それらに尺を取られて大人向け要素は御座いません。
○秦始皇9年(紀元前238年) 龍城攻防戦日2目昼 秦国外北方
「「「「「雪崩だァアアアアアア!!!!」」」」」
『『『『『逃げろぉおおおおおお!!!!』』』』』
雍で秦王嬴政と相国呂不韋の対談が始まる少し前のこと、北の大地の覇権をめぐる争いはドレゲネの時代錯誤を感じさせる愚行で生じたその白き大津波で大きく揺れ出そうとしていた。
「ぬおおおおおおお!? 皆ぁぁぁぁアアアァ儂に続けええぇぇぇぇぇええええ!!!!」
「「「「「ひいいイイいいいいいいぃ!!!!」」」」」
その中で真っ先に逃げ出したのが梁魁で、その巨体からは想像できない逃げ足の早さに釣られてか燕兵達も通常の退却戦では想像できない逃げ足で猛追していった。
「は、白漂将軍ー! これは一刻も早く我々も逃げねば―――!?」
「落ち着いて。あの流れの規模と速さからしてこの高台に集まった方がまだ安全だ。まー押しくら饅頭を覚悟しないと駄目だけど…つーわけで音術用楽器を貸して」
「―――あってぇぇええええええ!?」
一方、それに比べて一瞬だがこの状況では出遅れてしまった白漂軍参謀達は恐慌を起こすが、白漂は目を丸くしながらもさして慌ててない様子で高台にある本陣から全軍本陣集結の合図を上げた。
「み、皆ー! 高台に逃げろー!」
「早く逃げんと踏みつぶされるぞー!」
「う…ウウゥウ! 逃げれたけど苦しいぃ…!」
「だ、誰だゴラぁ! どさくさに紛れて私の胸に手を伸ばしてる奴ァ!?」
「ァアアアアアア!? マルタ殿ぉ腕がもげるもげるゥウゥ!?」
白漂軍将兵達は各々泡を食った表情を見せながらも迅速に白漂が本陣を置いている高台へ逃げつつも所々で間抜けな声が上がったりもするが、それとは対照的に悲惨な状況に陥ったのが大雪崩の生じた裏山と直に面している龍城王宮区画であった。
『ギャアアア!? に、逃げろぉぉおお!?』
『し、死にたくないイイイ!!』
『こ、この子だけでぉ!?』
『だ、駄目だもう間に合わな…アアアァ!?』
大量の避難民でごった返していた王宮内部で人々は逃げ道を求めて、押し合い、踏み合い、悲鳴を上げ乍ら動こうとするがあまりの過密さゆえに次々と雪に飲み込まれていく。
「チ、やっばいなー早く逃げよ」
「あ、ああ!」
その中でまだ比較的だが余裕のある位置にいた羌識達は即座に他の高台へ退避を始めた。
「…く! まさかこんな状況になるとは…だが、どうやって一緒に逃げるか…!?」
羌瘣はそのおかげで取り残されて眠らされているままの白陵を解放することに成功するも、状況が急速に悪化している事にも気付いて苦い表情を浮かべるが、そこで彼女の鼓膜をこの時代では耳にする者は極めて少ないが彼女には確かに聞き覚えのある燃焼と爆発による音が震わせてきた。
「おい! 久しぶりだけど掴まれぇ!!」
「きょ、羌瘣ぃ!!」
羌瘣がその音に釣られて視線を向けると、そこには薙鍛と彼女を影から捕まえた謎の人物が操る、この時代ではまだないはずの尻から猛烈な燃焼による噴出によって高速を出しているスノーモービルらしき乗り物が近づきつつある姿を目にした。
「!? 白陵! 暴れるなよ!!」
「…ふえ?」
それに羌瘣はハッとした表情で白陵を抱えて望楼から飛び降り、薙鍛達が乗るそのスノーモービル型乗り物に飛び乗り、スノーモービル型乗り物は雪崩に飲み込まれないようにその表層を使い手の巧みな舵裁きで駆け抜けていく。
「ウオオオオオ! やったぞぉ!!」
「太行山脈で秘密に設けられた実験場で見た時は何に使うかと不思議に思ったが…」
「さすがは羌瘣殿に薙鍛殿だぁ!!」
龍城の庶民区画にある高台区画に避難している白漂軍将兵達もその光景に驚喜を見せて歓声を上げていた。
(…粛尤達が色々と調合に成功した推進剤向けの火薬の使い道で、スノーモービルやジェットスキーみたいな使い道を思い出したけど…それを用いたあの“雪翔”の性能は予想以上だな…)
その中で白漂は秘密実験場で着実に検証と改良を重ねてきた新兵器の一つの出来と、それが成した成果に密かに微笑みを見せていたが、それを龍城王宮正門の裏側で蒙恬達も見ていた。
「な、何ですかあれはァ!?」
「爺! この混乱に乗じて俺達も門の上の望楼に移るぞ!!」
「は、はいいぃ!?」
胡漸はあまりに急展開且つ不可思議な現象が連発する事態に思考が完全に付いていけなくなっていたが、これが脱出における最大の好機と気付いた蒙恬の指示に従うだけの判断力は残されていた。
「掴まれぇ!!」
「っおおお!!」
「ああ!」
そして、蒙恬達も正門の望楼まで登ると、その下に雪翔が行きつこうとしたところで飛び降りて乗り込んだ。
「おおお! 蒙恬様も乗られたぞぉぉおお!」
「だ、だが雪崩も来るぞぉおお!」
「お、落ち着けぇ! 最初に比べれば勢いは落ちておる!」
「ここから離れればそれこそ死ぬぞぉ!」
蒙恬達による白陵救出成功に白漂軍将兵達は歓喜を見せつつも、同時にそれを追ってくる形で雪崩も近づきつつある光景に強張りと緊張が増していく。
「皆! 如何にか踏みとどまれぇぇええええええ!!」
「「「「「ウワアアアアアァァアアアアアアアァ!!??」」」」」
そして、雪翔が白漂軍避難地の外縁部に半ば横転する形で到着した直後、それとほぼ同時に高台の下の裾に達してきた雪崩による大量の雪飛沫が白漂兵達に勢いよく降りかかった。
○秦国中央部 王都咸陽 後宮○
「逃げられだとぉ!? 地下道での捕縛と殺害に失敗したのか!?」
「は、はい! どういうわけかあの異人の妃和托熔に気付かれ…更に手勢も超甲めに殴り殺されてしまい…」
龍城で大雪崩が起きる少し前、秦王族の殺害に失敗した亜民が後宮へ侵入してきた叛乱兵に詰られていた。
「ご、ご安心ください! ここは我々にとっても庭同然の地ですからすぐに見つかります! 特に超甲めはあの深手ですから血の跡を追えばすぐに分かります!!」
「もしも失敗して樊琉期様が知れば貴様ら楽には死ねんぞ! こころせい!」
「ひぃ! お、お待ちください!」
「ま、待ってください! あの女共がいるのならどこを通って逃げるかはわかりませぬが…逃げ込もうとしている先ならわかります!!」
想定外の事態に怒鳴りつける叛乱兵に内応していた宮女がほくそ笑んで話に割り込んで来る。
「ぬう!? 何処に逃げたというのだ!?」
「向と陽の傍にはあの汚らしい西戎の女である球泰も居りました。あの女は先に逃げただろう扇琵らとも付き合いが深く、王をたぶらかしてお忍びの外出をさせて共に同行するほどです! だとしたらあの女が共に向かうだろう場所はあの汚らわしい者共の巣でしょう! フフフ…どうか下賤の生まれや汚れた血を引く身を弁えぬ栄誉を手に入れたあの雌豚共に相応しき惨たらしい死を…!!」
その宮女の言葉に場に集っていた叛乱兵や内応者達は歪んだ笑みを共有した。
○秦国中央部 王都咸陽 庶民区画 西市○
「ほれ! 重傷者はこっちに移って!」
「そこの望楼は弓が上手い子達に回して!」
後宮内でそのようなやり取りがあってから数分後、叛乱軍の破壊活動がまだ本格的に及んでいない西市だがそこも怪我人で大勢ごった返していた。
「ほら! 爺さんこいつ吸えば痛みが和らぐから!」
「お、おお…すまんのう…」
そこで忙しない状況にある医師たちの中に、その見習いとして働く当の姿があった。
彼は白漂が西録地方に駐留していた頃、彼が発見した流民達が隠れて暮らしていた隠里に暮らしており、そこを変装状態であった白漂と接触して村の存在が発覚してしまうが、その後に正式調査すべく白漂が訪れた時には既に隠里は焼き討ちにあっており、そこで発見されて保護された数少ない生存者であった。
その後、西録にて仮の従者として雇われて面倒を見られていたが、そこで同じ生き残りであった鵬が内応していた元西録城主による謀反事件の後、同地を後始末のための文官として来た一人である紫夏の目に留まってここ咸陽へ移って医者の弟子になった身である。
「し、紫夏さーん! 裏門にまた避難者が来ましたー!」
「!? 直ぐに行くぞ!」
当もそうして忙殺されている状況で、少し前の後宮で取りざたされていた一団もまた西市の門前に現れた。
「微久さん! あんた達も大事なさそうだね!」
「は、はい! ですが別な意味で大変な方が…!」
紫夏が出迎えて裏門から入れたその避難民の一団は微久達であったが、彼らには怪我人こそ見えないものの、青ざめた表情で大量の脂汗を搔いている状態の球泰がいた。
「す、すみませーん! 今すぐに小さくでもいいので生活な部屋とお湯に清潔な布をご用意お願いしますー! もう球泰さんがまずい状況で―――!?」
「アアアァアア!?」
「ぬわ! 濡れたー!」
「―――ええええええええ!?」
その彼女の肩を支えていた鍼濃が必死な表情でお願いしたところ、球泰の足の付け根からドバっと大量の液体が噴き出て、もう一方の肩を支えていた陽を大きく濡らした。
「ひえええ!? な、何これ!?」
「よ、陽ちゃん、それ“破水”…」
「え、こ、向ちゃん…つまり…?」
「もうじき
「「「「「えーーーーーー!?」」」」」
まさか王都で叛乱が起きているという状況で、新たな命がもう直生まれるという場面に出くわした者達は思わず悲鳴混じりの絶句をした。
○秦国中央部 旧王都雍 大王派要人迎賓館○
「…ホギャア、ホギャア…」
咸陽にて新たな命が生まれそうになっている場面に出くわした者達が慣れぬ驚きと恐れに見舞われていた頃、同じく反乱の火が付きだしていた雍の一角で新たな命が産声を上げていた。
「急げぇ! ここにも近づいて来ておる叛徒はおるぞ!」
「門をもっと強化しろ!」
王都圏へ加冠の儀で後方要員兼人質という形で出されていた譜孝が白漂の第四子を産み落としたのだが、その場である迎賓館では近づきつつある叛徒への備えで慌ただしさを増してきたのである。
「…全く、夫も夫で周りを搔きまわすが…それが囲う女も小賢しさ以外にも周りを乱してくれる」
「ほほほ、ですがその方の提言で瑠衣様は今現在ここ雍で最も安全な場所におられます」
そこで防衛の責任者となった成蟜は非常事態に出産をしてのけた譜孝に少々しかめっ面を見せるが、彼の元教育係で今現在は側近となっている寿白が窘める。
実は嬴政と呂不韋の対談で瑠衣を観衆として送るように言ったのは、彼女達に子供服の裁縫を教えていた縁で親しくなった譜孝の発案で、今回の事態の黒幕である呂不韋なら自身の身辺警護は怠らないのは見えていたので、逆にその近くに送れば下手な手出しはされないのが見えていたからだ。
「…あ奴らは超が付く変わり者だが…思ってみれば瑠衣も相当なものだ…」
その事を思い返して成蟜は妻がいる天備宮を見据えて感慨深そうな表情を浮かべる。
「…王の妃になるべく嫁いできたのに、政が玉座に着いた今でも俺と共に歩んでいるのだからな…」
「…………成蟜様…ッ?」
寿白もまた己が教育係であった頃には見れなかった成蟜のその表情に、当時の己を情けなく思いつつも感服を覚えていたが、そこで迎賓館の近くより悲鳴と怒号が響いて来た。
「た、大変です! 今度はこちらに近い裏の倉庫街で火の手が上がりだしました! 更にそれに乗じて叛徒共が裏門に押し寄せつつあります!!」
「ッ! 俺も行くぞ!!」
「ハ!」
続けて寄せられた報告に成蟜がキッと唇を強く結ぶと、寿白は己が老齢さを顧みず続いた。
○秦国中央部 王都咸陽 庶民区画 西市○
「いやいや…先ほど入った後宮も強烈な女の匂いを放っておったが…ここはここで人とは思えぬ色の髪や肌に瞳をした異人の女が強烈な女を魅せる装いで転がっておるわ」
「…あ…ぁぐぅ……」
雍から咸陽へ視点を戻すと、樊琉期は咸陽の西部区画中心を目指しながら、その道中で中華では見られない人種の踊り子をなぶり殺しにしていっていた。
「琉期様! もう衝車も付きますので早く!」
「まぁそう慌てるな。どの道…王の血族に逃げ道など無い」
樊琉期が部下からの急かしにも酷薄な余裕を崩さずにいたその時、彼の視線の先より門が軋みだす轟音が響きだした。
「うわぁ!?」
「もう折れそうだぁ!」
その頃、紫夏達が立てこもって王宮の妃達が逃げ込んだ西市中心部の正門が衝車で打ち破られそうになっていた。
「ヤバい! このままの勢いじゃもう直に門が破られ…!?」
中心部城内の望楼に登っていた当もそれを見抜いて恐れを見せるが、その恐れは正門に群がる叛乱軍部隊にある一団が加わると変わった。
「あ、あいつ…俺達の隠里を焼き滅ぼした…!」
当の眼差しは正門に群がる叛乱軍部隊の最後尾に合流した樊琉期の姿を捕えると激情に満たされ、彼の身は即座に望楼から駆け出した。
「…もうじき破られそうだな。中から大矢や石弾が飛んでくるが、時間稼ぎにもならぬ…!?」
少しして樊琉期達が正門を見上げられる地点まで進んできたが、そこで彼らが正門の望楼を見やった所でそれは起きた。
「この盗賊紛いのイカレ野郎共! 村の皆の仇だー!!」
自身の村を叛乱軍の前進たる毐軍の樊琉期部隊に演習名目での虐殺で滅ぼされた当が、正門の望楼から大樽を投げ落としてきたのだ。
投げ落とされた樽は下の衝車に落ちると怪しげな色の液体をぶちまけるが、それは空気に触れるとあっという間に気化して周囲を極彩色の煙で包み込んでいく。
「な、何だこれは…く、くせぇ!?」
「は、鼻が曲がるウウゥ!!」
「め、目もいてぇ!?」
現代でいう化学兵器だったらしいそれは正門前に群がっていた叛乱軍を包み込んでいったが、その中には早く殺戮の続きを楽しみたいがために調子に乗って正門の近くまで馬を寄せていた樊琉期達も混ざっていた。
「ぐアアアァ!? く、くそ…ただでは殺さんぞ…ギアアア!?」
樊琉期は暴れ出した馬に振り落とされて仕舞には両足を踏み折られてしまった。
「…ええい! 煙にやられた連中は早く後ろへ退いて無事な連中を入れ替われ! あと少しで門は開く―――」
「あ、あそこよーーー! あそこに後宮を襲った暴漢達がいるわー!!」
「―――う…!?」
どうにか毒ガス攻撃を受けずに済んだ者達が前列と入れ替わって攻撃を再開しようとしたその時、彼らの後方から甲高くも大きな怒鳴り声が投げかけられてきた。
「シャアアア! お前ら行くぞぉ!!」
後宮に侵入した叛乱兵が探すも見つけられなかった超甲の案内を受けて、信達が樊琉期部隊に追い付いてきたのだ。
「チィ! 一先ず正門は後にしてまずは連中を迎え撃て!!」
それに気付いた樊琉期の副官達が迎撃に向かうが、数の差はともかくとして如何せん将兵の力量差が大きすぎた。
「全員蹴散らせ! そこで倒れてる派手な鎧を着てる奴は捕まえろぉ!!」
「「「「「ウオオオオオオオオオオ!!」」」」」
「「「「「ギャアァアアアアァ!!」」」」」
最前線で隊長信と共に叩き上げで上り詰めた飛信隊面々の前に、せいぜい国境の無国籍地帯で隠里や少数民族の村を蹂躙するしかなかった樊琉期部隊は次々と討たれていってしまう。
「だ、駄目だぁ!」
「に、逃げろぉ!」
「ま、待て貴様らぁ!?」
仕舞には将兵達は次々とばらけて逃げ出してしまい、両足に重傷を負って自力では逃げられなくなっていた樊琉期は置き去りにされてしまう。
「うわ!? は、放せぇ!?」
「つ、連れて行かんと貴様ら九族諸共で父上がなぶり殺しにするぞ―――」
「逃がすわけねえだろボケ!!」
「―――おってあーーーーー!!?」
当然、樊琉期は近くから逃げようとしていた部下にしがみついて逃げようとするが、そうこうしている内に信達が追い付いて来て呆気なく半殺しにされて捕縛されてしまう。
「あー! 紫夏さん! 信達だー!」
「白漂将軍の所が助けて来てくれたぞー!」
駆けつけてきた加勢が朋友であったことに気付いた西市中心部も正門を開いて、信達を引き入れた。
「あ! あなたは今年の正月の時に大王様がお忍びで外出なさって訪れた屋敷にいた将校の…?」
「あー、お前はそん時に妙に大きくて立ってる妙な琴を演奏してた宮女…いや今は妃だったか」
「どうやってこちらに?」
「後宮の門前に辿り着いた所で大けがした状態で脱出してきたそこの超甲って宦官のおっさんがもう後宮を脱出してここに逃げ伸びてる頃だからって道案内してくれたんだよ」
その信達に以前の白漂軍一行の咸陽上洛で知り合いになった扇琵が話しかけてきた。
「皆さんを先に脱出させた後で寝返っていた人たちを殴り倒した後はその場を逃げ延びられてここへ行こうとしたのだけど、この傷から漏れ出る血の跡を辿られたら見つけられたら追われると思って…物陰で火で炙って止血したんだけど気を失いそうになっちゃったの。どうにか気を持って正門を出たらここの大王様の以前のお忍びで知り合いになった隊長さんに助けて貰えたのよ…?」
信達に肩を支えられながら出てきた超甲だが、そこで彼は扇琵の背後に隠れている子供達の姿に気付いた。
「ん? 何だそのチミッ子は?」
「ええ、私が母親をさせてもらってる第二王子の慧様です」
「おー、あいつも父親になってたんだな。どうだー? 始めて目にする戦は怖かったか?」
「………!」
その姿に気付いた信がにじり寄ってくると、嬴慧は母親を守ろうとしてかその前に出てキッとした表情で信の前に立ちはだかった。
「おー、静かな顔をして気が強いのは親父と同じだな。そんな堅くなりなさんな。俺はお前の親父さんとマブダチの一人の信だ」
「わ!」
「ふー、お前さん達も助けられて良かったぜ」
信はその嬴慧を抱き上げて驚かせ、そこでようやく短いが一息を付けられた。
今回は原作の激闘中でもホッとしたあのシーンに入れました(王女の麗ちゃんは出番無くなりましたけど…(悲))。
次回は今回の冒頭で起きた人災で北の戦況が終わりに向けて大きく動き出すのが中心になります。