※この作品はR-18です。

天下の大将軍になる!! ~夜の睦言~   作:oosima

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今回は本作設定の影響から来る史実にはない事件が表に出ます。


126 一つの死が周囲へ大に響く時がある

 ○秦始皇9年(紀元前238年) 秦国北部 対匈奴(ヒョンナ)前線山岳地帯某城砦○

 

「…へっきし、あー…近頃は暖房器具のある城内暮らしが続いて…ここに来るのは戦時除けば夏場くらいだったから…この時期のここの寒さは身に堪えるようになったわねー…」

 

 匈奴(ヒョンナ)から秦燕双方に対して実質的な降伏の申し込みが成されて、それを白漂がナミとの会話で何となく口にしてから一週間後、そことの国境にある山城に設けられた駐屯地でセレーナが身を寒そうに擦っていた。

 

「…寒いよー、何年過ごしてもここの冬って寒いよー…」

「あんまいうな尾平! こっちももっと寒くな…ぶへっきし!」

「な、夏場は地元と同じくらい温まるのに…気温が極端すぎだろ…!」

 

 寒暖の差が激しい砂漠のオアシス地帯に出自があるセレーナでさえそう愚痴るのだから、ここより南方の中華に生まれた者達はそれ以上に悲鳴を上げていた。

 春秋戦国時代の中華地域は後代よりも温暖であったらしいので断言は難しいが、後代のモンゴル地域の寒冷期は氷点下30度を下回ることもあり、それはこの世界の北方地帯も同様であった。

 それに反映された雪原を複数の橇が走り抜けて白漂軍が駐屯している山城に近づきつつあった。

 

「お、“犬橇”だ」

「方角からして匈奴(ヒョンナ)方面からだな。何かあったのか?」

 

 それは白漂軍で家畜化された狼や犬を用いた犬橇であった。

 調練がし易くて嗅覚に優れた犬の有効性を知っていた白漂の発案で実用化され、特に雪が深く降り積もって馬が使用できない時期や地域で多用されていた。

 

「白漂将軍、新たに匈奴(ヒョンナ)内部の内通者からの情報です!」

「ご苦労、そっちのまだ未読の棚に置いててくれ。日付は間違わないようにね」

「ハッ!」

 

 その犬橇で伝令が駆け込んだのは山城の本丸で、そこで白漂を中心として大勢の文官武官が日々更新される情報の整理とそれらへの対策に当たっていた。

 

「今度はどのような情報が入られましたか?」

「闘病状態にあった頭曼が昨晩に亡くなったようだ。送り主の名からして間違いない」

「「「「「何ぃ!!?」」」」」

 

 その中で本日の今になって来たそれは白漂以外のものには今日一番の驚きをさせるには十分のものだった。

 

「……………!!」

 

 そして、その内容は白漂と幕僚達が机仕事に駆り出されている執務室と壁一枚を挟んだ廊下にいた綴にも声こそ上げさせなかったが喜色よりに驚きの表情を見せた。

 

「…………」

 

 その綴が受けた衝撃の大きさは、背後の物陰よりいつもの彼女なら他者と違い気配程度は微かに嗅ぎ取れるはずの盗み見している羌瘣に気付かせぬほどだった。

 

 

 

 

 

 ○趙国北西部 某山村○

 

「…この辺りに来るのは久々だな」

「ああ、でもなんか…気のせいか、匈奴と直に接していた頃よりも賑やかになってる気が…」

 

 秦側に大ニュースが飛び込んできていた頃、燕からの密入国ルートを介して秦側に侵入して北への期間途中にあった白漂軍を盗み見していた例の一団は、秦側に三方を取り囲まれた状態にある趙の北西部を通っていたが、彼らは懐かしくも違和感を禁じ得ない表情を浮かべていた。

 

「…それがどうやら商業に限ればの話ですけど、秦側との取引には向こうが殆ど規制を設けてないのが理由らしいで…!?」

 

 一団が記憶にあるよりも賑わいのある様子に不審を覚えながら先を急ごうとしていたところ、彼らが進んでいる市場で小競り合いが起き出した。

 

「秦なんぞに魂を売りやがって! 北狄の次は西戎の連中に尻を振るうってか!?」

「匈奴とかとやらかしやがったのは恵文王の頃に中央から移住してきたお前らじゃねえか!」

「貴様らが支払った金が秦の侵略する為の資金になるのだぞ!」

「何処から流れてきた品だろうと儲かるならば扱ってより大きな利にして力を蓄える事が先決だ!」

「な、何をしているんだお前達!? どっちも趙人だろ!?」

 

 その小競り合いにしては少々激しさを増しつつある乱闘に、密入国してきた一団から一人が飛び出すが、勢いに釣られて頭を隠していたフードがめくれ上がった。

 

「あ、あの馬鹿!?」

「…え、お、お前…まさかカイ…」

「し、失礼しましたー!!」

 

 それに密入国者達はギョッと血の気が瞬時に退いた顔を浮かべると、村人達が飛び出した仲間に気付く前にその者にフードを被せて慌てて引きずりながら村を後にした。

 

 

 

 

 

 ○秦国北部 対匈奴(ヒョンナ)前線山岳地帯某城砦○

 

 燕国を経由して趙に入った密入国者達が冷や汗を描きながらも進行を再開した後、夕刻に入った頃の白漂軍本軍駐屯地では雪が止んで曇天も晴れて夕暮れが久々に見えたので、室内やゲルの中で暖を執っていた者達で元気が過ぎる者達は早速外に出ていた。

 

「ウオオオ! 伍鬼さんの大矛が宙に舞った羌瘣さんの背を!?」

「いや! 衣服はぶった切れたけど皮膚にはかすり傷だけだ!」

「そこからコマみたいな連撃をバトゥさんに喰らわせ始めた!」

「おい! 他は途中でぶっ倒れたままでいいのかー!?」

 

 陣中の各所では鍛錬(但し、かなりの比率で真剣が多い)が繰り広げられているが、その様子を本丸の望楼より白漂は眺めていて、その身には本人もまた鍛錬の幾つかに加わっていた証しである薄っすらとした汗と幾つかの擦り傷があった。

 

「…あー、皆ー鍛錬とかは一時終えて注目ー注目ー。昼間に超デカい報せが入ったからその発表と行くよー」

「え!? 将軍!?」

「どうした漂!? まさか匈奴(ヒョンナ)が攻めて来たか!?」

 

 その白漂は本丸より出て野営地にある高台に上ると周囲の注目を呼び集める。

 

「そんなわけあるか信、昼間の内に単于が昨晩にて亡くなったという報せが入った。後続の情報にも同様のものが含まれているから間違いない」

「「「「「ええーーーーーーー!!??」」」」」

「え、それって攻めるには好都合じゃ!?」

「じゃ、じゃー何で戦になるのを否定するようなこと言うんだ?」

 

 白漂が難なく言い放ったその内容に周囲の将兵達は驚き、それから各々の細かい予想や感想を口にしていく。

 

「そういうわけで、向こうや燕も含めての交渉に加えて葬式にも参列することになった。そっちの秦側代表も僕が務めるから準備するように」

「「「「「ええーーーーーーーーー!!?」」」」」

 

 だが、白漂が軽い調子で続けた爆弾発言は先ほどよりもさらに大きな驚愕で周囲の者達を包み込むには十分過ぎた。

 

「はあ!? 何度も殺し合いをしてきた連中の中枢のど真ん中に行くなんて本気ですか!?」

「殺されに行くようなもんですよ!?」

「ちょ、ちょっと直下や側近の人達も止めて下さいよ! 特に娘軍師殿!!」

 

 当然、聞いていた周りの大部分は白漂を制止しようとするが、それを期待されていてた河了貂からは意外な言葉が出される。

 

「あーもう皆落ち着け、この馬鹿の言葉が足りないせいで誤解招いたけど葬式に行ってもそんな事態になる可能性は砂漠に雪が降るそれよりも低いから」

「え、ど、どうしてですか?」

「こっちだけじゃなく燕や他の諸民族の代表も集まってくるんだ。そんな状態で自分達から信頼ぶち壊しにするような真似なんかしないよ」

「そ、そんなの実際に行かないとわからないでしょ!?」

「だーから大勢の精兵を装備固めて連れてお土産をふんだんに持ちながら向かうんだよ。こういう祭礼なんか外交や宣伝にはうってつけの舞台なんだから、向こうの方から用意してくれたんなら乗らなきゃ損だよ損♬」

「…む、娘軍師…」

「それとこの事は今日中に皆に広めて。向こうにもう早速自分達の秘部が広まってるって宣伝は、こっちの諜報力の高さを知らしめて連中のそういった手を慎重にさせる効果も期待できる」

 

 だが、その事の真っ当な理由と万が一の対処法を河了貂の口より語られた事に加え、その際に彼女が見た目の若さが目立つ可愛さに似合わない腹黒い微笑みもあって、周囲は安心感を覚えつつ寂しさも交えた不気味さも覚えた。

 

(…それに知った事を隠しても、南の例の国にばらされる可能性が高いしな…)

 

 その河了貂の反応とは裏腹に、白漂は表情こそ平静を保ってはいるが南にある例の不穏勢力に意識を向けていた。

 

 

 

 

 

 ○秦国東北部 毐国 首都太原 宮殿○

 

「…そういうわけで趙王様も我が国の隆盛を頼もしく思われています」

 

 白漂が不穏を感じていたその地では、自称というには建物も中にいる人員も規模が増えすぎている朝廷で、実質的な独立宣言を求める声が高まっていた。

 

「う、ううぅむぅ…か、各国の王が私を王へ……」

 

 無論、お世辞にも聡明とは言えない毐国の名義上国主である嫪毐はそうした意見に圧力を感じつつも、気分を良くして尊大な色を徐々に強め続けていた。

 

「虎歴様、こちらの方は上手く行きそうですな…」

「ああ、残りは北の方だ…」

 

 それに他国からこの地へ仕官を求めて来たということになっている者達はほくそ笑んでいた。

 

 

 

 

 

 ○秦国北部 対匈奴(ヒョンナ)前線山岳地帯某城砦○

 

「……本当に空気が澄んでるな…(…前の世界の母国の都会じゃ信じられないレベルだし…お金持ってる人たちとかは観光に来そうだなぁ…)」

 

 毐国から戻って秦国の北方最前線にある白漂軍本軍駐屯地で、白漂は自身のゲルがある小高い丘に敷かれた長椅子に寝そべって星空を楽しんでいた。

 冬の澄んだ空気と北の草原地帯故からの灯の少なさからくる夜空は、天の川が綺羅の如く大きく横たわっていた。

 

「シャアア! 信の矛がぁ綴の槍を弾いたぞ!」

「あ! 今度は槍の柄で信の左爪先が思いっきりぶっ叩かれた!」

 

 ちなみに、その静寂が似合う光景でも体育会系の面子は陣地から離れた雪原における鍛錬で剣戟を鳴らし合い、夜中でも野次馬たちがそれを大勢で囲んでいた。

 

「これの新型を回してもらえた面子で気が早い人は体に慣らすという名目で今もあちこちでやってますよ。はい、温めた牛乳」

 

 時折、夜空の他にそうした鍛錬も眺めたりしている白漂の元に竜騎隊員が飲み物を持ってきたが、その人物の身も他の隊のそれとは細かい意匠で異なるが新型甲冑に身を包んでいた。

 

「…原材料には今はまだ江殊幡が領主になってるあの工業地帯でしか取れない細い鋼線が多用されているからね。丈夫さは前のそれよりも上がりつつも重量は半分以下に減らせたんだから凄いものだよ(…こっちでは白銀色基調だけど、デザイン形状とかは前の世界でよく世話になりつつも騎士王士絡みで報われたとは言えないベディヴィエールさんの鎧が元だから不吉な旗が立ってる気がするけど…)。まー相応の買い物になってるけどね…」

 

 白漂の親衛隊だが現場判断で前線に飛び込むことが多い主君に損害を抑えながら付いて行く必要があるため、竜騎隊員の方は全員に新型甲冑が回されて好評を示しているが、一部の面子にはある機能が付いていることからで一際高かった。

 

「あら、そうですか? 私達としては戦でももう一つ大事なあのお仕事のどちらでも今この衣装が役立ってますから安い買い物だと思いますが」

 

 飲み物を持ってきた竜騎隊員は白漂の横に腰を下ろすと、仮面付き兜もまた降ろしてその面貌に艶を醸しながら見せた。

 

「うん、マイも昼間の模擬戦の動きからして気に入ってるようだし」

 

 兜を降ろして顔を見せたマイは髪も解いて夜風に靡かせるが、濃い栗色の長髪は楚々と夜空に調和して星々はその装飾品のようになっていた。

 

「…ところでマイ、戦での効果はわかるけど…もう一つの大事なお仕事というのは…?」

 

 その自然美と調和している美女に目を楽しませつつも白漂は一つ気に掛けた。

 マイも装着している新型甲冑は江殊幡と杏橋の二名が中心となって実現化した大量製鉄技術で量産化された鋼板主体でありつつも、内部や可動部分は糸状にまで細められた光線による織物が用いられ、他にも衝撃吸収なども兼ねた特殊皮革素材を使用している事で、列国の甲冑で屈指の強度を持ちながら軽量さによる高い機動性と可動性ある関節も持ち合わせていて、それは昼間の鍛錬で白漂は心身共に確認済みであった。

 それ以外の効能を白漂に問いただされると、マイは周囲に視線が無いのを確認すると陣幕を伸ばして自身と彼を囲ませてから再び向き合う。

 

「…この甲冑は譜孝さん達発案の衣料部品も扱われてます。特にこの辺りは…」

 

 マイは頬に艶ある薄朱色を浮かばせると白漂の真正面に立って、甲冑の下腹部に手を当てる。

 そこは鎖帷子で出来た暖簾状防具が足の付け根付近を守るように装着されていたが、マイが釦式連結部を外してそれを降ろすと、ボトムが姿を見せるもその上にはブルマを思わせる皮革製防具が当てられていた。

 続けてそのブルマ型皮革製防具もパチンとした音を添えて前後へ二枚貝のように開き、中からボトムの股間部分が見せられるがそこの釦を外すとそこもまた左右に開かれて、既に滲み出ている愛液でしっとりと濡れたショーツのクロッチが曝け出された。

 

「排泄を手早く済ませられるようにが第一ですが、交わりへの移行とその後始末が素早く出来るようにもなっているんです♪」

「…その辺りの部分は夜もいつだって楽しめる層には偉大な発明だね。よっせと」

「あ、もう…♪」

 

 マイの挑発的な誘惑に白漂は抗うのは今宵早々に諦め、代わりに彼女の意表を突くためにその身を抱き上げた。

 

「…さあ、じゃーどの辺で今宵は睦言を交わし合おうか…む…」

 

 マイを御姫様抱っこで抱きかかえて適当な場所に運ぼうとしたところで、白漂は夜空に散りばめられた星空を見て表情を曇らせた。

 

「…昼間に羌瘣が嫌な並び方を星がしてるって言ってたけど…何かやけに胸騒ぎするな…ん?」

 

 だが、その夜空に向けられていた白漂の表情と思索はマイの手で彼女に戻される。

 

「…だったら厄払いとして今宵の睦言は外したら駄目よ。悪霊というのは慶事に発せられる陽気を嫌うものだもの。特に…こういう新たな命を生む行為で出てくるそれはね…ちゅ❤️」

 

 そして、白漂と間近で視線を交わらせながらマイは彼と唇を重ね合わせた。

 

 

 

 

 

 ○秦国中央部 王都咸陽 相国邸○

 

「…ほお、そうか…。北の王様が崩御なされたとは…ご愁傷さまですなぁ…」

 

 マイが白漂の意識を強引に自身へ向け直させた頃、北方の政変の新展開は王都にも届いており、国の半数近くを牛耳る力を有する呂不韋はその報告を聞いて顎髭を揺らしていた。

 

「…故にこそ我らとてその混乱を最小限に済ませるよう動かねばなりません。その方が貴方達にも都合がよろしいかと…」

 

 呂不韋は自身の館にある広大な庭に含まれる山荘の一つで茶を飲みながらある男と会話していたが、その男は秦語を上手に話してはいるものの幾分か北方系の訛りがあり、コーカソイド系の血筋が強い面貌をしていた。

 

「左様ですな。御父君にはよろしくお願いしますぞ。ロズグナー殿」

 

 その男と語り合っている呂不韋の眼差しもまた北に向けられていた。

 

 

 

 

 

 ○秦国北部 対匈奴(ヒョンナ)前線山岳地帯某城砦○

 

「…凄い、凍り付いた湖面に星明りが写し出されて…私の中にいる貴方の熱も合わさって寒さなんか…あぁ❣」

 

 咸陽でも不穏な話が進められてから数十分後、それに関係している北の地でマイが湖面より大きく突き出ている氷柱に両手を預けながら背後に突き出した尻を大きく揺らされていた。

 

「…鎧が変わってもその下は君らしい後ろ丁字で前が鋭角鋭い逆三角形の下穿きのままだね…んん…」

「んん❣❣」

 

 そのマイの鎧で固められたままの上半身とは違ってクロッチが横ずれしているショーツしか着せられてないほぼむき出しの尻を白漂は掴み、強かな締め付けの良さと淫蕩な手淫を思わせる器用さを味わわせてくるマイの胎内を笑顔で楽しんでいた。

 

「それ…!」

「んんんッはぁぁアアアアアアアァアア❣❣」

 

 そして、マイの胎内が深く下がって子宮の入り口を開かせた隙を見計らって白漂が腰を大きく突きこませて、彼女に下半身から太く焼けた杭を打ち込まれたような大きくも甘い衝撃を及ぼして極みに達させた直後、彼女の理性を完全に溶かしきる白濁の濃厚な子種汁が胎内に注ぎ込まれた。

 絶頂の余韻に震えているマイの姿は二人がいる凍結した湖面に星々を天然の装飾とした状態で写し出されていたので、淫蕩だが幻想的な美麗さも醸し出しており、二人の繋ぎ目から零れ出てきた子種汁と愛液で生じた湯気もまたそれを助長させていた。

 

「…ああ、まだ元気ね…❤️」

「お互いの身がまだ厄除けには不十分だと勘付いてるようだね」

「じゃあ、まだまだね…ちゅ…❤️」

 

 氷上という環境をものともしない互いの愛欲を二人は引いていく極みの余韻と引き換えに再認識すると、自然と唇を重ね合わせた。

 

「……はぁ、何時でも何処でも…盛りすぎだろあいつらは…」

 

 一方、白漂とマイが情愛を交わしている氷結した湖の近くにあるゲルで、その情事の一幕をまたしても偶然見てしまっていた羌瘣は悶々とした表情で無理に眠りへ入ろうとしていた。

 

「……………?? っ…!!?」

 

 だが、どうにか寝息が立とうとして数十秒後に、羌瘣は突如としてバネ人形のように意識が戻り、その表情には緊迫が浮かんでいた。

 

(…何だ!? いつもの夢での水の中で現れたあの巨大で禍々しい影は…!? この前の北への帰りの途中で近くの山深くから咆哮を放った…あいつとは違う…!?)

 

 羌瘣が夢で見たその気配は、嘗て自らが討ち取った仇に似つつも、何故か懐かしさもまた感じさせ、それが彼女に不吉な気配を止めどなく湧き起らせた。




嫌な予感を覚えてもあっち系のボケや悪乗りを忘れませんね主人公…。
色々な方面から各人にとって大きかったりヤバかったりな報せや予兆が首を擡げてますね。
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