※この作品はR-18です。

天下の大将軍になる!! ~夜の睦言~   作:oosima

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今回は普通なら夫婦にとっての慶事である“あれ”が大量に起きるため、それらに尺が取られて大人向け要素は薄いです。


168 急展開は良くない意味で見慣れがちになる

 ○秦始皇9年(紀元前238年) 秦国北部 朔方郡 黄河水上某所○

 

 渭水水上での水賊との交戦から数週間後、白漂達は渭水を出て黄河へ入って登り、滝を避けるための船の交換を何度かしつつも後代で言う河套地域に入っていた。

 黄河流域は“几”字型に上へ突き出た部分をその支流地域と併せて河套地域と呼ぶが、この地は灌漑さえできれば肥沃で幅広い農地になる沖積平野であった。

 実際、秦に併合されて以降は新しく導入された風車や水車など、灌漑技術や農学の進歩と合わさって、長大で肥沃な耕地に変わっていた。

 

「…ん❤️ もうここまで来たのですね…❤️ もうそろそろ朔方城が見えてくる頃合いでしょう…」

 

 夕暮れで赤く染まるそうした広大な農地を、新型船の客室の窓を通してシャンディが微笑みながら見ていた。

 

「ここでの発展に寄与した身の一人としては嬉しいかな?」

 

 ちなみに、同じ客室には白漂の姿もあり、両者の身は寄り合って互いの手が空いての身を弄り合っていた。

 

「…そうですね、酒造りの研究や製造に必要な原料はこの地の村々と協力関係にありましたから…あ❣」

 

 自分達の活動がこの地の成長に関わっている事の誇らしさから、シャンディは頬を更に緩ませたが、その直後に白漂の指が彼女の寝巻と下穿きを潜り抜けて、その湿りを帯び始めていた淫裂に触れてきた。

 

「…本当にふしだらな方ですね…❤️ ですが…貴方から注がれる快楽は…如何なる御摘みよりも…酒と調和してしまいますから…本当に性質が悪い方…?」

 

 自身の女陰の深みに徐々に侵入していく主君の指の技を感じ入りつつ、シャンディもまた自身の指でその雄の証しに触れようとするが、そこで白漂が彼女の動きを止めてきた。

 

「…待って、何やら慌ただしく早足が近づいて来ている。着直して」

 

 白漂が情事への準備のために着崩れた衣装を着直して、シャンディに掛布団を掛けてその身を隠させた直後、扉が慌ただしく叩かれて要件が伝えられた。

 

「白漂様たたた大変です! おお奥様がー…!」

「…マジか!?」

「マジですか?」

 

 その要件に白漂はギョッとした表情を浮かべ、シャンディも目を丸くしてその言葉遣いが感染してしまった。

 

 

 

 

 

 ○秦国北部 朔方郡 朔方城 内城○

 

 黄河水上の新型船での航行中における危急の報せから数日後、朔方城に帰った白漂は石庭に面した部屋で座禅を組みながら待っていた。

 

「城主様ー! お、奥様達が―…!」

 

 その部屋の扉を、息を荒くしながらも城勤めの従者の一人が喜色を浮かべた表情で開けてきた。

 

「…そうか。良かった…」

 

 それとは対照的に静かに息を吐く様子だったが、白漂の表情には深い安堵の様子が浮かんでいた。

 

「…そういうわけで紅華様に続いて、他の五名様達もご無事にお産みになられました」

 

 数十秒後、前回の嫡子である白陵の誕生の時ほどではないが大勢が集まっているその大部屋にて、この数日間で赤ん坊を産み落とし、その子を胸に抱いている紅華、藍蘭、杏橋、王京、庶徐、姫昭のすがたがあった。

 

「…ハア、まさか城が見え始めてきた船上で産気づくなんて…妙な所で御父君に似てせっかちというか…」

 

 その中で、今回の集団出産ではいち早く産気づいてまさかの船上出産となった紅華が一段と疲れが残った顔を浮かべつつ、今回生んだ白漂の次女白瓓をあやしていた。

 

「あらあら、女の子は父親に似るというから大変ですねぇ♪」

 

 それに数十日前にて起きた秦王都圏叛乱の最中に生んだ白漂の三男白酈を抱きながら、譜孝がニヤニヤした表情を向けていた。

 

「あーうん、男の子の場合は間違いなく旦那の子だってわかるな。既に赤ん坊の時点でここがもう…」

 

 藍蘭は脇に置いてある赤ちゃん用のベッドで、今回生んだ四男白昂の産着を着直させていたが、それで目にした雄に共通しているあの部分に少々頬を赤らめながら苦笑を浮かべていた。

 

「いや藍蘭さん、そんな子のそんな所まで今から調べたりしなくて…ちょちょちょお!? 赤ちゃんってこんなに握力強いの!?」

 

 それに王京が少々しかめっ面を浮かべて注意しようとするが、そこで彼女が今回生んだ六男白昊がその髪や頬を強く引っ張ってきた。

 

「いやー、赤ちゃんって実際に握ったりする力って強かったりするんですよねー」

「だからって奥様そんな危ない姿勢を生まれたばっかの子にさせないでください」

 

 庶徐は生んだ三女白琳を自身の頭に乗せて髪を掴ませており、侍女からの注意を受けていた。

 

「周囲の子達が元気な中で…この子が静かでいるのを見ると…助かりますけど不安でもあります…」

 

 周りの賑やかすぎる様子に、この中で珍しく静かに寝ている今回生んだ五男白鳳に杏橋はやややつれた顔で小さくも苦笑を向ける。

 

「…いやあ、皆さんと同じ時期に身籠っていた姫昭さんのお腹が取り分け大きく膨らんでいて妙でしたけど…」

「まさか双子だったとは…」

 

 そうして概ね朗らかな空気に満たされていた中で、やや重苦しい表情を浮かべていたのが、今回は双子の男女として生まれた七男白焻と四女白錆を生んだ姫昭である。

 昔において双子は、一人で生まれてくるのが普通の人間と違って獣のようだと忌み嫌われる風潮が強かったためだ。

 

「そんな迷信を何時までも信じる暇な人がいるんだねぇ」

「いや…その、白漂様…私ももう…貴方様にお話しされてもうその事はそこまで気にしていないのですが…問題は…」

 

 姫昭は少々言い辛そうな表情を窓の向こうに向けるが、彼女達がいる高層階から見下ろせる館の門前には暗い雰囲気の一団が出来ていた。

 

「姫昭様が…」

「…一度に…」

「…二人もの子持ちに…」

 

 今回の出産で姫昭が元々は敵である白漂に取られた事を改めて再認識させられ、呆然とした様子となり、中には一晩で白毛や抜け毛が発している者もいる元西貴の人々であった。

 

「…私も何れは、この子達のように…あの人の子を産んで母になる日が来るのだろうか…」

 

 それとは対照的に、薙鍛が当たり前のこの平穏な一幕への羨望と、今の自分もまたそれの一部となっている事への安堵、これからへの期待から小さく呟く。

 

「ん?」

「あ、いや…何でもない」

 

 だが、聴覚に優れる庶徐に聞き取られて首を傾げられ、慌てて区部を横に振った。

 表向きは薙鍛が空鳳を若すぎる身で産んだ実母となっているので、庶徐の反応が当然と言えば当然であった。

 

「…うふふ、旦那様…子供達が皆揃って元気に生まれた御祝いに…今宵は長らくできなかったこの身での夜のお仕事を…♪」

 

 そうした和気が周囲を包んでいる状況で、譜孝は白漂の背に寄り添って甘えたがる猫のようなしぐさで囁いてきた。

 

「あー、ちょっと狡いですよ。私達もお腹がようやく空いたんですか…あいて!?」

 

 庶徐がそれに真っ先に気付いて抗議の声を上げようとするも、その後ろ髪が引っ張られた。

 

「馬鹿を言うな。子を産んでから何日も経ってない身で旦那の夜の相手、ましてやこんな下半身化物の相手なんてさせられるわけないだろう」

 

 庶徐の後ろ髪を引っ張って止めたのは扁鵲で、彼女の腹部も出産直前の紅華達程ではないが相当に膨らんでいた。

 そして、この場には扁鵲と同様に白漂の子を身籠っている身として、ナクタとナミに魏亶の姿もあった。

 

「ほっほっほ、よもや一度にこんなにも元気なお子様が大勢お生まれになって、他にも既に弟君や妹君の準備も出来ているとなると、当分白家は大丈夫ですなぁ」

「あー、その事なんだけど…貴方ー、私達の身が産後の状態から回復するまでの間とそれ以降も含めて、相談があるんだけど…。まー妊娠中も机仕事と並行して直ぐに復帰できるように無茶にならない範囲で体を鍛え続けてきたからそんな長くは掛からないけど…」

 

 普通なら跡目争いに繋がりそうな光景なのに全然そのような気配を感じさせない空気にカラカラ笑う里甲とは対照的に、紅華は真面目な表情に切り替わって夫に振り向く。

 

「紅華、どのような要件だ?」

「…薙鍛さんの身請けもあって龍城戦終結直後より落ち着いてる北の嘗て匈奴(ヒョンナ)を構成していた諸族の内、主に距離や位置の関係から燕には加われない諸族、それと関係が深かった保護下の諸民族から、関係改善を求める話が来ているのは知っているでしょう」

「というか、咸陽にいる間やこことあそこを行き来している道中でもそうした手紙の整理をしていたよ」

「そうね、咸陽との衝突を避けるためとはいえ…貴方は北で培ってきた信頼を大幅に低下させる真似をしてしまったわ。幾ら利害関係で妥当とは言ってもそれだけで再度関係を結び直せるほど人間は単純ではないでしょう」

「だよねえ、人間、理屈と損得だけで動けるならここまで戦争してないし…」

 

 その話は今後の中華情勢にも大きく関わる、北方最大勢力を占めていた旧匈奴(ヒョンナ)系の扱いに関するもので、部屋にいるもの全員が様相は各々異なれど緊張感に包まれた。

 

「出来る手は出来る内にやっておく必要があります。その為に、貴方には…」

「「「「「………………」」」」」

 

 北での激変の中心に最も多くいた漢に人として最も近い、“妻”としての立ち位置を名実ともにこなす女性の言葉は、室内にいる者全員に伸し掛かる。

 

「咸陽含めた他の有力者子弟との婚姻の仲人代表を貴方にしてもらいます。貴方への新たな側室入り及び侍女も兼ねた愛妾増員の選定も含めて」

「!!??」

 

 だが、重々しい口調とは裏腹のその俗っぽい内容に薙鍛が思いっきりふらついて頭を柱にぶつけた。

 

「ほっほっほ、孫やひ孫らの嫁や婿には困らなさそうじゃの」

「いや、そんな田舎のお見合いみたいな感じで言われても困るんだけど里甲!?」

 

 薙鍛が慣れぬ類の痛みに悶絶している間に、会話が今度は軽い調子で再開となる。

 

「じゃあ、他に意見があるならどうぞ」

「咸陽の政に身請けしてもらう。大国の王様の妃なら向こうも文句ないでしょ」

「馬鹿言わないでください。もし万が一そうして貴方に恨みを持ってる子が次の秦王の母親にでもなられたら私達が粛清される可能性大でしょうが」

「まあ、そうなると良くてここにいる者がよくて追放ですね」

「いや、ふざけてそうに見えて笑える内容ではないんですけど郭備殿…」

 

 途中で姫昭などまだ慣れていない面子が引き攣った笑みで突っ込みを入れたりするが、話の半分ふざけた様子は変わらない。

 

「だからって自分の旦那を種馬みたいに貸し出し続ける真似はもう少し自重しろ。下手すればそのうち干物となり脇から血を流すようになるぞ」

 

 中には紅武のように健康面と安全面から主君の身を気遣うものもいたが、それらも専門家によって封じ込められ始める。

 

「安心しろ、無いとは思うがもし万が一に使い過ぎて不能になったり刺されたりしても、再起動させられる治療を施せる体制は、紅華を通じて一族の生存権確保及び充実化のための支援と引き換えに西遼と共同で完備してある」

「扁鵲さん非常に物騒な単語が混じってる様に聞こえましたけど!?」

「それになー、今現在は妻である私達を除けば孕んでいる面々がナクタとか特に有力な一族の後援が無い子が多いんだ。今後の新たな取り込みや取り込み済み勢力の関係深化を考慮すると、ホノカやパクラみたいな旨味が強い部族出身の子を中心に身籠らせて親戚づきあいを強化してもらえると助かる」

「藍蘭さん、増々俗臭くなりますからあまりしゃべらないで…」

 

 結局、グダグダの感じが強いまま、今後の北方諸勢力取り込みを主目的としたその話し合いは進んで行った。

 

 

 

 

 

 ○秦国北部 朔方郡 朔方城 研究所○

 

(…男尊女卑社会とは言うけど…野郎も十分に人権低い時代だよ…相変わらず…)

「あのー、白漂様ー。今回持ち帰られた作物の取り扱いはこれでよろしいですねー」

「…あ、うん、これでよろしいよ…うん…」

 

 新たな家族の誕生に向き合えた喜びを、身内からの再度の種馬第一指令によって微妙極まる空気に貶められた日から数日後、白漂は咸陽大学院の北方別館でもある朔方城研究所に出向いていた。

 

「…本当にキレている時と情けない時の落差が激しすぎる人だな…」

「いやまあ、そんな方だから私達みたいな人も受け入れて貰えたようなものだと最近では思うようになってます…」

 

 研究所を守る外壁の上よりその様子を、悩ましそうな薙鍛と微妙そうな苦笑いを浮かべる姫昭が生温かく見守っていた。

 

「よくそちらも受け入れて貰えたな。経緯が経緯だから同情する者が多いとはいえ、黒羊では数万の大軍を率いて対峙し、実際に剣戟を交えた仲だろう」

「ええ…ですから、ここには…あの戦で身内を失った者達は極力連れてきていません」

「だろうなー…?」

 

 白家に来るまでの経緯が似ている姫昭と薙鍛は友人となってよく談笑するようになったが、そこで研究所区画と隣り合う城内市場の一つで何やら口論が発生しているのを耳にした。

 

「え~~? ちょっとー旦那~いくら何でも買い取りの値が安くないか~?」

「それなんだけどーこっちだけじゃなく他も作物が取れ過ぎてて値崩れしてんだよー」

 

 二人が壁上からその声に釣られて視線を降ろすと、そこでは市場の組合長達と朔方城近郊農家達が農作物の交渉をしていたが、何やらどちらも難しそうな表情を向け合っていた。

 

「…何やら趙とかと比べると、あれくらいの農家にしてはそれぞれの荷車に乗せられてる野菜とかの量が多いし、上手そうな形をしてるのが多いが…」

「…あぁ、何か灌漑とか農業の技術の進歩に新しい作物とかの普及で、この辺りの農家に限らず秦中の市場でああした値崩れみたいな現象が起きているらしいですね…」

「あの人は豊作貧乏だとか言っていたな」

 

 いつの世も進歩というのは明暗を生じさせるものだが、白漂と薙鍛がそれに心配そうな声を上げていた所で、彼女達にとっての先輩の一人が両者の会話に割り込んできた。

 

「おやおや、何やら豊作に似合わない空気だねぇ。ちょっと私も話に加わらせて貰えないかなぁ?」

「えぇ!?」

「あ、貴女は…!」

 

 出産を終えて再び彼方此方へ商談を纏めに出かけられるようになった藍蘭が、驚く両者の間に割り込んできたのだ。

 

「…あーー、疲れたー…」

 

 妻の一人が産後からそう経ってないにもかかわらずきびきび働いていた頃、その旦那である白漂は色々疲れた表情で研究所内の一室の椅子にドサッと勢いよく座り込んで、そのまま寝息を立て始めた。

 

「…後宮は男の永遠の夢だけど…あいつのあの顔を見てると実際に幸せなのかどうか疑問を喚起するっつーか…」

 

 一方、その白漂がいる研究所を守る外壁の壁上の、姫昭達とは別の箇所より、白漂と共に帰還してきた身である信が微妙そうな表情で、今は安らかな寝息をたてられている白漂に思いを寄せていた。

 

「いや、昌文君の所で決まったその内容や、今あそこであいつが加わって進めている内容は俺達とも無関係じゃないから」

 

 ちなみに、その場には河了貂も同席していたが、彼女には何やら苛立ちが強まっている感じがした。

 

「あー、確か灌漑工事の進展で畑のさらに広がった分で今回西からの帰還組が持ち帰った新しい作物を試験栽培には俺達も参加しまいって話だろ。始拓も秦の地元や玲花達の部族からの移住者で人数増えてきたから…」

 

 その苛立ちの理由は却ってからの机仕事の増加によるストレスからだと信は始め想ったが、河了貂は更に苛立ちを強めながら言葉を続ける。

 

「…それもそうだけど、そうやって人口が増えていく分の理由の一つが関わってるだろ」

「ん? 移民以外に有んのか?」

「…落成式だよ…」

「……え…??」

 

 だが、河了貂が恨めしそうな眼差しも添えて言い放ったその言葉を、信は何でこの状況で出てくるのか始めわからなかった。




原作ヒロインの一人の口からとんでもない発言が出ましたが、果たして誰が対象なのでしょうか…?
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