※この作品はR-18です。

SLAYER'S CREED +α R-18   作:EGO

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リクエストから。
イヤーワン冒頭三姉妹の続き。



Memory?? 惨劇の生存者③

 ──最近、お姉ちゃんの様子がおかしい。

 

 眠る狐亭で給仕係として働いている三姉妹の次女にあたるその女性は、仕事をしながらもふとした違和感に首を捻っていた。

 仕事柄よく笑うのはそうなのだが、その笑顔が妙に輝いて見えるし、ここ最近になって家族贔屓を抜きにして、とても綺麗になっているような気がするのだ。

 ほとんど同じものを食べているのに姉の方が肌艶がよく、金色の髪も絹糸のようにさらさらとして、店の照明に照らされて輝いている。

 現にとても忌々しいことだが、姉を見て鼻の下を伸ばす客も増えてきているのだ。

 一応、寮に戻ってから問いただしてみても笑って誤魔化すばかりで、肝心の理由を全く教えてくれない。

 そして、時々ではあるが部屋に戻ってくるのが遅いことも増えてきた。

 何でも出前を頼まれることが多く、それに対応しているのだとか。

 それなら変わるよと言っても姉は首を横に振ってしまうし、店主に言ってもやんわりと断られてしまう。

 

「お姉ちゃんだけ遅くまで仕事して、大変じゃないの?」

 

 寮にあてがわれた三人部屋で、次女は長女のベッドの上で丸くなって座りながら、鏡の前で髪を梳いていた姉の背中にそう問うた。

 問われた長女は振り向きながら「私は大丈夫よ」と笑うのだが、次女はその解答に満足した様子を見せず、小さく唸って姉の背中を睨む。

 隣で丸くなって寝ている末娘(いもうと)は、果たして長女(あね)の変化に気付いているのだろうか。

 

「さ、寝ましょう。明日もお仕事頑張らないと」

 

 長女はそんな次女の視線を受け流しながら優雅に笑い、そのまま彼女の隣に腰を下ろし、寝転がった。

 ベッドに押し返される感触に心地良さそうに目を細め、ころりと寝返りを一度。

 それに気付いてか「ん~」と唸った末娘は、薄く目を開きながらもぞもぞと身体を揺らし、長女に寄り掛かるように身を寄せた。

 末娘を抱き締めた長女は朗らかに笑みながら、次女に目を向けて「ほら、あなたも」と告げて手を広げた。

 

「むぅ……」

 

 次女は不満そうに頬を膨らませるものの、否の声を出すことはなく、そのまま倒れこむようにして姉の胸に飛び込んだ。

 次女と末娘を端にして、長女を真ん中に置いた川の字での就寝。

 いつもと変わらない、いつも通りの夜。

 もう失ったとばなり思っていた夜を、今日もまた過ごすことができる。

 次女は無意識の内に笑みを浮かべながら、眠りについた。

 長女がホッと安堵の息を漏らしたことに、気付かずに。

 

 

 

 

 

 そんなやり取りから数日。

 眠る狐亭の酒場。

 夜も更け、ほとんどの客が部屋へと引き上げていった頃。

 

「おい、また頼まれてくれ」

 

「はい、今行きます!」

 

 いつものように部屋への配達を頼まれた長女が、上の階へと消えていって一時間。

 一階の酒場の片付けが落ち着き、あとは各自の部屋へと戻るだけになった次女は、カウンターに腰掛けながら頬杖をついていた。

 隣の席に腰を降ろした末娘は「お姉ちゃん、戻らないの?」と頬をつついてくるが、今はそれよりも長女のことだ。

 さっさと降りてくるだろうから、一緒に帰ろうと思っていたのだが、全然戻ってこない。

 店主は苦笑混じりに「もう仕事はないぞ」と二人に言うが、末娘はともかく次女の反応はあまりよろしくない。

 末娘は早く寝たいのか、欠伸混じりに「戻ろうよ~」と次女の肩を揺すっているが、次女は不機嫌そうにそっぽを向き、唇を尖らせている。

 そしてちらりと横を向いて、疲労からか卓に突っ伏し寝落ちしそうになっている、寮の隣室に滞在している女給に声をかけた。

「ふぁい」と寝惚けたまま返事をした彼女に、「妹をお願い」と告げて、次女は席を立った。

 そのまま止めようと手を伸ばしてきた妹の手を避け、階段を駆け上がる。

 

「お姉ちゃん!?」

 

 その背中に末娘は驚愕混じりに声を出したが、当の姉は一瞬振り向いただけで上階へと消えていった。

 

「……」

 

 姉に避けられ、宙をさ迷うことになった手を引っ込めると、先ほど声をかけられた女給が彼女の背中に抱きついた。

 

「早く戻って寝よ。一緒に寝たげるから……」

 

 すりすりと頬擦りしながらかけられた言葉に、末娘は不安そうにしながらもこくりと頷き、抱きついてきた女給の手を掴んだ。

 けれど心配ではないかと言われれば答えは否で、姉二人が心配で堪らない。

 

「……大丈夫、だよね……」

 

「大丈夫、大丈夫。あなたのお姉ちゃんたちでしょ」

 

 女給は優しく笑みながら頭を撫でてそう告げると、「ほら、行くよー」と末娘の手を引いて歩き出した。

 末娘も抵抗することなく彼女に引かれて歩き出し、店主に「お疲れ様です」と一声だけかけておく。

 

 ──とりあえず、明日になったら全部聞き出そう。

 

 胸の中で静かに、けれど確かにそう決めながら、末娘は眠る狐亭を後にした。

 

 

 

 

 

 それとほぼ時を同じくして、眠る狐亭上階。

 姉がいつも宅配をしている部屋は、先日姉から言われて把握しているから、迷うことはなかった。

 けれど念のためと抜き足差し足、忍び足と、足音を懸命に殺す努力をしながら、ゆっくりと件の部屋へと近付いていく。

 急いで階段を駆け上がったので息は荒れて、額にも汗がにじみ、シャツも貼り付いて気持ち悪いが、今は我慢の時だ。

 照明はあれど薄暗い廊下を、普段の倍の時間をかけて進んでいく。

 時折足を止めて、部屋の番号を確認しながら、更に前進。

 さらに数分かけて目的の部屋の前までたどり着いた次女は、とりあえずホッと息を吐いた。

 別に自分は暗殺者(アサシン)でも密偵(スパイ)でもないのだが、本業の人はどれだけの苦労をしているのだと僅かに疑問を浮かべ、頭を振ってそれを振り払った。

 そんな事は本業の人たちが考えるべきことで、自分には全く関係のないことだ。

 額を汗を拭い、薄暗い中目を細めて部屋番号を確認。合っている、間違いない。

 次女は中の様子を探ろうと、扉に耳を当てた。

 

『──っ!~~?!っ!っ……!っ!?』

 

 中から聞こえるのは、女性の──いいや、探していた長女の声だ。

 ぱんぱんと叩かれるような音と、悲鳴のような声が、扉越しでも聞こえてくる。

 

「……っ」

 

 そしてそれは、彼女にとってとても聞き覚えのある音でもあった。

 あの暗い洞窟の中で、自分たちを庇って連れていかれた姉の悲鳴と、ゴブリンたちの嗤い声が、忘れたいあの日々が、頭の中を駆け回る。

 次女は強烈な吐き気と嫌悪感に襲われ、その場にへたり込みながら何度とえづいた。

 暗闇の奥から響く姉の悲鳴が、ゴブリンたちの嗤い声が、ゴブリンたちの欲望にまみれた瞳が、彼女の記憶に絡み付いて離れない。

 

「はぁ……っ、はぁ……っ、……っ!」

 

 身体が震えて、呼吸も落ち着かない。吐き気がする。頭が痛い。涙が滲んで止まらない。

 それでも次女は歯を食い縛り、もしかしたらという一縷の望みにかけて、再び耳を押し当てた。

 その時、きぃ……と小さく軋む音と共に僅かに扉が開き、室内の様子が探れるようになった。

 鍵を閉め忘れたのか、あるいは閉めるのも億劫だったのか、それは定かではないが、ともかく空いているのならやりようが増える。

 そっと扉の隙間から室内を覗いた次女は、有らん限りに目を見開き、漏れそうになった悲鳴を指を噛むことで抑え込んだ。

 彼女の視線の先にあるのは、窓から差し込む月明かりに照らされる大きなベッド。

 一人で眠るには大きすぎるようなそれも、次女にとってはどうでもいい。

 彼女の視線が向けられているのは、その上なのだから。

 

「んん!ん~っ!!んぁっ!んぐ!?んんん……っ!」

 

 愛する姉がベッドに組み伏せられ、黒髪の男に覆い被さられているのだ。

 強引に開かれた足の間に男が納まり、秘裂に極太の男根を捩じ込まれ、熱い口付けをされて声を出すこともできず、両手も男の手に掴まれて動かすことも出来ない。

 逃げることも出来ず、助けを呼ぶことも出来ず、ただひたすらに男の欲望をぶつけられている。

 

「ひぅ!んん!んーっ!っ!!……っ!」

 

 長女は口付けから逃れようと首を振るが、男は素早く顔を回り込ませ、再びの接吻(キス)。

 開いていた隙間から舌を捩じ込み、長女の舌に絡み付いて言葉を封じる。

「んー!んー!」と声をあげる長女を他所に、黒髪の男は蒼い瞳を細め、腰の動きを激しくさせた。

 ぱんぱんと二人の腰がぶつかり合う音と、秘裂をかき回す湿った音を部屋に響かせ、男は長女を自分の欲望を満たすためだけに使い、長女は嫌と声を出すことも出来ない。

 

「ふーっ!ふーっ!」

 

 それを覗いていた次女は憤怒の表情を浮かべ、見開いた瞳を血走らせ、食い縛った歯の隙間から鋭く熱のこもった息を吐き出す。

 

 ──お姉ちゃんを、助けないと……っ!

 

 頭の中にあるのはその言葉だけで、彼女の瞳は既に部屋の中や廊下を行き来てしている。

 ここからなら不意打ちもできそうなものだが、相手は男で、あの筋肉質な体躯からしておそらく冒険者だ。

 

 ──何か、武器にできそうなものは。

 

 殺すまではやらずとも、後頭部に一撃当てれば卒倒するのは人の常だ。

 この際掃除用具でも構わないが、出来るなら真っ当な武器が欲しい。

 

「きゃ!?」

 

 そうやって辺りを見渡していると、長女の悲鳴が次女の耳に届いた。

 慌てて部屋の中に視線を戻せば、姉がうつ伏せに寝かされ、腰だけが突き出す姿勢へと変えられていた。

 男はそのまま長女の頭を枕に押し付けながら、子供の腕ほどありそうな一物を長女の秘裂へと押し込む。

 

「んぁ!?やっ、やめ、んぁあああああ!!」

 

 昂った犬のように我武者羅に、相手のことを一切考えず、自分本位のままに腰を振るう。

 姉はようやく声が出せるようにはなったものの、今の彼女に助けを呼ぶ余裕はないだろう。

 腰が叩きつけらる度に嬌声をあげ、ぞわりと背筋を震わせたかと思えば、接合部から白く濁った液体が吹き出しシーツを汚す。

 次女は目を見開いて殺気たちながら、駆け足でその場を離れた。

 近くに掃除用具入れがあった筈だ。そこなら何か武器になるものがあるだろう。

 そして次女に覗かれていたことも、その次女が諸々誤解をしていることを知らない長女は、身体を弛緩させてベッドに身体を沈めた。

 

「はひゅ……っ。待って、少し休ませて……」

 

 熱のこもった、けれど気の抜けた声を漏らす長女を他所に、男は気にした風もなく彼女のうなじに指を這わせた。

 僅かに残る傷痕を優しくゆっくりと、そして愛おしそうに、さながら愛撫のように撫でてやる。

 

「ん……。ふふっ……」

 

 彼の温もりに驚きながら、けれど嬉しそうに笑った彼女は、首だけで振り向いて彼に目を向けた。

 同時にぎょっと目を見開いた彼女は、「危ない!」と叫んだ。

 彼女の司会に映るのは、どろりと濁った瞳に無表情で箒を振り上げた、愛する次女の姿だ。

 彼女は長女の制止の声を無視し、振り上げた勢いのままに箒を振り下ろした。

 

「っ!」

 

 だが、相手が悪い。

 蒼い瞳の男──ローグハンターは振り向くことなく手を差し出すと箒を掴んで止め、殺意を込めて襲撃者を睨みつけた。

 それと同時に相手が今しがた抱いていた彼女の妹であると気付き、殺意を抑えて小さく溜め息。

 次女は「くっ!」と悔しそうに歯噛みするが、それでも怯んだ様子を見せずに吼える。

 

「お姉ちゃんから、離れて!」

 

「離れても何も、誘ってきたのはこいつだ」

 

「嘘よ!お姉ちゃんが、どこの誰とも知らないあなた何か……に……」

 

 そして正面切って睨みあったからか、次女らようやく相手が何者か──自分たちの、命の恩人である──がわかったのか、その表情を少し驚愕の色に染めていった。

 憤怒の表情からゆっくりと驚愕に目を見開いていく様は、見ている分には滑稽ではあるのだが、当の次女はそれどころではない。

 パクパクと口を開閉させるが、肝心の言葉が出てこずに何も言えない。

 その隙にと腰を動かして彼の一物を抜いた長女は寝返りをうち、慌ててシーツにくるまった。

 

「見られた……。妹に、私が、あんなになっているところ、見られちゃった……」

 

 シーツにくるまりながら身を丸くした彼女は、今にも泣き出しそうな声でそう告げると、次女は表情を青くした。

 姉を助けようと飛び込んできたのに、まさか相手が自分たちにとっての英雄で、姉がいつも自ら望んで貪られていたなど、予想もしていなかった。

 

「……」

 

 居たたまれなくなった次女は、箒から手を離して部屋を後にしようと踵を返すが、

 

「おい、待て」

 

 それよりも早くローグハンターに肩を掴まれ、逃走を防がれた。

 次女は肩を跳ねさせて驚きを露にすると「は、離してください……」と言うが、万力のように凄まじい力で掴む彼の手は離れる様子はない。

 そのままベッド脇に引き戻され、乱暴にぶん投げられて姉の横に寝転がることになった。

 次女が「きゃ!」と悲鳴をあげると、長女が慌ててシーツから顔を出して「大丈夫!?」と彼女の肩を掴んだ。

 

「うん、大丈夫。怪我はしてない」

 

 妹は少々大袈裟にすぎる姉の反応に苦笑しながら言うと、長女はホッと安堵の息を吐いた。

 それと同時にローグハンターが開いていた扉を閉じた。

 なぜ鍵を締め忘れたのかを考えるのも大事だが、今はあの二人のことだ。

 

「とりあえず、仲直りはできたか?」

 

 二人の方に向き直りながらそう問うが、二人の様子がおかしいことに気づく。

 いや、正確には視線だろうか。顔を見ているには下過ぎるような気がするのだ。

 

「……」

 

 ローグハンターが釣られる形で視線を下げると、そこには一応と腰に巻いたシーツを押し上げる一物が目に留まった。

 別に見られて興奮する癖はないのだが、やはり中途半端に終わらされたのは毒だったようだ。

 いまだに臨戦態勢のそれは、目の前にいる二人を狙いを定めたように、固さを増しているようにも見える。

 

「……あー、その、すまん」

 

 とりあえず謝るものの、それだけでどうにかなるほど彼の男としての一面も大人しい訳でもない。

 長女は仕方がないと言わんばかりに溜め息混じりに肩を竦めると、妹に告げた。

 

「あなたは先に戻ってなさい。私は、もう少し彼の相手をしてから戻るから」

 

「え!?あ、でも、私のせい──」

 

「いいの、いいの。元から長丁場なのはいつも通りだから」

 

 妹の言葉を遮った長女は困り顔でそう言うと、ローグハンターに目を向けた。

 発情しているのか潤んだ瞳をそのままに、誘うようにぺらりと舌舐めずり。

 だが「いいのか?」と問うたのはローグハンターだ。

 彼は慣れた動作でベッドに腰を下ろすと、ぎんぎんに勃起した自分の分身を見下ろした。

 

「おそらくだが、一度や二度では落ち着かんぞ」

 

「……いつも通りじゃない?」

 

「……それもそうか」

 

 ローグハンターの警告に長女はあっけらかんと笑いながら返すと、彼は僅かに間を入れてから頷いた。

 今まで、一度や二度で済んだことはあまりない。

 

「そう言うわけだから、あなたは戻りなさい」

 

 長女は話についていけずにぽかんとしていた次女の手を掴むと、そのまま引っ張って扉の前まで進んだ。

 

「あの娘には適当に言っておいて」

 

 そして末娘の事を任せる旨を伝えると扉を開け、彼女の背を押して部屋から追い出した。

 

「ちょっと、お姉ちゃん……!」

 

「お願いね!」

 

 珍しく乱暴な姉に何か言ってやろうと振り向いた頃にはもう遅い。

 ウィンクした姉はそのまま扉を閉めてしまい、ぽつんと取り残された次女は頭を掻いた。

 二人がそういった関係なのはわかったし、何なら応援するくらいなのだが、放っておいて大丈夫かと不安でもある。

 でもまあ、姉に恋人ができたのは、少し寂しいけれど喜ばしいことでもあると、次女は自分にそう言い聞かせて部屋の前から去ろうとすると、

 

『っ!?っ!~っ!?!!っ──!──!!』

 

 中から先程以上に荒っぽい音と、長女の嬌声が僅かに聞こえた。

 部屋を出て数秒足らずで再開とは、僅かばかり節操が無さすぎる気もするが、そもそもお預けを喰らわせたのはこちらなのだから、文句を言う資格はない。

 

「……」

 

 そう、仕方がない。仕方がない、のだ。

 

『っ!!っ!……!……?!~~~!!』

 

 断続的に続く長女の嬌声を振り払い、その場を後にしようとするが、すぐに扉の前に戻って耳を押し当てる。

 あの姉が恋人と一緒にいるのだから、多少なりとも興味が湧くのは仕方があるまい。

 

『―、──!?──!!──……』

 

『……?……?!』

 

 すると長女の弱りきった声と、ローグハンターの困惑したような声が微かに聞こえる。

 その後のやり取りは聞こえないが、何かあったのは確実だろう。

 

「っ……!」

 

 そして愛する姉に何かがあれば、一切迷いなくそこに飛び込んでしまうのが彼女の長所(欠点)。

 バン!と音をたてて扉を蹴り破り、再び部屋に飛び込む。

 何事だと振り向くローグハンターを他所に、彼女は慌てて扉を締めて、とりあえず突っ掛え棒変わりに箒を噛ませて開けられないようにする。

 そのままとたとたとベッドに駆け寄れば、そこには、

 

「へっ……、あ……っ!んぁっ!はぅ……」

 

 ベッドの上で気絶するように倒れている長女の姿があった。

 だらしなくがに股に開かれた足は、彼の精液と彼女の愛液によって白く斑模様が残り、開きぱなしの口からは涎が垂れて頬を汚している。

 次女が出ていって三分足らず。そんな短時間で、彼は一体何をしでかしたのか。

 次女がじっとローグハンターを睨むと、彼は申し訳なさそうに頭を下げた。

 けれど説明するつもりは一切ないようで、黙(だんま)りを決め込むのはいかがなものか。

 おおよそ、昂ったまま長女へと襲いかかり、手加減抜きに彼女を貪り喰ったのだろう。

 次女は困ったように溜め息を吐くと、自分の制服へと手を掛けた。

 しゅるりと布擦れの音と共に制服を脱ぎ、ベッドの下に乱暴に放り投げる。

 残されるのは下着姿の次女で、相対するローグハンターは困惑の色を隠せない。

 

「あー、何のつもりだ?」

 

 そして僅かに言葉に迷う素振りを見せるものの、結局出るのは単刀直入な問いかけだ。

 問われた次女は目を閉じて一度深呼吸をすると、彼へと告げた。

 

「私も、抱いてください」

 

 潤んだ瞳で上目遣いをしながらの頼み事。

 その言葉の理解に数秒費やしたローグハンターは、無言のまま目を丸くしている。

 そして真っ先に否を突きつけたのは長女だ。

 どうにか踏ん張って身体を起こした彼女は、ローグハンターに抱きつきながら言う。

 

「だ、駄目よ。明日も仕事があるの、だし……!ここは、私に、任せて」

 

 はあはあと息を乱し、言葉も途切れ途切れ。

 身体に珠のような汗を浮かべながらの言葉には、どれだけ彼女が必死なのかを二人に教えてくれる。

 だが、次女は首を横に振った。

 

「それなら、二人で分担したほうが楽でしょ?それに、また(・・)お姉ちゃんにばっかり無理はさせられないよ」

 

 次女はそっと長女の身体に残る傷痕を撫でながら言うと、長女は僅かに表情を強張らせた。

 それを言われてしまうと、はっきりと言い返せないのが辛いところだ。

 そして次女も、それをわかっていて言っているに違いない。

 二人に挟まれるローグハンターは溜め息を吐くと、「俺を忘れていないか」と一応の苦言。

 

「忘れてないですよ」

 

 次女は苦笑混じりにそう返すと、そっと彼の頬を撫でた。

 その手が僅かに震えているのは、恐怖と不安を見せまいとしているからか。

 ローグハンターは無言のまま彼女の手に自分の手を重ね、そして問うた。

 

「本当にいいのか?見ての通り、手加減はできないぞ」

 

 ちらりと長女に目を向けながらの問いに、次女は不安そうに笑いながらも頷いた。

 

「あなたになら、乱暴にされても平気です」

 

 そして謎に信頼している旨を伝えると、そっと彼の耳元に顔を寄せた。

 

「私からも、あの日のお礼をさせてください……」

 

 彼女は長女には聞こえないように囁くと、そっと彼の唇に口付けた。

 不意にそれをされたローグハンターは小さく目を剥いて驚くものの、すぐに平静を取り戻して彼女に顔を寄せてより深い口付けを。

 後ろで仕方がないと言わんばかりに肩を竦めた長女は、体力回復のためにベッドに寝転んだ。

 ここからはとりあえず次女に任せ、自分はその次に備える。

 

 ──彼の相手は、大変だものね……。

 

 経験者は語るとは、まさにこの事だろう。

 その経験者がまた増えようとしていることには、目を瞑るとして。

 

 

 

 




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