※この作品はR-18です。

天下の大将軍になる!! ~夜の睦言~   作:oosima

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今回は、中国の歴史において欠かすことのできないあの文化面での功績の一つの正史にはない変化について触れます。


193 世の中の進展に文書の発展は欠かせない

 ○秦始皇9年(紀元前238年) 秦国中央部 王都咸陽 大学院○

 

 白漂が花禽の元へ出向いていた日の昼、嬴政は王都の大学院にあるその一室で上位の学者達と共にある研究を進めていっていた。

 

「…陛下、辞典の方はこのようになっています…」

「大王様、印刷及び各部署へ発送の予定はこのように…」

「…陛下、儒家の方の動きですが…」

「そうか、支援の方はこれまで通り行う。予定通り進めてくれ…」

 

 彼らが囲う卓上には大量の文書が広がって散在しているが、それらは全て字書やその類に代物であった。

 秦を始めとする中華各国の文字のほか、対西方貿易で流入してきたアラム語やギリシア語(コイネー)、梵字、更にはこの時代にはまだない筈のカナ文字まで載っていた。

 

「…こうして見ると、中華とそれ以外の外の国の文字は違うのだな…」

「ええ、そうです…普通なら文字一つごとに意味を表す絵文字から…音を表す字に変化していくものですが…その点、中華の字は興味深い…」

「…ああ、故にこそ…そのまま進んだ場合の危うさを知れたと言える…。最も…この研究を完成させた先もまた内容が違うだけで…危険だろうが…」

 

 周囲の学者達とその研究について言葉を交わしつつ、嬴政はこれに至るまでのその切っ掛けをふと思い返した。

 

「…それが…統一戦争を終えた後の秦が目指す国の形か…」

 

 嬴政が思い出していたのは数カ月前、毐国反乱と靖涼の変が終わり、白漂が後者の弁明のために咸陽へ上京していた時期のことで、反省文を書かされていた白漂に息抜きしようと雑談しに来た時のことだった。

 

「…ああ、そうだ…本気だ。今までのように…一部の人間の都合で容易く和が壊されるような体制では維持は出来ない。儒家の言うように為政者の徳を頼りとするのは危険だ。だからその体制に持っていく…」

「…あーーー、儒家が理想とする周時代と違って…今は文書行政云々が発達しているから力業でもそれで行けば半分上手くいくな。半分は…」

「その半分という言い方は何じゃ半分とは?」

 

 それは統一戦争後に秦が目指す国の形についての内容だったが、白漂の言い方に同席していた昌文君は怪訝な顔を向ける。

 白漂は白紙を一枚取り出すとそこに字を書いて二人に見せるが、それは中華のではなく西方で国際共通語として使われているギリシア語(コイネー)でのアルファベットが書き連ねられていた。

 

「政、西方で言語は色々あるけど、国際公用語として憶えなくてはいけないこちらの文字の種類は基本この二十数種類だよね?」

「ああ、そうだが…それがどうした…!?」

 

 それを見せてくる意味がまだ解らない嬴政に対し、白漂は今さっきまで書いていた反省文を見せるが、それは当然として別時間軸後代における漢文で、嬴政はそれを見て直ぐにしまったという表情を浮かべた。

 

「…政…その目指している国制は…国民の大多数派が法律とかで最低限度の知識を持っているのが絶対にして最低条件になる…。だけど、それを身に着けるには…今の中華の字だとどうだ…?」

「? それがどうしたのじゃ?」

「…はーー、これだから他人様が収める税金で筆を走らせる余裕のあるお役人様の生まれは…」

「だから何じゃその言い方は!?」

 

 途中で昌文君が声を荒げたりするが、その声は嬴政の耳には聞こえておらず、彼の手は反省文と外国語の分を読み比べるために使われており、ボソッとだが非常に深刻そうな表情でこう呟いた。

 

「…中華のものだと字の種類が多すぎて習うのに時間がかかり過ぎる…」

「…え…?」

 

 幼少期が白漂以上のボンビー生活だった嬴政だから出来たその発見に、基本王(・)族(・)の生まれ育ちである昌文君が始めどういう意味か分からず呆けた声を出した所で、嬴政の回想は終わって今に戻る。

 

(…あそこで漂が指摘した今の中華の字…というか政治で最大の欠点に気づけたのは本当に幸運だった…。あのまま進んで行けば…たとえ統一できたとしても…こっちの独り相撲で終わりになった…)

 

 回想の時と違って、今の嬴政は光が見えつつも霧中の中で見えなかった道が、ぼんやりとだがそこへ続く道筋を見いだせた表情を浮かべていた。

 だが、その表情は同じ大学院内にある別の研究所から響いてきた爆音によって遮られる。

 

「!? また工官部の所からだぞ!?」

「たしか今日は江殊幡が来とったが今度は何を起こしたのだ!?」

「前から何やら石炭を燃やして水を沸かして出る湯気で動くという、倭から持ち込まれてきたカラクリの玩具に熱中してから時々なるようになったが…」

 

 轟音の正体に気付いた嬴政の学者達はしかめっ面を浮かべていたが、その音源に位置する者達は色々と正反対の様相をしていた。

 

「ウオオオオオ! 江殊幡殿! 前回のよりも稼働時間は五倍に伸びて且つ使用する石炭の量は前の4割以下に減ったぞ!」

「やはり蒸気が冷えて出る水滴は別の筒に水蒸気の時点で集めて水に戻して給水用の筒に入るようにしたのが良かったか…。これなら故障やその修理の手間もまた大幅に減るぞ…」

 

 その部屋は暴発したと思われる何かしらの大きな機械があったが、それを囲む工人や学者達は煤だらけになりつつもそれも色あせて見える喜色を浮かべており、その中心に立つ江殊幡はその美しい金髪が真っ黒と化しても色あせない微笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 ○秦国北部 新領地 某不安定地域 白漂軍駐屯地付近 各種傭兵団宿営地 花禽野営地○

 

「…アアアァ❣ 熱うぅぅい❣ 水面からアア湯気が出ちゃいそおおおお❣」

 

 咸陽で何やら他の時間軸での時代考証的にそぐわない研究が進んでから数時間後、夜遅くなったその時間帯で、北の大地で雇われている妓女兼傭兵団“花禽”の一員にして青い髪が特長的な青鍄が胸と両腕を岩場に押し付け、水面から突き出た美しい丸みのある尻を揺らしていた。

 

「…こっちこそ君ので肉棒が落ちつける暇がないから焼き尽くされて灰となって空を舞いそうだ…ん…もう来た…!」

 

 その青鎬の沸騰した水面のように熱くて且つ無数に浮き出る泡のように激しくも多彩な動きを見せる肉壺を、白漂はそれを包み込んでいる尻肉ごと揉み動かして互いの肉の悦びを高めあった果てに、津波で打ち上げられた潮の如く勢いのある白濁を解き放った。

 

「フアアアアアァアアアアあああ❣ い、いいイイのおおおおおおおお❣ 他の人ならアアアァアア❣ こんなにも早くううううぅ燃え上がるのもぉ深く味わえるのもおおおおないの…オオオオオオオオおおおおおおおお❣❣」

 

 それを普段ではありえない速さで下ってきた胎奥に叩きつけられ、青鎬は水面が大きく波打つ仰け反りを伴う極みに押し上げられた。

 

「しょ…将軍がお呼びだ輝漂殿、夜の友人との話は切り上げて直ぐに本営へ戻ってくれ」

 

 その直後、化粧などをして姿を変えている白漂の背後にその正体を知りつつも、空気を読んで偽名を呼びながらパクラが降り立って要件を伝えてきた。

 

 

 

 

 

 ○中華南部 某所 大禹廳(だいうちょう)○

 

 白漂が夜のお仕事の最中に呼び出された晩が明けて次の日、中華南部の周囲を広大な密林地帯に囲まれて隠されたその高山都市の一角で、ある密談が開かれていた。

 

「…貴様らやる気があるのか!? またしてもこちらが送り込んだ刺客が返り討ちにされたぞ! 今回は倭国シノビ社会で出されている“天下の殺し屋百選!”の中華部門12位に輝いていた“黒目”だ!!」

「「「「「………………」」」」」

 

 その外部からの光が閉ざされた石造りの密室で、進行役が声を荒げ、他は多くが重苦しそうな表情で俯いていた。

 

「そして! 今回討ち取って退けたのも例の如く“秦の凶風”と恐れられるあの白漂だ! あの旧三大天を山陽で翻弄し! 合従軍戦では李牧を引きずり込んで敗北に追いやり! 黒羊ではその側近を捕縛した挙句に趙を大きく減衰させ! 挙句に険水の件で李牧を失脚及び追放に追いやり! こちらから見ても修羅共の巣窟といって差し支えない北の大地を衰えは見え始めていたが統べていた大匈奴を一戦でものにした挙句に崩壊に追いやったあの男! それでいて民政の手腕はあの古蜀を取った司馬錯以上に富強にさせて! それで民衆と秦王を繋ぐ役もしているという…そう!! まさにこの中華の均衡を内外から崩しまくっているという生きる均衡大量破壊兵器!!」

 

 声を荒げる進行役の背後の壁には、先日にレキシントンが打ち飛ばしたヤカンで顔面から破壊されて死亡した刺客らしい黒目と、それを殺したものと目されている白漂の似顔絵が大きく張り出されていた。

 

「…ですが代表、これ以上の損害は危険すぎます…。また次も失敗すれば他の派閥にその責任を…」

「奴自身の武力も驚異的ですが、その周囲を固めるのは老若男女や異(・)形(・)を問わず全員が腕利き揃いです…」

 

 その取り上げられた白漂に対する彼らの反応は、概ね慎重であった。

 

「だが、このまま放置し続けるというわけにもいくまい。幼少期の時点ではあったが各地の訓練生もまた奴に引き抜かれているのも確認済みだぞ!」

「ならば、先の靖涼の変で奴の嫡男を誘拐したという現蚩尤にこちらから…」

「いや、奴はあの件で剣が見つからんという理由で何処からも依頼を断っておる。業を煮やして接触を図ってきた魏辺りの連中の使者が護衛諸とも根こそぎ皆殺しにあった…」

 

 反対に積極的に消すべきだという意見もあったが、その彼らも有効的な手がないことを再認識して口数少ない状態に戻る。

 

「…代表、それでしたら我々とは関係ない場所が動いた模様ですが朗報が…」

 

 そんな中、一人が立ち上がって口を開いた。

 

「…倭国から別組織の依頼で例(・)の(・)兄(・)弟(・)が白漂の始末の為にもう動き出しておるとの事…」

「…例の兄弟だと…? まさか!?」

 

 その発言に進行役が目を見開かせた直後、口を開いた男の背後の垂れ幕が落ちて別の似顔絵が曝け出される。

 

「戦国七雄を束ねたそれ以上の間者社会を構成している倭国シノビ社会で“天下の殺し屋百選!”の倭国部門で第五位に輝いた“麗しの山田兄弟”です!!」

「「「「「!!!!!!」」」」」

 

 それで張り出された絵に描かれている異様に顎が長い大男と、それの方に乗っている幼さが色濃く残る美貌をした少年をした男というアンバランスな兄弟の姿に、部屋に集っていた者達は声こそ出さなかったが大きく期待を見せる顔色を浮かべていた。

 

「こちらが掴んだ情報なら既に秦国への侵入に成功したとの事」

「…ほほう、そうかそうか…」

 

 続きを聞いて、部屋に集っていた者たちから低くも唸るような笑い声が処中から上がってきた。

 

 

 

 

 

 ○秦国北部 新領地 某不安定地域 某所 白漂軍野営地○

 

 中華南部の某所でそのような密談が交わされてから数日後、北の大地に位置して嘗ての匈奴(ヒョンナ)時代は交通や経済の要所として栄えていたその地の一角に、大きな野営地が築かれていた。

 

「…あーーー、疲れたーーー…久々に骨へ少々響く戦だった…」

 

 その野営地の中心に構えられた自身のゲルに、白漂は久方ぶりに肩をコキコキと鳴らして薄い汗で肌を覆いながら向かっている最中だった。

 数日前に近隣の恭順した部族から緊急の援軍を求める声が花禽との逢瀬の最中に入ってきて、白漂は久しぶりに骨が入る戦の匂いを感じてこの地へ向かい、今朝に到着してから戦い続け、夕方になった今でやっと終わらせてきたところであった。

 

「…お、白漂様だー」

「今朝にここの戦地に到着してからずっと指示を出しながら最前線で得物を振るい続けていたのに…」

「す、すげえ…」

 

 その道中で白漂はその身を将兵達に見られており、上手く交代を入れたりはしていたが戦闘終結から間もない疲れが残っている兵達には壮健なままに見られていた。

 

「貴方、ああした中でもよく見てくれて心配もする兵達もいるのですからもう少しシャキッとしてください」

「…こんな陣中で仮面をつけて顔はわかりづらいんだから良いでしょーーー…っと」

 

 間近で馬を並べて進めている紅華には看過されて小言を言われたりはしているが、その状態でも白漂は至近からはわかる抜けた表情のままで十星戟を少し傾けて、何処からともなく背後方向から飛んできた矢を打ちとしてみせたりした。

 

「「「「「んなぁ!?」」」」」

「面倒だから誰かあっちの一本だけ突き出ている背の高い松の木に隠れてる刺客みたいなのを片づけて」

「じゃあ、俺が…フン!」

「…ギャアァアア…」

 

 それに慣れていない新人の将兵から驚きが上がるが、白漂は面倒くさそうなままに適当な槍を近くの衛兵から出させ、レキシントンがそれを受け取ると豪速で投げ飛ばして、数百メートル先の樹上にいた刺客を喉から穿ちぬいて落とした。

 

「…あれが白漂か…」

「ああ、どんなに馬鹿を取り繕っていても…わかるぜ兄者…」

 

 そうして騒ぐ新人達の中から、上手く溶け込んだ形で例の山田兄弟が獲物を茂みより狙う豹の如き表情を白漂に向けていた。

 

「…貴方、討ち取った死体及び捕虜にした者達の検分が終わりました」

 

 数分後、自身のゲルに戻った白漂は寝台の上で横に座る紅華から、本日の戦の要点を聞いていた。

 

「…練度はともかく、今までの中小規模部族と比べて数も多いながら、装備の質は高かったな…やはり例(・)の(・)町(・)が関わっているか…」

「…そうですね。匈奴(ヒョンナ)時代は潤っていましたけど、それが崩壊してからは急速にしぼみだしましたからね。その原因が近づいて来ているとなればさっきの刺客のようになりふり構うどころではないでしょう」

「そんな状態でもここまで邪魔出来る余裕があるなら、早くこっちと組んでもらって新しい版図を見出せばいいのに…」

「人間が利害や理屈だけで話しを進められるなら苦労しないことは貴方が証明しているでしょう」

 

 その状況でも紅華は夫に対する毒を交えつつ仕事をこなしていく。

 

「あ、それとあなたの子を宿しているので城に滞在中の子達から手紙が届いていますよ。陵が描いた貴方の似顔絵付きで」

「え!? マジ!? それ直ぐに見せて!!」

「はいはい、今日の分に届いてきたこちらの分の書類を今晩中までに捌いてくだされば明日の朝一番にお見せすることは出来ますよー」

 

 一方で、夫を一番よく知る身として飴もまたしっかりと混ぜる紅華であった。

 

「…ふ…ふふふふ…やっと終わったぞ…! これで父として息子の成長を久々に確認する事ができる…!」

 

 それから数時間後、白漂は時折り寝所を奇襲してくる閨の女性達を躱したり、机仕事の場を変えたりすることで、星や月が見える時間帯にて本日に届いてきた書類を迅速かつ正確に捌き終えた喜びでほくそ笑んでいた。

 

「…さーーー、明日に息子の成長をより深く確認するためにも早く寝とこー…ゴクゴク…ぷはーーーー……」

 

 そして、酒を飲んで眠気を起こすとさっさと寝台に横たわって、閨の女性達が上手く撒かれた後なのでまだ戻ってきていないゲルの中で寝床に着いた。

 

「……んふふ♥ 良い美容の種を宿した男…久々に見つけられた…♥」

 

 また数時間が経過した後、闇夜に包まれている外から娼妓の装いをしたある人物が近づいてきた。

 固まって黒みを帯びた血のような赤い瞳を持ち、艶のある長い黒髪を伸ばして、前髪は側頭部の所で四つの斬られた根菜類のように独特に整えられた髪型をし、白化粧をしたような白い素肌に包まれた凹凸のある女体をした美女だ。

 

『…む、兄者…あの女は…』

『…ああ、甲斐の歩き巫女の上位の一人…“胡桃割りの痲ユ”だ!』」

 

 その美女を少し遠く離れた丘の上より、夜警の兵士に化けた山田兄弟が見捉えて目を細めた。

 

『…野郎のあ(・)れ(・)もろとも多くの獲物を飲み干してきたあの女も送られて来るとは…適任かもしれねえなぁ…』

『そう結論を急ぐな弟よ、この際…あの白漂にその手が本当の意味で通じるかの試金石としよう…』

 

 山田兄弟がそれに楽しそうな眼差しを向けたところ、別の人物がその女刺客に近づいてきた。

 

「ん? あー、あなたーもしかしてーどっかの部族が妾兼侍女として送り込んできた女の子ー? だったらー今晩あの人と寝るついでにその枕元にこれを置いて来てくれない?」

 

 その近づいてきた人物とは今夜の机仕事を終える途中で、実家メンバーからの手紙などを届けに来た紅華だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キャラクター設定56

青鍄

容貌/青ショートヘアーに同色瞳をして角突き軍帽していた子(ONEPIECE)

年齢/17歳(始皇9年(紀元前238年)時点)

出身/中華外某所

身長/158センチ

体重/56キロ

3サイズ/B86W58H89

得物/三叉の槍中心だが他にも多数

趣味/水泳

 茶房と似た経歴の持ち主で彼女と同じく花禽の古参幹部の一人。

 容貌元ネタの女の子のこの世界での同位体。

 見た目通り普段はクールな性格だが、水泳が好きで、且つ水中での息が苦しい状態での交わりが特に一番好きという格好以上に危ない趣味の持ち主。




今回、咸陽で何やら地味に重要な仕事を続けているようですけど、その詳細などが明かされるのはまだ先っぽいです。
次回は、今回はそう言った事務系に尺が取られて少なかった“夜のお仕事”を多めに書く予定です。
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