それと話の初めで久々に出てくる斉から来たあの子の今回の格好は、容貌元ネタの子が登場している作品でのカジノ編における衣裳です。
○秦始皇9年(紀元前238年) 秦国中央部 王都咸陽 後宮○
「…ふうう…、あの方の加冠の儀が近づくと共に、斉との書簡のやり取りや人の行き来が多くなってますね…」
北の地で秦燕の試し合戦の決着が付いた頃、田共召は故郷とのやり取りでやや疲れた表情を示していた。
「失礼します。王叔の田還様から…」
「そちらに置いてください」
途中で何度か女官達から更なる書類の追加が成され、それらも読み通した所で共召はばたりと勢いよく寝台へ寝転んだ。
現在、咸陽には国内外各陣営の使者達があと数日で開かれる加冠の儀に参加するために集っており、斉国から来ている使者の分もあるので共召は業務とそれから来る疲労が増えていたのだ。
「…ふう、ここ最近は政も夜に構えないほど多忙で疲れが消えていない様子でしたし…?」
寝台の上でやや欲求不満気味な朱色に染まっている顔をゴロゴロ動かしている共召の目に、昨年の終り頃に生んだ息子である嬴尚の子供服を織る過程で、織物の技術を他の妃達と共に教えてくれた譜孝から送られてきたがまだ開いていない木箱が映った。
(…そう言えば、以前に政が夜の間も女性へ構えないほどの多忙になっていて忙しそうだと話したら、“だったらこれを着て迫ってみてください。きっと元気になってお互いスッキリできますよ♪”と渡してくれましたね。衣類のようですが…どのような中身でしょうか…………………………!!?)
派手さはないが趣深い漆塗りの木箱を共昭は開けて中の衣服を広げていくが、その全容を確認したところで彼女の顔は羞恥とそれに釣られた憤懣で顔が真っ赤になった。
「ななな何ですかこの破廉恥な服は!? 娼妓や舞妓でもこのようなふしだら極まる格好は―――」
「で、田夫人!? 如何されましたか!?」
「―――あ、いえいえなな何でもありません! 何でもありませんから仕事に戻って!」
途中でその怒号と木箱を投げつけた物音に驚いた女官や宦官が驚いた様子で扉をノックしたりするが、その事で冷静さを幾分か取り戻した共召は他人が遠ざかってから再び譜孝より送られてきた衣装に意識が向かった。
(…で、ですが…前に彼女が送られてきた分の意匠は奇異なものは多いけど…そういうものほど夜の彼の激しさは凄かったと…扇琵達も言ってたし…とりあえず…どのようなものか試すぐらいなら…えー―っと何々…ここはこうしてああして………………最後にこのような姿勢を取って……この台詞を……………)
その後、共召は顔を時折斜めに向けたり動きがぎこちなくなったり、顔が何度も羞恥で最高潮の真っ赤にしたりなど何度か遭うが、最終的に着替えて部屋の大鏡の前に立った。
「お…お…お…お帰りなさいませーピョン♪」
数分後、大鏡の前で共召は頭に兎の耳を思わせる白き布製の装飾品を付けて揺らし、深い胸の谷間が露わで臍まで布地が切れて見えている白きレオタードを身に纏い、足は青い布地のストッキングと網タイツで固めてその長く引き締まった美脚ぶりを強調し、髪と同色の輝く金色の装身具で身の何カ所を飾り、媚びるような声を上げて前かがみに胸を強調する姿勢をしながらダブルピースした。
そう、共召は俗に言うバニーガールになってしまったのである。
譜孝に色々入れ知恵した考案者の前世や前々世よりも(多分)千数百年以上早い、バニーガール誕生の瞬間であった。
「………何をやっているのだろうか私は…ッ!!!!??」
数秒後、羞恥心が落ち着いて今度は逆に虚しさが共召の胸の内を襲うが、そこで鏡に映る自身の背後に、今現在もっともここへ来てほしくない人物が薄っすらと開いた扉の隙間より覗き見ているのに気付いて硬直してしまう。
「………せ…せ…せ…せ―――」
「…ぷっ!」
「―――い…!!!??」
それからバネが錆びかけた人形のようにギギギっとぎこちない動作で共召が青ざめた顔で背後を振り返ったその時、その扉の隙間より顔を覗かせている嬴政が軽く吹き出し、彼女の思考は一瞬で真っ白となった。
「………ふ…ふふふふ…い、いいですよ政…笑って当然ですよ…こんな…一時の邪念に負けて…娼妓でもしない淫靡な装束に着替えた女など…思う存分に笑えばよいではありませんか……!?」
十数秒後、思考が如何にか再起動した共召は涙混じりの自虐の自嘲を浮かべながらフラフラと寝台へ戻ろうとするが、その指が敷布団に触れた所でその身はガシっと男の腕で羽交い絞めにされてしまう。
「…馬鹿をしでかした後の当然の反応でそこまで落ち込むな。剣を振るってる時とは違ってこういうのは精神力が低いな…。安心しろ…溜まってるのはお前だけじゃないから…」
「え………あ❣❓」
共召の背後を部屋に侵入して扉に鍵を掛けたジト目の嬴政が彼女を羽交い絞めにして、その秀麗さと武技による引き締まりを持った手を掴み取って自身の今もっとも猛々しくなってる一部分へ導いたのだ。
「…王としてお前たちの情愛を一身で受け止めねばならない身で…ここ十日は加冠の儀の為の準備で夜は寝る事しか出来ない日が続いていたんだ。そうなるとこれは当然だろう…」
「あ…ああ❣」
共召の指が押し付けられているその布地一枚で隔てられた向こうには、今この後宮で文字通り唯一つ使える男根がメキメキと溜まりに溜まった精に押されて血を集めて来ており、それは主である嬴政の呼気にも現れて、耳にその熱さを吹きかけられている共召はなすすべなく寝台にうつ伏せで押し倒されてしまう。
「…この様子と衣装からしてその類に入っているのはお前も同じだろう」
その直後に嬴政は指を共召が身に纏っているレオタードのクロッチにすかさず忍ばせ、布地の向こうで既に開いている女陰から滲み出ている愛液の感触を楽しみながら囁いた。
「…お言葉ですが…今この時に…どれくらいの時を回せてもらえますか…?」
「次の業務に入るまでは半刻だな」
「…そうですか、お互い…体の方は準備が要らなさそうですし…」
互いに使える時の限度を確かめると、共召は一旦距離を取った嬴政に向けて自身の尻を高く掲げ、レオタードやパンストのクロッチ部分の釦を外して既に濡れ切った女陰を曝け出す。
「…今後の仕事に差し支えが無いように…ここでお互いに愛欲を出せるだけ出しま…アアァ❣❓」
その生真面目さから時間の少なさを自覚していた共召は憮然とした表情ながらも頬を朱色に染め、より感度と興奮を高めるべく、自身の痴態を映し出す大鏡前に移動するとそこへ牢手を突き出して尻を突き出し、言葉も発さぬままボトムと下穿きを降ろしてブルンと解放され済みであった嬴政の男根を迎え入れた。
「くう…十日ぶりの女人の中は…歯止めが掛けられそうにないな…!」
「…わ、私にとっては三週間ぶりですから…も、もう遠慮な…アアァ❣❣」
繋がった瞬間より性器からグツグツと沸騰したかのように脳髄へ駆け上がってくる性感は、二人の肉食獣の如く強いのに十日以上も待たされた反動から、直ぐにバチンバチンと肌を強く打ち合う音を鳴らし始めた。
互いに好物な獲物に噛みついて争うように互いに貪り合う肉欲の結合点は、王侯の生まれなら普通あり得ない有り余った体力と根では情熱的な性分が強い二人の脳髄を、溜まりに溜まった性衝動も加えて瞬く間に本日最初の迸りへ押し上げていく。
「ッッッッッ!!」
「んんんんん~~~~~~~~~❣❣❣❣」
そして、繋がって一分と経たぬ内に両者の肌を打ち合う音での最高潮のものが打ち鳴らされると同時に、嬴政の押し殺されているが非常に重い歯が喰いしばられる音と共召の必死に口元で止められている嬌声で互いの喉は揺らされ、繋ぎ目では透明と白濁の二色それぞれによる性の堤防決壊が生じて床を激しく濡らした。
その後、次の業務を伝える官吏が共召の部屋に近づく足音が聞こえるまで、二人は我慢に弱い若人特有の強い愛欲に流され続けた。
○秦国外北方
「…はーーー、やっと終わったー…あ、今日は兎料理ねー(グラタン風で美味しそう…)」
「はい、昼間の鷹狩りの方で仕留めた兎で作りました」
嬴政とバニーガール化田共召による昼間での逢瀬より数時間後、夕暮れで赤く染まった狩場の一角に高く積まれた瓦礫に腰掛け、部下が持ってきた夕食に手を付けていた。
「…もぐもぐ…はあ、勝った後でこのように酷使されるとは…しかも大将軍直々とは世間の世知辛さを感じるよ…ん?」
自業自得なのを棚に上げて今の身分に似合わない肉体労働に白漂は愚痴るが、グラタンを食べ進めていた最中に、見えた底を見て一瞬だが目が細まって冷たい光を宿した。
「…ちょっと今度は小川が注がれてるあの湖の気分転換がてらに傍を見て回ってくる」
「え…あ、ちょっと…!?」
白漂はグラタンを食べ終えると周りの了承を録に得ずに十星戟片手に狩場の外れに向けて歩き始めた。
「………この辺かなーーー…ッ!」
「!!?」
そして、適当な林に来た所で得物を風のように速くも重く突き出し、それは近くにあった適当な太さの樹木を中心から瞬時に穿ち抜いたが、貫通する寸前にその背後から何者から脱兎の如き機敏さで飛び出してきた。
「…何十日も前から動きは見せていたけど…やっぱり君だったか…」
「…ッ! やはり…既に気付いてて…!」
穿ち抜いた幹から十星戟の穂先を引き抜いた白漂が見たその隠れていた人物は、表情こそ静かだが瞳には葛藤による深い迷いが浮き出ている綴の姿があった。
「ちょーーーっと色々聞きたい事がーーーっとその前に…今はちょっと掃除を手伝ってくれ。このままじゃ―どうせ君も残してる
「ぐふぅ!?」
白漂が葛藤と警戒を露わにしてその朱槍を構えている綴を見やりつつも得物を背後に振るうと、その茂みに隠れていた武装している不審者が上体を大きく切り裂かれて絶命した。
『チィ! バレていたか!』
『者共ぉ! こうなればあの女諸共消せ! どうせ質として抑えているあの餓鬼も始末する予定だばぁ!!?』
その反応を受けて近くの雪面の一角が勢いよく吹き飛ばされ、その下より大板を蹴り飛ばして洞窟より一団が姿を現すが、その先頭の何名から真横より振るい込まれてきた大矛で両断されてしまう。
「…全く、同じ報せを聞いた同僚が話を通しているのを知っているとはいえ…自分で火中の栗を拾いたがるのが過ぎます…!」
その大矛と共に現れたのは、此度の秦側使節団に派遣されていた将校の一人である五千人将伍鬼で、彼は白漂に慣れつつも少々ウンザリとした表情を向けていた。
『ッ! 他にもいたのか!?』
『ええい怯むなぁ! 相手は三人だけでしかも一人は元々こっちに従っていた女だぁ! このまま数で押せば…!?』
新手の乱入とその実力に洞窟から別の雪面を跳ねのけて地下から続々と他の刺客たちが姿を現すが、それに合わせて白漂の傍にも新たな加勢が数ではそれ程ではないが落ち着いた様子で姿を見せていく。
「それじゃあ、小堅雲の陣で戻るぞ皆」
「「「「「承知」」」」」
「ッ!? ッ……!!」
そして、陣形を組むと白漂達は雪原目指して駆け出し、それに綴は困惑と衝撃から立ち直れない表情のまま共に続くほかなかった。
○秦国外北方
『グガアァあああああ! く、くそぉ! あ、あの化け物に狡いガキがぁぁぁ! 早くアイツらは死なんのか!?』
『む、無茶ですよぉ! 梁魁は今現在大源に仕置きとして労役課されてると言っても拘束されてない状態ですしぃ、白漂の方も足が付かないように適当に煽れて襲わせられるような連中に討ち取れる弾じゃないのは明白じゃないですか…ぎゃあ!?』
白漂達がこの地を訪れてから最大規模の刺客集団に襲われていた頃、試し合戦には急病で出ていないはずのドレゲネは身のあちこちを包帯に巻かれていた状態で、周囲の部下に当たり散らしていた。
『これは何がどうしている?』
『どうやら太后様は白漂が梁魁との試し合戦で無様にやられる様を見届けようと(あわよくば事故に見せて消そうと手勢を引き連れて)こっそり試し合戦の現場へ秘かに訪れていたのですが、白漂のあの誘導で暴走した梁魁によって側近方諸共気付かれないままに跳ね飛ばされてああなったようで…』
その様子に
(…今や秦の将とは言え…アシェリートの子は既に王として上げられるのが自然の器量を示してなおもその上限がまだ見えず、それでいて臆さずに諫言が出来る盟友同然の臣下がいる。それに対し…今の我が
気のせいだと思いたかったが、その方々の影より這い寄ってくる蜘蛛の糸のような策謀の気配を、アルクサルトは経つ事が出来なかった。
○秦国外北方
「………………」
『『『『『アアアァアアアァアアアアアァ!!』』』』』
ドレゲネがアルクサルトの前で醜態を晒している場面より数分後、白漂の後を秘かに尾行していたカイネは、悲鳴混じりの喚声が立ち上っているその場面に息を飲んでいた。
「ふん!!」
横の脇の一角を固めている伍鬼が大矛を横薙ぎに振るうと、その咆哮には葉が枯れた樹木が何本もあったが、背後に隠れていた襲撃者諸共まるで棒切れのように両断されていく。
「はは! 伍鬼さんも腕を上げてますけどやっぱ得物の性能がまた上がってますね!!」
「江殊幡が製鉄炉に最近は従事させられてそこでの取引で優先的に良い鋼材を回してもらえるからなー。当人はあちこちに駆り出されるから星読みが出来ないと愚痴ってたけど」
四方八方から襲い掛かられてきている状況に関わらず、白漂達は得物を振るいつつも会話出来ている余裕があった。
『『『ウアアアァアア―――!?』』』
「おい、まだ若いのに死に急ぐな」
『『『―――あがぁ!?』』』
その中でも周囲の護衛の得物を若さ任せの勢いと小さな身からどうにか潜り抜けて襲い掛かってくる者達もいたが、白漂は今もまた同時に背後の少年を鞘で打ち据え、その勢いを乗せたハイキックで右の敵の意識を下顎から蹴り砕いて飛ばし、反対からの小男には肘鉄で鼻から数メートル殴り飛ばして三人揃って無力化させていた。
『言ったでしょう! 報告通りの方だと…!?』
『馬鹿を言うな…! これは報告よりも上だ…!!』
その光景で逃げ道を塞ごうと周囲を展開している将兵の中で、白漂達に感嘆の眼差しを向けて畏敬の念を口にしている者達がいた。
『感心している場合かぁ! 李牧に次いで我々の仇の男だぞ! お前達も掛れ―――!?』
次々と手勢を狩っていって自らに近づいてくる白漂達に、襲撃者たちの首謀者は荒げた声で彼らを怒鳴りつけるが、途中でその喉は剣で刺し止められた。
『―――え…が…!?』
「!? どういう事だ?」
そのまま絶命した首謀者の躯は指揮を執っていた高所からドサッと下の雪原へ落ち、それを目にした郭備軍副官の楚水(登場していない間に五千人将に昇格)は困惑した。
『き、貴様ら何を…がふう!?』
『こ、こんな事すれば龍城には戻れぬぞ…ぎゃ!?』
『あいにくだが…俺達はお前らのような後先知らずの馬鹿共と違って今の龍城に戻るつもりは無い…』
『!? ま、まさか貴様ら…ぎゃあ!』
更に、周囲を囲む他の襲撃者達にも続々と仲間割れは生じ、されども裏切る者達は白漂達に倒された者らと違って戦玄人の動きで他の残りを速やかに始末していく。
そして、生き残った者達の中で三名程が兜を脱いで白漂とある一人の前に跪いた。
『…お手数を掛けて申し訳ありません白漂様、そして綴様…いいえ、
「「「「「????」」」」」
『!!』
首を傾げている周囲の同僚らの前で、その名で呼ばれた綴はビクッと身を震わせて過去の激戦でも見せた事がないまでに表情を青ざめさせていく。
『…その動きに意匠と風貌、こちらが忍ばせていた網からの報せにあった右賢王軍の密偵か?』
『…そこまでお知りとは…ならば既に我々がこちらで貴方様方を迎えに来た理由もお気づきでしょうな。恐ろしくも頼もしいお方です。左様です。我々は亡き大単于ラルゴールの血族が…それも強く器を持つ方が北の玉座へ戻るために集った有志連合です。私の事はバラントとお呼び下さい』
白漂の静かな面貌だが氷の槍衾の如き圧迫感を交えた問いに、他の襲撃者達を屠った造反者達の長であるバラントは臆さずに言葉を続ける。
『…我々はわが父レベロントを中心として王位を簒奪した屠各種を討滅し、その中で醜態極まる専横を続けるドレゲネを打倒すべく秘かに結集し続けてきました。そして…遂にとうとう正当な血筋と非の打ちどころのない器量を示されている貴方方を迎えに来たのです。どうぞ…わが父らの元へ向かわれ…単于となられてこの北の大地に独立と誇りを取り戻してくださりませ!!』
「「「「「!!!!???」」」」」
そのあまりの内容に秦側の多くは衝撃に包まれていく。
「…ば、馬鹿を言うな! 白漂様は秦国大王様と鋼の如き忠義を交された方だ! そのような反逆など起こせるわけが…!?」
数秒の沈黙を破って護衛である竜騎の一員が声を荒げるが、それをシャンディが手で制してすかさず周囲へ目配せする。
「…もう既に周囲を何重も固められている。もしも漂が断れば…邪魔な俺達は掃除してドレゲネ派に被せた後に自分達の元へ二人を連れていく算段だろう。嗾けさせられた仇討ちを感情のままに為そうとして今や屍となっている連中とはわけが違う…。これだけの数を敵対派閥の領域に忍ばせているとなると…逃がしてくれそうにはないな」
紅武が評したとおり、既に周囲の雪に包まれた段丘や林の隙間及び隠されていた洞窟より姿を現したその右賢王派の大部隊が彼等を取り囲んでいた。
それらの状況を見据えてバラントは次に綴改め薙鍛を見やる。
『…例の
『!? 貴様いつの間に!?』
その内容で薙鍛は初めて秦の同僚たちが見る狼狽と憤懣が入り交ざった顔を見せるが、戦場でも滅多に見せない高速でバラントに飛び掛かろうとしたところで、白漂の先読みで動かされた十星戟の白刃を喉元に当てられて制止された。
『…貴方方も既にお気づきでしょう。特に白漂様…石の都の地では…父方の祖父君の暴威がもたらした怨嗟を血筋ゆえに浴びせられた身では…、ここ北の大地において亡き母君アシェリート卿とその父君ラルゴールより受けついだ血と、それに対する期待と恐怖から逃れられぬことを…』
「………………」
それを見てバラントが言い放ったこの場における締めの言葉に、白漂からは周囲にも伸し掛かる重き沈黙しか返されなかった。
今は削除された本編ではあまり描写ありませんでしたけど、漂はお爺さんの他所での悪名で苦労しただろうとこの話を書いていて思いました。まー今回は祖父でも白起将軍の方ではなくて、私の方で勝手に設定した母方の祖父ですけど…。
次回は主人公と今回の黒幕の一人の対面と、久々に山籠もりが日課のあの人の登場とそれに伴う波乱が中心の予定です。