○秦始皇9年(紀元前238年)
「…随分奥まで来たなぁ。けれども終わりまで近づいてきたな…」
「ああ、所々の隙間から見えてくる日の光も強まってきてるしな…」
袁羽達が自分達の掘ったものとは異なる坑道の存在に気づいてから十数分後、そこを味方が掘ったものと誤解して進んでいる白漂とレキシントンは迷わず突き進んでいた。
「行くぞぉ!」
「ああ! 狙うは色々あるが最優先は奴の首だ!」
その最中、二人が進んでいる坑道の岩石が積み重なって構成されている天井越しに、聞くに北や各所の訛りが強く混じる中原の言葉が響いてきて、続けて馬蹄が荒々しくならされてきた。
「ああ? 何処のどいつだぁ―――」
「まずい! 今のでこっちの上の天井が幾つか崩れ出す! 走るぞ!」
「―――あってええ!?」
それにレキシントンは怪訝な顔を浮かべたが、白漂はそれで生じた深刻な事態を直ちに察して彼女の手を引っ張って走り出し、続けて二人が走り抜けてきた順に坑道が猛烈な勢いで崩壊を起こして埋まり出した。
「…のワアアアアァアアアアアアアァアア!?」
レキシントンは訳が分からず、白漂に手を引かれるままに坑道を駆けさせられていくが、やがて崩落は止まるが行き止まりとなってしまう。
「…いててて…な、何なんだとよぉぉ…お!?」
「…う、うぅーーーむ…西瓜すらも目じゃない豊かでありながらもたくましい弾力も併せ持ったものが…」
その結果、二人は狭く小さな行き止まりで身を密着させ合う形で行き詰ってしまい、身長の差から自身の胸に顔をうずめてしまう形となった白漂に、レキシントンはその元から赤みを帯びた褐色の肌で覆われた顔を真っ赤にしてしまう。
「お、おい! どうすんだよこれぇ!? 俺達ほぼ埋まっちまったぞ!」
「…あー落ち着け…幸いにもここの天井は手が届く距離だし…岸壁もそこまで厚くなさそうなのは…所々から漏れてくる光りと、時々聞こえてくる人の声からして明白だ…。今はそんな激しく動いたら駄目だ…」
「はぁ!? 何を言って…ッ❣❓」
自身に密着してくる愛しい男の姿にレキシントンは慌てだすが、そこで足の付け根に熱くたくましい例の感触を覚えてドギッと身が強く震えてからと身動きが止まってまう。
現在、二人は坑道掘り作業のために鎧を脱いで、袖こそ長いが動きやすい現場作業員の格好をしており、鎧は付けていないため、互いの足の付け根にある感触が如実に理解出来た。
逃走及び落盤の勢いで二人の衣服はずれてしまい、下穿きから漏れ出た白漂の巨根は目の前の雌の匂いに反応して雄々しきなり出し、レキシントンの汗で濡れている黒のマイクロショーツのクロッチに当てられてその淫裂をうずかせ始めたのだ。
「…た、大将ー…これーーー…」
「だから動くなと言ったんだ…とりあえず…ちょっとより広いあそこまでズレよう…あそこならまた距離を取れる…」
雄の熱と高まり出した自身のそれを覚えてレキシントンは情欲の高まりを覚え、それを白漂は察しながらも状況を忘れずに身を離そうとする。
「いったい何が起きていますの!?」
「何か雇われている傭兵団の一つが秦側の陣地にーーーって何か押してるぞ!?」
だが、二人の上にある岩盤が地上からその声を発した何者かによって踏まれ、それで岩盤の一角が崩れてきてしまう。
「危ない!?」
それに白漂はさすがに身動きが取れない状況でも頭をずらし、更に肩辺りの力の入れ方を変えたり、レキシントンの身をわずかにずらしたりして上手く直撃を避けた。
「ひぃうぁ❣❓」
「…あ…」
だが、その煽りでずれてしまった肉の穂先が大きな身に似つかわしい深さと強靭な締め付けを持つ肉の鞘に潜り込んでしまったことを、レキシントンの普段からは想像出来ない可愛い悲鳴から白漂は悟ってしまう。
○秦国北東部 新領地 某不安定地域(現内モンゴル自治区中東部) 黒竜江流域地帯
「何が起きてんだいったい!?」
「町とこっちを遮っている河の浅い所を縫ってきて町側の傭兵団の一つが襲って来たんですよ!!」
「まだ包囲癖を兼ねた土塁の建設途中の所からやられていっています!」
白漂とレキシントンが地下の何処かにある閉ざされた空間でムフフなアクシデントに襲われた頃、地上の秦軍は思いもよらない
「郭の旗が見えてるのはこれでいい! 次は要の旗を掲げている場所を左側面から狙うぞ!」
挑発ばかりで攻撃してくるのは見えなかった
「いったい何処の誰だ!? わかるか!?」
その脅威を感じ取った信が櫓の上から叫ぶが、返されてきたのは意外な返事だった。
「…い、いやーーー信…聞こえてきた言葉や-旗印からして…“趙遷”らしいけど…」
「…は? 何だステラ? そのめっちゃ微妙そうな声で…それで誰?」
「険水関で馬南慈という爺の巻き添えで濁流に飲まれた趙の馬鹿王子だ」
「…え? あれも混じってんの晳琭?」
「あそこでめっちゃ胡散臭そうな声を上げてる連中に矢を射かけて殺せーー!!」
奇襲をかけてきた隊に混じるその単語と詳細を聞いて、信もまた微妙そうな声に変わった所で、それに気付いたからか奇襲部隊の指揮官らしき声がいら立ったものに変わって向けられてきた。
「のわー!? 信の微妙そうな声に反応して今度はこっちに攻めてきたーーーーーーーーー…え!?」
尾平がその矢の雨に慄くが、それ以上にその矢を射かけさせてきた敵の奇襲部隊の指揮官を目にした時に、彼は言葉を止めてしまうまでの衝撃に襲われた。
「…確かに以前、お前達から痛すぎる教えを険水関で授けられた時…俺はどうしようもない愚劣だった…」
信隊に矛先を変えてきたその奇襲部隊の指揮官がそう言葉を吐きながら姿を見せると、嘗てその男を目にしたことが多い白漂軍の兵士達は言葉を失い始めていく。
「…だが、お前達に険水関で濁流に叩き落とされた果てに、記憶を失い…拾われた先で会うべき者達に出会って学びながら鍛え…その果てにお前達の躍進の話を聞いて記憶を取り戻し…生まれ変わったのさ…!!」
「え…この声に…この流れってー…」
その中で最も信が我が目を疑う顔を見せたところで、その指揮官が遂に奇襲部隊の先頭に立って名乗りを上げた。
「この“真・趙遷”にな!!」
「いや!! 生まれ変わったって次元じゃねえだろおおおおお!!??」
「「「「「誰だーーーーーーーー!!!!????」」」」」
そう言い切って姿を現した目つきが若干悪いが面貌が鋭く整って意志の強さも感じさせる少年となった趙遷に、信は顎が外れそうになり、周囲の秦兵は天にまで達する声で驚愕を示した。
○秦国北東部 新領地 某不安定地域(現内モンゴル自治区中東部) 黒竜江流域地帯
「…ンン…く…どうだ…?」
地上で味方が色々な意味で衝撃に襲われていた頃、そこから隔絶された地下の狭所で白漂はどうにかそこから抜け出そうと身を動かしていた。
「あ…うーーーんん…あ❤️ 手は普通に届くし…普段なら押し上げられそうな感じだけど…い、今一つ体に力が入んね…あ❣❓」
その白漂に抱き上げられている形でレキシントンが天井の岩盤を押し上げて脱出しようとしていたが、あと一歩というところで力が足りずに甘い声を上げ乍ら手を下すという感じだった。
「…まー、こんな感じだったらねーー…」
そういうレキシントンを腰から抱き上げている白漂の男根は、彼女の大きくも圧倒的な筋力に裏打ちされた強い締め付けを持つ淫裂に飲み込まれている状態にあった。
「…大将ー…上から時々戦の物音が聞こえてくる状況で悪いけどー…これさぁ一旦一通りやってスッキリさせて大人しくしてからの方がいいんじゃね…?」
「あーうん…レキシントンにしては良いことを言った…じゃー状況が状況だし手早くいくけど…あまり大きい声を出さないようにしてね…ふん」
とりあえずこのお互いに今一つ他には力が入らない状況をどうにかすべく、二人はまず昂ったお互いの情欲を静めるのを優先した。
「…あ❤️ 大将ぉ…❤️ 何かぁぁ…普段と比べて遅いけどおお…何かぁ深くぅぅ腹の中がぁぁ…あ❣」
数分後、周囲を岸壁に囲まれた狭所の中でレキシントンは白漂に抱きついた状態で、彼の雄々しき男根にゆったりと突き上げられる快楽で頭が呆けるようになっていた。
普段は他の女性達へも回さないといけないリソースもあるため、その頑健な長躯を生かして性感を正確にだが速さと激しさを生かした情事がレキシントンの夜の中心だったが、今はその為の腰振りに必要なスペースがないのと、他の女性がいないので白漂に腰こそ早く動かれるがじっくりと且つ細やかに責め上げられるという快楽が主だった。
初夜だった時と違ってある程度は肉の悦びに耐性が出来ていたレキシントンは、普段の荒々しさはないが肉壺からじっくりと全身へ及んでいって脳髄も蕩けさせていく快楽で悶えるようになっていた。
その為、レキシントンは意識こそ朦朧としていたが身の制御の方は保たれており、白漂の身に深く抱きついて、身を微妙に捩じらせたりすることで生じる深い快楽の微妙な変化を楽しむまでになっていた。
白漂もまたそれで生じた彼女の胎内の強靭な締め付けを持ちつつも、部分ごとに力の強弱や肉襞の動きが未熟ながらも変化を付けてくる肉壺を楽しめるようになっており、彼女の豊満すぎる乳房を味わいつつも大きな尻肉を揉み込んで肉壺の更なる変化を生み出して味わっていた。
「…ッ!!」
「ッッッッ~~~~~~❣❣」
その肉の深い交わりの果てに、白漂は肉壺の痙攣したような震えから限界を察して陰嚢の栓を一気に解き放って衝車のような勢いのある白濁の爆ぜを放って肉壺に吸われるような心地に至り、それを子宮で直に浴びせられたレキシントンは声こそ歯を食いしばって上げなかったが、代わりにその剛腕が両方とも天へ撃ち上げられんばかりの勢いで突き上げられた。
その結果、レキシントンの剛腕を真面に受けた天上の岩盤はものの見事に火吹き飛ばされ、二人の身は狭所から解放された。
「…あ、レキシントン。どうやら外に出れたみたいだ…」
「………ふぇ…❓ あ…本当だ…って…え? 何処だここ…?」
それに気付いた白漂がすかさず地上に出るが、続けて出たレキシントンはその外の様子を見て戸惑いの表情を見せた。
そこは見慣れない町の中にあると思われる埃だらけの倉庫の中であった。
○秦国北東部 新領地 某不安定地域(現内モンゴル自治区中東部) 黒竜江流域地帯
「…ここはもうこれ以上で十分だ! 次は紅の旗の陣地に向かうぞー!」
「行かせるわけねえだろうがアアアァ!」
白漂とレキシントンが地下から思わぬところに出てからまた数分が経過したころ、町をほぼ包囲している白漂軍の陣地では趙遷率いる奇襲部隊と信が取り分け目立つ迎撃部隊が激闘を繰り広げていた。
「貰ったぁ!」
「チィ! また貴様かぁ!」
その中でも信は何度も趙遷に接近して矛で斬り倒そうとしているが、趙遷は膂力差から姿勢を崩されこそしているが落馬はせず、何度も逃げきっていた。
「ッ! また斬り返された!」
「見た目だけじゃなく腕も上がってやがる!!」
更にあろうことか信の方がまだ浅いものだが何度も傷をつけられており、その本当に同一人物かという成長に秦側は驚きつつも焦りまで少しずつだが生じ出していた。
「紅華の隊は気を付けろ! 次はそっちに向かうぞ!」
「見えているわよ! 既に防陣は固めてーーー…え!?」
更に、紅華など若い内から戦をしてきた玄人の目から見ても趙遷の用兵能力は高く、彼女にも戸惑いの色を見せた。
「おっと! 確かに紅の陣地に向かうとは言ったがそこを攻めるとは言ってないぜ!」
「ぎゃあ!?」
「こっちに来やがったぁ!」
趙遷は巧みなフェイントも見せて秦側を翻弄してみせてきたのだ。
「…孫子曰く兵は詭道なり…」
「剣の腕だけじゃなく頭もよくなってるって言われたいみたいね…」
「そのような事を言っている場合ではないぞ!」
その最中にさかしき場面を見せたりもして玲花などは少し残念そうな顔を見せるが、晳琭が言うように被害こそまだ大きくはないがその戦い方は侮ってよいものではなかった。
「テメエ! 本当にこの何か月もの間に何がありやがった!?」
「…驚くのも無理はない。確かに貴様たちと出会うまで俺はただ腐るしか道がない愚妹な男だった。だが! その血筋は大国晋を相手に下克上を果たして更に胡服騎射を導入した王など愚昧だけではない! ちゃんとすればこうなるのも必然だ!!」
「「「「「うぅ!?」」」」」
それに歯噛みする信に趙遷は自信満々且つ若い威勢を宿した叫びで答え、周囲の秦兵が一瞬だが確かに圧された事からしても虚勢ではない事も明らかにした。
「…でもよー、英名でも趙を強くしたけど息子に餓死へ追い込まれた武霊王とか食客に突っ込まれまくって残念な話が多くて上党住民の泣きつきに折れて長平招いた平原君とかやらかしてるのも多くねーか?」
「それを言うなー!! ん…!?」
だが、信が微妙に思い出した表情で口にした先祖の黒歴史に趙遷が嫌そうな反応を見せた直後、
「…ん? 何だぁ…!?」
それに一瞬遅れで気付いた奇襲部隊側の指揮官の一人が首を傾げた次の瞬間、彼の首はそこから豪速で呼んできた大槍で頭を穿ちぬかれ、そのままの勢いで紅華隊の野営地にある大木まで飛ばして絶命させた。
「ぬおおおお!? 何だぁぁ!?
「…え? あんな遠くの光ってる場所から槍を投げて人まで穿ちぬくなんて…私の知る限り二人くらいしか…あ!?」
真横をその大槍に通り抜けられた紅華はある男女の姿を思い浮かべるが、その大槍の柄の部分に文章が刻み込まれている事に気づいた。
「(ッ!? あの方角は味方の町からか…!? 何故か誰かはともかくして…この状況で後背地に何が潜んでるかわからん状態で敵地で長居するのは拙いな…思っていたのと違って白漂もいつまで姿を見せん…なら)仕方ない…お前たち退くぞ!!」
その大槍に同じく早く反応した趙遷も苦笑を浮かべつつも、撤退戦も見事に指揮して混乱が収まっていない白漂軍野営地から急速に退いていった。
「撤退戦まで上手いぞありゃあ!?」
「もしかして何か術もとける兆候か!?」
「お前たちの国から流行っている封神演義と違うぞ!!」
それに驚きつつも疑いの声を上げる秦側に対し、趙遷は最新の流行に触れつつも撤退を行うまでの余裕も(米神には青筋が浮かんでいたが)見せた。
「…凄いな、太行山脈で見せたあの愚昧過ぎる子供の頃とは全然違う…」
その様子をある丘の上にある廃屋の一つから白漂も見ており、ある時間軸では父以上の暗君と評された姿など微塵も見えない名将ぶりに警戒と共に感心の色も見せていた。
「とりあえずこっちの状況を大将に書いてもらった文付きの大槍を投げたけどよー。大姉貴は気付いてもらえるかなー?」
「大丈夫、紅華はその辺は僕よりもしっかりしているから。それよりもこれ以上ここに長居していると危ないから街中の適当な場所へ紛れよう」
その横で不安な表情を見せたレキシントンを連れて、白漂は丘の下に広がる
二人が進んでいたのはこの町で脱出用に掘られつつも長きにわたる平和で忘れられていた地下道の一本で、そうとも知らずに突き進んでいった果てにこの敵地である町へ人知れずに辿り着いてしまったのだ。
同じ頃、その事をレキシントンが投げ込んだ大槍に書かれた暗号文で知らされた白漂軍の中枢は啞然とし、頭を大いに抱えつつも何とか周囲には隠して表向きは奇襲を受けたこと以外は何もないように包囲を続けるのであった。
また主人公がトラブルに巻き込まれてやらかしちゃいましたね…。
今はない15歳以上向け本編の方で若い頃に世話になっていた仮面の超知将が知れば、いくら才豊かでも不穏材料過ぎると早めに処分してきそうです…。
次回から、町の中での白漂達の暗躍(?)と、それと連動していく外側の白漂軍の活動が中心になっていきます。