○秦始皇8年(紀元前239年)魏家殺人事件一日目深夜 秦国北部 温泉町
「…そういうわけで夜分遅く再び集まってもらい申し訳ないが、何せ死んだと思われていたはずの魏家分家四男子が実際は重傷ながらも実は仮死状態で今こうして息を吹き返してこの場に集っているので理解していただきたい」
夜も遅くなった再びの魏家大広間にて、主催した白漂の言葉通りその集まりは彼が述べたメンバーも加えた状態で再び始まった。
集まっているメンバーは困惑しつつも前のとは違って負の念は見られず、特に魏家分家異母四姉妹達は息子たちの生存を知って嬉し涙を流していた。
魏家分家4男子は見た目こそ大量の包帯やギブスで固められていたが、白漂軍医療班による治療でどうにか山場を越して話が出来る状態になれている。
「それでは今この場で最も重要な話を今こそお決めすべきでは? 確かに犯人探しも重要ですが…このような状況では跡目も早くはっきりせねばまた不測の事態が起きた時に…」
それを見計らって叔孫通がもっともらしい理由を付けて魏亶の婿問題を取り上げた。
「き、貴様ぁ! この場で性懲りもなく! もう絶縁したとはいえ弟子であり支援を幾度となくしてきた私を無視して末子である劉端を押すのか!!」
その叔孫通に魏家分家異母四姉妹長女魏潘の息子である藩洛が噛みつく。
すると、今度はその二人を中心に魏家分家の方で口論が巻き起こり、白漂達はその様子に怪訝な表情を浮かべ合う。
「何かあの儒者のおっさんと潘洛って偉そうな兄ちゃんめっちゃ仲悪いな。あの二人に何かあったのか漂?」
「あー信、最初は兄弟順の都合で叔孫通は長女の方を押してたんだが、その間に叔孫通は実家の金銭問題で弟子でもある潘洛より多額の借金をしたんだけど…、それがあまりに額がデカすぎて返せそうにないもんだから、魏潘達を口先三寸で丸め込もうとしたらしいけどこの秦じゃそれだけじゃー抑え込めるはずないから、今度は付き合いで知った魏潘の家の醜聞を弟子も用いて噂で流しまくって金を請求し辛い立場に追い込んだらしい。そんで命が危うくなったら魏潘と一番仲が悪い末妹魏韶の家に逃げ込んでそのまま何食わぬ顔で劉端の後見人に収まったんだと」
「儒者は本当に口と逃げ切りが美味いよなぁ…ん? 何だあの儒者のおっさんとあの女の子…この中で唯一寝巻が変わってる…?」
その中で信は醜態を急速に強めていく魏家分家陣営で一人だけ会話に加わらず、時折り劉端と叔孫通に複雑な視線を向けている金蓮に気付いた。
「ん? 玲花あの嬢ちゃんは誰?」
「あー信君、あの人は末男劉端殿の元婚約者である金蓮さん。でも母親である魏韶さんが息子を魏亶さんの婿にするためにその婚約を無理矢理破棄されたの。けれどもご両人とも内心では反対で、特に金蓮さんは劉端殿を婿に選ばないでって何度か魏亶さんに頼み込んで来てるのを見てるわ…?」
白漂達も自分達の間で小声にて話しを進めようとしていた最中、越が白漂と信の裾を引っ張ってきた。
「ちょっと二人とも、あの偉そうな儒者とお気の毒そうに見えるお嬢ちゃんについてちょっと話があるべ。けれど驚いても大声禁止だべ。どうやらあの二人…気になる体臭しとったんべがどうやら……」
越は二人に周囲には気付かれない声で耳打ちするが、その内容は二人の驚きの顔をさせるには十分すぎた。
「…! それは本当か?」
「本当の本当だべ漂。あの二人の真後ろよりこっそり近づいて嗅いだから間違いないべ」
「そ、それじゃああの二人の前の集まりの時の寝巻は…!?」
「信、お前が考えている以上に凄いことなってる崖上の方の旅館の一室でとんでもない光景の一部になってるべ」
「そうか…ならば…」
そのまま三人は越達が持ち込んできた情報を元に結論を出すと、挙手をして大広場での話し合いに割り込んだ。
「皆さん、ちょっと我々もまた話し合いに戻るのでお話を聞いてもらってもよろしいかな? 此度の魏家分家四男子殺人未遂犯人の目星が付いたようなので」
「「「「「!!!!!!??」」」」」
そして、今この場に集っている面子で最大のネームバリューを持つ白漂が圧を乗せて放ったその言葉は、全員の意識と驚愕を集めるには十分すぎた。
「朔方侯! それでは4人を襲撃した犯人は…!?」
「肆氏、その辺については当方で最も推理で名を上げているこちらの者がご説明する」
白漂に続けて信が注目の場の中心へ移ると彼の視線が叔孫通と金蓮に向けられる。
「なーお二人、あんた達は事件が起きた時…崖上の方の旅館の一室で話し合いをしてたんだよなぁ?」
「そ、それが…」
「ど、どうしたのですか…?」
信の若さと相反するその重苦しい言葉に叔孫通と金蓮は圧迫感を覚えて言葉がたどたどしくなるが、それから信が叫んだ内容は二人を含めてこの場に集っている全員の目をひん剥かせる。
「…その話し合いの時…あんたら肌を重ねてただろ!!」
「「「「「!!!!!!!!????」」」」」
その予想の斜め上を良くないように部屋に集っていた面子の大半が無言の絶句を示した。
((…な、何故それを…!?))
その中での例外である少数派に属する叔孫通と金蓮は顔から血の気を退かせ、脳内はその一念に支配されていた。
(…この表情からして間違いないべ…! この二人の身…特に股間辺りから互いの汗と交わった時に出る色事汁の臭いがお互いので満遍なく立ち上ってるべ…! 事件が起きた当時だけじゃなくこの再びの集まりが掛けられる寸前までまたやり合ってた証拠だべ…!!)
別な意味の少数派に加わっている越がほくそ笑んだ表情で、周囲から疑惑の視線を集めている叔孫通と金蓮を注視している。
中華南方に住まう百越に起源を持ち、その優れた嗅覚を持って刺客や傭兵をしてきたベッサ族でも抜きんでた嗅覚を持つ越にとって、情事で出た汗や体液の臭いを嗅ぎ取り、それを持って誰と誰が何時頃に肌を重ねていたかを見抜くなど造作もない事であった。
越が内心で勝ち誇った笑みを続けている間に信が推理を述べ始める。
「今までの状況と話からして経緯は恐らくこうだ…。先ず…親の都合で婚約を破談させられた金蓮は劉端を魏亶の婿に押そうとする動きを止めるため、中心人物である叔孫通にも頼み込んで劉端を魏亶の婿とする動きを止めるようにと頼み込んだのが始まりだった。それに対し叔孫通は報酬を要求するが金蓮は体を差し出した。だが…お互い取引の為に始めたそれがどんどんのめり込んでいってしまい…本気になった以降に今日も崖上の旅館で肌を重ねていた所で劉端に目撃されちまった。それで盗み見られたことに気付いた二人は口封じをしようと劉端に襲い掛かるが、その際の抵抗で男衆が留守で無防備になっていた神器を運んでた荷車にもぶち当たり、それは崖下目掛けて落下して下を歩いていた他の魏家分家男子たちに落下して三人を意識不明の重体に追い込み、それから直ぐに劉端を殺しかけたってところじゃねーか?」
信の畳みかけるような推理に叔孫通は普段の綽綽として人を何処か嘲ている態度など消えうせ、狼狽が多分に混じった激高した様子を見せる。
「で、出鱈目を言うなこの孤児上がりの小僧が!? な、何の証拠があって―――」
「ぐああああああ!? あ、頭がぁあぁ!?」
「―――!?」
だが、その激高した反論の最中にて事態を恐る恐るとした様子で見守っていた劉端が酷い頭痛に悩まされだした。
「ど、どうしたの劉端!?」
「…あ、頭の中に…な、何故か…崖の上で…そこの旅館の一室で…窓の隙間より…生まれたままの姿で絡み合う…先生と金蓮の姿が…浮かび上がって…!?」
「「「「「!!!!!???」」」」」
劉端が信の推理で脳を刺激されたのか、彼が思い出せていなかった事件当時の頭に重傷を負わされた時の記憶を差していると思わしき言葉が吐き出され、周囲の驚愕は急速に信頼性を強めていく。
「…そういやーおっさんよー、あんた…事件が起きた時と今も寝巻がこの中にいる面子で唯一どっちとも変わってるじゃねーか? 前のは何処にあるんだ?」
「ぐ!? そ、それは…!?」
「獄理! 直ちに手勢を率いて叔孫通が事件当時に宿泊していた崖上の旅館を差し押さえて調べ上げよ!!」
「「「「「ハハァ! 肆氏様!!」」」」」
信の問い詰めで叔孫通が更に動揺を見せると、直ちに現場を押さえるべく周囲が大きく動いた。
「……こ、これは…何と凄惨な現場なんだ…!!」
数分後、文官と将兵達で抑えられた崖上に存在する叔孫通達が泊っている高級旅館の一つは抑えられたが、そこで叔孫通個人が借りている部屋の中を見て獄理が表情を更に険しくした。
「…僕の家の嫁達も何人か小道具系にも興味を強めているけど…いくら何でもこれは頑張りすぎでしょ…」
続けて入室した白漂がやや畏怖すら覚えたドン引きしている表情を浮かべてしまったその部屋は、明らかに彼の前世だろう現代にも通じる拘束台などハードSMプレイにも用いられる道具類が無数散乱しており、糞尿や明らかに怪しい臭いまで放っている薬品までもがあった。
「獄理様! こちらには役所の許可なしでは民間人による所持は禁じられている道具類や薬物などがございます!」
「貴様らやはりこの現場を見られたから劉端氏を消そうとしたのだなぁ!?」
「…ち、違うぅぅ! こ、これは何かの陰謀だ―――」
「み、認めます…。確かに…私は…劉端様と結ばれるため…叔孫通先生といかがわしい関係を結びました…」
「―――あぁ!?」
それらを盾に追及を強めていく周囲に対し叔孫通は動揺を深めつつもなお否定しようとするも、その最中に金蓮が遂に関係を認めてしまう。
「き、金蓮さん…君という人は…!!」
「で、ですが! 私は確かに先生といかがわしい関係を結んでいましたけど劉端様を裏切ってません! これだけは本当です…だって、だって……!!」
婚約を親の都合で破棄されてなお思いを寄せ合っていたはずである相手の裏切りに非難の声を強める劉端であったが、金蓮はまるで矛盾するような反論をしつつも縄を手に取って叔孫通ににじり寄る。
「…だって私は魏亶様の婿に劉端様が選ばれるのを阻止すべくこの隠れ嬲られ大好き被虐嗜好豚儒者と話をしたらその条件としてこの豚野郎を肉体的に道具で責める役目を押し付けられたんですから~!! しかも回数重ねるうちに私も乗るようになって今日も責めまくってたんですから~~!! この豚の身に付いた荒縄で縛られまくったり蠟燭で火傷した痕がその証拠です~~~~!! おかげで劉端様が覗き見していた事にも気付かなくったんですからどうやって人を4人も殺しかけられるんですかアアアァアアアァ!!?」
「な、何をするのだぁこの淫売小娘…あ、ああ~~~~~~~~❣❣」」
「黙れやこの豚儒者アアアァアアアァ!!」
「そ、そんな大きくいかがわしい張方で何を…あ、ああ~~~~❣❓」
「「「「「…………………………」」」」」
そして、金蓮は瞬く間に手馴れて且つ高速という言葉が似合う手さばきで叔孫通の衣服を剥ぎ取って亀甲縛りで天上からつるし上げ、それに対し叔孫通も言葉こそ詰ってはいるが声音からして明らかに喜んでしまっており、それに現場へ集っていた彼の弟子も含めた周囲は唖然として言葉を失ってしまっていた。
「豚はあんたもだろ」
「ぶぼべぇ!?」
どうにか思考が現実へ最初に戻りつつもウンザリとした表情になったナクタが肘鉄を金蓮の脳天に浴びせてその美貌に似合わぬ悲鳴を吐かせて、二人の新たな醜聞が強制的に中断されたところで動けなくなった彼女らを獄理達が調べ出した。
「獄理様ー、確かにこの縄の痕からして事件当時もずっと縛られてたようですこの儒者」
「何だと? では誰が4人を殺しかけたんだ…?」
刑吏達の言を受けて操作が再び暗礁に乗り出そうとしたその時、信は事件現場の一つである崖上旅館の外側窓辺に散らかっている焦げ臭い跡と炭の残滓に気付く。
「…ん? 何だぁ? 灯篭みたいな破片もあるし―――」
「ぐアアアァ!? あ、熱いぃぃぃ! な、なぜそのような所をぉぉぉぉぉ!?」
「―――い…?」
信がその破片に何かを感じて一つを摘まみ上げた直後、劉端が今度は股間と頭の傷口を抱えながら苦悶の声を上げ出した。
「な、何だ劉端!? 今度は何を思い出した…!?」
それに周囲を戸惑わせた直後、劉端は錯乱による勢いを乗せた後頭部で壁を叩いたショックで再び昏倒してしまうが、その際に寝巻の下部分が大きく捲れて中身を露出させてしまう。
「(…!? この異様に伸びている下穿きに…それで妙に焦げ付いてる痕…ぁ、あーー!! そういう事か…!!)おい、ちょっと漂、耳貸して耳」
「ん? 何かまた妙な答え思いついたのか? 今度は何だ?」
「…これさー…多分…“事件”じゃなくて“事故”だぞ」
「え、どういう意味だ?」
「あー、先ずなー……」
それを見て何か答えに行きついた信は白漂の耳を引っ張って推論を話し、そのまま二人は回りの混乱から抜けて自分達だけで小声にて話しを進める。
それからある程度議論を纏めると今度は白漂軍所属女性達が集められるが、その内容に彼女達の多くが赤面して抗議の声を上げ出した。
「はぁ!? そんな馬鹿なわけないでしょ!?」
「そんな馬鹿な事が実際についさっき隣の客室で起きてたんじゃねーか!!」
「そ、それはそうだが女が人前でそのような格好をすることがどういう意味かお前みたいな馬鹿でもわからないわけが無かろう!!」
「別に強制はしないが、参加してくれるなら報酬は弾むつもりだけどね…」
「じゃー私やるわ!」
「ナ、ナミあんた!?」
「わ、私…信君の近頃の推理での成功を信じるわ…」
「はー、玲花だけに恥を掻かせるわけにはいかないわねー…」
「あ、あのー朔方侯…身内だけで何の話し合いを…?」
「あー皆注目―、ちょっと今回の事件の解決のためにちょっと当時の状況を再現したいんだ」
「え、ど、どういうことですか?」
「あー、まずは―…」
そのまま自分達だけで密談を進めてある程度まとまった所で気付いた外野に話しかけられると、やや気まずそうにしながらも覚悟を決めた表情の白漂は周りを巻き込んで仕切りだしていく。
「…はーー、何度浸かってもいい湯だなーーー…」
そして、十数分後になると劉端は実験発生直前と同じく崖上の方の露天風呂に浸かり、身がまだ温まっている状態で一同が集っている崖上の高級旅館の外側に戻ってきた。
「はい、劉端君これを飲んで」
「え、何ですかこれ? 丸薬みたいですけど…」
そして、叔孫通達が泊っていた部屋の窓辺の外側にて白漂に渡された何らかの薬を口にした。
「よーし、皆ーここに集まってくれー」
次に白漂の号令で、劉端の再入浴の間に命令で着替えに向かって戻ってきたばかりの白漂軍所属美女将兵達が寝間着姿にて二人の前へ集っていくが、彼女達は思い思いの表情をしつつも概ね羞恥や興奮などで頬を赤く染めていた。
「それでは皆ーーーーーー…開幕!!」
「「「「「…!!!!!!」」」」」
そして、白漂の号令を受けて女性達は一呼吸の躊躇いを見せつつも、ほぼ同時に意を決した表情で身に纏う寝巻を勢いよく脱ぎ捨てた。
「な!?」
「こ、これはぁ!?」
彼女達のその行動で何も知らない外野達が次に目にしたのはこの時代では普通目にすることが無い光景であった。
「…ぅ、ううううぅ…!」
「ナクタさんしっかり」
「ぅ、うぅぅぅぅ…こ、これも任務なのですぅ…!」
「そんなに硬くならなくてもいいのよー」
「はい、見るのは良いけど一人十金ずつよ♪」
ナクタは今にも泣き崩れてしまいそうな羞恥に満ちた表情で白い素肌と引き立て合う黒の、同じく赤面しつつも何処か慣れた表情で玲花が赤ので、ホノカはズレた使命感でそのトランジスターグラマーな肢体をピンクので固め、それを宥めつつもステラは余裕ある微笑みを添えた水色ので固めたグラマーな白人系女体を晒し、ナミはオレンジ色の僅かな布地で秘所を隠したナイスバディを示しながら金を請求しだすなど、女性達が気品を感じさせつつも艶美さも醸し出している各々の身と映え合う下着で着飾った己が身を曝け出してしまったのだ。
「「「「「ぶーーーーーーー!!!!??」」」」」
その光景に肆氏ら真面目な面子は一斉に吹いた。
「…ぅ、ぅううううう…く…ぅううううう…ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!????」
そして、あまりの事態に始め呆然としつつも男の性で美女たちの痴態に欲情を覚えた劉端の呻き声染みた咆哮と共に、彼の男根が今にも新調された下穿きまで突き破らんばかりのサイズと勢いで隆起した。
「な、何という巨根だー!!」
「饕餮様よーーー❣❣」
「うちの将軍様の次の次くらいにはご立派ですよー!!」
「ホノカその間の二人って誰!?」
「ぐぁアアアアアアアァアア…!!?」
それに周囲からは驚愕や羨望に欲情を示す叫び声が上がるが、あまりにも男根への急激な血流の集中で貧血でも起こし始めたのか、劉端は身と男根を苦悶で振り回しながらのその顔から生気が薄れていっていた。
「な、成程なー…やっぱそういう事だったか…ぶべぇ!?」
それに妙な納得を見せる信だったが、そこで赤面しつつも怒りを見せた河了貂が彼の脳天を木槌でぶっ叩いて締め上げてきた。
「そういう事かじゃなくてこれ何だよ!? 実行犯は漂だけど話の流れからして主犯はお前だろ!?」
「お、落ち着け落ち着け! 説明するからその危ないの降ろせ! 俺はさっき劉端がぶっ倒れた際に気付いたんだ! あの野郎の股間には漂ほどじゃねえけど荒ぶる饕餮が潜んでいたことによぉ! 事件の流れはこうだ…! 劉端は温泉から上がった後の血流が凄く良くなってる状態で叔孫通と金蓮の姦淫に気付いちまったんだ。それに目を奪われたんだけどその余りに過激すぎる内容に良くなっていた血流にも押されてナニへ血が集まりすぎてそれで貧血を起こしちまったんだよ! まー今回の検証はその時と比べりゃーまだ軽い内容だったからさっき漂に丸薬型の媚薬をあいつに飲ませてもらったけどよー…。話は戻るが急激な勃起で貧血を起こした劉端はふらついていた所でナニが部屋の外側窓辺を照らしていた灯篭を押し倒した勢いでそれと下着に火が付いちまったんだ。当然男のアレに襲った火に貧血で意識が朦朧としていた奴は狂乱状態になってそれを消すべく崖の縁の水辺に向かったんだが、そこには若人衆が休息をとるために一時放置していた神器を似せた荷車があったんだよ。狂乱状態になってた劉端はその勢いのまま荷車にぶち当たってその際に頭から出血する勢いで重傷を負って意識を喪失。そんでぶち当たられた荷車は崖から叩き出されてその下を歩いていた他の魏家分家四男子に落下! こいつが今回の事件改め事故の構図だーーーー!!」
「「「「「…………………………」」」」」
信が自信満々に言い放ったその名(もしくは“迷”)推理を受け、始めに内容を知らされていた面子を除いて周囲は唖然とするほかなかった。
「…おい、お前のここ一帯で起きている事故や事件での活躍は事前に聞かされているが…いくら何でもそのような下世話すぎる伽話みたいなのが現実で起きる訳が―――」
「ああーーーーーーーーー!!?」
「ぐ!?」
「―――あ…」
十秒ほど経過して理性が現実に戻った肆氏が至極真っ当な疑問を口にするが、その最中に劉端が信の推理を実証するかの如く、新たに設けられていた灯篭を貧血によるふらつきで振り乱されている男根で倒してその火と油をそれに浴びてしまい、悶絶の悲鳴を上げ乍ら荷車が止められていた崖の縁の水辺目掛けて進路上にいた白漂を突き飛ばしつつも駆け出した。
「自分の罪から逃げるな劉端ーーーーーー!!」
「ぶぼべぇ!!?」
そして、獄理の制止の声も空しく、劉端は池の畔に達した所で木の根で挫いてその勢いで適当な若木にぶち当たり、その勢いで若木はへし折れて地面から離れると崖の下へ引力に引かれて落ちていき、残された劉端は衝突したショックに止めを刺される形で水面に落ちて水飛沫を上げた後、プカプカと白目を剥いた意識が無い状態を晒しだした。
「…この検証とこれまでわかった証拠からして、信殿の推理通りのようだな」
「じゃー本当に事件じゃなくて事故ってことか。よかったじゃねーか」
その光景に周囲が複雑な思い抱きつつも納得と安どの安堵を色を示していた頃、此度の不祥事を調べていた文官の一人が肆氏に話しかけてきた。
「あ、あのー…叔孫通の部屋を調査しているのですが、あのいかがわしい道具類の幾つかよりカラクリ仕掛けで秘密の収納空間が発見され、そこから連中とこの場一帯に潜入している各間者共や内通組織との密書や計画書等が発見されました。更にーその名簿には魏家分家の方々も載っていましてー。どうやら魏家宗家の方々を冤罪で嵌めて宗主の地位も奪うみたいなことも考えていたようです…。荷車の下敷きにされた時に他の男子三名が一緒に歩いていたのもそのやり取りの為だったようで…。それと崩落で塞がれていた洞窟も外部から気付いて駆け付けた白漂軍の別部隊で今さっきどうにか掘り出されて外部と繋がったようです」
「…あ、ああ、それは良かったな―――」
「よ、良いわけがあるかぁ!?」
「―――あ…」
その思わぬ棚から牡丹餅的な朗報に肆氏が苦笑いを浮かべたその時、途中から忘れ去られていた男の声が割り込んできた。
「で、弟子やこれだけ大勢の前でここまでの醜態を暴露された挙句にこんな阿呆な事態で罪を曝け出された私の立場はどうなる!? 既にこの間にて絶縁状を叩き付けて出奔という形で逃げ出した弟子共の口から直ぐに今回の痴態は広まる! そうなると妻子の耳にも間違いなく入る! 例え罪から前みたいにうまく逃げてももう中華中に今回のことは広まるからもう何処にも再仕官出来なくなる! もう何もかも私は終わりだ! どうしてくれるんだ!?」
「(…これが前の生の歴史では漢朝功臣の一人になったこのおっさんの姿か…? いやー…案外同姓同名同職業の別人かも…まー今はそんなことどうでもいいか…)いやー…そんなの全部あんたの自業自得だ…ろ?」
プレイではなく刑吏の手で縛り上げられた状態になっている叔孫通の醜態極まる咆哮に、白漂は非常に微妙そうな顔を向けるがその最中に妙な熱くも慣れない人物の視線を感じる。
「…………………………」
その視線の正体は、叔孫通と同じく縛られた状態ながら彼に対する興味を失ってどういうわけか自身に目が奪われた表情をしていた金蓮であった。
「え、何をそんな熱心に見て―――」
「将軍…下を向いてください…」
「―――え…あ…」
それに戸惑う白漂であったが事件現場にいたヘビの言葉でようやく外野と共に理由に気付く。
「これもまた劉端を凌ぐ巨根だー!」
「こちらにも饕餮様がー❣」
同じく気付いた外野が示す反応の通り、先程狂乱した劉端に突き飛ばされたショックで腰帯が外れたのか白漂のボトムと下穿きは下へずり下がっており、事件に気を取られていた白漂の意識の範疇になかったのを良いことに先程の美女達の痴態で血を集めていきり立った愚息の存在があった。
「……と、とりあえず…此度の事件と…婿選びはこれで終息になるのかしら…?」
何とも痴態に痴態を重ねた締まらない結末に、現場に集っていた一人である魏亶が非常に微妙そうな乾いた苦笑いを浮かべていた。
そして、今回の事件改め事故の結末を受けて自分達とこの地を含めた北部一帯を新たな問題が襲うことになるなど、彼女も含めてこの場にいる誰一人として現時点で気付ける者はいなかった。
今回の話の元ネタは、イブニングにてその可愛い絵柄とは裏腹にシュールな描写とブラックジョークで人気を博したあのオカルト推理系(?)漫画が元ネタです。
今回の事態を受けて、次回より魏亶達を新たな騒ぎが襲う予定です。