○秦始皇10年(紀元前237年) 元陽暦1年1月9日正午 中華西部 秦国北部 涼湖郡 涼湖(テングリ湖)中南部 エルデネット島 仮設港○
「…マダル村から買い付けた馬鈴薯届きましたー」
『畑仕事をしていたなら南に平定したばかりでまだ空きがあるタドンの方で干拓事業始まっているから、あちらの船に乗ればいけるぞー』
白漂が昔から世話になった貴婦人と久々の夜の話し合いをした晩が明けて次の日、日が最も高くなった頃合いには涼湖湖岸の各所はまた活気が立ち昇っていた。
「文官武官庶民人種問わず皆がすごく忙しくなっていますね」
「それはまぁ人口密度が薄いとは言っても総人口は魏や韓以上で広さは中原がすっぽり入る言葉も文化も違う土地が入ったんだから。皆が失敗しないように必死になっているわよ。ここが上手くいくか行かないかで今後の秦の出だしは決まるし…」
その湖岸の一角に設けられた港の一角を紅華ら白漂の妻達は机仕事主体で出歩いていた。
(…そう、今年に秦の国内どう纏まるかが…それで韓も含めた他国の安全保障は大きく変わる。韓は今でこそ同盟を結んでいるけどいつまで続くかわからないにせよこちらから破れる状況にはない。だからこの北部再編と開発の力が韓には向けられないようにしつつ、その利益になるようにも誘導してー…他にもここのこの作業が長引いて秦が他国…特に韓に外征へ向ける余裕が出来ないようにしないとー…!?)
その面子に混じって作業しながら王元姫は周囲の様子とこれまで接してきた情報を脳内で整理していたが、その真横を怪しい不審者達が走り抜けたのに気付く。
「湖岸北部の様子は?」
「は、北岸の方は最も激しく大規模な抵抗をしていた連中の本拠があって、秦兵だけでなく既に恭順していた村や種族まで襲っていたのでー、粛尤と熔嗣棘を同時に投入したことでその中核は全滅、生き残りは恐怖して粗方降伏済みでそれらは別の監視がしやすい地へ再住させているところでー…」
「そうか、じゃー粛尤は北岸の方にその要としておいてその軍と挟み撃ちにする形で僕たちも北上して残りの勢力を一気に片付けていくとして、熔嗣棘は早めにこちらに戻してー…」
その怪しい人物が向かっている先には、涼湖の各島を行き来する船へ乗り込もうとしている白漂と郭備の姿があったが、その姿を見やると不審者達は匕首を取り出して襲い掛かった。
「っ! 危ない!」
「ぎゃあ!?」
「ぐぇ!」
「白漂死ね…えぐぅ!?」
それに驚いた王元姫は即座に懐から鏢を取り出して投げつけて何名か仕留めるが、他の竜騎は慣れからか特に驚いた素振りを見せずに素手で返り討ちにして生け捕りにした。
「く、くそぉ! またしても無理かぁ! ならば貴様の身内を一人だけでもぉ!」
それを目にして他の潜伏していた不審者の仲間は王元姫に襲い掛かった。
「ちょ!? まさかそんな―――!」
「伏せな」
「あーちょっと頭を下げなさい」
「ぶべぇ!?」
「―――あ…え?」
王元姫はその男にも鏢を投げつけようとするが、そこで紅華に頭を押し下げられると、頭上を大きい米俵が豪速で通り過ぎて最後の一人を叩き飛ばした。
「ちーっす、大姐さんお久しぶりーっす」
「あ、レキシントン」
「…え、その名前は確かー…ってうわぁ!?」
その米俵をぶん投げてきた人物の名に王元姫は聞き覚えがあったが、背後を振り返ってその人物を見やるや驚きで仰け反った。
レキシントンは赤黒い肌で緑色の瞳を中心とする面貌は地こそ整ってはいたが中性的且つ猛獣を思わせる雰囲気が強く、何より全体としては細身に見える濃縮されてはいるが筋骨隆々としているその232センチの巨躯は、初めて見るものには威圧感を覚えさせるには十分過ぎた。
「今日も力仕事? 身重なんだからもう少し内向きの仕事でもしたら?」
「いや紅大姐さん…俺の頭で出来る机仕事なんてほとんどないし…槍働きしか能がない俺が動かずにいたら体がどんどん弱くなってー…価値なんてなくなるしー…」
「(…は、話には聞いてたけど…で、デカすぎる…は、はっきり言って頭身はヨコヨコ様よりも頭一つ分くらいは高いんじゃ…)あ、あなたがー…レ、レキシントン殿…う、噂以上にそこらの男など話にならない武勇が肌で感じ取れますね…え? 身重…?」
どうにか持ち直した王元姫は挨拶を交わすが、先ほど紅華が口にしたその単語とレキシントンの男物衣装越しでもわかる膨らんだ下腹部がやけに意識に引っかかった。
「あ、ちょっとレキシントン、あなたの背負っている米俵にまた私達の子が張り付いてる」
「え!? マジ!?」
「うわ! ばれた!?」
そんな王元姫の引っかかりより、二人はまた自分達の男の種の自由奔放さに頭を痛めだす。
「…ま、街の賑わいが気にな…ではなくて―…お、弟か妹…その子を宿しているレキシントン殿がー…仕事とはいえー出歩いてるのはー心配でー…痛い!」
「あーもーまだ今年で三才にしかならないあなたがそんな心配しなくていいからねー。まだ皆が疲れずに見張って守れるところに戻って他の子達と遊んだり勉強してねー」
母の目にあっさりばれた白陵は他所の方向を向きながら三歳児にしては成長の早さを感じさせる言い訳をするが、母親の耳は誤魔化せず耳を掴まれて引き戻されてしまう。
「(…あ、あれが白漂の…あの人のご長男で嫡男の…歳に似合わない聡明というのは聞いたけど…三才児でもうあそこまでなんて…、私も何れはあの人の子を産むけど…韓に良いのは私から生まれた息子を嫡男とすることだけど…子供から見ても容易ではなさそ…)…え? 弟と妹?」
その光景に王元姫はこの時代の政略結婚では至極真っ当(?)な思惑に囚われかけるが、先ほど出たその単語とレキシントンの下腹部が妙に重なって見せた。
「…えーーっと……そのー…あなたのその腹にいる子ってー…父親はー…?」
「…あ、い…いやーーー…俺のはさー…本当にー…運というかー…偶々というかさー…自分でも今でも信じられないけどさー…そのー…」
問われたレキシントンはその赤黒い肌でもわかるレベルで顔を赤くして言葉がたどたどしくなるが、ゆっくりと自分に宿っている子の父親を指し示す。
「…それで大店用の土地の各配分ですけどー…」
「香商会はこの島のあちらでー…」
「典当*1業のヘデュム様ですがー西岸の向こう側にあるー…」
そこには協力者や支援者と共に安定した土地の復興事業やそれに伴う土地の配分の調整を進めている白漂の姿があった。
(…いくら何でも守備範囲広すぎでしょ!?)
女の勘で自分が嫁いだ男の嫡男と自分の今の傍にいる女傑の腹に宿る新たな命が同じ種であることに気付き、王元姫は言葉を忘れるまで愕然とした。
「お母さまー、只今です」
「お帰り、元気にしていた?」
「はい! 魏亶様の授業とても面白かったのでずっと机にいました!」
数十分後、白漂一家の今現在の居住地である大型ゲル集合地に、土地の配分の調整会議に参加していた孶眤夫人がこちらに預けていた娘を迎えに来ていた。
「あらそう、私達はここから別の土地に向かうけどーここにしばらく留まる陵君達とも仲が良くなっているから寂しくはない?」
「大丈夫です! ただー、一つ気になることがあってー…この前の夜に綺麗な星空を見ようと外へ出ていた時ー…お母様と白漂様が裸で抱き合ってて変なうめき声を上げてたのってなんでー…!?」
「アアアアあれは大人の夜の話し合いよ! それも子供にはまだ話せない類のものだからあなたはまだ気にしなくていいからね! それと喋ったりしちゃだめよ!」
そこで預けていた娘の純粋な好奇心からの疑問に孶眤夫人が本気で動揺して口を塞いだりはしたが、特に目立った変化はなかった。
「…あのー紅華様、無下には扱えないというのはわかりますがー…正直に手を広げ過ぎではー? それも白漂様にあまり負担をかけ過ぎのような気がー…?」
そこで王元姫が政治的な思惑からではなくて心配からその言葉を出すが、紅華は難しそうな顔を返した。
「…あの人の負担は体力とかそういうのはあまり心配はいらないと思うけど、如何せんにあの人の血族が少ないのが問題なのよ。それに…龍城で見たあの目を考えると…、いやな言い方だけど実子という保険…というより安全装置はなるべく多めに早くから用意しておきたい…。せめて親とか真正面からきちんと叱れる人が一人でもいたら良かったんだけど…。ご両親の方はあの人がまだ子供の内に戦死したし…」
それは大将軍の正室という立場から出た憂慮だったが、思わぬ方向へと向かってしまうことになる。
「…え? たしかー…祖母の方が一人…秦国内で今も生存なのは確認済みですけど?」
「あれ? でも確かー…私の父が生きていた頃に密かに会われていた―…大単于ラルゴールのご側室の一人でアシェリート様のお母君と、その御父君に当たる方ー…白漂様の曽祖父に当たる方が…今も確かご存命ですが?」
「「「「「…え????」」」」」
それは王元姫と捷璘のさりげない気遣いから出た言葉だったが、紅華ら他の面々はギョッとした。
○秦始皇10年(紀元前237年) 元陽暦1年1月29日朝 中華西部 秦国中西部 郿○
「…おい、英成のおっさん…本当にこんなところに漂の爺さん…白起将軍の奥さんっつー婆さんはいんのか?」
「いや…確かにこの目で何度か見たことも会って話をしたこともある。だが、如何せんに最後に出会ったのが…白起様が死を賜った時に…、あの方が咸陽を去った時だからなぁー…」
「おい! それってもう二十年も前ってことじゃねえか! 大丈夫かそれー…!?」
王元姫と捷璘の口から地味にとんでもない爆弾発言がなされて二十日後、任務の地味な重要性から信と英成は半信半疑という表情で、主君の数少ない年長の血が繋がった親族が住んでいるというその地を、当時を知る面々と信が訪れていた。
「ん? あそこで何か一人で畑仕事をしている婆さんがいるぞ…お!?」
その秘境のような田舎でようやくポツンとした一軒家を見つけた信だが、そこで英成は明らかに落ち着きを失った様子でその前で畑仕事をしている老婆に駆け出す。
「あ、貴方様は…まさかー…!?」
「んー? 誰だい? おや、誰かと思えばー英季さんの倅の英成かい?」
「…え? これさ…まじ?」
そうして始まった老婆と英成のお互い懐かしそうなやり取りに、信はまさかという顔になった。
○秦始皇10年(紀元前237年) 元陽暦1年2月20日正午 中華西部 秦国北部 涼湖郡 涼湖(テングリ湖)中南部 エルデネット島 白家本宅○
その日、白漂達のこの新たな地でようやく完成した邸宅で、紅華達は戦場とは異なる強い緊張に支配されていた。
「…ねえ、そのさー殿様の急に見つかったという…、父方の祖母で白起様の奥さんって人とー、母君 アシェリート様のお母君とそちらの父である曽祖父というお三方ー…本当なのかしらー?」
「それにしては本物だと見ていいな。実際に当時の関係者が確認しに行ったら確かに本人だと確認されたしー…」
「でもさー、何か緊張するよねー…何か急に姑と対面することになったようでさー…」
白家の女性の多くはさして珍しくない好奇心や緊張に駆られてお喋りに興じていたが、紅華ら少数の女性達は難しそうな顔を浮かべていた。
(…漂の母アシェリート様のお母様に当たるお婆様とその父で曽祖父である人については、捷璘は先の右賢王レベロントの性格やその息女というその出自から関係があっても不思議ではないのはわかる。けれどー父方の祖母に当たる人の情報が、国内にいて何年も探していたけど見つからなくてこっちはもう自然死しただろうと結論付けられたところで、王元姫さんの口から出たというのは正直…。色々仕事が出来て隠し事はまだそこまで上手そうな子ではなかったからもう色々机仕事を回していたけど…、韓の諜報大国という面を正直侮っていたかしらー…!?)
そうした公私それぞれで軽くない緊張感が現場を漂う中、その原因というべき人物たちを乗せている船が近づいてきた。
「…只今ー、皆ー元気にー…してたみたいだね」
その船が桟橋に着くと白漂が降りてきた。
「…? 漂が…かなり悩んでる瞳をしてる…?」
「…ん? どういう意味だ…?」
久しぶりに見る夫と深い繋がり故からその異変に困惑する紅華に藍蘭ら周囲は戸惑うと、その夫の背後から二人の老婆が元気な足取りで降りてきた。
「あれまー、ずいぶん北に来ちまったもんだねー。その分に寒いけどー前の畑から持ってきた種籾はつくんかー?」
「またずいぶんと賑やかになっていってるけど…剣を身に付けるに足る子も相応にいるといいんだけど…」
最初に降りてきたのは白髪交じりだが黒髪の比率がまだまだ高くて身は加齢によるふくよかだが足取りが警戒で色々な道具を入れた篭を携えている東洋系の老婆で、続けて降りてきたのは顔の皺は目立つが水色を帯びた銀髪と同色の瞳で毅然とした面貌でスラリと背が高い老女。
「…えーっと紹介するよ。こちらの最初に降りてきた方が僕の父である白宗の母で祖父白起の妻であった豊政寧さん、それで背が高い方が母アシェリートの母で大単于ラルゴールの側室であったグーリェさん。そしてー…!?」
その老女二人を白漂が祖母として紹介したその時、三人が乗ってきた船より新たな人影が現れるがその大きさと重さに船は傾きだした。
「…それでー、グーリェお婆様の父で僕の曽祖父に当たるルディフト…単于家の剣技指南役をしていたという人です」
「…ふむ、どうもよろしく…」
最後に降りてきたその老人は顔の皺からして高齢なのはわかるが、髭を豊かに蓄えて糸目の温厚そうな面貌とは裏腹に、その筋骨隆々とした巨躯で尋常ではない濃密な老将の
「…デ、デカい…」
「ちょっとマルタ姉さん失礼ですよそれ!?」
「で、でもなんかー…あの筋骨隆々とした肉体…蒙武将軍並みでー…頭身で言えば頭一つ分くらいはもっとあるんですけど!?」
「そ、曽祖父ってことは少なくとも歳は八十以上はあるはずよね!? 顔の皺と雰囲気はともかくあの身はそんなご老人のものじゃないですよ!?」
「…ま、前の世界で世話になった…劉海王みたいな人がここにも居たとはねー…あはは…」
「康熙さん何を言ってるの?」
「な、なんというか…あたし達の旦那の常軌を逸した丈夫さの理由が分かった気がする…!?」
その初めて目の当たりにする義理の曽祖父に女性達や周囲の兵士達がビビる中、その中を小さな影がスタスタと通り抜けた。
「初めまして曽御爺様にお婆様方、白漂の嫡男の白陵です」
「「「「「!!!???」」」」」
その潜り抜けて前に出た白陵の三才児とは思えない静かに且つシャキッとした挨拶に、周囲は改めて驚いた。
「ちょっと何であの子あんだけ強者空気全開な人に近づけるの!?」
「あ、あの土壇場での度胸と外面の上手さ…あの人の長男だわ…」
「いやー…まだ子供だからそういうのがわからない可能性もあるかとー」
「い、いや! 儂の孫なんか遠目で見てるのにあんな泣きそうになってますよ!」
周囲がそれに困惑している中、ルディフトは屈むと白陵と顔を近づける。
「君のことは君の父君から聞かされている。自分にはもうもったいないことがわかっている息子だと」
「はい、あなたが僕の高祖父というは聞かされました。当時のことを知るご老人たちから貴方のお話もなるべく聞いて…」
「親は子の鏡というがその逆もまたしかりであり、また下の子は上の子を見本として育つものだ。君のような子が玄孫にいることを知れて誇りに思う。しばらくはこのままで心配は要るまい。さてと…家に帰るか」
「「「「「…え??」」」」」
そうして穏やかな玄孫と高祖父の珍しくないが短いやり取りの後、ルディフトは白陵に背を向けて船に戻ろうとする。
「ちょっと曽お爺さん、北の方でのお家及びここまでの船旅の間に安全上の理由でこっちの近くに引っ越すって約束したでしょ」
「…だ、だが…」
「あなた達にそこまで決められる筋合いはないで―…」
「グーリェ様そのようなことがまかり通せる状況ではないのはお判りでしょう。私の父と兄弟が討たれた詳細と白漂様のもう一人のお婆様の場所が知られた件からして、あのような僻地に少数で居るのは何が起きてもわからなくてどちらも危険です。幸いにもこの近くに静かな空いたばかりの小島がありますからそこに前のお家を模した屋敷を用意していますからー…」
「ジークリ…捷璘…だけど…」
「…ほー、おみゃーが白宗とあのアシェリートっつー司馬靳さんとこの世話になったあの子の息子の漂のまた息子かいな―。いい意味で儂の旦那じゃなくてぇ倅の宗とアシェリートや儂の孫に似とるのー。こっちに腰が落ち着いたらぁ儂んところの野菜を食いに来い。そんでの~ちゃんと約束を守っとるんやろうなー漂流~?」
「あーもー寧お祖母ちゃんあっちの船に乗せてあるのは何度も見てるでしょー。けれどさー行く前にせめて皆と挨拶をねー。あー二人もー…!?」
その後、白漂及び先に会って打ち合わせしていた面々が必死にあれこれ説得したことで、白家にいる面々と挨拶回りしたが、白家の面々には相手がここには居づらそうに見えた。
「…で、ここがお三方が住まれる屋敷とー…ってこれってせいぜいが田舎当たりの土豪の家にしか見えませんけど!?」
「いや、だって仕方ないでしょ…幾ら厚遇するからって言ってもむしろ嫌がるし、どうにかお互いの安全を理由に少しずつ切り込んでから元からの生活を出来るようにするって感じで何とか説得したし、実際にあの三人とはこの数日間に話をしたけど…これくらいの距離がちょうど良さそうなんだ…」
数十分後、白漂達の今の屋敷から船でその時間内に行ける小島に到着したのち、王元姫が義理の祖父母達のこの地での住まいを見て驚いていた。
「…何というか、ここまで連れてきたこともこれで本当に良かったのかという顔ね漂…」
「そうなんだよ紅華…あの三人とはー、時々会う友人とかなら良い関係を築けるとは思うけどー…近くで住みあう家族としてはー…お互いの好きになれない部分ばかり見えてきて関係が持たないという感じというかー…。まー…僕が(…どの人生でも…)親と長くいた時間が多くなかったからその辺りの付き合いがあまりわかってないのがあるかもしれないけどー…」
「…とりあえず、こちらの方で保護しやすい所まで移ってきてもらっただけでも今は良しとすべきですね…」
「そうねぇ捷璘、今はそこまで関係は良くなくても後から良くなるということはあるし…お三方もこの島での生活なら難しい顔はしてないし…」
結局、普通なら嬉しいはずの肉親の再会は、本日の白家の当人たちにとってはあまり芳しくない結果に終わった。
ちなみに、涼湖一帯の平定は白漂が祖父母達へ先に会いに行く前に、計画は彼が中心となって既に組んでいてそれを残った将兵が上手く実行したこと、涼湖一帯に残っている反乱勢力で大きなものはもう残っていなかったこととバラバラであったので、彼が迎えに行っている間に残りは全て制圧されたことから、白漂軍主力は近い内に涼湖一帯地域の外の周辺地域の安定化へ出向くことになる。
次回、秦による北涼平定は別の地が舞台になりつつ、他の地域の平定や再編の様子も出てくる予定です。