二次元は天国 作:絵の具の筆洗う水
始まり
気が付けばフワフワとした場所にいた。視界に映る景色はただただ白く、上下すらも曖昧な空間のだった。
「ここは……」
「神の間、とも言うべき場所だよ」
「っ?!」
振り返るとそこには光輝く球体があった。その球体はひたすらに美しく、理解しがたい光をたたえている。その光は神々しく、禍々しく、美しくもあり、この上なく不浄で汚れている。またとげとげしくもあり、穏やかで柔らかいようにも見える。
存在する全ての光が内在していて、かつそのどれもが一切当てはまることのない理外の光を纏うその球体からは、異質で、しかし、既存の何よりも美しく強大な力を感じる。
その球体を見て否応なく理解させられる。ああ、これこそが、この方こそが神なのだと!!
「それで、話をしてもいいかな?」
「っぁ」
その存在同様に美しすぎる声が聞こえてくる。何か返さないといけないと頭では考えるのだが、その存在が発する存在感に当てられ、体が強張り、全く動かない。
「ああ、動けないのか。それじゃあ……これでいいかな?」
「っかはっ!はー……はー……ありがとうございます」
「いや、こちらこそ、配慮がたりなかったね。申し訳ない」
「いえいえ、お気になさらず」
気づけばあの美しさはなりをひそめ、ただの輝く玉となっている。自分の中にあったこの存在にあった畏怖、恐怖といった感情や美しすぎた球体の記憶などの一切が消え去り、何故かこの存在に対する信頼感が沸いてきた。
「どうして俺はここにいるんですか?」
「その件なんだけどね、わたしのミスで君を殺してしまったんだ。生き返らせることは出来るんだけど、お詫びに何かひとつだけプレゼントしようと思ってね。希望を聞こうと思って呼び出したんだ」
「……生き返ることは出来るんですね」
「まあ、結構力のある存在だからね」
「それは身をもって実感しました」
……異世界転生ではないのか。ミスで殺してしまったのあたりでもしかしたらては思ったが、違ったのか。
まあ、よく考えずともインフラの整備をもショボく、娯楽も発達していない世界に飛ばされるなんて真っ平ごめんだしな。それで、プレゼントだったか……。
「おすすめはありますか?」
「本当になんでもいいよ。ものじゃなくたっていい。殴れば星を砕けるような力だって、全てがなすがままになるほどの幸運でもいいんだよ?ただし、わたしが叶えられる範囲にはある程度のかぎりがありからね」
「どこまでが限界なんですか?」
「うーん、たぶん限界を理解するより、君の要望が限界に達しているかどうか認していく方が早いんじゃないかな?もし理解できたとしても、その希望を叶えるために必要な力の大きさを君がまた理解しなくちゃいけないし」
「たしかにそうですね。それに理解して発狂したらもともこうもないですしね」
そうなるとどうしたものかなぁ……。
「しばらく一人で考えさせてもらってもいいですか?」
「いいよ。終わったらよんでね」
そういうと、球体は消えた。それにしても、ずいぶんとファンタジーなことに巻き込まれたな。目が覚めると白い空間にいた、なんてクトゥルフでしかみたことないことが実際に起こるとは。
まあ目が覚めて最初にあったのが神話生物とかクソゲー確定だけどな。友好的ならまだしも、襲いかかられたらKPにキャラシぶつける自信があるわ。
「さて……、もらう能力かんがえますか」
俺は何をもらうか考え始めた。
◆
しばらくして、もらいたいものがきまり、球体に呼び掛けることにした。
「すみませーん」
「おっ!決まったかい?」
目の前から声が聞こえ、球体が現れた。その声はまるで荘厳な宮殿で奏でられる聖歌のように美しく、何者をも魅了する響きと聞くものを畏怖させる(略
「ごめんごめん、忘れてたよ。それで、欲しいものはなんだい?」
「……まぁいいです。俺が欲しいのは『二次元に入る能力』です。細かい能力は説明するのが大変なので、出来れば記憶を読んでください」
「ちゃんと説明しようよ……。……へぇ、おもしろいね」
俺が考えた能力は二次元に入ることが出来るだけではなく、そこから持ち込みたいものを現実にもちこめる能力だ。さらに使えば使うほど進化していく、といった能力もつけた。
さらにゲームのようにステータスとかストレージとかが欲しいのだが、的確に伝わるかわからなかったため、記憶を読んでもらうことにした。……あと単純に説明がめんどくさかったし。
「結論から言うと多分全部叶えられる。ついでに、二次元の世界の中にあるものは全部習得出来るようにしておくね」
「よろしくお願いします!」
「じゃあおわかれだね」
「え?あ!もうもらえてるんですか?!」
「何かにエフェクトとかあったほうがよかったかい?」
「……いえ、大丈夫です」
ほんとは欲しかったけど。
「じゃあ送るね」
「いろいろありがとうございました!」
「いえいえ、こちらこそ楽しませてもらったよ」
「では……」
「「さようなら」」
そう言った瞬間俺の意識は途切れた。
クトゥルフって楽しいよね。