないと伝えられている。
つまりこれは自分の派閥――穏健派とは異なる派閥の行動と判断すべきだろう。
「過激派の連中、まさかここで始める気か!? まだ終局どころか第7もクリアしていないのだぞ!!?」
暗黙の了解となっていたはずのそれを破り捨てての暴挙。驚愕と憤りに支配されていた彼女の元に水銀の鳥が舞い降りる。
それは、今も活動中の同志が用いる連絡手段。そこにはアルトリアが精神の平常を取り戻すのに必要な情報が簡潔に記されていた。
「……そうか、あの獣のテコ入れ。奴らはそれに対抗するため派遣されたのか。……ならば協力もできなくもない、か?」
敵対派閥である過激派との一時的な休戦と協力を一瞬考え、しかしすぐ打ち消す。
「無理だ。あいつらに理性は期待できない、必ず何か仕出かす」
かぶりを振ってアルトリアは藤丸のいるテントへ駆ける。今なお天より降り注ぐ脅威から彼を守るために。
主人公視点
口を濯いで安眠をむさぼっていたところ、珍しくシリアスな雰囲気のマシュによってたたき起こされた。
「器薄さん! 起きてください、器薄さん!」
「えっ! なに!? どうしたの!?」
「空を見てください! 突如、出現した魔法陣から魔力塊が降り注いでいます!」
外へ飛び出すと、マシュの言う通り夜空に浮かぶ魔法陣から流れ星のようなものがあちこちへ降り注いでいる。
「器薄さん、私の後ろに!」
こちらへも小さめの光が降ってきた。こういう時は頼もしい後輩が盾を構えて俺に向かってくるものを防いでくれている。
ん? あの流星、なんか軌道を変えてこっちに向かって――
「――ぶべらっ!!?」
「器薄さん!!!」