○秦始皇8年(紀元前239年) 中華中央部 韓国西部 某城砦○
「ぎゃああ!?」
「や、止めろぉ! 止めんかぁ!」
「し、仕方ねえだろ! ちくしょおお!!」
「お、同じ韓人だろぉ!?」
白漂達が定期的な領内における間者の炙り出しを行った後で匈奴情勢について聞いていた日より数週間後、中華の中央に位置して戦国七雄最弱と評される韓の戦場で凄惨な現象が度々起きていた。
同じ韓兵同士での殺し合いが多発していたのである。
「お~お~、派手にやってるこった」
その光景をやや離れた丘陵に布陣して見物している軍があったが、旗印などからしてこの地に侵攻している秦軍なのはわかるが意匠や顔付きなどからして無法者という言葉が酷く似合っており、本陣の中心に位置する机にはあろうことか豪勢な料理が並べられていて、その一席には左目に円形状の刺青が入った巨躯の男がこの時代にはないはずのコーンパイプを思わせる煙管を吹かしながら料理に手を付けていた。
「ほっほっほ、今度は黄河から取れた大魚の杏子酢漬けの煮物ですよー。南で元々闇商及び水賊兼傭兵していた雷土さんの伝手で入手した蜀南以南の胡椒に肉桂をふんだんに使用してます」
「お~、お前らやっぱ似非軍師や半水賊止めて料理人と闇市に専念した方が良いな摩論に雷土」
「ふふふ、今のは最高の誉め言葉と受け止めておきましょう黒桜さん」
「おめーはどんな食材もゴミにしちまう腕だからな」
そうした料理を運んでいるのは髭を中心に身なりが整っているが胡散臭い雰囲気が強い魔論という男で、左目の周りに入れ墨を入れた大男である雷土、一応美人の範疇に入っていてスタイルは良いが目つきが悪い女性たる黒桜が悪口を挟みながらも喜色を見せていた。
「…本日の主食ですぅ。僕の先祖の馳走である“トロイアのブタ”ですぅ」
そして、摩論に続いてそのソーセージや果物などを詰め込んだ豚の丸焼きをそう呼びながら現れたのは、他にいる面子と違ってコーカソイド系に属していて見た目は幼く整った面貌をしているが歯がギザギザである意味にて彼以上に怪しい雰囲気を纏った少年であった。
「ふふふ、能天気そうに見えて今回の戦同様にその実はいつも用意周到で丁寧な仕事ですアグリッパ君」
「おー、それは真ん中に置いとけアグリッパ」
魔論がその料理を受け取っている様子を、同じ机を囲んで酒を飲みながら見ている男がいたが、そのものは非常に底知れない闇を感じさせつつもそれを得体のしれない妖艶な色気に変える男だった。
「あー、それと想定通りに一刻前に韓側が人質の救出をしようとしていましたがこっちで打っていた五十二ある対処法の三番目で殲滅に成功しましたぁ。今は生き残りを砂鬼さん達によって占領下城邑で見せしめにしてるところですぅお頭ぁ」
「くくく、あいつはお前みたいに面白い奴を掘り出したり拾ってくるのが上手いなおい」
「お誉めに預かり光栄ですぅ。まー、どういうわけか普段色々自縛してるけどやる時はほんとえげつないあの人を間近で見て育ちましたからねぇ…」
周囲からお頭と称されているその男に敬意を表しつつ、アグリッパは時折り懐かしそうな眼差しを北方に向けていた。
○秦国北東部 対燕前線付近 某山間部○
「…へっくし…これが例の城塞か」
「この地に来るまでの掃討は順調に進んだけど、明らかに遊牧民だけの技術じゃ作れる代物じゃないなぁ。周りは騎兵泣かせの泥濘の湿地で更に色々匂いがするし…」
「どうやら金山の探査と採掘は他所から誰かが吹き込んだらしい。その資金力で兵と武器を集めてこちらの傘下民族の領域を荒らしてたから討伐に来たけど…、あの本拠地は遊牧民の技術と経験だけじゃ作れる城塞じゃないね」
韓方面で交戦中にもかかわらず秦軍の一角で宴が催されていた頃、時々くしゃみしつつも白漂は動かせる軍勢を引き連れて燕との国境に近いある地域の平定に出向いていた。
叔孫通の一件で趙方面への大規模侵攻は出来ない状態であるため、国内に残留している不穏な勢力の掃討に注力している政策の一環であった。
その件の地は背後を新たに見つかった金山がある険しい山地で守られ、他の三方は泥濘に守られて、中心部に土塁とそのための土を掘りだした際に出来た穴を水堀として再利用した遊牧民泣かせの砦であった。
「…そうだな、とりあえず黒羊で用いた筏の用意を…?」
白漂が櫓の上より攻略の為の穴探しをし始めようとしていた頃、湖沼地帯を構成している河川の一本の上流より誰かがプカプカ浮いた状態で流されてきた。
「え、えーーっとあれは…まさか…」
「おい、あそこを誰かが流れてるぞー」
「とりあえず引き上げろー」
その誰かに白漂は非常に嫌な予感と懐かしさを覚えるが、現実は天邪鬼な事に近場の水辺にいた信達が引き上げてしまう。
「…で、でけーおっさんだなー。蒙恬の親父の蒙武将軍よりもデカいし。何つ~か眉毛が繋がるくらいに太いし…」
「………………」
数分後、引き上げられたその巨漢の物珍しさに信達を始めとして白漂軍各隊から野次馬が集まってきたが、その中に無言で混じってきた白漂の顔は大きく青ざめていた。
「…え、えーーッと…何故この男がこんな所に…」
「どうなされた白漂将軍、先程部下達が顔色を悪くしながら走っていくのを見たと…!?」
続けて紅武が怪訝そうな表情で現れるが、その彼も流れ着いてきた男を目にして表情が大きく引きつった笑みに変わってしまう。
「…な、何故だ…!? 何故この男が此処に…!?」
「え、な、何だよ紅武の兄ちゃん、そんな顔色を悪くして…!?」
「信! 詳しい事は後で話す! それよりも今はこのおっさんを川に戻せ―――」
「ふああああああああ、あ~~~何か悪い夢見たぁぁ……」
「―――え…あ…」
だが、その大男が目を覚まして上体を起こした所で紅武の引き攣った叫びは止まり、代わりに白漂は血の気が退いた能面を浮かべつつも内心で陣中一帯に響きかねない悲痛な叫び声を上げる。
(春秋戦国版両さんこと燕の強欲破壊神大将軍梁魁が何故ここにーーーー!!??)
後に、色々な意味で春秋戦国末期を代表する大将軍達に加わる二人である、秦の白漂と、彼と前世で色々な縁があったM字型太眉強欲警察官を思わせる燕の梁魁の久方ぶりの再会がこれであった。
○秦国外西方 中東 バビロニア王国 王都バビロン 秦国人会館○
「…ん? 何だか今さっき兄も世話になっているあの人の珍しい悲痛な叫び声が聞こえたような…?」
白漂がこの世界で出来た知人と嫌な意味で再会を果たしていた頃、ある時間軸の歴史なら既に滅びているはずの古代バビロニア王国にある秦国人やそれに恭順している友好民族達が多く住まうバビロンでの会館で、蒙毅は怪訝な表情を西に向けていた。
この会館は白漂や楊端和による活躍で秦と対西方貿易の拡大に伴い、秦人商人による活動も史実以上に広まった結果、あろうことか此処中東まで達するとこの地を治める有力者に気に入られて建てて貰えた施設の一つである。
その施設の大部屋で蒙毅は現地に留まって活動している者達や、行き来している者達と共に世間話を楽しんでいた。
「…し、しかし途中で通ったセレウコス一族が治めるペルシア王国も文化が違うだけで…何処も中華と文明の質も規模も劣らん国ばかりだ。これでは西戎等とは言えんぞ…。何処も中華の七雄並みに仲が悪いから国境の検問などで何度かヒヤリとした思いをさせられたが…」
「百年前に西方のマケドニアという国より来りて活躍した大王が一度は周よりも広い範囲を武力で統一したようですが、その臨終の際に後継者の公表を求められたら“ヘラクレスに継がせよ”という遺言を残したのが原因のようです」
「ヘラクレス? どういう意味だ?」
「大王がいたマケドニアも属するヘレネス人の神話に伝わる最強の英雄の名のようです。どうやら…“最強の強者が王位を継ぐべし”という意味だったらしくて、大王の何人もいる息子や娘婿になっていた有力な臣下達がこぞって独立して覇権を争いだしたのが始まりなようで…。それ以前に大王は本国マケドニアと更にそれ以西の属領からも人民をここ東方へ移住させたりもしたようですがそれは置いといて、内戦は西はローマやカルタゴに東はインドという地域まで巻き込むすさまじい戦争だったようですよ。その頃よりかは収まってますが今でも断続的に続いてますし…。秦の現北部や今の西の山界に異人種が多いのはその時の難民が中華の周辺まで数百万単位で逃げてきたのが理由なようです」
「「「「「……………………」」」」」
この地を苛む中華並みかそれ以上の戦乱が始まったあまりな理由を蒙毅に聞かされて、周囲の秦人達は非常に微妙な沈黙に陥る(ちなみに、ある時間軸におけるディアドコイ戦争やその前の東征などで発生した難民には中華西端に位置する秦まで逃げていたグループもあったらしい)。
「…ま、まあ我らにはあまり関係ない話だからとりあえず次に帰る面子には何を持たせて帰らせようかの話し合いをしようではないか。奇遇な事にもっと西に位置する大海のまた向こうに位置するカルタゴから来た豪商の友人が物珍しい品を持ってきましたしのう」
十数秒経てバビロニアに留まって活動している秦人の一人が無理に笑顔を作りながら、机上に何種類かの植物とその種子を広げ始めた。
「何ですかこれは?」
「そのカルタゴに面している地中海なる大海の西にはまた別の大海があるのですが…そこを更に西に進むと別の大陸があるらしく、そこでは米や麦が無い代わりにこれらが主食として栽培されているようで…、珍妙ですが良い味で更になんでも瘦せた土地でも栽培出来るという代物で…」
「何やら稲穂を大きくしたような黄色い粒がたくさんついた野菜じゃのう…ぬお!? 甘い!」
「こっちは大根みたいに根を食すらしいが、何やら片方は長くて歪な形をした赤紫色の太い根がたくさん生えてて、もう片方が薄黄色で丸っこい歪な膨らみがたくさん根に生えているな…」
「こっちの赤いのは甘酸っぱくて瑞々しいな…」
「端っこの小さくて細い赤いのはーー…か! 辛い!?」
それからしばらくの間、中華では見慣れない植物とその味に秦からの来客一同は思い思いの反応を示していた。
○秦国北東部 対燕前線付近 某山間部○
「…………戦局はこの地に到着するまでは至って予定通りで問題なし。問題は…」
「…ん❤️ はむ…❤️ ちゅるうぅぅぅぅ…❤️」
蒙毅達がバビロンの都でお土産の選定を考えていた頃、正反対の東方に位置する秦の北東部の僻地で、白漂は下から淫靡な水音と艶のある声を小さく立ち上らせる机に地図を広げて現在の戦況を洗い直しつつ攻略法を思考していた。
「…ぷはぁ…❤️ 朔方侯さぁん…何かお考えは浮かばれましたふぁあ❓」
ちなみに、その机の下で淫靡な音を掲げているのは、白漂のボトムにあるチャックを開いて露出させた男根を自身の丸出しにした巨乳で挟み込んだホノカで、彼女は亀頭から口を離すとやや心配そうな上目遣いを向けてきた。
「…いやねえ、やっぱ昼間にて現れた招かれざるあの客の事がねぇ―――」
「そらそらそら! 行くぞ行くぞ行くぞーーー!!」
「うわ! あのおっさんもう櫓をあんなに!?」
「デケぇのにめっちゃ器用で速いな!」
「―――えって…ここでもちゃっかり馴染んでるし…」
その白漂の眼差しは本陣の巨大ゲルの窓に見える反抗部族の砦を包囲する施設の建設現場であるが、そこには白漂の考えで雇われて仕事を割り振られている梁魁がいるので非常に早く進んでいた。
ちなみに、この状態は紫夏と共に中華中を行商と見聞を広めるために白漂が回っていた一環で燕を訪れていた頃、知り合って交遊を色々な意味で深めた梁魁の金になる作業をやらせておけば他の事には見向きもしなくなるという特性の一端を嫌な意味で思い知らされていたためである。
「…でもぉ…❤️ こんな夜でもぉ作戦とかいろいろ考えて難しそうなお顔してるのにぃ…❤️ 夜に訪れる私達の為にぃ男根をこんなに元気にしてくださるなんてぇぇ…❤️ やっぱり朔方侯さんはぁとっても強くて器用な人ですねぇ…はむ❤️」
そうした方面も含めて此度の攻略戦の手順を思案しつつ、ホノカの芯の筋肉で美麗な形を持ちつつも柔軟に形を変える巨乳の甘美な圧迫を受け、白漂の愚息は彼女の着々と上達を見せる舌技と合わせて薄皮一枚一枚舐め剥かれて吸われるような快楽に更なる膨張で答えていた。
だが、その甘美な時間の狭間に白漂は鼓膜をこの地では本来効かないはずの音曲で振るわされてしまう。
「…? これは近場の集落からのだけど…? 趙の曲―――」
「んんん❣❓ んんんんーーーーーー❣❣」
「―――う…♪」
本来はこの地の民にとって因縁深い相手のそれであるはずの歌曲を耳にして白漂は怪訝な顔を浮かべるが、その隙を突かれてホノカの甘美な乳圧と舌技で高められた熱で陰嚢の導火線は瞬く間に全焼して白濁の打ち上げ花火を彼女の口内に打ち上げてしまう。
「……ぷっは…❤️ 朔方侯さんのぉこれだけ胃にたまったのにぃ…じゃあ、次はぁ私の中にぃ―――」
「ごめん、ちょっとホノカ出かけてくる。何名かと共に変装して付いて来て」
「―――い…ぇええー、そ、そんなぁ…❤️」
それらを数秒掛けて小柄に似合わぬ大きな胃でホノカは飲み干すが、第二射を自身の子宮で飲み干すべく机の下でボトムと下着を脱ごうとしたところで、白漂は彼女から離れてしまったので甘ったるい悲鳴じみた未練を口にしてしまった。
「…よーし、皆付いて来てるかー。確かこの辺だったけど―…あ、いたいた」
数分後、白漂はいつも通り変装して輝漂に扮して同じく姿形に名前を変えた親衛隊達と共に軍の御用商人を装って、この地へ進軍する前に帰順を表明して軍を受け入れた同地の集落の音色がしてきた場所を目指していたが、そこで歌い手の姿を見つけた。
「…石の都を出て馬に焦がれ 邯鄲の酒を酌み交わし 草原を駆け…」
歌い手は白基調のフード付き衣装を被って、小さな竪琴を奏でている白人系の血筋を感じさせる美少女だった。
「…こんばんわー、ちょっとお邪魔していいですかー」
「え、誰…?」
その美少女に輝漂(白漂)は平凡な若い行商人スタイルで何気なく声をかけ、少女は少しドキッとしたが物珍しいものを見た歳相応の驚きと興味の眼差しを向けた。
「実はー僕達ーここに来た軍の人達と場を貸してるこの集落の人達に商売が有ってきたんですよー。良ければその歌を詳しく教えながら案内してもらえませんかー?」
「…それならいいわ。こっちよ…」
何だかんだで相手とメンタル面での距離、特に女性とのそれを詰めていくのが上達している輝漂(白漂)は、年若く未熟な少女の警戒心を解いて難なくその集落への深入りに成功する。
元々、先の交渉で秦に帰順することはわかっていたが、どういうわけか将兵を村には深入りさせないという条件で協力を得ていたので、白漂が集落内部に深入りするのは今回が初めてであった。
その集落にある長の館の一室に案内され、輝漂(白漂)達は見つけた少女であるクヴェリアと談笑を重ねて昔話について聞かせてもらえるようになっていた。
「…今から六十年前、当時の趙王は武霊王で、ヒョンナ*1とかの国は交遊を持っていたの。この村を始めとしてこの地にある集落の多くはその時代に趙人と交わった人の末裔なの。だけど…その次の恵文王の時代に、その王と当時は主父を名乗っていた武霊王は内戦を起こし、ヒョンナは後者の方と恩義があったから付いたんだけど、歴史が記す通り武霊王は息子に包囲された状態で餓死して、両者の関係はそれから急速に悪化して戦乱に明け暮れるようになったわ…」
「沙丘の乱ですか…」
「…それから数十年して、それまで初代統一者を始めとして歴代単于を輩出してきた赤沙種統大人の家で若い男子が途絶え、その前から他の有力者達の急死に伴って地位を高めていた屠各種が単于の位を継いだの。だけど…知っての通り李牧に雁門で大敗して先代の単于が戦死し、頭曼様が継いだのだけど林胡や東胡が離れて秦について、更に頭曼様も重病にかかってヒョンナは再び内乱がいつ起きても可笑しくない状態になったわ。それで、幾つかの種族や部族は安定と庇護を求めて新たに北へ手を伸ばしてきた秦燕へ鞍替えを決めた。この集落に住んで一帯の種族を治める…私の兄もその一人…」
言葉が進むにつれてクヴェリアの表情に浮かぶ複雑な色は強みを増していく。
「昔は平和な地だったのよ。ヒョンナを中心に各民族間の紛争は無くなって…趙を通して石の都と隊商達が多く行き交っていたわ。私達は古老達の話や古歌でしか知らないけど…」
僅かにクヴェリアの表情に喜色が蘇った所で、輝漂は一つの多い質問を投げかける。
「…さっきの単于を前に出していた赤沙種大人の家だけど…、男子の方はいなくなったらしいけど女子の方は…?」
「…亡くなった男子が残された女系の方で…続いているわ。最も二人だけで…更に2年前に起きたヒョンナと秦・東胡連合軍の戦いの後で…片方が行方不明になったけど…。残されたもう一人の方も病弱という理由で殆ど表舞台に出されてなくて、今ではもう死んでいるという噂も―――」
「クヴェリア!」
「―――ぉ…あ…」
だが、その問いにクヴェリアが答えていた最中に咎めるような叫びが割り込んできた。
「忌まわしい輩に纏わる話をするな!」
その声と共に現れたのは、クヴェリアの兄で似ている端正な顔立ちだが深い傷跡が多数目立つ青年で、この地を治めるラヴァーンであった。
「……!!」
兄の登場にクヴェリアは悔しそうに目を瞑って目尻に涙を浮かばせつつ部屋を飛び出すように立ち去った。
妹が去って数分経過して気配が消えると、ラヴァーンは輝漂(白漂)達に振り向く。
「…申し訳ありません。妹が見苦しい所を見せましたな」
「いいや、こっちもこの集落が何処か距離を置いた付き合いをしようとしているのが気になって、勝手に探りで来たから責める理由はないよ」
そして、妹と違ってこの部屋にいる客人達の正体を既に見抜いていたラヴァーンと、輝漂改めて白漂は正面から向き合い直した。
(…あれ? 何かあの人の背後にある古い女武者さんの肖像画…、里甲さんが見せてくれた朔方侯さんのお母様のそれととっても似てる…どうしてだろう…??)
その末席に加わっているホノカはラヴァーンの背後に掛けられている掛け軸式肖像画の内の一枚が非常に気にかかったが、それが主君の生まれの発覚とそれで引き起こされるこの北の地での大激変の切っ掛けの一つになるなど、この時点では誰も知る由は無かった。
あの漫画で見たシーンのオマージ…というかほぼ引用ですが、本当に名作だと感じますあのダークファンタジー漫画。
次回から、ある人物がこの地に来た理由とそれにまつわる色々スキャンダラスな話も明るみになる予定です。