○秦始皇9年(紀元前238年) 中華中央部 韓国西部 広西近隣街道○
「…はっはっは、まさかこの齢になってまさか韓へ遠征ではなく援軍で再び入ることになるとはの~。白起様の時もいつどんなのが起きるかわからんかったがその血はしっかと流れておったわけじゃなー」
「そのおかげで俺らはいつ敵になるかわからん連中への加勢に行かねばならんくなったんだろ」
韓西部国境防衛の要所広西で合流して韓の南部へ進んでいる騰・白漂連合軍の行軍の中で、懐かしそうな顔を上げる白漂軍第三将里甲に騰軍第一将録嗚未は毒づいていた。
「…いやねー里甲、もう年末で来年の正月の挨拶の準備のために咸陽へ来てたからって、よく北へ帰らずにこのままこっちへ加勢に来たねー」
「ほっほっほ、この齢になるとこの時期の北の寒さは身に応えますからな~」
「ンフフフフ、年老いてもやんちゃなご老人には困ったものです…おや、鳩が…」
里甲を挟んで秦からの韓救援軍の主将と副将が軽い感じのおしゃべりを楽しんでいると、白漂の肩に伝書鳩が止まった。
「…えーっと何々、韓の楚王見舞い使節団護衛をしていた韓第三将冬史が別経路で什虎に戻り、そこの司令官を引き継ぎ、それで自由になった博王谷が韓中央へ帰還して洛亜完の副将に着任…“韓からの双凶星”がそろって対楚防衛線へ参戦か…」
「ほう、あの二人が再びそろって大戦へ復帰ですか」
その伝書鳩が届けた最新の情報に、秦の大将軍二名が興味を強めあった。
「韓からの双凶星? なんじゃそりゃ? 知ってるのか?」
「俺が知るか」
「もう少し武力以外も学べ信に録嗚未、これから一時とはいえ共に肩を並べて戦う友軍の主将だぞ」
そこで話に追いつけていない同僚と後輩に呆れ顔を浮かべた騰軍参謀の隆国が説明し始める。
今から二、三十年前の頃、秦と三晋は同盟関係が目まぐるしく変わる激しい戦いにあった。
当時は秦六将に趙三大天や魏火龍七師と他は名将達が揃っている状況もあり、最も国力が小さい韓が倒れるというのが当時の概ねの見方だった。
だが、現実は魏の火龍筆頭たる呉慶の侵攻を撃退し、趙三大天廉頗率いる趙軍も返り討ちにし、その姿を見て秦六将筆頭白起も韓中枢への攻撃を中断しそこと上党の分断侵攻へ戦略を切り替えた。
その当時だれも予想しなかった韓軍の活躍で耳を疑う獅子奮迅の働きをしたのが、当時二十歳かそこらの千人将になったばかりの洛亜完と博王谷であったという。
彗星の如く現れた二人は魏趙両国の将校を大勢討ち続けてその侵攻を何度も破り、両国から国に災いをなした“凶星”と畏怖され、瞬く間の勢いで韓を代表する将軍になった。
「…あの時に列国のどの他の将軍よりも名を輝かせていた二人には、今は亡き殿もいつかは相まみえたいと楽しみにしておいでだった」
「ですけど結局は韓が大戦を続けられる体力を保てなかったのでその日は来ずじまいになったと…」
「その通り、その後の韓は大戦と言えば我が国が受けた二度の合従軍の時を除けばほとんど出ず、その時の戦いにも二人は参戦しなかったので活躍の場を失った」
「…なるほどねー、今回のはかつてと今それぞれの若き天才同士での試し合いにもなるっつーわけか…」
そこまで話を聞いて録嗚未が面白そうに値踏みする顔で白漂を見やる。
「…だがしかし、まだこちらも聞いてない情報をここまで早く知るとは、さすが―――」
「あーいや、こっちがすごいというかー…この今の秦で流行っている“新聞”でこっちの地盤である北涼で部数が伸びていて今さっき鳩で届けられてきた“北秦新報”の昨日のものに載っているからー…」
「―――あってズコーーーー!!??」
「隆国が鐙ごと引きちぎる勢いでズッコケて馬上から落ちたー!?」
だが、その賞賛も混じる注目はその浴びている当人の口からシレっと出た内情で打ち砕かれた。
「…なな何で軍よりも早く民間がそんな機密ものの情報を入手しているのだ!?」
「いやーこの新聞って妻たちの実家の若衆が始めたんだけど、その実家の商売の伝手があちこちにめっちゃ広がってて勝手にあちこちから情報が出入りしてくるからさー。それ使った新しい商売しようぜって始めたらしくてー…どうせこれくらい各国の諜報部とかはもう知ってる頃合いだし…」
「開き直んじゃねえ!」
そのまま剣幕と語気を強めた隆国と録嗚未が上下関係を顧みずに詰め寄りだす。
「ココココ、それでしたらこちら側の若い天才の身として、今回の敵側のそれの詳しいお話は入手出来ていますか?」
そんな部下たちもお茶目なものを見る調子で、騰は亡き主君王騎の物まねをしながら今回における最大の懸念を問う。
「…そうですねぇ。もしも、彼女が男か…この中華が女性でも王になれる世情なら…中華は長江の民が飲み込んでいたでしょう」
「「「「「…!!??」」」」」
それに対し白漂が戦場で真剣に臨む時の雰囲気で口にしたその内容に、周囲の大半が無言だが少なからず震撼した。
○中華中央部 韓国南部 某山城○
「ほほほ報告ー! もう既に此度の楚軍は我が城まで侵攻してきた模様ー!」
「何だとぉ!? ここに来るまでの途中には吾勘と漫奈の二城があったはず! ここまで来るにはあそこを通らねばならんのにどうやって…!?」
「どうやらその二城はもう落とされてしまったようです!」
援軍である秦軍の中枢でそんなやり取りがされていた頃、侵略を受けている最中な韓の最前線となっている南部のその城は恐慌を起こしてもおかしくない状態にあった。
「更なる報告ー! 楚軍はもう大量の筏を作ってわが軍の水道がある西側を攻撃する構えの模様です!」
「そんな馬鹿な!? 複雑な崖と竹林で隠してあるあそこをもう見つけたと…!?」
「城主様! 水を失えばこの城は三日と保てませんぞ!」
「う、うむ…そうじゃ…まずは西側に増援を出さねばー…」
今もその攻められている最中の韓側の城は怯えを隠せない様子ながら普通の対処を決めて直ちに動いた。
だが、それが悪手となってしまう。
「…う、うわ! 楚軍がものすごい数の筏で攻めてきて…げほ! 風上から大量の煙を焚いてきて目がいてぇ!」
「怯むなぁ! 連中は全員が盾を持っているというわけではない! 矢を射かけて接される前に削れるだけ削るのだぁ!」
煙に紛れて近づきつつある大部隊に韓側は驚きつつも懸命に反撃を開始し、煙で姿の詳細は見えないが多くの矢を降り注がせていく。
「…よし! もうそろそろ煙が晴れてくるぞー…お??」
そうしてしばらくの矢の打ち合いの果てに煙が晴れていくと、韓側が目にしたのは拍子抜けさせられる光景だった。
「…か、案山子??」
大量の筏に乗せられていたのは、楚の鎧や兜を着せられて旗を付けられた案山子の群れであった。
「…ほほほ報告ー! 反対側の東の茂みより別の楚の大部隊が攻めてきましたー! このままだと城門を破られますー!」
「しまった! こいつは囮だ! 直ちに東側に迎えー!」
そして、韓側の防衛隊はその理由に報告で勘づくと直ちに大勢が東壁から反対側へ大勢向かいだした。
「…よし、この時期の水は冷たいが…耐えた甲斐があったな…」
それを筏の周囲を漂う大量の水草の隙間より、楚兵達が顔を水面より突き出してほくそ笑んだ。
その数十分後、西側の韓兵達が見張りだけを残して意識が希薄となった時、筏や水草の下に潜り込んで近づいてきた楚兵達が毒矢でその数名の見張りを射殺した。
隣接する南壁や北壁の将兵達が気付いた頃には、東壁の上は楚兵達によって占拠されてしまっており、そこから落城にはさほど時間は掛からなかった。
「報告ー! 本日最後の高南城も陥落させた模様ですー!」
「…
楚軍の本陣にも落城の報せは即座に伝わり、春申君は将として感心しつつも政治家としては警戒を隠せない複雑な表情を浮かべる。
「…もっとも、儂らが褒めてもあ奴は半分苦い想いだろうが…それでも嬉しいのが父親というものよ…」
それに此度の楚の大親征の総大将である、楚王はその実質的な指揮を執る紅剡の成長していく実力とその存在の影響力へ王としての警戒と、それ以上に親としての複雑な憂いと期待を浮かばせていた。
○中華中央部 韓国 王都新鄭○
「…報告ー! 高南城まで本日中に攻め落とされた模様ですー!」
「何だとぉ!? 侵攻が始まってまだこれくらいしか経っていないのに…!?」
「楚の“紅水公主”は陸でもここまで…!?」
数時間後、夕方になった韓の王都にもその南部からの報せは届けられており、場に張りつめている緊張はますます強まっていっていた。
「各々方御冷静に。残酷な言い方ですが現時点で落城した城は全て小規模な城で奪還は難しくはありません。楚軍の速度は予定よりも一段早いですが戦略としてみれば予定通りです」
「「「「「!!??」」」」」
その中でも韓において冷静沈着な文武両道の将として名高い洛亜完は動じる気配を見せておらず、それに張氏も同意を見せる。
「左様。此度の楚の侵攻は大軍を動かせる間に我が国を征服することを目的としたもの。更に、遠くない次の楚王の時代にその有力な後見人になることを期待されている紅剡に武功を立てさせることで将来の反対を抑えて次代の安定化も目的としている。それ故に楚軍は占領地では乱暴な振る舞いは出来ず、広がるそれらの地の安定化のために兵力も相応に分散させて、決戦における本軍の戦力も反比例で削らねばならぬ状況だ」
「…う、うむ!」
「たしかに…それが我が国の防衛戦略の基本だ…!」
この場で最も軍事に高い能力を持つ二人の意見に周囲の多くが安堵と自信を強める中、一人まだその状況を受け入れ切れていないものが声を上げる。
「お待ちください! それでは…高南城を始めとした南の民を侵略者の虜囚にするというのですか!?」
「うがった見方をすれば確かにそうです。但し、
「しかし…容易い話では…」
「寧よ落ち着け」
その荒くなる一方の反対を父の韓王が窘める。
「お前が生まれる前より韓は…建国の時からそうやって生き延びてきたのだ。小国は失うことに耐える“勇気”と失ってはならぬものを見抜いて力を上手く使い取り戻せる好機を作り見逃さない“智慧”が必要なのだ」
「…父上」
「幸いなことに、楚軍が南部から新鄭に向かうには南部中央に位置する要所“南原”を通らねば行けません。無論、そのことを踏まえて南原一帯には強固な城を多数構えており、先に第二将博王谷が着任して守備を強化済です」
「おお、さすが…!」
「だ、だが…これではあまりに楚軍との前線が早い内に狭まりすぎる! これでは奴らの戦力を分散しきれんうちに決戦に入らねば行かなくなるのではないか!?」
「そうだとすると我らだけでは南原における要所を全て守り切るなど出来んぞ!」
韓寧が窘められている間も軍議は進むが、希望と同時に不安要素も多く見えてきて場は再び緊張を増していく。
「…その点なら今回は秦と同盟を盗んでいてよかったというべきでしょう。すでに今回の秦からの援軍の副将となっているあの男がもう…」
「「「「「…!!??」」」」」
そこで洛亜完が少し目を細めた表情で口にした名と指さした地点に、韓の朝廷は別の警戒も猛烈に抱きだした。
○中華中央部 韓国西南部 北江園○
韓の朝廷における軍議より数日後、韓の楚との国境にも近いその街道は、そこを行進しているある軍によって大きな地響きと土煙が立ち昇っていた。
「…おい! ずいぶん騰軍と距離が空けているけど大丈夫か!?」
「い、いや…騰軍も十分速いけどこの軍が速すぎるだけかと…!?」
その一員である蒙恬も少し不安を覚え、後続している騰軍からの派遣将兵も驚嘆しているその速すぎる行進を見せているその軍は、秦軍最速で中華全体でも首位を争う機動力を持つ白漂軍である。
「そうかぁ? こんなの
「いや信! 中華からしてそれはおかしい! それと冬に入っているし雪も少しだけど例年より早く降りだしているし! 普通はもっと身の動きも遅くな…!?」
そんな状況に白漂軍所属と普段は別の軍所属の者たちの間でのギャップが表面化するが、そこで彼らの目に山林の斜面を包む茂みから騎兵の小隊が飛び出て彼らの間を駆け抜けた。
「紅華! 戻ってきたか! 楚は…彼女は何処まで?」
「…それが…」
「…マジか…」
その正体を率いている自分の側近の一人である紅華に白漂はすぐに馬を走らせながら近づけて彼女の報告を聞くが、白漂の目がスっと細くなる。
「…な!? もう楚軍がそこまで来てるのかよ!?」
「いや、俺個人としては彼女があれくらいの数であそこまでもう見に行ってきたのが不思議なんだけど―――」
「今この五割増しで更に飛ばして予定地へ向かうぞ!」
「―――おってええぇ!?」
その報告で白漂軍から立ち昇る土煙と地響きは、外様系の悲鳴を少し交えつつさらに増していった。
○中華中央部 韓国南部 南原平原 南原城○
「…博王谷様! こちらが抑えているここ及び連動している南奉城の防備も固め終えています!」
「洛亜完様も予定通りに南奉城に入られるとのこと!」
「ああ、こちらからも見えている」
白漂軍の速度が上がって数日後、韓にとっての決戦の地である南原の地に入った同国第二将博王谷は、自分が守るその城の望楼に上ってこれから戦場となるこの地を見まわしていた。
この世界の韓南部で相当面積を占める南原平原は、広大だが土は砂利が多い荒れ地という肥沃な中原に位置する同国では珍しい地で、そのほかも幾つかの山を中心に生えて広がっている森で占められており、その合間を縫うように韓南部から新鄭王都圏を繋ぐ道が何本か伸びていた。
「…問題は、こちらとこの戦場での両翼を担う位置にある荒巌山だが…」
「は、早々にも予想外なことが悪くない意味でもう起きておりますな…」
博王谷が見据えるその大きな岩山が突き出て周囲を森に囲まれているその要所は、韓兵とは別の喧騒が立ち昇っていた。
「…長江水軍が物資を届けられましたー!」
「おい! そっちの望楼はもっと左だ!」
「井戸と水源の位置は一つ残らず把握しろよー!」
そこは一昨日に到着した白漂軍が布陣しており、更に韓との同盟や同国の什虎方面拡張で通れるようになった支流を介して、秦の水軍も自由に行き来しており、猛烈な勢いで堀を掘ってその土で土塁を築いて罠を巡らせて土城化を猛烈に進めていた。
「は、白起も戦場で築城を鬼みたいな速度と堅さで何度もしてのけましたが…その孫というのは伊達ではありませんな…」
「一昨日にもう到着した時も驚きましたな…」
「…ああ、色々と常識があるのかと疑わせる男であったな…」
その光景に頑固で愚直な性格なのが顔で分かる博王谷の脳裏に、一昨日における秦第三将白漂との出会いが思い浮かばされる。
『初めまして博王谷将軍。初めて顔を合わせた場面で失礼しますけどもう寝ますね。もう明日からさっそくあの岩山の防御強化に入らないといけないんでそれに備えて少しでも体力回復させないといけないんで』
自分との会見の場で白漂は馬から降りて早口でそう言った数秒後、バタンとぶっ倒れてそのまますぐ寝息を立て始めたのである。
『あ、申し訳ありません博王谷将軍。本当に向こうを負かすための準備を早く進めるためにこの人は急いでてー…起きたら本当にきつく言っておきますのでー…ささ! 皆で向こうの目につかないところへこの馬鹿な人を運びましょう!』
その直後、その正室で側近の一人という紅華と言う女将校を始めとした側近達が、唖然とする韓側の前でズルズルと白漂をズルズルと輸送車まで運んで荒巌山へ移動していった。
「祖父も道理が頭にあるのか疑う男だったが…だ、大丈夫なのかあの男が援軍の副将で…!?」
「…あの男が愚人かそれを装った狐のどちらであろうと、この戦の主導権を握るのは故郷を守る我ら韓軍だ」
「は、その通りです!」
一昨日のその場面に韓側は得体のしれないものに対するのも含めた不安を覚えつつ、自分達の持ち場の更なる防備強化に取り組みなおした。
○中華中央部 韓国南部 南原平原 荒巌山○
「…あ、この落とし穴だけど中に仕込む竹やりはこれの半分くらいにした方が良いよ。その方が上手く即死できずに深手を負わせるにとどめて敵の身内の足を引っ張らせやすくなるからね」
「は、はい!」
「こちらは騰軍管轄下の予定だから向こうの戦い方からして三番地区の罠は今仕掛けているものの半分でいい。残りのものは未完成の十二番地区に仕掛けなおして」
「かしこまりました」
「…ほう、この茂みから飛び出すこれ…面白そうだね。ならこっちの部分をこうすればー…」
「良いですねそれ!」
日が沈んでからも白漂軍は交代で担当している要所の要塞化を急ピッチで進めており、その中で白漂は普段の机仕事と違ってアドバイス主体の味方のやる気や興味を後押しする形だが熱心に進めていた。
「…何か時折嬉々とした感じも交えてあなたが仕事を真面目にしていると、それだけ状況の内実のやばさが嫌でもわかってくるわね…」
「まあ、夫としての感情は別として…韓へ入って早々に君には一番その森の中での機動力の高さを生かせる小隊規模で、先に楚軍の偵察に出向いてもらったほどだしね…」
数時間後、自分のゲルに戻った白漂を出迎えたのは、彼の側近の一人である四千人将*1で正室でもある紅華の夜食の準備をしている姿であったが、その右耳には絆創膏が張られていた。
「…あの紅剡と言う人…楚の都でもあの赤い髪とか同じ女の私から見てもほれぼれするくらい綺麗だったけど…、まさか山中を上手く隠れながら進んで今回の楚の本隊を見つけた時に、一里くらい離れてる森の中に隠れてたこっちに面白そうな顔を向けて投げ槍してきた時は死ぬかと思ったわ…あなたみたいに人間兵器みたいな人って他にもいたのね…」
「一里くらい離れた薄暗い森の中で人の顔を見抜けたり、森の中の行軍でそのくらいの傷で部下全員連れて逃げ切った君も十分に凄いと思うけどね…あ」
お互い久しぶりに二人きりの時間になれた二人の身は自然と触れ合った。
「…じゃあ、あれだけの行進の後でも一日寝ただけでここまで回復できるあなたなら、今回の夫から妻達へのお礼もね❤️」
「もちろん、君に求められたのなら断れる理由なんて…」
二人の身は久しぶりに訪れてきた大戦の気配を鋭敏に感じ取り、お互いの淫熱を感じ合って更に高めあっていく。
「ああ、兵力はそんな回せない代わりに物資や装備で北の地元の豊かになってる皆から融通利かせてもらってるから、後方支援要員枠で来てるそうした家の子達にも陵の弟や妹になる胤を持ち帰らせてあげてね。私達の分も回しながら」
「君たちさ、やっぱりさりげなく僕を戦死させようとしてない?」
その間にもこの時代で出世している身からきている地味に笑えないジョークに、夫は苦い笑みを、妻はやや目元が暗い笑みを互いに向けあったりもした。
次回、今回ので出せなかった大人向け要素を出しつつも合間にて地味に大事な話が出てくる予定になっています。