初見さんの為に解説。
ジブニールは指導者としての功績が認められ、都で行われている円卓会議にも顔を出すことが許されている。
都までは片道一週間から二週間。下手すれば一月近くは彼に会えないという、シルヴィアにとってはかなりの地獄。
ジブリール宅、居間。
「かーしゃー……」
「どうしたの?」
「なんでもなぃ……」
自分の膝の上で眠たそうに目を擦る愛娘──アイリスの銀色の髪を撫でてやりながら、シルヴィアは優しく微笑んだ。
長男たるウィルクは既に部屋で寝ていて、今起きているのはシルヴィアとアイリスの二人のみ。
シルヴィアはまだ意識をはっきりさせているものの、アイリスは船を漕いでかくかくと首を揺れていた。
「そろそろ寝る?」
「やー……。とーしゃとねるのぉ……」
彼女の何度目かの問いかけにアイリスは首を振るが、耐えきれずに大きな欠伸を漏らした。
大口開けて「くぁ──……」と欠伸をする姿には小動物にも似た愛らしいさがあり、堪らずシルヴィアは彼女の頭を撫でてやる。
「んー」と気持ちた良さそうに目を細めるアイリスに「お父さんはまだ帰ってこないよ?」と優しく告げてやるが、当の彼女は「やっ!」とどうにか眠気を堪えて首を振った。
シルヴィアは「仕方ない」と肩を竦めると、愛娘の頭を撫でてやりながら体を揺らし、静かに歌を歌い始めた。
昔酔っ払った彼が歌ってくれた、彼の故郷の酒場で聞いたという歌。
素敵な歌ではあるが子守唄ではなかった思うし、何より冒険者としてはあまり縁起がいい歌詞でもない。
けれど、彼女はこの歌が好きだった。悲しい別れの歌ではあるけれど、何故か優しいこの歌が。
「──さらば幸あれ、仲間たちよ」
彼女の歌はその一言でもって締め括られると、腕の中からはすやすやと規則正しい寝息が聞こえ始めた。
シルヴィアは声もなく笑うと起こさないようにそっと抱き上げ、呼吸に合わせて足を踏み出して子供の寝室を目指す。
冒険者を引退したとはいえ彼女の
まだ小柄なアイリスを片手で抱えながら扉を開けて、既に眠りについているウィルクの隣に寝かせてやる。
寝かされたアイリスは小さな手を振り回すとウィルクを掴み、掴まれた彼もまたアイリスを掴むと、そのまま身を寄せあってお互いにだらしない顔となった。
これなら寝てくれるだろうと安堵したシルヴィアは小さく息を吐き、足音を立てずにその場を後に。
そのままの足取りで寝室へと入り、ベッドに腰を降ろした。
ぷらぷらと足を振ってため息を吐くと、背中からベッドに倒れる。
一人で使うには広すぎるベッドの上では無性に孤独感を感じるし、何より暇だ。寝る前の夫婦水入らずの会話も出来やしない。
「はぁ……」
彼女はまた深々とため息を吐くと、天井を見上げて目を細めた。
彼が都に呼ばれ、様々な活躍をしてくれるのは嬉しいし、それは世のため人のためになっているのも嬉しいし、けれど無性に寂しくもあって。
「はぁ……」
彼女はまたため息を吐くと、ころりと転がってうつ伏せになり、もぞもぞと匍匐前進を始める。
そしてたどり着いたのは彼の枕の上で、彼女は躊躇うことなくそこに顔を埋めた。
すんすんと鼻で呼吸をして、僅かに感じる彼の臭いを肺一杯に吸い込んで、彼女は僅かに頬を赤く染めた。
同時に物欲しそうにもじもじと太ももを擦り合わせ、僅かに熱のこもった息を吐く。
けれど枕に残された残り香だけで物足りないのか、彼女は不満そうに唸ると勢い良く体を起こし、クローゼットへと足を向けた。
そしてそこを開いた彼女は、彼が普段着として使っている黒い
ぼふん!と音をたててベッドにしずんだ彼女は、まだ色濃く彼の臭いを残す外套を鼻に押し付け、思い切り臭いを吸い込んだ。
「んん、ぁは……」
嗅覚を支配する彼の臭いに恍惚の表情を浮かべた彼女は蕩けた笑みを浮かべると、そーっと自身の秘部に向けて手を伸ばす。
そのままズボン越しに触れてみると、
「ひぅ!」
緩い快感が体を駆け抜けた。
電撃を思わせる感覚に脳が痺れ、さらに次を求めて指を動かし始める。
さすさすと肌と布が擦れる音と共に、シルヴィアの口から小さな喘ぎ声が漏れ、彼女の顔がみるみる内に赤くなっていく。
「んん、邪魔ぁ……」
彼女は誰に言うわけでもなくそう呟くとズボンを膝の辺りまで降ろし、肉付きのいい臀部をさらけ出しながら、今度はショーツ越しに秘裂に指を這わせた。
「ひあっ!」
同時に駆け抜けた先程よりも強烈な快感に身を捩り、さらに指を動かしていく。
布が擦れる乾いた音に少しずつ湿り気が加わり、ショーツに小さな染みが浮かび始める。
「ふっ、あっ!んっ、んんっ!」
秘裂を弄る手とは別に、空いている手の指を甘噛みして猿轡代わりにし、漏れでる声を無理やり押さえ込む。
「んんっ、んふ、ふっ……」
これ幸いと彼女は指の動きを僅かばかり激しくすると、彼女の体はビクビクと痙攣を繰り返し、ショーツの染みがさらに大きく、濃くなっていく。
「んん、あっ……。もっとぉ……」
彼女は噛んでいた指を舐めながら切ない声を漏らすと、ついにショーツの中に手を入れ、直接秘裂に指を這わせた。
「ひぎっ!」
駆け抜けた快感はさっきまでの比ではなかった。
脳を焼かれる錯覚を覚えるほどの快感に彼女は目を見開き、今度は甘噛みではなく口を指を突っ込んで舌を押さえ込んだ。
これなら声が出ることはない。ならば──。
「ふーっ、ふーっ、んんっ!」
彼女の指は、躊躇うことなく自身の秘裂を撫で上げた。
前後前後と指の腹で擦るように撫でてやれば、秘部から溢れる愛液が指に纏わりつき、体温とは別の温もりが指を包み込む。
「んーっ!れろ!ちゅる!れろ!んんっ!」
同時に口に突っ込んだ指を彼の舌に見立てて自分の舌を絡めて、苛めるように指でなぶる。
いつも彼がそうするように、いつも彼がしてくれるように、指を舌に絡めて、指で秘裂を撫で回す。
「んんっ!んーっ!んぁ!ちゅっ!ちゅる!」
ビクビクと腰を浮かせ、鼻で呼吸をする度に鼻に押し付けた彼の外套の臭いで肺が満たされ、彼女は更に興奮していく。
そしてついに辛抱堪らなくなったなった彼女は、愛液に濡れてふやけ始めた自分の指を、物欲しそうにパクパクと動く秘裂へと滑り込ませた。
彼のものに比べて細い指は一切引っ掛かることなく秘裂へと入り込み、膣肉が指を捕まえるようにぴたりと閉じる。
扱くように蠢くひだの感覚をくすぐったく思いつつ、彼女は鼻で深呼吸をして臭いを充電。
「ふへぇ」と恍惚の表情を浮かべて余韻に浸った彼女は、秘部に突っ込んだ指を動かし始めた。
ずりゅずりゅと音をたてて自分で自分を責め立てて、口に入れた指で舌をさらに苛め始める。
無意識の内に逃げようとする自分を舌を指で捕まえ、舌先を指先で弾き、指の腹で舌の表面を擦りあげる。
「んぅ!んっ!んぐっ!んんっ!」
ピクピクと体を痙攣させながら、けれど秘部を責める指を止めることはない。
彼がしてくれたように激しく出し入れしつつ、時には指を曲げて膣肉を思い切り引っ掻き、膣内が解れてきたならもう一本指を
「んん!?」
途端に感じた圧迫感に目を剥くが、けれどそれすらとすぐに快感へと変わってしまう。
喘ぐ度に鼻から入ってくる彼の臭いが彼女の理性を蒸発させ、正しい処理が出来なくなっているのだ。
「んっ!んん!ふぁっ!?イく!イくっ!」
もはや自分では止まれない彼女は口を解放すると、体を痙攣させながら秘部を責め続けた。
「あひっ!ひぅ!ジル!じりゅ!じりゅう!」
彼女は絶えず迫る快感に喘ぎながら、愛する夫の事を呼んだ。
その声は都にいる筈の彼に届くわけもなく、壁に跳ね返って自分の耳に返ってくるのみ。
彼女は押し付ける彼の外套にさらに密着しながら、へこへこと腰を揺らし始めた。
秘裂から溢れる愛液に指を濡らしつつ、彼女は絶頂を迎えようとさらに動きを激しくさせた。
「んひ!んいぃっ!じりゅ!しゅき、だいしゅき!あいしてる!」
彼女は自分の想いを包み隠さず言葉にすると、体がさらに熱を持った。
同時にそれは彼女が無意識に封じていた感情さえも解き放ち、彼女の口からは本心が漏れだした。
「じりゅ!あいしてる!あいたい、はやくあいたいのぉ!」
彼が世のため人のために働いていることは誇りに思うし、彼がかの円卓の末席に加わった事も誇りに思う。
けれど、彼はこの広い世界におけるただ一人の、自分の夫なのだ。
一月も離れ離れになるのは辛いし、寂しい。
だからこうして彼の残り香にすがって、それを紛らわせているのだ。
「じりゅ!じりゅうっ!あいしてるのぉぉおお!」
「──ああ、俺もだよ」
彼女の告白に、本来あり得ない筈の返答があった。
「ほぇ……?」と間の抜けた声を漏らして声の主の方に目を向けると、そこにはいる筈のないジブリールがにいた。
彼は既に都に行く際に着ていく衣装を脱いだのか、クローゼットの前で上半身は裸となっており、上機嫌そうににこにこと笑っている。
そして彼は「ただいま」と右手を挙げた。
その瞬間、蒸発した筈の理性が元の形を取り戻し、強烈な羞恥心と罪悪感が体を支配し、
「──っんあぁぁぁああああああ!!??!」
それを肴に彼女の体は更に興奮し、無意識の内に指が動き始めた。
「んやぁっ!イきゅ!イっちゃう!?みないれ!みちゃ、やぁ……っ!」
口ではそう言うものの、意志に反して彼女の体は絶頂を迎えた。
「イきゅ!イきゅうぅ!!」
ビクビクと体が痙攣を繰り返し、秘部から潮を噴き出して絶頂を迎えた彼女は、途端に脱力したようにベッドに深々と沈んだ。
「あっ、へぁっ、んっ、あひゅっ……」
「あー、まあ、なんだ」
ジブリールは頬を掻きながらベッドに乗り、自身の外套を抱えたまま痙攣を繰り返す彼女の体に覆い被さり、くるりと寝返りを打たせた。
うつ伏せだった彼女を仰向けにすると、蕩けた彼女の瞳を見つめながらズボンを降ろした。
「んぁ、ひぅ、へぁ?」
彼の動きに気付いたシルヴィアが疑問符を浮かべると、ジブリールは構わずに笑みを浮かべた。
「俺だって、溜まっているんだぞ?」
「ふぇ?」
彼の一言を理解出来ない彼女を他所に、彼は躊躇を捨てて勃起した逸物を彼女の秘裂へと押し付けた。
「俺が真面目に仕事をしている間に、お前は自分で慰めているのか」
「え、あ、まっへ、ちがうの……」
僅かな怒気が込められた彼の言葉で、ようやく意図を察した彼女が首を振るが、ジブリールは優しい笑みを浮かべ、
「──駄目だ」
その一言と共に、彼は腰を突き出した。
ずりゅ!と湿った音と共に彼の逸物は彼女の胎内に入り込み、求めるように降りてきていた子宮口を容赦なく殴りつけた。
「ぎにゃあ!?」
大きく目を見開いて声を漏らした彼女は背中を弓なりにしならせ、再び絶頂を迎えた。
胎内からくる圧迫感に「あっ、かっ、はっ」と肺の空気を細かく吐き出した彼女は、ぺたりと背中を沈めて彼の首に腕を巻き付けた。
「あは、わかった。ゆめ、ゆめにゃんでしょ……?だって、キミは──」
「都にいる筈だから、か」
力なく笑いながら告げられた彼女の言葉をジブリールが引き継ぐと、シルヴィアは「うんっ」と頷いて「そうでしょ……?」と確かめるように上目遣いをしながら問うた。
問われた彼はため息を漏らし、「ああ、それで良いよ」と困ったような笑みを浮かべて彼女の頬を撫でた。
それと同時に「《
「……?」
突然の彼の行動を訝しむ彼女を他所にジブリールは『いくぞ』と口の動きだけで伝え、腰を振り始めた。
「っ!──っ!?──っ!!っ!?っ!!──っ!?」
彼女は口の動きだけで喘ぎながら体を痙攣させ、ぎゅっと彼を抱き寄せた。
ジブリールは彼女の頬に頬擦りしつつ、彼女の耳朶を甘噛みする。
「っ!っ!!──!──っ!?」
同時に更に腰の動きを激しくしてやれば、彼女はビクビクと体を痙攣させて声もなく絶頂を迎えた。
体は様々な器官で刺激を受け取り、それを脳で処理するものだ。
だが今回は魔術により聴覚を封じられている。今彼の責めに対して働いているのは、触覚と視覚、嗅覚程度。
彼の体温を普段以上に感じて、彼の動きを普段以上に感じて、彼の目の動きや表情の変化を普段以上に感じて、
「っ!?!っ──!!っ!!」
体は絶頂を迎えた。
激しく痙攣を繰り返す膣肉が彼の逸物を扱くが、ジブリールは怯まない。
音もなく逸物の出し入れを繰り返し、音が消えることを良いことに力任せに腰を叩きつける。
「──!──っ!?っ!っ!っ!っっっ!!!」
『沈黙』の魔術で音が消えた室内において、絶え間なく絶頂を迎える彼女は誰にも届く聞こえない悲鳴を上げた。
亀頭が子宮口を殴る度に、かりがGスポットを擦る度に絶頂を迎え、彼女の脳裏にバチバチと火花が散る。
快楽に表情を歪め、もはや苦しそうな表情を浮かべると彼女を見つめると、ジブリールは嗜虐的な笑みを浮かべた。
汗で額に貼り付いた彼女の髪を拭ってやり、そこに口付けを落とす。
「──っ。っ!──っ!!」
それだけで体が悦んでしまう彼女は膣内の刺激と合わさって絶頂を迎えた体を痙攣され、潤んだ瞳で彼の瞳を見つめ、口の動きだけで『待って、休ませて!』と懇願するが、ジブリールは再び優しげな笑みを浮かべ、思い切り腰を叩きつけた。
「っ!?──……」
同時に迎えた絶頂が、とどめとなった。
見開かれた彼女の瞳から光が消え、両手両足をベッドに投げ出すと、かくりと首を傾けて気を失ったのだ。
流石のジブリールもやり過ぎたとは思うものの、今止まっては不完全燃焼も良いところだ。
彼は目を泳がせて数瞬迷うと、『すまん』と苦虫を噛み締めた表情で口を動かし、彼女の腰を両手で押さえて固定すると、腰を振り始めた。
「っ。っ、──っ。っ……」
彼女は大きな反応もなくビクビクと小さく体を跳ねさせながら、ひゅうひゅうと息を漏らす。
それでも止まれない彼は、登ってくる射精感を解放しようと腰を振るう。
「──っ!──っ!っ!っ!」
気絶しながらも絶頂を迎える彼女は体を跳ねさせ、痙攣を繰り返す膣肉がさらに引き締まり、彼を責めるように蠢く。
ジブリールは音もなく低く唸ると最後の一突きで彼女の子宮を押し潰し、同時に限界を迎えた射精感を解放した。
「っ!!──……」
鈴口から吐き出された精液が彼女の子宮を満たし、ジブリールは背筋を撫でる快感に息を吐いた。
彼女の秘部を貫いていた逸物を引き抜き、どろりと溢れた白濁液に目を細めた。
そのまま全身にくる倦怠感に身を任せ、彼女の隣に寝転び、ゆっくりと目を閉じる。
そして眠気に身を任せて意識を手離すと、穏やかな寝息をたて始める。
隣で気絶しているシルヴィアもまた、肉体の疲労感からか目を閉じて、彼と同じように寝息をたて始めた。
同時に不可視の力場が失われ、二人の呼吸音だけが部屋に残された。
「かぁーしゃっ!」
「んぇ?ひゃ!?」
不意に響いた愛娘の声で、シルヴィアは目を覚ました。
同時にベッドに寝転ぶ自分の上に、太陽を思わせる笑みを浮かべるアイリスが降ってくる。
それを視認したシルヴィアは体から力を抜いて、胸に降ってきた娘の衝撃を受け流し、しっかりと彼女の体を抱き止める。
「にゃ~♪」
母親に抱き止められたアイリスはご機嫌そうに声を漏らし、母親の胸に顔を埋めると、シルヴィアは「おはよ~」と微笑みながらアイリスの頭を撫でてやる。
娘の温もりを堪能しながら、彼女はふと天井を見上げた。
本来いない筈のジブリールに、強姦紛いに犯されるという、何とも刺激的な夢を見た気がするのだ。
夢の中の彼は随分と強引に自分の事を責めて、好き勝手にしてきたような気がする。
「かーしゃ?」
そんな風に思慮してボケッとしていたシルヴィアに、アイリスの心配するような声が届いた。
シルヴィアは僅かに慌てながら「大丈夫だよ」と笑って見せると、アイリスは「そっかー!」と納得したのかまた笑みを浮かべた。
「リース?かーさんおきたー?」
開いた扉の隙間から、まだ眠たげなウィルクの声が部屋に届けられた。
シルヴィアは「起きたよ!」と元気溌剌な声で返すと、アイリスを抱っこしたまま体を起こす。
そのまま部屋を出て廊下を進み、居間にたどり着くと──、
「おう、おはよう」
エプロン姿のジブリールが台所に立っていた。
彼は慣れた手つきで朝食の準備を進めながら、「先に座っていてくれ」と彼女に告げた。
シルヴィアは彼の姿を見ながら数度瞬きすると、アイリスを抱き直しながら言う。
「……ねえリース?」
「んぁ?」
「お母さんの頬っぺた、引っ張ってくれない?」
「ん?こう?」
母親からのお願いに、アイリスは彼女の頬を引っ張った。
同時に感じた鋭い痛みに「痛い……」と声を漏らすと、アイリスは慌てて手を離した。
「ごめんなしゃい!」
「あ、ううん、違うの、怒ってないよ?」
「ほんと?」
「ホントホント」
自分に怒られたと勘違いしたアイリスを構いながら、再びジブリールへと目を向けた。
てきぱきと朝食を準備する彼の姿は夢ではないようで、朝一にでも帰ってきたのだろうかと疑問を抱く。
いや、帰ってきたなら気付くし、何より子供たちがもっと騒ぐ筈だ。
ならば、いつ帰ってきたのか。
「ああそうだ、シル」
「ん?」
疑問だらけの彼女を呼んだジブリールは、何やら意味深な笑みを浮かべて彼女に問うた。
「
「……ふぇ?」
突然の問いかけに間の抜けた声を漏らすと、ジブリールは首を傾げて怪訝そうに眉を寄せた。
「いや、
「……」
彼の更なる問いにシルヴィアは目を細め、そしてゆっくりと目を見開いた。
そんな事お構い無しに、ジブリールは更に言う。
「喉の方は平気か。かなり叫んでいたが」
「っ!」
「体は怠くないか、どこも痛くないか」
「っ!!」
彼の言葉を完全に理解した彼女は、真っ赤になった顔から蒸気を噴き出した。
「ひゃ!?」と驚くアイリスを他所に、ジブリールはにこりと微笑んだ。
「それと、ちゃんと
「──!!!」
もはやここまで来ると、流石の彼女とて気付く。
──あれは、夢じゃなかった!?
あわあわと口を動かす彼女を他所に、彼は「よし、出来たぞ」と告げて朝食を盛った皿を食卓に運んでいく。
これが後に彼が愛用することとなる『
──ただ一刻も早く家族に会いたい。その思いが、彼に新たな力を解放したのだ。
「さあ、朝食にしよう」
「「はーい!」」
「……あぅ」
まあその結果、その愛する家族の一人がフリーズしてしまったのだがそれはそれ。
こんなことも彼が望んだ日常の一幕で、いつまでも続いて欲しい日常なのだ。
感想等ありましたら、よろしくお願いします。
余談ですが、シルヴィアが歌った歌はわかる人にはわかると思います。
最後の一言はアサクリの和訳準拠でいきましたが、英語版の歌詞は、
『Good night and joy be with you all』
となります。これは訳し方にもよりますが、
『おやすみ、君に喜びがありますように』
的な意味にも訳せます。
そういう意味では、彼女が子守唄として歌ったのは正解な気もします。