※この作品はR-18です。

燦と結のイチャイチャif話   作:ジョン・ドゥ

3 / 4
~本当の前書き~

前回書きにくいと言っておいて、今回も結たそが攻めです。手のひら返すの早いっすね。
ちなみに作者は歪んだ愛情そのものは苦手です、例外が1つだけありますが。

今回の小ネタは一話より良いものが出来たと自負しています。
ただ環境依存性も高まったため、動作が不安定かと思われます。

当方の閲覧推奨環境は
・スマートフォン
・空行圧縮、地の文・会話文間空行、文章整形:無し
・特殊タグ:有り
です

解決策も模索していきたいところです。検証の時間だ…。
怪しいのは《xbig》とか。あれと《text》でなんか挙動に差異があるような?

《box》+《left》やらピリオド関係やらの新発見を使ってます。内容はこれとこれとこれをどうぞ。

《box》は入れ子に出来るとか、overhidden使うとスクロール防止出来るから行間、文字間の空白調整に使えるとか、本当にやれることが多いです。


結虐は良いぞ

遅くなりもうした。

書きたいのに描写が出来ない、起承転結がきっつい、キャラが勝手に動く…。

自力鍛えたいっす…だから執筆に戻ろうな?

 


 

 

 

「あ゛ぁ゛~、づがれ゛だ~……」

 

 なんともジジむさいセリフが閑静な住宅街に響く。

 本来は恐らく透き通っているであろう声も濁りに濁ったそれになっている辺り、声の主の疲労は如何ばかりか。

 

 ショートボブのみどりの黒髪、陶器のようにくすみのない白肌。

 比較的小さな体躯に、それに見合った慎ましやかな胸元。

 そしてなにより、頭と共に項垂れた猫耳と尻尾。

 どこからどう見ても美少女と呼んで差し支えない彼女が、先のセリフをあんな声で吐いているとは、世の中は意外なことに満ちているものである。

 

 彼女の名は『黒猫燦』

 自他共に認めるコミュ障であり、にも関わらず「友達が欲しい」「ちやほやされたい」と言う理由でヴァーチャルユーチューバー企業『あるてま』の門戸を叩き、そして受かった(あるいは受かってしまった)猫娘である。

 

 

 本日はその『あるてま』の仕事である夏コミに参加しており、面識の無かった同僚やリスナーとの対面などによって、コミュ障たる彼女のメンタルはゴリゴリに削れていた。

 

「……でも、良かったかな」

 

 加えて肉体の疲弊も積み重なりその足取りはフラフラになっていたが、それでも彼女は充足感に包まれていた。

 

 かつての自分では考えられなかった、人との付き合い。他者とのやり取り。

 それが意外と悪くないと思える程度には、満足の行くものであったらしい。

 

 草臥れながらも確固とした足取りで歩んでいた少女の笑みは眩いもので──だからこそこれからのことを思えば、なんともやるせなかった。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 光とは、何も明るいだけではないのだ。

 それは確かに熱を孕み、人を惹き付け、そしてその熱で以て人々を暖める。

 人の光とは安寧を齎し、安らぎを供するのだ。

 

 だからこそ、それを失った時の激情は悍ましいのだ。

 寒さに震え、光を求めて彷徨う人間のなんと憐れなことか。なんとドス黒い力に溢れていることか。

 死に物狂いで突き進み、魂を磨り減らし足掻くその様を、哀しいと言わずしてなんと言う。

 

 そうして諦めて足を止め折れる者も居れば、足掻いた果てに光を取り戻した者も居る。

 あるいは、光を奪ってしまう者だって。

 

 

 ここに幽鬼が居る。

 光を失った亡者だ。

 

 自らに向けられていた光が、いきなり他者へと向けられた。そ(・)う(・)感(・)じ(・)た(・)。

 たったそれだけ。確証すら何にもない、単なる思い込み。

 だが熱に満たされていた彼女にとって、それはあまりに強烈だった。

 故に、堕ちるには十分だった。

 

 

 分かっていた。

 少女が本音をぶちまけていたとき、彼女の好意はいっそ酷薄な程に広く向いていて。

 「大好き」というその言葉は、多分程度としては「Like」を指し示す言葉だと、分かっていた。

 

 分かっていた。

 彼女は「大好き」とは多数に言っていたが、実は「愛してる」とは一人にしか言っていなかったことも。

 それが幽鬼に対してのものであるとも、分かっていた。

 

 分かっていた。

 幽鬼は自身の感情が醜い嫉妬のそれであり、独りよがりのそれであることも。

 かつて吐いた自身の言葉に反するみっともないものであると、分かっていた。

 

 

 だが幽鬼は疑った。

 「愛してる」という言葉でさえも実は安い言葉であったのではないかと。

 多分そうではない、きっとそうではない。

 そんなの推測に過ぎなくて、友に対する不義であると分かっていても、疑わずにはいられなかった。

 

 だが幽鬼は恐れた。

 実はこの思い込みが思い込みなんかではなくて、本当に自分を向いてくれなくなったのではと。

 自分は「かつての友人」程度になってしまうのかと、怖がらずにはいられなかった。

 

 だが幽鬼は誘惑に敗れた。

 彼女は自身のものではなく、そしてこれらは自身の身勝手な思い込みであった。

 だが己の疑心が暗鬼へと育ち、その口から囁かれる言葉に、膝を突いた。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 疲れと興奮でか、燦は気が付かなかった。背後に何者かが居ることに。

 多分、気が付いたとしても何も変わらなかっただろうが。

 

「がっ!?」

 

 その何者かは躊躇ったかのように緩慢な動作で首に手を回し──躊躇を振り切り、勢いよく頸動脈を絞める。

 ギリギリと絞める手が脳に送られるはずの酸素を妨げ、視界が黒く染まっていく。

 もがこうにも非力な少女の力では大した抵抗が出来ず、なれど必死に手を引き剥がそうと苦心する。

 

「……ごめんね、燦」

 

 だが抵抗むなしく限界が訪れ、聞き慣れた、しかし聞こえるはずの無い友人の声を最後に、燦の意識は途絶えた。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

「ん……」

 

 目が覚める。

 眠りに落ちた覚えは無いのだが、何故か燦は仰向けに横たわっていた。

 はて、記憶が残らぬ程疲れはてていたのかと疑問に思いつつも、取り敢えず身体を起こそうとし――そしてつんのめる。

 

「あでっ!?」

 

 頭の上にあった腕を振って起き上がろうとしたところ、腕部が突然に引っ張られバランスを崩したのだ。

 

「うぇっ!? 何これ!?」

 

 見れば両手は頭上で紐で縛られており、動かそうにも動かせない。

 しかもご丁寧に手首が十字になるように結ばれており、何かの弾みで外れるというのは期待出来ないだろう。

 手首と紐の間に布が挟まれており、長時間拘束されていたとしても擦れない様になっているという気遣いが、ある種の不気味さを煽っていた。

 

 また両の足首にも同じようなものがしてあると感覚が訴えかけており、試しに足を動かしてみるも、可動域はおおよそ10cmしか無い。

 どうやら片足ずつ括られているようで、足を揃えたりうつ伏せになったりということは出来なさそうである。

 どうやら自分は囚われているようだと理解した燦は、慌てて周囲を見渡す。

 

 

 最初に目に入ったのは、4色に彩られた素朴な壁紙であった。いや、継ぎ目を見る限り壁紙パネルと呼ばれるものだろうか。

 

 薄鼠、灰、桜、碧。それぞれの色は互いに主張しすぎず柔らかに調和しており、こんな状況でなければほぅと息が漏れるような優しい印象を受ける。

 また壁紙パネル特有の凹凸がよりいっそう丸みを持たせ、壁面からの圧迫感を一切与えない。

 

 そんな部屋の壁の温かさと今受けている仕打ちの冷たさの差異に、燦はそこはかとない薄気味悪さを覚えた。ちぐはぐなのだ。

 いや犯人だとてお洒落をしないわけではないだろうし理屈としてはおかしくないのだろうが、気味が悪いものは気味が悪いのだ。

 

 

 そんな気持ちを胸に仕舞い、他に何かないかと首を回すと、部屋の角に簡素な勉強机が設えてあるのが見えた。

 壁紙の確かな雰囲気と対照的に、それはやんわりと佇んでいる。

 

 その木目調の存在感は部屋の色彩に溶け込み、まるでそうあって当然だと錯覚すらしてしまいそうだ。

 机に備え付けの棚には教科書が入っており、その背表紙には「古文」「現代社会」「数学Ⅱ」などと書かれている。

 それらの教科は高校で学ぶものであり、それはつまり部屋の主は高校生である可能性が高いということだ。

 だがパニックでそこまで頭が回っていない燦は、他のところに目をやる。

 

 

 首を腹の方に向けてみれば、次に見えたのは薄ピンク色の可愛らしいタンスだった。

 丸みを帯びた木の枠組みと、しっかりと塗られた桃色の塗装。そして球状の取手。

 色合いとは裏腹に堅実な造りをしているそれにはごちゃごちゃとした飾りなどもなく、我を出しつつも煩すぎない。

 これもまた部屋の雰囲気にマッチしていると言えるだろう。

 

 タンスの上に乗っているのはぬいぐるみだろうか。

 赤い配管工、きのこ擬き、亀の大魔王。他にもいくつか『あのシリーズ』のキャラクターたちが並んでいた。

 愛嬌のあるそれらは、しかし今の燦にはなんの慰めにもならないが。

 

 

 ふいと顔を上げ頭上を見やると、結ばれた手の奥に分厚いカーテンが見えた。

 おそらくここには窓があるのだろうが、その存在は窺いしれない。

 視線を遮るそれは鮮やかなレモンクリーム色をしており、これもやはり趣深い味わいだ。

 

 このコーディネートから犯人のセンスの良さが推し量れるというものだが、そんなもの全く慰めにもなりはしない。

 ただひたすらに不気味さが湧いてくるばかりで、怖気が募るばかり。

 普段読んでいるも(・)の(・)のあの子たちはこんな怖い思いをしていたのかと、身を以て理解する。

 

 

 と、一通り部屋の観察を終えたところで、ガチャガチャと鍵を開けるような音が響く。

 外から鍵がかけられていることから、いよいよ『拉致監禁』という事実が強く強く叩きつけられる。

 今鍵を開けているのは、この状況を生み出した犯人であろうことは想像に難くない。

 そんな恐怖の権化が迫っている以上、体が震えるのも当然というものであった。

 

 

 ドアノブが捻られ、扉が開く。

 果たして入ってきたのは──良く知っている顔だった。

 

 普段はポニーテールに纏められている亜麻色の髪は、今は結ばれておらずさらりと流れるままになっている。

 赤らんだ肌と僅かに立ち上る湯気から察するに、風呂で身を清めてきたのだろう。

 

 そうやって清められた体とは対照的に、髪の隙間から覗く双眸はどろどろと濁っており、汚泥のごとき様相を示している。

 黒々とした焔が宿ったそれは、色濃く現れた隈や降りた髪と相まって、まるで怨霊の様ですらあった。

 

 口は緩やかに弧を描いている。

 描いているはずなのに、燦にはそれが笑顔であるとは思えなかった。思いたくもなかった。

 いつもの快活なそれではなく、何かを嘲弄するような嗤い。不愉快が一周回ったからこそのひずんだ貌。

 

 

「ゆ………い……?」

 

 飛び出したのは、疑問であった。

 余りにも常と違いすぎる雰囲気が、彼女が夏波結なのかと疑わせた。

 そうであってくれるな、否定してくれと心のどこかで祈りつつ、名前を呼ぶ。

 

「おはよう、燦」

 

 だが無情にも、返された言葉で察してしまう。

 その声は紛れもなく黒猫燦の同期であり友人である夏波結のものであり、肯定のセリフなどなくとも目の前の女が「夏波結」であると理解する。

 

「どこか痛むところはない?」

 

 あぁ、やっぱり夏波結だ。

 心配しているときの優しげな声音。軽く首を傾げる際のその角度。

 種々の仕草はいつもと同じで、紡ぐ言葉もいつもと同じで。

 

 でもこの部屋に鍵を開けて入ってきて、誘拐された燦を解放しようともせず、嗤っている。

 その事だけがいつもと違い、何故そんな表情をする、どうして嗤っていると、いっそ憤りにすら近い激情が胸を席巻する。

 逆巻く思いに逆らわず、震える口を噛みしめ疑問を投げ掛ける。

 

「……な、んで、ここに居るの?」

「だって私の部屋だもの」

 

 返ってきたのは的外れな答えではあったが、同時にどこか納得もした。確かに結のセンスであれば、あの内装も頷けるというものだ。

 

 だがそうではない。求めていた答えはそれではない。故に燦は質問を重ねる。

 それは聞いてしまえば取り返しがつかなくなるだろう問いであったが、今の燦にそこまで考える余裕はなかった。

 それは全く以て正しく、そして危うい問いであった。

 

 

「…なんで、こんなことしたの?」

 

 

 空気が変わる。

 先程まではまだ雰囲気に柔らかさが残っていたが、今の結にはそれが無い。

 

 悲哀、憤怒、嘲り、諦め、渇望。

 さまざまな負の感情がふつふつと溢れだし、零れたそれらは全て燦一人に向いている。

 なのに嗤いは途絶えない。どころか深まってすらいた。

 

「……欲しかったのよ、アンタが」

 

 ここでようやく、燦は気が付く。

 思いこそは燦に向けられているが、嗤いの方は燦に向けられたものではない。

 

「情けないわよね。『友好関係が広がってて良いことだ』なんて言っておいて、いざ他の人に視線が向いた途端にこれだもの」

 

 あの嗤いは、結自身に向けられたものだ。

 

「……怖かった。アンタが立花アスカにお熱になって、私のことを見てくれなくなるんじゃないかって」

 

 だってほら、泣いているじゃないか。

 

「疑っちゃった。大好きって言葉とおんなじで、愛してるって言葉さえも気安いものでしかないんじゃないかって」

 

 声は湿っていき、眼から涙を流し、鼻をすする音すら聞こえる。

 

「そしたら、何もかもガラクタみたいに思えてきて」

 

 言葉が出ない。

 友達がそれ程思い詰めていたのに、自分はどうしていた?

 

「グダグダだった初コラボも。我王君も交えた対策にならなかったコラボも。一緒に行ったカラオケも。いつもの通話でのやり取りだって」

 

 推しと接点を持つことが出来て、その子のことばっかり構っていて。

 

「全部が全部、ゴミみたいにね」

 

 その結果が、今の二人だった。

 

 ピエロは笑いの裏に涙を隠していると言う。

 そのピエロこそ結であり──涙を流させたのは、燦であった。

 

 泣き声が響く。

 寂しいと、悲しいと、待ってくれと。女の思いが雫となって滴り落ちる。

 

「だからアンタを拐ったの。せめて一時だろうとアンタが、黒猫燦が欲しかったから」

 

 

「………ごめん」

 

 蚊の鳴くような、小さな一声。燦が絞り出せたのはたったそれだけだった。

 声は掠れ、なのに涙は滲む。それすら烏滸がましいと口内を血が出るほど強く噛み、己を戒めようとする。

 

 今や燦に恐怖は無い。結に対する怒りもない。

 あるのは自身への怒りだった。

 

「謝らないで、アンタは悪くないもの」

 

 そんなはずがあるか。

 友を見捨てることが悪くないわけがあるか、あってたまるか。

 そう思っても、口からは空気しか出てこない。否定の言葉を述べたいはずなのに、パクパクと魚みたいに開閉することしか出来ない。

 無力な自身に涙すら出てくる。泣いているのは結だというのに、自分に泣く権利など無いはずなのに。

 

 そうやって歯噛みする燦に、結はふわりと跨がる。

 常であれば喜べるような行為であるそれも、今はそんな気分になれるわけがなかった。

 

「恨んでちょうだい。それでアンタが見てくれるなら」

 

 一糸纏わぬ結に馬乗りされているのに、胸の内には悲しさしか湧いてこない。

 燦の後悔を余所に、独り善がりの愛の宴が始まった。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 服に手がかけられる。

 シャツのボタンが順繰りに外されていき、遂には肌を晒すことになろうと、燦はそれを冷めた眼でしか見られない。

 

 罰なのだ、これは。であらば恥じらうなどしてはならず、悦ぶなど以ての外である。

 そう己に言い聞かせ、羞恥も法悦も抑え込み、歯を食い縛り唇を引き結ぶ。

 

 普段なら燦のそういう様子を見た途端に何か声をかけるであろう結も、今回ばかりは無言である。

 

 その代わりに、燦の頭を震える手で撫で付ける。

 その手がいつものような暖かさを秘めていることが、いつものように落ち着きそうになってしまうことが、結は結であると強く示す。

 誘拐さえしてしまう程に思い詰めているはずなのに、手付きは変わらず安心を齎すそれであった。

 そのギャップがより悲しみを煽り立て、ポロポロと形を成して零れ落ちていった。

 

 

 五分か十分か、はたまたもっと長い時間か。

 ずっと泣き続けて、漸く涙も引っ込んだ。あるいは枯れ果てた。

 どんな形であれ、沈静化したことは間違いない。少なくとも表面上は。

 

 嗚咽を漏らしていた間撫でていてくれた手も動きを止め、そして頭から離れていく。

 

「………燦」

 

 離れたその手は腹へと滑り、そのままゆるゆると往復していく。

 それは獣欲を掻き立てる様な艶かしさであり、娘を慈しむかの様な優しさであった。

 

 指はそろそろと内臓の上を走って、その度にびくりと体が跳ねる。

 動いてはならぬと、されるがままであらねばならぬと身に力を込めようとするも、本能は理性などお構いなしに暴れまわる。

 

「ふっ……ぐっ………」

 

 くすぐったいようで、奥底が疼くようで。決して力強くなく、むしろ労るように触れられる。

 思わず腹に力を込めてしまうも、与えられる刺激には逆らえず。陸に上がった魚のようにのたうつのみだった。

 

 

 やがて満足したのだろうか、結の手は次なるところへと向かっていく。

 するすると指が登り、そしてその布地に手を掛けた。

 

 たどり着いたのは、真っ白なブラジャー。レースのあしらわれたフロントホックのそれは、慎ましやかな胸を覆い隠している。

 先程上着のボタンを外された時も残っていたベール。それが今開かれようとしていた。

 

「あ……」

 

 パチッという小さな音とともにそれは退けられ、そして陶磁の肌が姿を表す。

 山どころか丘とすら呼べない、しかし微かながら存在する膨らみは、確かに柔らかさを湛えていた。

 

「んぅ……っ!」

 

 そおっと、宝物を触るように慎重に撫でられる。

 たったそれだけの微弱な刺激は、今までの愛撫が比にならない程の快楽となって神経を駆け巡る。

 

 戒めだとか恐怖だとか、そんなものがどうでも良くなりそうな、暴力的な奔流。

 しっとりとした手が乗せられ、緩やかな曲線にそって動く度にそれが襲い来る。

 

「んみゃぁっ!? ふぁっ!」

 

 そうして弄ばれていると、時折肉芽に手がぶつかるのだ。

 不意に訪れるそれにより、視界がホワイトアウトする程の悦楽が押し寄せてくる。 

 

 上半身も僅かに宙に浮き、ベッドがギシギシと軋みを上げ、爪先もピンと張り詰め、こんな状況だというのに雌として啼いているという背徳感が脳を占領していく。

 

 それでもぎりぎりと体を強張らせ、意識が何処かへ飛んでいかない様に繋ぎ止めていた。

 

「ひっ、はっ、ァアッ!」

 

 だがいくら拒もうとしても、執拗な攻めに陥落するのは時間の問題で。

 あと一押しというところで、引き金が引かれた。

 

「燦……」

 

 熱に浮かされた声が鼓膜を震わせる。

 その音にとうとう脳髄が屈する。

 

 拐われて縛られて一方的に嫐られているという現実も、追い詰められたが故に結がこんな凶行に及んだという事実も、燦の頭からはほぼ消えていた。

 

「ゆい……」

 

 もう結のことしか考えない。考えたくない。

 それが例え愚かな選択であろうと、燦はそれを選んだ。

 

 瞳が濡れる。

 恐怖や憐憫などでなく、情愛のそれによって潤っていく。

 

「ん……」

 

 熱視線を受けて、結は燦の首もとに口付ける。

 そのままぢゅうと音を立て、痛みさえ感じる程に力強く吸い上げる。

 口付ける為に重ねた胸が、擦れ合う体が、じわじわと熱を持っていく。

 

「あぅっ……結ぃ……!」

 

 十秒ほどそのまま吸った結は漸く口を離し、そして自身が残した痕跡を見て満足気に笑う。

 

 真白い肌にありありと残る、暗い血の色。結が付けたそのマーク。

 まるで燦が自分のものであるとの証を刻み付けたようで、征服感に胸が踊った。

 

 

 ──本当はそれが単なる傷でしかなくって、そんなものを押し付けたところで気色悪いだけだというのに。

 ──あの視線だって、所詮は一時の気紛れだろうに。

 ──この強姦魔。

 

 ガンガンと良識が頭を叩く。心の奥底の本音がギャアギャアと喚き立てる。

 それが如何にも煩くて、逃げるように溺れることを、結は選び取ることにした。

 

 目指すは女の秘するその深み。

 子を孕み、育て、生むための入り口。

 そこを犯せと衝動が押し寄せて、さっきまでの雑音(躊躇い)はもう聞こえてこない。

 

「ひぅっ!?」

 

 スカートを捲り上げ、ブラとお揃いの柄の下着の上から指を埋める。

 既にクロッチはびしょ濡れで、もはや下着の体を成していなかった。

 

「やぁっ! ゆい、そこぉ……!」

 

 沈む指先は蜜にまみれ、軽く動かすだけでくちくちと粘っこい音が響き、その度に淫猥な匂いが広がっていく。

 

「あひゅっ!? んんっ!」

 

 縛られた体ではまともに動くことも出来ず、ただその身を震わせながら嬌声を上げることしか出来ない。

 だのに与えられる刺激は布越しのそれで、それがなんとももどかしかった。

 今までよりずっと強くて、でもそれでは足りない。

 

「ねっ、ちょくせっ(直接)! おねがっ(お願い)!」

 

 だから猫は希求した。

 途切れ途切れになってはしまったが、何を言ったかはしっかりと伝わっただろう。

 

「………分かった」

 

 その証拠に結が手を止め、そして燦の下着に手を掛けていた。

 

 

 ごくりと唾を飲む音は果たしてどちらのものか、それは些細なことだろう。

 今大事なのは、さらに先へと進むことのみなれば。

 

「………いくよ」

 

 たっぷり三拍。

 結が躊躇いか期待か、あるいは緊張かで震える手を動かすのにかかった時間だ。

 それでも葛藤を振り切り、腕を動かす。

 

 軽く下げた時点でねちょりと音を立て、愛液が糸を引いていると容易く察せられる。

 つぅと伸びている粘液が、まるで剥がしてくれるなと抵抗しているようで。しかしそんな貧弱な抗いなど知らぬとばかりに、ズルリと布を奪い去る。

 そうして、いよいよ秘所は暴かれた。

 

 

 最初に感じたのは、香りであった。

 指先で掻き出していたほんのちょっとのいやらしい匂い程度ではなく、どうしようもない程雌臭い、いっそ下品にも思えるそれ。

 だが今の二人にとってそれは性感を刺激するスパイスでしかなく、鼻腔に届いた馨香が脳を満たし、じゅんと股座を湿らせる。

 

 香りも然ることながら、見た目も結にとっては頗る魅惑的だった。

 透き通るような肌ははしたなくも涎によってテラテラと妖しく光り、まるで導のように結を誘う。

 真実それがなんであろうと、少なくとも結にはたいそう目映く蠱惑的に写る。

 

「そん、な、じっくり、みるなぁ……!」

 

 一方の燦も、もはや限界であった。

 べちゃべちゃに汚れて、自分でもどうかと思うほどに狂おしい匂いを振り撒く孔。

 それをまじまじと見られてるとあっては、羞恥に顔を染めるのも当然と言えよう。相手が結であればなおのこと。

 

 だが燦が性的に高まっているのも事実であり、恥じらい以上に攻めを期待しているのも事実である。

 だからこれは拒絶であり懇願なのだ。「見るのも良いが襲ってくれ」と、そう願っているのだ。

 

 開いている肉花はひくりと蠢き、ここまで濡れているにも関わらずまだどぷりと蜜を吐き出す。

 貪欲に、強欲に、もっともっとと肉体は媚びる。

 

 

 そのあんまりな様に、結は自然と顔を近付け──思いきり、蜜を啜った。

 

「~~ッ!? んみゅぅっ!」

 

 初心な結が無意識に選んだ、余りにも淫らな口吸い。

 凶悪ですらあるそれに、燦は関節が痛みを訴える程に肉体を反らす。

 

「んぶ……んむ……」

「ひんっ! やぅっ……!」

 

 じるじると溢れ出る液体を吸い上げ、さらに味わうべく舌を使って舐めとる。

 重厚な肉襞をざらついた舌で刮ぎ落とし、その度に花弁は蜜を零す。

 

 循環するそれは単調で、しかしひたすらに気持ちが良い。

 結が顔を埋めて、一心不乱に貪り尽くそうとしているその光景が、何よりも琴線に触れる。

 

「あっ、ゆっ、ゆい、ゆいぃ!!」

 

 呂律が回らなくなって、思考も止まって、それでもなお結の名前を叫ぶ。

 それに答えるように結はぐりぐりと舌を動かし、こくりこくりと雫を飲み下す。

 キリの無さそうなそれは、だが確実に終わりへと近づいていた。

 

 

 甘露を飲んでいる内に、結は自身に火が点っていることを自覚する。

 ちろちろと腹の底からその身を焦がし、炙っていく、色欲の炎。

 それに焼かれる疼きに結は逆らわず、どころかより大きな火を求めて自らを慰め始めた。

 

「んふ……! んんぅ…」

「ゆっ、ひんっ!? ぅあっ!」

 

 本能の赴くままに指を動かし、ぐちぐちと粘液質な音が増える。

 稚拙なそれは、しかしそれでも結を絶頂へと押し進めていく。

 緩やかに、然れど確かに。

 

「そこっ! そこぉ…!」

「ふぅ……ん……!」

 

 頭が惚ける。

 口許の涎やら汗やらの不快感すらもどうでも良くて、ただただ快楽を追い求めて口を動かし、自身を攻める。

 そうしている内に、やがて終わりが見えてきた。

 

「んっふ!? んぶっ!」

「あっ!? いっぐぅう!?」

 

 手が滑り、ガリと女陰を擦り上げる。

 それが余りにも暴力的なうねりとなって脳へと流れ込み、体が揺く。

 

 その拍子に思わず口に力を入れ、燦のクリトリスに歯が触れてしまった。

 触れられた燦はもはや悲痛にすら聞こえる叫びを上げ、瞳は虚ろに輝いてすらいる。

 

 二人は一瞬意識を飛ばしかけ、だからこそ結は最後の一歩にここを選び、念入りに攻め立てることにした。

 

「あっあっあっ、ああっ!!」

「ふぐっ! んぷっ!!」

 

 手が加速する。舌が回る。

 そうして漸く、頂きに届いた。

 

「ああッ~~~~!!!」

「んんッ~~~~!!!」

 

 脳が弾け、肉体は痙攣する。視界はぼやけて、音もよく分からない。

 それ程のエクスタシーを味わった。

 互いの思いも柵も全て捨て去って、二人同時にそれを迎えられたことが、今は何よりも重要だった。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 凄まじく気まずい。

 

 それはそうだろう。何せここにいるのは同姓の友人どうしで、にも関わらず誘拐の被害者と加害者であり、さらには先程致したばかりという複雑極まりない関係の二人なのだから。

 

「結…」

「っ!? ……なに?」

 

 だがそれを差し置いても、まずはこれだけはと燦が声をかける。

 かけられた結はビクリと体を震わすも、自分のしたことを鑑みれば何を言われても文句が言えない以上、聞き入れる姿勢を作る。

 

「とりあえず、これ解いて欲しい、んだけど……」

「あ、あぁ。そうね…」

 

 言われた通りに紐を解きつつ、結は訝しむ。

 というのも、燦の声から憎しみや嫌悪、不快感といったものが感じられなかったからだ。

 無理矢理拐って手篭めにして、なのに口から溢れるのは何時ものような声音で。

 目を見てもそれらが宿っているとは思えず、故に戸惑うのも当然と言えよう。

 

「ん、終わったよ」

「ありがと……」

 

 ──何が「ありがとう」だ、それは私がやったというのに。

 そうだ、私はこの子を、大事な友人を、無二の親友を犯したのだ。独善的で一方的な感情で、燦の事など考えず。

 ならば、言うべき事は決まっていた。

 

「あの、さ」

 

 言葉が震える。口が戦慄く。

 それでも言わねばならないと気張り、凝り固まった喉から声を絞り出した。

 

「…………ごめん」

 

 たったの一単語。

 なれどもそれには万感の思いが詰まっていた。

 自身への嫌悪だとか、無体を働いた罪悪感だとか、他にもたくさん。

 ごちゃごちゃと形容しがたい念が、その一言に乗っていた。

 

 だからといって、それは主観に過ぎない。

 そもそもいくら思いを込めようが、いくら言葉を尽くそうが、結局のところ結が燦を襲ったという事実は変わらないのだ。

 

「……結」

 

 燦の顔を、見たくない。

 軽蔑、嫌悪。そんなものを向けられて然るべき事をやったのだ。

 さっきはたまたま浮かべてなかっただけで、今は憤怒に歪んでいるのかもしれない。

 そう思えば、顔を上げられなかった。

 

 ギシと言う音と共に、燦がベッドを降りる。そして腰掛けている結の目の前に歩を進めた。

 振り下ろされるのは張り手か、拳骨か、あるいは罵倒か。想像しては、怯えで体が竦む。

 

 

 だが降ってきたのはそのどれでもなく。

 暖かくて力強くて、何より優しい抱擁であった。

 

「え……」

 

 なんだこれは。

 自分は燦を傷つけ、裏切るような真似をしたというのに、何故抱き締められている?

 疑問に思う結に、燦は告げた。

 

「ごめんね」

 

 何故だ、悪いのは自分であろう? だというのになんで燦が謝る?

 まったく想像していなかった言葉に狼狽え、結は真意を問うた。

 

「なんで…謝るのよ」

「だって、甘えすぎてた。結なら大丈夫だって、勝手に思ってた」

 

 …確かに、それは否定できない。

 出来ないが、それとこれとは違うだろう。いくらなんでも程度というものがある。

 なのに許すと、そう言うのか。許されて良いのか?

 

「でも……」

「いーの」

 

 なおも否定しようとして、口する前にぎゅっとさらに力を込めて抱き締められる。

 身を寄せ合うような、縋りつく様なそれは、結のことを許すと何よりも雄弁に語っていた。

 

 それを理解した結は、堰が切れたように泣き出す。

 なんで泣いているのかは分からない。色々とごちゃ混ぜの感情が渦巻いているから。

 だが今は、兎に角泣きたかった。

 

 

 

「ごめん………ありがとう……!」

「……うん」

 

 

 

 

 

 今回の出来事は燦にとっても結にとっても大きなターニングポイントで、その過程で二人の心は確かに傷んだのだろう。

 

 だが互いに刻んだその傷は、二人にとって愛しいものになったに違いない。

 あるいは、一生忘れられないような──。

 

 


 

どうも、二話目です。

最近巷では立花アスカさんとの絡みが増えていますが、私は燦結を推します。断固として推します。

 

だって「愛してる」って、実はアスカさんにすら言ってないんですよ?

いやまあ代わりに色々言ってはいましたが、あれは「推しへの愛」であると思ってます。

それに対しママには「愛してる」発言…妄想が広がります。

もちろん「愛」にも色々あるので実際は何とも言えないのですが。

 

取り敢えずとっとと決着つけないとガチで刺されそうな予感がしてます。

リアルNice boatは洒落ならんで。

 

百合の大三角形…?

 


 

 

 

 

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    黒猫燦-             ∨----      @kuroneko_altm

「燦と結のイチャイチャif話」読

了

待って「愛してる」なんて言った

覚えないんだが???

syosetu.org/novel/221913

#hamelnovel #hmN221913

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  目 

     

 

 

- 燦と結のイチャイチャif話 - ハーメ -

- ルン

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0:59 AM・Jul 17, 2018・Twitter Web App

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 ⊂    ↱↲    ♡    < 

    切り抜き君 @dougayouac・31s  ∨

    Replying to @kuroneko_altm

    証 拠 映 像

    y○utu.be/5kFe7auoP3g

 

    

    

    

    

  目 

   

 

-ついに夏波結に愛を叫んだ黒-

-猫燦

- ∞ y○utube.com

 

⊂     ↱↲      ♡     <

    アステロイド @asteroid・1m   ∨

    Replying to @kuroneko_altm

    思いっきり言ってたぞ

    ⊂     ↱↲      ♡     <

    さんゆいマダー?@iu5gcw6…・2m   ∨

    Replying to @kuroneko_altm

    忘れてるとかウッソだろwww

    …嘘だろ?

    ⊂     ↱↲      ♡     <

 

 

 

 

 

 

 

 

 ⇧     Q     △     □ 




~本当の後書き~

あれ、なんでこんな真っ当なんだろう?
もうちょっとヒステリックに、なんでなんでと稚児みたいに駄々を捏ねるのが見たかったのに…。

なおこの作品は『燦×結』ですので間に男もアスカちゃんも入りません。ここ重要。
そして『イチャイチャ』です。ここ重要。
よってNTRは無いです。超重要。

性癖的には範囲内ですが書く気はないですし、もし仮に想像してもすぐ却下しちゃいます。
この二人相手にそれは浄化されてしまうのです、作者の業では…。


え?原作?
大丈夫、これあれだから。原作の世界でのゆいくろ合同みたいなあれだから(拙作の前話から目を反らしつつ)。
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