「今日は付き合ってもらってありがとうね。折角だからって誘ってみたんだけれども、楽しめたかしら?」
「ああ」
「それは良かったわ」
とある劇場。
そこではオペラを観終えた人々が続々と出口へと向かっている。中には感想を存分に語らわんと屯する者も居り、彼女たちもまたそのような人々の中の一組であった。
「君ぐらいの歳の子だと中々行くこともないだろうから、楽しめるか不安だったんだけれども……杞憂だったみたいね」
「何事も経験だ」
「ええ、その通りね」
妖艶な黒いドレスに身を包む美女―――新島 冴は、そう言ってはにかんだ。
つい最近弁護士となったばかりの彼女は、怪盗団リーダーであった蓮とは浅からぬ関係にある。今となっては良き理解者の一人であり、休日にオペラ鑑賞に誘われるくらいには親しい間柄となっていた。
普段はスーツ姿しか見られない冴だが、オペラを観るにあたってドレス姿とめかしこんでいる姿は新鮮の一言。パレスに居た冴のシャドウ程ではないが露出の多い恰好には、健全な蓮も目のやり場に困る。
そんな蓮の視線に気がついたのか、ほんのりと頬を染める冴が話題を変える。
「それとなんだけれど……この後、レストランを予約しているの。君への恩返しも込めて奮発してみたんだけれど、来てくれる?」
「喜んで」
「そう。それじゃあ一緒に行きましょう」
断る理由もない蓮は、そのまま先導する冴の後に付いて行く。
見れば見る程、その美貌に釘付けになってしまう。流石は真の姉と言うべきか、ところどころ真の面影を宿す顔立ちをジッと眺めていれば、不意に振り返った冴が目を細めた。
不味い、と肩を竦める蓮。
あまりにもじろじろと見過ぎたかと反省する彼であったが、次の瞬間冴が見せたのは、思っていたものとは少々違う反応であった。
「その……やっぱり変だったかしら、こんな格好」
「いや、そんなことは……」
「そう? 君が見てくるものだから、てっきり……」
「綺麗だったから、つい見惚れただけだ」
「ッ! ……えっと……ありがとう。そう面と向かって褒められると悪い気はしないわ」
唐突な称賛を貰い、生娘のように恥じらった挙動を見せる冴。
これまで容姿を褒めてきた輩と違って下心を感じさせない言葉が、彼女の心に響いたようだった。
父が死んでからというもの、勉強に勉強を重ね、検事となってからも昇進するために働いてばかり。到底色恋沙汰などに掛けられる時間はなかった。
(馬鹿ね、私ったら……こんな年下の子に褒められて舞い上がるなんて……)
だからこそ疎い。
例えお世辞であろうとも嬉しいと喜ぶ女の自分が居ることに、僅かながら自己嫌悪の念を覚える冴。
しかし、嬉しい事実に変わりはない。ここは気分を良くするついでに愛想をもっと良くしていこう―――そのように思うのだった。
そうこうしている内に二人はレストランへとたどり着いた。
高級感漂うフレンチレストランを前に、ジャケット姿の蓮は気取られない程度に目を泳がせる。やはり彼もまだまだ子供だ。そう思う冴の口元には柔らかな微笑みが浮かぶ。
「さてと……こういう場所に来るのは初めてかしら? お口に合うと良いんだけれど」
「冴と一緒なら何だって美味しい」
「ふふっ、口説いてるつもり? まあ、緊張しすぎて味が分からなくなりよりはいいわ。遠慮なくごちそうになっていきなさい」
向かい合うように席へ着き、軽く談笑を交わす。
(それにしても……)
慣れない格好で自分が落ち着かないのもあるが、対面する蓮にどうしても意識が向く。
オペラ鑑賞と聞き身なりを整えてきたのだろう。それっぽいジャケットを羽織る彼の姿は、尋問室や喫茶店で会った時と随分印象が違う。
髪型を整え、伊達である眼鏡も外そうものなら、どことなく根暗そうだったイメージが一変。清潔感溢れる青年へと早変わりだ。
(っと、イケないイケない……雰囲気に
心の中で『アリだ』と思ってしまった自分を抑え込む。
いくら何でもそれは駄目だ、と。自分が成人なのに対し、彼はまだ結婚できる年齢にさえ達していないのだ。法律職の人間として、法律に背くような真似はできない。
だがしかし、彼が正義感溢れる好青年であることには変わりないのだから、もしも彼が大人になったら―――などという妄想がついて離れない。
(案外私も気にしているのかしら……)
薹が立ち、このままでは結婚に行き遅れそうな現実を意識しているのかもしれない。
結婚が絶対の幸せと考えている訳でもないが、素敵な殿方が居るとするならば操を立てたいという考えもある。
そして目の前に居る少年こそ、その“素敵な殿方”とやらに当てはまる男性であった。
(まったく。意識しすぎるのが良くないのよ……)
だからと言って冗談でも言える訳がないと、冴はワインを口に含む。
料理と談笑に意識を注げば、自然とそういう考えも逸れるだろう―――邪な考えをアルコールで誤魔化す冴は、次々にワインを口に運ぶ。
高い店とだけあって、ワインもそれなりに上物だ。それほど酒を嗜むことのない彼女であっても飲み進めてしまえる口当たりと味わい。
しかしながら、アルコールを含んでいることには変わりない。
彼女に誤算があったとするならば、それは酒を飲むにあたって自分の限界量を知らなかったこと。もう一つは淡白ながらも褒め上手な蓮との会話の楽しさの余り、酒が進んでしまったことだっただろうか。
「んぅ……」
「大丈夫か?」
「ごめんなさい……ちょっとふらふらするわ」
食事を終えた二人。
もしも彼らが恋人ならば、そのままホテルへと直行してもおかしくはない流れである。
だが、今にも倒れそうになりながらタクシーから降りる冴の姿を見れば、そのような考えが消え失せるだろう。
二人が立つのは新島宅の目の前。
酔ってふらふらな冴に肩を貸す蓮がチャイムを押すも、人が出てくる気配はなかった。
「真は居ないのか?」
「今日は友達と出かけるって言ってたから……もうしばらくは帰ってこないと思うわ」
「そうか。じゃあ、鍵は?」
「ええ……鞄の中に……」
「すまない、探すぞ」
断りを入れてから冴の鞄の中を漁る蓮。
女性の私物が入っているであろう鞄をまさぐるのは忍びないが、状況が状況だ。そこは目をつぶってもらうことにして鍵を探し出した蓮は、そのまま扉を開き、冴を寝室まで連れて寝かせた。
「待っててくれ。水を持ってくる」
「んっ……」
楽な体勢で横たわらされた冴は、朦朧とする意識の中で、せっせと看病に奔る蓮の背中を見送る。
(私ったら本当に情けない……ちゃんと借りを返そうっと決めた矢先に……)
留まることを知らない自己嫌悪に苛まれながらも、同時に彼への好感が増していくのを実感する。
こんなにも世話焼きでお人好しな正義漢を、世を混乱させる極悪人だと思っていたとは、つくづく当時の己の審美眼が曇っていたのだと自覚せざるを得ない。
(でも……どうしようかしら)
もてなそうとして酔いつぶれて看病されるなど笑い話だ。
借りを返そうにも、これではまた一つ借りを作ったようなもの。
(また何か―――あ)
その時、不意に脳裏を過った思案。
(っ! ダメよ、いくら何でもそれは……でも)
―――彼にその気があるならば、満更でもない。
酔って冷静な思考ができない。そう自分に言い訳を聞かせる冴は、一つの決心をつけた。酷く浅ましい淫売のような―――それでいて自身の欲望に忠実な方法で借りを返す、と。
緊張してベッドの上に転がっていれば、水を入れたコップを携えてきた蓮がやって来た。
「具合は?」
「少し良くなってきたわ。ありがとう」
「それほどでも」
「……折角もてなそうとしたのに、これじゃあ台無しね」
「そんなことはない」
そう言って差し出された水に口をつける。
冷水が喉を通り抜ける清涼感に頭が覚めていくのを実感しつつも、未だに体は火照ったままだ。
「ふぅ……こんなに気を遣われたら大人としての面目が立たないわ」
「無理に立てるものじゃない」
「君にとってはそうかもしれないわね。でもほら、大人って変に自分のプライドを持ってる人が多いから……」
ドレスの胸元に指をかけ、ほんの少し隙間を作るように前後へ仰ぐ。
そうした胸の谷間が強調される光景に、思わず蓮もスッと目を逸らした。
しかし、それを冴は見逃さない。
(案外、気にしてくれているのかしらね)
女として見られている。
職場では嫌悪感しか覚えなかった異性の行動も、この少年が行っていると思うだけで、不思議と心が高揚するようだった。
今ならば劣情さえも受け止められる。
何よりも女としての自分が彼を受け入れたいと疼いている。
(……今日、だけだから……)
言い訳は端的に。
目を伏せていた冴が徐に面を上げ、気まずそうに目を逸らしている蓮を見つめる。
「ねえ、ちょっとお願いしてもいいかしら」
「どうした?」
「近くのコンビニでもいいから買ってきてもらいたいものがあるんだけれど……」
「分かった。何を買ってくればいい?」
「もう、せっかちね。ほら、お金を渡すから」
「自腹で構わない」
「こういう時は大人の顔を立てて頂戴。お願い」
「……分かった。それで?」
「……こっちに来て」
「? ああ」
手招かれるがまま、冴の前まで歩み寄る。
耳を近づけるようジェスチャーする彼女に従い、そっと前屈して耳を澄ませれば、やけに熱っぽい吐息と共に言葉が紡がれた。
「その……ゴムを……ね」
「ゴム? ……ッ!? ……酔ってるんだな」
「そう、ね……酔ってるのは否定できないわ。でもね、今できるお礼が何かって考えたらこれくらいしか浮かばないし……それに君になら抱かれてもいいかな、って」
一度は冴が正気を失っているだけと断じた蓮であるが、ここまで言われれば迷いが生まれてくるものだ。
いつの間にか掴まれた手は、大胆に露出させられている胸の谷間へと手繰り寄せられていた。露わになる肌から、直に体温が伝わってくる。しっとりと潤った女性の肌。直接触れれば経験したことの無い心地よい感触に言葉を失ってしまう。
「ッ……!」
「こんな風に誘えるのは君だからなのよ」
「だが……」
「酔いが覚めない内に……ね?」
酒気と熱を孕んだ吐息と共に、冴は紡ぐ。
その情欲に熟れた微笑みは、如何に蓮と言えど心を射止められかねない妖艶さと美しさを兼ね備えていた。
沈黙が場を支配する。
ゴクリと喉を鳴らし、つばを飲み込む二人は、依然見つめ合ったままだった。
そして―――。
「んっ……ふぅ……」
一人用のシングルベッドの上で、裸体を晒す一組の男女が向かい合っていた。
膝立ちのまま体を密着させ、貪るように舌を絡ませる。技術もへったくれもない。ただただ激しい肉欲に突き動かされるがまま、熱烈な口付けを演じていた。
甘くほろ苦い味わいが口いっぱいに広がる。何とも甘露な味わいだと舌鼓を打つ蓮は、そのまま冴の後頭部に手を回し、そのまま彼女を抱き寄せる。
「ん、んんんっ……!」
気恥ずかしさから少しばかり及び腰であった冴だが、こうも拘束されてしまえば逃げることもできず、熟れた口腔の隅々までを舐られることとなる。
熱く潤った唇のまろやかな弾力に始まり、整然と生え揃った白い歯の滑らかな舌触り。それからざらついた舌を絡ませ、押し合い、流し込む唾液を攪拌するような動き。それら全てが冴にとって初めての経験であり、長年物寂しさに乾いていた胸の内を潤す濃密な時間であった。
(凄い……なんなの、これ……頭がボーっとしてきたわ……)
酸素が頭まで巡っていないのだろうか。
けれども、こうして抱きしめ合って口付けを交わす充実感より湧き上がる快感は、しっかりと脳髄へとなだれ込んでいた。
しかし、これは前座の前座。
しばしディープキスに耽っていた冴は、不意に無防備であった女陰に触れられる感触に怜悧な印象を与える瞳を見開いた。
「んっ! あぁん! はっ……!?」
―――今のが自分の口から出た声?
色欲に彩られた艶やかな声音を自覚する冴は、カァっと頬を赤らめる。
一方、年上の美女のギャップを感じさせるいじらしい反応に、蓮は笑みを禁じ得られなかった。
「感じたか?」
「ッ……ええ。悔しいけれど」
「悔しいのか?」
「貴方にばかり気持ちよくさせられたら、年上として立つ瀬がないもの。……ねえ、私も触れていいかしら?」
「よろしく頼む」
「貴方も緊張するのね。まあ、私も同じね……」
心なしか緊張した面持ちを湛える冴が、今度は蓮の性器へと手を伸ばす。
直視こそしていないが、大体の当たりをつけて探れば、すぐにでも熱く滾る剛直が掌に触れた。
(嘘ッ、こんなに大きいの……!?)
掌に触れる感触だけで大きさを推察する冴であるが、想像以上の逞しさに慄いた。
そして、脈動する剛直の熱さに二度驚く。
世の女性は斯様な狂暴な肉棒を受け入れて喘いでいるのか―――耳年増な自覚はある冴は、経験に乏しい我が身で受け入れられるかと不安を覚える。
だが、だからと言ってここまで体を火照らせておいてお預けなどできない。
意を決した冴は、今にも泣きそうな程に潤ませた瞳を浮かべ、握る肉棒をゆっくりと上下に擦り始める。
伸縮する皮を剥けば、赤く膨れ上がった亀頭が露わになる。汗の香りに混じって立ち上る雄臭が鼻を突くが、不思議と不快感は覚えなかった。
寧ろ、真っ赤に腫れる亀頭の弾力を面白がってか、冴のしなやかな手による扱きも次第に慣れた動きへと変わっていく。
片や蓮はと言えば、大人の色気を感じさせるように整えられた陰毛が生い茂る女陰を撫で回していた。
優しい愛撫だ。しかしながら、快感はきちんと覚えているようであり、慎ましやかな喘ぎ声と共に秘裂からトロリとした液体が溢れ出してくる。
同時に蓮の部屋に立ち込める汗と性臭が、一層濃さを増していく。
「あっ……はぁ……」
愛液を垂れ流す程には感じている冴。目を薄っすらと細め、汗を流しながら腰を躍らせている姿はひどく誘惑的だ。
蓮の手へと零れ落ちる愛液が潤滑油代わりとなり、女陰の肉を解す動きはどんどん滑らか、そして速度を増していく。
「はぁ……はぁ……! んっ! ふぅ……!」
次から次へと溢れ出す愛液が、蓮の掌を濡らしていく。
乾く暇がなくなった手が女陰を撫でれば、それだけで肉厚な陰唇を爪弾くように、淫靡な水音が掻き鳴らされる。
それに加え、肉豆が指に押し潰された時には一際甲高い悲鳴が上がった。甘く、それでいて切なげな愛欲の音色。喉から迸る音は蓮の鼓膜を揺らし、彼の内で燃え盛る情欲の炎を煽りっていく。
「冴」
「んっ……」
「
「んぁっ!」
愛液で濡れそぼった膣口へ指をあてがう。
散々女陰を愛撫して揉み解したが、それでも入り口は固く閉ざされている。
しかし、丹念に弄った甲斐もあってか、冴の緊張が解けた一瞬の隙を突くように指が秘裂の中へ押し込まれていく。
「はぁ……はぁ……!」
とうとう肉壺の中へと侵入を許した冴は、息も絶え絶えになりながら、下半身から背骨を通るようにして広がっていく快感に喘いでいた。
「ッ……今、どれくらい入ってるの……!?」
「先の方だけだ」
「嘘ッ……まだそれだけ……!?」
冴が覚える圧迫感に相反し、未だ指は先端の方が入ったばかり。
これを全て挿入されれば、一体どれほどの感覚を教え込まれるのだろう。冴は得も言われぬ恐怖と共に、同じだけの期待を胸に抱いた。
打ち震える女の体はギュウギュウと男の指を締め付ける。
肉壺より流れ出る愛液も、留まることを知らぬように純白のシーツに染みを描くなど、順調に雄を受け入れる準備を整えていた。
だが、まだだ。二人の濃密な愛撫の時間は始まったばかりである。
「っ……んんぅ……!」
ジュクッ、と押し込まれる指の感触に悶える冴。
指が押し込まれていけば、肉壺に収まっていた愛の蜜が零れていく。それが部屋中に満ちる性臭を、より濃密で理性を蕩けさせる淫靡な香りへと彩っていくのだ。
唇を噛み締めながら快感を堪える冴は、自分ばかり気持ち良くなってはいけないと、必死に蓮の肉棒を扱く。こちらも絶え間ない手淫のおかげで鈴口からは先走り汁が溢れていた。冴の手に触れれば、そのまま肉棒を擦る動きを助けるように塗りたくられていく。
「はっ……はっ……はっ……!」
激しく肉棒を擦る一方、だんだんと早まっていく指の動きに悶える冴の息が荒くなる。
快楽の刺激に耐えかねて腰が逃げようとするが、蓮の手はぴったりと付いて回ってくる。
逃げようにも逃げられない男女は、手淫で互いの性器を弄りつつ、艶やかで淫らに熱っぽい体を躍らせていた。
白いベッドの上で踊っていた二つの肌色は、やがて一つの塊へと溶け合っていく。
「んぅ……ちゅ。れろぉ……ぷはぁ! はぁ……んぁ! も、もっと……」
柔らかに熟れた体を押しつける冴は、強引に蓮の唇を貪っていた。
灰色の長い髪を振り乱し、秘裂からは生暖かい性臭を迸らせる。最早そこに佇むのはクールな美人弁護士などではなく、ひたすらに性欲を満たさんとする一人の雌であった。
だが、肉欲に溺れるのも束の間、下腹部を中心に強烈な快楽電流が全身を駆け巡り始める。
「あっ、あぁ!? だ、駄目!」
「何が駄目なんだ?」
「イ、イくわ! もっとゆっくり……!」
「……フンッ!」
「うああッ!? ま、待あああっ……!!」
絶頂寸前で快楽に悶える冴。
久しい感覚に怯え竦むようにビクビク震える体。重力に引かれて垂れ下がる乳房も、実に淫らに震えていた。
そうして動きを緩めるよう懇願する冴であるが、美貌を蕩けさせている顔を晒すのが良くなかった。寧ろ蓮の情欲を煽り、理性の箍を外すに至らしめるや、彼の手の動きは一層速度を増していく。
秘裂から溢れ出る愛液がシーツに飛び散る程の抽送。鳴り響く水音もひどく淫猥で粘着質なものへと変わっていく。
グチュグチュと高速で掻き鳴らされる音の通り、細く長い指で膣全体を擦られる冴は、絶句してしまうほどの快楽に、布団の上でエビ反りになってのたうち回るしかなかった。
「あ、あ゛あ゛あッ!!? はあぁんっ!! きゃああぁ!?」
「っと……潮を噴いたな」
「あっ、やぁ……み、見ないで!! こんなはしたない姿ぁ……!!」
「いいや、綺麗だ。もっと見せてほしい」
「そんなこと……イっ、てぇぇええええ!!?」
辛うじて肉棒を握ってはいるものの、手淫どころではない冴。
絶叫に等しい喘ぎ声を上げる彼女は、びしょびしょに濡れそぼった女陰を高々と突き上げ、尿道から熱い潮を断続的に噴き上げた。
息をするのもままならない冴が口をパクパクと開くものの、酸素を取り込むどころか、雄叫びのような喘ぎ声が迸るのみ。
そうこうしている内に、鮮烈な快感と呼吸困難で目の前が白黒に明滅し始める。
同時に体も―――肉壺も強烈なくらい収縮し始めた。
「―――イ」
刹那、視界が白く弾けた。
「クぅぅぅぅううああああっ!!!」
絶頂。
喉から咆哮が上がる一方、秘裂からは今日一番の噴水が噴き上がり、ベッドのシーツどころか床面をも濡らしていった。
「はぁ……あぁー……はぁー……!!」
エビ反りのまま痙攣する冴は、虚ろな瞳で天井を眺めていた。
最早外面を取り繕う必要もないほどに乱れまくった今、彼女は潮と愛液と涎を垂れ流しながらベッドの上に転がっている。
すると、朦朧とする視界の中に割り込んできた少年が、だらしなく半開きになっていた口を貪ってきた。
「んぅ!? ぷはぁ……はぁ!!」
「気持ち良かったか?」
「……ええ、とても」
薄桃色の吐息を紡ぎ、恍惚とした面持ちを湛える冴が言う。
驟雨に襲われたかのように水浸しのシーツの上。身を起こす彼女は、柔和な笑みを浮かべながら蓮と今一度口付けを交わす。
啄むように唇に吸い付くキスから始まり、舌を唇に這わせて舐り回した後は、ゆっくりと、それでいてねっとりとしたディープキスで雰囲気を作り上げていく。
「んっ……そろそろいいかしら」
「何がだ?」
「言わせるつもり?」
フッと悪戯な笑みを零す二人が、今一度口付けを交わす。
それから流れる沈黙。これから行われる行為を思い、得も言われぬ気まずさを覚えたからだった。
しかし、それ以上に込み上がってくる情動と期待。
ジッと見つめ合う二人の内、蓮を抱きしめる冴がそのまま仰向けになるよう転がった。
立派に屹立する剛直は握ったまま。それを彼女は濡れそぼった己の肉弁へとあてがう。
「来て」
端的に、それでて妖艶な声音で紡ぐ。
対して蓮は無言で頷き、手早くコンドームを嵌めた。
そしてゆっくりと狙いを澄ませ―――押し込んだ。
「っ、んゃあ!」
すぐさま冴の喉から喘ぎ声が迸る。
濡れに濡れた肉壺とは言え、あくまで受け入れたのは指。それより一回りも二回りも大きい肉棒を受け入れるとなれば、先とは比べ物にならない圧迫感が下腹部を押し上げてくる。
「あ、あぁ……くぅ……!」
「大丈夫か?」
「だい、じょうぶよ……私に構わないでいいから、動いて……!」
「辛くなったら言ってくれ。……動くぞ」
「あああっ!」
言われるがまま腰を振り始める蓮。
肉襞を掻き分けて奥へと突き進む感覚に苛まれるや、今度は雁首で膣全体を引っ張り出されるような感覚に襲われる。
一つ一つの動きが落雷の如く脳天を穿ち、冴の頭の内を快楽一色へと染め上げていく。
みるみるうちに淫婦染みた思考へと塗り替えられていく中で、冴はシーツを握りしめる。これも快楽を耐える為の行動ではなく、少しでも絶頂に至った瞬間―――その性感の解放をより凄まじいものへと昇華させる為のものであった。
既に膣の圧迫感からくる苦しさはなく、寧ろこれまで空虚であった肉壺を満たされる充足感が下腹部から胸へと込み上がってくる。
「あぁあああ!! イいっ、気持ちいいわ!!」
「どこが気持ちいいのか、言ってくれなきゃ分からないな」
「ぁ、わ、私の……」
「言えないなら止めてしまおうか……」
「ま、待って! 言うから! 言うから止めないでェ!」
腰を打ち据えられ、豊満な乳肉を揺らす冴。
その美貌に羞恥心を湛える彼女は、今にも悶死するかと言わんばかりに顔を紅潮させる。
「わ、私の……私のあそこが……」
「あそこじゃ分からないな」
「っ、まんこよ! 私のおまんこ、君の太いおちんちんで突かれて気持ちいいのぉ!!」
綺麗な顔をしてなんと下品な言葉を吐くのだろうか―――蓮はそのギャップに押し込む肉棒のサイズを一回りも膨張させる。
続いて打ち据える腰の速さも増してきた。
バチュン! バチュン! と美尻に肉波を立たせるだけに留まらず、秘裂から溢れる愛液の糸を何度も引き延ばしたからか、二人の下半身の間には白く濁った体液がいくつもの糸を紡ぎ、鼻を摘まんでしまいかねない濃厚な性臭を放っていた。
しかし、二人にとっては関係のない話。寧ろ燃え盛る情欲の炎をさらに猛々しいものにするエッセンスでしかない。
そうしてどんどん絶頂へと至る快感が高まって来たところで、蓮は眼前で揺れる白い双丘へと目をつけた。頂には何とも可愛らしい赤い果実が生っている。全く弄っていないのだろう。色素沈着の起こっていない乳首は綺麗な桜色に彩られていた。
ゴクリと生唾を飲み込む蓮。
吸い寄せられるがまま乳房を鷲掴みにした彼は、そのまま上体を倒し、ぷっくりと膨れ上がった乳首に吸い付いた。
「ひゃうぁ!! や、だぁ!! そんなに吸わないでぇ!!」
と声を上げる冴だが、そこに嫌悪の色はなく、寧ろ『もっと』と強請るような喜色が滲んでいた。
ならばと強烈に吸い上げる蓮に、冴の体もビクビクと跳ね始める。杭打ちのように肉棒を突き立てられる秘裂からは依然愛液が垂れ流れているが、次第に快感で弛緩した尿道から、再び潮が溢れ始めているではないか。
二人の間には瞬く間に熱気と据えた匂いが立ち込めるが、尚も激しさを増す彼らの情事に終わりの気配は窺えない。
「冴、イクぞ!!」
「うぁああ!! キて!! 私の中でイってえええええっ!!」
そして、一度目の射精。
乱れる冴が逃げぬよう、ずっしりと圧し掛かるようにして行われた射精。押し込まれる肉棒は、愛の蜜に満ち満ちる肉壺の最奥には白く濁った精液を大量にぶちまけていた。
しばし絶頂の余韻に浸っていた二人であるが、次第に妙な違和感を覚え始め、恍惚としていた表情に理性が戻ってくる。
「ちょっと待って。一旦抜いてみてくれるかしら」
「あ、ああ」
「水を差してごめんなさいね。でも、これって……んっ!」
ズリュン! と
激しいピストン運動の中でコンドームは破け、避妊具としての役割を果たしていなったのは一目瞭然。
唖然とする二人。
ダラダラと汗を流す蓮は、恐る恐る冴の方へと目を向ける。散々恥ずかしい言葉を叫ばせた挙句、無許可で中出ししたともなれば訴えられかねない―――自然とそのような考えが脳裏に過っていた。
しかし、
「……ふふっ。ゴムを破っちゃうだなんて、どれだけ乱暴だったのかしら」
「あの」
「気にしないでいいわ。それよりも……気持ち良かったわね」
「それは……おかげさまで」
「じゃあ、続きをしましょっか。ゴムは……もういらないわね」
「?」
「もう一回中に射精したんだから、一度も二度も変わらないわよ」
「!」
「……どうなの?」
股から精液を垂れ流す冴が、淫靡な笑みを湛えて誘ってくる。
蓮は、そんな彼女の体を―――貪った。
「ああああ!! あんっ!! ひゃ!! おんっ!! っぅ!! はぁ!! はぁあ!! んぅ!! お゛ぉ!?」
後背位で攻め立てられる冴。
体をグネグネと善がらせ喘ぐ彼女に対し、蓮は逃げられようにとがっちり腰をホールドしている。
ナマで交尾していると理解した途端、彼の内に宿っていた性欲は爆発。こうして二人は獣が盛り合うような野性的な情事へと身を投じていた。
ブルンブルンと乳肉を揺らし、後ろから突き上げられる快感に悶え狂う冴。
口からは涎を垂らす一方、乾く暇のない秘裂からも愛液を垂れ流していた。あれだけ潮を噴いたと言うにも拘わらず、未だ尿道からは透明な液体がプシャアアと撒き散らされている。
最早絶頂するのも時間の問題。
そんな中、一人理性と快感の狭間で葛藤していた。
(私の体悦んじゃってる!!
ふしだら?
許されない?
だがしかし、そのような自問自答も、子宮口を突き上げると同時に解き放たれた白濁液と共に、ドロドロのぐちゃぐちゃに融けて混ざっていく。
刹那、頭の中が真っ白―――否、色欲一色へと染まっていった。
「イ、っちゃううううう゛う゛う゛う゛う゛!!!」
白目を剥き、獣よりも雄々しい咆哮を上げ、最後には淫液に浸されたベッドの上へ崩れ落ちる。
息も絶え絶えとなり、意識が朦朧とする。
そんな中、彼女が思っていたことはと言えば、
(―――こういうのも悪くないかもしれないわね)
倫理と法に背を向ける背徳感であった。
もう、後戻りはできない……。
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