※この作品はR-18です。

愛しき花園の君へ   作:瑞穂国

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パースさんのエッッッッなお話が書きたい欲望に素直に従いました。

R18作品は、世に出すのが初となります。


愛しき花園の君へ

 重ねた唇と、混じり合う二人分の唾液に、爽やかなハーブの香りがした。心を落ち着ける効果があるという、カモミール・ティー。しかし、その売りとは裏腹に、俺の鼓動は、彼女の体温は、高くなる一方だった。

 

「……ぷは」

 

 肺一杯の酸素を使い切って、絡んで離れなかった唇を放し、微かに開いた隙間から息を次ぐ。まだ冷える春の空気も、彼女の熱い吐息で生温い。そんな、一瞬の呼吸すら許さないように、彼女は再び唇を重ねてきた。

 熱く蠢くものが、唇を割って侵入してくる。それに、自分の舌を絡め、吸い付き、転がす。甘い痺れが舌先から伝わって、なお一層まぐわう。くぐもった喘ぎは、目を閉じる彼女のものだ。

 どれほどそうしていただろうか。お互いに、息も絶え絶えで、唇を離す。細い糸が二人の間に伸びて、やがて重力に従い、途切れる。

 俺の口内を、散々蹂躙してくれた彼女の顔を、俺は改めて見る。上気した頬。潤んだ瞳。薄い唇の端に、つっと垂れる涎が一本。

 パースの、アメジストの瞳に、ぐにゃりと歪んで俺が移る。深く透き通り、星の輝きを宿す紫紺の瞳が、「まだ足りない」と、訴えている。

 しかし。提督たるもの、紳士たらねば。まして相手が、とても大切で、掛け替えのない人なら、尚更。

 

「どうした、パース?」

 

 彼女には珍しい、正直そう思った。今日の分は終わったとはいえ、ここはまだ執務室で、俺たちはティータイム中だった。あんな風に、情熱的で、心から求めるようなキスを、この場でしてきたことはない。

 パースはどこか困った様子で、眉尻を下げた。

 

「今、あなたが欲しいって言ったら……困らせてしまう、かしら」

「いや……」

 

 それはつまり、今、体を重ねたいということか。

 困ることはない。執務も終わって、今日はもう、夕食を済ませるだけだ。

 

「構わないけど……何か、あった?」

「……さっきの、キス」

「キス?」

 

 キスがどうかしただろうか。

 

「あんまり情熱的だから、火がついたじゃない」

「……情熱的だったのは、君じゃないか」

「あら、私、時と場所を弁えないほど、はしたなくないわ」

 

 いつもの調子を取り戻し、愛らしく笑って首を傾げるパース。正直、林檎のような頬のままでは、あまり説得力がないのだが。

 ズイと身をこちらへ寄せ、パースが俺の頬に触れる。再びの口づけ。今度は、唇を啄むだけの、軽いキス。焦点も合わないほどの至近距離で、パースの瞳に、俺が映っている。

 

「ねえ……今、触れてほしいの」

 

 パースの細い指が、俺の胸をつつく。お互いの心音すら聞こえる距離。乱れた吐息が混じるほどの距離。

 それは、反則だ。

 

「……せめて、仮眠室へ行こうか」

 

 なけなしの理性をやっとの思いで振り絞って、執務室内の扉を指し示す。提督用の仮眠室へ繋がる扉だ。パースと結婚してからは、一度も使っていないが、大規模作戦に備えて掃除だけはしてある。

 俺の提案に、パースはこくりと頷いた。

 

「それじゃあ……はい」

 

 ソファから立ち上がった俺に、パースが笑顔で、両の手を伸ばしてくる。

 今日の君は、一段と、甘えたがりだ。

 

「では――少し失礼しますよ、お姫様」

 

 おどけたセリフを、真面目に表情を作って口にする。お気に召していただけたのか、パースは鈴を転がすように笑って、「ええ、許可します」などと言うのだ。

 パースの、膝裏と肩の下へ、手を入れる。彼女の方も、その白くしなやかな腕を、俺の首へ絡めた。そのまま、何の苦労もなく、パースの体を持ち上げる。文字通り、ひょいと、彼女の体は抱えられる。あたかも天使の羽根のような、そんな錯覚を抱くほどに、軽い。軽くて、華奢だ。

 その、細くて、嫋やかなパースが、どこか必死に、俺の首にしがみつく。あたかも彼女の祖国にいる有袋類のように、しかと腕を絡めている。それから、こちらを試すように、執拗に首筋へ唇を押し当ててきた。軽く吸われるたびに、ちくりとした痛みと、ぴりぴりとした快感が押し寄せる。明日の朝には、痕になっていそうだ。

 パースを抱えたまま、肘を使って仮眠室への扉を開いた。窓からの夕陽が、薄ぼんやりと部屋を照らす。中はたった六畳の狭い部屋。ベッドが一つと、簡単なシンクだけだ。

 白いシーツの整えられたベッドへ、パースを降ろす。けれど、彼女の腕は、俺の首を放してはくれない。そのまま、ぐいと強引に引かれて、俺は彼女へ覆いかぶさるように、ベッドへ倒れこんだ。

 三度目のキス。唇を重ねる時間は長く、感じる体温も確かなものだ。靴を脱ぐのもまどろっこしく、むさぼるようにパースの唇を奪う。俺の理性も、すでに限界だった。

 瑞々しく細められたパースの瞳が、霞んで俺を見ている。空腹を満たさんと、ただ一心不乱に、俺の唇を吸う。溢れる唾液が、片っ端から彼女に吸われていった。絡まったパースの舌からは、林檎のようなカモミールの香りに勝って、得も言われぬ甘やかな味がする。それがあたかも麻酔のように、俺の思考を麻痺させていった。

 息なんて、とっくに切れてた。パースの姿に、遥か前から息は詰まって、呼吸もままならない。頭の痺れは、あまりにも足りてない、酸素のせいかもしれない。

 どれほど唇を重ねていたのか、わからない。時折思い出したように息継ぎをして、その時間すら惜しくて、またお互いの唇を求める。それを繰り返し、麻薬のような快楽の痺れに慣れてきた頃、ようやく唇が離れる。それでも、名残惜しむように最後まで触れ合って、舌先を白濁した橋が結んだ。重力でちぎれた糸が、パースの桃色の唇の端を汚す。

 上体を起こして、乱れた息を整える。嵐の合間に、ほんの一時訪れた、凪のような時間。その間も、上気して、潤んで、艶やかなパースの瞳から、目が離せない。

 パースの手が、首筋を撫で、頬に触れる。とても余裕があるようには見えない表情が、くすくすと笑う。

 

「提督、顔が真っ赤よ。必死過ぎ」

 

 君にだけは、言われたくないよ。そんな言葉が、喉まで出かかった。

 細い指が、ゆっくり、頬を離れる。彼女の指がかかったのは、軍装のホック。ぎこちない手先が、カリカリと首を掻く。「脱いで」と、掠れた吐息に、言葉が混じった。

 

「自分でやるから。パースも、早く脱がないと、マントが皺になるよ」

「……ええ」

 

 お互いに、自分の着ている物を脱ぐ。何年も着慣れた軍装だ。上着も、下のワイシャツも、片手で何の苦も無くボタンを外し、床に投げる。

 一方パースは、ようやくブレザーのボタンを外したところだった。

 待ちきれなかったのは、今度は俺の方だ。

 ネクタイを緩め、二つ目のボタンへ手をかけたパースの背中に、腕を差し入れる。そのままぐいと、彼女の体を持ち上げた。驚いて目を見開くパース。

 

「待って、まだ……っ」

 

 言葉なんて継がせない。唇を強引に重ねる。くぐもった彼女の声が、隙間から漏れた。

 差し入れた舌に、パースの舌が応える。小刻みに息を挟みながらも、二人の舌だけが、まるで別の生き物みたいに、まぐわい続ける。湿っぽい音が、いくつもいくつも響く。それがあまりにも蠱惑的で、なお一層、俺の情愛を掻き立てた。

 空いた左手で、パースの胸元を探る。ボタンに手をかけて、外そうとしたところで、男女でワイシャツが逆であることに気づいた。いつもとは勝手が違うながらも、ぷつりぷつりと、一つずつ丁寧に、ボタンを外していく。

 一番下を外し、パースの前がはだけるまで、一分と少し。その間、身をよじる彼女を逃がさないように、唇を吸い続ける。上唇を甘噛みすると、嬌声を堪えて彼女が顔をしかめる。なお漏れ聞こえる水音交じりの声が、耳に心地よい。

 唇を解放すると、パースはそのまま、力が抜けたようにしてベッドへ倒れこんだ。はだけたシャツの胸元に、薄いライムグリーンのブラが覗く。形よく盛り上がった乳房が、荒い呼吸に合わせて上下した。

 

「もう……待ってって、言ったのに」

 

 ぷいとそっぽを向く、その横顔も愛らしい。やや汗ばんで、振り乱した前髪が、額に貼り付いている。錦糸のようなその髪に指先で触れて、俺は許しを請うた。

 

「ごめん。パースが可愛くて、我慢できなかった」

 

 乱れた息をする横顔が、微笑んだ。アメジストの瞳だけが、俺を捉える。パースの考えていることは俺と同じで、だから、手に取るようにわかった。

 

「ふふ。なら、もっと、ちょうだい」

 

 再び正面を向いたパースが、俺を誘う。女神の誘惑を振り払う方法なんて、俺は知らない。導かれるまま、俺は何度目になるかわからないキスを、パースと交わす。

 唇の先だけをついばむ、軽いキス。やがて、唇だけに飽き足らず、彼女の頬へ、瞼へ、耳たぶへ、一つ一つ確かめて、唇で触れていく。その度に、くすぐったそうに漏れる吐息が、熟れた禁断の果実の如く、甘い。

 触れる場所を、少しずつ下げていく。微かに開いたままの唇に触れてから、喉へ、首筋へ、肩へ、鎖骨へ。細いパースの体を、その線を確かめて、一つ一つ、唇を当てる。胸元へ、両の乳房へ、お腹へ。

 

「くすぐったいわ」

 

 パースは鈴の音のように笑いながら、俺の髪に触れた。慈しむような、優しい手のひらの感触。まるで毛づくろいみたいに、指先が一本ずつの髪を撫でる。あたかも子供をあやす、母親のような。

 しかし、胸の谷間の向こうへ見えたパースの顔は、物をねだる子供のそれだった。

 

「キスなら、唇にして」

 

 あまりにも愛らしい懇願に、俺はすぐ応える。

 唇を重ねた瞬間、パースの腕が、がっちりと俺の頭を捉えた。今度こそ離さない、強い意志が、締め付ける腕から感じられた。細い腕のどこに、それだけの力があるのか。あるいは彼女の意志の強さが、そうさせるのか。逃れられぬまま、息を次ぐ暇すら与えられず、長い長いキスが続く。

 下唇をパースが何度も甘噛みしてくる。脳を蕩かす唾液の甘さとともに、触れる歯の刺激が強い快感となって頭蓋を叩く。何重にもなって押し寄せる快楽の波が、空っぽの頭の中でぐわんぐわんと反響していた。

 

「……ぷふぁ」

 

 解放とともに、何度目になるかわからない、深い息をする。お互いの額をつけたまま、激しく打つ心臓をなだめようと、深呼吸を繰り返す。けれど、この至近距離だ。吸い込む息には、花園の香りが混じる。美しいお日様の香りと、人を惹きつける艶やかな花の香り。

 花園の君が、可憐な紫の花を、俺へと手向けている。

 

「ねえ、キスだけ?」

「……そうだね。パースがあんまり可愛いから、キスに夢中になってた」

「もう、あなた、そればっかり」

 

 可愛いのも、美しいのも、愛おしいのも、紛れもない事実だ。だからどうしたって、気づけばそればかり、呟いてしまう。どうか、語彙力のない俺を、許してほしい。

 前をはだけて、すでに役目を果たしていないパースのワイシャツを、腕から抜き去る。肩や二の腕、脇腹、隠れていた彼女の肌が、薄闇の中に露わになる。残るのは、ブラとスカート、ニーソックスのみ。たった数枚の布で隠されたその先に触れられるのは、俺だけだ。

 取り去ったワイシャツを、俺の上着と一緒にして、床へ落とす。そのまま右手を、彼女の脇腹からあばらにかけて這わせた。

 

「んっ……!」

 

 ざらざらとした鳥肌の感触。声を堪えても、ピクリと仰け反ったパースの体は、感覚に正直だった。動きに合わせて、たわわに実った乳房が揺れる。

 もう一度、右手でパースの脇腹に触れる。美しいシアーを確かめて、ゆっくりと触れていく。

 

「パースは、細いな」

 

 率直な感想が、口から漏れた。

 無駄な肉、俗に艦娘たちが「バルジ」と呼ぶ、お腹周りのふくらみが、パースにはない。きめ細かい肌の下には、形よくついた筋肉の気配。

 腰に腕を回して、強く、引き付ける。特別大きい方でもない俺でも、パースの腰をぐるりと腕が一周する。それくらい、細い。

 ……ああ、本当に、どうしてこれほど、細いのか。一度力を加えてしまえば、折れてしまいそうなほど。この腕に抱くのが、時折不安になるほど。この細い体のどこに、波濤を割き、海原を駆け、砲火を放つ力が、宿っているのだろうか。

 俺の呟きをどう受け取ったのか、ぷいと、パースがそっぽを向いてしまう。

 

「あまり、細いって、言わないで」

 

 パースの手が、脇腹をさすっていた俺の手に、重なった。微かな抵抗。手を止めて、彼女の表情を覗き込む。

 

「男の人は、ふっくらしてる方が、好きなんでしょう?私……あまり、抱き心地がいい方では、ないもの」

 

 二、三と、目を瞬く。

 パースの言わんとしていることは、理解できた。彼女は彼女なりに、自分の体型へ思うところがあるのだ。だから、細い、と言われるのは、あまり気持ちのいいものではないのだろう。

 

「ごめん。無神経だったね」

「……いいえ。わかってるわ、悪気なんてないでしょ?」

 

 それでも、あまり軽々しく、言うことではない。デリカシーの問題だ。

 

「俺が抱きたいのは、お人形じゃない。パースだ。パースの香りと感触が、俺には一番大切だ」

 

 弁明にしかならないだろう。けれどそれだけは、伝えておきたい。抱き心地がいいとか、そういう問題じゃない。俺が力一杯に抱き締めたいのは、パース一人しかいない。

 今度はパースが、二、三と瞬きをする番だった。やがてくすくすと、小さな笑いを漏らす。

 

「ふふ。提督、その言い方は何だか、変態さんみたいよ」

 

 ……客観的に見れば、そうかもしれない。弁解に必死で、随分と恥ずかしいことを口走った自覚は、ある。

 パースの腕が、再び俺の首を絡め取って、抱き締める。俺は上半身裸で、パースもブラだけだ。より直接的に、彼女の肌の感触がする。火照っているのか、元からの暖かさか、胸に触れる柔らかいものから、じんわりと彼女の体温が伝わった。

 

「ごめんなさい。少し、意地悪だったわね」

 

 耳元で囁いて、パースの顔が離れる。俺の首からぶら下がるようにして、彼女と目が合った。熱を残す瞳を輝かせ、パースが笑う。

 

「抱き心地は、よくないかもしれないけれど。――こっちには、自信があるわ」

 

 そう言って、パースは豊満なものを――柔らかな母性を、俺に押し付けた。ブラの、独特の触り心地が、胸に触れる。カップから零れそうな彼女自慢の胸部は、いつか焼いたスフレパンケーキのように、柔らかい。触れた肌から伝わる体温が、巡り巡って下半身の熱となった。

 真っ直ぐな背筋に沿って手を這わせる。肩甲骨の下あたりで、ホックに手が触れた。迷わず解放する。張力を失ったブラが垂れ下がって、ついにその役割を果たさなくなった。

 パースをベッドへと戻しながら、その腕からブラを引き抜いていく。抵抗なく、するすると取れていく、花の刺繍がされたブラ。たった布一枚に隠されていた、禁断の果実が、目の前に現れた。

 ……訂正しよう。細いという表現は間違いだ。ブラの保持を失ってなお、一切のたるみを許さない、瑞々しい果実が二つ、パースの腕から零れている。超弩級という表現が相応しい、それは正しくおっぱいであった。

 淡いピンク色をした突起が、ぴんと気高く、こちらへ突き出される。肌の張りはいいが、パースの腕で揺れる様子は実に柔らかそうだ。口にしてはならない、そうわかってもなお手を伸ばしてしまう、あまりに強力で蠱惑的な魅力の詰まった、禁断の果実。

 触れてくれと、パースの目が訴える。ごくりと音がするほど唾を飲んで、俺は手を伸ばす。

 

「あ……んぅ」

 

 キスの時とは異なる声が、湿ったパースの唇から漏れた。

 最初に感じたのは、しっとりとした肌の質感。しかしすぐに、変幻自在の弾力に、両の手が包まれた。あたかもマシュマロを鷲掴んだような感覚。これが本当に、人の体かと、妙な感動を覚える感触。

 掴む力を、強めたり、弱めたり。指先がパースの胸へと飲み込まれる感覚と、ゆっくりと押し返される感覚。それを確かめるように、二度三度と、乳房を揉む。

 子供の頃の、粘土遊びを思い出す。

 

「ん……ふふ、そんなに、私のおっぱいが、好き?」

 

 頬を赤らめながら、パースが尋ねる。その声は、息切れとは別の理由で、小刻みに震えていた。

 

「もちろん。ずっと、揉んでいたいぐらいだ」

「提督、赤ちゃんみたいね」

 

 笑ったパースはやや考える仕草をして、俺と、そして自分の胸を交互に見た。まっさらなシーツに皺を作っていた手が、俺の腕をさする。やや口ごもる間の後、パースは意を決した様子で、その唇を開いた。

 

「その……おっぱいで、シてみる?」

 

 予想もしなかった提案に、思わず、胸を揉む手が止まった。

 

「いい……のか?」

「気持ちよくできるか、わからないけれど」

 

 一も二もなく、返事は決まっていた。そんなの、気持ちよくない、訳がない。

 おっぱいを手放す。名残惜しい熱が手のひらに残るが、それもすぐ、別の興奮に取って代わられる。ベルトを外し、ファスナーを下げて、パンツごとズボンを降ろす。すでに準備万端のペニスが、押さえるものを失って、勢いよく現れた。紫の目を一杯に開いて、パースが俺のモノを見る。

 片方ずつ順に足を抜いて、パースのお腹の上あたりに跨る。先走りで濡れた亀頭を、丁度、パースの胸のところへ差し出した。

 

「もう……パンパン、ね。提督のおちんちん」

 

 パースの白い指が、真っ赤に充血した亀頭をつつく。紅白で縁起がいいなと、全く見当違いのことを考える俺だった。

 

「ん……しょ」

 

 パースが両腕で寄せて作った深い谷間に、肉棒が飲み込まれた。陰茎を包む胸の柔らかさは、まるで極上の布団にように、柔らかく、温かい。人をダメにするソファというのが流行ったが、それもきっと、こんな感覚だったのだろう。

 腰が、砕けてしまったように、動かない。それほどに、微かに汗ばむ白い肌の張りと、包み込む柔らかさ、そして微かな鼓動の感触は、堪らない快感だった。

 今少し精神が足りなければ、ただ胸に挟まれただけで、果ててしまうところだった。

 

「おちんちん、ピクピクしてる。気持ちいいの?」

「……信じられないくらい、気持ちいい」

「そう、なの?――ふふ、自信があるって、言ったでしょ?」

 

 完熟トマトのような頬を緩めて、パースはやや得意げに微笑んだ。細くなった紫の瞳が怪しく光り、心臓がドキリとする。

 

「……こうすれば、もっと気持ちいいかしら」

 

 そう言って、パースが動く。両腕で支えた、人をダメにするクッション二つを、ゆっくりとしたストロークで、上下に動かす。汗とカウパーが混じり、おっぱいとペニスの間で、潤滑油の役割を果たした。ずるりずるりと、ややぎこちないパースの動きに合わせて、カリを肌が刺激する。その刺激が、脊髄を通る間に悦楽に変わって、思わず声が漏れた。

 

「ん……意外と、難しいのね。コツがいるわ」

 

 一方のパースは、曇りなき眼で、一心不乱に胸を動かす。圧を強くしたり、弱くしたり。あるいは左右互い違いに動かしたり、ストロークの長さを変えたり。色々と試みる、一つ一つの動きが、緩急となって慣れさせない。動きの変化に、脳の処理が追い付いていない。

 上半身を丸めて、パースが自分の胸の上に顔を移した。艶っぽくすぼめた薄い色の唇から、透き通った液体が零れてくる。粘度の高いそれが、唇からツーっと伸びる。顔を出した月の光を宿し、やがて雫がパースの胸に落ちる。乳房のカーブに沿って、雫は谷間へと消えた。

 パースの動きが活発化する。それまでで一番早くて、ストロークの長い動き。唾によってさらに滑りがよくなり、パースは激しく陰茎をしごいてくる。絡みついたパースの唾が、谷間の中で白い泡になる。卑猥な水音がぐじゅぐじゅと響いて、小さな飛沫がパースの白い鎖骨を濡らした。

 

「パース……っ!それ、やばい……!」

「滑りがよくなったでしょう?ビクビクして……射精し(出)ちゃいそう?」

 

 前屈みでパースの顔のすぐ横に手を突き、頷く。初めての感覚に、快楽の処理が追い付かない。あと十回もしごかれれば、精を吐いてしまいそうだ。

 瞬きをしたパースが、天使の微笑みを浮かべた。

 

「いいわよ。このまま、おっぱいに射精(出)して?」

 

 悪魔の言葉をささやいて、なお一層、パースのしごきは激しさを増す。鈍い水音が途切れることなく木霊し、白濁した水滴が谷間から溢れる。泡立てた唾をパースが追加し、追い立てるように乳房が躍動する。一往復するごとに、下半身に熱が溜まり、尿道を何かが込み上げてくる。

 

「うぁっ……で、る……っ!」

 

 我慢が、ついに限界に達した。ペニスの根元で堪えていたものが、堰を切って駆け上がる。重量感のある、粘っこいものが、信じられない勢いで尿道を走って、唯一開放された鈴口から溢れ出る。口を押えたホースと同じだ。高い圧力そのままに、男根が白濁液を吐き出す。

 自分でも驚くぐらい、凄まじい勢いで精液が飛び出した。亀頭の先から、熱いものが迸る。

 

「きゃっ」

 

 べっとりとした白い液体が、パースの谷間から、噴水のように噴き出た。胸だけに留まらず、鎖骨のくぼみ、白い首筋、そして綺麗な顔にまで、精液がぼたぼたとかかる。可愛い悲鳴とともに右目を瞑り、パースは胸の律動を止めた。

 射精の余韻が残る。腰が小刻みに震え、その度に尿道の精液が吐き出される。たっぷりと吐き出された白濁液で、谷間に橋が架かる。谷底には、やはり真っ白な水溜り。

 

「すごい……こんなに、たくさん」

 

 自分の胸元を見つめながらパースが呟いた。精液が零れたまま上気する頬が、やけに煽情的だった。

 

「ごめん、顔にかかったね」

「気にしないで。……気持ちよかった?」

「それは、もう」

「そう?ならよかった」

 

 元の通り、柔らかい笑みを浮かべるパース。自分の顔にかかった精液に気づいたのか、頬の雫を指で摘まむ。唇の端に飛んだものは、ぺろりとピンクの舌が舐めとった。

 その舌が、今度は俺の亀頭を絡め取る。射精したてで敏感になったペニスには、生き物のように蠢く舌は刺激が強すぎる。力が入らないうちに、パースにされるがまま、陰茎の先端が、形のいい唇の内側へと消えていた。

 口の中で舌が転がる。鈴口を舐めとり、カリを一しきり撫でる。唇をすぼめたパースは、ストローのようにペニスを吸う。尿道に残った精液が、パースの口内へと吸い出された。

 ちゅっと、キスでもするように、パースが口を離す。やや水っぽい精液が、彼女の唇と、俺の鈴口に、橋を作った。キラキラと朝露に濡れた蜘蛛の巣のような糸が、重力に従って途切れる。

 

「ん……まだ、こんなに残ってた」

 

 見て見てと言わんばかりに、パースが口を開く。舌の上で、粘っこい白濁液が転がっていた。精液と唾液が混じり合い、泡立って絡み合う。

 散々見せつけて、口を閉じたパースが、こくり、小さく喉を鳴らした。白い首筋が動く。精液を嚥下したパースが、ぺろりと舌を出した。

 

「おっぱいがべとべと」

 

 胸元に溜まった精液を、パースが指先でいじる。杏仁豆腐みたいなゲル状の物体が、彼女の指に弄ばれていた。摘まみ上げたそれを矯めつ眇めつするパース。親指と人差し指の間に垂れた精液を、猫のようにパースが舐めとる。

 

「今、拭くよ」

 

 枕元のティッシュに手を伸ばす。四枚をまとめて取って、谷間に溜まった精液に当てる。結局四枚では足りずに、もう四枚追加して、拭きとった。

 それを待っていたように、パースの手が俺の胸に伸びた。触れるか触れないかのタッチで、胸筋を撫でてくる。

 

「今度は、あなたの番よ」

 

 そう言ってパースは、スカートのファスナーに手をかけた。

 

 

 

◇

 

 

 

「んぁ……ふ、ぅあっ」

 

 下着越しに陰部へ触れる度、パースが切なそうに声を漏らした。半開きの唇から、途切れない嬌声が零れる。こちらを窺う彼女は、早く早くと、紫の瞳で急かしてくる。

 だが、直接触れるのは、まだだ。

 スカートを降ろしたことで、その下に隠れていたパンツが露わになっていた。先に外したブラと揃えた、ライムグリーンのパンツ。

 滑らかな表面を、中指の腹でなぞる。下腹部から、腿の間へ。薄い布で仕切られただけのそこは、焼けるような熱さと、まとわりつく湿り気に満ちていた。

 ゴムのような弾力のある恥丘。指先で触れれば、その下の割れ目までわかる。爪の先で弾くようにして、その割れ目に触れた。ぽつりと引っかかる突起に触れる度、パースがもどかし気に身をよじり、腿をすり合わせる。

 

「ん……んっ……は……ぁっ」

 

 指を這わせるごとに、声の色っぽさが増していく。紫の瞳が濡れて、期待から懇願へと色を変えた。綺麗に整えていた前髪が、次第に乱れていく。

 ふと、動かす指が、濡れていることに気づいた。割れ目を覆う部分が、明らかにぬめっていた。指先で触れる度、どんどん水が溢れてくる。しまいには、濡れた布独特の、軋むような水音が聞こえてきた。膣から染み出た愛液が、パースのパンツに黒いシミを作っていく。

 

「やだ……汚れちゃう」

 

 初めて、言葉らしい言葉が漏れた。困ったように眉を下げて、パースが俺を見ている。

 そろそろ頃合いだろう。陰部から手を放す。愛液のぬめりを確かめながら、滑らかな下腹部へ手を置いた。そのまま手を這わせ、パンツの中へ手を入れる。

 あたかも熱帯地方のように、その中は高温多湿だ。それでいて、砂漠の如く、一本の木もない。すべすべの肌に手を這わせ、緩やかな窪みに沿って、目当ての場所を探る。

 

「っ!」

 

 腿の合間に、それを見つける。二つの襞の間、かすかに震える、パースのヴァギナ。パンツを湿らせるほど滴っていた愛液で、ぐっしょりと濡れている。触れただけの中指を伝って、水滴が零れるのがわかった。

 

「ふゎ……はぅ……あ……っ」

 陰唇をまさぐると、さらに愛液が漏れる。直接触れられているからか、パースの声の音色が、俄かに変わった。潤んだ視線を感じる。

 もう、十分に濡れてるだろう。そう判断して、膣に指を挿入する。まずは中指だけ、指先からゆっくりと、間接一個ずつ、埋めていく。

 膣中はさらに熱く、湿っている。愛液で溢れた膣壁が、キュウキュウと指を締め付けてくる。肉襞が蠢いて、俺の指を、奥へ奥へと飲み込もうとする。あまりの吸引力に、あっという間に中指が全て、パースの中に飲み込まれた。

 

「ぁん……っ。指、深、い」

 

 パースも、中指が全部入ったのが、わかったみたいだ。意図的なのか、無意識なのか、視線が交わった瞬間に、さらに膣の締め付けが増す。このまま、指が千切れて、食べられてしまうのではと思ったほどだ。

 

「動かすよ」

「っ……ええ」

 

 頬を真っ赤にして頷くパース。その仕草を確認して、俺は指を動かす。

 ゆっくり、時計回りに指を回す。中の感触を確かめ、穴を広げるように、こねくり回す。

 同時に、パースの胸に、舌を這わせる。先端でつつくように、あるいは舌全体で撫でるように。色素の薄い乳輪の回りを、わざと乳首には振れないよう、撫ぜていく。

 

「やぁ……焦らさ、ないでっ」

 

 パースが身をよじって訴える。シーツが擦れる音。少しずつ、彼女の腰が浮いている。快楽に抗おうと、頻繁に足をすり合わせる。

 今度は俺の番だ。君にもちゃんと、気持ちよくなってもらいたい。

 十分解れてきた膣内に、二本目の指を挿入する。前後の動きを混ぜて、肉襞を抉る。人差し指と中指を包む濡れそぼった膣が、動きに合わせて震えた。ぐちゅぐちゅと、パンツの下から、いやらしい音が響く。

 

「んっ……ぁっ」

 

 真っ白な喉を弓なりにして、パースが悶える。曲げた指の先が、彼女の弱い部分を叩くたび、艶やかな嬌声が漏れる。長い睫毛を震わせ、だらしなく唇を開いて、涎を垂らす。

 今度は、乳首を口に含む。散々焦らしたからか、はたまた膣を刺激したからか。さっきまでの俺のペニスのように、パンパンに張ったパースの乳首。漏れる声に合わせて揺れる、凛と屹立した突起を、口に含む。

 

「~~~~っっっ」

 

 声にならない叫びを、パースが上げる。彼女は乳首が敏感だ。口に含み、転がすたび、快楽が声となって唇より漏れる。柔らかく俺を包んでくれたおっぱいの、その一点を責める度に、瑞々しい果実が揺れた。

 指への吸いつきが変わる。肉壁の震えがまして、間隔が短くなっていく。襞がしつこいくらいに指へまとわりつき、律動を促した。

 誘われるまま、指の動きと、乳首への攻めを強くする。荒い息継ぎと嬌声が混じり、小さな部屋にこだました。パースが唇を噛んで、何かを堪える。

 

「イキそう?」

 

 乳首から口を離し、パースの耳元で囁く。髪を振り乱しながら、パースはこくこくと頷いた。

 首筋にキスをする。汗のせいか、少ししょっぱい。よく見れば、真っ白だったパースの肌が、サーモンピンクに染まっていた。

 再び、乳首にキスをする。舌で転がし、吸って、押し付け。甘噛みすると、パースの腰が完全に浮いた。あまりの激しい動きに、ベッドが軋む。

 パースが絶頂を迎えようとしているのが、ありありとわかった。膣の震えが、腿まで伝わっている。呼吸の感覚も、明らかに早くなった。両の手が、シーツをきつく握りしめている。

 半開きの口から、声が漏れる。

 

「イク、わ……っイク……いっ、ちゃ……~~~~~っっっ!」

 

 パースがギュッと目を瞑った瞬間、膣内がそれまでで一番、きつく指を締め付けた。押したGスポットから、うねるような震えが伝わってくる。制御を失って不規則に動く襞に、指が揉みしだかれた。

 歯の間で、乳首も震える。勃起した乳首が、パースの腰の震えに合わせて、何度も揺れた。

 尿道から噴き出した潮が、俺の手を濡らす。透明な液体が飛び散って、俺の手のみならず、パースのパンツや腿も濡らした。彼女の股は、色んな液体が混じり合って、洪水状態だ。引き抜いた指から、いくつも雫が零れ落ちる。

 絶頂の余韻に浸るパース。大きく息を吸って、吐いて、呼吸を整える。胸から離した唇を、俺はサーモンピンクの鎖骨に押し当てた。

 

「気持ちよかった?」

 

 今度は俺が尋ねる番だった。目の端に涙すら浮かべるパースが、荒い息のまま、拗ねたようにそっぽを向いた。熱い息を吐く唇が、微かに動く。

 

「もう……それを、私に言わせるの?」

 

 意地悪と言わんばかりの瞳が可愛くて、その頬へキスをした。

 

「びしょびしょ、だね」

 

 パースの股のところへ位置を変えた俺は、M字に開脚する彼女の陰部と、その部分のシーツを交互に見遣って、呟いた。

 パンツは一目見ればわかるほどに濡れている。滑らかだった表面を、割れ目に沿って水滴が伝う。それだけでなく、シーツの方まで、パースの愛液やら潮やらが滴って、黒いシミを作っていた。

 

「あなたが、激しいからよ」

「パースがイクところ、見たかったから」

「……やっぱり、意地悪だわ」

 

 唇を尖らせるパースに、苦笑する。その前に、あれだけ俺のペニスを責め立てた人間と、同一人物とは思えない。

 パースの秘部を隠す、最後の布に、手をかける。

 

「脱がすよ」

「……うん」

 

 揃えた膝を立ててもらい、ぐいっとパンツを引っ張る。パースが腰を浮かしてくれたおかげで、すんなりと臀部を抜けた。濡れてクタクタになった、パースの無毛まんこが現れる。泡立った愛液が、パンツとの間に糸を引いた。

 右、左と、順に足を抜き、パースはついに、産まれたままの姿になった。

 否、正確には――

 

「あなた、靴下も脱がして?」

 

 ニーハイソックスが、いまだパースのやや膝上までを覆っている。程よい肉付きの腿に、ゴムの部分が喰いこんでいた。

 しばらく迷って、俺はかぶりを振る。

 

「いや、このままでいいんじゃないかな」

「提督……変態さん?」

 

 半目の彼女の言葉に、言い訳するのはやめた。

 パースへ覆いかぶさり、足を開いた彼女の下半身へ、俺の股を近づける。彼女がオーガズムを迎えるまでの間に、俺の息子も息を吹き返していた。愛液をたらし、男根を待つ女陰に、嫌がおうにも期待が高まる。血管が浮き出るほどに、ペニスへ血液が集中する。全身の集中力が、全てその一点へ集まっているような感覚さえした。

 

「あなた。キス、して」

 

 陰唇へ亀頭をあてがう俺に、パースはそう言って手を伸ばす。挿入するときはいつも、彼女は求めてくる。まだ、入れる時には、痛むんだろうか。

 唇を重ねる。幾度となくしたはずのキスが、今は随分懐かしいものに感じられた。パースはどこか縋るように唇を求め、強く、押し付ける。舌先がまぐわい、お互いの唾液が行き来する。すでに十分上がりきった息が、さらに苦しくなる。

 

「入れるよ」

 

 唇を放して、パースに確認する。静かに頷いた彼女が、また俺の唇を奪った。下唇を彼女の好きなようにして、俺はゆっくり、腰を前へと進める。

 濡れそぼった陰部を、亀頭が掻き分ける。蕩けてやや開放的になった膣門に、するりとカリ首が滑り込む。待っていたと言わんばかりに、パースの膣が、鈴口に吸いついてきた。

 パースの温もりを感じる。しかしそれは、繋いだ手とも、触れた肌とも、重ねた唇とも、まったく別種の温もりだ。より本能的で、悦楽的で、そして深い深い愛に満ちた温もりだ。

 再びの快感に、ペニスが更なる奥地への進撃を要請してくる。だがそれを、寸でのところで留めた。短絡的に終わらせたくはない。何より、鼻息を荒くして、必死に下唇を吸うパースに、そんなことはできない。

 一息に押し込みたい衝動を堪え、殊更ゆっくり、腰を進めていく。彼女が慣れているかを、確かめながら。膣奥へと誘う襞の動きに逆らって、踏ん張って。

 だが。その努力を台無しにする刺客が、背後から秘かに迫っていた。

 

「っ!?」

 

 見えざる手が、不意に俺の腰を押した。必死に堪えていた挿入が、一気に加速する。肉襞に導かれるまま、根元までずっぽりと、ペニスが飲み込まれた。想定していなかった感触が快感となって、陰茎から脳髄まで駆け抜ける。腰が思わず震えた。

 驚きに目を見開く。ぼやける焦点で見えたのは、細い糸のようなパースの瞳。目が合うと、その瞳が微笑んだ気がした。

 息を継ぐために、唇が離れる。潤んでこちらを見上げるパースに、俺は抗議の意思を示した。

 

「パース……!」

 

 俺の腰を押したのは、パースの両足だった。ニーハイソックスを履いたままの足が、抱き締めるように俺の腰へ回されている。俗にいう「だいしゅきホールド」というやつで、俺の下半身はがっちりと捉えられ、動くことができない。

 

「だいじょうぶ」

 

 やや舌足らずな言葉で、パースが答える。足の締め付けが、強くなる。細い腰をぎこちなくくねらせ、押し付ける。

 

「あなたの、好きなように、して?」

 

 全身の毛が、逆立つのを感じた。どこかにかかっていた数種類の安全装置が、一時に吹き飛んだ。

 唇を喰らうほどに、パースへキスをする。ひとしきり上唇を吸い上げ、今一度、輝くアメジストの瞳を見つめる。

 

「そんな風に言われたら、我慢できない」

「だいじょうぶ。我慢しないで。……その代わり、手を、繋いで?」

 

 黙って頷き、力なくベッドへ投げ出されていたパースの手に、俺の手を重ねる。それから一度、彼女の頭の下へ入れた、枕の位置をなおす。その間も、パースの足は、離れない。繋がったままのペニスを、愛液と襞が包んでいた。

 両の手の、指を絡める。パースの手は、すっぽりと俺の手のひらに包まれてしまう。それでも、細い指が、一生懸命に俺の手を掴む。

 それが、愛しくてたまらない。

 もう一度キスをして、俺は覚悟を決めた。

 

「ぁ……あぅっ!」

 

 パースに断りもなく、腰を動かす。根元まで飲み込まれていたペニスをゆっくりと引き抜き、辛うじて亀頭が入るところまで戻す。そこから一息に、元の鞘へと収めた。きゅっと、瞬間的にパースの膣内が締まる。繋いだ手に、力が籠った。

 もう一度、入り口付近まで先端を引く。今度は亀頭で、ぐりぐりと浅いところを弄る。二人の繋がったところから、粘度のある水音が聞こえてきた。膣壁を押すたび、パースの息が詰まる。物欲しそうに、手を握って、俺を見つめる。また、一気に奥へと押し込む。肌がぶつかって、乾いた音がした。

 そこからはもう、止めることはしない。奥まで突き、引いて、間髪入れずに押し込む。心臓の音でリズムを取りながら、普段よりも早く激しく、パースへ腰を打ち付ける。

 

「あっ、んっ、ふっ」

 

 腰の動きに合わせて、パースの声が漏れる。涙とも汗ともつかない液体が、頬を流れる。潤んだ瞳に、ハートの模様が見えた気がした。それがなお一層、往復動を加速させる。

 一突きするたびに、嬌声が漏れる。肌がこすれる乾いた音と、二人の体液の混じる水音、俺の呼吸と、彼女の呼吸、全てが同じリズムを刻む。

 早い動きに慣れてきたのか、パースの肉襞が、陰茎の出し入れに合わせて動く。亀頭を撫で、カリをひっかけ、竿をこする。その一つ一つが、快感となって俺の射精感を煽る。先に胸でシてもらってなかったら、すぐに射精(出)してしまっていたかもしれない。

 

「んっ、イイっ、奥っ」

 

 言われた通りに、膣の奥をつく。壁へぐりぐりと、亀頭を押し付けると、声の音が一つ高くなった。腰を締め付ける腿が、小刻みに震える。

 

「ここ、かな?」

「あっ、ぅんっ、ソコぉっ」

 

 髪を振り乱すパースが、様々な表情を見せる。霞んだ瞳と、眉間に皺を刻む、苦悶の表情。かと思えば、目尻に雫を伝わせ、唇を震わせる、享楽の表情。あるいは、眦を下げて、穏やかに口角を上げる、慈愛の表情。繋いだ手を押さえつけて、彼女の動きを封じているからか、一つ一つの表情の機微が、はっきり見える。

 大理石のように美しい白だったパースの肌は、その全てが隠しがたい熱を帯びて、桃色に染まっていた。上気は頬だけに留まらず、全身の肌という肌から、熱を放出している気さえする。

 律動に合わせ、スポンジのように柔らかな胸が揺れる。上向きの乳首が、空間を激しく行ったり来たりする。時折双丘同士がぶつかって、パチパチと汗ばんだ音を発した。

 

「あなた、あなたっ」

 

 必死な表情が、俺を呼ぶ。律動に喘ぎ、荒い息を繰り返すパースが、その合間に言葉を紡ぐ。

 

「気持ち、いい?私の、膣内(なか)、気持ちいい?」

「ああっ。すごく、気持ちいい。熱くて、とろとろで、吸い付いてきて……最高だっ」

 

 率直な感想を漏らす。考えて、言葉を選ぶ余裕なんて、ない。パースの奥へ触れる度、理性が削られる。本能の部分が剥き出しになる。ただただ、彼女への愛しさだけが、無限に膨らんでいく。

 このまま、永遠に繋がっていたい。パースの温もりさえあればいい。そんな、悪魔的な欲望さえ、浮かんでくる。

 そんな俺の本心を知ってか知らずか、パースは瞳を滲ませて、微笑む。細い指が、きゅっと力を込めて、俺の手を握る。

 

「よかった。私も、気持ちいいっ。あなたの、おちんちん、気持ちいいっ」

 

 それだけ言って、パースはまた、嬌声の海に沈んでいく。

 膣壁の動きが、また変わってくる。重なり合った襞が、明確な意図のもと、ペニスをしごく。絨毯爆撃でも仕掛けるように、根元から先端までを、順に一撫でする。全体を包み込み、射精を促していた。膣の最奥へと、つまり子宮へと、俺の精液を求めてくる。

 膣の変化は、それだけに留まらない。往復動を繰り返す亀頭の、尿道口の辺りに触れるものがある。それまで執拗に先端を刺激していた襞とは違う。やや硬く弾力のあるそれは、まるでキスでもするように、亀頭へ吸いついてきた。

 

「あんっ……子宮、降りてきちゃった」

 

 ピンク色の表情で、パースが告白する。亀頭に触れるのは、降りてきた彼女の子宮口だった。赤ちゃんの部屋が、新たな命の種を求めて、俺のペニスに触れる。むき出しで敏感な先端を、刺激する。

 

「わかる?赤ちゃんの部屋の入り口が、あなたのおちんちんに、キスしてるっ」

 

 俺と同じ感覚を、パースも感じているのだろう。卵子への入り口と、精子の出口とが触れ合うたび、なお一層に頬を染めて、声を漏らす。嬌声だけではない、どこか暖かく、懐かしさすら感じる音色が、パースの声に混じる。

 

「赤ちゃん、できちゃうわ。あなたの精子で、孕んじゃうっ」

 

 それが最後の引き金だった。最後の安全装置が、カチリと外れる。

 一度腰の動きを止め、繋いだ手を放す。首を傾げるパースには何も告げず、汗ばんだ背中へ手を差し入れた。相変わらず軽い彼女の体は、何の抵抗もなく、俺の腕に抱かれる。そのまま、グイッと一思いにパースの体を引き上げた。

 足を組み替え、体勢を整える。丁度、胡坐をかいた俺の上に、ちょこんとパースが向かい合って座る形だ。

 

「っ!?」

 

 正常位とはまた別のところへ、ペニスが押し当てられる。体を震わせるパースが、コアラのように両手両足で俺に抱き着いた。深々と彼女の中へ刺さった陰茎の先端が、子宮口に触れて押し上げ、降りてきた子宮を押し潰す。亀頭が、やや硬いゴムのような弾力の子宮口に、きゅうきゅうとしゃぶられている。

 

「あ、あなた?何だか、おちんちん、大きくなってない?」

「……そう、かも」

 

 全身の血液という血液が、ペニスへ集まっている気がする。これ以上ないほどに誇張した肉棒が、さらにパースの膣内を押し広げていた。敏感になった鈴口や竿の表面を、愛液と襞の脈動が刺激する。

 抱きかかえたことで、すぐ目の前にあるパースの顔。俺だけを映すアメジストの瞳に、俺は一言、消えかけの理性で謝らなければ。

 

「ごめん。今は、君の膣内(なか)に出すことしか、考えられない」

 

 目を見開いたパースが、二、三と瞬きをする。だがその目が、すぐに慈しみの色に染まる。頭でも撫でてくれそうな勢いで、柔らかい笑みを浮かべたパースが、俺の額に自分の額を合わせた。

 

「ふふ、言ったじゃない。我慢しないで、いいのよ。――あなたの赤ちゃんの素、私の膣内(なか)に、いっぱい、注いで」

 

 その一言で、ぷつり、糸が切れた。

 腰の動きを再開する。パースの腰を力任せに掴み、奥の奥までペニスを突き刺す。ストロークは短く、しかし奥だけを集中的に、肉壁を抉るようにして、子宮口を責める。

 甘い声が漏れる。一突きごとに痙攣する、パースの背中。仰け反りそうになる衝動を、彼女は必死に俺にしがみついて、堪えているようだった。ぎゅうぎゅうと締め付ける腕と足が、さらに俺の劣情を煽る。

 

「やぁぁっ、ふかいぃっ。おちんちん、すごいとこ、エグってるぅっ」

 

 漏れる呂律の回らない声に応える余裕が、今の俺にはない。目の前の雌(パース)を孕ませること以外の思考が、抜け落ちている。奥へ押し付けるたび吸いつく子宮口が、さらにその思考を加速させる。

 パースが俺の右肩へ顔を埋める。頭が動いた拍子に、はらりと、彼女の髪が解けた。三つ編みとお団子で綺麗にまとまっていたパースの髪が、律動に合わせてさらさらと崩れていく。それに気づいた様子はなく、パースは俺の首筋を甘噛みして、嬌声を堪えていた。

 右手でパースの髪に触れる。絡まらないように、指で梳かして、伸ばす。解けた太陽を宿す金髪が、彼女の背中で揺れた。振り乱す髪からは、お日様の香りと、花園の香り、そして甘いミルクの香りがした。

 

「~~~~~~っっっ」

 

 声にならない叫びが、右肩から聞こえてきた。両手両足の抱き締める力が、一層強くなる。彼女の膣が収縮して、不規則な動きでペニスを締め付ける。カリで掻き出す以上の愛液が、溢れ出てきた。小刻みな痙攣が、彼女が絶頂を迎えたことを物語る。

 だが、ペニスを打ち付けるのを、やめない。もう、止められない。むしろ、収縮した膣のうごめきが、まとわりつく襞の感触が、射精感を強く刺激した。震える肉壁をなぞり、なおも子宮口を叩く。

 

「んぁあっ、イ、った、からっ!今、んっ、敏感、でっ!ぅあっ、こわれちゃっ……~~~~~っっっっ!!」

 

 耳に熱い吐息が囁く。だがパースは、止めてとか、待ってとかは言わない。だから止めない。愛液でびしょびしょの膣内にペニスを滑らせ続ける。対面しているために、ペニスとこすれて泡立った愛液が、ぽたぽたと膣より零れる。パースの陰部も、俺の股間も、コップをひっくり返したようにぐっしょりと濡れている。肌がぶつかるたびに、鈍い水音がして、飛沫が散った。

 押し付けられたパースの胸が、俺の胸と重なってお餅のように潰れる。ぷっくりと膨らんだ突起が、時折俺の乳首に触れる。それがまた、新たな刺激となって、作りたての精液を込み上げさせる。

 射精の時が、そこまで来ている。ペニスが熱いのは、自分の血流なのか、パースの体温なのか、わからない。その熱は、彼女のヴァギナをつくたびに、高まっていく。せり上がってくるものを、吸い付いてくる子宮の中へ注げと、視界が明滅する程に本能が告げていた。

 

「パース、パースっ」

 

 余裕のない声で、パースを呼ぶ。それ以上の言葉なんて、もう出てこない。熱くなる一方の肉棒を、ただリズミカルに打ち付けることしかできない。

 息も絶え絶えのパースが、俺を見る。薄い唇の端から涎を垂らし、目元に涙を浮かべるパースは、それでも微笑んだ。力の入らない様子で、それでもへにゃっと、穏やかに目を細めた。

 

「射精し(出)そう、なのね?」

 

 何度も何度も頷く。今この時にも、彼女の中へ、子種が出ようとしている。

 

「私もっ、ぁん、また、イキそう。……ねぇ、キス、してっ。キス、しながら、射精(出)してっ」

 

 言われるまま、唇を重ねた。舌を交わらせる余裕すら、お互いにない。押し付けるだけ唇を押し付けて、微かに開いた隙間から、舌を触れ合わせるだけの、ぎこちないキス。くぐもった喘ぎが、蜂蜜のように甘い。

 最後のスパートをかける。ピストンのペースを上げる。すでに決壊寸前の射精感が、一気に高まっていく。自分でもわかるほどに、ペニスが膨らんでいく。そんな男根を、パースの膣がキュウキュウ締め付ける。肉襞が竿を縦横無尽にしごき、子宮口が亀頭へ吸いつく。

 

「~~~~~~っっっ!!」

 

 パースの絶頂と、俺の射精が、ほとんど同時だった。

 最後の一突きを、子宮口へ押し付ける。だいしゅきホールド状態のパースが、その全力で俺を抱きしめる。次の瞬間、堰を切って、精子が尿道を駆け上がってきた。ディープキスをする子宮口へ、鉄砲水のような勢いで精液が叩きつけられる。痙攣し、収縮した膣壁が、逃すまいとペニスを捕らえる。吐き出された精液が、待ち構えていた子宮へ吸い取られていくのが、ありありとわかった。

 小刻みな振動と、繊毛のような運動を続ける襞が、なおも肉棒を刺激して、全ての子種を搾り取る。尿道に残った分まで、前後に動く肉壁によって吸い出される。それがさらに、射精を加速する。

 信じられないほどの射精時間だ。尿道口から溢れる精液が止まらない。胸でシた時以上に、精液が放出される。その全てが、パースの子宮へと吸い取られていく。

 

「んっ……あったかい……」

 

 言葉を紡ぐのは、パースの方が早かった。小刻みな呼吸を繰り返す彼女は、へその下、子宮の辺りを左手で撫でる。まだ彼女の膣内で震えるペニスにも、微かにその感触が伝わった。

 

「あい、してる。……愛してる」

 

 ようやく息を整えた俺は、やっとの思いでそれだけを言葉にした。痺れた思考には靄がかかり、うまく機能はしていない。全ての精を吐き出した今、パースへの愛しさだけが、残っている。

 パースが微笑んだ。慈しみに溢れるその表情に、改めて心を奪われた。

 

「ええ、知ってるわ。私も、あなたを愛してる」

 

 二人揃って小さく笑い、俺たちは最後にもう一度、キスをした。

 

 

 

◇

 

 

 

「ふふ」

 

 食堂自慢のビーフシチューを口へ運ぶパースが、俺の顔を見るなり、笑いだした。拳を唇に当てる、控えめな笑い。解けた髪をまとめるポニーテールが、声に合わせて揺れている。

 この髪型はこの髪型で、何とも愛らしい。月一くらいで、こっちにしてもらうように頼もう。そんなことをぼんやり考えつつ、俺はその笑みの理由を、パースへ尋ねる。

 

「どこか変かな、俺」

「――いいえ、違うの」

 

 首を振りながらも、パースの笑みは止まらない。すでに散った桜を思わせる、薄いピンク色の笑顔。悪戯っぽく口角を吊り上げて、彼女は俺の瞳を覗いた

 

「あなた、今、私のこと大好きって思ったでしょう?」

 

 あなたの考えることなんて、お見通しなんだから。そう言ってパースはなお一層、笑みを深める。

 

「……参ったなあ」

 

 いつぞやのやり取りを思い出す。どうも本当に、パースには俺の考えなど、お見通しらしい。隠し立てするつもりはないが……こちらの考えてることが全て筒抜けというのは、やはり、気恥ずかしい。

 だから、本当に、参った。

 

「その髪型も、いいなって思ってた」

「これ?」

 

 後頭部の馬のしっぽに触れるパース。首を傾げて、ころころ笑う彼女が、目を細めて尋ねた。

 

「提督は、こういう髪型が好きなの?」

「どうだろう。パースがしてるから、好きなんだと思う」

「ふーん?」

 

 二、三と素早く瞬いて、パースは微笑む。

 ……俺だって、君が考えてることくらい、わかる。

 瞬きが早いのは、照れてるとき。唇が緩むのは、嬉しいとき。アメジストの瞳が煌めくのは、愛しいとき。

 

「俺も、パースの考えてることが、わかるよ」

「まあ。乙女の考えを読むなんて、紳士のすることじゃないわ」

「これは手厳しい」

 

 肩を竦めた俺に、パースはやはり、白銀の鈴を鳴らすように、笑った。

 

「ふふ。それじゃあ、『パースが大好きです』って言ったら、許してあげる」

「――パースが大好きです。君を、心の底から、愛してます」

「――ええ、私もよ。チャレンジャー海溝よりも深く、あなたを愛してる」

 

 お互いに、お互いの気持ちはバレバレで。それでも改めて、一つ一つ言葉にしながら、二人の夜は更けていった。




いかがだったでしょうか?

ある意味、処女作ですので、感想いただけますと嬉しいです。

パースさん視点のお話も書いてみたいなー、とふんわり思っています。
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