○秦始皇9年(紀元前238年) 秦国中央部 王都咸陽 庶民区画○
「三番の煉瓦はこっちじゃない! もっと上の階だー!」
「こいつは水が多いぞ! もっと2番の石粉を持ってこいー」
北の大地で白漂達が数えきれない宴会の準備と刺客騒ぎ、不穏な事件の調査で活動していた日、咸陽は戦災からの復興及び都市改造のための建設作業が進んでいた。
「今日も夕方に入ったというのに未だ工事が続いてますね…」
「焼け出されて身一つになった市民が大勢出たからな。仕事を求めて流れてくる流民も減る気配は見えないのもある」
その工事現場に隣接している市場の一角を、本日の会議を終えて息抜き中の嬴政がお供を連れて出歩いていた。
「…うわ、高いですね…それにほとんどが石作りで…これって何ですか…?」
そこでお供の一人である扇琵が見上げたその建物の一つは、煉瓦と石材で出来たと思わしき五階建て以上で十数メートルはありそうな大きな建物であった。
「ああ、これは西域の言葉の一つで“インスラ”と呼ばれる集合住宅だそうだ。借家と言う意味らしいな。材料は煉瓦の他にも“オプス・カエメンティキウム”と言う泥も用いるらしい」
「え? 泥ですか?」
「ああ、西域に暮らす民族の一種が用いる建材の一種でな。複数種の土と水を混ぜて型に流し込み、時間を経たせて型を外すと石のように丈夫に固まるという建材だ。今では太行山脈一帯で材料が豊富にとれるのが分かったから、今までの木材や土製のものに代わって秦の各所で広まっている」
嬴政は扇琵の問いに答えていると、既に人が済み込んでいるその隣りで別のインスラが建造中であったが、そこの現場監督をしている一人の青年に気が付いた。
「…あの人…髪と瞳の色に顔つきからして…色目人のひ―――」
「ティトゥス様ー、夕飯のお弁当をお持ちしましたー」
「―――とってオオッとぉ…」
その青年の人種に扇琵がやや物珍しそうな声を口にしようとしたその時、濃い栗色の同じ人種と思わしき女性がその真横を勢い良く通り過ぎて彼女を驚かせた。
「あ…クロエ大丈夫? 新しい街だから迷子にならなかった?」
「はい、大丈夫です。近くの織物工場の女性工場長さんがよくしてくださってますので…」
「おー! 若旦那ー! 仕事場に新妻ちゃんを連れてくるなんてやるねー!」
「若旦那の仕事に俺達の新しい家の安泰が掛かってんだからよー! 嫁さんもしっかり相手してやる気を引き出してやりなよ~♪」
「は、はわわわ皆さ~ん!」
「よ、止して仕事に手中してくださーい!」
それをはやし立てる周囲に、赤い顔を向ける青年とその女性はどうやら夫婦のようだった。
「…人種が違ってても、人の営みは何処も大差なさそうですね…」
「ティトゥス…確か…俺達が今晩泊まる予定のインスラの責任者の名だったが…」
「…え…?」
その若い夫婦と本日にて意外な接点を持つことに、扇琵は目が丸くなった。
○秦国北部 匩涼系領域内 オアシス都市水階 仮政庁○
咸陽で若い夫婦がやんごとなき二人と気付かない内に接触しようとした日の夜、刺客の掃討やその仲間の謎の死が起きた後、北にあるオアシス都市の一つで白漂は夜風に当たろうとしていた。
「…今日はいい涼しさだな…」
窓辺に寝巻を簡単に羽織っただけの姿でぼやく白漂の背後にある寝台は、モネが甘い疲労を強く滲ませた寝息を漏らし、足の付け根から彼に愛された証である白濁を垂れ流しにしている状態で寝入っていた。
「そうですね。このような夜は頭も冴えます」
その白漂が腰かけている窓辺に近い中庭から、書類を大量に抱えた杏橋がいつも通りの能面で通りかかった。
「杏橋、今になって今晩の仕事がやっと終わったということかい?」
「ええ、制圧した地域と後方を繋げるための各種工事と、それに託けた現地への技術含めた各種支援のために…、技術及び技師の支援と、物資のやり取りなど…補給を担当する方々との協議もありますから…?」
気付いた白漂にまだ起きている理由を口にしていた杏橋だが、その傍に夫が静かに寄り添ってきた。
「…毎日こんな夜遅くまでありがとう。だったら…夫として感謝しないと気が悪くなるけど…受け取ってもらえるかな?」
「…まだもう一カ所…確認したい場所があるので…そこを済ませてからなら…それと、平服のままだと護衛が出来ませんので着替えの方も…」
身を静かにだが近づけてきた夫の囁きを、杏橋は真顔のままだが頬に朱色を浮かべて吐息に熱を帯びさせながら受け入れた。
「…へー、ここがマルタ達の同族がこの地に建てた“
「はい、彼女達の同族の金融網と情報網は西域の広範囲に深く広がっており、それは秦を拠点に中華でも拡大中で、我が国の諜報と経済の両活動で貢献しておいでです。その貢献に対する恩賞として神学の研究と布教の拠点として建設の許可を貰ったもので…」
数分後、白漂は杏橋の案内で別時間軸の後代なら“教会”の全身となる建築中のその建物を案内されていたが、杏色の配色が混じる赤基調の修道女服に似た武装に着替えた杏橋には複雑な思いがあった。
(…あの子…白鳳を生んだ時が少々難産だったせいで悪夢にうなされたかと思ったけど…、思い出したのは…
だが、その複雑な思考と原因である回想に対する苦悩が杏橋の表情にも表れようとした時、彼女の臀部にこの世界で深く親しんだ堅く熱い感触が布越しながら当てられてきた。
「…まだ建造中なので正式には
その熱に胎内のそれが早くも共鳴しだしたのを覚えつつも、杏橋が眉を潜めて背後を見やると、自身を案じてくれている表情でしな垂れかかってくれている夫の姿を見た。
但し、スカート越しに杏橋の子を二人生んだ豊かさを持ちつつも美麗な丸みも取り戻している臀部に当てられた男根は、完全に妻への愛欲に取りつかれた猛獣と化してしまっている。
「…僕としては君がそんな暗く沈む一方の表情のままでいる方が嫌だな。けれども僕じゃ賢い君に言葉での相談はしづらいし…だったら得意分野で行った方が良さそうだったし…」
白漂のその言葉を耳元に囁かれると、杏橋は一旦身を離すがその腰元にスカートを繋ぎ止めているベルトに手をかけ、カチャカチャと鳴らした後に布が両足を滑り落ちる音を静かに響かせた。
「…私には貴方が本気で情愛を求めて来た時に抗う術はございません。ですから…協力して通じ合って…その痕を残さないように務められるよう…早く済ませましょう」
それは杏橋のスカートの後ろ部分が彼女の両足を黒のストッキングと白い武器内蔵ロングソックス一体型ハイヒール越しに滑り落ちた音であった。
ストッキング越しに見える杏橋の尻は大きくも美麗な丸さを保ち、前面がハイレグで後ろが極小Tバックと言う赤のショーツはクロッチが既に変色していた。
その尻肉を自ら掴んで広げて淫裂をアピールさせている杏橋の顔も、羞恥と情愛で頬を深い朱色にそめ、眉をは八の字にしており、普段の図書館司書を思わせる派手さはないが知的に整った美貌とのギャップで雄の情愛を煽ってくる。
「ここで行うのは止めましょうとかじゃないんだね♪」
「………っ…そのように堕落させた貴方が言わないで下さ…あ❤️」
愛する妻の一人が他の男には見せない媚態を見せてくれる優越感に押された白漂の言葉責めに、杏橋は眉の八の字を更に深めて顔を背けるが、そこでクロッチ越しだが女陰へ深く親しんだ雄の証しに触れられて背がゾクッと仰け反った。
「…繋がる前に…お願い…ではなく言わなくてはいけない事があります…」
「ん…何?」
その仰け反りと共に生じた震えで彼女の肉体の飢えの深さを見抜きつつ、それを堪えての杏橋の懇願に白漂は耳を傾ける。
「…今ここで貴方は安全のため…別人を装って“輝漂”と名乗っています。ですから…私のことも…今の私も…“パウラ”とお呼びください…」
「…ああ、この状況でも気を使ってくれてありがとう…“パウラ”」
「はい…輝漂…(アア…私…弟みたいに思っていた時期のある…“あの子”以外に…名を…)ア…❣」
そして、口にした名から生じる罪悪感とその根源にあるこの世界への不安、それから抜け出て立ち直りたいとする克己心が入り混じる果てに、パウラ(杏橋)は胎内を愛しい雄に埋められる感覚を味わい始めた。
○秦国中央部 王都咸陽 庶民区画 某所○
「「「「「アハハハハハハ!!!!」」」」」
宗教的に聖なる処で白漂と杏橋が交わり始めた数時間前、庶民区画にあるインスラの一つにある酒場は盛り上がっていた。
「…えー! ティトゥスさんって王宮からも基材の工事に呼ばれてるんですかー! 凄いですなー」
「はい~~~…僕のところのが一番丈夫だと御墨付もらえたので~」
酒場で開かれている宴会の中心はこの一帯のインスラの設計と指揮を担当したティトゥスだったが、彼を称えている周囲には、今回の嬴政の護衛として表向きは彼と共に地方から上京してきた貴士族の子弟を装っている者達もいた。
「…皆さん完全に出来上がっていますねー…」
「ああ、八割くらいは完全に仕事を忘れているな」
その宴会の隅っこに微妙な表情の扇琵と嬴政がクシャクシャと御摘みで口を動かしていた。
「いやー! 髪や目の色は変わってるけど腕は良くて性格よしで甲斐性もあるこんな旦那様なら夜の方も大丈夫ですなー!」
「ちょ、ちょっと隣りの田さんの奥さん! そんな言い方は品が無いですよ…!」
ティトゥスの妻であるクロエはその中で周囲の女性達に弄られ続けており、赤面しっぱなしだった。
「何言ってんのさー! 隣りの同じ西域から来た石工の旦那が作ったあの石造の元になったのはあんたの旦那さんって言うじゃない! あれだけご立派なものの相手をされてたら毎晩たまったもんじゃないだろー!」
その彼女を弄る周囲の夫人の指さす先には、写実的に逞しい肉体美を晒す男性の像があったが、その面貌はティトゥスに似ていて且つ男根が異常に大きかった。
「!!!??? ちちち違います! あれは友人が作ったプリアポス神*2の像で僕は単に顔の見本になっただけでー!!」
それを指摘されて今度はティトゥスが顔を真っ赤にして否定しだすが、その彼をモデルとした神像に視線を奪われている人物が一人いた。
(…う、うわぁ…西域の人ってなると…髪や目の色だけじゃなく…あそこまで変わってくるものなのかしら…)
ポケーッと呆けた顔の扇琵が、興味本位でその神像に目を奪われてしまっていた。
「……………」
ちなみに、扇琵はこの時点では気付いていなかったが嬴政がジト目を静かに彼女へ向けていたりもした。
「…ふううぅぅぅ、やっと終わりましたね…」
それから数十分後、宴会が終わってほとんどが帰るか寝静まった頃、クロエは疲れた表情で寝室の寝台に座っていた。
「…僕達もここに流れて来た時に比べて…慣れたし落ち着いてきたねぇ…」
その隣りにはティトゥスもまた腰かけており、その瞳には宴会における猥談の影響もあってか欲情の色が浮かんでいて、隣に座るクロエの姿を盗み見ていた。
「…あ、あの…ティトゥスさ…ではなくて…あなた―――」
「ああぁ❣❣」
だが、それに気付いたクロエが勇気を振り絞ってそれに乗じようとしたその時、隣りの部屋から甲高く大きな嬌声が最近覚えた人物の声で割り込んできた。
「―――!? こ、この声って…」
ティトゥスが驚き赤くなった表情で隣り部屋と遮る壁に耳を当てると、その嬌声はより如実に伝わってきた。
「…アアァ❣ せ、正(嬴政)様ァ…❣ こ、このような薄壁の家でそこまで激しくされると…アアァ❣❓」
二人が予想した通り、隣りの部屋で扇琵が激しくその身を抱かれてしまっていた。
更に、その痴態は遮る壁の一角に開いた小さな穴から、ティトゥスとクロエにもほぼ見えてしまっていた。
寝台の上で四つ足を付かされた扇琵が淫蕩に蕩け、随喜の涙を流しながらも戸惑いの色を見せていた。
「……………」
その扇琵の尻を掴んで開いた淫裂に剛直を捻じ込み、彼女に内臓ごと焼かれるような快楽の熱で苛ませているのは正(と市井では名乗っている嬴政)だが、その頬は愛欲で朱色に染まりつつも顔つきにはやや不満の色が浮かんでいた。
「正(嬴政)様ァ…❣❓ 今日はぁ…いつもと比べてもぉおお…強すぎま…アアァ❣❓」
その事は扇琵にも感じ取れていたが、どうして不満を募らせているのかの理由についてはわからなかった。
「…………」
扇琵の問いに答えない正(嬴政)だが、その視線は時々ちらりとインスラの隣りにある石工の工房に向けられていた。
そこには、宴会中に取り上げられていたプリアポスの神像が幾つか並んでおり、それらは例にもれずご立派な男性器がそそり立っていた。
扇琵が気付いていなかったが、宴会中にそれらを見て野次馬根性を働かせてしまった結果、人の反応に鋭い正(嬴政)に気付かれてその
「…姿勢を変えよう」
だが、
(…う、うわぁぁ…! な、何か…プリアポス神みたいだ…!)
(…す、すごい…あ、あれだけ大きいのを受け入れて…扇(扇琵)さん凄い…! せ、正(嬴政)さんも凄い…逞しい体してて…)
(え…何かクロエ…僕にも見せた事のない表情を…な、何だろうこのモヤモヤってした気持ち…)
その様子は隣り部屋より盗み見ているこの若夫婦も見ているが、妻が見せる初めての表情に夫の口が逆三角形となり、衣服の下あたりにテントが出来始めた。
「…アアアァ❣ な…何だかァ…身が更に熱くううううぅぅぅ…❣❓」
姿勢が変わってから数分経過すると、扇琵は正(嬴政)の腰の上で乱れるようになるが、ティトゥス達に盗み見られている事には気付いていないが、その鋭い聴覚の生で他人の劣情の的にされている感覚を覚えて、更に羞恥心とそれを上塗りする身の浴場に振り回されるようになっていた。
それを見越して、正(嬴政)は真顔で扇琵の耳元にそっと囁く。
「琵(扇琵)、どうやら向こうの壁に開いている小さな穴から俺達の交わりをだれか見ているようだ」
「!? へ、へい…じゃなくて正(嬴政)!? それ…いつか…アアァ❣❓」
主君からまさか現状の公開プレイ暴露事実暴露に扇琵はビクッと身を震わせたが、それで生じた不規則な締め付けと震えは相手の雄を悦ばせる事にしかつながらなかった。
更に、その状況でも琴線を扱うような細やかで鋭い肉襞の動きで男根を更に膨張させた正(嬴政)は、彼女の身も自身の雄とより深く噛み合って子宮が更に躍動したのに気付くと、彼女を逆駅弁の姿勢で抱き上げて壁に自ら近づき始めた。
(ちょちょ!? 近づきすぎですよぉぉ二人ともぉ!?)
(ここここんな綺麗な人のあそこが僕の前に…いやいや僕にはクロエが…!?)
それは肉の繋ぎ目が隣り部屋から若夫婦が覗き込んでいる小さな穴に近づく位置で、そこからの視線に気が付いた扇琵は更なる羞恥に襲われ、それを火つけとしてもっと昂って燃え盛り出してのた打ち回る蛇の如く肉壺は蠢きだした。
肉壺に包まれる男根は大蛇のように獲物を丸呑みしながらも一気に昇華するような締め付けと熱さを見せる肉襞にこらえきれず、最奥まで突き上がってその子宮の入り口までこじ開けた。
「ひっぐアアアァアアアアアアアァ❣❣❣❓❓❓」
それに子宮口のみならず脳髄まで一直線に大穴を穿たれ、そこを砲門にして意識が天上へ打ち上げられたかのような極みに押しあがった扇琵は、隣り部屋からの盗み見や周囲に人がいる事など忘れ去って狂ったような嬌声を突き上げた。
「…ッ!!」
その極みに引き上げられて自身も天井を越して空に上がったような心地よさで、正(嬴政)もまた精巣ごと引きずり出されるような白濁を解き放った。
(…す、すごい…人間って…あれだけ淫らになれて…子種ってあそこまで出るものなの…!?)
小さな穴から盗み見ていたクロエは自身が抱かれている様な心地で吐息を漏らし続けるが、そこで彼女の女性としての象徴に男の感触を覚えてしまう。
「こ、これは…!?」
クロエがハッとした表情で振り向くと、そこには熱に魘されたように赤い顔で自身を背後から羽交い絞めにして来ているティトゥスの姿があった。
彼の手は衣服越しにだがクロエの先端が屹立しているのが見える乳房と、滲み出ている蜜で変色している足の付け根部分に回されている。
「…クロエ…今朝に…そろそろ子供欲しいって言ってたよね…?」
「………………」
その夫にクロエは言葉を返さなかったが、彼女の手が自らの衣服に掛けられて紐をほどき始めた事が答えを示していた。
個人的な意見ですけど、ご両親の片方の夜での積極さと、あの叛乱終結後に見せた信を向けられた相手への状の深さを想うと、個人的に大王様って夜は割と嫉妬深くて激しいかもって思います(ゲス顔)。