ヒロインは銀髪武闘家。
ログハンと分断された彼女を、とある雌型のモンスターが襲う。
久しぶりの二人きりの依頼。
内容も最近見つかった遺跡の調査という簡単な仕事。
ローグハンターの斥候技能と銀髪武闘家の戦闘技能があれば、余程の事がなければ何事もなく終わる仕事。
そう、余程の事がなければ。
(これは、参ったな……)
銀髪武闘家は胸中で溜め息混じりにそう呟いた。
ローグハンターとの遺跡探索。油断していたわけではなく、浮かれていたわけでもなく、二人きりだからと普段以上に警戒して進んでいたというのに、まさかいきなり床が抜けるとは……。
(彼でも気づかなかったって事は、罠って訳じゃないよね……)
ローグハンターの『眼』なら罠の類を見逃すわけがない。単に運悪く老朽化して脆くなっていた床を、運悪く自分が踏み抜いてしまったのだろう。
──ようは出目が悪かったという事だ。上手い事彼と分断されてしまった。
(流石に穴に飛び込んでくる程無謀じゃないだろうし)
銀髪武闘家は頭上に目をやり、自分が落ちてきた穴に注目。
ひょこりと顔を覗かせ、こちらを見下ろしてくる人影に「私は大丈夫!」と声をかけてやれば、相手はホッと安堵の息を吐きながら肩から力を抜いていた。
「そこを動くなよ、他の道を探す!」と焦りつつも冷静に──飛び降りて即時合流ではなく、退路を確保しつつの合流を目指すローグハンターの声に、彼女は「わかった!」と返す。
返事は届いたようだ。彼は穴を覗くのをやめ、穴に松明を引っ掛けて彼女の為の光源としてからどこかに向けて走り出して行った。
「流石に登るのは無理そう。──って、私なんで無事なんだろ」
距離にして数十メートル。普通、この高さから落ちれば地面の染みになっている筈だが、自分はこうして喋っているし、彼に声を届けることもできた。
死んだ訳ではない。だが死んでいないのも不可解。
はあと溜息を吐いた銀髪武闘家が、とりあえず立ちあがろうと上体を起こそうとした瞬間、違和感に気づく。
体が動かせないのだ。床に大の字に寝転ぶ状態から、微動だにできない。首を左右に回すことも、腕をあげることも、脚で地面を蹴ることもできない。
いや、まるで地面が体に貼り付いたように捕まえて離さないというべきか。
試しに拳を握る。──動く。握る分には問題ない。
足首を回す。──上手く回せない。踵と足首に何かに引っ張られる感覚がある。
体を起こす。──起こせない。背中が地面に縫い付けられ、僅かに起こせてもすぐに地面に引き倒されてしまう。
何これと困惑する銀髪武闘家は目を動かして横を向き、同時にぎょっと目を見開いた。
頭上から注がれる松明の明かりに照らし出されるのは、自分が寝転んでいたと床と思われていた白い何か。
それは壁や天井、柱に複雑に絡み合い、一見怪奇的でありながら、けれど機能的な美しさを持っている。
銀髪武闘家は最初これがなんなのか、自分がどんな状態なのか、理解できなかった。だが目玉だけで周囲を見渡し、情報を手に入れるほどに強制的に理解させられた。
彼女は巨大な蜘蛛の巣の上に落ちたのだ。そのおかげで助かったものの、次は
背筋を駆け抜けた悪寒と共に唾を飲み込んだ。
遺跡の地下空間全体に広がっている空洞全てを利用する程の巨大な巣。蜘蛛型の魔物が潜んでいるとすれば、その大きさはどれ程のものか。
(まずい……まずい!まずいまずいまずい!!)
見つかれば自分はまず間違いなく死ぬだろう。糸に巻かれ、頭から齧られるか、毒で臓物や骨を溶かされて、死ぬ事だろう。
急速に迫る死の気配に、銀髪武闘家は呼吸を浅くしながら絶えず周囲を見渡した。
何かがいる気配はない。嫌になるほど静かで、聞こえるのは自分の呼吸の音と激しくなり続ける心臓の音ばかり。
既に捨てられた巣なのだろうか。
とっくの昔に家主は引っ越して、巣を作った本人(?)にさえも忘れられているのだろうか。
それとも既に討伐された後なのだろうか。
銀等級冒険者としての本能が警鐘を鳴らす中、それを落ち着かせるように希望的観測をいくつか頭に過らせる。
大きく息を吸い、吐く。乱れた呼吸を落ち着かせる。
(大丈夫。すぐに彼が見つけてくれる、そしたら一緒に逃げよう。そのあとは、まあ、他に何人か誘って改めて戻ってこよう。遺跡探索が得意な人を……!)
そんな仕返しを夢見て弱った自分を鼓舞し、体を揺らして脱出しようともがき始めた瞬間、パッと視界が暗転した。
「……ッ!?」
突然暗闇に放り込まれた銀髪武闘家は、それでも悲鳴をあげることはなかった。
松明が消えた──いや、それにしたっていきなり過ぎる。誰かに消された、あるいは穴が塞がれた。
そんな予感が彼女の脳裏をよぎった瞬間、ギチギチと何かが暗闇の中を這い回る嫌な音が耳朶を撫でた。
人ではない。筋肉ではなく幾つもの節を駆動させて動く独特な音は、蟲の魔物が間近に迫る時によく耳にするもの。
頰を冷や汗が伝っていく。ギチギチと不気味な音が、
銀髪武闘家はゾッとした。どうやら相手は一体だけではないらしい。
光源一つない暗闇の中、目玉を回して相手の姿を探すがやはり見つけられない。ローグハンターの『眼』のように、暗視はできないのだから当然だ。
呼吸を最低限に。上下する胸の動きも最低限に。私は岩、私は岩と胸中で念じ、気配を殺す。
けれど、その行動を取るにはあまりにも遅すぎた。既に見つけられているのに、気配を殺したところで何の意味があるというのか。
現に彼女を嘲笑うように、周囲からくすくすと忍び笑いが投げつけられる。
一体どれだけの数がいるのか、銀髪武闘家にはわからない。だが確実に言えるのは絶体絶命だということ。
(どうしよう、どうしよう……!ああ、もう!
普段なら絶対に口にしない言葉を胸中で吐き捨て、ぐっと唇を噤んで覚悟を決めた瞬間、
「見ーツケタ」
「ひっ……」
彼女の上から、誰かが垂れ落ちてくる。
天井に糸を貼り付け、それこそ蜘蛛のようにゆっくりと降りてくるのは、銀髪武闘家の予想の半分だけ的中させたものだった。
下半身は巨大な蜘蛛。上半身は異様に長い黒髪の女性。胸は緩やかな曲線を描き、腰は誰もが羨むほどに細い。
けれどその顔には目は一対どころではなく、額や頬にも目玉と思われる複眼が点在し、その全てが銀髪武闘家に向けられている。
「見ツケタ、見ツケタ、フフッ」
ひたりと音もなく、銀髪武闘家に覆い被さるように降り立ったのは女の
初めて見る種族。けれど片言ながら言葉を話し、魔物というには理性を感じる気配に、銀髪武闘家が声をかけようとした瞬間、女蜘蛛人は彼女に手のひらを向け、手首の辺りから勢いよく糸を発射。
「もが!?」
放たれた糸はそのまま銀髪武闘家の口を塞ぎ、声を封じた。
鼻まで塞がれたわけではないので呼吸はできるが、いきなり猿轡を嚙まされたのと同義な状態になった銀髪武闘家は異議を申し立てるように唸り声をあげるが、女蜘蛛人は気にしない。
捕らえた
「皆ンナ、見ツケタヨー。ダカラ、皆ンナデ遊ビマショ」
そんな宣言と共に、けたけたと楽しそうに笑う声が空間中にこだまする。
「楽シク、遊ビマショ?」
女蜘蛛人は怯えるように震え始めた銀髪武闘家の頬を撫で、人のそれではない牙が生え揃う口を三日月型に歪ませるのだった。
そのまま女蜘蛛人とその仲間達に運ばれたのは、遺跡の奥の更に奥底。
蜘蛛人達の寝床と思われるその場所で下着姿にされた銀髪武闘家は頭上で両腕を一纏めにされ、足は大開きにされた挙句、足首と壁を糸で繋がれ、閉じることさえもできなくされていた。
(……すぐに食べるわけじゃない。さっきは遊ぼうって言ってたけど、何をするつもり……?)
相変わらずの暗闇の中、思慮を巡らせる銀髪武闘家だが、ギチギチと音を立てて誰かが近づいてくるのを察して顔を上げた。
黒の長髪の女蜘蛛人。自分を捕まえた相手の登場に、視線が鋭くなる。
そんな彼女の殺気を浴びながら、けれど女蜘蛛人は怯まない。ただ楽しそうに笑いながら、彼女の口を覆う糸を引っ剥がす。
「目的はなに?私をどうするつもりなの」
「……?遊ビマショウッテ、言ッタデショウ?」
女蜘蛛人は心底不思議そうに首を傾げると、銀髪武闘家が纏う冒険用で飾り気のない下着をしばし見つめ、次の瞬間には「邪魔ネ」と呟きながら引っ剥がし、そのまま投げ捨てた。
そうして解放された豊満な胸はぶるりと揺れ、薄桃色の乳首がその存在を主張するように女蜘蛛人の視界へと飛び込んできた。
銀髪武闘家の顔が途端に赤くなり、あまりの羞恥に堪らず顔を背けた。
「フフフ、カワイイ」
ツンツンと爪の先で乳首をつつき、その度に痛みに体を震わせる銀髪武闘家の反応を楽しみながら、女蜘蛛人はそっと乳首に顔を近づけ、パクリと頬張った。
只人のそれよりも鋭く、牙と読んで差し支えない歯が彼女の胸に食い込み、皮膚を裂き、歯型を刻み込む。
「っ……!」
背筋を撫でる鋭い痛みに眉を寄せながら、それでも悲鳴を耐える銀髪武闘家。
女蜘蛛人はそんな健気な彼女の反応を見つめながら、ちろりと彼女の乳首を舐めた。
ぞわりと背筋を撫でる不快感に全身に鳥肌を立てる銀髪武闘家は、殺意混じりに女蜘蛛人を睨みつけるが、そんな彼女の殺意を咎めるように女蜘蛛人は今しがたつけた歯形に舌を這わせ、唾液を塗り込むように舌先をぐりぐりと押し付けた。
口内に流れ込む血の味に舌鼓を打ちつつ、彼女の反応を見るように傷口を舐め回す。
「っ……!〜〜〜!!」
柔らかな舌とはいえ、傷に触れられている事に違いはない。
胸から伝わる激痛に銀髪武闘家は身動ぎしながら歯を食い縛り、悲鳴を押し殺して女蜘蛛人を睨み続ける。
「フフ。イイ顔シテルワ」
そんな彼女の敵意を受け止めながら、女蜘蛛人はぱくりともう一度銀髪武闘家の胸に歯を立てると、思い切り乳首を吸い始めた。
「じゅる!じゅるるる!ちゅ〜!」
「くっ……!んんっ……!やめ、ろ……!この変態!」
舌を撫でる鉄の味を味わう女蜘蛛人と、そんな彼女を変態と吐き捨てる銀髪武闘家。
その言葉に流石にムカついたのか、がじっ!と乳首を一噛みした。
「ぎぃ!?」
突然駆け抜けた段違いの痛みについに悲鳴をあげる銀髪武闘家。
その声に満足したのか、女蜘蛛人は彼女の胸から顔を離す。
乳輪を囲むように付けられた歯型と、母乳代わりに血を流す乳首。それらを見つめた女蜘蛛人は笑うと、今度は彼女の
次は太腿、さらに脇腹、おまけに左右の乳房にも合わせて二箇所。
「づっ……!ぅう……!ぎっ……!」
銀髪武闘家は噛み付かれる度に駆け抜ける痛みに喘ぎ、その体を強張らせると、女蜘蛛人は彼女のショーツに爪を引っ掛け、何の慈悲もなく最後の布切れを切り裂いた。
ついに開帳されるのはピタリと閉じた縦筋だった。湿り気は一切なく、彼女の表情と同様に強張っている。
「力抜イテ。気持チ良ク、シテアゲルカラ」
女蜘蛛人はそんな縦筋にフッと息を吹きかけると、爪で傷つけるのも厭わずに両手の爪先で彼女の縦筋を左右に割った。
銀髪武闘家が爪が食い込む痛みと、秘部を開かれた羞恥に思わず涙を浮かべる中、女蜘蛛人はなんの躊躇いもなくそこに唇を押し付け、舌を差し込んだ。
「ひぅ……!?」
ビクン!と銀髪武闘家の体が跳ね、背筋が弓なりにしなる。
舌先でゾリゾリと音を立てながら膣肉を掘削し、Gスポットをゴリゴリと刺激してみれば、銀髪武闘家の口から熱のこもった吐息が漏れ始める。
「ん……レロ……レロレロ……ぢゅ〜〜〜!!」
「くっ……!んんっ……!ぉ……♡」
耐えようとする彼女の意志に反し、どこかの誰かに開発された彼女の肉体は与えられる快感に対してあまりに弱く、敏感な反応を示す。
「ぢゅ〜〜〜!レロレロ……奥モ、舐メテアゲル」
少しずつ滲んでくる愛液を啜りながら、女蜘蛛人は陰核を指の爪先でつつき、摘みながら舌を伸ばして更に奥へと進行させた。
胎内を細長い何かが掻き分けていく感覚と、陰核を刺激される快感に悶える銀髪武闘家は、それでも腹筋を締めて膣内を締め付けて舌を止めようとするが、軟体生物のように蠢く舌は膣肉に唾液を塗り込みながら彼女の締め付けを回避し、ちろりと子宮口を舐めた。
「ひぁ!♡」
子宮口を一舐めしただけで、銀髪武闘家の声のトーンがあがった。
ビクン!と腰が跳ね、滲み出てくる愛液の量が増える。
「アハッ!ココガイイノネ!」
その反応に喜色満面の反応をした女蜘蛛人は、逃げられないように銀髪武闘家の腰を爪を立ててがっちりと掴み、そのまま子宮口を舐め回し始めた。
ぐりぐりと舌先で揉みほぐし、ここは自分の物だとマーキングするように唾液を塗りたくる。
「あ……♡ぉ……♡そこ、駄目……っ!はぅ♡そこは、彼のだからぁ……♡!」
子宮を責められる重い快感に喘ぎながら、それでも理性を手放さずに抵抗しようとするが、強靭な糸が彼女の動きを封じ続ける。
「おぎっ……♡な、なんれ♡なんれ、こんなに気持ちぃのぉ……!?♡♡奥、ペロペロしないれぇ……!♡」
あへあへと喘ぎ、表情も少しずつ蕩けさせながら、一方的に与えられる快感にただひたすらに困惑し続ける。
そんな彼女の反応を笑った女蜘蛛人は、銀髪武闘家の秘部を舐めながら下半身が彼女に覆い被さるように体の向きを変えると、只人でいう尻に当たる部分を彼女の顔に近づけ、本来なら糸を吐き出す為の突起を彼女の口にねじ込んだ。
「おぼっ!?ごっ……♡ぉおお゛お゛……♡♡」
そのまま尻を振って突起を抽送しながら、彼女の喉奥を突き続ける。
普通の冒険者なら窒息してもおかしくない状況にありながら、やはりどこかの誰かのせいで喉奥を突かれる事にも快感を覚えるようになってしまった変態冒険者の体は、息苦しさも、口内を蹂躙される不快感も、そのほとんどを快感として脳へと伝えてしまう。
「スゴイ……♡フフ……貴方、イイワァ……♡」
突起で喉奥を突く度に喉が締まり、程よい快感を与えてくる銀髪武闘家に、女蜘蛛人は頬を朱色に染めて恍惚の表情を浮かべながら口角を吊り上げた。
そのまま再び彼女の秘裂に口付けし、一物の代わりに舌を差し込んで膣肉を舐め回してやり、コツコツと子宮口を突いてやる。
「んぼぉ……♡ぉ゛おお゛……♡♡」
突然ビクビク!と体を痙攣させながら両足が爪先までピンと伸び、膣内が激しく痙攣する。
絶頂を迎えたのだろう。女蜘蛛人はそれを察すると、責め時だと言わんばかりに舌で子宮口を責め立て、銀髪武闘家を更なる絶頂へと押し上げる。
「────ッ♡♡ぉ……♡いぎゅ……っ♡」
「フフフ。じゅるるるるる!」
背中をしならせたまま数秒固まったかと思えば、秘裂から大量の潮を噴き出しながら最後の絶頂を迎える。
女蜘蛛人は溢れ出す潮と愛液を啜りながら笑みをこぼし、不意に銀髪武闘家の口を塞ぐ突起を引き抜いた。
彼女の唾液に濡れ、不気味にテカる突起を見つめながら、女蜘蛛人は口笛を吹く。
それを合図に二人を囲む暗闇からギチギチと糸が軋み、何かが歩き回る音が聞こえ始め、クスクスと鈴を転がすような笑みが聞こえてくる。
連続の絶頂でぐったりと疲弊している銀髪武闘家が意識を混濁させながら周囲を見渡すと、彼女を囲むように次々と蜘蛛人が現れる。
女蜘蛛人と同じで上半身は人型、下半身は蜘蛛の者から、一見蜘蛛にしか見えない者、そして只人と同じに見えて背中から翼のように蜘蛛の足を生やす者など、様々だ。
だが、一人として男はいない。銀髪武闘家を囲む蜘蛛人は全員女のようだ。
その全員が極上の餌を前にした獣のように目を輝かせ、舌舐めずりをしたり、ガチガチと牙を鳴らしたりと、それぞれの形で彼女を喰らわんとしていた。
「殺シチャ、駄目ダカラネ」
「ぇ……あ……?」
いつの間にか回り込んでいた女蜘蛛人が、絹のように滑らかな銀色の髪を撫でながらそう言うと、銀髪武闘家は困惑の声を漏らした次の瞬間。
「遊ンデ、イイヨ」
パンと手を叩いて合図を出した瞬間、蜘蛛人達が一斉に銀髪武闘家に襲いかかった。
「ま、待って……っ!ぎっ……ぃ……ぎゃ!?」
ある者は女蜘蛛人を真似るように彼女の四肢に噛みつき、ある者は乳首に吸い付き、ある者は汗ばんだ脇を舐めまわし、ある者は手足の指を舐めまわし、肌に唾液を塗りこんでいく。
「やめ、やめろ……!身体中、ベタベタにぃ……!離れ──んぐ!?」
全身を舐められ、噛まれ、時にはキスされて痕も残されながら、それでも叫ぶ彼女の口を女蜘蛛人の唇が塞いだ。
そのまま舌が彼女の口内に入り込み、大量の唾液を流し込んでいく。
「んぼっ……げっ……!ぉぇ……」
がぼがぼと口の端から飲みきれなかった唾液を溢れさせ、半ば溺れながら悶える銀髪武闘家。
女蜘蛛人は口を離して彼女を解放すると、銀髪武闘家は唾液を吐き出しながらどうにか呼吸を落ち着けようとするが、すぐさま次の口付けが始まり、周りの蜘蛛人の責めも強くなっていく。
体のあちこちに歯型やキスマークをつけられ、傷口に唾液を塗りたくるように舐めまわされ、全身から蜘蛛人の臭いを発しながら、抵抗する事もできずにいる銀髪武闘家は、ただひたすらに混乱していた。
彼女達は自分をどうしたいのか、食い物にしたいのか、玩具にしたいのか、まるで理解できないのだ。
ここに雄の個体がいるのなら、あまり想像したくないがそういった事の為と嫌な納得があるのだが──。
「ガジガジ、レロレロ、んちゅ〜」
「チュ……チュ……フフ……レ〜ロ」
噛みついて歯形をつけ、できた傷口に唾液を塗り込み、キスをする。
あるいはひたすらに口付けを繰り返し、大口を開けて舌を這わせる。
痛いし気持ち悪いが、殺すつもりはないように見える。
「フフフ。モット、モット、タクサン飲マセテアゲル♡チュ……」
「むご!?」
困惑し、痛みに喘ぐ銀髪武闘家に再び女蜘蛛人が口付けし、大量の唾液を彼女の胃へと流し込んでいく。
「おぼぇ……!?ごぼっ……おぇ……」
ごくごくと喉を鳴らして女蜘蛛人の唾液を飲み込む銀髪武闘家は、ドクンと心臓が跳ねる気配を感じて体を強張らせた。
それを女蜘蛛人や周りの蜘蛛人も気づいたのだろう、彼女らはいきなり責めを止め、彼女の姿を観察し始めた。
心臓が跳ねるように鼓動を繰り返し、全身から大量に発汗し、呼吸が落ち着かない。
「モウ少シ、頑張リマショウ」
頬を伝う汗を舐めとり、その味に舌鼓を打った女蜘蛛人が、何か最後の仕上げでも始めるような事を口にする。
周りの蜘蛛人達が元気に返事をする中、不意に小さな何かが銀髪武闘家の横──女蜘蛛人の足元に転がった。
「「……?」」
疑問符を浮かべる銀髪武闘家と女蜘蛛人。そして先にそれが何かを理解した銀髪武闘家は慌てて息を止めた。
瞬間、ぼしゅん!と音を立ててそれから青い煙が噴き出し、蜘蛛人達を微睡みへと導いた。
眠りにつくと同時に巣の上から落ちていく中、黒い人影が必死に息を止める銀髪武闘家の脇に着地し、彼女の縛る糸を切断。彼女を背負って巣から飛び降りる。
彼女の代わりに蜘蛛人の糸を利用して纏めたグレネードを放り、人影が床に着地すると同時に起爆。
遺跡を揺らす大爆発は巣と、その上で眠っていた蜘蛛人を纏めて吹き飛ばし、糸を伝って火の手が一気に広がっていく。
「ざまあみろ、だ。屑ども」
眠ったまま煙に呑まれ、炎に巻かれていく蜘蛛人達に絶対零度の視線を向けながら、ローグハンターはそう吐き捨てた。
背中では啜り泣く銀髪武闘家の声が聞こえ、彼もまた罪悪感に苦しみながら走り出す。
背後からようやく目を覚ました蜘蛛人達の金切り声が聞こえたが、ローグハンターは振り返る事はなかった。
念の為と、銀髪武闘家を背負ったまま一晩かけて移動したローグハンターは、息を切らしながら彼女を降ろし、ようやく一息ついた。
遺跡からだいぶ距離を取った。痕跡も残していない。追手の気配もなく、うまく撒けたと手応えもある。
(とりあえず焚き火の用意をして、いやその前に彼女の容態を──)
胸に手を当て、大きく息を吐いたローグハンターが振り向いた瞬間、銀髪武闘家が彼の胸に飛び込み、そのまま彼を押し倒した。
彼女に馬乗りにされたローグハンターが困惑しながら「どうした」と声をかけると、銀髪武闘家はニヤリと口角を釣り上げて不気味な笑みを浮かべ、地面に投げ出されたそれぞれの手首に手を向け、
「っ!?」
ローグハンターも神懸かり的な反応をするが、動けたのは左手のみ。右手はそのまま糸の塊に絡まれ、地面に固定されてしまう。
残された左手で銀髪武闘家に掴みかかろうとするが、それよりも早く彼女の手がローグハンターの首を掴み、そのまま地面に叩きつけられた。
「〜〜〜!?」
普段の彼女よりも段違いな力強さと、容赦なく首にめり込んでいく指のつよさたるや、本当に彼女なのか疑いたくなるほど。
だが月明かりを反射する銀の髪が、月光を宿す銀の瞳が、彼女が本物であると教えてくれる。
ローグハンターが首を絞められながら彼女を睨んでいると、不意に彼女は首から手を離し、そのまま両手で彼の衣装を破き、前面をはだけさせた。
「っ!?ちょっと、待て……!何をするつもりだ!?」
「動カナイデ、私二任セテ」
彼の疑問に答えたのは、感情を感じさせない片言の言葉。
困惑を深めるローグハンターを他所に、銀髪武闘家は普段の無邪気さが形を潜めた妖艶な笑みと浮かべ、彼に告げる。
「貴方ノ種ヲ、私二頂戴……♡」
銀髪武闘家はペロリと唇を舐めると、ローグハンターに覆い被さるのだった。
炎に包まれた遺跡の最悪。巣は焼かれ、卵も焼き払われ、もう全滅までの秒読みに入る中、下半身を失いながらも辛うじて息があった女蜘蛛人は勝ち誇るように笑っていた。
あの銀髪の女に、この群れの蜘蛛人のありったけの因子を流し込んでおいた。
それが馴染めば彼女は我らが同胞となり、この巣を襲った雄と交わり、絞り尽くし、消耗したあの雄の
蜘蛛人と一口に言っても種類は様々だ。だが彼女達の群れはかなり野生に寄っており、交尾が終わればそのまま雄を喰らって栄養に変え、出産に備えるという風習がある。
だからこの群れには雄がいない。もう食い尽くしてしまったから。
だから彼女達はこうやって増えることにした。偉大なる蜘蛛の神が人を噛んで加護を与え、蜘蛛人を産み出したように、遺跡に迷い込んだ旅人や冒険者を噛み、唾液を通してある種の因子を流し込み、蜘蛛人へと
「復讐ヲ……」
下半身を失い、今にも命の灯火を消しそうにしながら、それでも彼女は嗤い続けた。
群れを滅ぼしたあの男への復讐を、最後の生き残りに託す。
「繁栄ヲ……」
あの
「アハ……アハハ……アハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
女蜘蛛人はそんな確信を抱きながら、炎に包まれていくのだった。
そして、蜘蛛人達の期待を一身に背負った銀髪の女蜘蛛人は──。
「んぎっ♡お゛!?♡お……っ♡ああ゛♡あ〜……♡♡」
ローグハンターに押し倒され、両足を頭の上に投げ出し、尻を突き出す体勢のまま、ひたすらに彼の一物で突かれていた。
「色々驚いたが、あんな事があったのに俺を求めてくれるなんて、嬉しかったぞ」
「ぎっ……♡ぉ……♡あぁ……♡ヤ、ヤメ、ロ……♡放セ……っ!」
「……?俺の種が欲しいんだろ?安心しろ、嫌ってほどここに注いでやる」
キッと鋭く睨んでくる彼女の視線を笑って軽く受け流しながら、コツコツと亀頭で子宮口を突きながらローグハンターが告げる。
「んぎぃ……♡ヤ、ヤダ……!ダ、誰カ、助ケテ……っ!」
そんな彼の宣言に銀髪の女蜘蛛人は涙を流しながら首を振って嫌がるが、ローグハンターはそんな彼女の反応に首を傾げ、「誘ってきたのはそっちだろうが」と返して腰の動きを激しくさせる。
「おぎっ!?♡お゛……♡んぎっ♡ぎぃぃ♡♡」
銀髪の女蜘蛛人の嬌声は絶えることなく、夜は更けていくのだった。
翌日、早朝。
昨晩散々交わったローグハンターと銀髪の女蜘蛛人は、寄り添う形で眠りに落ちていた。
すうすうと穏やかな寝息をたてるローグハンターの隣では、秘裂から大量の白濁液を溢れさせる銀髪の女蜘蛛人が目を覚まし、上手く力が入らない体をどうにか動かし、彼に覆い被さった。
ローグハンターに起きる気配はなく、呑気な寝顔を彼女に向けている。
昨晩のせいでかなりの体力を使ってしまった。だが男の種を大量に受け取れたのは事実。こいつはもう用済み、ならば今のうちに喰い殺してやろう。
蜘蛛人の本能が淡々とそう判断し、確実に葬るために首を食いちぎらんと彼の首に噛みつき、歯を立て、渾身の力を込めるが──。
「…………?」
全く肉を噛みちぎれない。いや、全く力が入らない。
銀髪の女蜘蛛人が困惑する中、不意に頭を撫でられる。
「寝起きにこんなに甘えてくるとは、お前らしくないが随分といじらしいじゃないか」
その声に、その声音に、ぞわりと銀髪の女蜘蛛人は背筋を震わせた。
恐る恐る顔を上げた先にあったのは、満面の笑みを浮かべて自分を撫でるローグハンターの顔だった。
やばいと思った頃にはもう遅い。ローグハンターは彼女を抱き締め、その耳元で囁く。
「こんなに甘えられちゃ、期待に応えるしかないな」
「マ、待テ……ヤメロ……ッ!モウ少シ休マセロ……!」
「誘ってきたのはそっちだろう?問答無用だ」
そうしてもはや恐怖の対象になったローグハンターから逃げようとするが、相変わらず力が入らない体では逃げようがない。
彼はこれ幸いと笑うと、昨晩の続きと言わんばかりに彼女に襲いかかるのだった。
それから更に数日後。
「いや〜、なんだかここ何日かの記憶がないんだよね〜」
「そうなのか?まあ、確かに何か変だったが」
銀髪武闘家とローグハンターは森の中を進んでいた。
言葉の片言さもなくなり、いつもの笑顔を浮かべるその姿はやはり愛する彼女だ。
ローグハンターは相変わらず困惑しているが、まあいつも通りならいいかと適当に匙を投げる。
蜘蛛人にとって雄とは捕食の対象であり、繁殖の為の道具でしかない弱者だ。
だがその常識をローグハンターが破壊し、雄を喰らい、その栄養を元に反映するという本能さえもねじ伏せた。
詰まるところ、
「今晩モ、楽シみダね……♡」
この女、堕ちたのである。昼は銀髪武闘家として彼に寄り添いながら、夜は銀髪の女蜘蛛人として彼の情欲を堪能し、快楽を享受する。
一族の繁栄?まあ、そのうちネと、目の前の雄とのこれからの日々を想像し、思わず舌舐めずりをする。
背後から感じる不安な気配に首を傾げながら、ローグハンターは歩みを進めるのだった。
感想、リクエスト等ありましたら、よろしくお願いします。