二次元は天国 作:絵の具の筆洗う水
目が覚めた。昨日眠りについた状況から特に変化はない。しかし、なぜかさっき体験したできごとが夢ではないという実感がある。
さらに能力の詳細な説明が脳裏に浮かんでくる。やはり、夢ではなかったみたいだ。
早く、早く試してみたい!
しかし、何事も初めは肝心だ。入るにしても危険がなく、かつ確実に異世界だと確信できる世界がいい。
……Minecraftなんてどうだろうか。日中であれば安全は確保できる上に
この特性さえあれば他の世界でも安心して遊ぶことができる。といっても、二次元に入る能力のとある性質によってある程度の安全は元々確保できてるけどな。
ちなみにステータス確認機能やストレージ機能なんかをひっくるめた『メニュー』という能力をつけたせいで、二次元の世界に入る能力、『ダイバー』に制限がついたようだ。
まあ一つだけって言われていたのに三つも能力を得られたんだし特に不満はない。それを見越して、生成する機能をつけたからな。こうすることで最終的には制限がなくなる、って寸法だ。
細かいことをうだうだ考えても仕方ないので早速使ってみることにしよう。
俺はのそのそとベットから起きあがり、パソコンを起動する。この間にステータスを確認していく。項目は、HP、MP、STR、AGR、VIT、LUCの6つだ。ど定番だな。
能力値は全てHだった。そりゃ当然だな。っと気づけばパソコンが立ち上がっている。急いでマイクラを立ち上げる。
そしてNew Worldを作成し、world名を適当につける。……能力実験所でいいか。そして生成を開始する。能力はすでに使っているので、生成が終わると共に発動するだろう。
ゆっくりと進むゲージが途方もなくじれったい。
もうすこし。
もうすこし。
終わった。そう思った瞬間、意識が途切れた。
◆
視界が切り替わり、見渡す限りに草原が広がった。そう、
どうやら無事にマイクラの世界にこられたようだ。それを理解した瞬間、実感が沸々とわいてくる。この衝動を表したくて、気づけば俺は走り出していた。
土を踏みしめる感触、頬を流れる風の冷たさ、澄みきった空気、四角い太陽から降り注ぐ柔らかな光、五感で感じる全てが、俺が退屈な日常から抜け出したことを本能的に理解させてくれる。
ただ駆け回っているだけなのに、それが異様に楽しく、新鮮に感じられる。
しばらく走り続けていると、辺りが暗くなりかけていることに気づいた。そういえばマイクラの日中は10だけだったな。完全に浮かれていて忘れていた。
ステータスを見てみると、『リスポーン』というスキルと『クラフト』というスキルがついていた。それぞれの説明文がこれだ。
『リスポーン』
その世界で寝た最後のベットの位置、または最初に訪れた場所に蘇生させる。なお、その際貯蔵経験値の大半を失う。
『クラフト』
一定の場所や手順を行うことで様々なアイテムを作ることができる。
きちんと取れているみたいだな。ホッと一息つく。しかし、空腹になるまで走り続けられるのはスキルして得られないのか。少し残念だ。
一応目的は達成したし、もう帰ってもいいんだが、やはり、一度はクラフトしたい。出来れば金塊とか欲しい。
というわけで続行だ。近くにちょうど木が生えているので殴ってみる。おお……おもしろい感触だ。なんというか、木の触感があり、柔らかい訳でもないのだが、壊せるという感覚がある。
2個の原木を手にいれたところで、背後からゾンビの声が聞こえた。振り返ると二匹のゾンビがいた。殴り殺すのには時間がかかりすぎるし、結局他のモンスターに見つかってしまうだろう。
そこで、『ダイバー』の機能の一つを使う。それはその世界のありとあらゆる存在から認識されなくなるというものだ。……というか、それが初期状態だ。
そもそも、俺の存在はかなり異質なものなので、最初に入る世界では、生物には認識されないのだ。
次の世界に入る頃には全く認識されないか、路傍の石程度認識されるか選べるようになるが、まあ誤差だ。三つ目の世界に入ってやっと普通に認識されるようになるようだ。
この能力は色々便利なので他の世界でも積極的に使っていこうと思う。……おもに欲望の発散に。
そんなムフフなことを考えているうちに、ゾンビは去ったようだ。それじゃあ再開しますか。
俺は再び木を殴り始めた。