○秦始皇8年(紀元前239年) 景城防衛戦一日目夜 秦国東部 対魏国境付近 景城○
(…昼に見たあの人……いったい、何処にいるのかしら……?)
騒ぎが起きた昼も過ぎて夕空も大分黒みを増してきた時間帯で、翡翠は顔をフードで隠し付き添いも無しで城内をこそこそと歩いていた。
昼間の騒ぎの際に、遅く入場してきた信が勘で助けてくれたと感じてそのお礼を言おうと探していたのだ。
彼女が歩を進めているのは、今現在この地に集っている秦軍将校らに向けて貸し出されている官舎である。
翡翠は時々城内の侍女やもしくは軍目当ての妓女に間違われて声を掛けられつつも、上手く断って僅かな顔の情報を元に聞きながら捜し歩いていた。
(…やや年上くらいの人に見えたけど、いったいどの辺りにいるのかしら―――)
「あ…❣ ん…そこは…いぅ❣ 弱点を見つけるのがこういうところでも上手く………❣」
(―――あ、え…こ、この声ってまさか……!?)
翡翠が侍女を装いつつも区域内を進んでいると、本日何度目かの艶めいた女性の声が割り込んできた。
(…うぅ、お、男の人って何でこんな事ばかり―――)
「ちゅうううう…ぷはぁ、俺も人の事そんな言えないけど…濡れすぎだろ…」
(―――い…え!? こ、この声ってまさか…!?)
その嬌声に翡翠は甘いため息混じりにぼやくも、続けて発せられた男の声音に懐かしさを覚えて、信じたくないその声音が微かに響いてきた廊下に面したその客室の扉の隙間を息を殺して覗く。
「…はむ…ちゅううううう…ぷは…ふふふ❤️ 私の胸からでも出てくるなんてそうはいないわよー♪」
「ちゅるる…いや、お前…男は俺と前の旦那さんしか知らないだろ…かり」
(…ってあの男の人に信隊のステラ殿ーーーーーー!?)
翡翠が扉の隙間を通して目にしたものは、寝台に仰向けで寝転んだ信とその上に逆の姿勢で覆い被さって、自身の淡い金色の陰毛が茂る恥丘を舐めさせながら、既に充血している信の男根を己の豊満な美乳でフニュンと包み込んで汗と唾を潤滑油にシュッシュッと揉み上げ、潜望鏡のように覗かせている亀頭に舌を這わせているステラの痴態であった。
探していた男と昼間の閲兵式で凛々しさを覚えさせた兵の情事を見たショックで、翡翠は動きが止まって声も出せなくなってしまう。
(…う、ううう…子供の頃に教わった本の図解や…偶々見てきたよそ様のそれとは感じがぜんぜん違う……!)
身から落ち着きが失われていき、染まり続ける頬を添えた顔で翡翠は二人の情事に強く惹かれだして隙間を熱心に見通していく。
何れは自身もこうして殿方に嫁ぎ、子を産む事が半ば義務とされていた身のためでもあった。
特に、今現在それが極めて不本意な形で現実味を増していることに対する不安も却って、強く関心を持っている信への注視を強めてしまう。
「…あむ…ちゅうううう…ふふ❤️ カリ首にまで汗が染み付いてて…どうりで強い塩気がして来るわね…ああ❣❓ もう…そんな所に歯を…❣」
信はステラの幾度となく自身を飲み込んで拡張性を得つつも戦場で鍛え濃縮された身特有の狭まっている膣を、舌で舐め解して徐々に柔軟性を戻し、性感が昂ぶりつつある奥へ向けて舌先を割り込ませて変幻自在に動かして、彼女の白く美麗な背筋を仰け反らせていた。
一方、ステラの双乳も普段の重力に逆らっている美麗に整った白き豊肉を男根に纏わりつかせ、自由自在にその温かく滑らかな肌を滑らせてより充血を高めさせており、ビクビクという振るえを更に増させている。
「…もうそろそろ良さそうだな…ちゅぷ………っ!!」
「ああ…❣ もう…もうちょっと楽しんでも良かったのに…んぁああ❣」
自身の舌が最大限まで差し込めて且つ締まりも良好に保たれているのも味覚で確かめた信は、自身の口内で十分に解していた弱精丹を舌でステラの膣へ深くもぐりこませ、そのまま駅弁の姿勢で彼女を持ち上げて蓋をするように己が男根を濡れきった膣に差し込んだ。
口では不満げに苦笑しつつも、ステラの身は激戦の地から解放された愛欲にも押されて既に準備が整っており、潜り込まれた信の雄の象徴をキュウキュウと締め付けながらも速やかに奥へ導いていく。
「…んく…お前の顔を埋められるこれ…著雍に着く直前の最後の番より実った…ん!?」
ステラを太股から持ち上げて繫がっている都合上、彼女の豊かな谷間に自然と顔を埋めてしまっている信であったが、ステラがその背に回していた両腕をぐぐっと更に力を込めてより深く胸を彼に被せ、膣がグニグニと器用に動いて信の男根の硬い表面を器用になぞり這って集まっている血を暴れさせ始める。
「女の子だからって見た目褒めても喜ぶだけとは限らないわよ?」
「…あー、すまん…うお!?」
こう見えて自分の美貌を茶化される事は気に入らないステラの乳圧に信が苦い顔をした直後、そのもっとも敏感な亀頭がキュルキュルと襞肉に回転されるような圧迫を加えられて彼を呻かせた。
(こここここんな大きい棒みたいなのが女の人のあそこにこんなぁジュブジュブってめり込んでるぅぅうぅうぅ!?)
その勢いでよろけた信に押される形でステラは背を扉に押付けてしまい、二人の淫肉の繋ぎ目が扉の僅かな隙間を通して翡翠に見せ付けられ、彼女は言葉を失い今にも心音が止まりそうなパニック状態に陥ってしまう。
だが、初めて直に目にした男女の交わりに刺激された女の本能に押されて彼女の双眸はしっかと二人の交合を注視し続けていた。
「…っっっっ! はむ…ちゅううぅううぅ…!」
「あ…ああ❣ そ、そんなぁ❣ まだ出てきたりはしないは…あう❣❓」
ステラの両足を抱えて彼女の白き柔肌と相反する赤き襞肉をカリ首で描き解して甘い声を上げさせながら、信は彼女の豊満な谷間に埋めている顔を動かしてピクピクと小刻みに震えながらいきり立っている朱色の乳首を甘噛みし、その乳輪に乳を求める赤子のように吸い付き、彼女の母性本能を刺激しつつも電流を流されるような快楽を与えて仰け反りを更に深めさせる。
(…あ、あぁ姿勢を変えられて…あ、あそこが更に良く見えるように……!)
それに我が身の奥底より沸々と熱に煮た情欲が湧いて来るに従って、翡翠の両腕は無意識の内に衣服の下に這わされて胸や足の付け根をなぞり始めていく。
その矢先にステラは信と繫がったまま姿勢を変えられてその豊満な胸を扉に押付ける事になってしまい、彼の雄花を差し込まれて広がっている雌花がより翡翠に見えやすくなってしまった。
更に深さと激しさを増す交合の飛沫が、僅かな隙間を通って翡翠の顔にも降りかかるようになり、それが彼女の熱情も更に高めて拙い手淫も荒々しくさせていく。
「…はぁ、はぁ、はぁ…っ……!」
「あ❣ あ❣ あ! あぁあああぁ❣ な、中でぇ一段と膨らみと震えがぁああ❣ わ、私もおおぉおおおぉ―――❣❓」
だが、その周囲に見付かる危険性も忘却した翡翠の熱情の呻き声も、扉の隙間よりもれ出る激しい情愛の鼓動と嬌声によって掻き消され、ついにその時がやってきた。
「っっっっくぅ!!」
「―――おっああああぁああぁーーーーーーーーーーーーーー❣❣」
「むぎゃ!?」
信の腰が最大限の速度と深度で突き出された瞬間、ステラは自身の身が杭打ちされたような衝撃とそこから染み渡っていく稲妻のような甘さに喉から悲鳴じみた嬌声を振り出させられ、その勢いで突き出された片手は扉を勢い良く開いて翡翠を鼻っ面から叩き飛ばして後ろの手摺に突き飛ばした。
「………………あ…ぁ…ぁ…はぁぁああぁぁああぁぁ……ああ❤️ これだけ出てるのに…まだこんなにカチカチで…あ、また形がわかり出して来て…あら…❓」
「っっっっ~~~~~~~~…!」
脳を焼ききり意識が真っ白に染め上がった極みもしばしして高みから落ち着き、快楽以外にはぼやけていた我が身の感覚も戻ってきたステラはまだまだ飽き足りない自身と信の肉欲に微笑むが、そこで鼻と後頭部を押さえながら悶え苦しんでいる翡翠の姿を見つけた。
「ちょっと翡翠様ー何処に居られるんですかーーー………!?」
何やら翡翠と知り合いらしい気が強そうで恰幅のある中年女性達が駆けつけてきたのは、まさにその時であった。
○秦始皇8年(紀元前239年) 景城防衛戦二日目朝 秦国東部 対魏国境付近 景城○
野営地設営も終えて予定していた全隊が着き終えて、日も高くなり出して落ち着きが戻った景城の城内の一角で翡翠は立ち止まっていた。
「翡翠様、お待たせしました」
そこで灰色基調の動きやすい男装で身を固めた玲花が現れた。
彼女は昨日にこの場の指揮を取る秦軍将軍より翡翠の護衛を命じられ、既に自己紹介をし終えている身であった。
「あ、いえいえ私もついさっき着いたばかりなので問題は…?」
この時代の男性と比較してもスラリと高い長躯に整った面貌を持つ玲花は周囲の目を集めるが、翡翠は彼女よりもその斜め後ろに立つ青年が気に掛かった。
青基調の動きやすいが品のある衣装を纏っていてしっかり化粧で整えられてこれまた女性の目を集めているが、当の本人はそうした衣装に慣れていないのかよく身を揺すっていた。
「え、えーーーっとその方はどちら様でしょうか…?」
「え、昨日会ったろ。信だ」
「!!!!???」
故に、その正体を知った途端に翡翠は昨晩の初めて直視した男女の交わりに匹敵する衝撃を受けて無言の絶句をした。
「…え…え…あ、あ、あなたが…昨晩にステラさんと肌を重ねてたあの………!!?」
昨晩の大きく欲情した薄毛の猿を思わせる信の姿と今とのあまりのギャップに、翡翠は白漂前世で言う某リフォーム番組の依頼者の如き心境に叩き込まれた。
「普段の格好と本人の美的感覚が余りにあれなので、本日の野営地案内には不適と判断しまして私が化粧直ししました。本人も非番でやる事といえば鍛錬しかなかったので…」
驚く周囲に対し玲花は少し自慢げに語る。
「あ、あの変態にしか見えなかったあの坊主がこんなに様変わりするなんて…」
「うげ、あんた確か昨日に俺のナニを切り飛ばそうとしやがってたおばさん…」
その場には翡翠の付き添いである昨晩の中年女性達もいたが、彼女達以上に目が丸くなっているのが翡翠だった。
「さーとりあえず、待ち人も集まり終えましたし、それでは野営地の案内を始めますねー…?」
そこで玲花がパンパンと手を鳴らして周囲を現実に戻そうとした時、翡翠の背後にぬっと人相が良くない黒尽くめの男達が現れる。
「軍の皆様への視察と慰撫ご苦労様です翡翠様、つきましては今晩の和平交渉の詰めもお忘れの無いよう…」
「………っ…はい…」
その男達の顔を見て現実に戻った翡翠の顔には険しい色が少なからず浮かび上がる。
男達はその表情に顔色を変えることなく、周囲の秦軍を一瞥した後に背を向けて去っていった。
「ん? 何だあいつら?」
「今の景城の実権を握ってる氷雷様とそのご一族の人達よ。翡翠様は幼少期にご両親が流行り病で失われてるから後から来たあの方々が財力にものを言わせて実権を握ってるみたい…」
その氷一族の登場を受けて場には戦場とは別の思い緊張が漂いだした。
○秦始皇8年(紀元前239年) 景城防衛戦二日目夕刻 秦国東北部 某都市○
「おー、景城の方は信達が着いたか…」
「そうねー、あの子だけじゃー搦め手と裏工作は不安だけど娘軍師さんに彼女副長二人が付いてるからまー噂の魏将なら問題ないわね」
魏と面した秦国東端部より大分離れた地にて、伍鬼は片腕腕立て伏せをしながら理査の報告を聞いていた。
「確かーあそこの表向きの代表の子って若い子らしいわねー。もしかしたらーあの三人との間に面白い事起きるかもね♪」
その伍鬼の上下している背の上には、ダンベルを左右それぞれの手に持って同様に筋トレしている鼎寧が胡坐をかいていた。
「中原辺りのかしこぶった学者が見れば女の首を切り飛ばせとか他力本願な意味不明な事を言い出す光景でしょうねー」
「文明を自称する連中が他所のそれをろくに調べもせずにわけわからないことを言い出すのはあれよねー。この前に曹州ですれ違いに尻触った元趙の男の腕を締めたら刀抜いて襲ってきて逆に半殺しにしたらその主人が役所に訴えてきて、それが却下されたらそいつら武器持って襲ってきたし…」
「それで全員をお前が素手で正当防衛した後に襲撃と傷害罪でそいつらを牢屋に入れたら、元趙の男達が不満言い出して大勢趙に逃げていったんだよな。まーその際にそうした男の女房連中は大半が離婚して秦に残ったりしたらしいが…」
白漂前世に比すれば珍しくて且つ羨ましい程度の筋トレで済んでいるが、この時代の秦以外の各国、特に儒家の影響力が強い中原では非常に危険な行為であるのは3人の会話が示していた。
男尊女卑の考えが徹底している中原では女性は財産と見なされる事も珍しくはなく、中には障害を持つ男性を笑ったというだけの女性が障害者にその主人に訴えられて極刑にされ、それが賞賛までされたという逸話が残っている。
そのため、あまり取り扱われないが秦が他国より土地を編入した場合には、男性は拘束が多いとその法治を嫌って出て行くが女性は安全さが増すから、秦では女性からも離婚を切り出せるという法を盾に分かれてそのまま残るという事象も度々起きていた。
「へーーっきし!」
「汚い!」
「ぶげ!?」
「………」
同時刻の趙の僻地で北辺生まれ育ちのカイネという女性が同僚の傅抵という男を作戦会議中にくしゃみしたという理由で腹パンしていたが、二人を側近としていた李牧が地味に凄いものを見る眼差しを向けていたのもそういった事情のためである。
「よーし、千回振り終えたしー次はー実際に剣戟打ち合いしましょー」
「そうだな、じゃあ降りてくれ…ん」
但し、今この場で鼎寧が金鎚型錘を手に取ったりしたように、女性も戦場で武と兵権を振るうのは流石に秦でも他国よりその比率が比較的高いというだけで、男性軍人と比べれば少数派である。
今回は原作以上に冷や飯食いになっている趙組が少々再登場しました。
次回はやっと合戦パートに入る予定です。