パースさんのいちゃらぶえっち2作目です。
時系列が前後してしまいますが、今回はパースさんの初夜のお話となります。
こうなったのは、きっと必然だったのだと、今は思える。
提督からの、二回の告白は、今でも鮮明に憶えている。私――パースにとっては、とても大切な、思い出だから。
一度目は、もう半年ほど、前のこと。着任したばかりの私に、提督は顔を合わせるなり、プロポーズをしてきた。美しい紅葉の景色の中で、片膝をつき、あたかも映画のワンシーンみたいに、愛の告白をしてきた。今思い返せば、差し出された手が、震えていた気もする。
二回目の告白は、つい先日のこと。咲き始めた桜の中で、あなたはやっぱり、最初の時と同じようなことを、私に告げた。
――「パースのことが、好きだ。結婚を前提に、お付き合いをしてください」
飾りっけなんて少しもなくて、ただただ純粋で、真っ直ぐな言葉。それに私は、こう答えたのだ。
――「私もあなたのことが好き。どうか末永く、よろしくお願いします」
本当に、時間にしてしまえば、ほんの一分とない、短い思い出だけれど。今でも、何度だって思い出す。出会ったあの日も、結ばれたあの日も、私には掛け替えのない、素敵な思い出だもの。
そうして、私たちは夫婦になった。二人の左手、薬指には、お揃いの光が宿るようになった。
◇
私たちの新居に、初めての夜がやって来た。結婚を機に、二人で同じ部屋に住むことにした私たちは、今日、それぞれの寮から官舎の二人部屋へ引っ越しを終えた。
食べ終わった夕食を片付けて、二人並んで食器を洗う。シンクの前の、少し狭っ苦しい感じが、今は楽しくて仕方ない。
「提督、お料理が上手なのね」
夕食を作りたいと名乗り出た隣の提督に、私は率直な感想を漏らす。紅茶の淹れ方といい、器用だとは思っていたけれど、料理までできるなんて。舌鼓を打った夕食を思い出すと、今でも頬が綻んでしまう。
お皿の泡を流しながら、提督が微笑む。
「おいしかった?」
「ええ、とても。今度、私にも教えてね」
「もちろん」
頷いた提督に、私は口元を緩める。あなたと並んで料理ができるなんて、きっとこれ以上なく幸せだわ。
最後の一枚を水切りラックへおいて、手を拭く。あとはお風呂に入って、コーヒーを一杯飲んだら、準備完了ね。
鎮守府の共同浴場へ向かおうと、入浴セットを抱えて、二人で部屋を出る。いつか提督の教えてくれた、セントーへ行く気分だ。
まだまだ冷える春の夜を、温もりを求めて指を絡め、歩いていく。官舎からお風呂まではあまりにも短い時間で、手を離すのが名残惜しかった。
暖簾を分けて、脱衣所へ足を踏み入れる。脱衣籠へ制服を畳みながら、私はほんの少し気合を入れて、覚悟を決めた。
お風呂上がりのコーヒータイムを楽しんでいると、時計はすでに十時になっていた。もうすぐ就寝の時間だ。二人きりの時間が過ぎるのなんてあっという間で、名残惜しいような、愛おしいような、不可思議な可笑しさに囚われる。
ルームウェアの私は、一足先に就寝の用意を終えて、ベッドの上に座っていた。提督と二人で選んだ、新調のダブルベッド。ふかふかの布団の上なら、まだ慣れない正座も、そんなに苦にはならない。
二人分並んだ、真っ白な枕に飛び込みたい衝動を抑えて、私は提督が戻って来るのを待つ。解いて顔の右にまとめた髪を弄っていると、ガチャリと部屋の扉が開いた。半袖シャツ姿の提督が現れる。
私を見るなり、提督は不思議そうに首を傾げる。
「どうした、パース?」
私の方へ歩み寄って、ベッドの端に腰掛ける、提督。私は彼に問いかける。
「ねえ、提督。私とあなたは、夫婦になったのよね?」
「そうだね。君と結婚できて、俺は幸せ者だ」
「私もよ。――それで、ね。夫婦になったのだから、やることがあるでしょう?」
「お休みのキスとか?」
「それは、してほしいけれど……そうではなくて」
私の言いたいことを、提督も何となく、察してくれたのだろう。けれど彼は、それを明言しなかった。何だかごまかそうとしている気がして、私は頬に空気を溜める。
「……夫婦というのは、夜の営みをするのでしょう」
「……パースさん、そういうのどこで憶えてくるんですか」
「ロイテルが教えてくれたの」
「あー……デ・ロイテルさんかぁ」
提督は微妙な表情を浮かべて、頬を掻いた。
ベッドの端から動かない提督へ、拳を使って躙る。彼の右手に、私の左手を重ねる。わずかに見上げる形になった私の目を、彼は瞳を逸らさず真っ直ぐに見つめ返してくれた。
「ねえ、提督。私、あなたのことが、大好きよ。愛しているわ。多分、あなたが思ってるよりずっとずっと、あなたのことを愛してる」
私の言葉を、提督は静かに聞いていた。大好きと、愛していると告げる度、彼は穏やかに、嬉しそうに、笑って頷く。その仕草で、私の話を、とても大切に、丁寧に、聴いてくれているのだとわかる。
そんな、あなただから、私は好きになったの。この人と幸せになりたい。この人を幸せにしたい。そう、強く、願ったの。
「私、あなたと、ちゃんと夫婦になりたいの」
あなたとなら、キスのその先まで、知りたいと思えるから。
私は改めて、あなたに――愛しい人に問いかける。
「私は、あなたとそういうこと、したいわ。……あなたは、違うの?」
右手に、力が入る。大きな彼の手を包むのに、私の手ではほんの少し足りない。関節の辺りを、中途半端に握るのが、精一杯だった。
そんな私の手を、反対に提督が握り返す。私より太くて、ごつごつとした指が、私の手を絡め取る。彼の親指が、愛おしそうに、私の手を撫ぜた。
提督が首を振る。
「違わない。俺だって、パースとしたい」
空いた提督の左手が、とてもゆっくりと、私の頬へ伸びる。暖かい手のひらに、私は笑って、寄り掛かる。この温もりが、愛しくって堪らない。
「……私の心は、あなたのものだわ。だから、私の身体も、あなたのものにして?」
私の言葉に、提督は「わかった」と答えて、額にキスをした。
スリッパを脱いだ提督が、ベッドの上へ上がってくる。新品のスプリングが、二人分の体重を受け止めて、わずかに軋む。繋いだ手だけを離さず、ベッドの真ん中で、私たちは向かい合った。
こつり。提督の額が、丁度さっきキスをした私の額に、重なる。
穏やかに、けれどやはりどこか緊張した面持ちの、提督。きっと、私も同じような顔をしているんだろうと、そんなことを思う。どれ程覚悟を決めたって、大切な人との初めては、やっぱり、緊張するものね。
浅い呼吸を繰り返す提督へ、私は囁く。
「あなたは、何をしたいの?」
「そう、だね。……まずは、たくさん、キスがしたいかな」
「いいわね、キス。私もたくさんしたいわ」
答えて、ほんの一瞬、提督の唇を啄む。小さな音がして、彼の熱を感じた。こちらを見つめる提督に、笑って見せる。
二回目のキスは、提督から。今度は少し長く、お互いの体温を交換できるくらいのキス。目を閉じると、感覚が研ぎ澄まされて、より繊細に、提督の感触を感じる。薄い唇から、徐々に上がっていく彼の体温を感じた。下唇を甘噛みすると、くすぐったそうな吐息が漏れる。
二十秒ほど彼の唇を堪能して、顔を離す。夜の海面を思わせる彼の瞳に、やや顔の赤くなった私が映っている。なんだか恥ずかしくて、けれど、吸い寄せられるように、目が離せない。
「パースの目、綺麗だね」
同じように私を見つめる提督が、そう囁く。風邪でも引いたみたいに、その吐息は熱を帯びている。でも、それが病気じゃないって、わかる。だって、彼の呼吸と同じくらい、私の口から漏れる息も、熱い。じりじりと体の温度が上がっていく。
「アメジストみたいに、キラキラしてる」
提督が、ゆっくりと微笑む。私を見つめる優しい瞳に、どうしようもなく胸が高鳴る。
「ありがとう。あなたの瞳も、とっても素敵よ」
ずっとこのまま、見つめていたい。けれど、もう一度、あの熱い唇に、私の唇で触れたい。二つの欲求が、私の中でせめぎ合っていた。
見えない糸で引かれ合うように。ともすれば、二つの磁石が吸いつくように。三度目のキスは、どちらからともなく、お互いの唇を重ねる。これまでで一番長いキス。絡めていた指を解いて、もう離すまいと、提督の首に腕を回す。彼もまた、軍人らしく鍛えられた腕で、私の腰を抱きしめる。
唇を重ねるだけでは終わらない。繋がった粘膜を通して、お互いの唾液が混じり合う。その度に、頭の中があなたのことで一杯になる。自分でも信じられないくらい、あなたに満たされていく。
「あなた……あなた……」
息も絶え絶えとした呼吸の間に漏れ聞こえる切ない声が、自分のものだとようやく気づいた。酸素を吸うのももどかしく、息継ぐ合間にあなたを呼び続ける。
私の呼び声に応えて、提督はさらに唇を重ねる。上唇を吸われるたび、甘い刺激がピリピリと走る。いつも以上に情熱的なキスに、私の魂まで吸われているような、そんな感覚がした。
どれほど繋がっていただろう。息が切れるほど重ねた唇が、ようやく離れる。体温と唾液が混じり、むせ返るような吐息を吐いて、新鮮な空気を肺一杯に吸い込む。そこへ、提督の匂いが、混じっている。
向き合った提督の頬が赤い。それは、酸欠のせいかしら。それとも……
その先を考えることなく、私は再び、提督の唇を奪う。きっと、上手くはないわ。キスなんて、あなたとしか知らない。今、あなたとしているようなキスは、私は知らない。どうしたらいいかなんて、知識でしか知らない。
ただ、今は無性に、あなたに触れていたい。あなたの熱を、直に感じていたい。私のどこかにある本能が、あなたを求めている。
驚く提督には構わず、唇を押し付ける。それから、恐る恐る、彼の唇に、私の舌を這わせる。半開きになった唇から、同じように蠢くものが、私に応えた。
舌先を触れさせる。唇とは全く違う感触。少し弾力が強くて、それだけで意志を持っているように動く。ゆっくり、初めての感触を馴染ませながら、舌を絡めていく。
不思議な感覚ね。重なった唇の間で、私たちの舌がまぐわう。お互いに動きはぎこちなくて、舌先がくすぐったい。
「んっ……ふふっ」
呼吸の合間に、水音交じりの笑いが漏れる。なんだか可笑しくて、つい、頬が緩んでしまった。でも、触れ合う舌先と、重なる唇だけは、離さない。
「……ふゎ」
酸素の薄くなった頭に、霞がかかる。ようやく確保した息継ぎの間に、気の抜けた声が漏れる。お菓子なんて食べていないのに、吐いた息が甘く感じたのは、気のせいかしら。
離れていく提督の唇と、私の唇が、白濁した細い糸で繋がっていた。ツーっと伸びた橋が、やがて重力で途切れる。
「パース、いつになく、情熱的だね」
息継ぎをしながら、提督はそう言った。彼の大きな手が、頬に触れる。親指が、頬に、そして唇に触れた。その指があまり暖かくないのは、私の頬が熱いからだと、今更ながらに気づく。
「お互い、様よ」
精一杯強がって笑う。酸素が足りなくて、思考は全くまとまらない。息を吸うたびに、ふわふわと不思議な熱が、体に溜まっていった。風景はどんどんぼやけていって、視界の真ん中に、提督だけが私を見つめている。
「んっ」
無意識のうちに、再びキスをしていた。啄むようなキスを繰り返す。浅い呼吸を挟みながら、提督の唇をノックする。二人の唇が交わるたびに、ちゅっと小さな水音が響いた。リズミカルに鼓膜を打つ音に、胸の辺りがくすぐられる。
「んぁ……っぅんっ」
そろそろ深く息を吸おうと開いた唇に、そんな暇さえ与えないほどの勢いで、提督の唇がぶつかった。ぬるりと差し込まれた舌が、私の舌を探り当てて絡みつく。繋がった唇の間で、お互いの唾液が混じり合う。脳を痺れさせ、蕩かす、甘やかで蠱惑的な水音が、胸の辺りを昂らせる。背中を熱い汗が伝った。
舌を絡め、唇を吸い上げる提督の手が、私の背中から動く。背筋をさするように、二度三度と往復した大きな手が、脇腹を撫でて、お腹の辺りまで移動した。ルームウェアの、一番下のボタンに、彼が手をかける。
提督が唇を離して、私に尋ねた。
「パース、脱がすよ」
最後の確認に、こくりと頷く。その拍子に、蜂蜜みたいな唾液が、喉を流れた。
首に回していた手を解放すると、提督はルームウェアのボタンを、ぷつりと外した。一番下の部分がはだけて、お腹に夜の空気が触れる。熱くなった肌が、ほんの少し、冷却された。
残るボタンはあと四つ。二つ目のボタンに手をかける提督から、私は目を逸らす。それに、彼が不思議そうに首を傾げる気配がした。
「どうした、パース?」
「……こういう時、どんな顔をしたら、いいのかしら」
誰かに寝間着を脱がしてもらうなんて、初めての体験だもの。
ぱちくりと瞬きをした提督が、破顔する。穏やかに目を細めた彼は、可笑しそうに呟く。
「やっぱり君は、可愛いね」
……そんなことを言う人には、こうよ。
一度離した提督の頭を、もう一度抱き寄せる。そのまま、私のおっぱいに、彼の顔を埋める。抵抗になっていない抵抗を試みて、もごもご言っている提督のことは一旦忘れ、ゆっくり二十秒を数えた。
解放された提督は、苦笑しながらも、もう一度「君は可愛いよ」と呟いて、頬にキスをした。
ふふっ、今のは、許してあげるわ。
ぷつり、ぷつりと、提督がボタンを外す。三つ目のボタンが外れたところで、お腹が完全にフリーになった。四つ目のボタンが外れると、おっぱいがほとんど露わになる。襟元で留まるだけの上着は、もうほとんど、肩に羽織っているのと同義だった。もう一つ、何かのきっかけで、簡単に取り払われてしまう。
襟元の、最後のボタンに、提督の手が伸びる。彼がこくりと、緊張した様子で唾を飲むのが、私にもわかった。
五つ目のボタンが、解放される。支えを失ったルームウェアは、そのままはらりと、その役目を放棄した。たった一枚の布が隠していた、私の姿が、提督の前に露わとなる。
少し引いていた体の熱が、蘇ってくる。それまでの、芯から温まる昂ぶりとは、別種のもの。肌の表面を熱くする、気恥ずかしさ。また、提督を直視できなくて、私は少し体をよじる。その拍子に、さらにルームウェアがはだけた。
「……脱がされちゃった、わね」
「……うん」
お互いに、気恥ずかしさが混じって、言葉が続かない。ボタンを外してから、一ミリも動かない提督に、私はおずおずと目を向けた。
「どう……かしら?」
なんだか、さっきから調子が狂う一方、ね。
提督の瞳に、上半身をはだけて、どこか不安そうな私が映っている。
「……すごく、綺麗だ」
短い提督の返答に、また頬が熱くなる。熟れたリンゴみたいに赤くなっているのが、見なくてもわかる。両手で顔を仰ぎたい衝動を抑えて、私は彼を見つめ続ける。
「そ、そう、かしら」
「ヴィーナスよりも、ずっと、綺麗だと、思った」
提督の一言一言が、むず痒い。限界まで加熱した頬をごまかそうと、精一杯、いつもの調子を装って、微笑む。
「あなただけを、愛する女神よ、私。だから、あなたも私を、一杯愛して」
もちろん、と提督は頷いた。
用を為さなくなったルームウェアの上着を、提督が腕から引き抜く。私の上半身を隠していたものは、今度こそなくなった。右腕から袖を抜く時、提督の唇が首筋に吸いつく。チクリとした感触が、すぐ近くの脳を痺れさせる。
「パース、ちょっといい?」
脱がした上着を枕元に畳んだ提督が、ちょいちょいと私を手招いた。露わになった胸を、これからどうされるのだろうと考えていた私は、不思議に思いながら彼へ近づく。
足を投げ出した提督が、ポンと太腿の間を叩いた。
「座っていいの?」
「うん」
招かれるまま、私は提督ににじり寄る。彼に背中を預けるようにして、太腿の間におしりを入れる。背中には、シャツ越しの、大きな提督の胸板。
「これでいい?」
見上げる位置の提督に、尋ねる。頷いた彼の腕が、私の体を包む。いわゆる、あすなろ抱きというもので、提督の暖かさが、裸の背中から直に伝わってきた。
さっきまでの、激しいキスが嘘みたいな、穏やかな体温。思わず、頬が緩んでしまう。前に回った提督の腕をさすりながら、私は彼に尋ねる。
「なあに?あなた、これがしたかっただけ?」
「なんだか、無性に君を、抱き締めたくなってね」
「ふふ、可愛い人」
提督の腕をさする私の手に、彼の手が重なる。もう一度、指を絡めて、手を繋ぐ。やっぱり、大きく優しいあなたの手は、温かい。いつも私を包んで、暖めてくれる手。
左の薬指に輝く、お揃いのシルバーリングが、愛おしい。
「一杯、愛してるよ。君だけを、愛してるよ」
熱い囁きに右耳がくすぐられる。愛してる、何度だって口にした、口にされた言葉に、体の芯が熱くなる。繋いだ手に、力を込める。
ええ、知ってるわ。だって私も、愛しているもの。
「提督、ドキドキしてる」
高鳴る鼓動が背中に聞こえていると、提督に告げる。彼はそれを素直に認めて、お返しとばかりに、私の胸元に触れた。
「パースも、ドキドキしてる」
「……ええ、そうよ。あなたといる時は、いつも、ドキドキしてる」
「うん。俺も、いつも君に、ドキドキしてる」
提督の手が動く。触れるか触れないか、鳥の羽で撫ぜるように、指先が鎖骨を、首筋をなぞる。漏れそうな声を堪えるうちに、彼の手が、いよいよ双丘に触れる。
肌寒い夜と、抑えられない興奮で、ピンと張った突起を、提督が撫ぜた。歯の隙間から、自分でも信じられないような、甘ったるい声と吐息が漏れる。
「んぅっ。……あなた、なんだか、手つきがやらしいわ」
「それは、まあ……やらしいこと、してますし」
それも、そうね。
すぐ右隣りにある提督の顔に、キスを求める。私の中で、もう一度、欲望のスイッチが入る。あなたに触れたい、触れられたい。まるで子供じみた、私の情欲。
何度目になるかわからない、キスを交わす。提督が覆いかぶさるようにして、唇を交わす。まぐわう舌が、唾液と一緒に、彼に吸い上げられる。全身から力が抜けて、瞼が震える。霞んだ視界の中で、提督と目が合う。
「ぅん……っふあ……ぅっ」
はしたなく、唇の端から涎が零れる。熱せられた鉄のような肌に、ぽたりと、どちらのものともしれない唾液が滴る。それには構わず、ただ無心で、提督の唇をむさぼる。唇を重ね、舌を絡めるたび、ぽろぽろと理性が崩れるのがわかった。
「……んはぁ……ふぅっ……はぅ」
唇と唇の隙間から呼吸をするたび、声が漏れる。言葉にならない感情が、水音に混じって零れる。自分の意志とは関係なく発している求愛の声に、私の方が興奮していく。熱を帯びる体をよじるたび、感覚が研ぎ澄まされていった。
指を絡めた提督の手を、強く握る。それに、彼も答えてくれる。どんどん力が抜けていく私は、上半身を提督の胸に預け、空いた左手で彼の腕にしがみついて、なんとか座っている。もしも今、その支えを失ったら、簡単に崩れてしまう。
だから。
「あなた、ぎゅってして。もっと、強く、抱き締めて」
「……うん、わかった」
キスの合間の懇願に、提督がすぐに応えてくれた。いつもよりほんの少し強い力で、彼が私の体を抱き寄せる。一回り大きな彼の腕の中に、私はすっぽり収まっている。彼の匂いを、温度を、感触を、それまで以上に強く、感じている。
伝わってきた熱が、私の下腹部に流れ込む。ふわふわと不思議な心地に、腿をすり合わせた。
長いキスが終わる。二人分の唾液が混ざり合い、泡立った液体が、離れていくあなたの唇と、私の唇を繋いでいる。朝露に濡れた蜘蛛の糸みたいだと、ぼんやりした視界の中で思った。
その時、何かが、私のおっぱいに触れた。彼を見上げていた視線を、今度は自分の胸元へ落とす。
「パースの胸、触るよ」
乳房に大きな手を重ねて提督が囁く。私は小さく頷いて、繋いでいた彼の左手を解放した。
二つの大きな手が、壊れ物を扱うみたいに、恐る恐る私のおっぱいを包む。
「んっ」
また、体感したことのない感覚に、身をよじる。自分で触れるのとは、全然違う。体温の差なんて、もうほとんどないはずなのに、触れられた部分が熱くなる。
いつも私を包む手が、乳房に指を沈めている。握力を強めたり、弱めたり。そこにあるものを確かめるみたいに、提督はぎこちなく手を動かす。くすぐったさが、波のように背中を走る。身をよじろうにも、私は提督の腕の中に納まっていて、彼に身をゆだねる他ない。
「んぅっ」
堪えられなかった声が漏れる。そんなに、大きな刺激ではないのに、体が反応してしまう。視線を落とした先、彼が私のおっぱいに触れているという事実が、これ以上ない快感として頭蓋を叩く。
不意に提督が、首筋に唇を押し当てた。予想もしなかった刺激に、思わず目を瞑る。その瞬間、体の感覚が研ぎ澄まされて、胸からの刺激が増幅された。肩を跳ねた私を、逃さんとするように、提督の唇がなおも首筋に吸いつく。
「んっ、やぁ……っ、くすぐった、いぃ」
提督の愛撫は止まない。おっぱいを、寄せたり、離したり、持ち上げたり、緩急をつけていじりながら、唇を首に這わせる。頭の方へ近づくほど、唇の感触も、胸への刺激も、鮮明になっていく。ぞわりとした快感が、背筋を何度も逆撫でる。
「んあっ」
顎のすぐ下で唇を離した提督が、今度は耳たぶを甘噛みする。じわじわと責められ、感覚が研ぎ澄まされた今、その刺激に抗う術がない。卑猥な水音が、鼓膜のすぐ近くでする。小さな音なのに、頭がぐわんぐわんする。だらしなく、全身の力が抜けてしまう。
「あな、たぁ……や……耳ぃ……っ」
胸を刺激されながら、執拗に耳を責められる。鼓動が早くなり、それに比例して、全身が熱くなっていく。肌の表面が敏感になる。今はもう、彼に触れられるだけで、おっぱいが跳ねる。痛いくらいに、乳首が膨れている。
「パース、耳、弱いね」
「し、知らない、わぁっ……あっ」
散々蹂躙してくれた提督が、熱い声で囁く。敏感な耳たぶには、その吐息すら、甘い刺激だ。漏れそうになった声を、唇を噛んで堪える。でも、彼にはお見通しだったみたいで、もう一度、耳たぶと首筋にキスをされた。情けなく、私は彼を誘う声を漏らす。
提督はなおも、私のおっぱいを揉んでいる。ちょっと意地悪なキスと違って、とても優しい触り方。けれど、耳たぶを甘噛みされて以来、数段増しで敏感になった私の体は、それだけでも火照ってくる。ピリピリと快楽が脳天を叩く。何をしている訳でもないのに、呼吸が荒ぶって、熱い息を繰り返し吐き出す。
提督の指が、ぴんと張った乳首を、摘まむ。そのまま、ころころと指の腹で転がされる。
「ぅんっ……は、あぁっ……!そ、それ、刺激が……っ!」
歯を食い縛って、呼吸ができない。目の奥で火花が散ったような、そんな錯覚がした。
「痛くない?」
小さな果実を転がす指を止め、提督が尋ねる。引いていく刺激と快感を、残念に思っている自分に気づいて、私は首を振った。
提督の触れ方は、いつでも優しい。だからこそ、もどかしくて、切なさが増すばかり。本当はもっと、触れてほしい。
「痛くは、ないわ」
「そうか。――なら、やめない」
今夜のあなたは、やっぱり、意地悪よ。けれどその声に、妙な期待をしてしまう。
提督の手が、再び私の乳首を弄り始める。指の間に挟み、あるいは腹で転がし、潰して、引っ張って、執拗に乳首だけを責める。
「んっ、ふぁわ、やっ」
堪えて噛み締めた唇の隙間から、嬌声が漏れてしまう。どうしたらいいのかわからなくて、でも提督の触れる部分が熱くて気持ちよくて、意志とは関係なく、甘い息が漏れる。
「乳首、気持ちいいの?」
「わか、らない、わっ。でもっ……でもっ、あなたが、触るっ、んぅっ、とこっ」
押し寄せる快楽に、言葉が継げない。もう、気持ちいいとか、そんなのわからない。ただ、眼球の奥でちらつく星に、我を忘れそうになる。食い縛っていた唇が、だらしなく開く。私のものとは思えない甘い声が、いくつも漏れる。
でも、それだけじゃ、足りないわ。
「乳首、だけっ、やあぁ……っ」
「胸も?それとも、他のところ?」
あなたになら、全部、触れてほしい。でも、それを口にするのは、なけなしの理性が拒む。どこを触れられてもいいなんて、さすがに恥ずかしくて、言えないわ。
それを知ってか知らずか、提督の手の動きが変わる。乳首だけでなく、おっぱい全体を、包み込むように揉みしだく。乳房に指を沈め、お正月のお餅でも捏ねるみたいにしたかと思えば、指先でほんの一瞬ふくらみを弾く。刺激の緩急に、背骨が反って腰が浮いた。
つねった乳首を提督が引っ張る。くりくりと、指先が敏感な突起を弄ぶ。断続的な快感に抗おうとしても、体が言うことを聞かない。得も言われぬ刺激に、頭の中が桃色に塗り替えられていった。
「これで、どう?」
提督の口から漏れる熱風が、さらに耳の温度と感度を高める。卑猥な言葉を囁かれたわけでもないのに、彼の言葉というだけで、脳が痺れてしまう。快楽への耐性が、落ちていく。
いいえ。そもそも、私はもっと、提督に触れてほしかった。
「ぁあっ、んぅっ、おっぱい、気持ち、いぃわ」
「キスと、どっちがいい?」
「き、キスも、してっ」
提督の薄い唇が、また私に触れる。でも、直接唇に重なることはない。頬へ、耳たぶへ、首筋へ、彼は丁寧に吸いつき、新しい快感を私へ植え付ける。肌がちくりとするぐらい、小さな違和感。けれど、彼の唇が触れるたび、その感触は鮮明になっていく。唇の形すら、浮かび上がってくるように。
初めて体験する悦楽の波に、私はただ、揺られるばかりだった。
「んぁ……っ、ふぅっ」
どれほど、提督に弄られていただろうか。彼の手がおっぱいから離れた瞬間、残っていた力まで、全身から抜ける。支えを失って倒れそうになる私を、提督が抱きとめる。大きな胸板に体重を預けて、荒くなった呼吸を整え、提督を見上げた。
優しく笑いかけた提督。でも、赤い顔も、浅い呼吸も、怪しい眼光も、彼もまたあまり余裕がないことを物語っていた。
「もう……あなたの、意地悪」
「ごめん。パースが可愛いから、つい」
「ご機嫌、取ってくれないと、拗ねちゃいそう」
甘えた私の唇に、提督がキスをする。十秒ほど、お互いの存在を交換する、口づけ。離れていく彼の熱を、名残惜しく追い駆けた。
「もう少し。ね?」
「……あんまり可愛いこと言うと、ずっと塞ぎたくなっちゃうよ」
苦笑して、でも提督は拒まず、唇を重ねる。息が切れそうな私に合わせてか、とても穏やかなキス。唇を合わせて、呼吸と、鼓動を揃えていく。でも、それをほんの少し、物足りないと感じてしまった私は、きっと、随分欲張りになっていた。
どちらからともなく、唇を離す。私を覗き込む、星空みたいな瞳に、私は尋ねた。
「あなた、おっぱいが、好きなの?」
「……そう、だね。パースのおっぱい、すごく、好きだ」
「……おっぱい、だけ?」
「パースのことなら、全部好き」
どこか恥ずかしそうに答えるあなたに、私は頬を綻ばせる。
ふふ、知ってたわ。自分で言わせたようなものなのに、そしてどうしようもなく理解していることなのに、やっぱり改めて口にされると、嬉しくて仕方がない。あんまりにも幸せで、薄く開いた唇の間から、感情が笑い声になって漏れてしまった。
だからこそ、と言うべきなのか。それなのに、と言うべきなのか。私はそれ以上を求めている。
「ねえ、あなた。……そろそろ」
あなたに散々植え付けられた熱は、体を巡り巡って、私の下腹部へ集まっている。すり合わせる腿の間に、私の知らない熱が宿っている。そして、それを収めてくれるのが、あなただけだと、今の私は知っている。
あなたの愛に、もっと深く、触れてみたい。散々かき乱された思考の中で、それだけははっきりと、私の中に残っていた。
この感情はきっと、私だけのものでは、ないはずよ。
「うん。俺も、そろそろ、パースに挿れたい」
穏やかな情熱を囁いて、提督はもう一度、私を抱き締める。その拍子に、誇張して硬くなったものが、私の背中に触れた。私と同じ、彼もきっと、限界だった。
「あなたの愛で、私を染めて」
乱れた呼吸の合間に紡いだ言葉に、提督は小さなキスで応えてくれた。
◇
お互いに、産まれたままの姿になった提督と私は、最初と同じように、ベッドの上で向かい合っていた。
なんと言葉をかけたものか、わからない。妙な緊張を感じて、所在無げに腿をすり合わせ、身をよじる。同じように、提督も気恥ずかしそうに頬を掻いた。
意を決したように、提督が私へ手を伸ばす。大きな手が、そっと、私の頬へ触れた。暖かい手のひらに、きっと林檎より赤い頬を押し付けてから、私は彼を見つめ返した。私を真っ直ぐに見つめる、深い群青の瞳に、吸い込まれそうになった。
提督は無言のまま、私の頬を撫でる。関節の太い指は、頬に留まらず、目尻を、耳たぶを、顎の下を撫でる。柔らかすぎるタッチが、くすぐったい。跳ねそうになる肩を堪えながら、私はただじっと、彼を見つめ続ける。
この先を、あなたがどうするつもりなのか、私にはわからない。
わかるのは、誇張したあなたの分身が、顔を真っ赤にして、その存在を主張していること。
ごくり、唾を飲む。
あ……あれが、私の中に、
「パース?」
提督に呼ばれて、はっと我に返る。惚けていた私は、再度彼の目に焦点を合わせた。春の熱に染まる瞳が、静かに私を見つめている。どうしたのと、穏やかな視線が問いかける。
「大丈夫?」
多分、色んな意味が含まれた、大丈夫、だった。むしろ、提督の方が不安なんじゃないかって、そう思うような響き。私は頷いて、答える。
「ええ、大丈夫よ。ただ、その……この、おちんちんが、私の中に挿入るのね」
改めて言葉にして、現実を噛み締める。大丈夫、だけど、緊張はするもの。それを、この人に隠しても、仕方がない。
私の言葉をどう取ったのか、二、三と瞬きをした提督は、難しい顔で拳を口元に当てた。何とも言えない表情の意味が分からず、私は首を傾げる。
「どうしたの?」
「いや――」
躊躇うような間の後、やっぱり難しい顔のまま、提督が答える。
「パースの口から、おちんちん、なんて単語が飛び出すから」
「何か、変だった?」
「いや……なんていうか……えっちだな、って」
真面目な顔で、そんなことを言う、提督。言葉と表情のギャップに、腹筋が震えてしまう。それこそ、今更でしょう。
提督の顔に、手を伸ばす。私の両の手で、彼の頬を挟む。お茶請けで出たお饅頭みたいな感触の、提督の頬。潰れた表情に、問いかける。
「私が、おちんちん、って言ったら……興奮しちゃう?」
真っ赤な顔の提督が、ごくりと、無言で唾を飲んで、頷いた。今まで目にしたことのないような、切羽詰まった表情。堪えきれないものを、必死に堪えている様子。それに、形容しがたいエクスタシーと、隠しがたいほどの愛おしさが、胸の内に満ちていく。
提督の陰部に目を向ける。そこへそそり立つペニスは、見れば見るほど、不思議な形をしていた。赤黒く、グロテスクでさえある見た目。その表面に、太い血管が浮き出ていた。肉茎は時折ピクピクと震えて、先端から半透明の液体を零している。
「触っても、いいかしら」
「いい、けど」
さっきとは逆に、今度は私が提督の許可を得て、彼のおちんちんへ手を伸ばす。まるで、それだけで独立した生き物みたいな陰茎に、恐る恐る触れてみる。どうすればいいかなんてわからなくて、まずは試しに、とろとろの先端を指でつついた。
「っ!」
声にならない掠れた音が、提督の口から漏れる。触れた途端、ペニスは私の手から逃れるように、跳ね飛んだ。一瞬の出来事に、反射的に手を引っ込める。ばねでもついてるみたいに、肉棒が小刻みに揺れる。
ちらり。提督の顔を、窺う。期待と羞恥の混じった瞳と、視線がぶつかる。もっと触れてほしいと、彼の目が語っていた。
再度、ペニスへ手を伸ばす。今度は、そそり立つ肉棒の、裏にある太い筋に、爪の先で触れる。ひっかくよりはやや弱いタッチで、筋をなぞる。さっきと同じように、ペニスが跳ねた。今度は、提督の腰も一緒に。
「敏感、なのね」
率直な感想を、提督へ漏らす。彼は複雑な表情のまま、頷いた。おっぱいを弄られていた私と同じで、彼も反応してしまう体が、恥ずかしいのかしら。
「パースに触れられてると思うと、なおさら敏感になってる」
「そう、なの?」
「自分以外に触られるのって、初めてだから」
「……それも、そうね」
その気持ちは、よくわかる。私だって、あなたに触られた乳首が、いまだにふわふわと不思議な感覚がする。くすぐったさを通り越した、頭が痺れるほどの快感を、まだ体が憶えている。
窺った提督の顔が、真っ赤になって恥ずかしがっている。それが可愛くて、思わず、頬が緩んだ。
提督の右隣に位置を変えて、みたび、彼の陰部へ手を伸ばす。さらに誇張して、存在を主張する、陰茎。今度はそれに、触れるだけに留めず、私の手のひらで包み込む。途端、焼けるように熱い彼のペニスが、私の手の中で暴れた。それを、優しく宥める。
「く……うっ」
提督の口から、呻きが漏れる。苦しそうな声は、どこか艶っぽく、私の中の本能をくすぐる。
「痛くは、ない?」
質問に、明瞭な返事は、しばらくなかった。何かを堪えるように歯を食い縛る提督は、ゆっくり頷いた後、ようやく答える。
「パースの手、細くて、柔らかい。――すごく、気持ちいい」
恥ずかしそうに告白する口には少し背丈が足りず、代わりに私は、提督の首に唇を押し当て、吸い上げる。不意を突けたのか、吐息のような甘い喘ぎが、彼の口から漏れた。
そのまま、右手をゆっくりと動かす。提督の肉棒の形を確かめながら、一秒で一往復、竿を扱く。
行ったり来たり、私の手が動くたびに、ぴくりぴくりと、ペニスが震える。往復を繰り返すたび、その震えが大きくなった。それに合わせて、肉茎の温度が上がっているような、そんな気がした。
「こうしたら、どうかしら?」
右手の律動を続けつつ、提督に尋ねる。ビクビクと素直に反応するペニスに合わせて、腰を震わせる彼は、火花を散らす瞳で、快感を訴えていた。
「パース、これは、ダメだ……っ!ダメに、なっちゃう」
「あら、何がダメなの?」
わざと焦らして尋ね、彼の乳首に吸いつく。「おふっ」とへんてこな声を、提督は漏らす。
「ダメだ、よっ。気持ちよすぎて、何も、考えられない」
「いいのよ、別に。――私だけを見て?私のことだけを考えて?」
カチリと、引き金を引いたような、そんな音がした気がした。
提督の腕が、グイッと力任せに、私の腰を引き寄せた。迫る彼の顔に、唇だけを差し出して、目を閉じる。次の瞬間、彼の唇が、私の唇にぶつかった。そのまま、流れるように舌が差し込まれる。焼けた鉄のように熱い彼の舌から、唾液と熱を受け取る。提督の感情が、私の中へ直接流れ込んでくる。
お互いに、火はとっくについていた。
「はふ……ぷはぁ、んっ、ふぅ……っ」
呼吸の隙間が見つからない。接着剤か何かでくっついたのか、私たちの唇は離れない。無理にこじ開けた隙間から、ほんの一瞬息を継ぐ。その拍子に、混じり合った唾液が、つっと私の腿へ落ちた。
「んんっ、ふわ……あ……ぁんっ」
唇を、舌を、口内を蹂躙される私は、酸素が薄くなるのを感じながらも、提督のペニスからは手を離さなかった。ストロークの速度を、徐々に上げていく。彼の腰が震えているのが、触れ合う肌伝いにわかった。
それのおかえしなのか、私を抱き寄せた右手が、脇腹をくすぐりながら上がって来て、おっぱいを掴んだ。彼の暖かい手が、粘土でも捏ねるみたいに、大きな動きで私の胸を揉みしだく。指先が繊細に動いて、おちんちんみたいに起った私の乳首を転がす。甘い痺れが再来して、それに抗うように、ストロークを加速した。
ふいに、ふわりと、私の体が重力に逆らった。体が浮いたと思った次の瞬間、乾いた音とともに、ベッドに寝転んでいた。提督に押し倒されたのだという認識が、後からゆっくりとやってくる。
重なっていた唇が離れた。それと一緒に、私も提督のおちんちんから手を離す。代わりに、指先で彼の胸板をつついた。
覆いかぶさる彼の影が、私の上に落ちている。夜の中で、彼の瞳だけが、灯台みたいに爛々と輝いていた。
その光に、手を伸ばす。指先に、熱く湿った彼の吐息が、何度もかかった。
「提督、
「もう、我慢できないよ」
「ふふ、素直なのね。――私も、おちんちん、欲しいわ」
体の芯の熱は、もう、収まりようのないところまで来ていた。彼に触れられるたび、唇を重ねるたび、彼に触れるたび、熱は下腹部に溜まっていった。私の中で膨らむ女の部分が、目の前の
首筋に、くすぐったいキスをされる。胸を撫ぜた提督の手が、みぞおちを、おへそをなぞり、下腹部へと伸びていく。
誰にも――私ですらほとんど触れたことのない、私の秘所へ、初めて、彼の手が触れる。下腹部の辺りを丁寧に撫でて暖めて、提督の大きな手が、腿の間へと差し込まれる。
提督の指が、何かに触れた。一瞬で背骨を走り抜け、脳髄を叩いた刺激は、私の全く知らないものだった。乳首を触られるのとは、また違う快感。体の真ん中を貫かれるような、そんな感覚に、腰が震える。
快感のやって来たところのすぐ側へ、提督が指を押し付ける。彼の指が、粘っこい水音を響かせて、私の中へ掻き分け入ってくる。膣の――おまんこの入り口に、もう彼の指が、進入している。
「パース、すごく濡れてる」
「んっ……誰かさんが、いっぱいキス、するからよ」
余裕のない表情で笑って、提督が啄むようなキスをする。それに合わせて、くちゅりと、彼の指が膣の入り口を撫ぜた。電気でも流れたみたいに、体が仰け反る。その拍子に、情欲剥き出しのおっぱいが、ぶるりと震えた。
「敏感だね」
「わ、私だって、誰かに触られるのは、初めてだもの」
「……それも、そうだね」
もう一度、短くキスをした提督が、体の位置取りを変える。
「足、開くよ」
頷くと、提督は体を起こして、私の足を開いた。腿の合間に、彼の体が収まる。
いまさら、顔から火が出るのではというほど、恥ずかしくなる。私の秘部が、提督の前に、晒されている。自分でもわかるくらい、きっと、はしたなく濡れている。あなたを求めて止まず、愛液を零している。
寝転ぶ私から、おまんこの様子は、見えていない。
わかったのは、私の女性器の、その入り口に、弾力のあるものが触れたこと。くちゅりと、提督のおちんちんの先端と、私のおまんこの割れ目が、こすれた。彼の先走りと、私の愛液が、混じり合う。淫靡な光景を想像してしまい、ごくりと、唾を飲んだ。
ペニスを秘所へ当てがったまま、前屈みになった提督が、再度私に覆いかぶさる。その顔に手を伸ばそうとして、指先が震えていることに気づいた。
「っ!」
自分で自分に驚いてしまった。体の準備は万全だ。膣も、その奥の子宮も、彼を迎え入れようとしている。体中の火照りが、そして一段と高い下腹部の熱が、何よりの証拠だ。私自身、提督と繋がりたいと、望んでいる。
なのに、どうして、私は震えているの。
慌てて引っ込めようとした手を見逃してくれるほど、私の愛しい人は、鈍感な男ではなかった。
提督の手が、私の手を掴む。とても丁寧に、慈しむように、私の手を包む。
「パース、震えてる」
「……気のせいよ」
ごまかすには、少し――どころではなく、無理があった。
「無理は、しないでも」
「……無理なんて、してないわ。本当よ」
ええ、本当よ。無理なんてしてない。あなたと体を重ねたい、その熱をもっと深く感じたい、それは私の望んでいることだもの。愛している人と、そういうことをしたいって、そう思うのは、普通のことでしょう。
手を、もう一度、あなたへ伸ばす。心配そうにこちらを見つめる、私の王子様。私を見つけてくれて、私が見つけた、運命の人。愛しいあなた。
あなたが包んでくれた手は、今は震えが、止まっている。
「ねえ、私、とっても素直よ。愛してるあなたには、本当のことしか、言わないわ。――だから、大丈夫よ。たとえ震えていても、無理はしていないわ。私が震えるのは、あなたの愛が、嬉しくて仕方がない時だもの」
あなたの頬に触れる。暖かい頬に触れる。私が真っ赤に染めている頬を、私の手で優しく撫でる。
じっと見つめていた提督が、根負けした様子で、微笑んだ。
「君は――時々、可愛い嘘を吐くよ」
「あら、なんのことかしら」
とぼけてみせると、提督は今度こそ、頷いた。私の手を包む握力が、ほんの少し強くなる。
私の体に、再び提督が覆いかぶさる。二人の指を絡めて、手を繋ぐ。もう離さないよと強く握る彼に、もう離さないでと私は応えた。
誇張したおちんちんが、私の秘所に押し当てられる。鈴口の先端が、ぐりぐりとヴィーナスの丘を刺激する。毛の生えていない私の恥丘は、男根の感触を直に感じ取っていた。なだらかな恥部の中央、まだ誰も受け入れたことのない陰裂は、ぴたりと張り付いたまま、提督を押し退けていた。
その割れ目に、提督のペニスが、ゆっくりと分け入ろうとしていた。
ゆっくり、探りながら。私の顔を見つめながら、提督は腰を進めようとしている。そんな彼を、私は呼んだ。
「ねえ、あなた、キスをして?」
「――喜んで」
何度目になるかわからない、キス。数えるのなんて馬鹿らしいくらい、彼と唇を重ねた。今度のキスは、今夜で一番、優しかった。
胸の辺りに、じわりと愛しさが広がる。暖かな気持ちであなたを包みたくなる。そう感じた時、ぴたりと閉じていたおまんこが、ゆっくりと開くのを感じた。私の体が、提督のものを、その内へ引き込もうとしている。
驚いたように、提督の息が一瞬乱れた。ちゅぷりと音がして、彼の亀頭が、私の中へ入ってきた。陰唇を掻き分け、女の子の場所へと、ペニスが入ってくる。
未知の感触に、息が詰まる。私ではない、大きな存在が、私の中へ入ってくる。違和感は感じるけれど……嫌な気分は、しなかった。
「先端、入ったよ」
唇を離して、提督がそう告げた。これでまだ、先端だけなのか。彼のものが、まだまだ、私の中へ入ってくるというのか。もっと深いところまで、届いてしまうのか。
恐怖と期待でいえば、期待が、勝っていたかもしれない。何より、もっと奥で、私の中心で、あなたを感じられるのなら。それは、どれほどの喜びだろうと、唾を飲む。嚥下した唾に、微かに提督の香りがした。
「は、早くっ。もっと、奥まで、ちょうだい」
「わかった。いく、よ」
提督が再び、唇を押し当てた。彼の香りと感触を感じながらも、意識は初めて繋がった部分へ向いていた。
ぐっと、提督がさらに、腰を進める。先端が膣壁を押し退けて、分け入っていく。少しずつ、先端だけでなく、竿の部分まで入ってきた。
膣壁が亀頭と擦れるたび、眠っていた感覚が目覚めるような気がした。何も知らないはずなのに、触れたことなどないのに、彼のペニスとに貫かれた場所が、ジンと甘やかな刺激を伝えてくる。そこに入ってきたものの熱を、感じてしまう。
長い長い時間をかけて、ゆっくり、ゆっくり、私の中に提督が入ってくる。私の膣が、初めての異物を受け入れるまで、提督は唇を重ねてくれた。下半身の違和感も、唇から伝わる彼の熱と優しさが、緩和してくれる。
どれほど、そうしていたんだろう。最後に強く上唇を吸った提督の唇が離れていったその時、ようやく、彼のものが最後まで私の中に入ったのだとわかった。
「ぷは……んっ、全部、入った、の?」
「っ、うん、入った」
真っ赤な顔で、彼が答える。彼の瞳の中で、私も同じように頬を染めている。
「痛く、ない?」
提督が、私のお腹をさすりながら、尋ねた。もう、心配しすぎ、よ。
「ええ、痛くは、ないわ」
違和感はまだあるけれど、痛みはない。おまんこが、ゆっくりと、おちんちんへ馴染もうとしている。お腹を潰されているような感覚も、そのうち薄らいでいくと思う。
それよりも、今は。
「ふふっ」
零れてしまった笑みに、提督が首を傾げる。息を整えながら、私を見降ろす彼に、手を伸ばす。真っ赤な頬を、指先でツンツンとつつく。されるがままの提督に、またも愛しさが零れた。
「今、私の中に、あなたがいるのね」
お腹をさする提督の手に、私の手を重ねた。大きな手に触れると、敏感な指先を通して、彼のどくどくという血流を感じる。彼の体を、熱い血潮が、流れている。
「んっ、ふふ、どこまで、入ったのかしら」
「どう、だろう。この辺かな」
提督の指が、軽く、私のおへその下あたりを押した。結構奥まで入っているのねと、そう思った時、キュンと胸が高鳴って、膣が収縮するのがわかった。その拍子に、それまでよりはっきりと、提督の形がわかる。
「パースっ、急に、締めないで」
驚いた様子で、提督がそう言った。
「ごめんなさい、痛かったかしら?」
「いや、そうじゃ、なくて。パースの
玉のような汗を浮かべて答えた、提督。必死そのものの表情に、私はただ、ぱちくりと目を瞬く。
「きゅってされると、気持ちいいの?」
「ああ。何もわからなくなるくらい、気持ちいい」
酔っ払ったみたいに、顔一面を赤くして、提督が訴える。震える声に、またキュンと、胸が弾む。そして同じように、膣が蠢いて、彼のペニスに吸いつく。提督の、奥歯を噛み締める軋み音が、聞こえた気がした。
……なんとなく、理解できてしまった。この胸の高鳴りも、いつものものとは違う。
私を見つめる、提督。盛りのついたその本能を、私は吸い出そうとしているんだ。
「ねえ、あなた。……あなただけ気持ちいいなんて、ずるいわ」
努めてゆっくりと、蠱惑的に、そして意地悪に、提督を誘う。二人が繋がっただけで、満足ではないでしょう。
見つめる提督の瞳に、情欲の炎が燃え上がる。彼の瞳にはもう、私しか、映っていない。
「動くよ」
短い言葉に頷く。それが、お互いに、最後のトリガーだった。
「んんっ」
ずっぽりと膣の奥まで入っていたペニスを、提督がゆっくりと引き抜いていく。奥へ奥へと誘ってきたわたしの膣壁に逆らって、太いものが入口へと戻っていく。分け入られ、開かれた空間に、ぽっかりと切なさが残った。
抜かないで。もう一度、奥まで入れて。桃色の思考が、視界までも覆っていく。
「いく……よっ」
抜けるか抜けないかのところまで退がったペニスを、提督が再び私の中へ挿し入れる。一度彼に貫かれたおまんこは、今度は大きな抵抗もなく、彼を受け入れる。
「~~~っっ!!」
亀頭の先端が、一番深いところを抉る。噛み締めた奥歯の間から、甘ったるい嬌声が漏れた。頭が痺れて、なけなしの理性が霧散していく。
そこからはもう、無我夢中だった。
「あなたっ、あなたっ」
連呼する私の声に、意味なんて全くなかった。その声に応えるように、提督のストロークは、一回一回、早くなっていく。奥に鈴口が触れるたび、彼のものを、すんなり受け入れるようになった自分に気づく。膣はぴたりと密着して、ペニスの形を憶えているのに、二人の間の摩擦は減る一方だった。
ちゅぷ、ちゅぷ、敏感になった視界に、卑猥な音が響く。私の股から聞こえるそれが、カリ首に掻き出され、肌に擦られて泡立った、自分の愛液だと気づいた。提督が腰を引くたびに、後から後から、透明な液が陰裂より飛び散る。
これだけ愛液が出ているなら、摩擦もなくなるわね。そんな、妙に冷静な納得を、している自分がいた。
「パース、ごめん、止まらないっ。気持ちよすぎるっ」
提督の声が、空っぽになりつつある脳内に、響く。あなたの乱れた呼吸だけが、頭の中に反響している。
頭の中が、あなただけに、染まっている。
「んっ、ふうっ、ぁんっ……あっ、あな、たっ、キス、キスッ」
回らない舌で、意味をなさない言葉を紡ぐ。提督は、すぐに応えてくれた。私の腰を掴んでいた手が、頭の下と背中へ差し込まれる。グイと、提督は覆いかぶさるように、私を引きつけながら唇を重ねた。そんな彼を、私も背中に手を回し、抱き締める。
「ぅんっ、あっ……ぷぁ、ふっ、うぁ……っ」
「はっ……ん……く……ぁっ」
律動に、元々息が乱れている。自然と、キスの間の息継ぎも短くなって、お互いに、くぐもった声が漏れた。どちらの声も、中毒性の強い、麻薬みたいに、痺れるような快感を残す。もっとその声が聞きたくて、飽きずに唇を重ね、唾液を交換する。
キスをしている間も、提督の律動は止まらない。ゆっくりと馴染ませるストロークは、もう本能に支配されたものへ、様変わりしている。いつもの余裕なんて、どこかへ吹き飛んでしまったように、今は一生懸命、私を抱き締めて、唇を重ねて、腰を打ち付ける。
私の方も、とても余裕があるとは言えない。ペニスが奥を叩くたび、圧迫されたお腹から、息が漏れる。少しずつ、膣へ異物が入っている状態に馴染んできて、違和感は快感に変わっていた。愛液で濡れそぼった膣壁と、カチカチに誇張した肉棒が擦れるたび、甘い刺激に身を悶える。
「ん、やぁ、んんっ……奥、擦れてっ」
「奥が、いいの?」
「いい、わっ……奥っ……んぁっ」
ずんと、提督がペニスを奥へ押し込む。そのまま、膣壁にぐりぐりと亀頭の先を押し付けてくる。熱せられた鉄心みたいな陰茎を、逃すまいと膣が吸いつく。少しずつ、彼との境界線が、溶けていった。
「奥っ、ぐりぐり、気持ち、いぃ……っ」
押し潰すようなピストン運動に、ふわふわと腰が浮く。微弱な電流が流れたみたいに、腰の感覚がなくなっていく。一方で、おまんこの感覚だけは、一突きごとに、敏感になっていく。彼のおちんちんに馴染むたび、その形を覚えるたび、鋭敏になっていく。
「おちんちんの、形、憶えちゃう」
提督の耳たぶへ息を吹きかけ、囁く。ぞわり、抱き締めた彼の背中が、震えたのがわかった。汗ばんだ鳥肌を撫ぜると、苦悶とも、期待とも、抗議ともつかない、うめき声が漏れる。
「パース、煽りすぎっ」
そう言って、提督は私の唇を塞いだ。それ以上の言葉を封じられた私は、舌を絡め、唇を吸って、彼に応える。吐息と唾液が混ざり合い、淫靡な音を奏でる。
音といえば、私と提督の繋がった部分から響く音も、音色を変えている。びしょびしょに濡れたお互いの肌が上げる音は、もう水音では済まされない。じゅぽ、じゅぽと、聞いたことのないような音が、ピストンに合わせて鼓膜をくすぐる。私の股のところは、いったい今、どうなっているんだろう。
まぐわう唇と、交わる性器で、お互いの熱が行き来する。あなたの熱情が、ひっきりなしに流れ込む。体はこれ以上ないほど火照っていて、それなのに、触れられた頬が、抱き締められた背中が、熱い気がする。潰されたおっぱい越しに、あなたのリズムを感じた。
「っ……ぷふぁっ、はぁっ……や、ん」
息継ぎのために離れた唇から、だらしない声が漏れた。霞んだ視界の中に、提督を捉える。真っ直ぐに私を見つめる瞳を、見つめ返す。
キュンと、胸の辺りをくすぐられ、膣を締め付ける。提督がまた、ガチガチと奥歯を震わせた。
苦悶の表情をごまかすように、提督が唇を押し当てる。そこで、彼は一度、ピストン運動を止めた。たっぷり二十秒ほどの時間をかけて、私の熱を吸い取っていく。
「ふゎぁ……どう、したの?」
「……パース、煽るの、うますぎ。本当に、もう、
呼吸を荒げた提督が、抗議するように、首筋へ吸いつく。何度も何度も唇を押し当てる彼が、なんだか子供みたいで、可愛くて、気づけば頭を撫でていた。
「あなた、なんだか必死で、可愛かったわ」
「……君の方が、よっぽど意地悪だよ、パース」
「そんなこと、ないわよ?」
苦笑する提督に、軽く唇を合わせる。繋がったままの性器は、まだ熱い。提督のペニスはいきり立ったままで、私の膣も彼を受け入れたまま。お互いに、まだ果ててはいなかった。
提督の首に、腕を回す。グイッと、少し強引に、引っ張る。私の胸で、彼の体重を、受け止める。
「ねえ、最後まで、シて。私の中で、
精一杯、懇願する。ここまできたんだもの。ちゃんと、最後まで、あなたとシたい。最後まで、あなたのことを、感じていたい。
「――やめる気なんて、ないよ」
答えた提督が、優しく微笑む。その表情に、自然と頬が綻んだ。ついでのように、心臓の鼓動が弾んで、ヴァギナが彼のペニスを包む。私の
律動が再開される。私の体に、彼の存在を刻み付けるように、ゆっくりとした動き。解れてきたおまんこが、提督の形を記憶していく。亀頭のふくらみも、カリ首の突起も、竿の逞しさも、鮮明になっていく。私の体が、愛しい人のものに、なっていく。
腰を引いた提督が、亀頭で膣の入り口を捏ねる。そこに、特に敏感な場所があることに、少し前から気づいていた。強く圧迫され、引っかかれると、悦楽に膣内が痙攣する。ビリビリと高圧電流が流れたように、体が震えて、自由が利かない。この身を侵食する快感に抗おうと背を丸めても、目の奥がチカチカして、抗い切れない。
これ、はっ、確かに、ダメになる……っ。
「や、ぁあっ、意地悪、しないでっ」
ノイズの混じる思考で、訴える。擦れるたび、くちゅくちゅと淫猥な音を立てる陰裂を、しかし提督は責め立てるのをやめない。膣の浅いところを、執拗に圧迫して、それからゆっくり挿入し、奥をノックする。けれどすぐに、ペニスはまた浅いところへ戻ってしまう。
「浅いところも、奥も感じるなんて、パースはえっちだね」
「んぁっ、や、いわ、ないでっ。違う、からぁ……あっ」
耳元で責める言葉を発した提督の口が、無防備になっていたおっぱいに吸いつく。胸元にキスをして、そこから円を描くように、乳房に小さなキスを繰り返す。痕ができるくらい強く吸われて、かと思えば触れるだけの軽いキスも。緩急に脳の処理が追い付かなくて、もう、声すら我慢できない。だらしなく開ききった口から、いくつもいくつも、吐息みたいな喘ぎが零れ落ちる。
「んっっ」
渦を描いた提督の唇が、最後に、乳首に触れた。度重なる刺激と、胸の高鳴りに比例して、固く立ったピンクの突起が、薄い唇の中へ飲み込まれる。熱く湿った空気だけで、おっぱいが跳ねるには十分すぎる衝撃だった。
「んやぁっ、あんっ……ふぅっ……ふ、んんっ」
口に含んだ乳首を、吸い上げ、唇で押し潰し、甘噛みして、舌で弄ぶ。一つ一つの刺激が、今の私には劇薬に等しい。相変わらず浅いところを責められるおまんこと合わせて、耐えがたい快楽が、頭を蕩かしていく。
もう、まともな思考なんて、残ってない。脳裏に浮かぶのは、霞んだ視界の先に見つめる、あなたのことだけだった。
「おねがい……もっと、突いてっ。一緒に、気持ちよく、なりましょう?」
快楽の水底へ、提督を誘う。ダメになったって、いいわ。あなたと繋がっていられるなら。この甘く蕩ける時間を、あなたと共有できるなら。それ以上の願いなんて、幸せなんて、ないわ。
無言の提督が、貪るように唇を重ねた。情欲の塊に、私も愛欲をもって答える。お互いの興奮が、お互いの劣情を、これ以上ないほど煽る。重ねた唇から、繋がった秘所から、溢れる程の熱が伝わってくる。それだけじゃない、迸る水の音も、打ち付ける肌の音も、こすれるシーツの音も、軋むベッドの音も、鼓膜を叩くもの全てが、欲動を暴発させるには十分だった。
「パース、パース……っ」
「あなた、あなたっ」
キスの合間に、お互いを呼び合う。近づき、焦点の合わない、提督の顔。真っ赤に染まる表情に、星空の瞳が輝く。なんて綺麗なんだろうと、ぼんやりと考えて、また唇を求めた。
視覚の情報は、もうほとんど、頭に入ってこない。目を閉じているのか、涙か汗で霞んでいるのか、それすら曖昧だ。ただ、その分研ぎ澄まされた、触覚と聴覚で、愛しい人を感じている。あなたの愛に溺れていく。
浅いところを責めていた提督の律動は、徐々に、深い場所へと重点を移していった。Gスポットを捏ねまわしていた亀頭が、今は膣奥の肉壁を抉って、圧迫する。奥へ奥へ、彼のものが、そうやって私を求めているのがわかる。
本能に近い無意識なのか、それはよくわからない。けれど、提督が私の子宮へ至ろうとするのは、嫌と言うほど感じる。私の唇を吸い上げ、ぐいぐいと肉棒で攻め立てる彼が、その子種を、私の赤ちゃんの部屋へ、注ぎたがっている。
キュンと、またも胸が鳴る。瞬間的に収縮した膣が、律動する提督のおちんちんを扱く。でも、今度はまた別の、感触がした。
「んっ、ふっ……な、なに……っ?」
ピストン運動を繰り返す亀頭が触れたのは、明らかにそれまでの膣壁ではない場所だった。
最初は、提督がペニスの動かし方を、変えたのかと思った。でも、それは少し違うみたい。亀頭は同じ場所に触れているのに、触れているものが、違う。
これ、もしかして……
「んっ……子宮、降りて……っ」
下腹部に触れる。暖められた子宮が、精子を求めて、降りてきたのだ。熱い子宮の入り口が、鈴口に触れている。そこから溢れる熱いものを吸い出そうと、膣壁と一緒にペニスを包み込もうとする。
びくり。私の膣内で、提督のペニスが震えた。心なしか、その存在が、大きくなった気がした。
ぐりっと、亀頭が子宮口を押し潰した。キスの合間に、変な息を漏らした私へ、呼吸を乱す提督が尋ねる。
「パース、これ……」
隠しても仕方がない。もう、彼も気づいている。私は隠さず、答えた。
「ん、ふふ……あなたの赤ちゃん、欲しくなっちゃったみたい」
きらり。提督の目が怪しく煌めいた。彼が何かしらの覚悟を決めたのだと、私にはわかった。
提督の律動が、一層の熱を帯びる。もう、包み隠すことなく、肉棒は膣の最奥を、降りてきた子宮口を叩く。霞む彼の瞳に、ハートの模様が、見えた気がした。
提督の動きに、自然と私の体も応えていく。もうかなりペニスに慣れた膣壁は、律動に合わせて彼の陰茎を扱いている。彼が打ち据える子宮へ、精液を注いでほしいと、求めている。
「ああっ、やぁ……んっ、はぅ……ぷぁ……っ」
もう、言葉を発する余裕はない。ふわふわとした快楽に身をゆだねる私は、彼の唇を吸い上げ、その首に腕でしがみついて、辛うじて自我を保っている。発火しそうなほど火照った体は、
一突き一突き、子宮口と鈴口がキスをするたび、甘酸っぱい感情が広がる。抱き締めるあなたしか、私の世界にはいない。それ以外のものは、目にも、耳にも、入ってこない。触れ合う肌と、混じり合う熱だけが、私の現実になっていく。
あなたの愛に、包まれていく。
私の愛で、包んでいく。
「パース、もう、限界……っ。このまま、
キスの合間に、限界が近いことを告げた提督へ、私は何度も頷く。舌を絡める余裕すらなく、ただぎこちないキスを続け、その時が来るのを待った。
提督の腰の動きが、これまでで一番、激しくなる。亀頭が遠慮会釈なく、肉壁を抉る。カリ首に引っかかる膣が、そのまま抜けてしまうんじゃないかという錯覚。それくらいに、お互いの性器は吸いついて、離れない。私の膣内が、あなたのペニスを、離さない。
肉棒が膨らんでいくのがわかる。溜め込んだ子種を、勢いよく、子宮へ吐き出そうとしているのがわかる。その光景を想像して、ごくりと、唾液を飲み込んだ。
一際強く、提督が腰を打ち付けた。鈴口と子宮口が、深く深く、キスをする。
瞬間、足先から頭の天辺まで、電流が走り抜けた。津波のように押し寄せた快楽が、私の全てを押し流す。あらゆる神経信号が途絶えて、ショートして、数秒間、思考がホワイトアウトした。視界に無数の火花が飛ぶ。
同時に、膨らんだ提督のペニスが、弾けた。それこそ風船みたいに破裂したのではという錯覚。ディープキスをする子宮口に、溶岩みたいに熱いものが流れ込む。数秒をかけて、思考がようやく回復した頃、それが提督の精だと理解できた。
「ぐ……くぅっ」
「~~~~~~っっっ!!」
吐精は続く。子種を迸らせるおちんちんを、子宮が潰れるんじゃないかってくらい、提督が押し付けてくる。そんな彼の尿道から漏れる赤ちゃんの素を、吸いついた子宮口が、ごくごくと飲み込んでいるのもわかった。
長い長い射精。男の人って、こんなに出せるのねと、妙な感心を抱きながら、全部の子種を吸い切るまで、唇を重ね続ける。ピクリと痙攣する膣が、一滴も残すまいとペニスに吸いついているのが、自分でもわかった。
三十秒は、そうしていただろうか。どちらからともなく、唇を離した。浅い呼吸に、乱れたリズムに、幸福な疲労感が混じっている。
「たくさん、出た、わね」
「ああ。自分でも、信じられないくらい、出たよ」
私の下腹部をさする、提督。その手に、私の手を重ねる。汗ばんだ表情で、向かい合い、嬉しいような、照れるような、そんな微笑みを、お互いに浮かべた。
膣内から、ペニスが引き抜かれた。名残惜しさと、満足感が一体になって、まだふわふわと腰の据わらない感覚に囚われている、私。
ごろりと、提督が私の隣に倒れこんだ。シーツが擦れて、ベッドが軋む。寝転んで息を整える彼の方へ、私は寝返りを打った。
不思議と、笑みが零れてしまう。
「ねえ、あなた」
「どうした、パース?」
「今夜は特別に、私が、ぎゅってしたまま、寝てあげる」
そのまま、問答無用で、提督を抱き締める。まだ強く火照りの余韻を残す体で、あなたをこの胸のうちに抱く。
「パ、パースさん?」
珍しく、焦った様子の提督。けれど、私の抱擁を拒むことなく、腕の中に納まっている。
重なった胸から、彼の心臓の音が、まだはっきりと、伝わってきた。
「ふふ。提督、まだ、ドキドキしてる」
「言っただろう。君といる時は、いつも、ドキドキしてるって」
「ええ、そうだったわね。――私も、まだ、ドキドキしてるわ」
「……うん。よく、わかるよ」
こつんと、額を合わせる。穏やかに呼吸を整えながら、二人のリズムを、合わせていく。それが堪らなく幸せで、堪らなく嬉しくて、堪らなく愛しくて――何物にも代え難く、大切だ。
この胸に抱いた、私の宝物。私の素敵な王子様。愛おしい運命の人。
「私、幸せよ。あなたに愛されて。あなたを愛して」
とめどない想いのままに、告白する。星空の瞳に、何度目になるかわからない、愛を囁く。
「愛しているよ。最初から、ずっと。君が思うより、もっと。これからも、永遠に」
夜空の星が、私の愛に、応える。溢れんばかりの想いを、余すことなく、告白する。決して絶えない、愛を囁く。
そんなあなただから。私はあなたを、幸せにしたい、幸せになりたいと、思えたの。
「あなた。私のことは、抱き締めてくれないの?」
口を尖らせて見せると、提督は苦笑して、すぐに、その逞しい腕を、私の背中へ回してくれた。それから、優しく、穏やかに、慈しむように、背中を叩く。そのリズムに、こんなにも愛されているのだと、実感する。
「パースは、甘やかすのも、甘えるのも、上手だね」
「ええ、そうよ。だって私、あなたを甘やかすのも、あなたに甘えるのも、大好きだもの」
私の答えに満足したのか、提督の唇が、今一度、私の額に触れた。それが、お休みのキスだった。
二人で抱き合ったまま、目を閉じる。幸せに満たされた体に、すぐに微睡みがやって来た。穏やかに広がる眠気に、身をゆだねる。
ただ最後まで、この胸に抱き、その胸に抱かれる、あなたの感触を、熱を、香りを、感じていた。
だから、私。
こうなったのは、きっと必然だったのだと、今は思えるわ。
◇
どこからか聞こえた鳥のさえずりが、目覚まし時計だった。耳をくすぐる音色に、朝の気配を感じた私は、うっすらと、瞼を開けてみる。途端、昇ったばかりの太陽が織りなす、透き通った光のレースが、目に飛び込んだ。薄暗かったはずの部屋に、朝を呼び込む煌めき。
意識が、ゆっくりと、覚醒していく。昨夜の余韻を感じながらも、思考を少しずつ、リセットしていく。また、新しい、一日が始まる。
目を覚ます決心をした私は、半開きにしていた瞼を、持ち上げる。太陽光線は背中側の窓から差し込んでいて、眩しくはなかった。穏やかな空気に包まれるベッドの上に、焦点を合わせていく。
目に飛び込んできたのは、こちらを見つめる、提督の顔だった。
「おはよう、パース」
「……おはよう、あなた」
瞬きを、二、三と繰り返す。冴えていく思考に合わせて、目の焦点も、少しずつ合ってきた。改めて、提督を視界に捉えた私は、柔らかな笑みを浮かべる彼に、問いかける。
「提督、なんだかご機嫌ね?」
「うん。朝から、天使の寝顔が、見れたからね」
「……もう。レディの寝顔をのぞき見なんて、趣味が悪いわ」
「ごめん。可愛かったから、つい見惚れちゃって」
微笑んで答えた提督は、一つ、私の額にキスをして、体を起こした。二人で一緒に潜り込んでいた掛布団が剥がれ、朝の空気が肌を包む。
そういえば私、あのまま寝てしまったから、裸のままだったわ。
「パースは、シャワー浴びるだろう?」
バスタオルを手渡してくれた提督に頷いて、私も身を起こす。汗ばんだ体を流したいし、乱れた髪も整えたい。
「先に浴びても、いいかしら」
「どうぞ。その間に、朝食の準備、しておくよ」
手早く部屋着を着こんで、シンクへ向かおうとする提督の腕を引き留める。
もう、昨日の夜、約束したばかりなのに。忘れてしまったのかしら。
「ううん。一緒に、作りましょう?」
私の言葉に、ぱちくりと、提督が瞬きをする。相好を崩した彼は、何とも嬉しそうに、頷いた。
「うん、そうだね。なら、俺がシャワーを浴びるまで、待っててくれる?」
「ええ、もちろん。楽しみだわ」
同じように微笑んで、ベッドから足を降ろす。スリッパに足を入れて立ち上がり、バスタオルを巻いて、部屋据え付けの浴室へ向かう。昨夜の残り香が胸をくすぐって、心の赴くまま、鼻歌交じりに。
「パースは、何を作ってくれるの?」
興味深げに尋ねた提督を、振り返る。訪れた朝の中で、愛おしそうに私を見つめる、あなたの瞳。そんなあなたに、愛しさの限り笑って、唯一の得意料理の名前を、私は答えた。
「ふわふわとろとろで、愛情たっぷりの、スクランブルエッグよ」
いかがだったでしょうか?
前回よりも気持ちセリフが多め?となっております。
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