※この作品はR-18です。

天下の大将軍になる!! ~夜の睦言~   作:oosima

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今回、前回の終わりに出た原作に出つつもそれとは大きく変化した同盟のお話の細かい動きが中心になります。


212 類似と変化は連鎖して生じるもの

 ○秦始皇9年(紀元前238年) 秦国中央部 王都咸陽 王宮○

 

「我々は韓と長期的同盟を結ぶべきです」

「「「「「!!!!!?????」」」」」

 

 昌平君が口にしたその正史や原作と呼ばれる時間軸にはなかったその政策提言に、数は退席させられて通常より大幅に減らされていたが、王宮は今も本殿に登れている重臣達は驚愕に満たされた。

 

「…う、右丞相…それはあまりにも今までの方針から逸脱すぎるのでは…?」

「出自はあれでやり方なども悪辣にすぎますが…あ(・)の(・)将(・)軍(・)に任せて韓攻略作戦は以前の予定よりも大幅に進んでいる状況ですぞ?」

「確かに今でこそ先の内戦の影響で進軍は停止していますが、最低一年の再編休養が済んだ後には一息に飲み込めそうな状態ですぞ?」

「正直、今の状態でも少し無理をすれば韓制圧は可能なのでは…?」

「そうして中原中央部を直接に抑えた方が魏と楚の侵攻計画も阻止しやすいのでは…?」

 

 少しして驚愕が終わると周囲からは困惑交じりの疑問が浮かんでいくが、それは対韓方面作戦には直接関わってはいないが、他の現場で多大な功績を残してきた白漂が否定にかかる。

 

「それは出来ません。とること自体は可能でもその後が続きません」

「…え?」

「みなさーん、話は少し変わりますけど長平の戦いがどうして起きたか知っていますか?」

 

 その白漂の否定に廷臣達は戸惑う中で白漂が続けて問いをぶつけると、何名かが自ずと答え始める。

 

「…それはまぁ、あなたの祖父である白起将軍の侵攻で当時韓の領土であった上党郡が韓の本土から切り離されて…」

「維持できないと悟った韓は孤立した上党郡を秦に割譲して講和を結ぼうとしたけど、当の上党郡の民は秦法統治を嫌ったから上役をも抱き込んで、趙に逃げ込んで当時の昭王の怒りを買ったからー…」

「そうです。あの時にも見せたあの国の国民性を考えればたとえ取れそうになっても王命すら無視して隣の魏や楚に土地ごと鞍替えするなんて普通にしますよ。今現在の動かせる兵力では韓を無理して王族ら上層部を攻め落とすことは出来ても残った元韓人達が土地や城ごと他の近隣国に逃げるのを阻止するのは出来ません」

「「「「「何ぃいイイィ!?」」」」」

 

 そうして自分たちが上げた答えも材料にして、現状も加えて現時点での韓完全制圧の困難さを白漂が解説すると、廷臣達は顔をひきつらせた。

 

「そうなるとこれまでは中央部を軍事力で列国最弱であった韓が抑えていた故に脅威ではならずに済んだ現在と違い、今度は秦中枢に近い中原中央部から魏楚両国が圧力を直接かけてくることが可能になります。そうなれば中原攻略は泥仕合に入ります」

「「「「「………………」」」」」

 

 その解説の上で白漂が口にした最悪且つ現実味のある未来予想図に廷臣達は言葉を失う。

 

(…ここまでは以前の打ち合わせにて儂らが示し合わせた通り、韓にとっても経済力も強め続けている秦と同盟を結べられれば、それを後ろ盾にした中原中心を抑えていることによる影響力を強化して他の周辺諸国の下手な侵攻を減らすことが可能だから悪くはない。問題は先に漂が口にした国民性からして韓の上層部がその事への民の支持を取り付けられるかどうかだが…)

「昌文君に白漂将軍、韓と当分同盟を結ぶ必要の重要さはわかった。だが、長平で見せたあの国の体制や国民性に現在の対韓方面戦況を考えれば、あの国が民を納得させて同盟を受け入れるのは至難の業だぞ」

 

 その上で昌文君が韓のお家事情を考慮して難しそうな表情を浮かべていると、嬴政が玉座より下りて廷臣達と並びながらその憂慮を上げると廷臣達にもその表情が移っていく。

 そこで昌平君が新たな切込みを入れ始めた。

 

「ええ、ですからまずはその韓側の体制を利用して民意から秦韓同盟への流れを作ろうと思います」

「「「「「!!!???」」」」」

「この方策は、秦の南北連結完成の要と言えるあ(・)の(・)大(・)事(・)業(・)とも大きく関わってくるものです」

 

 言葉を続けていく昌平君の視線は韓を向けられ、やがてそこから西南に位置する秦楚国境地帯に位置する、正史や原作と呼ばれる時間軸にはないある特徴的な地へ移った。

 

 

 

 

 

 ○秦国中央部 王都咸陽 白一族宗家咸陽別館 寝所○

 

「…そういうわけで北涼に戻って文官さん達に混じって鬼みたいな量の机仕事をする前に、南方に行って短期間で他の皆さんと一緒にあの田畑から兵士が取れる国と戦わなくてはいけなくなりまし…あぐぅ!?」

 

 王宮で秦の外交や軍事に大きな方針転換を及ぼす決定に加わった日の夜、白漂は館に戻ってその都合で急遽入った仕事を説明していたが、その最後辺りで首を細腕に捕まれてそれからは相反した強めな膂力で締め上げられ始めてしまう。

 

「もういっそ陵に譲ってどこかの子にでも刺されまくって逝ってください♪」

 

 その手の持ち主は寝所の寝台に仰向けで横たわっている白漂の腰の上に跨り、彼の男根も器用に己が淫裂で締め上げながら青筋を幾つも浮かばせた笑みで見下ろしている紅華だった。

 

「あーもう、冗談半分はその辺にしておいてあげよう。ほれ」

「ッああぁぁぁぁアア❣❓」

「あう!?」

 

 メキメキと徐々に上がってくる音に藍蘭が面倒くさそうな顔で紅華の肛門を指で穿ち、内部から彼女の淫裂越しに力を腕から淫裂に映させると、紅華は奇襲効果もあって大きく背をのけぞらせてそれも上乗せした激しくも複雑な肉壺の動きをして腕も跳ね上げさせ、それに死の気配を感じていた効果もあって白漂は大きく膨らんだ男根を突き上げて白濁の奔流を上げて妻と共に天へ旅立ったような極みに至った。

 

「…あ、あー…苦しかったー…マジで死ぬかと思ったー…愚息もバテマラ効果でむしろビンビン感を増しているし…」

「まあ、相変わらずご立派に…でもまあその原因である机仕事量の増加のおかげでちょっと舌と唇以外にも用いたくなりますけど…がぷ❤️」

「痛い!」

 

 その流れで紅華の胎内より脱出して上体を起こした白漂だが、今度は綺麗に微笑みつつも薄っすらと開いている瞼の隙間から感情のこもってない瞳を浮かべている譜孝が歯を結構強めにその陰嚢へ突き立てた。

 

「あらまあ、共に苦労をお重ねになっている旦那様に対しても遠慮のない諫言をするとはさすがお姉さま方…当分は戦場でのお支えが出来ないこの身からして羨ましいですわ」

「…うう、ありがとう…含みはあるだろうけど…今後も末永くその女性らしい労りを忘れないでしょ…ん? 戦場でのお支えは出来ない?」

 

 反対側から捷璘が慣れた微笑でその様子を見守りつつもあいている方の陰嚢を優しく愛撫してくる感覚に、白漂は涙と陰茎に残っていた子種汁の残りを流すが、彼女の用いた言葉に違和感を覚えるもそこで視界の片隅で、先に繋がった証である白濁を足の付け根から流しながら羞恥と母性の宿った赤ら顔で自身の下腹部を撫でる薙鍛の姿に気付く。

 

「…はい、この前に貰いしお礼が女人としての喜びとして根付いたのは花禽の北涼の地でお手付された子達や、自由都市(ユラス・アプラス)攻略での功績に種を与えられた彩兎館の子達だけでなく、私達二人も同様のようで…❤️」

「…え、ちょっと待って、それって今晩のあなたたちの分は無駄撃ちになるって知ってて…あ」

 

 その母になる喜びを見せる二人に王涼がジト目を向けるも、それに構わず捷璘は周りが呆けた隙をついて白漂を押し倒して再び精を無駄撃ちさせた。

 

「…ど、どうにか皆…寝静まらせた…姫昭とか庶徐とか…おとなしかったり性的なことにはうぶかった子も…こっちの意識が朦朧としてきたところでさり気なく搾り取りに来てたし…つか…今この状況で戦場にいるような武闘派将軍とかにでも襲われたら…マジでひとたまりもない状況ですけど…」

 

 数時間後、夜もだいぶ深みに入った頃にて、若干頬がやせこけた白漂は子種汁として搾り取られて不足している栄養分を何とか補充しようと、ふらふらとした足取りで厨房を目指していた。

 

「死ねえ! 白漂―――!!」

「邪魔」

「―――ゥぼげぇ!?」

 

 但し、そんな状態でも上手く下働きを装って侵入したり(あるいは泳がされたり)してきた刺客がそれを見て襲い掛かってきたりしてるが、するりと避けてその足をくじけて階段を転ばせるかベランダから打ち所が悪くなる感じで落として、あっさり始末する程度の対応力は維持していた。

 

「…かつかつ…あー、生き返るー…」

「…そうか、それは良かった…」

 

 十数分後、白漂は館の厨房に入って、道中の中庭で剣の素振りをしていた所を捕まえたナクタにお願いして作ってもらった夜食を口にしていた。

 

「…というかナクタも出産してから日日もあんま経っていない状態でよく復帰したなぁ…。体は大丈夫?」

 

 上手そうに自身の料理を口にしている白漂の姿に穏やかな微笑みを浮かべるナクタだが、その彼女は数十日前の自由都市(ユラス・アプラス)攻略の最中に朔方城にて、白漂の第十三子にして八男である白詳を生んだばかりであった。

 しかも、白漂軍が自由都市(ユラス・アプラス)攻略を成功させた後に、斉王田建の急来秦出迎えとその咸陽行きへの護衛で朔方城へ通りかかった時に軍務に復帰までした。

 

「白詳様を身ごもっている間も無駄飯食いなどしないように力仕事や素振りをしていたので心配は無用だ。このような一兵卒如きに激務の中で情けをくれた貴方の多忙さに比べれば大したことではない」

「体の方は元から丈夫だから良いとして生まれたばかりの息子を置いて仕事に出るなんて母親としてはさみしくないはずがないだろう」

「構わない。このような婢(はしため)なんぞには貴方に抱いてもらえただけでも光栄だ。ましてやその男子まで産める名誉に預かれたんだから…こんな戦しか能のない女の手よりも奥方達の情けに預かって育ててもらえた方がいいだ…あう❣❓」

 

 その普通の女性としてはあまりにもきつい勤務状況にナクタはこたえていない様子だが、息子に触れられるとどこか寂しさと後ろめたさを覚えた表情を覚えたところで背後から白漂に抱きすくめられて甘い悲鳴を上げてしまう。

 

「しょ、将軍…❣❓」

「…なんか、僕がナクタの求めに応じて抱いたのが…気まぐれや安い同情にしか感じてもらえない言い方が気になるというか…残念だなぁ…君に心だけじゃなくこの体のことも色々教えてもらえた身なのに…」

「そ、そのようなつもりでは…アア❣❓」

 

 耳元に囁かれる白漂の寂しそうな声にナクタは羞恥に加えて気まずさも覚えるが、その間にも彼の手淫は衣服越しながら彼女の女性としての膨らみに這わされて熱が引き出されていく。

 

「…それにねえ、この体の状態でそんなことを言われてもあまり説得力がないというか…」

 

 白漂はナクタの女体を嬲っていくが、その男根は衣服越しながらも彼女の足のつなぎ目に押し当てられており、そこには自身の中よりひねり出された白濁の真新しい生温かさが消えていないことを感じた。

 

「…こ、これは…その…貴方が他の奥方達や同輩たちに情を与えられて寝静まった後でも…そのご一物がまだ半勃ちながら元気そうだったから…他の方に目を付けられてお辛い目に遭わされるくらいなら…お鎮めした方がいいかと思って…アア❤️」

 

 それを気付かれて且つ再び突き付けられている男根の感触に、ナクタが苦しい言い訳をしていた所で彼女のボトムとショーツは白漂の手で素早く且つ音もなくずり下げられ、外気に晒された淫裂はビクンと震えて愛液と逆睡姦で彼から搾り取った子種汁を零してしまう。

 

「僕としても、紅華と君がそれぞれから向けてくれる思いが違うのはわかるし、僕から紅華と君のそれぞれへ向ける思いは立場と同じように違う。それでも軽くはないと思っているよ。君が心だけじゃなくこの身でこうなって求めているのを示してくれているようにね…」

「……………」

「信じられないならここで止めて良いけど」

「そんな! 私が貴方を疑うなど不遜なことは…」

「じゃあ、どうする?」

「……………」

 

 それをネタに言葉攻めで外堀を埋めていく白漂に、武人気質で搦め手は苦手なナクタは抗えるはずがなく、焚きつけられてグツグツと沸き立ってくる愛欲にも押されるほかなかった。

 

「…ぁ❣ ふうぅぅ…あ❣ す…ごい…❣」

 

 数分後、ナクタは快楽で半分蕩けた顔と出産を経て質量を増しつつも鍛錬で美しい釣り鐘型を保っている巨乳を机上に預け、差し出した臀部から愛する男に貫かれる悦びで嬌声を上げていた。

 

「…ンン…く…ナクタ…君の肉壺は…鍛錬からくる引き締まりを持ちつつも子を産めた事からくるゆとりも併せ持って…優しさも持った動きをするようになったね。けれども…何か子を身ごもる前の情事に比べて体の反応は大人しくなったというか…」

 

 そのナクタの傷跡が残りつつも気高い美しさを忘れない背筋を撫でて体内の微妙な変化を増させ、彼女の変化した胎内を悦ばせつつも男根で彼女に雄として鍛えられて引き上げられていくような感覚を白漂は悦んでいたが、彼女のその変化にも気付いていた。

 

「…ふあぁぁ…❤️ そう…だなぁ…貴方の子を身ごもって…産めた事でぇ…この身も他の皆と大差ないことを知ったのか…もしくは近い身になったのか…男に直接触れても昔のように失禁することはなくなったような…。じかに触れると下腹部が熱くなるが昔ほどではないし…アア❣❓」

 

 一方のナクタも嘗て抱かれることに慣れていない間の激情のような快楽がひたすらなだれ込んでくるような鋭敏さは薄れ、深くまで雄の激しさが齎す感覚を咀嚼できる余裕を持ったような感覚には気づいていたようだが、そこで白漂に腰の躍動と合わせる形で自身の臀部を軽く叩かれると短くも悲鳴を上げてしまう。

 

「…そうか、じゃあ…君もまた色々と僕との繋がりで他にも色々と知って幅を広げていけるようになったんだね…他の子のように…」

 

 そう囁いて彼女の背中にしなだれかかった白漂は腰を動かしてナクタの胎内に多種多様な肉の変化を付けながら、彼女の背筋をなぞったり、尻肉を叩いたりつまんだりして内外から彼女の肉体の変化を生じさせて痺れるも甘い相乗効果を及ぼしていく。

 

「…あ❣ ふ…う…あああああぁぁぁぁぁぁ~~~~~❣❣」

 

 数分後、ナクタは初めて抱かれた時のような狂ったかのごとき声量を上げるのではなく、身の奥底から甘くも深い快楽に心身をゆだねていることが出来ている小さくも深みのある嬌声を放つようになっていた。

 

「…ん!!」

「っっッふううゥウゥウゥウゥゥウゥウゥウゥぅぅぅぅぅぅ❣❣」

 

 その小さく肌を打ち合って内外から深くいじり合う、派手さはないが深みのある快楽の飲み合いの果てに、二人は歯を深く食いしばって襲い掛かってきた極みの高ぶりを振るえる身で感じ合った。

 

 

 

 

 

 〇中華中央部 韓国 王都新鄭〇

 

 白漂が妻達に新た且つ急な激務の到来を告げてそのお返しをされてから十数日後、今この中華で最大級の都市でその上層部で動きが慌ただしくなっていた。

 この時代、正史や原作と呼ばれる時間軸と違って各地に発展している地域は多く見受けられるが、その中でも正史と呼ばれる時間軸と同じく早期から文明を誕生させて開発が最も進んでいる中原が中華政経の中心部である。

 特にそこに位置する韓は戦国七雄で最も小さいが中華中央に位置するその地政学的長所を生かした商工業が発展しており、今現在も前線で交戦が続いている秦の経済成長にも上手く結びついて、格差の広がりは見せども国全体の経済力はむしろ上がっていた。

 

「お通しください!」

「寧様! お、落ち着いてください!」

 

 その繁栄の象徴にして今現在の中華で首位を争う大都市である韓の王都新鄭の王宮の廊下を、同国王族に属する王女韓寧が、その他と隔絶した気品ある美貌を険しくさせて走っていた。

 

「ッ!? 誰だ…っと公主様!?」

 

 韓寧が乱暴よく扉を開いて飛び込んだのは、今の韓王である韓安も含めて韓の首脳部が集っての重大会議の場であった。

 

「皆様! 秦(・)か(・)ら(・)の(・)同(・)盟(・)申(・)し(・)込(・)み(・)を受け入れたというのは本当ですか!?」

 

 そして、その韓寧が反発と拒絶を隠さない声音で放ったその叫びがその会議の主題を露わにした。

 

「寧様! それは叫んで口にしてよいものではありませんぞ!」

「そうです! まだ受け入れとは決まったわけではありません! まだ審議中です!!」

「そ、そうですか…それなら答えは―――」

「“断固拒否”に決まっているだろう。話を聞いてもらいたいならまずあ(・)の(・)好(・)き(・)勝(・)手(・)し(・)て(・)く(・)る(・)馬(・)鹿(・)の首を謝罪の品によこせと伝えるべきだ」

「―――あってああ!?」

「うぬおおお!?」

「あ、あなたは!?」

 

 それを見て廷臣達は驚きと非難の声を上げるが、それに韓寧が羞恥を覚えて落ち着きを取り戻したところで、今度は彼女の背後に現れたその新たな人物が彼女と廷臣達をその主張で驚かせた。

 

「この小国にそのような無茶を言われるな冬史(とうじ)将軍、それにただの同盟受け入れならあ(・)の(・)男(・)と浅くはない因縁のある貴殿を南方前線より呼び戻したりはせぬ。純粋に国益を考えれば秦との同盟はわが国には大きな幸運だとしても」

「張宰相」

 

 その新たな出席者たる冬史の無茶ぶりを窘めたのは、小国韓の宰相という困難な立場をこなして且つ中華一の賢人と呼ばれる張氏であった。

 

「だが、それくらい言わないで同盟しようなどという話になれば少なくない数の国民は幾つかの城邑ごとあっという間に秦以外の他所に流れるぞ」

「その通り」

「「「「「………………」」」」」

 

 その張氏が冬史の述べた韓の国民性及びそれから来る弱点にあっさり同意すると、周囲の韓の廷臣達は重い表情になる。

 

「ですから秦もその我が国の事情を考慮してくれたようであ(・)る(・)条(・)件(・)を持ち掛けてきたのですが、それが今では我が国の第(・)三(・)将(・)である貴殿とも深く関係のある話で、それで貴殿も対楚方面より呼び戻したわけです」

「ぬおおお!?」

「デカい!」

(それとあの被り物…独特というか気味が悪いというか…)

 

 それを変えたのは今のこの場にはいない韓の筆頭大将軍の副官にして、その逞しい巨躯とクラゲのような兜(?)を被った武将ヨコヨコだが、少なくない数の廷臣が発言よりもその異相に気を取られてしまう。

 

「条件だと? あの戦神時代から約定破り上等の虎狼がどんなのを突き付けてきたというのだ?」

「“什虎地方“”のうち什(・)虎(・)城(・)を含めた指定の地域を我らに譲りたいと言ってきている」

「!」

 

 ヨコヨコの発言に冬史は怪訝な顔を浮かべるが、張氏が明らかにした秦側の提出せし見返り条件に冬史の目が細くなる。

 

「あの什(・)虎(・)か?」

「はい、あの什(・)虎(・)です」

 

 そうして韓の首脳部の視線は床に大きく広げられた地図上にあるその什虎地方を見やる。

 そこは別の時間軸と同様に韓秦魏楚四ヶ国の国境地帯の要所であるが、そちらとは違う大きな特徴を持つ地形を抱えていた地でもあった。

 

「什虎はまさしく4ヶ国の国境地帯に位置する不落の要地、そこで最も重要な地点を譲渡するのなら話は変わるのだ」

「連中め本気か? そもそも今の什虎は…」

「はい、今現在のあそこは楚(・)領(・)です」

 

 この韓の中枢でも大きく取り上げられ、この世界では巨大な湖の中に何本かの糸のような陸地で周辺の湖岸と繋がっている半島状になっているその什虎は、別の時間軸と同様にあの南方の超大国の領域内にあった。

 

「つまり秦側は長期同盟の対価として、韓秦両軍で什虎地方を攻略し、そのうち最も重要な要所を我らに譲ると言っておるのだ」

「「「「「………………」」」」」

 

 その地に対して張氏が再度強調したその議題で、反発を示していた者達も含めて韓の朝廷を静寂とこわばりが再び支配した。




次回、今回の同盟交渉を受けての新たな戦役パートに入る予定です。
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