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〇秦始皇9年(紀元前238年) 秦国中央部 黄河・繋恵渠*1合流点水上 秦国水軍一団〇
「おおー、もう黄河だ」
「増水期じゃないから水は澄んでるけど」
「陸路だけに比べて速いなー」
レヴィを水上と寝所で閨の営みで悦ばせ、その後に集団で夜襲を掛けてきた他の女性達にも夜の応戦をしてから数日後、風向きの良さと南高北低の地形からくる水流の流れで白漂軍を乗せた秦国水軍は黄河にもう入り、船員達は興奮と喜びを見せていた。
「「………………」」
それと相反する感じで無言の強張った表情が川面に映っているのが、白漂と昌文君である。
「おおー、これが秦の船かー。海に面してない山の国だけあってなかなか小さいなー」
「じ~様ー、
「ああ、間違えたな尚、珍妙でかわいい船だな」
「…………」
その秦国の左丞相と大将軍第三将よりも上の高楼の階層には、別時間軸と同じく口から蛇の姿焼きをブラブラと遊ばせながら孫の嬴尚を膝にのせて遊ばせている斉王田建、その二人に微妙そうな眼差しを向ける田共召の姿があった。
「…何故こんなことに?」
「…あの斉国大王陛下の帰国開始及びその経路とお前の北への帰り道がちょうどよかったのだ」
それへ内心では非常に面倒くさそうな顔を浮かべている白漂に、昌文君は非常に不安そうな顔を向けていた。
「おい、今回の巡行は斉王も貴国見送りだけでなく新領土となった北涼へ秦の威光を示して民心安定と民生向上への後押しもあるのだぞ。その立役者で武威を示したお前がその体たらくでどうする」
その白漂にジト目を同じ階より向けているのが秦王嬴政で、その表情はまさに臣下を叱りつつ期待も示す英主としてのものだった。
「最近流行っている最新式釣り道具と浮き輪に麦わら帽子を被って始めて見に行く海に期待と興奮全開を隠さない格好で言われてもさー」
「悪いか?」
「…………」
その現状とは相反する臣下のため口全開な苦言に嬴政はシレっと開き直り、昌文君は両者のどちらにも色々言いたそうだが言えないという感じの沈黙に陥る。
「…おい、大王様の北への御巡幸というのは公表して、大王様と斉王御両名の護衛及び防諜はこちらも受け持つからお前も護衛は気を抜くなよ」
「ご安心ください左丞相、こういう逃げ場のない状況に追い込まれたこの人はさっさと終わらせるべく仕事に手を抜かず取り組みます。いざという時は私も尻から蹴とばすのも込みで発破をかけますから」
「よし、責任はこちらで持つから頼むぞ」
「つもりじゃなくて込みかい…あ、さっそくいた。あの東南の小山の竹林に旅装束だけど空気からして偵察しにきてる連中がいるから兵を百くらい送ってひっ捕らえて色々聞いてきて」
「わかりましたー」
数十秒後、微妙な沈黙を破って昌文君が釘をさすと、紅華が男尊女卑なこの時代の価値観をシレっと無視して嬴政はそれを応援し、白漂はそれにジト目を向けつつも即座に仕事モードへ切り替わって指示を素早く適切に出して兵を動かした。
〇秦国中央部 黄河 某河岸港市〇
「よし、さっさと歩け!」
「ウゥ…俺たちまで…」
「すんげー勢いで次々に潰されて捕まっていってるなおい…」
秦国王と同国大将軍兼影武者の主従漫才から数時間後、同国水軍の北上する姿を臨める対岸では、正規兵や行商など民間に扮しているが、他国からの偵察部隊や密偵などがぞろぞろとお縄に掛けられた状態で連行されていっていた。
「ものすごい的中率だな、大将が指さすところは必ず敵がいるぜ」
「鷹の目でも付いてんじゃねえか?」
それに新入りの兵士達は感嘆の声を上げていた。
「いや、単に孤児時代に趙軍とかの動きはどんなに小さくても勘づけないと死んじまうから細かくなっただけだな」
「「「「「…え、ええー……」」」」」
だが、信がさらりとぼやいたその内容でその青臭さの残る賞賛は微妙なものに変わった。
「…とりあえず次の港市まで潜んでいた諸外国の手はほぼあぶりだせた…。予定通り進めば次の港市で政た…陛下に合流できそうだな」
「そうですね。あなたの現場での目が良すぎるのもいいですけどー…大まかに誰それが何時何処へ来ているのかはこの人達が色々流してくれているおかげですし」
一方その賞賛もしくは微妙な声を向けられている白漂本人は、秘書筆頭的立場にも着いている紅華と話しながら、この地に立ち寄っているある団体の長と共に歩いていた。
「そりゃまあ、旦那達にいい仕事をしてもらえればあたしらも稼ぎ時の町の時期に応じてあちこちを安全に移動できますからね。まー私達も今回はどちらかというと話の中継ぎをさせられているような感じですけど…」
「中継ぎ? どういうことですか
その共に歩いている紅華から怪訝な顔を向けられている雨雀という人物は、倭国の意匠が強い赤基調の着物で、三十路入りたての円熟した媚肉と若かりし頃の引き締まりの末期が調和した身を固め、濃い赤の髪を結い上げて唇の傍の黒子と合わさって熟女然とした美女であった。
彼女こそ、先の靖涼の変で旧
「…そうですねぇ、皆が閨でお相手したお客さんからの話が元なんですけど…そのお客さんのほとんどが…あるお嬢さんの下で働いていた時期に聞けていた話しだって言うんですよぉ」
「あるお嬢さん? 誰です雨雀さん?」
「そうですねぇ、確かぁあの馬央で亡くなられた王騎様の親戚だと聞いてますぅ…。王…王留美…」
「「…王留美…」」
その雨雀が口にしたその名は白漂と紅華は何処か聞き覚えがあった。
〇秦国中央部 黄河某水上 大型隊商兼移動型妓楼西遊貨物船団〇
「…そう言えば、今日の港市でも講演していたのに貂蝉さんの姿が見当たらなかったけど、あの子は今どうしてるんですか雨雀さん? ここの稼ぎ頭筆頭でしょう?」
港市に立ち寄って数時間後、先行している嬴政達の船団に続く西遊の船団に乗り込んで出発した後、夕方になった頃合いにて紅華は珍しく顔を見せなかった同団体所属の友人を気に掛けた。
「ああ、あの子でしたら龍城でそっちの若旦那に当分その身から離せない
「贈り物? あのお客さん第一の職人気質なあの子がそれで休むなんて珍しいわね…え、龍城?」
雨雀の答えに紅華は珍しそうな顔を始め浮かべるが、耳にした地名からある男の姿が思い浮かんで、目じりがつり上がった両眼を細めさせてその男を見やった。
「…い、いやー…昔から世話になってる子だし…そっちとの合意込みでそういうのも含んだ契約を結んでいる仲の一人だからさー、あの北の大騒ぎの時のが当たったかとー…!?」
その視線を送られた白漂は血の気が退いた引き攣った笑みから脂汗を流しつつ、ギギギっとさび付いた人形のような動きで視線を逸らそうとしたが、そこで救いの神が気まぐれでも起こしたのか彼らがいる船上ベランダの手すりにビチャッと何者かの手が現れた。
「え!? ちょ、誰!?」
「…あー白漂ー、ちょっと話したいことがあってさー…」
驚く雨雀の前で手すりから昇ってきた手の主は、西遼の頭である壄瑮であった。
「何だ。人間嫌いに面倒くさがり屋の君が客商売業者の集まるところに姿を見せるなんて珍しいな。何か嫌なことがあったのか?」
その姿に白漂は先ほどまでの浮気発覚で針の筵に座らされた情けない亭主の面から能面すぎるまでの無表情に切り替わる。
「什虎攻略戦の時にー、夜襲掛けられてうちのゲルの幾つかに火をかけられたことがあったでしょー。その時に焼失したと思ってたうちの道具や生ものがさー。どうやら焼けた跡を考慮してもねー残された消し炭や破片の量からしてー、いくつか持ち去られた可能性が高いっぽいんだよねー」
「君の所に管理してもらってたあれらの幾つかが? 猩族にか?」
「それも思ったんだけどー八戒号含めてうちの猪たちにその鼻で什虎のあちこちを調べたんだけどさー。どうやら奪われてからすぐに他所の方へ運び出されたらしいのよー」
「盗まれた品の目星は?」
「あー、その辺は咸陽の知り合いに帳簿を送っているけどここで話すには色々と面倒くさすぎる話だからここでは後にして一旦打ち切りねー。あ、その代わりにこれ北方産のハサミ付きオオエビ。今さっきも
それに壄瑮は一通り説明した後に、その手に持つ網に詰まったロブスターと見まごうばかりに大きなザリガニだが、そのハサミからは何故か消しきれない血の臭いが滲み出ていた。
「へー、美味しそうだなー。それじゃー貰って…」
「壄瑮さん、もうこっちの分の夕食は出来ているからそれはあなた達の方で使ってちょうだい」
白漂はその匂いに気付きつつもシレっとスルーして受け取ろうとするが、紅華が割り込んで敬遠しながら断った。
「せっかく美味しいのになー。まー、こっちも食った後だからまだ腹空かせてる他の隊の若い子にでも御裾分けするよー」
それに壄瑮はつまらなさそうな声音を出しつつも背を向けると、ドボンと夕日で赤くなった水面に落ちてバシャバシャとその妖しい方士臭全開なローブ姿にもかかわらず自分達のいる船まで高速で泳いで帰った。
「…あの感じ、今さっきまでやってた仕事で付いた赤い
「……………………」
その光景を紅華はすごく微妙そうな顔で見送ったに対し、白漂は彼が伝えてきたその内容で浮かべた無言の怜悧な表情の内側で思考を高速回転させ続けていた。
〇秦国中央部 王都咸陽 咸陽大学院〇
「…へえ、これがその眼には見えない生物…“微生物”ですか…」
黄河の水上で白漂達に只ならぬ報せが幾つか届けられていた頃、咸陽にある研究所の一角で嬴司雪は顕微鏡を覗き込んでいた。
「そうですぞ司雪様、これまで病の原因とされてきた鬼*3の正体の幾つかもどうやらこれのようで…」
傍で解説している学者が顕微鏡の下に差し込んでいる硝子の小皿の上には何もないように見えるが、司雪が顕微鏡越しに見ているその表面では無数の微生物が蠢いていた。
「これの研究が進めば疫病などに苦しむ方々が助かるかもしれませんね」
「しれんのではなくてそうする所存ですよ。あ、何か手紙が来たようですな…どれどれーーーー…む…」
学者は助手の一人が届けに来た手紙を手に取るが、その差出人を示す“壄瑮”に只ならぬ予感を覚えた。
〇秦国中央部 黄河某水上 大型隊商兼移動型妓楼西遊貨物船団〇
「…あの荷は…膨らみ具合からして羊毛か…夜になっても…」
咸陽の大学院に穏便ではない報せが届けられてから数時間後、その送り手である白漂は船内にある自室から行き交う船を見やっていた。
長江と黄河を支流を介してだが運河で繋ぎ、華北と華南の物流に大きな革命が起きている変化を白漂の目は鋭敏に捉えていたのだ。
(…牛馬による荷駄と水運では運べる物量に大きな差がある。この世界での地形に大きく助けられた面が強いが…、この時代で黄河と長江を直に船で行き来できるようになったのは本当に大きいな。道中にある形になった旧趙西部の再調整にも大きく役立つか…)
「…あむ❤️ あの……先程からこちらにも皆さんにも向かずにずっと窓ばかりですけど…何かご不満でも…❓」
そのシリアスな顔で窓から見える水面とその上を浮かぶ船に思考を深めている白漂だが、その寝台に腰かけている下半身から艶を帯びつつも不安も混ざる声が昇ってきた。
「…ん、あーいやー、単に考え事だよ…」
「…っ…その多くから求められている御身でこんな状況とはいえ…もしかして他の子の事を…❓」
それに少し気まずくなった白漂が視線を下ろすと、彼の足の間に生まれたままの姿の姫昭がその薄桃色の唇と豊満な美乳で雄々しい男根に愛撫を施していたが、声音にやや寂しさの色を浮かべてしまう。
「そうじゃなくて、あの運河で繋がった水運で…君の地元も含めて秦がこれからどうなるかという予想でね…いで!?」
「夜のお仕事の合間にも昼のお仕事を考える余裕があるのならこっちに集中してね」
その不安を鎮めようとした白漂だが、彼の真横から姫昭のものほどではないが十分な質量をもつ美乳を寄せてきていた紅華がジト目を添えて、その陰嚢を強めに握ってきた。
今現在、白漂達は激戦期を除いて夜の通常業務である子作りにいつも通り取り組んでいる最中であった。
但し、今の彼女達が乗り込んでいる西遊船団の稼ぎ頭筆頭で知人である貂蝉の不在及びその理由もあって、今この場で唯一の雄でその原因である白漂に対する雌としての渇望は平時より増していた。
「一族の数が少ないことやこれから鼠算式みたいに増加する友好関係を結ばなくちゃいけない部族やら土豪がいるから仕方ないけどほどほどにしてね。疲れて寝すぎたところを隙有りとずばって殺られたら意味がないから」
「何を言ってるんですか。もう一人を除いてここにいる全員にいつも通り種を下さった後で」
「しかも減精丹使ってる激戦の陣中と違って今は避妊無しですから、朔方城に戻って先生達に体を診て貰ったらどれくらい机仕事に回らないといけなくなるか…」
その凡夫では人生全ての運を使っても巡り合えない極楽を白漂は味わいつつも小言を言うが、その背に胸を押し付けている王京と杏橋は呆れと蕩けが混じった表情を浮かべて、その足の付け根よりこってりとした白濁の雫を溢れさせて寝台を汚していた。
「そう言えば今晩中出し済みの面子の中で一番最後は誰だっけ?」
「あ、この子ですねぇ…あ❤️ 私にもあれだけ注いだ後でまだここはこんなに…❤️」
「うひぁあ❣❓」
「その直前である君のこの感じなら姫昭が貰った後も三人くらいは二週目を楽しめそうだな❤️」
「…ああ❣❓」
白漂の足に頭を預けているレヴィが何となく呟いたその問いに、ハイルが答えながら同じピンク色の髪をしているホノカの子種汁が零れ出ている淫裂に舌を這わせて甘い悲鳴を上げさせるも、その彼女も藍蘭に自身の足の付け根に指を差し込まれて仰け反ってしまう。
「…あ、あの白漂様…お疲れなら…私は次でいいですから…あ❤️」
周囲から上がる猥談に姫昭は情欲を煽られつつもその真面目で謙虚な性格から遠慮を口にするが、白漂にその身を抱き上げられて寝台の上に四つ足を付かされてその豊満且つ形のいい美尻をまた愛しく逞しい手に掴まれてしまう。
「君にもあげてからの方がより深く眠れて疲れが取れそうだから受け取ってもらうよ…ん!」
「は、白漂様…そんな…無茶をされなくても…あぁ❣❓」
遠慮の言葉で却って火付けになったらしい白漂は更に獲物を貪ろうとする肉食獣の笑みで姫昭の綺麗な背筋を眺めつつ、愛欲の高まりを覚えつつもなお譲ろうとする姫昭のパクパクと開いた淫裂に男根を捻じ込んで彼女に悲鳴を上げさせた。
「はいはい、だったら早く終わらせないとね。姫昭さん…ん❣」
「そ…そ、そんなこの人の前でぇ…あむ❣❓」
そうして背後から襲い掛かる快楽の衝車攻撃に揺れる姫昭の上体を、嫉妬も混じる嗜虐心を含んだ笑みを浮かべた紅華が抱き上げて、互いの胸を押し付け合いながら彼女のだらしなく開いた唇に自身のそれを被せて舌を交わらせ始めた。
「…ああ❤️ 姫昭さんったらまた綺麗な肌に玉のような汗が…❤️」
「ふふ♪ 足の方もひくひくして…揉んであげましょ♪」
「ふアアアァアアァ❣❓」
それを契機にもう既に種を胎内に貰って身を休めていた他の美女達も愛撫に加わり、姫昭の柔肌に主との閨で仕込まれてきた性技を沁み込ませ始めて彼女の嬌声を強めさせた。
「…っっ!! 」
「あああアアアアアアアアァアア❣❓」
快楽の集中砲火で激しく蠢き続ける胎内の包囲殲滅をしばし甘く楽しんだ後、白漂は幾度目になるかわからない、爆ぜるような白濁の噴火を突き上げて、姫昭と共に数えきれないのに飽きる気配のない極みによる意識が白く染まりし世界へ登り詰めた。
次回も、将来の家族計画も兼ねた、他家との夜の営み形式での話し合いが混じります。