〇秦始皇9年(紀元前238年) 秦国東南東部 漢恵湖*1・繋恵渠南側合流点水上 秦国水軍一団〇
「……もうこの湖まで来たか、南側の方が高いのもあるけど水の流れというのはすごいな」
スッポン騒ぎが起きた日の晩、月明かりに照らされている船上の甲板の一角にて白漂は自身も関わっている運河の効果を深く感じていた。
「大将ー、夕方に運河の上で通りかかった行商から買えた菓子があって五種類くらいあるけどどれくらい食べるー?」
「…んー、結構量があるみたいだから全種を一個の半分ずつー」
そこでレヴィが上の帆立の見張り台より菓子が満載になっている籠を見せてくると、白漂は素直に食い意地を優先した。
「…お、中には…林檎とかの果酱*2が詰まっている饅頭かー。美味しいねーはぐはぐ…(北の方で採れる食材だから、牛馬で黄河の北辺りまで運んでそこで船に乗り換え、ここまで運んできたものか。華北と華南を船で行けるなんて惣流が便利になったな。けれど、朔方城が陸運で北涼と黄河流域の繋ぎになっているけど、この運河開通による流通量増加を考えるとあの地だけだと負担が大きい。今の北方産牛馬による陸運だけでなく、水運を北まで伸ばせられた方がちょうどいいけど…。そう言えばこの世界の満州は海岸線が西側に向けて深く入り組んでいて陸地の多くが島嶼化しているためか、黒竜江は西に向けて大きく伸びていて、噂も混じるけど中央アジアまで伸びているらしくて、その支流も多いから…この世界の河套地域に近い流域もあって、その間は前の世界と違って山地は少なく高低差も前ほどは無かったな…。上手くすればこの時代の技術でも、黄河と黒竜江を支流経由ながら繋げられるのでは…? そうすれば咸陽を中心として秦は大陸内陸交易路と東海を直接に繋げられて更に発展…)あ…」
そうして口に運んだ味をじっくりと咀嚼し、正体と来た経緯の推測で白漂の思考は範囲と深度を拡大させたところで、下半身からつっかえ棒を掴まれて邪魔される感覚が割り込んできた。
「…大将~♪ 愛人と二人でこういう夜に味を楽しんでる最中に仕事のことを考えるなんて無粋じゃないっすか~♪」
気付けばレヴィが白漂に背後からしなだれかかって彼の足の付け根にある肉棒を自身の足で挟み込んでグニグニと玩具のように揉み込んできた。
夕食で口にしたスッポンと地の愛欲の強さ、レヴィの方の手慣れている足コキもあって白漂の男根は例にもれず数秒で雄々しい姿を布越しながら見せる。
「泥竜を立ち上げて何年か経った頃、収容所から戦火のどさくさ紛れで逃げたらこの時代へどういうわけか流れてきて僕らと出くわした頃の死んだ魚みたいな目をしてた頃からは想像できないな…」
「それを言うならあたしも親父が翻訳に関わってたバックトゥザフューチャーやターミネーターみたいな目に遭うとは思って無かったっつーの。飛び越しちまった年数の桁はこっちが上だし、知ってるのはあんた含めて何名かだけど…あ❤️ あたしが最後にコネクトした時よりも更に地で大きく硬く…❤️」
「それはまあ君が取ってきたスッポンも口にした後だし…君だってこの先に何をしようかだなんてのは見え見えだよ」
「まーなー、じゃあ…
背中に自身の身の前面を深く預けつつ、今の自分自身を大きく形作る案内板となった男の雄の証を自身の足で感じながらこの時代にはまだないはずの単語も含めた言葉を交わし合った後、彼の名をこの時代のそれとは異なる発音で読んで船内へ連れ戻そうとしたが、そこで白漂は彼女の前で寝間着を脱いで肌を見せ始めた。
「ん? どうしたのその顔? ここでこんなことをしたのなら君が一番生き生きできるこの水辺で交わるのかと思ったけど?」
「❣❓ あ…いやー…見張りをしてるダチなんかは気を使ってニヤニヤしながら物陰に隠れてるのは気配でわかるけどさー…だからってこんな他所の船からも見えそうなところでってのはあんたのコンプライアンス的にもちょっとー」
「心配しなくていい。カミさんたちにボコられたりとかもっとやばい場面を何度も見られている身だから」
「いや、それもっと駄目だろ…おおろろろ?」
それにレヴィは別時間軸の同名同位体からは想像できない生娘のような赤面を見せたり、微妙そうなものを見る表情を浮かべたりするが、その間にも生まれたままの姿になった白漂に引かれて船の下層にある水に半分浸かった階段まで下りさせられてしまう。
「…ひゃ…
「それが本当で嫌だったら、そんなに力がこもってないこの手を振り払って自分の部屋にいつもの軽業師みたいに戻れたはずだけど?」
そこに腰を下ろされて水面の足を付けられて心地よい冷たさを覚えるとともに、それとは相反する脳髄を熱く溶かしていく男の言葉にレヴィは流されそうになりながらなおも抗おうとする。
「…今は北にいるあんたの倅の…後から来たってのに綺麗よくカミさんの椅子を先取りした
戦場や水辺で水を得た魚のような活躍を軽業師顔負けの動きで見せる姿からは想像できない、不安と負い目を帯びた表情を浮かべるレヴィだが、その彼女が着る鎧と内側のシャツ部分は勢いよくはぎ取られてブルンと健康的で均整のある形をとった双乳が外気に晒されてしまう。
「…ごめん。今の君を見てたら…君のお腹が僕の子を宿して膨らんだ姿も…この胸に吸い付く僕と君の子で君が顔を赤くして剃らせてしまうところも、僕に抱っこされて喜ぶ君との子で君がやきもちを焼く姿も見たくなっちゃった♪」
「…あ、まず…うくぅ❣❓」
それを一瞬でなした白漂が自身の身をその膝とたぎっている愚息の上に乗せ、愛欲で深く燃え出した笑みで見つめてきているのに気付いたレヴィはハッとするが、藻掻く前にその唇が奇襲されて久々に愛しい男のそれで嬲られる感覚で、急速に残りの反抗心も萎えてしまう。
「…戦場働きの事ばっかしてきたから、出来たら知りてえことで思いっきり振り回すぞ…❤️」
「振り回してくれるだけで済ませてくれるんだ。根は面倒見が良いね君は…」
そうして生まれたままの身となった白漂とレヴィは、静かに船の階段から水面へ身を移して肉と水の深い交わりに沈んだ。
「…ふ…❣ う…っっ~~~~❣❣」
数分後、レヴィは月明かりに照らされる船団の間の影を白漂に支えられながら水面伝いに漂い、今にも甲高い嬌声を上げそうな唇を彼のそれで塞がれて舌も甘く舐めとかされそうになりつつ、足の付け根から彼の肉の大槍を楔代わりに埋め込まれて愛欲の河を男に支えられながら快楽に流される時を味わうようになっていた。
「…あれ? 何かレヴィさんの色気づいた声が聞こえたような…?」
「~~~っ❣」
白漂に抱かれている間もレヴィはその泳ぎの上手さから合わせて浮力を保てていたが、板の向こう側や船上から自分の存在を感じた味方の声を聞く旅に足がビクッと止まって沈みそうになってしまう。
「…ん…また締め付けが…だけどこの感じ…もうそろそろ君は来そうだから、一区切りに僕も…」
そのレヴィを白漂は抱きしめて彼女の分も泳ぎながらその胎内を熱く溶かすように蠢かせ、そのビクビクとした望みと恐れが混じったような肉襞の動きから自分も陰嚢に化していた栓のようなこわばりを解いていく。
「…~~~~~~❣❣」
「…ンン!!」
そして、白漂の身が元々乗り込んでいた船の昇降階段に戻ったその時、レヴィの胎内は暴発した火器の内部のように激しく蠢いて意識はそれに高く打ち上げられたように極みへ達し、その証が出そうな唇を白漂は自身のそれで塞ぎながら白く煮えたぎるような大量の弾を彼女の無防備になった子宮へ撃ち込んだ。
〇秦国東南東部 漢江某水上 秦国水軍一団〇
「……ん、もう朝か…」
レヴィが白漂に船団の船の間の水面を漂いながらの交わりで極みに達した晩が明け、夜明けに入った頃の船団が漢恵湖から漢江に入った頃合いにて紅華は夫の寝室兼書斎で目を覚ました。
「…アア❤️ 駄目ですぅ…❤️」
「も、もう出来てますからぁ…❤️」
船内故に実家ほどではないにせよ大将軍が寝るところだけあって、本棚に占められている分を差し引いても相当な面積があるその寝室は、その主である白漂の閨の住人でもある女性達の肌で埋め尽くされていた。
結局、昨晩でレヴィは白漂にここへ連れ戻されてら何度か粘ったが体力が持たず、それが切れて睡魔に落ちたところで、紅華も含めて待ちわびていた他の女性達がその心身逞しい雄の身体と種を求めて白漂に襲い掛かった。
今では、その証を足の付け根より白濁の雫として晒しながらいまだに眠りから覚める気配がない。
「…ん…く…ンン…❤️」
その一人であるレヴィは、今も同じく眠りに付いたままの白漂に、父に抱き着いている幼い娘のような可愛い寝顔を見せている。
「…全く、私事では好き依頼が激しくて嫌いな事にはだらしないことこの上ない…普通の子には本性知られれば数日で逃げられるような人なのに…普通のそこらの男になびき姿が見えない子ばかりに好かれて…」
紅華はそのレヴィに抱き着かれている状態で今も寝ている白漂の頬をつついた後、今度はレヴィの頭を撫でる。
「…私もそんな女の子の一人だからあなたの心はわかるわ。だから、遠慮なく産みなさい。この人をこの人としてとどまらせたまま更に飛躍させる子をもう一人…」
「…ん…くぅ…」
紅華に頭を撫でられたレヴィは、慈愛深い母親の膝で寝る幼子のような穏やかな微笑みを浮かべ、それに続けて紅華は今までの経験から彼女の下腹部に指を触れさせて新たな命の気配を感じて頬を緩ませた。
「…そのためにも普段の残念だけど御しやすいうちの亭主に釘をさせる人質も産んでね♪ 部分的だけど亭主を心身どちらも貸してあげてるんだから♪」
「「…!?」」
だが、その穏やかな紅華の笑みが戦国の奸智を併せ持った女主人や、それが若い子に対して抱く珍しくない
〇秦国中央部 王都咸陽近郊 渭水北岸 渭港府〇
秦による別時間軸の別地域のそれを数百年先取りしたような大運河事業はそれ単独で成り立つものではなく、途中の中継都市開発や農業用水路兼用など複合的な要素を兼ねていた。
「…そうか、什虎の地は話に加わった韓にやり、秦はあの国を当面滅ぼさずに生かしてその存在を自らの戦略に組み込む道を選んだか…。かの国をも自らが待ち望まれる天下人となるための布石とせんとするか」
その一環として、繋恵渠で長江と繋がった黄河に流れ込む支流である渭水に面し、咸陽と水運を深く繋げるために生まれた都市の一つである渭港府にある旅館にて、旅している富豪に扮している現斉国王田建の姿があった。
「…その城攻めに加わった諸将方ですが、什虎の地は韓が守将兼長官として自国第二将の博王谷を派遣して安定化を優先させつつ、実際の攻略に加わっていた第三将の冬史は同地と韓本土を繋ぐ中間点に置き、両将共に今回の件で揺れている楚の北西部の外様系の領主たちへの工作を進めているようです…」
その旅館の軒先にある長椅子に坐して南方の珍獣の姿焼きを口にしている田建の傍には、同じく身分を偽った形で同行しているその娘で嬴政の妃の一人である田共召もいた。
「…あの頃の身体ばかり動かしておった生まれる性別と家を間違えたような馬鹿娘にしては耳が早くなったな。蔡沢の口車に乗ってわざわざ秦にまで来た甲斐はあったか…」
「…では、父上とあの人の口上ではありますが、秦と斉の秘密同盟については同意と―――」
「肝心なところで先走りするのは変わらんな愚娘よ。まだ、帰るまでの間にも秦王とその影武者で今回の訪秦の護衛を務めたあの男のまだ見切れていない残りの分も見定めんといかん」
「―――ぉ…し、失礼しました…」
旅館の和やかな雰囲気に溶けている父の雰囲気から田共召は笑みを浮かべかけるが、それを制するように田建の山が人の形を成して睨んできたような威圧感にかしこまってしまう。
「んー? じーじーどうしたのー? 何か倭人の人が絵で見せてくれた“大入道”や“海坊主”みたいな顔してたよー?」
「おお~♪ 嬴尚~♪ もうここまで走り回れるだけでなくそんな難しい言葉まで話すか~♪ この馬鹿娘と似ておるのは体力と見た目だけで中身は儂に似て賢いようだな~♪ 可愛いな~♪ 国で重臣共に扱かせておるあの馬鹿息子とは違うな~♪」
但し、その威圧感も二人に連れてこられたこの国の第三王子で、田共召の金髪を暗くして幼児化させたような嬴尚がとてとてと抱き着いてくると、一瞬でじじ馬鹿特有の抜けて和やかなものに切り替わった。
(…ま、まあ…これからの斉への帰り道の護衛は北へ戻る途中でこれからここにもよる朔方侯がまた担ってくださるようだし、政も新たに広がった北部への巡行も兼ねてその帰りを海での見送りまで務めてくださるようですし、尚もその道中は動向を許されてこの人と共にいられることになったから、そこまで難しくは―――)
「言っておくが、血筋だけで委ねられるほど斉国と斉人は安くはないぞ」
「―――あ、失礼しました…」
「じーじー、母上と仲良くー…」
「………………」
その父と我が子の交流もあって再び緊張が抜けそうになる田共召だが、田建がその都度に海から出て来た巨妖のような威圧感を見せたり、嬴尚にせがまれてじじ馬鹿に戻ったりを繰り返したので、父との交流で過去にない疲労を覚えさせられるのであった。
故に、これから自分も加わる父の帰国の見送りと、並行して行われる嬴政の北方巡行で色々とまた波乱が起きることなど、この時点では思いもよらなかった。
次回、主人公の胃が面倒くさい事態のストレスで短くない時間苛まれるパートが始まります。