今回、少しですけど中国史に置いて大きく刻まれた名の一つ(?)が登場します。
170 商業には何時の時代もダークゾーンがある
○秦始皇9年(紀元前238年) 秦国北部 朔方郡 朔方城 内城○
「…んん…ふううぅぅ~~~~、お腹のたるみも前みたいに大分締まり直したわね…」
大改修を終えてその落成式を迎えた拓景山城で信と有が久方ぶりの再会を喜んでいた頃、紅華は修練場の一角にて現代スポーツウェア風下着で丸出しになった自身の腹部を指で触って確かめていた。
出産から数日しか経ってないにもかかわらず、元から非常に鍛えていた素地もあって白漂女中の出産後の腹部のたるみの締まり直しは早かった。
「…いくら妊娠中も素振りを繰り返していたとはいえ、産後からそう経っていないにも関わらずよくそこまで動けるな…」
そこで共に武芸の修練に加わっていた薙鍛も畏敬が滲んだ眼差しを向けていた。
「薙鍛殿もここの空気に馴染まれていますね。今では城を多く行き来なされる旧
「まあ、姫昭…バラント卿を始めとして知り合いが多いからな…」
「…というか、位置や利害関係からしてまずは彼から来るだろうとは思っていたが…、まさかともに北に派遣した使節団と共に秦へ来るとは正直思わなかった…」
その中で藍蘭が意外そうな表情を添えてそう口にしたように、白漂による
「…そうだな、そのあまりの早さに私も当然腹に一物あるだろうと思う。実際、通訳の場で何となくだが恨みはと聞いたら、静かだがきっぱりと恨まぬわけがないと言われていた」
バラントと秦側の交渉のやり取りの場にいた薙鍛が、彼とのやり取りの内容を詳細に話していく。
「だが、先の白漂様のぶん投げで北が大小さまざまな勢力が入り乱れる状態になった以上、これ以上自派が分かれる前に大きな勢力を保って且つ関係も良いも深い秦側へ、これ以上戦力が減る前に売り込む形で恭順した方がよいと皆を説得したと言っていた。何より、こちらと戦っても勝ち目など無いと言っていたし、その通りだと思う…」
「でも、あの時の彼の表情…そういう公的な打算だけの表情じゃなかったわよね。それ以上に…安堵感と、これからへの不安と期待に対する興味の眼差しを浮かべていたわ…」
「ああ、紅華奥方その通りだ。今まで父が築き上げてきた勢力を引きつくだけでなく、これから新たな勢力をどう構成していくべきか、その先であの人がどう動くのか…それを見てみたいとこれからに向けて志と言うか…意志と言う火が付いたというべき笑みを浮かべていた…」
その話の最中でも、薙鍛の意識の多くは今この場にいない夫である白漂へも向けられている。
「…あー、その為に彼らに強みを生かしつつも秦へ上手く新しい形で参加してもらう必要があるんだけど…その為の一環として進めてる例のあれはー…薙鍛さん大丈夫?」
だが、その空気を微妙なものにする話題に王京が言い辛そうな表情で加わってくると、薙鍛もまたやや複雑そうな表情を浮かべ始めた。
「…いやーー、バラント卿と奥方達で進めているあの話は自然だろう。幾ら前の単于家の血筋とは言え…私だけに白漂様と旧
だが、天がその微妙な空気が続くのを見過ごせなかったのか、修練場と外壁を挟んだ市内の市場の一つから揉め事の騒音が飛び込んできた。
「ん? 何だあの騒音はー?」
「あー、あの声は多分だが…今も李牧時代に始まった陸禁政策が続いている趙北部と行き来する行商に紛れた向こうの間者が、正体ばれして暴れるも捕まった声だな…」
城内の経理や戦地での白漂軍の経理を担いつつも、狙撃兵としての性から五感も鋭い藍蘭が声だけで壁の向こうで起きた騒ぎの内容を聞き当てた。
「紅華様、検問で取り調べはしているのではないのですか?」
「姫昭さん、国境の関所で検閲しているけど行商は咸陽込みで今は犯罪をしていない限りは取り締まりの対象にはならない事になっているの。まー、趙北部の方は今では南に逃げているあの人物が残した取り巻き達が今も“陸禁”を続けているから…かえってあれと共に増えているけど…」
そうした外部から時々来る物音を話題にしつつ、白漂の閨に属する女性達は談笑と武芸の修練に勤しんでいた。
○趙北部 辺境農村地帯 某寒村○
紅華達が近づく前線や夜への復帰に備えて身をいつも通り鍛えていた頃、趙北部にある役所の目が届きにくい農村の林に隠されたそこでは、人目を気にして住人と行商らが商売に勤しんでいた。
「…ほら、取れた場所は言えないけど高粱に黒麦を中心とした穀類と塩に砂糖だ」
「おお! ありがたい…!」
「最近はあの変態王と取り巻きの連中がここへの税率を上げたから助かるよ」
「いやさー、ぶっちゃけ俺の村って土地が貧しいから元々は北狄達とも適当に折り合いつけてあっちとの商売で生活してたのに、李牧様が専守防衛の一環として商売まで制限する陸禁までやっていたから、その時からずっと苦しかったんで助かるよー」
「お、おい、お前…そんな事を口にするなよ…」
その会話の内容が示すように、彼らの取引は秦から流入してくる豊富な物資を扱う闇取引であった。
李牧が趙国内にとどまっていた時期より、その監視下を掻い潜って秦からの輸入品を扱う闇市の類は徐々に増えていたが、李牧が険水関での不祥事で楚に亡命してからは加速度的に増えていっていた。
それはすなわち、秦側と出入りして闇市に必要な物資を供給する幇、この場合は後世で言うところのマフィアの勢力拡大を意味していた。
「…それでは、我らの教祖様が直々に考えられたお薬もまた…」
「おお、ありがたい…」
そうした幇の中で、秦でも時々見かけられる天安教の関係者が最も見られるようにもなっていた。
○趙北部 宜安○
趙北部で拡大浸透中の不穏な影は、雁門がこの世界では白漂によって秦に併呑されてからは、趙北部防衛の中心となっているこの城も当然知覚していた。
「「………………」」
そこの城主である北遼公と駐留軍指揮官袁環もまた、趙北部の闇で拡大中の幇とそれに比例して拡大している敵対勢力の諜報網に苛立ちと焦燥を毎日覚えていた。
「あ、あのー、先月…秦に占拠されている雁門への偵察に出たものの行方不明になっていた春満千人隊ですが…どうやら、侵入したその日に全滅したようで…どうやら向こう側と出入りしている闇商の中に秦側へ情報を売っているものが他にもいるらしく…」
「くそぉ! またかぁ!!」
「ひぃ!」
そして、今もまたそれへの取り締まりがうまくいっていない状況を示す報告がなされ、袁環が何度目かの爆発を迎えて目の前の机を殴り壊した。
「おい! 捜索及び取り締まりのための隊は何処も全力で出しておろう! 実際に幾つかは取り締まっておれているではないか!」
「ほ、北遼公そうですが…それ以上に密貿易に関わっているものが多すぎて且つ範囲が広すぎるのです。それに比べれば…捕まっているのは微々たるもので…」
「さ、更に生活に困窮している北部地域…特に異民族との交易が古くからある北東部住民には闇商をかばっている者達も多くて…」
「取り締まる側にも、家族が困窮しているものが多いので取り締まって得たものを今度はその者達が横流しするという事態も起きております…」
「そのようでは闇市を利用する住民も不信感を強めて増々非協力的に…」
「さらに今や闇の経路を通して流れてくるそうした商品は、王都圏含めた政財界に影響力を持つ豪商達まで扱っているらしいので、これ以上の取り締まりは…」
城主の問いに伝令達は現状を改めて説くが、その事で袁環は冷静さを取り戻すと同時に事態の深刻さを改めて覚えて表情が険しさを増す。
(…こちらの税の減収の原因となっている秦と関わっている密貿易の取り締まりには金がかかりすぎる。その為の予算を組むために税率を上げると…増々民衆はより安価な品が流れてくる闇市への依存度を高めてそれで内通している幇が増々儲かる…これではイタチごっこだ…)
袁環が改善の余地が見えない趙北部で拡大中の闇取引に脂汗を増やしていると、今度は彼自身にその弊害が実際に及んだことを示す報告が飛び込んできた。
「た、大変です! 二カ月前に例の幇の一つを捜索に出たものの先週にて行方不明になった袁章様が…!」
「!?」
その弊害が自身の身内に及んだことを知らされた袁環の表情が青ざめた。
○趙北部 対秦国境付近 某僻地○
「…これは…」
「また酷いな…」
袁環の身内に闇が襲い掛かってから数日後、白漂達は拓景山城の落成式を抜けて自軍に戻り、国境を趙の正規軍側には知られずに秘かに越えて、その寒村に見せかけた秘密の取引場所を調べていたが、少なからぬ数が顔をしかめていた。
「…貿易に紛れて、趙側の幇が正体を隠しながら自らの価値を売り込もうと趙側の情報を横流しするようになっているが…」
「こちらを嵌めるための偽情報も混じっていますが、今回の違法奴隷商の拠点からして、本物も混じっている点からして、趙側が相当に統制を取れなくなっているようです…」
現在、秦側は大規模な遠征を控えつつも、このように国境地帯における隣接する敵国の内城や地理を調べる偵察行動を多岐に行っていた。
藍蘭達が朔方城で口にしたように、特に趙側では李牧派による防衛の一環である陸禁政策の影響で、それ以前までは北の異民族との交易で生活していたものの多くが密貿易に関わるようになっていた。
但し、秦趙には取り扱える物産の種類と量には隔絶的な差があるので、趙側幇に関係する闇商達が秦に持ち込む商品には、軍事機密も含まれる情報も混じるようになっていた。
当然、その状況を逆手にとって李牧側が流す偽情報もあるが、それ以上に潜在的な北部反李牧派が流す情報の価値が多く高いため、今回のように白漂達は国境を秘かに越えての軍事行動が出来るようになっていた。
「…中原では色目人は珍しく希少性が高いからな。その死体の加工品も含めて…」
今回、白漂達が潰した趙側のこの拠点は、そうした趙北部反李牧派が知らせてきた、反北涼*1系幇による異民族奴隷及びその
「とりあえず生存者だけでなく、死体なども含めて運べるものは調べるために全て北に持ち帰って残りは処分だ」
「はい、我々も今後においても協力させていただきます。次も何卒…」
「ああ、よろしく頼みます。
そうした秘密拠点の処分を速やかに済ませながら今期の協力者と言葉を交わす白漂だが、その一人の名が妙に引っかかっていた。
(…まさか狼虎谷で自害した後で…まさか坊主が言っていた輪廻転生とやらでこの…春秋戦国に時を遡って第二の生を得ようとは…、しかも…孤児からのし上がった成り上がりの伝説たる涼の太祖とこうして知己を得ようとは…、俺の知っている歴史とは違っている点があるようだが…久々に
そうした協力者の一人は、白漂に何処か畏敬か羨望などを滲ませたような眼差しを少し向けた後、闇の中へ姿を消した。
○秦国北部 対趙国境付近 某山塞○
先の王権を巡る叛乱とその後始末の影響で、大規模な遠征は当分控えたい秦側だが、その間でも自身に深い怨みを抱く趙への警戒と防備には余念がない。
白漂が管轄する秦北部の趙と面する国境地帯には、地形を生かして大部隊を上手く隠して周囲の同類と有機的な連携が取れる山塞が幾つか設けられていた。
(…幾ら李牧が楚に亡命中で距離的に連携が難しいとはいえ、趙北部の反秦派がこのような良いようにされているままの状況を受け入れ続けるとは思えない。もう既にこちらが気付いているもの以外にも何かをしてるか、もしくは…したくても出来ないような状況にされているか…? だけど…あの李牧にそのような事が出来る勢力なんているのか…?)
そうした山塞の一つにある一室で、壁一面に張りけられた資料及び報告書に目を通しつつ、白漂は靖涼の変以降は特に動きを見せていない例の男についても思考を走らせていた。
その中で生じたある仮説に反応して、白漂は少年時代の紫夏と共に中原を中心とした中華中を回っていた時期での、ある出会いを思い出しそうになる。
『漂、実は自分さ―――』
「ンンん❤️ 白漂様ぁぁ…時間が限られている貴方からご寵愛を受けている身ですがあぁぁ…私の方もぉぉ責め上げて下さあいぃぃ…❤️」
「―――あ…ご免…」
だが、その出会いで印象に残った言葉は、現実において発せられたレベッカの嬌声混じりの懇願で遮られた。
白漂は真面目な思案中も実戦中でない限りその体の雄としての機能は、彼を選んだ雌豹達に使用されるのが通例となっていた。
今現在、リクライニングチェア型寝台に仰向けで寝そべっている白漂の腰の上に、生まれたままの姿のレベッカが跨って、その淫靡な桃色に濡れた淫裂で彼の男根を加えて尻を揺らしている最中であった。
但し、後方でなら政務や軍務系の考えごとを勧めながらも同時に女性を悦ばせられる動きが出来る白漂だが、今みたいに考え事が深くなりすぎるとさすがに動きが鈍る事がある。
「…ちょっとぉ…❤️ お仕事の御考え事は仕方ないけどぉそれにばかり耽るのはぁ相手の子に失礼ですよぉ…かむ❤️」
それを察した今宵の夜伽兼寝所護衛担当の一人であるミナイが、羞恥を微かに残した表情ながら白漂の胸板で突き出た蕾の一つを甘嚙みして、その逞しい男の身を度々震わせたりしてくる。
「…レベッカ…時間…早められないなら…こっちも手伝う…チュルゥ❤️」
ミナイと同じく白漂の雄の証しを待ちわびている淫裂をヒクヒクと震わせつつ、式部がレベッカの乳房に舌を這わせてその桃色の瑞々しさを十分残した蕾を甘噛みしたりもした。
「アアアアアアアァアア❣ ちょっと待ってぇぇ…❤️ もう少しでぇこっちもぉもう一度いけそうだか…それでぇ種も多分もらえるからぁぁ…んゥウウウゥぅぅぅ❣」
そうした周囲からの急かしを込めた愛撫で身の心地よい震えを更に増しつつ、それも上乗せしてより複雑に蠢いて吸い付きを強める淫裂で男根を悦ばせ、それに肉襞のみならず神経まで甘く溶かされそうな喜びも味わって、レベッカはその名の通り腰をより魅惑的に揺り動かし続けた。
「…ンンんん…いいよ、もうそろそろ…君にも種を振り絞ってもらえそ…?」
レベッカのダンサーのように躍動的でありながらしっかと男根に吸い付いて振り回す肉の舞を、白漂はしっかと腰を合わせて深めながら陰嚢に準備を整えさせるが、その意識は前線の一角にあることから外れておらず、腰は女性を悦ばせ乍らその手は別の方へ向けられていた。
「アアアアァアアアァ❣ やっとまたぁ―――❣」
レベッカが白漂の突き上がり続ける男根で遂に意識が天上を突き破って、我が身を見下ろしているかのような幻視の境地に登ろうとしたその時にそれは起きた。
「アブベェェェェェェ!?」
彼女達がいる寝所の扉を乱暴にこじ開けながら 顔の半分が大きな拳の痕で変形した不審者の一人が室内へ飛び込んできたのである。
「う…っさい」
「ぶばぁ!?」
それには一瞥もせずに白漂は腰の下をブルリと震わせて愚息が吸い上げられるような悦びを味わいつつ、枕元に備えていた十星戟を瞬時に手に取って振るい、寝台に触れようとした不審者を上へ叩き飛ばして天井へ貼り付けにした。
「―――ァアア❣❓ あ…っ!?」
その間にレベッカは天上へ至ったような悦びを押し上げるようにして長引かせる白濁の噴火を子宮で直に味わっていたが、不審者が天井へ張り付いた直後でその気配に気づいて即座に寝台の傍に立てかけていた長剣を鞘付きで振るった。
「ぐふ!?」
重力に退かれて落ちる途中だった不審者は後頭部にレベッカの一撃を鞘越しながら真面に浴びせられ、その勢いも載せて岩肌むき出しの床に叩きつけられて、床を血で汚しながら意識が闇に落ちた。
「…何かよー、この部屋に続く廊下の途中にある物置小屋でそこの荷物に紛れて忍び込んで来たっぽい怪しい連中が話し込んでたから捕まえようとして一人がここに来たんだ。大丈夫かーー…って大丈夫だなこりゃ」
その直後に、別の不審者を顔が変形した状態で引きずりながらレキシントンが現れた。
今宵も、白漂軍名物(?)の“夜伽中に襲ってくる刺客などを対象にした警護の訓練”は支障なく運営されていた。
「…それじゃー、捕まえた連中と一緒に紛れ込まされてきた品に始めて見るものがあるからそれを調べるためにももう戻るわ。こいつも連れて行くぜー」
レキシントンも馴れた表情で、自身が連れて来た不審者と先ほど室内へ殴り飛ばした不審者の何方も廊下へ引きずり始めるが、その彼女が口にした内容に白漂は不穏な予感を覚えた。
「…初めての品? (密貿易を巡って趙との間で暗闘が頻発しているこの時期に…?)一応、わかった事はすぐに知らせてくれ」
夜伽と並行しての警護訓練には今回みたいに招かれざるが無視し難い客の類が来る事も何度かあり、今回もその範疇にくくられる気配を白漂は感じ取ったのだ。
今回、またシリアスな空気から締まらないムフフ話で終わると思いきや、またきな臭い話に入りそうな状態となりました。