○秦始皇9年(紀元前238年) 秦国外北方
(…火災が起きた時のあの長く降り積もり続けて腐臭も感じさせた怨嗟ある殺気…やはり、あの議場にいたドレゲネのものだったのは間違いない。あの会議中にあれだけ理詰めで追及の手に使える口実は事前に潰したから、少なくともこの地で暴挙を働くのは考えにくいが…如何せんアドリブと悪運がギャグ漫画みたいに強い梁魁にこっちの身元が大暴露された状況だからなー…)
毐国でクーデターを起こす事が決まったその日、北の地における秦燕匈三ヵ国講和交渉の一日目が終わった日の夜にて、白漂は自身に用意された客室で物憂げな顔を夜空に向けながら思索に耽っていた。
嬴政の代になってから西戎と呼ばれていた西方山民族達とは楊端和、北の地では自身が中心となって交流と通商は大きく進んではいたが、如何せん北中華諸国は
趙程ではないがその怨恨は秦にもあり、それを解決してきたと言える白漂本人がまさか
当然、この時代ならそれを不和の種にしようとしてくる輩が出てくるのは自然である。
(…とりあえず滞在中の出自絡みの話は明日に到着する後続を率いる肆氏も含めて対応しよう。それでいて先に呂不韋に知られて搦め手掛けられないように伝書鳩と早馬で政と昌文君に知らせておこう……)
そうした事象が容易に想像できるので白漂は対応策を考えつつ、各方面からの途中経過的な方向も聞き受けて現在進行形で様々なパターンに応じさせていき、頭の中で色々纏めていくと瞼を閉じた。
「…失礼します。もうそろそろ就寝して明日に備え…というのは必要なかったですね…」
ナイチンゲールが白漂の寝室を訪れてきたのはその直後の事で、既に寝息を立てている彼を見て彼女は安堵すると同時に女としての飢えを身に覚えた。
「…本当に、
今宵における白漂の警護担当の一人でもあるナイチンゲールは、自身が纏う竜騎所属甲冑を静かにだが素早く脱ぎ降ろし、その古傷の痕が目立ちつつもそれすらも愛欲を掻き立てる装飾に変える白い素肌に包まれた戦者としての引き締まりと女人としての豊満さを併せ持った肢体を曝け出した。
「…ふう、生命とは苦難に直面すると子孫をより残そうとここがむしろ活発化すると言いますが…あなたの場合は今回のように比較的危険が少ない時でもそれが顕著すぎますね…ちゅ❤️」
寝台に寝巻で寝転んでいた白漂の下半身よりボトムと下穿きを降ろして、今宵の伽役であるナイチンゲールが能面のままながらほんのりと頬を朱色に染めて曝け出させた彼の男根に軽くキスをしてきていたのだ。
「…ちゅる…❤️ 前回…パクラと共に…夜の身辺警護も兼ねて相手をした時のように逞しいですね…。血管の一本一本が陰茎の内部にミミズが埋め込まれて蠢いているよう…はむぅぅぅうぅ…❤️」
ナイチンゲールは白漂の亀頭に軽くキスした後、そこから裏筋を舌へと舌先でゆったりとなぞっていって陰茎にビクビクと反応させると、周転にあった陰嚢ごと睾丸の一つを大きく開いて唇で包み込んで飴玉のように舌の上で転がし始めた。
「……んん…く…」
危機には就寝中でも鋭敏だが、そうでない場合は眠りが強固な白漂の瞼は開こうとせず、肉体は脳を就寝という枷に掛けたままにそれ共々ナイチンゲールの口淫を楽しんでいた。
ナイチンゲールの舌先は赤黒い肉槍の表面に無数に浮かんで脈打っている青黒い血管をちゅるちゅるとなぞり、それらの熱と脈動をより強めさせていく。
「…っは❤️ これは…もう堕落させられた後の私の肉体も急かしていますし…何よりこの肉棒ではいつ貴方を起こして余計な事をさせるかわかりません…」
それに舌を焼き削られてしまいそうな感覚を覚えさせられて痛みを錯覚するまでの女陰の疼きを自覚したナイチンゲールは、平時なら屁理屈だと評するそれを口にして自身を後押しすると、自らもまた衣服を静かにだが素早く脱ぎ降ろした。
「……んん…く❤️ 相変わらず…女性には…凶器同然の代も……の…ッッッッ❣❣」
そして、静かにだが昂ってきた情欲でほんのりと朱色を帯びてきた肉体でナイチンゲールは白漂の腰の上で跨り、その雄々しく充血した男根を掴むとそこへ熱く蕩けている朱色の肉薔薇を素早く降ろし、ギュポンと襞肉の滑らかさと締め付けの強さを合わせた胎内へ白漂を導き、彼女自身も今宵最初の極みの証しが口より出そうになるが、眠りに付いている彼への配慮で歯を食いしばって声を抑え込む。
「……ッツゥ…相変わらず…肌を重ねるたびに…快楽まで強まってくる人…んん❣」
十数秒ほどかけて最初の極みを落ち着かせながら、肉の鞘となった自らの胎内で白漂の猛々しい肉槍の感触の成長も感じ取ると、ナイチンゲールはゆったりとした動きで自らの尻を揺らし始める。
「…んん❤️ あ…ふうううぅぅぅうぅぅぅ……❣」
ナイチンゲールの丸々実ったノーネットメロンを思わせる質量と形の良さをした綺麗な白い尻は、彼女の素直に快楽を味わいつつも捻りの無い嬌声と同様に単純に揺れているように見えたが、その胎内は医者の触診を思わせる細かく揉み解して深く探る動きを男根に与えていた。
ムニュムニュと全体を柔らかくも優しく包みつつ、カリ首や裏筋などを大小細やかな凹凸のある肉襞が舐め上げるように愛撫し、それが男の本能も掻き立ててより血を集めさせ、眠りこけている白漂の腰もまた無意識のうちに揺れが段々と強まっていっていた。
一方、ナイチンゲールの胎内も愛撫の経過と共に肉襞の動きは細やかさを増し、それもまた性感の上昇を手助けして彼女の理性を削り続け、やがて腰と尻に集中していた彼女の身の揺れは全身へと波及していく。
「……ふあぁぁアアアァ…❣ 本当にぃぃ…❣ 毎回どれも飽きさせてくれない味を及ぼすうぅぅぅ…❣ 何という肉体でしょ……んッああああああああああああ❣❣」
十数分後になると、ナイチンゲールはもはや大きな嬌声を堪える事が出来ず、白漂の胸に手を置いてそれを軸に激しく腰を振りたくり、自身の女陰と主君の男根が叩き付けられあって混ざり合ってしまうような快楽を貪り出していたが、その最中に亀頭が勢い良く着き上がってきて彼女の既に大開きしていた子宮口を穿ち抜いて脳に穴を直に穿たれたような極みを及ぼし、男根もまた彼女に放たれて混ざり合ってしまうかのような快楽を脳へ掛ける白濁の噴火を生じさせた。
「……あああ…カハ…こ、これはああぁああぁ……❣❓❓」
胎内から焼き溶かされてしまうような極みの余韻でナイチンゲールは止めどなく随喜の涙を垂れ流しにし、折れんばかりにその背を仰け反らせてしまうが、その最後にプツンと糸が切れた人形のように白漂へフラリと倒れ込んだ。
「……うううぅぅ…❤️」
「…全く、普段の診察や治療は人の話を聞かない勢いでバリバリ押し通す癖に…君も色事には正直すぎるんだから…。わざとかうっかりか知らないけど減精丹を入れ忘れるなんて…君の先生も動けない状況で君まで出来たらどうするつもり何だか…まあ、男としては嬉しいからここか先は僕が仕返し代わりに動かさせてもらうけど…」
そして、自身の首元に頭を預けて寝息を立て始めたナイチンゲールの寝息と寝顔を楽しみつつ、彼女がやってしまった避妊抜きでのこの状況をさらに後押しすべく、今度はいつの間にか意識を取り戻していた白漂が彼女の身を揺らし始めた。
○秦国外北方
「…アシェリートのガキが…! “脱走者”の息子で屁理屈をもっともらしく捏ねり出しおって…!」
白漂がナイチンゲールを淫夢に追いやろうとしていた頃、ドレゲネは自らが実質的な主となっている宮殿で喚き散らしていた。
「…ですが実際に理由はどうあれアシェリートが水死に誤魔化して脱走したらしいのは証拠や証言からして明らかです。奴自身もそれは自覚していて且つ今では秦の将軍をしている身ですから、今更戻って単于を狙えるなど思えませんし、それが出来ないことをわからない身には見えませんが…?」
「それはあくまで正論の話であろうが! 西にて様子をうかがってきておる奴がそれを受け入れると思うか!?」
「…まあ、知れば喜んで神輿兼後ろ盾として何が何でも引き込みに掛かるでしょうねぇ」
「…………」
そのドレゲネの悪態に付き合っているのは昼間にある秦燕匈三ヵ国協議にて、匈奴側の上役の一人として参列していたジリアンであった。
「…そうじゃ、幸いにも連中はこちらの槍が既にその背中を狙えている状況にあることを気付いておらん。何が何でも西のあ奴と連中をぶつけて潰し合わせた後に残った方を消す方策を打たねば…!?」
二人が歩いているとその先から剣戟の音が聞こえてきた。
進んだその先には、指南役らしい兵士を相手に木製の模擬剣を振るっている十歳に届く寸前の少年がいた。
来ている衣服から育ちの良さが一目でわかり、東洋系の血筋が強い屈託のない少年である。
「あ! こんばんわ! はは…じゃなくて太后様!」
「おお、今宵も精が出ておるなバアトル! 増々腕が成長しておる―――」
「ゴバァ!?」
「―――な…!?」
だが、ドレゲネがそのバアトルという少年に近寄ろうとしたその時、指南役の兵士が突如として血を吐いて倒れた。
「ひ…」
「な、ま、まさかあ奴らか!? 出て来い!? どういうつもりじゃ?」
その血を一部浴びてしまったバアトルは怯えの声を漏らし、ドレゲネが動揺を隠せぬ様子で声を荒げると影から何故か毐国で暗躍している墨字意匠の者達が影より現れ、死したと見れる指南役の肢体を探ると匕首が出てきた。
「…我らが毒吹き矢で未然に殺さねばご嫡男の命はありませんでしたな」
「…な!? 何故指南役のそ奴が持っておる!? バアトルに剣術指南をするときは真剣は持ちもするなと命じたはずじゃ! 者共集まれい! 直ぐに近くにいる怪しい輩は老若男女関係なく捕らえよ! 拷問にかけて構わん! それと直ぐにバアトルとテノへの護衛を三倍に増やして奥に非難させよ!」
それを手に持って遊ぶ様子を見せる墨字意匠の者達の何処か小馬鹿にした言葉を受け、ドレゲネは苦虫を嚙み潰したような表情を見せつつも矢継ぎ早に指示を出す。
「太后様、どうか行動は表向き静かに…」
「わかっとるわジリアン! 何れ南からくる
「………」
怨念も交えた殺意を漏らすドレゲネにバアトルは心配しつつも危うさも覚えていた。
○秦国外北方
「…ぐぬおおおおおおおお…! こ、この石臼…阿保みたいにデカくて重いいいいい!!」
白漂がナイチンゲールに夜の大人な診察を施され、ドレゲネ側に不穏な空気が表沙汰になっていた頃、昼間にて暴露をやってのけた梁魁は馬くらいすっぽり入れそうな巨大な石臼を回されていた。
「楽貴君、あれは何かね?」
「大原大臣、昼間にド直球すぎる暴露劇をやった事への労働刑です。今現在はあの石うすで硬い栗をすりつぶさせている途中です。すりつぶした栗はここでの宴会などで使う予定ですのでご安心を」
「そうか、何だったらあの馬鹿も栗と一緒に穴にぶち込んで構わんぞ」
「大源大臣~! そんな夏桀殷紂みたいな事は仰らないでください~! 実際に大臣だって秦で内争の種が増えた方が良いって思ってるでしょー!?」
「だからってあんな真っ正直な方法で上手く行くわけがないだろうが!」
その光景を見て清々しいまでの微笑みで物騒な事を口走る大源に梁魁は哀願するが、その二人に比べて楽貴は冷静に白漂の出自暴露で周囲に及ぶ影響について黙考していた。
(…彼のやり方は強引且つあからさますぎるが、内容も考えると切り口の杜撰さを抜きにしても大きな波乱を招くのは間違いない。特に息子の地位を脅かす相手だと秘かに目しているドレゲネなどは気が気ではないだろうな。何より右賢王が黙っているとは思えない。さてどうすべきか…)
「…おい、梁魁君よ石臼の回転が落ち込んでいるぞ。君らしくないのではないかね?」
「もう限界ですよ大原大臣~~~~~(ちくしょ~~大臣めこのことは絶対に後悔させてやるぜ~~~~)!!」
ちなみに、その楽貴が考察している間も梁魁と大源のやり取りもまた内心に置いて不穏さを増していた。
○???年 某国○
「………ここは…」
梁魁と大源の間で不穏だが親しいものが見れば見慣れた空気が漂いだそうとしていた頃、
彼女は薄い桜色がかった銀髪に赤い瞳をした幼さが残る少女で、雲一つない青空とよく合わさっていた。
だが、その身は血が滲み出ている包帯で何カ所も塞がれており、衣服も何十日と着替えや洗濯が成されていないまでに汚れやボロに虱が無数に巣くっていた。
「…あ! やっと起きたのね!」
「…うぁ、姉さん…」
彼女が目を覚ますとその姉と思わしい女性が安堵の笑みを見せて顔を近づけてきた。
髪や瞳の色など人種的な特徴は似ているが、彼女が無表情や無感情的な色が強いのに対し、姉の女性は同様の格好に衛生状態であったが疲弊しつつも元気の失われていない様子をしていた。
「あそこにいる兵隊さんが助けてくれたの! ほら、あなたもお礼を言って!」
彼女が姉に促されて視線を向けると、そこにはある時間軸で南軍と呼ばれる組織の制服を着た白人系の青年がいたが、その軍服は酷く損傷と汚れが目立っていて青年自身も酷く消耗していた。
「……ああ、君もまだ生きていたか。良かったね…こんな“いかがわしい戦争”でまだ死なずに済んでいて…」
「…………」
「………え…?」
その青年が達観と諦観に満ちた乾いた笑みで振り向くと、彼女は酷く大人びた納得の無表情を見せて、その姉の女性は戸惑いの色を見せていた。
「…な、何を言ってるんですか?
「ああ、そうさ…それ以外に何があるんだい?」
「……………」
戸惑いを見せて拒絶が滲み出てきた姉とそれを冷めた眼差しで見る青年の会話を彼女は黙して見つめていた。
「…政府は未だに“主に与えられた明瞭な使命”と言っているが、この現実が答えさ…。僕たちは…こんな戦争なんか…したくなかった…。子供の頃に住んでいた…モントゴメリーの町に住んでいた頃…そこと川一本があるだけの先に有るあの国には、ボール遊びしたり、喧嘩したり、自慢し合ったりした…肌の色はおろか…生まれた種だって違う友達がたくさんいた…。大人…特に新聞に飾れるような偉い人や…それを金で釣れる人たちなんかは…彼らを…自分達が指導せねばならない種とかと言ってたけど…、僕みたいに違う子が身近にいた子供の頃からの目が変わらなければ…そんなの嘘っぱちだなんて誰にでも気付くさ…」
青年はいつの間にか彼女の姉から視線を外して西の方角を見やっており、それからも懐古の念に満ちた言葉は続いた。
彼女はそれを無表情になれど何処か納得した風に聞き入っていたが、その姉は次第に怒りで身が震えだしていた。
「…あ、貴方は…“ブリタニア人”ですか!? それでも…“共和国連合軍人”ですか…!? た、確かに…今は…その…少し…“
その震えはやがて怒りに任せての叫びに変わろうとするが、それは青年に口を塞がれてしまう。
「…静かに付いて来てくれ。山の下を見ればわかる…」
「……え…?」
「……………」
酷く聞き分かりの無い子供を見る眼差しで見てくる青年の言葉に圧を感じ、姉の女性は戸惑いつつも付いて行き、彼女は既に答えを知ってるような冷めた表情で行動を共にする。
「……………!!??」
そして、自分隊がいる山の山頂に上って反対側の麓を目にした時、姉の女性は言葉を失った。
山の下には、近日まで戦火が続いていた名残は見えるが猛烈な勢いで修繕が進む駅と、そこを行きかう大量の機関車、それで運ばれただろう十万を超す武装した兵士の海、それらを支えるために海上より鋼鉄艦で護衛された多くの輸送船が港より物資を降ろしていっている光景が広がっていた。
「……見るが良い、あれが私達の国が“明瞭な使命”を唱えて戦争を仕掛けた相手である…“斉陽”の軍隊に艦隊だ。あんなのを幾らでも作り出せる国に勝てると…あんな国を作り上げてしまう彼らを…“劣等種”と今でも言えるのか…?」
「………………」
青年が言葉を続けているその軍勢は、彼らの祖先が“新大陸”と呼ぶこの地に彼等とは正反対に西側の太洋を超えて移住してきたアジア系人種が半数前後を占め、その次に青年らの祖先によってこの地に東側海岸地域から追われた赤みを帯びた肌をした先住民とかの国では呼ばれる人々、次いで青年たちと同じ人種と暗黒大陸とこの時代では呼ばれる地から連れてこられた人々、人に近しいけれどそれ以外に分離される種族や、人型であることを除けば大きく人とは異なる種族の者達が、山頂より見下ろしてきている彼等とは異なる同じ言語で話し合っており、彼女の姉はその光景に愕然として言葉を失ってしまっていた。
(…ああ、やはり…ここはあの頃の…今の時代に流されてくる前の…“東西戦争”が続いていた頃の記憶か…)
一方、女性の妹に当たる彼女は見た目こそ子供だが諦観からくる懐古の念が強まってきたことで、ここが夢を通して見えた過去の情景である。
(…だとすれば、もうこの辺りであれが…皆さん、直ぐに戻ります)
「っ! 危ない!!」
「…え!?」
そして、彼女である
次回は表立っての会戦ではなく、暗闘等が中心になる予定です。